■ところが、その後、待てど暮らせど、前橋地検から返事が来ません。痺れを切らせた当会では、平成15年2月20日付けで、最高検と東京高検あてに要請状を提出しました。
**********
平成15年2月20日
〒100-0013東京都千代田区霞ヶ関1-1-1 最高検察庁 検事総長 殿
〒100-8904東京都千代田区霞が関1-1-1 東京高等検察庁 検事長 殿
〒379-0113群馬県安中市大谷××× 住民M
〒379-0114群馬県安中市野殿×××× 住民Y
安中市大谷西谷津地区のサイボウ環境㈱による廃棄物最終処分場施設設置計画をめぐる私文書偽造等にかかる告発状の取扱について(大至急お願い)
拝啓 法治国家であるわが国の社会正義の維持と国民の生活と財産の安心と安全の確保のため日夜ご尽力賜わり厚く御礼申し上げます。
さて、標記に関して、平成14年12月24日付けで、私どもの法律解釈を記した内容の確認と質問のための書状を前橋地方検察庁検事正殿宛てに書面で差し上げ、その中で、平成15年1月末までに、ご回答をお願いしておりましたが、まだ、なんの回答も連絡もいただいておりません。
この問題では、事業者と行政との癒着において、目にあまるものがあり、私たちは、廃棄物最終処分場施設設置に係る廃棄物処理法による設置許可の取消を求めて訴訟中で、現在、最高裁第三小法定で審理が続けられております。
不思議なことに、安中警察署が、前橋地検の見解も踏まえて、本件は公訴時効で告発状を返却するとして、私たちに返戻しした平成14年12月18日以降、境界確定書を偽造した事業者が、県や市にたいして行政手続を再度活発化し、安中市などは「手続に不備があったが、是正されたので現在は問題ない」として当該施設の着工に向けた手続をどんどん進めております。
このままでは、なし崩し的に、違法行為が看過されてしまうため、なにとぞ、もういちど、標記事案に関する罰状について、私たちのような法律に明るくない住民にも理解できるように、判例なども例示して、検察庁としての見解をわかりやすくご説明いただきたく存じます。
おりしも、2月6日に鹿沼市職員が廃棄物処理の利権をめぐり略取殺害された事件が発覚しました。事件の背景には行政と廃棄物業者との間の異常な癒着が取り沙汰されていますが、他人事ではありません。サイボウが行政や周辺住民に対して行ってきた行為のこれまでの経緯を見ると、不安にかられます。
貴殿らの法的解釈を踏まえて、次の対応をとりたいので、まことに勝手ながら、3月2日(月)必着で、書面にてご回答下さるようよろしくお願い申し上げます。
**********
■その後、最高検や東京高検から返事はありませんでした。そこで、一向に捜査をしようとしない安中警察署に愛想を尽かした当会は、平成15年3月24日付けで、群馬県公安委員会あてに、苦情申立を行ないました。
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平成15年3月24日
〒371-8580群馬県前橋市大手町一丁目1番1号
群馬県公安委員会委員長 富田昭子 様
申出者 〒379-0113群馬県安中市大谷××× 住民M
申出者 〒379-0114群馬県安中市野殿×××× 住民Y
警察職員の職務執行に対する苦情申出書
件名:安中市大谷西谷津地区のサイボウ環境㈱による廃棄物最終処分場施設設置計画をめぐる私文書偽造等にかかる告発状の取扱について
警察職員の職務執行について、平成13年6月1日から苦情の申出をすることができる制度が開始されたとのことなので、次のとおり苦情の申出を行います。
1 苦情申出の原因となった警察職員の職務執行の日時及び場所並びに当該職務執行に係る警察職員の執務の対応その他の事案の概要
このことについて、私たち申出者らは、平成14年10月23日に、サイボウ環境㈱(以下「サイボウ」という)の代表取締役結城文夫を被告発人として、私文書偽造等の罰状で前橋地検と安中警察署に告発しました。その後、11月1日付けで、地検より、本件は安中警察署で捜査する旨、文書により通知されました。
そして、12月18日午後5時すぎに、安中警察署の刑事課から呼び出しがあり、午後7時に出頭して、次のような内容の口頭説明を受けました。(以下省略)
2 苦情申出の原因となった警察職員の職務執行により申出者が受けた具体的な不利益の内容又は当該職務執行に係る警察職員の執務の態様に対する不満の内容
そのため、私たちは、本件の捜査を踏まえて司法専門家の警察官が専門知識と経験をもとに、判断した結果なので、謹んで口頭での通知を拝聴すること、今回の措置の法的な解釈について後ほど吟味すること、を安中署の担当刑事の方々に伝え、告発状返還受領書に告発人として署名押印をしましたが、その直後から、サイボウは、廃棄物処分場施設の建設許可手続を平然と再開しました。
このまま、法的根拠も明らかにされないで、サイボウの違法行為を不問にしておくと、このことが前例となり、行政を騙してもお咎めなし、という風潮が全国に蔓延することが懸念されます。
したがって、安中警察署の刑事担当官においては、判例を含めて、きちんと法的根拠を示すよう、また、もし、安中警察署では法的根拠が明らかにできない場合は、県警や警察庁にも協力を仰ぐなどして、申出者らに納得の行く説明をして、警察署の対応が間違いの無いことを確信させるように、していただきたいと思います。
安中警察署の刑事担当官に言われて、私たちが独自に検討した結果は、次のとおりです。(以下省略)
**********
■すると、地元住民の悲痛な叫びがようやく耳に届いたらしく、公安委員会あてに苦情申立書を投函してから半月後の平成15年4月8日午前11時40分ごろ、県警から当会に電話がありました。内容は次の通りでした。
(1) 公安委員会宛の苦情について、取下げ状をすぐに出してほしい。文書の書き方は自由。たとえば、簡単に、いつ出したこれこれの書状については、警察のほうから再捜査をおこなうとの連絡をうけたので、撤回する、という内容。
(2) 告発状は、先々の話にはなるが、あらためて出してもらえる時期がくるかもしれないので、その場合には、次のような要領で作成してほしい。再提出が必要な背景としては、前回、撤回した形になっており、どういう形にするのかについては告発事件の形を取って、検察庁に上げたいので検察庁に送付(=送検)できるところまでやってみたい。そのために、撤回してもらった告発状を、再告発ということで新たに出す必要があるもの。出すタイミングは、追って相談したい。内容は前回の告発状で概ねよいが、次の点を勘案してほしい。
① 提出日付を新しくする。
② 告発者のハンコを押してもらう。前回「写し」という取扱をしたが、それはハンコがないためだった。
③ 【この点について、「本来なら、口頭でも告発できるのだからハンコにこだわる必要はないはず」と反論したところ】そのとおりだが、文書として告発状を提出する場合は、通常、弁護士経由で出されるので、習慣的にハンコを押すことになっている。
④ 告発状の書き方として通常2つの要件がある。一つは「犯罪事実の摘旨」、もう一つは「処罰を求む」というもの。前者は前回の書き方で、捜査権のない市民としては、あの描き方でよいが、後者については、本文の最後のほうで、「厳重に処罰してほしい」という一文を明記することが慣例化になっているので、そのようにお願いしたい。
⑤ 罰状について、私文書偽造はこれでよいと思うが、その他の、例えば国有財産法違反については罰則がないので、これは警察としても処罰の仕様がないので外してもらうことになる。また、公正証書原本不実記載については、自分も登記簿を取って調べてみたが、虚偽の書類作成によって公図が変更されているわけではないのと、その後分筆した結果、B子さん本人も、「謝りに来たのでそれで済んでいるから」という話を電話でしていた。したがって、これもよく調べてみるが、直接的には、私文書偽造だけで罰状は十分だと思う。
⑥ この公図の件については、安中市でも法務局から当該地の登記簿謄本をとって調べたが、公図は一般的に、境界確定して面積がかわり、法務局に備え付けの文書に反映されて境界確定の手続が公図上反映されればOKとなる。今回は、平成11年の手続で、境界確定の公図の変更が無いことは、B子の登記簿の図面を見て確認した。
⑦ また平成14年10月25日の市の立ちあいをおこなって登記をした件については、問題ないように見える。一応関係者にあたってみるが、この件は外してもらったほうがよい。
■この県警からの連絡の後、安中警察署からも「再捜査する」旨の電話連絡がありました。そのため、再捜査に向けて司直が行動を開始したことが確認されたので、同年4月9日付けで、警察職員の職務執行に対する苦情申出書」を撤回しました。
また、県警からの連絡で「既に提出済みの告発状を再度出してほしい」といわれていたので、平成15年5月2日に県警の指示どおりに修正した告発状を安中署に再提出しました。
**********
【再提出した告発状】
平成15年5月2日
告 発 状
群馬県安中警察署長 殿
告発人:安中市大谷××× 住民M
安中市野殿×××× 住民Y
被告発人:サイボウ環境㈱代表取締役 結城文夫
罰 状:私文書偽造(刑法第159条)及び偽造私文書行使(刑法161条)
告発事実:
被告発人は、自ら群馬県安中市大谷の西谷津地区に計画中の廃棄物埋立処分場施設建設計画に関して、群馬県知事に対して同施設の設置手続を行うのに必要な、廃棄物搬入用の進入道路を確保するため、安中市長中島博範に働きかけ、安中市道5323号線道路改良工事として、市長の承認を受けようと、公共用財産と隣接土地所有者との境界に関する協議に係る立会を平成10年8月27日に行い、境界線確認協議が平成11年5月31日に成立したとして、平成11年6月3日付けで建設省所管国有財産部局長群馬県知事受任者安中市長中島博範あてに、国有財産法に基づく境界確定書を提出し、同日、安中市長にこの境界確定書に公印を押印させ、安中市長をして当該市道改良工事の許可処分を行わせ、法務局に対しても関連登記手続を行なわせた疑いがある。
被告発人は、この境界確定書作成にあたり、国有財産法第31条の3に定めた隣接土地所有者の立会による境界確認を行ったとして、隣接土地の各地番の土地所有者について、各自署名押印のうえ提出したと境界確認書に記しているが、このうちすくなくとも、「大谷字○○××××-×及び××××」の所在土地を保有する「安中市大谷××××-×」に住所を有する「A子」については、本人と偽って、被告発人が記入し押印したものである。
なぜならば、隣接地権者である「A子」は平成10年7月15日に死亡しており、本人が署名押印することは有り得ないからである。
国有財産法の第31条の3「境界確定の協議」は、「この協議が整わない場合には、境界を確定するためにいかなる行政上の処分も行われてはならない」と定めてある。作成して提出された境界確定書については、通常は、建設省所管国有財産部局長の事務委任を受けた群馬県知事受任者安中市長中島博範と、申請者である被告発人、さらに隣接土地所有者がそれぞれ保有して、境界確定の事実を確認しておくはずだが、被告発人は、「A子」もしくはその親族のいずれに対しても、立会後に境界確定書を渡していない。国有財産法の第34条の4第2項の規定によれば、境界を定めた場合には、当該境界及びこれを定めた経過を当該隣接地の所有者及び当該隣接地の知れたその他の権利者に通知するとともにこれを公告しなければならない、と定めているが、被告発者はこの行為を怠っている。これは、告発容疑である私文書偽造の事実を隠蔽し、国有財産の私物化を図るために、意図的に行ったものであり、極めて悪質である。
本件は、平成10年にA子の死去後、自宅敷地内に境界標が何度も打たれたことに疑問を抱いた遺族の一人のB子(群馬県安中市安中×-××-××に在住)が、平成14年前半、安中市役所土木課を訪れて、市職員に事情を訊ねたところ、対応に出た職員が示した境界確認書を見て、死亡したはずの母親の署名と押印がしてあることに気が付いたもの。その際、書類を見ているときに、職員の上司が見咎めて、「この書類は秘密書類だから」と慌てて引っ込めたため、よけい不信感が湧いた、とB子は語っている。
さらに、平成14年9月19日の晩にサイボウ環境㈱の意向を受けたTなる人物が、突然B子宅を訪れ、添付証拠書類(B)に示す「農用地区域変更申出書」への実印の押印と、印鑑証明書の取得をしつこく要求してきた。
突然、初対面のTの来訪を受けたB子は、事情がわからぬまま、書類を預かり、同年9月20日に印鑑証明をとり、当該申出書に押印したが、不安になり、知人に相談したところ、訳のわからない書類への実印押印はやめるようにアドバイスされた。そこで同年9月21日朝に、Tに対して「書類への押印はできない」と電話で断った。
Tが持参した「農用地区域変更申出書」には、平成10年6月5日の境界確認の協議に関する件が記述してあったため、一体どんな書類が安中市に提出されているのかを知ろうと、平成14年9月26日に、安中市長に対して、情報公開条例に基づく開示請求をした。その結果、同年10月1日付の開示決定書に基づいて、指定された公開日である同年10月10日に安中市役所で境界確定書を入手した。これが添付証拠書類(A)である。
この結果、平成10年7月15日に死去したはずの母親の署名と押印がされていたため、この書類が偽造文書に間違いないことを確信するに至った。B子やその配偶者によると、署名されていた母親の筆跡や、住所の筆跡は、全く別人のものである上、A子は、死亡に至る以前から寝たきりの状態で、署名もできない状況だった、という。
こうした中、偽造文書の発覚を察知したサイボウ環境㈱は何とかして、偽造の事実を隠蔽するために、安中市大谷のA子宅の土地と隣接同士のCを介して、隣接私有地同士の境界線の確定に必要だと称して、「境界確定申請書」をB子に持参し、署名捺印を求めてきた。さらに翌10月6日の晩に、サイボウ環境㈱の意向を受けたTがB子宅を訪れ、言葉巧みに説明し書類3部に署名押印をさせたあと、3部とも持ち帰った。その後、隣りのCとの間の私有地の間の境界確定をする、という名目で、10月11日午後1時30分に、安中市職員4名と、C、そして市道の反対側の隣接地権者であるO、そしてサイボウ環境㈱の代表取締役結城文夫の委任状を持ったTが、同社の起用した測量業者(三守測量)と一緒にやってきて、B子に境界確認をさせた。Tが言うには、変更箇所がたくさんあるため、いっぺんに片付けたいとして言葉巧みに、B子に署名押印させたが、当事者であるB子には、立会いの結果を示す書類は渡されなかった。また、立会いの際に、市役所土木課職員は黙りこくったままだったという。
このように、夜討ち朝駆けでB子宅を訪れ、いれかわりたちかわり、さまざまな書類にしつこく署名押印を求めてくるサイボウ環境㈱や安中市役所の行動に、B子やその家人は、いったい、この騒ぎの背景には何があるのか、署名押印させられた書類の目的は何なのか、募る疑念とともに精神的疲労が増しており、一刻もはやくこのような異常な状況を脱して平穏な生活を取り戻したい、と平成14年10月下旬の時点で語っていた。
なりふりかまわぬサイボウ環境㈱と市役所の行動は、国有財産である市道をサイボウ環境㈱の廃棄物埋立処分施設への廃棄物の搬入路に使用できるよう改良工事を施すための公的手続書類を偽造した経緯をもみ消し、さらに、大型ダンプカーが通行し易くなるように、A子(現在はB子)の所有地付近のサイボウ計画道路と既設市道との交差部分のコーナー部の道幅を拡幅しようという意図があると思料される。
なお、被告発者は、上記の廃棄物埋立処分場施設建設計画に関して、平成7年11月16日に群馬県知事による事前協議の手続完了を受けたあと、平成8年2月28日ごろ、本件建設計画の助成金と称して、周辺住民約62戸に対して、準公務員である地元区長を使って約30万円ずつ、合計約2000万円の金銭を配布したことがある。当時、告発者らは安中警察署に告発したが、いまだに受理されていないという経緯がある。
したがって、被告発者が偽造や捏造した隣接土地所有者の署名押印は、「A子」にとどまらず、他にもあることが十分思料される。さらに、この他の同意書など処分場施設設置計画手続に必要な書類にも同様の疑いがもたれる。
このように、地元住民の人権を無視して、自らの営利事業を推進する為には手段を選ばす、法を犯してまで強引に手続を行おうとする被告発人に対して、厳重なる処罰を求める。 以上
添付証拠書類:
(A)境界確定書一式(同時期に群馬県知事に開示請求した結果も参考までに添付した)
(B)農用地区域変更申出書及び委任状(×印は、この書類の通用を心配したB子の知人が原本に記したもの)
**********
■これで、警察もやっと捜査してくれるのかと思いきや、翌5月3日の午後1時頃、安中署から当会に電話がありました。また、その10分後、再度、「(サイボウの周辺住民への)金銭配布の件で受理されなかった」というくだりについて、「削除してくれ」という内容で、念押しの電話がありました。本件で、群馬県警から安中署に派遣された県警捜査第二課の刑事は次のように当会に説明したのです。
「昨日、例の書類を持参いただいたのに、島田課長がコピーだけとって追い返したことについて、誠に申し訳ないことをした。自分は、皆さんとのお約束どおり、多分今週中に、皆さんが書類を持参してくるとおもうからよろしく受け取っておいてくれ、と伝えてあったにもかかわらず、ああいう対応になってしまった。本当は私が受け取ればよかったのだが、統一地方選の後なので、ご承知の通りあちこちから声がかかって、沼田を手始めに昨日は伊勢崎に行った。夕べは午前4時に帰宅していまから仕事に出るが、島田課長から話を聞いて、電話をした次第。自分は、前回の書類の中で、日付け、印鑑、罰状、厳重処罰の四点を修正する旨、言ったと思うが、島田が、持参した書類の内容をコピーして、署長にみせたところ、以前に出した書類について、触れている部分があるので、このままの文章だと、あたかも自分の失態と、上層部に受け取られかねない為、難色を示したのが内情。」
(当会注:なるほど、どうりで、文章の内容について、こまかく見たうえで、コピーをとらせてくれと言ったり、法令の記述に不自然なことがあるとして、六法を調べにゆくフリをして時間稼ぎをしたのはそのためか」と合点)
「というわけで、やはり、地元の署長名で、上にあげることになるので、このままの内容だと、おまえいったい何してるんだ、というふうにいわれるわけで、自分が本人なら、やはり気にすると思う。しかし、皆さんとのお約束なので、そのように出して欲しいと行った手前、皆さんには、たいへん迷惑をかけた。署長に気持ちよく受理してもらうためには、島田からも言ったと思うが、前回の不受理の件は、今回とは直接関係がないので、省いてもらいたい。また、いろいろな記述があるが、やるべき事はきちんとやっているので、心配いらないから、単純に事実の摘示のみに絞って記述して欲しい。添付書類も、境界確定書だけでいい。あとは全部入手しているから。」
(当会注:これに対して、金銭配布についても事実だし、両住民が前回二度ほど受理をお願いに言った事も事実だし、もしそのとき動いてもらっていれば、こんな事態にならなかったのも事実で、両住民の心情からすればこれを記述するのはごく自然のことだ、と伝えたうえで、昨日も島田課長には申し上げたが、我々のもっとも主眼とするところは、仕事に全力投球してもらうのに必要な環境つくりだから、結果を出してもらう為に必要なら、雑音になるような点は指摘どおりに変更する事はやぶさかでない。しかし、あくまでも両住民と相談のうえで決定したいと返答)
「というわけで、やるべき事はきちんとやっているから、なるべく、要点だけに絞った形にして、署長が気持ちよく受け取れるような形にしたものを出してもらえないだろうか。約束した内容と違う結果となってもうしわけないが、所轄の署長名で出さなくてはならないので、ヘソを曲げられると、説得に膨大なエネルギーが必要なもので・・・。申し訳ないが、その辺の状況と事情を両住民にもよろしくお伝え願いたい。」
■という説明に対して、当会として、タゴ51億円事件でも管轄署である安中警察署の体質は痛感していましたが、ここは署長ではなく、現場で苦労している刑事の顔を立てることにして、「贅肉を落とした形での書類を、内容については両住民ともよく相談のうえ、週末中に仕上げて、来週の頭には持参できるようにするから、雑音に気を取られること無く存分に仕事をお願いした」と申し入れました。
そして、安中警察署長がゴネた内容をそのまま反映して、次の告発状を、あらためて平成15年5月5日に安中警察署に提出し、ようやく当会の告発が受理されたのでした。
**********
【安中署に最終的に受理された3度目の告発状】
平成15年5月5日
告 発 状
安中警察署長殿
告発人
住所 群馬県安中市大谷×××
職業 農業
氏名 住民M(51歳) 印
告発人
氏名 群馬県安中市野殿××××
職業 会社員
氏名 住民Y(47歳) 印
被告発人
住所 群馬県安中市大谷229の1
職業 サイボウ環境㈱代表取締役
氏名 結城 文夫
1 告発の趣
被告発人の以下の所為は、刑法159条(私文書偽造)及び刑法161条(偽造私文書行使)に該当すると考えるので、被告発人を厳罰に処することを求め告発する。
2 告発事実
被告発人は、自ら群馬県安中市大谷の西谷津地区に計画中の廃棄物埋立処分場施設建設計画に関して、群馬県知事に対して同施設の設置手続を行うのに必要な、廃棄物搬入用の進入道路を確保するため、安中市長中島博範に働きかけ、安中市道5323号線道路改良工事として、市長の承認を受けようと、公共用財産と隣接土地所有者との境界に関する協議に係る立会を平成10年8月27日に行い、境界線確認協議が平成11年5月31日に成立したとして、平成11年6月3日付けで建設省所管国有財産部局長群馬県知事受任者安中市長中島博範あてに、国有財産法に基づく境界確定書を提出し、同日、安中市長にこの境界確定書に公印を押印させた疑いがあります。
被告発人は、この境界確定書作成にあたり、国有財産法第31条の3に定めた隣接土地所有者の立会による境界確認を行ったとして、隣接土地の各地番の土地所有者について、各自署名押印のうえ提出したと境界確認書に記していますが、このうちすくなくとも、「大谷字○○××××-×及び××××」の所在土地を保有する「安中市大谷××××-×」に住所を有する「A子」については、本人と偽って、被告発人が記入し押印したものです。なぜならば、隣接地権者である「A子」は平成10年7月15日に死亡しており、本人が署名押印することは有り得ないからです。
国有財産法の第31条の4第5項の規定によれば、「各省各庁の長は、第2項の規定により境界を定めた場合には、当該境界及びこれを定めた経過を当該隣接地の所有者及び当該隣接地の知れたその他の権利者に通知するとともにこれを公告しなければならない。この場合において、当該通知及び公告には、次条第1項の期間内に同項の規定による通告がないときは、境界の確定に関し、当該隣接地の所有者の同意があつたものとみなされる旨を附記しなければならない。」と定めていますが、当該境界及びこれを定めた経過について、「A子」もしくはその親族は、立会後に境界およびこれを定めた経緯を通知されておらず、当該境界確定のための立会行為そのものが法律に則って実施されていない疑いがあります。これは、違法行為の事実を隠蔽し、国有財産の私物化を図った疑いがあり、極めて悪質です。
被告発人の、前記行為は刑法159条の私文書偽造および刑法151条の偽造私文書行使に該当すると思われますので、被告発人の厳重な処罰を求めるため、ここに告発いたします。
3 添付書類
境界確定書(写し) 1通
**********
■こうして、平成14年10月23日に当会が警察と検察に、本件について告発してから、実に半年以上かかり、漸く警察が捜査に着手したのでした。
【岩野谷の水と緑を守る会】
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平成15年2月20日
〒100-0013東京都千代田区霞ヶ関1-1-1 最高検察庁 検事総長 殿
〒100-8904東京都千代田区霞が関1-1-1 東京高等検察庁 検事長 殿
〒379-0113群馬県安中市大谷××× 住民M
〒379-0114群馬県安中市野殿×××× 住民Y
安中市大谷西谷津地区のサイボウ環境㈱による廃棄物最終処分場施設設置計画をめぐる私文書偽造等にかかる告発状の取扱について(大至急お願い)
拝啓 法治国家であるわが国の社会正義の維持と国民の生活と財産の安心と安全の確保のため日夜ご尽力賜わり厚く御礼申し上げます。
さて、標記に関して、平成14年12月24日付けで、私どもの法律解釈を記した内容の確認と質問のための書状を前橋地方検察庁検事正殿宛てに書面で差し上げ、その中で、平成15年1月末までに、ご回答をお願いしておりましたが、まだ、なんの回答も連絡もいただいておりません。
この問題では、事業者と行政との癒着において、目にあまるものがあり、私たちは、廃棄物最終処分場施設設置に係る廃棄物処理法による設置許可の取消を求めて訴訟中で、現在、最高裁第三小法定で審理が続けられております。
不思議なことに、安中警察署が、前橋地検の見解も踏まえて、本件は公訴時効で告発状を返却するとして、私たちに返戻しした平成14年12月18日以降、境界確定書を偽造した事業者が、県や市にたいして行政手続を再度活発化し、安中市などは「手続に不備があったが、是正されたので現在は問題ない」として当該施設の着工に向けた手続をどんどん進めております。
このままでは、なし崩し的に、違法行為が看過されてしまうため、なにとぞ、もういちど、標記事案に関する罰状について、私たちのような法律に明るくない住民にも理解できるように、判例なども例示して、検察庁としての見解をわかりやすくご説明いただきたく存じます。
おりしも、2月6日に鹿沼市職員が廃棄物処理の利権をめぐり略取殺害された事件が発覚しました。事件の背景には行政と廃棄物業者との間の異常な癒着が取り沙汰されていますが、他人事ではありません。サイボウが行政や周辺住民に対して行ってきた行為のこれまでの経緯を見ると、不安にかられます。
貴殿らの法的解釈を踏まえて、次の対応をとりたいので、まことに勝手ながら、3月2日(月)必着で、書面にてご回答下さるようよろしくお願い申し上げます。
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■その後、最高検や東京高検から返事はありませんでした。そこで、一向に捜査をしようとしない安中警察署に愛想を尽かした当会は、平成15年3月24日付けで、群馬県公安委員会あてに、苦情申立を行ないました。
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平成15年3月24日
〒371-8580群馬県前橋市大手町一丁目1番1号
群馬県公安委員会委員長 富田昭子 様
申出者 〒379-0113群馬県安中市大谷××× 住民M
申出者 〒379-0114群馬県安中市野殿×××× 住民Y
警察職員の職務執行に対する苦情申出書
件名:安中市大谷西谷津地区のサイボウ環境㈱による廃棄物最終処分場施設設置計画をめぐる私文書偽造等にかかる告発状の取扱について
警察職員の職務執行について、平成13年6月1日から苦情の申出をすることができる制度が開始されたとのことなので、次のとおり苦情の申出を行います。
1 苦情申出の原因となった警察職員の職務執行の日時及び場所並びに当該職務執行に係る警察職員の執務の対応その他の事案の概要
このことについて、私たち申出者らは、平成14年10月23日に、サイボウ環境㈱(以下「サイボウ」という)の代表取締役結城文夫を被告発人として、私文書偽造等の罰状で前橋地検と安中警察署に告発しました。その後、11月1日付けで、地検より、本件は安中警察署で捜査する旨、文書により通知されました。
そして、12月18日午後5時すぎに、安中警察署の刑事課から呼び出しがあり、午後7時に出頭して、次のような内容の口頭説明を受けました。(以下省略)
2 苦情申出の原因となった警察職員の職務執行により申出者が受けた具体的な不利益の内容又は当該職務執行に係る警察職員の執務の態様に対する不満の内容
そのため、私たちは、本件の捜査を踏まえて司法専門家の警察官が専門知識と経験をもとに、判断した結果なので、謹んで口頭での通知を拝聴すること、今回の措置の法的な解釈について後ほど吟味すること、を安中署の担当刑事の方々に伝え、告発状返還受領書に告発人として署名押印をしましたが、その直後から、サイボウは、廃棄物処分場施設の建設許可手続を平然と再開しました。
このまま、法的根拠も明らかにされないで、サイボウの違法行為を不問にしておくと、このことが前例となり、行政を騙してもお咎めなし、という風潮が全国に蔓延することが懸念されます。
したがって、安中警察署の刑事担当官においては、判例を含めて、きちんと法的根拠を示すよう、また、もし、安中警察署では法的根拠が明らかにできない場合は、県警や警察庁にも協力を仰ぐなどして、申出者らに納得の行く説明をして、警察署の対応が間違いの無いことを確信させるように、していただきたいと思います。
安中警察署の刑事担当官に言われて、私たちが独自に検討した結果は、次のとおりです。(以下省略)
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■すると、地元住民の悲痛な叫びがようやく耳に届いたらしく、公安委員会あてに苦情申立書を投函してから半月後の平成15年4月8日午前11時40分ごろ、県警から当会に電話がありました。内容は次の通りでした。
(1) 公安委員会宛の苦情について、取下げ状をすぐに出してほしい。文書の書き方は自由。たとえば、簡単に、いつ出したこれこれの書状については、警察のほうから再捜査をおこなうとの連絡をうけたので、撤回する、という内容。
(2) 告発状は、先々の話にはなるが、あらためて出してもらえる時期がくるかもしれないので、その場合には、次のような要領で作成してほしい。再提出が必要な背景としては、前回、撤回した形になっており、どういう形にするのかについては告発事件の形を取って、検察庁に上げたいので検察庁に送付(=送検)できるところまでやってみたい。そのために、撤回してもらった告発状を、再告発ということで新たに出す必要があるもの。出すタイミングは、追って相談したい。内容は前回の告発状で概ねよいが、次の点を勘案してほしい。
① 提出日付を新しくする。
② 告発者のハンコを押してもらう。前回「写し」という取扱をしたが、それはハンコがないためだった。
③ 【この点について、「本来なら、口頭でも告発できるのだからハンコにこだわる必要はないはず」と反論したところ】そのとおりだが、文書として告発状を提出する場合は、通常、弁護士経由で出されるので、習慣的にハンコを押すことになっている。
④ 告発状の書き方として通常2つの要件がある。一つは「犯罪事実の摘旨」、もう一つは「処罰を求む」というもの。前者は前回の書き方で、捜査権のない市民としては、あの描き方でよいが、後者については、本文の最後のほうで、「厳重に処罰してほしい」という一文を明記することが慣例化になっているので、そのようにお願いしたい。
⑤ 罰状について、私文書偽造はこれでよいと思うが、その他の、例えば国有財産法違反については罰則がないので、これは警察としても処罰の仕様がないので外してもらうことになる。また、公正証書原本不実記載については、自分も登記簿を取って調べてみたが、虚偽の書類作成によって公図が変更されているわけではないのと、その後分筆した結果、B子さん本人も、「謝りに来たのでそれで済んでいるから」という話を電話でしていた。したがって、これもよく調べてみるが、直接的には、私文書偽造だけで罰状は十分だと思う。
⑥ この公図の件については、安中市でも法務局から当該地の登記簿謄本をとって調べたが、公図は一般的に、境界確定して面積がかわり、法務局に備え付けの文書に反映されて境界確定の手続が公図上反映されればOKとなる。今回は、平成11年の手続で、境界確定の公図の変更が無いことは、B子の登記簿の図面を見て確認した。
⑦ また平成14年10月25日の市の立ちあいをおこなって登記をした件については、問題ないように見える。一応関係者にあたってみるが、この件は外してもらったほうがよい。
■この県警からの連絡の後、安中警察署からも「再捜査する」旨の電話連絡がありました。そのため、再捜査に向けて司直が行動を開始したことが確認されたので、同年4月9日付けで、警察職員の職務執行に対する苦情申出書」を撤回しました。
また、県警からの連絡で「既に提出済みの告発状を再度出してほしい」といわれていたので、平成15年5月2日に県警の指示どおりに修正した告発状を安中署に再提出しました。
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【再提出した告発状】
平成15年5月2日
告 発 状
群馬県安中警察署長 殿
告発人:安中市大谷××× 住民M
安中市野殿×××× 住民Y
被告発人:サイボウ環境㈱代表取締役 結城文夫
罰 状:私文書偽造(刑法第159条)及び偽造私文書行使(刑法161条)
告発事実:
被告発人は、自ら群馬県安中市大谷の西谷津地区に計画中の廃棄物埋立処分場施設建設計画に関して、群馬県知事に対して同施設の設置手続を行うのに必要な、廃棄物搬入用の進入道路を確保するため、安中市長中島博範に働きかけ、安中市道5323号線道路改良工事として、市長の承認を受けようと、公共用財産と隣接土地所有者との境界に関する協議に係る立会を平成10年8月27日に行い、境界線確認協議が平成11年5月31日に成立したとして、平成11年6月3日付けで建設省所管国有財産部局長群馬県知事受任者安中市長中島博範あてに、国有財産法に基づく境界確定書を提出し、同日、安中市長にこの境界確定書に公印を押印させ、安中市長をして当該市道改良工事の許可処分を行わせ、法務局に対しても関連登記手続を行なわせた疑いがある。
被告発人は、この境界確定書作成にあたり、国有財産法第31条の3に定めた隣接土地所有者の立会による境界確認を行ったとして、隣接土地の各地番の土地所有者について、各自署名押印のうえ提出したと境界確認書に記しているが、このうちすくなくとも、「大谷字○○××××-×及び××××」の所在土地を保有する「安中市大谷××××-×」に住所を有する「A子」については、本人と偽って、被告発人が記入し押印したものである。
なぜならば、隣接地権者である「A子」は平成10年7月15日に死亡しており、本人が署名押印することは有り得ないからである。
国有財産法の第31条の3「境界確定の協議」は、「この協議が整わない場合には、境界を確定するためにいかなる行政上の処分も行われてはならない」と定めてある。作成して提出された境界確定書については、通常は、建設省所管国有財産部局長の事務委任を受けた群馬県知事受任者安中市長中島博範と、申請者である被告発人、さらに隣接土地所有者がそれぞれ保有して、境界確定の事実を確認しておくはずだが、被告発人は、「A子」もしくはその親族のいずれに対しても、立会後に境界確定書を渡していない。国有財産法の第34条の4第2項の規定によれば、境界を定めた場合には、当該境界及びこれを定めた経過を当該隣接地の所有者及び当該隣接地の知れたその他の権利者に通知するとともにこれを公告しなければならない、と定めているが、被告発者はこの行為を怠っている。これは、告発容疑である私文書偽造の事実を隠蔽し、国有財産の私物化を図るために、意図的に行ったものであり、極めて悪質である。
本件は、平成10年にA子の死去後、自宅敷地内に境界標が何度も打たれたことに疑問を抱いた遺族の一人のB子(群馬県安中市安中×-××-××に在住)が、平成14年前半、安中市役所土木課を訪れて、市職員に事情を訊ねたところ、対応に出た職員が示した境界確認書を見て、死亡したはずの母親の署名と押印がしてあることに気が付いたもの。その際、書類を見ているときに、職員の上司が見咎めて、「この書類は秘密書類だから」と慌てて引っ込めたため、よけい不信感が湧いた、とB子は語っている。
さらに、平成14年9月19日の晩にサイボウ環境㈱の意向を受けたTなる人物が、突然B子宅を訪れ、添付証拠書類(B)に示す「農用地区域変更申出書」への実印の押印と、印鑑証明書の取得をしつこく要求してきた。
突然、初対面のTの来訪を受けたB子は、事情がわからぬまま、書類を預かり、同年9月20日に印鑑証明をとり、当該申出書に押印したが、不安になり、知人に相談したところ、訳のわからない書類への実印押印はやめるようにアドバイスされた。そこで同年9月21日朝に、Tに対して「書類への押印はできない」と電話で断った。
Tが持参した「農用地区域変更申出書」には、平成10年6月5日の境界確認の協議に関する件が記述してあったため、一体どんな書類が安中市に提出されているのかを知ろうと、平成14年9月26日に、安中市長に対して、情報公開条例に基づく開示請求をした。その結果、同年10月1日付の開示決定書に基づいて、指定された公開日である同年10月10日に安中市役所で境界確定書を入手した。これが添付証拠書類(A)である。
この結果、平成10年7月15日に死去したはずの母親の署名と押印がされていたため、この書類が偽造文書に間違いないことを確信するに至った。B子やその配偶者によると、署名されていた母親の筆跡や、住所の筆跡は、全く別人のものである上、A子は、死亡に至る以前から寝たきりの状態で、署名もできない状況だった、という。
こうした中、偽造文書の発覚を察知したサイボウ環境㈱は何とかして、偽造の事実を隠蔽するために、安中市大谷のA子宅の土地と隣接同士のCを介して、隣接私有地同士の境界線の確定に必要だと称して、「境界確定申請書」をB子に持参し、署名捺印を求めてきた。さらに翌10月6日の晩に、サイボウ環境㈱の意向を受けたTがB子宅を訪れ、言葉巧みに説明し書類3部に署名押印をさせたあと、3部とも持ち帰った。その後、隣りのCとの間の私有地の間の境界確定をする、という名目で、10月11日午後1時30分に、安中市職員4名と、C、そして市道の反対側の隣接地権者であるO、そしてサイボウ環境㈱の代表取締役結城文夫の委任状を持ったTが、同社の起用した測量業者(三守測量)と一緒にやってきて、B子に境界確認をさせた。Tが言うには、変更箇所がたくさんあるため、いっぺんに片付けたいとして言葉巧みに、B子に署名押印させたが、当事者であるB子には、立会いの結果を示す書類は渡されなかった。また、立会いの際に、市役所土木課職員は黙りこくったままだったという。
このように、夜討ち朝駆けでB子宅を訪れ、いれかわりたちかわり、さまざまな書類にしつこく署名押印を求めてくるサイボウ環境㈱や安中市役所の行動に、B子やその家人は、いったい、この騒ぎの背景には何があるのか、署名押印させられた書類の目的は何なのか、募る疑念とともに精神的疲労が増しており、一刻もはやくこのような異常な状況を脱して平穏な生活を取り戻したい、と平成14年10月下旬の時点で語っていた。
なりふりかまわぬサイボウ環境㈱と市役所の行動は、国有財産である市道をサイボウ環境㈱の廃棄物埋立処分施設への廃棄物の搬入路に使用できるよう改良工事を施すための公的手続書類を偽造した経緯をもみ消し、さらに、大型ダンプカーが通行し易くなるように、A子(現在はB子)の所有地付近のサイボウ計画道路と既設市道との交差部分のコーナー部の道幅を拡幅しようという意図があると思料される。
なお、被告発者は、上記の廃棄物埋立処分場施設建設計画に関して、平成7年11月16日に群馬県知事による事前協議の手続完了を受けたあと、平成8年2月28日ごろ、本件建設計画の助成金と称して、周辺住民約62戸に対して、準公務員である地元区長を使って約30万円ずつ、合計約2000万円の金銭を配布したことがある。当時、告発者らは安中警察署に告発したが、いまだに受理されていないという経緯がある。
したがって、被告発者が偽造や捏造した隣接土地所有者の署名押印は、「A子」にとどまらず、他にもあることが十分思料される。さらに、この他の同意書など処分場施設設置計画手続に必要な書類にも同様の疑いがもたれる。
このように、地元住民の人権を無視して、自らの営利事業を推進する為には手段を選ばす、法を犯してまで強引に手続を行おうとする被告発人に対して、厳重なる処罰を求める。 以上
添付証拠書類:
(A)境界確定書一式(同時期に群馬県知事に開示請求した結果も参考までに添付した)
(B)農用地区域変更申出書及び委任状(×印は、この書類の通用を心配したB子の知人が原本に記したもの)
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■これで、警察もやっと捜査してくれるのかと思いきや、翌5月3日の午後1時頃、安中署から当会に電話がありました。また、その10分後、再度、「(サイボウの周辺住民への)金銭配布の件で受理されなかった」というくだりについて、「削除してくれ」という内容で、念押しの電話がありました。本件で、群馬県警から安中署に派遣された県警捜査第二課の刑事は次のように当会に説明したのです。
「昨日、例の書類を持参いただいたのに、島田課長がコピーだけとって追い返したことについて、誠に申し訳ないことをした。自分は、皆さんとのお約束どおり、多分今週中に、皆さんが書類を持参してくるとおもうからよろしく受け取っておいてくれ、と伝えてあったにもかかわらず、ああいう対応になってしまった。本当は私が受け取ればよかったのだが、統一地方選の後なので、ご承知の通りあちこちから声がかかって、沼田を手始めに昨日は伊勢崎に行った。夕べは午前4時に帰宅していまから仕事に出るが、島田課長から話を聞いて、電話をした次第。自分は、前回の書類の中で、日付け、印鑑、罰状、厳重処罰の四点を修正する旨、言ったと思うが、島田が、持参した書類の内容をコピーして、署長にみせたところ、以前に出した書類について、触れている部分があるので、このままの文章だと、あたかも自分の失態と、上層部に受け取られかねない為、難色を示したのが内情。」
(当会注:なるほど、どうりで、文章の内容について、こまかく見たうえで、コピーをとらせてくれと言ったり、法令の記述に不自然なことがあるとして、六法を調べにゆくフリをして時間稼ぎをしたのはそのためか」と合点)
「というわけで、やはり、地元の署長名で、上にあげることになるので、このままの内容だと、おまえいったい何してるんだ、というふうにいわれるわけで、自分が本人なら、やはり気にすると思う。しかし、皆さんとのお約束なので、そのように出して欲しいと行った手前、皆さんには、たいへん迷惑をかけた。署長に気持ちよく受理してもらうためには、島田からも言ったと思うが、前回の不受理の件は、今回とは直接関係がないので、省いてもらいたい。また、いろいろな記述があるが、やるべき事はきちんとやっているので、心配いらないから、単純に事実の摘示のみに絞って記述して欲しい。添付書類も、境界確定書だけでいい。あとは全部入手しているから。」
(当会注:これに対して、金銭配布についても事実だし、両住民が前回二度ほど受理をお願いに言った事も事実だし、もしそのとき動いてもらっていれば、こんな事態にならなかったのも事実で、両住民の心情からすればこれを記述するのはごく自然のことだ、と伝えたうえで、昨日も島田課長には申し上げたが、我々のもっとも主眼とするところは、仕事に全力投球してもらうのに必要な環境つくりだから、結果を出してもらう為に必要なら、雑音になるような点は指摘どおりに変更する事はやぶさかでない。しかし、あくまでも両住民と相談のうえで決定したいと返答)
「というわけで、やるべき事はきちんとやっているから、なるべく、要点だけに絞った形にして、署長が気持ちよく受け取れるような形にしたものを出してもらえないだろうか。約束した内容と違う結果となってもうしわけないが、所轄の署長名で出さなくてはならないので、ヘソを曲げられると、説得に膨大なエネルギーが必要なもので・・・。申し訳ないが、その辺の状況と事情を両住民にもよろしくお伝え願いたい。」
■という説明に対して、当会として、タゴ51億円事件でも管轄署である安中警察署の体質は痛感していましたが、ここは署長ではなく、現場で苦労している刑事の顔を立てることにして、「贅肉を落とした形での書類を、内容については両住民ともよく相談のうえ、週末中に仕上げて、来週の頭には持参できるようにするから、雑音に気を取られること無く存分に仕事をお願いした」と申し入れました。
そして、安中警察署長がゴネた内容をそのまま反映して、次の告発状を、あらためて平成15年5月5日に安中警察署に提出し、ようやく当会の告発が受理されたのでした。
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【安中署に最終的に受理された3度目の告発状】
平成15年5月5日
告 発 状
安中警察署長殿
告発人
住所 群馬県安中市大谷×××
職業 農業
氏名 住民M(51歳) 印
告発人
氏名 群馬県安中市野殿××××
職業 会社員
氏名 住民Y(47歳) 印
被告発人
住所 群馬県安中市大谷229の1
職業 サイボウ環境㈱代表取締役
氏名 結城 文夫
1 告発の趣
被告発人の以下の所為は、刑法159条(私文書偽造)及び刑法161条(偽造私文書行使)に該当すると考えるので、被告発人を厳罰に処することを求め告発する。
2 告発事実
被告発人は、自ら群馬県安中市大谷の西谷津地区に計画中の廃棄物埋立処分場施設建設計画に関して、群馬県知事に対して同施設の設置手続を行うのに必要な、廃棄物搬入用の進入道路を確保するため、安中市長中島博範に働きかけ、安中市道5323号線道路改良工事として、市長の承認を受けようと、公共用財産と隣接土地所有者との境界に関する協議に係る立会を平成10年8月27日に行い、境界線確認協議が平成11年5月31日に成立したとして、平成11年6月3日付けで建設省所管国有財産部局長群馬県知事受任者安中市長中島博範あてに、国有財産法に基づく境界確定書を提出し、同日、安中市長にこの境界確定書に公印を押印させた疑いがあります。
被告発人は、この境界確定書作成にあたり、国有財産法第31条の3に定めた隣接土地所有者の立会による境界確認を行ったとして、隣接土地の各地番の土地所有者について、各自署名押印のうえ提出したと境界確認書に記していますが、このうちすくなくとも、「大谷字○○××××-×及び××××」の所在土地を保有する「安中市大谷××××-×」に住所を有する「A子」については、本人と偽って、被告発人が記入し押印したものです。なぜならば、隣接地権者である「A子」は平成10年7月15日に死亡しており、本人が署名押印することは有り得ないからです。
国有財産法の第31条の4第5項の規定によれば、「各省各庁の長は、第2項の規定により境界を定めた場合には、当該境界及びこれを定めた経過を当該隣接地の所有者及び当該隣接地の知れたその他の権利者に通知するとともにこれを公告しなければならない。この場合において、当該通知及び公告には、次条第1項の期間内に同項の規定による通告がないときは、境界の確定に関し、当該隣接地の所有者の同意があつたものとみなされる旨を附記しなければならない。」と定めていますが、当該境界及びこれを定めた経過について、「A子」もしくはその親族は、立会後に境界およびこれを定めた経緯を通知されておらず、当該境界確定のための立会行為そのものが法律に則って実施されていない疑いがあります。これは、違法行為の事実を隠蔽し、国有財産の私物化を図った疑いがあり、極めて悪質です。
被告発人の、前記行為は刑法159条の私文書偽造および刑法151条の偽造私文書行使に該当すると思われますので、被告発人の厳重な処罰を求めるため、ここに告発いたします。
3 添付書類
境界確定書(写し) 1通
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■こうして、平成14年10月23日に当会が警察と検察に、本件について告発してから、実に半年以上かかり、漸く警察が捜査に着手したのでした。
【岩野谷の水と緑を守る会】