■刑事捜査がどのように行なわれ、本件の関係者が、警察の捜査に対してどのような対応をしたのか、一応確認しておく必要があるため、この事件を告発した住民らは、野中測量社長に係る有印私文書偽造・同行使事実(事件番号平成15年検第786号)について、刑事訴訟法第53条及び刑事確定訴訟記録法第4条により平成18年8月18日、19日及び9月20日、22日、26日の5日間、刑事確定記録(平成16年(わ)第116号)を前橋地検高崎支部で閲覧しました。
刑事裁判は公開の場で行なわれるので、原則として刑事事件の確定記録は、誰でも閲覧できるのですが、実際には、検察庁は、いろいろな理由をつけて、閲覧させてくれません。今回は、当会が証拠とともに告発状を提出して、それが端緒となり、立件できたことから、まったく文句なしに閲覧させてもらえると思いきや、告発人からの閲覧申請に対して、地検は、3ヶ月以上も保留扱いにして、その間に、大変な労力をかけて刑事記録の内容を吟味し、閲覧させたくない箇所を細かく黒塗りしました。なにか都合の悪いことが刑事記録の中にいろいろ書いてあったのかもしれませんが、閲覧できた記録からは、何を隠し、何を開示したのかはわかりませんでした。それでも、境界確定書の偽造と行使に関して、開示された刑事記録の閲覧で、いくつか重大なことが分かりました。
■サイボウの社長の身代わりとなった形ですが、有罪判決とはいえ、幸いにも執行猶予付きの判決を受けた測量会社の社長は、次のように事件の内容を供述していたのです。
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【測量会社社長の供述内容】
本籍 ■■■■
住居 ■■■■■
職業 会社役員(有限会社野中開発測量代表取締役)
氏名 野中渡(70歳)
<上記の者に対する、有印私文書偽造・同行使被疑事件につき、平成15年7月7日、群馬県安中警察署において、本職は、あらかじめ被疑者に対し、自己の意思に反して供述をする必要がない旨を告げて取り調べたところ、任意次のとおり供述した。>
1 私は、有限会社野中開発測量の代表取締役として勤務している者です。
私共会社がサイボウ環境株式会社から請け負った安中市大谷地内及び同市野殿地内にある安中市道とその隣接地との境界確定業務に関し、平成11年5月ころ、安中市役所建設部土木課に提出する「道・水路境界確定申請書1通及び境界確定書1通」につき、私が依頼して、私の長女のX子が、A子、私の次女Y子が、M子、私共会社従業員のZ男が、I男、の各住所氏名を記入させたうえ、私が各印鑑を押して同申請書及び同確定書の偽造を完成し、その後この偽造書類を私が安中市役所建設部に持参したことは間違いないので、これからこの偽造した状況などについて話します。
なお、今後は、有限会社野中開発測量を「当社」、サイボウ環境株式会社を「サイボウ環境」、安中市役所建設部土木課を「市土木課」と呼んで話します。
2 最初に当社の会社概要などについて話します。
当社は、私が代表取締役として昭和43年12月、高崎市○○○町××××番地所在において有限会社三建産業調査事務所を設立。昭和45年6月、名称を有限会社野中開発測量事務所に変更。昭和59年8月、名称を有限会社野中開発測量に変更すると共に、所在地を高崎市○○○町×××番地×に変更。昭和61年10月、所在地を高崎市○○町×丁目×番地××に変更し、業務目的については会社設立当時は各種測量並びに設計製図、土地家屋の調査並びに此に付随する業務、土木建築工事の設計並びに施工管理などだったのですが、平成5年3月に各種測量並びに設計製図業務、土木工事、建築工事の企画、設計、管理及びコンサルタント業務一般、産業廃棄物処理に関する企画、立案、設計及びコンサルタント業務、環境影響調査の請負業務、不動産の売買、交換、賃貸借等の仲介業務、前各号に附帯関連する一切の業務、に変更して現在に至っており、具体的な業務内容は
ゴルフ場計画に伴う測量・設計業務、産業廃棄物及び一般廃棄物の最終処分場計画に伴う測量・設計・許認可関係などの業務、大規模な宅地開発計画に伴う測量・設計・許認可関係などの業務、というものです。
当社の役員は、設立当時から役員変更を何回かした結果、今回の事件当時を含め現在は、代表取締役が「私」、取締役が「私の長女であるX子」、取締役が「IY」となっておりますが、取締役のX子とIYは登記簿上の名義だけで、実際には取締役としての職務はしておりません。
また当社の従業員等については、設立当時は私以下3名だったのが、その後昭和45年ころから昭和55年ころをピークに業績を伸ばし、昭和59年8月に有限会社野中開発測量に名称変更した当時は私以下10名位となったのですが、平成7年ころから県の規制強化によりゴルフ場開発が減少したため業績が低下し、さらに平成9年秋頃に当社にサイボウ環境の一般廃棄物最終処分場施設の測量や設計などを発注してくれた埼玉県上尾市にある、株式会社廃水クリニックが不渡りを出して当社に対する代金未納のまま倒産し、その影響も重なって経営が悪化したため、平成9年8月ころに残っていた従業員である多野郡吉井町に住んでいた■■■■、高崎市片岡町に住んでいた■■■■、高崎市島野町に住んでいた■■■■、渋川市上郷に住んでいた■■■■を解雇し、実質的には私1人となったのです。
そのため、その後は私自身も一時仕事を休んでいた時期もあったのですが、平成10年2月ころから再びサイボウ環境の一般廃棄物最終処分場計画に関連した仕事を請け負うようになったため、仕事の内容により、アルバイトとして■■■■を頼んで手伝って貰ったり、私の長女X子(昭和41年×月×日生)に事務的な仕事を手伝って貰ったり、平成10年10月ころから平成12年12月ころまで高崎市貝沢町に住むZ男(昭和41年×月×日生)を従業員として雇い、その後も仕事内容によりアルバイトとして手伝って貰ったりして現在に至っているのです。
なお、当社は昭和61年10月ころに高崎市○○町×丁目×番地××に、鉄筋コンクリート造り3階建て、総床面積約120坪の建物を建設し、今回、私が道・水路境界確定申請書及び境界確定書を偽造した平成11年春ころは、1階部分を、貸事務所、2階部分を、当社事務所、3階部分を、居室として使用しておりました。
3 次に今回、私達が偽造した道・水路境界確定申請書及び境界確定書に関する境界確定という手続きについて簡単に説明します。
この境界確定というのは国有財産法の規定から国有財産である安中市道の維持保存などのため、安中市道に隣接する土地を分筆などする場合、公図を基にして現地に測量して復元した安中市道と隣接地との境界点の位置を安中市・申請者・隣接土地所有者の3者が立ち会って確認したうえ、その同意を得て境界を確定する、という手続のことです。
通常、この境界確定は、安中市道に隣接する土地所有者が申請者となり、その土地の安中市道に面する両側の土地所有者及び安中市道を挟んだ反対側の土地所有者が隣接土地所有者となるのですが、例外として大規模開発などで土地買収を前提にして業者が申請者となり、各土地所有者を隣接土地所有者として申請する場合があり、今回、私が偽造した書類はこの例外となる業者が申請者となった境界確定に関するものです。
そのため、今回の境界確定に必要な手続は、市土木課に道・水路境界確定申請書を提出し、現地立会日を協議して決定する。隣接土地所有者に連絡し、現地立会日に立ち会ってもらって境界点の位置を確認する。隣接土地所有者が境界点の位置を合意した証明に境界確定書の隣接地所有者欄に住所氏名・印鑑を貰う。境界確定書を市土木課に提出受理され、境界点が確定する。という流れになります。
4 次に当社がサイボウ環境から仕事を請け負うようになった経緯について話します。
私とサイボウ環境の代表取締役である埼玉県さいたま市に住む、結城文夫さん、現在65歳位は、埼玉県さいたま市に所在する、株式会社サイボウという消防資機材の製造販売などを業務とする会社の代表取締役をしており、今から20年位前に当社が結城文夫から、結城文夫さんの生まれ故郷である宮城県玉造郡岩出山町に計画したゴルフ場の測量及び設計を依頼されたことから関係が始まり、その後も私は結城社長が計画するゴルフ場や一般廃棄物の最終処分場の計画に参加して測量及び設計などを請け負っていたのです。
その中で、平成5年頃から結城社長の話により、群馬県安中市字西谷津地内に一般廃棄物の最終処分場施設設置計画に基づき、サイボウ環境株式会社を設立して代表取締役となり、■■■■■■■という会社に委託して群馬県から設置許可を受けるための事前協議に入っている、などと聞いておりました。
なお、このサイボウ環境という会社の実態は、結城社長が頻繁に群馬県に来て業務指示をしながら、実質的な現地取締役である安中市大谷に住む■■■■、安中市大谷に住む■■■■が中心となって計画予定地の買収交渉などの現地対策用に会社登記した会社で、会社所在地も■■■■の自宅となっていると聞いておりました。
そして、平成7年ころ、結城社長の口利きだと思いますが、株式■■■■から連絡が入り、当社がこの最終処分場の施設本体に関する測量、設計、群馬県への設置許可を除く、開発許可や隣地開発・農地転用などの許可申請などを請け負うことになったのです。
しかし、平成9年秋頃に株式会社廃水クリニックが不渡りを出して倒産し、当社も代金支払を受けられないまま仕事が一時中止になった影響から、当時の従業員4人を解雇して当社は業務停止に近い状態になってしまったのです。
ところが、平成10年2月頃、結城社長から当社に連絡があり、私が埼玉県熊谷市内の株式会社熊谷組北関東支店に呼び出され、結城社長、■■■■■■■、■■■■■■■■■■■■■■■■■■、■■■■■■、■■■■■■■■■などと会い、サイボウ環境が計画する一般廃棄物の最終処分場への搬入道路とする、安中市大谷地内及び同市野殿地内にある安中市道の拡幅改修工事について打合せが行われ、その後も何回か打合せした結果、道路設計は、三守設計株式会社、安中市道に隣接する土地の分筆登記関係は、当社、安中市道に隣接する土地の買収関係は、サイボウ環境の取締役にもなっている■■■■■■■■■■■■■と不動産業■■■■■■■■■■■■■■■■■■が担当すると決まったのです。
なお、私はこの打ち合わせの席上で■■■■から、隣接土地所有者の1人であるI男について、法務局などで調べたが、I男が何処にいるか、その子孫や土地の権利者が誰なのか全く判らないので、その土地を避けて道路を造るしかない、などと聞いたのです。
5 次に当社がサイボウ環境から請け負った安中市道に隣接する土地の分筆登記に必要な境界確定のため、私が安中市役所建設部土木課に道・水路境界確定申請書を申請した状況などについて話します。
その前にこの境界確定に関する資料があったら見せてください。
<この時本職は、供述人に対し、本年7月1日付の高崎簡易裁判所裁判官園部直子の発した差押許可状により、同年7月1日に群馬県安中市安中1丁目21番32号安中市役所建設部土木課において差押えた、「道・水路境界確定申請書一式」但し、平成10年8月19日付、サイボウ環境株式会社代表取締役結城文夫、有限会社野中開発測量代表取締役野中渡申請に係るもの。「境界確定書一式」但し、平成11年6月3日のものを示すと共に、同申請書及び同確定書の所要部分の写しを本調書末尾に添付することとした。>
只今、見せていただいた道・水路境界確定申請書の申請者がサイボウ環境の結城社長と私の名前になっておりますし、この申請書及び境界確定書の文字が私の字であることから、この申請書及び境界確定書が当社がサイボウ環境から請け負った安中市道に隣接する土地の分筆登記に必要な境界確定のため、私が安中市役所建設部土木課に提出した道・水路境界確定申請書と境界確定書に間違いないので、この書類を見ながら当時のこの申請状況や現地立会日の状況などについて話します。
先ほど話した株式会社熊谷組北関東支店における関係者との打合わせ後、サイボウ環境の中嶋延里さんや白石定男さん及び松尾産業株式会社の角田社長などにより、三守測量株式会社が作成した安中市大谷地内及び同市野殿地内にある安中市道の拡幅改修工事に関する道路設計に基づいた同安中市道の隣接土地所有者に対する同市道拡幅部分の土地買収交渉が行われ、その進行状況を見てと思いますが、平成10年8月に入ってすぐに結城社長から当社に正式に境界確定に関する業務依頼があったのです。
そのため、私は今見ているこの申請書一式にあるとおり、平成10年8月3日付で、サイボウ環境の結城社長から境界確定に関する委任状を貰った。同年8月10日、前橋地方法務局安中出張所で公図を転写して関係場所の図面を作成した。同年8月19日付の道・水路境界確定申請書を市土木課の黛さんに提出する。この時、黛さんと協議して現地立会日を平成10年8月27日午前9時30分からと決め、それをその場で私が同申請書の現地立会日時欄に記載したのです。
この道・水路境界確定申請書には隣接土地所有者一覧表として境界確定する安中市道に隣接する土地の50筆21名の隣接土地所在地・地目・面積・所有者住所・所有者氏名又は名称が記載されておりますが、これは私が長女のX子に指示して前橋地方法務局安中出張所で調べさせた結果などを基に私が記載したものです。
また、今見ている道・水路境界確定申請書の受付印は平成10年5月20日となっておりますが、私が同申請書を市土木課に提出したのは、この申請書の日付である同年8月19日以降ですから、この受付印は平成10年8月20日の押し間違いではないかと思います。
この申請書を市土木課の黛さんに提出した後、私は白石定男さんから既に所在も分からず子孫や土地権利者も判らないと聞いていたI男さんを除く隣接土地所有者20名位に対し、「立ち会いのお願い。」という書面を郵送したり、電話や直接出向いて現地立会日時における立ち会いをお願いしたのです。
しかし、その中で、A子さんは、私が現地立会日の幾日か前に立ち会いを頼む為に自宅を訪ねたところ、家の中に10人以上の人が集まっていたため、私は「現地立会日に声を掛けて立ち会って貰えばいいだろう」と考えて、声を掛けるのを遠慮した。M子さんは、私が東京都荒川区東日暮里×-××-× M子宛に「立ち会いのお願い。」という書面を郵送したのですが、幾日かして「受取人不明」で戻って来てしまったので、さらに結城社長に頼んでM子さんについて調べて貰ったのですが、結城社長からも調べたがM子さんの所在や連絡先などは判らなかった、などと返事をもらったもので、M子さんは連絡不能だと判った。S助さんは、私が現地立会日前に何回か立会いを頼みに言ったのですが、S助さんはサイボウ環境の最終処分場計画に反対らしく立ち会いを断られてしまったのです。
また、私はこの隣接土地所有者に立ち会い連絡をする一方で、■■■■■■■■■■■■■■■をアルバイトとして頼んで、私が作成した公図の転写図面に基づいて測量し、境界確定場所に境界点の仮杭を打つ作業をさせており、この作業の中で、公図が間違っていた場所があり、確か現地立会日より少し前に確か■■■■■■■■■■■■■■■に境界点の仮杭の位置を確認してもらったように思います。
なお、当社がサイボウ環境の結城社長との間でこの境界確定を含む分筆登記に関する 平成10年8月18日付の業務委託契約書 があり、本日持参したので参考にそのコピーを提出します。
<この時本職は、供述人が提出した 業務委託契約書の写し1通、但し、平成10年8月18日付のサイボウ環境株式会社と有限会社野中開発測量のもの、を本調書末尾に添付することとした。>
6 次に平成10年8月27日における現地立会日の状況などについて話します。
今見せて貰っている道・水路境界確定申請書の現地立会日時欄に「平成10年8月27日午前9時30分から」と記載されているとおり、私はこの日時の5分位前に■■■■・結城社長と3人で、この境界確定の出発点である主要地方道前橋・安中・富岡線から若干東に入った鶴巻橋の近くに行き、そこで市土木課の、黛さん他1名、■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■、■■■■■■と合流したのです。
そして、私達はこの申請書に添付されている図面のとおり、■■■さんが所有する、■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■田をスタートに市道に沿って順番に各隣接地ごとに、私共と市土木課の黛さん及び各隣接土地所有者などの立会人がいればその立会人の3者が立ち会う中で、私が各隣接地ごとに「公図を基に私共で境界点を復元したところ、この仮杭の位置になりますがよろしいでしょうか。」などと説明しながら安中市道と各隣接地の境界である境界点の位置を確認して行ったのです。
その中で、A子さんが所有する土地の番が来たので、私がA子さんの自宅に行って声を掛けたのですが誰も返事をしなかったので私は「A子さんは今は留守らしいから後で境界点を確認して貰えばいいだろう」と考え、市土木課の黛さんにA子さんが所有する土地と安中市道との境界点を確認して貰い、次の隣接地に移ったのです。
この境界立ち会い作業は、この申請書にあるとおり、安中市野殿字大田2178番地1の田から安中市大谷字西谷津1907番地の畑他48筆の隣接地に関わる約7~800メートルの距離となりますが、隣接土地所有者など立会人20名位のうち約10名近くが立ち会う中で午前中いっぱいにはすべて終了したと思います。
この作業が終了した際、私は市土木課の黛さんから私が市土木課に提出して受理されたこの申請書を「後で今日欠席した隣接土地所有者全員に境界を確認させ、この申請書の立会人証明欄に名前を書いて貰い、私の所に持って来てください。」などと言われて渡されたのです。
この申請書の立会人証明欄は、本来、黛さんが現地立会日に立ち会った人からその場で立ち会った証明に署名して貰うものですが、仕事の都合などで立ち会えない人も多々いることから、安中市に限らず後日業者が隣接土地所有者を回ってこの申請書の立会人証明欄に署名を貰うことはけっして珍しいことではありませんでした。
そのため、私はすぐにこの申請書を黛さんから預かり会社に持ち帰ったのですが、この時点でA子さん・M子さん・I男さん・■■■さんの立会人証明欄が空欄だったことは間違いありませんが、その他にも5~6人位の欄が空欄だったのではないかと思いますが、今となってはそれが誰だったのか判りません。
この現地立会日後、私は三守測量株式会社が作成した安中市道の拡幅図面を基に各隣接地における分筆部分の求積図を作成し、各隣接土地所有者との間で分筆登記するための測量や境界確定などの作業を行い、その中で現地立会日に出席した隣接土地所有者の場合は、相手の合意を得て、市土木課に提出する境界確定書の隣接地所有者欄に住所氏名を書いて印鑑を押して貰う。現地立会日に欠席した隣接土地所有者の場合は、相手の承諾や了解を得て、黛さんから預かった道・水路境界確定申請書の立会人証明欄に氏名を書いて貰うのと一緒に市土木課に提出する境界確定書の隣接地所有者欄に住所氏名を書いて印鑑を押して貰う、という作業も合わせて行っておりました。
しかし、この作業の中で、現地立会日に立会を断られたS助さんに、何度も道・水路境界確定申請書と境界確定書に署名してくれるように頼んだのですが断られるという問題もあり、結局、この作業が一通り終るのに平成11年2月か3月ころまで掛かってしまったのです。
しかし、この時点で道・水路境界確定申請書の立会人証明欄と境界確定書の隣接地所有者欄に署名などをもらえない隣接土地所有者として、安中市大谷××××-×A子、東京都荒川区東日暮里×-××-×M子、安中市野殿××I男、■■■■■■■、■■■の4名分が残ってしまったのです。
7 次に私が当社がサイボウ環境から請け負った境界確定業務を完了するため市土木課に提出する道・水路境界確定申請書と境界確定書にA子他2名の住所氏名を書き、印鑑を押して偽造しようと決心した状況などについて話します。
私は今話したとおり、平成11年2月か3月頃までには、サイボウ環境から請け負った安中市道に隣接する土地の分筆登記関係の仕事がほぼ完了に近づいたのですが、市土木課に提出しなければならない道・水路境界確定申請書と境界確定書にA子他3名の住所氏名などが貰えないことが判ったのです。
私としては、本来、この道・水路境界確定申請書と境界確定書に全員の名前がもらえなかったとしても、その土地に関する境界点が確定できないだけと理解しておりますが、その当時の安中市役所が今と違い、サイボウ環境の一般廃棄物の最終処分場設置計画に対して中島市長が反対していたため、関係する各課担当者が神経をとがられていた雰囲気があったことから、私が、知り合いの結城社長が何億という資金を投資して計画しているサイボウ環境の一般廃棄物の最終処分場設置計画をスムーズに進行させるため、私が作成する書類で文句を付けられない様な完全なものにしたい。と考えており、今回の市土木課に提出する道・水路境界確定申請書と境界確定書についても同様に考えておりました。
只今、私がこの申請書や境界確定書を私が市土木課に提出したのは、今見ているとおり、道・水路境界確定申請書を提出したのが復命書の日付から平成11年5月31日、境界確定書を提出したのが受付印の日付から平成11年6月3日、と説明を受けて判りました。
この申請書や境界確定書を市土木課に提出する少し前ですから、平成11年ころと思いますが、私は、この申請書及び境界確定書は私が市土木課に提出して受理された後は同課で保管され、隣接土地所有者を始め一般人の目に触れる可能性はないうえ、A子は、安中市道の拡張に伴う土地の分筆がなく、1人暮らしの年寄りなので、勝手に道・水路境界確定申請書と境界確定書に住所氏名を書いたり印鑑を押して偽造しても大丈夫だろう。M子さんは、所在の判らない東京の人なので、安中市道の拡張に伴う土地の分筆がなく、勝手に道・水路境界確定申請書と境界確定書に住所氏名を書いたり印鑑を押して偽造しても大丈夫だろう。I男さんは、白石定男さんの話からその所在はもちろん、その子孫や土地の権利者が誰なのか全く判らないと聞いていたことから、安中市道の拡張に伴う土地の分筆がなく、勝手に道・水路境界確定申請書と境界確定書に住所氏名を書いたり印鑑を押して偽造しても大丈夫だろう。■■■■■■■は、サイボウ環境が計画する一般廃棄物の最終処分場設置計画に反対しているため、もし道・水路境界確定申請書と境界確定書に住所氏名を書いたり印鑑を押して偽造したのが判った場合、とんでもない騒ぎになる可能性がある、などと考えた末、私は、私の字は既に道・水路境界確定申請書と境界確定書の必要事項欄を記載しているので、娘2人や従業員のZ男に頼んでこの申請書と境界確定書の、A子・M子・I男の3名分だけ該当欄に住所氏名を書かせて印鑑を押せば、この書類を市土木課に提出しても誰も偽造だと気が付かない。と判断し、その様にして偽造することを決心したのです。
なお、この偽造について私は、当社がサイボウ環境から請け負った分筆登記関係の中の境界確定業務を完了させるために自分で考えて決心したもので、結城社長はもちろんサイボウ環境の関係者と相談したり承諾を受けたということは一切ありません。(注:M子やI男については、結城社長も調査に関与しているのに、この供述はヘンだ?)
8 それでは、私が娘のX子とY子及び従業員だったZ男に頼み、道・水路境界確定申請書と境界確定書にA子他2名の住所氏名を書かせ、さらに私が各名前の後に各姓の印鑑を押して偽造を完成させ、その偽造した書類を私が市土木課の黛さんに提出した状況などについて話します。
先程話したとおり、私は平成11年5月ころ、道・水路境界確定申請書と境界確定書の偽造を決心し、その後、1週間位の間に私は、まず最初に、私と3階住居に同居して当社の仕事を手伝っていた私の長女であるX子(昭和41年×月××日生 当時32歳)に対し、時間は覚えていませんが昼間、当社事務所内の事務机で事務仕事をしていた長女X子の所に、私が道・水路境界確定申請書と境界確定書を持って行き、X子に同申請書と境界確定書にあるA子さんの欄を差して「書いてくれ」と偽造を頼んだのです。
この時、X子としては、書類に他人の住所や氏名を書くことは悪い事だということはもちろん、それまで当社の仕事を手伝う中で、この道・水路境界確定申請書と境界確定書の書類的意味やこの書類を安中市役所に提出するということは当然判っていたと思います。
しかし、父親であり社長である私の頼みであることから私や当社のために私の依頼を承知し、X子はすぐに事務所内にあった黒色ボールペンを使って、道・水路境界確定申請書に添付されている隣接土地所有者一覧表の5名目で上から6番目の立会人証明欄に「A子」、境界確定書に添付されている隣接地所有者の1枚目で上から11番目の住所欄に「安中市大谷××××-×」、氏名欄に「A子」と記載してくれたので、その後、私が当社事務所の印鑑箱の中にあったものと思いますが、「○○」という印鑑をA子の印鑑に押し、次に、■■■■■■■■■■■■アパートに新居を持っている私の二女であるY子(昭和44年×月×日生 当時29歳)が時間は覚えていませんが昼間、3階の居室に子供を連れて遊びに来た時だったと思いますが、私が事務所から黒色ボールペンと道・水路境界確定申請書及び境界確定書を持って3階の居室に上がり、Y子に同申請書と境界確定書にあるM子さんの欄を差して「書いてくれ」と指示したのです。
この時、Y子としては、書類に他人の名前を書くことは悪いことだと言うことは判っていたと思いますが、それまで当社の仕事を手伝ったことがないうえ、私も何も説明しなかったため、この道・水路境界確定申請書と境界確定書の意味はもちろん、この書類をどうするかということは判らなかったと思います。
しかし、父親である私の頼みなので、私や当社のために私の頼みを承知し、二女Y子は3階自室のキッチンテーブルの上で私が持参した黒色ボールペンを使い、すぐに、道・水路境界確定申請書に添付されている隣接土地所有者一覧表の6枚目で上から5番目の立会人証明欄に「M子」、境界確定書に添付されている隣接地所有者の1枚目で上から14番目の住所欄に「荒川区東日暮里×-××-×」、氏名欄に「M子」と記載してくれたので、その後、私が当社事務所の印鑑箱の中にあったものと思いますが、「○○」という印鑑をM子の印欄に押し、次に、平成10年10月ころから勤務するようになった当社従業員であるZ男■■■■■■■■■■■■■■■■■■に対し、時間は覚えていませんが昼間、Z男が当社事務所内のパソコンの置いてある事務机で図面作成などの仕事をしているところに私が道・水路境界確定申請書と境界確定書を持って行き、Z男に同申請書と境界確定書にあるI男さんの欄を差して「書いてくれ」と指示したのです。
この時、Z男としては、書類に他人の名前を書くことは悪いことだと言うことは判っていたと思いますが、Z男は当社に勤務して半年位の頃で、その間、私の補助として測量や図面つくりが主だったうえ、私が何も説明しなかったため、この道・水路境界確定申請書と境界確定書の意味はもちろん、この書類をどうするかということは判らなかったと思います。
しかし、社長である私の頼みなので承知し、Z男はすぐに事務所にあった黒色ボールペンを使って、道・水路境界確定申請書に添付されている隣接土地所有者一覧表の7枚目で一番上の立会人証明欄に「I男」、境界確定書に添付されている隣接地所有者の1枚目で上から15番目の住所欄に「安中市野殿××」、氏名欄に「I男」と記載してくれたので、その後、私が当社事務所の印鑑箱の中の中にあったものと思いますが、「○○」という印鑑をI男の印欄に押して、道・水路境界確定申請書1通及び境界確定書1通の偽造を完成させたのです。
その後、私は今見せて貰っている道・水路境界確定申請書の復命書の日付や確定書の受付印の日付から、この偽造した道・水路境界確定申請書を平成11年5月31日ころ、同じく偽造した境界確定書を平成11年6月3日ころにそれぞれ真正に作成した書類のように装って市土木課の担当者である黛さんに提出し、受理して貰ったのです。
この私が娘のX子やY子、従業員だったZ男に頼んで道・水路境界確定申請書や境界確定書を偽造した場所について図面を作ったので参考にしてください。
また、この偽装するに際し、私が境界確定書の各印欄に押した「○○」「○○」「○○」という各印鑑については、その後、当社の事務所の印鑑箱の中に入れて保管しており、先日警察の人が当社に来た時に私が当社事務所の印鑑箱から探し出して提出しております。
<この時本職は、供述人が作成した図面3枚を本調書末尾に添付すると共に、同人が平成15年6月25日に群馬県高崎市○○町×丁目×番地××有限会社野中開発測量事務所において任意提出し、群馬県警札本部刑事部捜査第二課司法警察員巡査村山博之が領置した、印鑑1本、但し、白色小判型「○○」と刻印のもの、印鑑1本、但し、白色小判型「○○」と刻印のもの、印鑑1本、但し、白色小判型「○○」と刻印のものを示し、次のとおり問答した。問「この印鑑に見覚えがあるか。」答「はい、この3本の印鑑が私が以前、当社事務所に警察の人が来た時に私が事務所の印鑑箱から探し出して提出したもので、境界確定書を偽造する際、私がこの「○○」という印鑑を、A子さんの印鑑、この「○○」という印鑑を、M子さんの印鑑、この「○○」という印鑑を、I男さんの印鑑、にそれぞれ押して偽造を完成させたことは間違いありません。>
9 最後に平成14年10月下旬ころ、境界確定書が偽造され警察に告発状が提出されたなどと新聞に載り、私が松尾産業株式会社の角田社長と2人でA子さんの娘さんであるB子さんの自宅に行って謝って来た状況などについて話します。
私が道・水路境界確定申請書と境界確定書を偽造して市土木課に提出して受理された後は特に何も無かったのですが、その後3年位した平成14年10月下旬ころ、突然、■■■■■■■■長から当社に「野中さんが担当した搬入道路の境界確定の関係で、現地立会日以前に死んでいた人の署名捺印が境界確定書に書かれ、偽造した疑いがあると警察に告発したという記事が新聞に載っている。その内容からA子さんのことだと思うが、野中さんは本当に境界確定書を偽造したのか。」などと言う電話があったのです。
この■■■■の話から、この時初めて私はA子さんが境界確定の現地立会日前に既に死亡していたということを知り、■■■が何故A子さんの氏名などを私たちが偽造したと知ったのか判らないものの、いずれにしても当時、結城社長の体調不良から、結城社長から全権委任を受けてサイボウ環境の責任者の1人となっていた■■■■■請負会社の代表取締役として、私が娘2人や従業員のZ男に頼んで道・水路境界確定申請書と境界確定書を偽造した、という事実は言い辛かったので、私は咄嗟に「そんなことはしてないよ。」などと嘘を言ってしまったのです。
その私の話を聞いて角田社長は「いずれにしてもサイボウ環境のことで迷惑を掛けたのだから一緒にA子さんの娘さんの所に謝りに行こう。」などと言われたので、私はその日の夕方、車で私を迎えに来てくれた角田社長と2人で安中市安中にある、B子さんの自宅に行ったのです。
私が角田社長と2人でB子さんの自宅に行くと、B子さんはご主人と2人でおり、私達は名刺を出しながら自己紹介し、角田社長が新聞記事のコピーを見せながら訪問した用件を伝えたところ、B子さんが私に境界確定書のコピーを見せながら、「この新聞記事の告発は私がした訳ではないが、どうしてここに母の名前が書いてあるんですか。」などと聞いたので、私は「田舎のお年寄りなんかで字が書けないことがあるので、従業員が代書してしまうことがあるんですよ。」などと嘘を言ったのですが、さらにB子さんに「だって、この時には母は既に亡くなっていたんですよ。」と言われてしまい、仕方なく私は「勝手に書いて悪かった。だけど、うちも従業員がたくさんいるんで誰が書いたか分らないんです。」などと角田社長に話したのと同じような嘘を言って謝ったのです。
その結果、B子さんは、「私は、今この問題について関わりたくないので、警察に届出する気持ちはない。」などと言ってくれ、その後、この偽造問題については特にこれと言った話はなかったのですが、今年の春過ぎに角田社長から「警察が隣接土地所有者の所を回って捜査をしているらしい」という話を聞き、いつか私も取調べを受けるだろうと覚悟をしていたのです。
10 以上お話したとおり、平成11年5月ころ、私が娘のX子とY子及び従業員だったI男に頼み、道・水路境界確定申請書及び境界確定書にA子他2名の住所氏名を書かせ、さらに私がA子他2名の各印欄に各姓の印鑑を押して偽造したことは間違いありません。
私としては、当社でサイボウ環境から請け負った境界確定業務を早く完了させたいとの自分勝手で安易な考えから、娘のX子とY子及び従業員だったI男を巻き込んで道・水路境界確定申請書と境界確定書を偽造してしまい。今考えれば本当に悪いことをしてしまったと心から反省しており、いかな処罰を受けても仕方がないと思っております。 野中渡
以上のとおり録取して閲覧させたところ誤りのないことを申し立て署名指印した。
前同日 群馬県安中警察署に応援派遣された群馬県警察本部刑事部捜査第二課司法警察員 警部補 ○○○○**********
■こうして、測量会社の社長は、完璧な境界確定書の書類を作成すると言いながら、ごみ処分場を作りたい一身で、当時の中島市長が初当選したタゴ事件による出直し市長選の選挙戦の真っ最中に、現金3千万円をもって、地元安中市に入ったこともあるサイボウの結城社長の意向に沿うべく、3名の住所、氏名、押印を勝手に記載して、偽造書類を作ったのでした。市道拡幅に伴う境界確認の立会には、隣接地権者に加えて、サイボウも、市役所の職員も立ち会っていることから、隣接地権者のうち、誰と誰と誰の同意が取れなかった、ということは、サイボウの結城社長も、安中市の担当課幹部も知っていなければならず、この偽造事件が、組織ぐるみで周到に行なわれていたことがわかります。
さて、サイボウの結城社長と測量会社の社長との間では、つぎのような業務委託契約が交わされていました。
**********
【業務委託契約書】
サイボウ環境株式会社(甲)と有限会社野中開発測量(乙)とは甲が安中市大谷及び安中市野殿地内に計画の市道改修又は拡幅工事に関する土地の分筆登記及び用地幅を除く境界復元測量等について下記の通り業務委託契約を締結する。
第1条 業務委託
(甲)は安中市大谷字西谷津1907番外7筆、安中市野殿字3829番外24筆の道路用地となる土地の分筆登記を併せて、三守測量株式会社作成丈量図(S=1:250)に基づく用地幅杭以外の境界復元、境界杭設定等の業務を委託し(乙)はこれを受託した。
[本事業の委託業務]
筆界確認業務(筆界復元、照合、位置の特定)
公共用地境界及び民有地境界の立合並びに境界杭設定
土地分筆登記(各筆別地積は三守則量㈱丈量図の通り)
その他上記に付随する行為
第2条 業務協力
(乙)は(甲)の委託業務に関し善良なる管理と注意を持って平成10年10月15日迄に完了させる事に努め、(甲)は(乙)が受託した業務が遂行できるよう協力する。
(1)(甲)の協力義務
地権者又は関係者の対する協力の要請
丈量図、設計図、成果書面の提供
その他、行政当局に依る指示書類の提供
(2)(乙)の協力義務
受託業務の迅速処理
工程及び経過報告
受託業務の善良なる管理者の注意
第3条 支払条件
(甲)は本業務遂行の為(乙)に■■■■で第1条の範囲の業務委託をし(乙)はこれを受託した。尚、支払時期、支払金の段階額に付いては下記の通りとすることで(甲)(乙)合意した。
[業務委託に関する支払条件]
① 業務委託契約締結時 ■■■■
② 境界復元、境界立合、境界杭設定完了時 ■■■■
③ 土地分筆登記終了時 ■■■■
第4条 契約外事項
本契約に定めのない事項に付いては(甲)及び(乙)は民法その他法令及び取引慣行に従い、誠意を持って協議の上解決するものとする。
平成10年8月18日(社長より送付受けた)
委任人(甲) 安中市大谷229-1 サイボウ環境株式会社 代表取締役 結城文夫
連帯保証人 大宮市卸町2-6-15(埼玉南部卸売団地内)株式会社サイボウ 代表取締役 結城文夫
委任人(乙) 高崎市中居2丁目3番地24 有限会社 野中開発測量 代表取締役 野中渡
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■このように、野中測量の社長は、あくまで、自分の意志で書類偽造を行なった事を強調していますが、実際には、隣接地権者M子の土地の境界確定では、M子の所在確認をサイボウ結城社長に依頼しており、結城社長はM子の所在が不明であることを認識して、野中測量社長に報告しています。そして、サイボウと野中測量の連名で、境界確定申請書を安中市に出しているのですから、共謀したといわれても仕方がありません。
しかし、司直は、せっかく地元住民が勇気を奮い立たせて、処分場計画を推進するサイボウの結城社長を告発したにも関わらず、実行犯は委託先の測量会社社長だとして、結城社長を不起訴にしてしまったのです。また住民が求めたもう一つの罰状である「偽造文書の行使」については、完全に不問にされてしまいました。
この文書偽造・行使犯の「身代わり」作戦は、全国でサンパイ等のゴミ処分場を計画している事業者にとっては、危ない橋を渡る場合に安全策の前例として活用できる方法だといえます。身代わりにされる委託先の測量会社にとっても、バレて刑事起訴されても、裁判で即日「執行猶予付き」の判決が出るため、事業に特段の支障は出ません。このような信じられないことが、実際に安中市では起きているのです。全国のサンパイ業者が、安中市に注目している所以です。
【岩野谷の水と緑を守る会】
刑事裁判は公開の場で行なわれるので、原則として刑事事件の確定記録は、誰でも閲覧できるのですが、実際には、検察庁は、いろいろな理由をつけて、閲覧させてくれません。今回は、当会が証拠とともに告発状を提出して、それが端緒となり、立件できたことから、まったく文句なしに閲覧させてもらえると思いきや、告発人からの閲覧申請に対して、地検は、3ヶ月以上も保留扱いにして、その間に、大変な労力をかけて刑事記録の内容を吟味し、閲覧させたくない箇所を細かく黒塗りしました。なにか都合の悪いことが刑事記録の中にいろいろ書いてあったのかもしれませんが、閲覧できた記録からは、何を隠し、何を開示したのかはわかりませんでした。それでも、境界確定書の偽造と行使に関して、開示された刑事記録の閲覧で、いくつか重大なことが分かりました。
■サイボウの社長の身代わりとなった形ですが、有罪判決とはいえ、幸いにも執行猶予付きの判決を受けた測量会社の社長は、次のように事件の内容を供述していたのです。
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【測量会社社長の供述内容】
本籍 ■■■■
住居 ■■■■■
職業 会社役員(有限会社野中開発測量代表取締役)
氏名 野中渡(70歳)
<上記の者に対する、有印私文書偽造・同行使被疑事件につき、平成15年7月7日、群馬県安中警察署において、本職は、あらかじめ被疑者に対し、自己の意思に反して供述をする必要がない旨を告げて取り調べたところ、任意次のとおり供述した。>
1 私は、有限会社野中開発測量の代表取締役として勤務している者です。
私共会社がサイボウ環境株式会社から請け負った安中市大谷地内及び同市野殿地内にある安中市道とその隣接地との境界確定業務に関し、平成11年5月ころ、安中市役所建設部土木課に提出する「道・水路境界確定申請書1通及び境界確定書1通」につき、私が依頼して、私の長女のX子が、A子、私の次女Y子が、M子、私共会社従業員のZ男が、I男、の各住所氏名を記入させたうえ、私が各印鑑を押して同申請書及び同確定書の偽造を完成し、その後この偽造書類を私が安中市役所建設部に持参したことは間違いないので、これからこの偽造した状況などについて話します。
なお、今後は、有限会社野中開発測量を「当社」、サイボウ環境株式会社を「サイボウ環境」、安中市役所建設部土木課を「市土木課」と呼んで話します。
2 最初に当社の会社概要などについて話します。
当社は、私が代表取締役として昭和43年12月、高崎市○○○町××××番地所在において有限会社三建産業調査事務所を設立。昭和45年6月、名称を有限会社野中開発測量事務所に変更。昭和59年8月、名称を有限会社野中開発測量に変更すると共に、所在地を高崎市○○○町×××番地×に変更。昭和61年10月、所在地を高崎市○○町×丁目×番地××に変更し、業務目的については会社設立当時は各種測量並びに設計製図、土地家屋の調査並びに此に付随する業務、土木建築工事の設計並びに施工管理などだったのですが、平成5年3月に各種測量並びに設計製図業務、土木工事、建築工事の企画、設計、管理及びコンサルタント業務一般、産業廃棄物処理に関する企画、立案、設計及びコンサルタント業務、環境影響調査の請負業務、不動産の売買、交換、賃貸借等の仲介業務、前各号に附帯関連する一切の業務、に変更して現在に至っており、具体的な業務内容は
ゴルフ場計画に伴う測量・設計業務、産業廃棄物及び一般廃棄物の最終処分場計画に伴う測量・設計・許認可関係などの業務、大規模な宅地開発計画に伴う測量・設計・許認可関係などの業務、というものです。
当社の役員は、設立当時から役員変更を何回かした結果、今回の事件当時を含め現在は、代表取締役が「私」、取締役が「私の長女であるX子」、取締役が「IY」となっておりますが、取締役のX子とIYは登記簿上の名義だけで、実際には取締役としての職務はしておりません。
また当社の従業員等については、設立当時は私以下3名だったのが、その後昭和45年ころから昭和55年ころをピークに業績を伸ばし、昭和59年8月に有限会社野中開発測量に名称変更した当時は私以下10名位となったのですが、平成7年ころから県の規制強化によりゴルフ場開発が減少したため業績が低下し、さらに平成9年秋頃に当社にサイボウ環境の一般廃棄物最終処分場施設の測量や設計などを発注してくれた埼玉県上尾市にある、株式会社廃水クリニックが不渡りを出して当社に対する代金未納のまま倒産し、その影響も重なって経営が悪化したため、平成9年8月ころに残っていた従業員である多野郡吉井町に住んでいた■■■■、高崎市片岡町に住んでいた■■■■、高崎市島野町に住んでいた■■■■、渋川市上郷に住んでいた■■■■を解雇し、実質的には私1人となったのです。
そのため、その後は私自身も一時仕事を休んでいた時期もあったのですが、平成10年2月ころから再びサイボウ環境の一般廃棄物最終処分場計画に関連した仕事を請け負うようになったため、仕事の内容により、アルバイトとして■■■■を頼んで手伝って貰ったり、私の長女X子(昭和41年×月×日生)に事務的な仕事を手伝って貰ったり、平成10年10月ころから平成12年12月ころまで高崎市貝沢町に住むZ男(昭和41年×月×日生)を従業員として雇い、その後も仕事内容によりアルバイトとして手伝って貰ったりして現在に至っているのです。
なお、当社は昭和61年10月ころに高崎市○○町×丁目×番地××に、鉄筋コンクリート造り3階建て、総床面積約120坪の建物を建設し、今回、私が道・水路境界確定申請書及び境界確定書を偽造した平成11年春ころは、1階部分を、貸事務所、2階部分を、当社事務所、3階部分を、居室として使用しておりました。
3 次に今回、私達が偽造した道・水路境界確定申請書及び境界確定書に関する境界確定という手続きについて簡単に説明します。
この境界確定というのは国有財産法の規定から国有財産である安中市道の維持保存などのため、安中市道に隣接する土地を分筆などする場合、公図を基にして現地に測量して復元した安中市道と隣接地との境界点の位置を安中市・申請者・隣接土地所有者の3者が立ち会って確認したうえ、その同意を得て境界を確定する、という手続のことです。
通常、この境界確定は、安中市道に隣接する土地所有者が申請者となり、その土地の安中市道に面する両側の土地所有者及び安中市道を挟んだ反対側の土地所有者が隣接土地所有者となるのですが、例外として大規模開発などで土地買収を前提にして業者が申請者となり、各土地所有者を隣接土地所有者として申請する場合があり、今回、私が偽造した書類はこの例外となる業者が申請者となった境界確定に関するものです。
そのため、今回の境界確定に必要な手続は、市土木課に道・水路境界確定申請書を提出し、現地立会日を協議して決定する。隣接土地所有者に連絡し、現地立会日に立ち会ってもらって境界点の位置を確認する。隣接土地所有者が境界点の位置を合意した証明に境界確定書の隣接地所有者欄に住所氏名・印鑑を貰う。境界確定書を市土木課に提出受理され、境界点が確定する。という流れになります。
4 次に当社がサイボウ環境から仕事を請け負うようになった経緯について話します。
私とサイボウ環境の代表取締役である埼玉県さいたま市に住む、結城文夫さん、現在65歳位は、埼玉県さいたま市に所在する、株式会社サイボウという消防資機材の製造販売などを業務とする会社の代表取締役をしており、今から20年位前に当社が結城文夫から、結城文夫さんの生まれ故郷である宮城県玉造郡岩出山町に計画したゴルフ場の測量及び設計を依頼されたことから関係が始まり、その後も私は結城社長が計画するゴルフ場や一般廃棄物の最終処分場の計画に参加して測量及び設計などを請け負っていたのです。
その中で、平成5年頃から結城社長の話により、群馬県安中市字西谷津地内に一般廃棄物の最終処分場施設設置計画に基づき、サイボウ環境株式会社を設立して代表取締役となり、■■■■■■■という会社に委託して群馬県から設置許可を受けるための事前協議に入っている、などと聞いておりました。
なお、このサイボウ環境という会社の実態は、結城社長が頻繁に群馬県に来て業務指示をしながら、実質的な現地取締役である安中市大谷に住む■■■■、安中市大谷に住む■■■■が中心となって計画予定地の買収交渉などの現地対策用に会社登記した会社で、会社所在地も■■■■の自宅となっていると聞いておりました。
そして、平成7年ころ、結城社長の口利きだと思いますが、株式■■■■から連絡が入り、当社がこの最終処分場の施設本体に関する測量、設計、群馬県への設置許可を除く、開発許可や隣地開発・農地転用などの許可申請などを請け負うことになったのです。
しかし、平成9年秋頃に株式会社廃水クリニックが不渡りを出して倒産し、当社も代金支払を受けられないまま仕事が一時中止になった影響から、当時の従業員4人を解雇して当社は業務停止に近い状態になってしまったのです。
ところが、平成10年2月頃、結城社長から当社に連絡があり、私が埼玉県熊谷市内の株式会社熊谷組北関東支店に呼び出され、結城社長、■■■■■■■、■■■■■■■■■■■■■■■■■■、■■■■■■、■■■■■■■■■などと会い、サイボウ環境が計画する一般廃棄物の最終処分場への搬入道路とする、安中市大谷地内及び同市野殿地内にある安中市道の拡幅改修工事について打合せが行われ、その後も何回か打合せした結果、道路設計は、三守設計株式会社、安中市道に隣接する土地の分筆登記関係は、当社、安中市道に隣接する土地の買収関係は、サイボウ環境の取締役にもなっている■■■■■■■■■■■■■と不動産業■■■■■■■■■■■■■■■■■■が担当すると決まったのです。
なお、私はこの打ち合わせの席上で■■■■から、隣接土地所有者の1人であるI男について、法務局などで調べたが、I男が何処にいるか、その子孫や土地の権利者が誰なのか全く判らないので、その土地を避けて道路を造るしかない、などと聞いたのです。
5 次に当社がサイボウ環境から請け負った安中市道に隣接する土地の分筆登記に必要な境界確定のため、私が安中市役所建設部土木課に道・水路境界確定申請書を申請した状況などについて話します。
その前にこの境界確定に関する資料があったら見せてください。
<この時本職は、供述人に対し、本年7月1日付の高崎簡易裁判所裁判官園部直子の発した差押許可状により、同年7月1日に群馬県安中市安中1丁目21番32号安中市役所建設部土木課において差押えた、「道・水路境界確定申請書一式」但し、平成10年8月19日付、サイボウ環境株式会社代表取締役結城文夫、有限会社野中開発測量代表取締役野中渡申請に係るもの。「境界確定書一式」但し、平成11年6月3日のものを示すと共に、同申請書及び同確定書の所要部分の写しを本調書末尾に添付することとした。>
只今、見せていただいた道・水路境界確定申請書の申請者がサイボウ環境の結城社長と私の名前になっておりますし、この申請書及び境界確定書の文字が私の字であることから、この申請書及び境界確定書が当社がサイボウ環境から請け負った安中市道に隣接する土地の分筆登記に必要な境界確定のため、私が安中市役所建設部土木課に提出した道・水路境界確定申請書と境界確定書に間違いないので、この書類を見ながら当時のこの申請状況や現地立会日の状況などについて話します。
先ほど話した株式会社熊谷組北関東支店における関係者との打合わせ後、サイボウ環境の中嶋延里さんや白石定男さん及び松尾産業株式会社の角田社長などにより、三守測量株式会社が作成した安中市大谷地内及び同市野殿地内にある安中市道の拡幅改修工事に関する道路設計に基づいた同安中市道の隣接土地所有者に対する同市道拡幅部分の土地買収交渉が行われ、その進行状況を見てと思いますが、平成10年8月に入ってすぐに結城社長から当社に正式に境界確定に関する業務依頼があったのです。
そのため、私は今見ているこの申請書一式にあるとおり、平成10年8月3日付で、サイボウ環境の結城社長から境界確定に関する委任状を貰った。同年8月10日、前橋地方法務局安中出張所で公図を転写して関係場所の図面を作成した。同年8月19日付の道・水路境界確定申請書を市土木課の黛さんに提出する。この時、黛さんと協議して現地立会日を平成10年8月27日午前9時30分からと決め、それをその場で私が同申請書の現地立会日時欄に記載したのです。
この道・水路境界確定申請書には隣接土地所有者一覧表として境界確定する安中市道に隣接する土地の50筆21名の隣接土地所在地・地目・面積・所有者住所・所有者氏名又は名称が記載されておりますが、これは私が長女のX子に指示して前橋地方法務局安中出張所で調べさせた結果などを基に私が記載したものです。
また、今見ている道・水路境界確定申請書の受付印は平成10年5月20日となっておりますが、私が同申請書を市土木課に提出したのは、この申請書の日付である同年8月19日以降ですから、この受付印は平成10年8月20日の押し間違いではないかと思います。
この申請書を市土木課の黛さんに提出した後、私は白石定男さんから既に所在も分からず子孫や土地権利者も判らないと聞いていたI男さんを除く隣接土地所有者20名位に対し、「立ち会いのお願い。」という書面を郵送したり、電話や直接出向いて現地立会日時における立ち会いをお願いしたのです。
しかし、その中で、A子さんは、私が現地立会日の幾日か前に立ち会いを頼む為に自宅を訪ねたところ、家の中に10人以上の人が集まっていたため、私は「現地立会日に声を掛けて立ち会って貰えばいいだろう」と考えて、声を掛けるのを遠慮した。M子さんは、私が東京都荒川区東日暮里×-××-× M子宛に「立ち会いのお願い。」という書面を郵送したのですが、幾日かして「受取人不明」で戻って来てしまったので、さらに結城社長に頼んでM子さんについて調べて貰ったのですが、結城社長からも調べたがM子さんの所在や連絡先などは判らなかった、などと返事をもらったもので、M子さんは連絡不能だと判った。S助さんは、私が現地立会日前に何回か立会いを頼みに言ったのですが、S助さんはサイボウ環境の最終処分場計画に反対らしく立ち会いを断られてしまったのです。
また、私はこの隣接土地所有者に立ち会い連絡をする一方で、■■■■■■■■■■■■■■■をアルバイトとして頼んで、私が作成した公図の転写図面に基づいて測量し、境界確定場所に境界点の仮杭を打つ作業をさせており、この作業の中で、公図が間違っていた場所があり、確か現地立会日より少し前に確か■■■■■■■■■■■■■■■に境界点の仮杭の位置を確認してもらったように思います。
なお、当社がサイボウ環境の結城社長との間でこの境界確定を含む分筆登記に関する 平成10年8月18日付の業務委託契約書 があり、本日持参したので参考にそのコピーを提出します。
<この時本職は、供述人が提出した 業務委託契約書の写し1通、但し、平成10年8月18日付のサイボウ環境株式会社と有限会社野中開発測量のもの、を本調書末尾に添付することとした。>
6 次に平成10年8月27日における現地立会日の状況などについて話します。
今見せて貰っている道・水路境界確定申請書の現地立会日時欄に「平成10年8月27日午前9時30分から」と記載されているとおり、私はこの日時の5分位前に■■■■・結城社長と3人で、この境界確定の出発点である主要地方道前橋・安中・富岡線から若干東に入った鶴巻橋の近くに行き、そこで市土木課の、黛さん他1名、■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■、■■■■■■と合流したのです。
そして、私達はこの申請書に添付されている図面のとおり、■■■さんが所有する、■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■田をスタートに市道に沿って順番に各隣接地ごとに、私共と市土木課の黛さん及び各隣接土地所有者などの立会人がいればその立会人の3者が立ち会う中で、私が各隣接地ごとに「公図を基に私共で境界点を復元したところ、この仮杭の位置になりますがよろしいでしょうか。」などと説明しながら安中市道と各隣接地の境界である境界点の位置を確認して行ったのです。
その中で、A子さんが所有する土地の番が来たので、私がA子さんの自宅に行って声を掛けたのですが誰も返事をしなかったので私は「A子さんは今は留守らしいから後で境界点を確認して貰えばいいだろう」と考え、市土木課の黛さんにA子さんが所有する土地と安中市道との境界点を確認して貰い、次の隣接地に移ったのです。
この境界立ち会い作業は、この申請書にあるとおり、安中市野殿字大田2178番地1の田から安中市大谷字西谷津1907番地の畑他48筆の隣接地に関わる約7~800メートルの距離となりますが、隣接土地所有者など立会人20名位のうち約10名近くが立ち会う中で午前中いっぱいにはすべて終了したと思います。
この作業が終了した際、私は市土木課の黛さんから私が市土木課に提出して受理されたこの申請書を「後で今日欠席した隣接土地所有者全員に境界を確認させ、この申請書の立会人証明欄に名前を書いて貰い、私の所に持って来てください。」などと言われて渡されたのです。
この申請書の立会人証明欄は、本来、黛さんが現地立会日に立ち会った人からその場で立ち会った証明に署名して貰うものですが、仕事の都合などで立ち会えない人も多々いることから、安中市に限らず後日業者が隣接土地所有者を回ってこの申請書の立会人証明欄に署名を貰うことはけっして珍しいことではありませんでした。
そのため、私はすぐにこの申請書を黛さんから預かり会社に持ち帰ったのですが、この時点でA子さん・M子さん・I男さん・■■■さんの立会人証明欄が空欄だったことは間違いありませんが、その他にも5~6人位の欄が空欄だったのではないかと思いますが、今となってはそれが誰だったのか判りません。
この現地立会日後、私は三守測量株式会社が作成した安中市道の拡幅図面を基に各隣接地における分筆部分の求積図を作成し、各隣接土地所有者との間で分筆登記するための測量や境界確定などの作業を行い、その中で現地立会日に出席した隣接土地所有者の場合は、相手の合意を得て、市土木課に提出する境界確定書の隣接地所有者欄に住所氏名を書いて印鑑を押して貰う。現地立会日に欠席した隣接土地所有者の場合は、相手の承諾や了解を得て、黛さんから預かった道・水路境界確定申請書の立会人証明欄に氏名を書いて貰うのと一緒に市土木課に提出する境界確定書の隣接地所有者欄に住所氏名を書いて印鑑を押して貰う、という作業も合わせて行っておりました。
しかし、この作業の中で、現地立会日に立会を断られたS助さんに、何度も道・水路境界確定申請書と境界確定書に署名してくれるように頼んだのですが断られるという問題もあり、結局、この作業が一通り終るのに平成11年2月か3月ころまで掛かってしまったのです。
しかし、この時点で道・水路境界確定申請書の立会人証明欄と境界確定書の隣接地所有者欄に署名などをもらえない隣接土地所有者として、安中市大谷××××-×A子、東京都荒川区東日暮里×-××-×M子、安中市野殿××I男、■■■■■■■、■■■の4名分が残ってしまったのです。
7 次に私が当社がサイボウ環境から請け負った境界確定業務を完了するため市土木課に提出する道・水路境界確定申請書と境界確定書にA子他2名の住所氏名を書き、印鑑を押して偽造しようと決心した状況などについて話します。
私は今話したとおり、平成11年2月か3月頃までには、サイボウ環境から請け負った安中市道に隣接する土地の分筆登記関係の仕事がほぼ完了に近づいたのですが、市土木課に提出しなければならない道・水路境界確定申請書と境界確定書にA子他3名の住所氏名などが貰えないことが判ったのです。
私としては、本来、この道・水路境界確定申請書と境界確定書に全員の名前がもらえなかったとしても、その土地に関する境界点が確定できないだけと理解しておりますが、その当時の安中市役所が今と違い、サイボウ環境の一般廃棄物の最終処分場設置計画に対して中島市長が反対していたため、関係する各課担当者が神経をとがられていた雰囲気があったことから、私が、知り合いの結城社長が何億という資金を投資して計画しているサイボウ環境の一般廃棄物の最終処分場設置計画をスムーズに進行させるため、私が作成する書類で文句を付けられない様な完全なものにしたい。と考えており、今回の市土木課に提出する道・水路境界確定申請書と境界確定書についても同様に考えておりました。
只今、私がこの申請書や境界確定書を私が市土木課に提出したのは、今見ているとおり、道・水路境界確定申請書を提出したのが復命書の日付から平成11年5月31日、境界確定書を提出したのが受付印の日付から平成11年6月3日、と説明を受けて判りました。
この申請書や境界確定書を市土木課に提出する少し前ですから、平成11年ころと思いますが、私は、この申請書及び境界確定書は私が市土木課に提出して受理された後は同課で保管され、隣接土地所有者を始め一般人の目に触れる可能性はないうえ、A子は、安中市道の拡張に伴う土地の分筆がなく、1人暮らしの年寄りなので、勝手に道・水路境界確定申請書と境界確定書に住所氏名を書いたり印鑑を押して偽造しても大丈夫だろう。M子さんは、所在の判らない東京の人なので、安中市道の拡張に伴う土地の分筆がなく、勝手に道・水路境界確定申請書と境界確定書に住所氏名を書いたり印鑑を押して偽造しても大丈夫だろう。I男さんは、白石定男さんの話からその所在はもちろん、その子孫や土地の権利者が誰なのか全く判らないと聞いていたことから、安中市道の拡張に伴う土地の分筆がなく、勝手に道・水路境界確定申請書と境界確定書に住所氏名を書いたり印鑑を押して偽造しても大丈夫だろう。■■■■■■■は、サイボウ環境が計画する一般廃棄物の最終処分場設置計画に反対しているため、もし道・水路境界確定申請書と境界確定書に住所氏名を書いたり印鑑を押して偽造したのが判った場合、とんでもない騒ぎになる可能性がある、などと考えた末、私は、私の字は既に道・水路境界確定申請書と境界確定書の必要事項欄を記載しているので、娘2人や従業員のZ男に頼んでこの申請書と境界確定書の、A子・M子・I男の3名分だけ該当欄に住所氏名を書かせて印鑑を押せば、この書類を市土木課に提出しても誰も偽造だと気が付かない。と判断し、その様にして偽造することを決心したのです。
なお、この偽造について私は、当社がサイボウ環境から請け負った分筆登記関係の中の境界確定業務を完了させるために自分で考えて決心したもので、結城社長はもちろんサイボウ環境の関係者と相談したり承諾を受けたということは一切ありません。(注:M子やI男については、結城社長も調査に関与しているのに、この供述はヘンだ?)
8 それでは、私が娘のX子とY子及び従業員だったZ男に頼み、道・水路境界確定申請書と境界確定書にA子他2名の住所氏名を書かせ、さらに私が各名前の後に各姓の印鑑を押して偽造を完成させ、その偽造した書類を私が市土木課の黛さんに提出した状況などについて話します。
先程話したとおり、私は平成11年5月ころ、道・水路境界確定申請書と境界確定書の偽造を決心し、その後、1週間位の間に私は、まず最初に、私と3階住居に同居して当社の仕事を手伝っていた私の長女であるX子(昭和41年×月××日生 当時32歳)に対し、時間は覚えていませんが昼間、当社事務所内の事務机で事務仕事をしていた長女X子の所に、私が道・水路境界確定申請書と境界確定書を持って行き、X子に同申請書と境界確定書にあるA子さんの欄を差して「書いてくれ」と偽造を頼んだのです。
この時、X子としては、書類に他人の住所や氏名を書くことは悪い事だということはもちろん、それまで当社の仕事を手伝う中で、この道・水路境界確定申請書と境界確定書の書類的意味やこの書類を安中市役所に提出するということは当然判っていたと思います。
しかし、父親であり社長である私の頼みであることから私や当社のために私の依頼を承知し、X子はすぐに事務所内にあった黒色ボールペンを使って、道・水路境界確定申請書に添付されている隣接土地所有者一覧表の5名目で上から6番目の立会人証明欄に「A子」、境界確定書に添付されている隣接地所有者の1枚目で上から11番目の住所欄に「安中市大谷××××-×」、氏名欄に「A子」と記載してくれたので、その後、私が当社事務所の印鑑箱の中にあったものと思いますが、「○○」という印鑑をA子の印鑑に押し、次に、■■■■■■■■■■■■アパートに新居を持っている私の二女であるY子(昭和44年×月×日生 当時29歳)が時間は覚えていませんが昼間、3階の居室に子供を連れて遊びに来た時だったと思いますが、私が事務所から黒色ボールペンと道・水路境界確定申請書及び境界確定書を持って3階の居室に上がり、Y子に同申請書と境界確定書にあるM子さんの欄を差して「書いてくれ」と指示したのです。
この時、Y子としては、書類に他人の名前を書くことは悪いことだと言うことは判っていたと思いますが、それまで当社の仕事を手伝ったことがないうえ、私も何も説明しなかったため、この道・水路境界確定申請書と境界確定書の意味はもちろん、この書類をどうするかということは判らなかったと思います。
しかし、父親である私の頼みなので、私や当社のために私の頼みを承知し、二女Y子は3階自室のキッチンテーブルの上で私が持参した黒色ボールペンを使い、すぐに、道・水路境界確定申請書に添付されている隣接土地所有者一覧表の6枚目で上から5番目の立会人証明欄に「M子」、境界確定書に添付されている隣接地所有者の1枚目で上から14番目の住所欄に「荒川区東日暮里×-××-×」、氏名欄に「M子」と記載してくれたので、その後、私が当社事務所の印鑑箱の中にあったものと思いますが、「○○」という印鑑をM子の印欄に押し、次に、平成10年10月ころから勤務するようになった当社従業員であるZ男■■■■■■■■■■■■■■■■■■に対し、時間は覚えていませんが昼間、Z男が当社事務所内のパソコンの置いてある事務机で図面作成などの仕事をしているところに私が道・水路境界確定申請書と境界確定書を持って行き、Z男に同申請書と境界確定書にあるI男さんの欄を差して「書いてくれ」と指示したのです。
この時、Z男としては、書類に他人の名前を書くことは悪いことだと言うことは判っていたと思いますが、Z男は当社に勤務して半年位の頃で、その間、私の補助として測量や図面つくりが主だったうえ、私が何も説明しなかったため、この道・水路境界確定申請書と境界確定書の意味はもちろん、この書類をどうするかということは判らなかったと思います。
しかし、社長である私の頼みなので承知し、Z男はすぐに事務所にあった黒色ボールペンを使って、道・水路境界確定申請書に添付されている隣接土地所有者一覧表の7枚目で一番上の立会人証明欄に「I男」、境界確定書に添付されている隣接地所有者の1枚目で上から15番目の住所欄に「安中市野殿××」、氏名欄に「I男」と記載してくれたので、その後、私が当社事務所の印鑑箱の中の中にあったものと思いますが、「○○」という印鑑をI男の印欄に押して、道・水路境界確定申請書1通及び境界確定書1通の偽造を完成させたのです。
その後、私は今見せて貰っている道・水路境界確定申請書の復命書の日付や確定書の受付印の日付から、この偽造した道・水路境界確定申請書を平成11年5月31日ころ、同じく偽造した境界確定書を平成11年6月3日ころにそれぞれ真正に作成した書類のように装って市土木課の担当者である黛さんに提出し、受理して貰ったのです。
この私が娘のX子やY子、従業員だったZ男に頼んで道・水路境界確定申請書や境界確定書を偽造した場所について図面を作ったので参考にしてください。
また、この偽装するに際し、私が境界確定書の各印欄に押した「○○」「○○」「○○」という各印鑑については、その後、当社の事務所の印鑑箱の中に入れて保管しており、先日警察の人が当社に来た時に私が当社事務所の印鑑箱から探し出して提出しております。
<この時本職は、供述人が作成した図面3枚を本調書末尾に添付すると共に、同人が平成15年6月25日に群馬県高崎市○○町×丁目×番地××有限会社野中開発測量事務所において任意提出し、群馬県警札本部刑事部捜査第二課司法警察員巡査村山博之が領置した、印鑑1本、但し、白色小判型「○○」と刻印のもの、印鑑1本、但し、白色小判型「○○」と刻印のもの、印鑑1本、但し、白色小判型「○○」と刻印のものを示し、次のとおり問答した。問「この印鑑に見覚えがあるか。」答「はい、この3本の印鑑が私が以前、当社事務所に警察の人が来た時に私が事務所の印鑑箱から探し出して提出したもので、境界確定書を偽造する際、私がこの「○○」という印鑑を、A子さんの印鑑、この「○○」という印鑑を、M子さんの印鑑、この「○○」という印鑑を、I男さんの印鑑、にそれぞれ押して偽造を完成させたことは間違いありません。>
9 最後に平成14年10月下旬ころ、境界確定書が偽造され警察に告発状が提出されたなどと新聞に載り、私が松尾産業株式会社の角田社長と2人でA子さんの娘さんであるB子さんの自宅に行って謝って来た状況などについて話します。
私が道・水路境界確定申請書と境界確定書を偽造して市土木課に提出して受理された後は特に何も無かったのですが、その後3年位した平成14年10月下旬ころ、突然、■■■■■■■■長から当社に「野中さんが担当した搬入道路の境界確定の関係で、現地立会日以前に死んでいた人の署名捺印が境界確定書に書かれ、偽造した疑いがあると警察に告発したという記事が新聞に載っている。その内容からA子さんのことだと思うが、野中さんは本当に境界確定書を偽造したのか。」などと言う電話があったのです。
この■■■■の話から、この時初めて私はA子さんが境界確定の現地立会日前に既に死亡していたということを知り、■■■が何故A子さんの氏名などを私たちが偽造したと知ったのか判らないものの、いずれにしても当時、結城社長の体調不良から、結城社長から全権委任を受けてサイボウ環境の責任者の1人となっていた■■■■■請負会社の代表取締役として、私が娘2人や従業員のZ男に頼んで道・水路境界確定申請書と境界確定書を偽造した、という事実は言い辛かったので、私は咄嗟に「そんなことはしてないよ。」などと嘘を言ってしまったのです。
その私の話を聞いて角田社長は「いずれにしてもサイボウ環境のことで迷惑を掛けたのだから一緒にA子さんの娘さんの所に謝りに行こう。」などと言われたので、私はその日の夕方、車で私を迎えに来てくれた角田社長と2人で安中市安中にある、B子さんの自宅に行ったのです。
私が角田社長と2人でB子さんの自宅に行くと、B子さんはご主人と2人でおり、私達は名刺を出しながら自己紹介し、角田社長が新聞記事のコピーを見せながら訪問した用件を伝えたところ、B子さんが私に境界確定書のコピーを見せながら、「この新聞記事の告発は私がした訳ではないが、どうしてここに母の名前が書いてあるんですか。」などと聞いたので、私は「田舎のお年寄りなんかで字が書けないことがあるので、従業員が代書してしまうことがあるんですよ。」などと嘘を言ったのですが、さらにB子さんに「だって、この時には母は既に亡くなっていたんですよ。」と言われてしまい、仕方なく私は「勝手に書いて悪かった。だけど、うちも従業員がたくさんいるんで誰が書いたか分らないんです。」などと角田社長に話したのと同じような嘘を言って謝ったのです。
その結果、B子さんは、「私は、今この問題について関わりたくないので、警察に届出する気持ちはない。」などと言ってくれ、その後、この偽造問題については特にこれと言った話はなかったのですが、今年の春過ぎに角田社長から「警察が隣接土地所有者の所を回って捜査をしているらしい」という話を聞き、いつか私も取調べを受けるだろうと覚悟をしていたのです。
10 以上お話したとおり、平成11年5月ころ、私が娘のX子とY子及び従業員だったI男に頼み、道・水路境界確定申請書及び境界確定書にA子他2名の住所氏名を書かせ、さらに私がA子他2名の各印欄に各姓の印鑑を押して偽造したことは間違いありません。
私としては、当社でサイボウ環境から請け負った境界確定業務を早く完了させたいとの自分勝手で安易な考えから、娘のX子とY子及び従業員だったI男を巻き込んで道・水路境界確定申請書と境界確定書を偽造してしまい。今考えれば本当に悪いことをしてしまったと心から反省しており、いかな処罰を受けても仕方がないと思っております。 野中渡
以上のとおり録取して閲覧させたところ誤りのないことを申し立て署名指印した。
前同日 群馬県安中警察署に応援派遣された群馬県警察本部刑事部捜査第二課司法警察員 警部補 ○○○○**********
■こうして、測量会社の社長は、完璧な境界確定書の書類を作成すると言いながら、ごみ処分場を作りたい一身で、当時の中島市長が初当選したタゴ事件による出直し市長選の選挙戦の真っ最中に、現金3千万円をもって、地元安中市に入ったこともあるサイボウの結城社長の意向に沿うべく、3名の住所、氏名、押印を勝手に記載して、偽造書類を作ったのでした。市道拡幅に伴う境界確認の立会には、隣接地権者に加えて、サイボウも、市役所の職員も立ち会っていることから、隣接地権者のうち、誰と誰と誰の同意が取れなかった、ということは、サイボウの結城社長も、安中市の担当課幹部も知っていなければならず、この偽造事件が、組織ぐるみで周到に行なわれていたことがわかります。
さて、サイボウの結城社長と測量会社の社長との間では、つぎのような業務委託契約が交わされていました。
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【業務委託契約書】
サイボウ環境株式会社(甲)と有限会社野中開発測量(乙)とは甲が安中市大谷及び安中市野殿地内に計画の市道改修又は拡幅工事に関する土地の分筆登記及び用地幅を除く境界復元測量等について下記の通り業務委託契約を締結する。
第1条 業務委託
(甲)は安中市大谷字西谷津1907番外7筆、安中市野殿字3829番外24筆の道路用地となる土地の分筆登記を併せて、三守測量株式会社作成丈量図(S=1:250)に基づく用地幅杭以外の境界復元、境界杭設定等の業務を委託し(乙)はこれを受託した。
[本事業の委託業務]
筆界確認業務(筆界復元、照合、位置の特定)
公共用地境界及び民有地境界の立合並びに境界杭設定
土地分筆登記(各筆別地積は三守則量㈱丈量図の通り)
その他上記に付随する行為
第2条 業務協力
(乙)は(甲)の委託業務に関し善良なる管理と注意を持って平成10年10月15日迄に完了させる事に努め、(甲)は(乙)が受託した業務が遂行できるよう協力する。
(1)(甲)の協力義務
地権者又は関係者の対する協力の要請
丈量図、設計図、成果書面の提供
その他、行政当局に依る指示書類の提供
(2)(乙)の協力義務
受託業務の迅速処理
工程及び経過報告
受託業務の善良なる管理者の注意
第3条 支払条件
(甲)は本業務遂行の為(乙)に■■■■で第1条の範囲の業務委託をし(乙)はこれを受託した。尚、支払時期、支払金の段階額に付いては下記の通りとすることで(甲)(乙)合意した。
[業務委託に関する支払条件]
① 業務委託契約締結時 ■■■■
② 境界復元、境界立合、境界杭設定完了時 ■■■■
③ 土地分筆登記終了時 ■■■■
第4条 契約外事項
本契約に定めのない事項に付いては(甲)及び(乙)は民法その他法令及び取引慣行に従い、誠意を持って協議の上解決するものとする。
平成10年8月18日(社長より送付受けた)
委任人(甲) 安中市大谷229-1 サイボウ環境株式会社 代表取締役 結城文夫
連帯保証人 大宮市卸町2-6-15(埼玉南部卸売団地内)株式会社サイボウ 代表取締役 結城文夫
委任人(乙) 高崎市中居2丁目3番地24 有限会社 野中開発測量 代表取締役 野中渡
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■このように、野中測量の社長は、あくまで、自分の意志で書類偽造を行なった事を強調していますが、実際には、隣接地権者M子の土地の境界確定では、M子の所在確認をサイボウ結城社長に依頼しており、結城社長はM子の所在が不明であることを認識して、野中測量社長に報告しています。そして、サイボウと野中測量の連名で、境界確定申請書を安中市に出しているのですから、共謀したといわれても仕方がありません。
しかし、司直は、せっかく地元住民が勇気を奮い立たせて、処分場計画を推進するサイボウの結城社長を告発したにも関わらず、実行犯は委託先の測量会社社長だとして、結城社長を不起訴にしてしまったのです。また住民が求めたもう一つの罰状である「偽造文書の行使」については、完全に不問にされてしまいました。
この文書偽造・行使犯の「身代わり」作戦は、全国でサンパイ等のゴミ処分場を計画している事業者にとっては、危ない橋を渡る場合に安全策の前例として活用できる方法だといえます。身代わりにされる委託先の測量会社にとっても、バレて刑事起訴されても、裁判で即日「執行猶予付き」の判決が出るため、事業に特段の支障は出ません。このような信じられないことが、実際に安中市では起きているのです。全国のサンパイ業者が、安中市に注目している所以です。
【岩野谷の水と緑を守る会】