入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

        続々 早春の入笠(3月20日-22日)

2015年03月25日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など



それにしても、あの大量の雪に管理棟も小屋もよく耐えたものだと感心する。一カ月ほど前に、みろく山の会の皆さんが協力して、雪下ろしをしてくれたお蔭だろう。それでも、管理棟にある奥の二間を仕切る唐紙は、丁度その上の屋根にまだかなりの雪が残っているせいで、上からの重圧を受けて弓のようにたわんでしまっている。また、山小屋「農協ハウス」は、管理棟のように仕切りや柱も少なく、その分雪の重圧が心配だったが、何とかここも無事だった。
 
 山小屋は以前に、取り壊してしまうという話もあった。しかし、幸いそうならなくて済んだ。和泉多摩川ナチュラリストクラブのみんなに手伝ってもらって、48枚の畳をまくり、その下の問題とされた根太を取り替えてしまったのだ。
 ボーイスカウト調布第2団からは新品の大型冷蔵庫と冷凍庫を寄贈してもらった。「農協ハウス」という”過ぎた名前”で、長い間たくさんの人たちに大切にしてもらい、今なおこうした人たちを中心に、毎年この小屋を訪れる人は増えてきている。
 何よりもこの小屋は、ガスコンロがあって自由に使用できるから調理が楽だ。食器もかなりの人数分がある。予約制を原則としているから、どこかの山小屋のように、利用者をぎゅうぎゅう詰めにして寝かせるようなことはしない。小屋を去る前に利用者には、トイレも含め利用し、使用した物をきちんと元の状態にしてもらうようにしているが、これで宿泊料金を低額に抑えることができている。台所の電気を消し忘れていたりすることはあっても、よくルールを理解し守ってくれているみなさんだ。
 
 JA上伊那からすれば、牧場も含め、ここの事業規模などたかが知れている。しかしそれでも毎年、東部支所を中心に多くの人がキャンプ場の草刈や、小屋の布団干しのために登ってきてくれている。

 



 時代遅れの山小屋「農協ハウス」とは、そういう山小屋のことです。お問い合わせは、JA上伊那東部支所組合員課(直通:0265-94-2473)までお願いいたします。また、このブログのコメント欄でもお受けしますし、管理人の電話番号をご存知の方は直接お掛けください、ご遠慮なく。
 竹田さん、それは大変残念でした。しかし、コメントはどうしたことか、届いていませんでしたよ。また、お出掛け下さい。そうだ、みろく山の会の会報を送ってもらたのに、そのお礼を言うのが遅れていた。申し訳ありませんでした。どなた(ARKWさんだと思うけど)が送ってくれたか不明でしたので失礼しました。「雑木林」を毎号送ってくれるナチゥの皆さんにも、この機会にお礼申し上げます。
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      続 早春の入笠牧場(3月20日―22日)

2015年03月24日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


3月21日、午前7時半気温0度C。伊那の同時刻の予報は晴れ、気温マイナス1度Cとなっている。此処から眺める空は薄曇りだが、下は晴れているのだろう。
 食欲はあまりなく、コーヒーとパンで済ます。これまでのように食べることに熱心ではなくなってしまった。断酒の影響もあるのだろうが、寒い台所で水を用意したり、料理するのが面倒なせいもある。もしかすればこんな自然の中では、腹をすかせていた方がかえって意識も澄んで、納得した時間を過ごすことができるのかも知れない。それに、格別何か食べたいものが思いつかない。





 HALを連れて近くを散策する。木の根の周囲は雪が融けて、よく見ればささやかな春の息吹を覗かせている。小入笠に至る防火帯の向こうの落葉松の林には、サルオガセが目立つようになった。まさかひと冬の間に、このレースのカーテンのような菌類(?)が精力的に育ったとは思えないが、それにしてもいままで意識したことはなかった。何だか森をバックにして、汚れて疲れた幾人かの老優が、佇んでいるようにも見える。



 5か月の休みも遂に1か月を切った。この仕事も、牛の相手と、牧場の管理だけに専念できれば何の不満もない。しかし、そういうわけにいかない。もちろん、キャンプ場や山小屋の利用者のことを言っているのではない。ここには何の用もない人間たちの常識のない振舞い、それと、牧草を食べる鹿に手を焼くのだ。
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       早春の入笠牧場 (3月20-22日)

2015年03月23日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


予定通り、法華道から牧場へ来てみると、たった一カ月も経たないというのに雪はかなり融け、そして沈んでいた。第2牧区の急な斜面から周囲を一望すれば、大沢山のJAXの観測所付近や、小入笠の少し下った日当たりのよい場所はすでに地肌が露出している。管理棟の屋根に積もった雪も半分ほどは落ちて、乾いた赤い屋根が見える。建物は潰れていなかった。山小屋「農協ハウス」の屋根は勾配が緩く、まだその上に雪は乗っていたが、それでも雪の厚さは大分薄くなっている。
 そこだけ雪のない管理棟の入口に、いつものように椅子を出し日向ぼこしながら、どろどろしたウイスキーを飲めないことを恨んだ。



 少しづつ夕暮れが訪れようとしている。いつもは観客のいない舞台で踊る霧の準備ができたようで、小入笠の中腹まで降りてきた。無音、風の音すらしない。放牧地とその背後の森が溶暗されていくにつれて、辺りの風景は墨絵のような単色に変わり、そこへゆっくりと霧が舞い、からむ。誰が眺めるわけでもないのに、ここではこういう幻想的な夕暮れがいつも、ずっと繰り返されているのだ。一人でなければいけない時間が、こういう場所にはある。白い闇の来るのが先か、黒い闇が先か・・・。



 冬の星座を代表するオリオン座も、夜の8時を過ぎれば、中天よりかなり西の空に移動している。そしてそれも、安定しない天候のせいで雲が邪魔ばかりする。
 パンを齧り、下で焼いて持ってきたステーキを食べ、野菜はリンゴで間に合わせた。飲む楽しみも、食べる楽しみも放棄してしまうと、夜は長い。あまり集中できないまま、それでも本を読んで時と闘う。眠くなったら、絞るように眠りを貪るだけだ。

 
 
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       牧人の休日(38)

2015年03月19日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 「光の明度が一段と増す春の入笠へ」などというお誘いの言葉虚しく、今日は雨になってしまった。今は季節の変わり目で、天候の安定するのはやはり4月に入ってからだろうか。
 
 山奥がまた朝から少し”含んだ”ようで、電話をしてきた。雪がスカスカだから、法華道もかなり潜るだろうと心配してくれていた。もちろん、情報は有難く聞いた。彼は週末、神奈川の海へ遠出するとのこと。狩猟採集者の生活が再会されるようだが、雪に難渋した彼のひと冬もようやく終わるようだ。

 こういう雨の日は風呂に入り、本を読むことの繰り返しで今日が終わる。手許には昨日買った本が2冊ある。どちらも飽きさせないが、異論反論はある。ただし、思想信条は控えるようにということで、ここではそうしたい。内容は明治維新に関するものと、東京裁判について。小説は、今では余程のことでもないかぎり読まないから、歴史に関する本が多い。先日は、邪馬台国畿内説に対して、別の可能性を論ずる本を面白く読んだ。
 読書と関連してよく記憶力の減退を嘆く人がいる。しかし本を読むなどということは、車窓から移り変わる景色でも眺めるようなものと思っているから、興の湧くまま、気の向くまま読むだけで、そんなことは気にならない。宇宙へ行ったかと思えば、極北へ旅をし、アマツヒコヒコナギサタケウガヤフキアエズノミコトの古代へ迷い込み、また近世に帰る、そういう旅の車窓の風景を楽しむことができれば、読書の目的は遂げたと満足している。

 この雨も夕方には止むようだ。明日登るにしても、断酒中の身、ビールを背負わずにすむのは気が楽だ。もちろん、万一の場合の手は打ってある。有っても飲まないのと、無くて飲めないのとは、エライ違いだから。クク。
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       牧人の休日(37)

2015年03月18日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

バラ星雲                                Photo by かんと氏

 今日アップしたバラ星雲と3月9日(牧人の休日31)の画像とを比較してみて欲しい。同じ撮影対象が、処理の仕方でかなり違ってくることが分かる。


     春咲く雪の下


     クロッカス

 花を開いたばかりのクロッカスに、ミツバチがその蜜を集めにきていた。写真を撮ろうと構えたら、ブーンとどこかへ飛び去ってしまった。

 村の裏手にある開田へ行ってみたら、雪を被った仙丈岳を背景に広々とした風景の中に、緑の色が目に付くようになった。少しづつだが里には春が訪れつつあるようで、天竜川の向こうを走る飯田線の列車から聞こえてくる音も、こんな夕暮れ時には長閑に聞こえる。

 今週の金曜日には、久しぶりにまたHALを連れて、法華道から牧場へ上がろうと思う。
 

 

 
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