■中手出版社の幻冬舎の元管理局長竹本和博容疑者(44)による総額9億2千万円の横領事件は、今年3月に事件発覚が報じられてから8か月を経て、11月20日に、ようやく容疑者の逮捕に至りました。
株式会社幻冬舎は、ジャスダック証券取引所の上場会社で、1993年11月12日設立、本社は東京都渋谷区千駄ヶ谷四丁目、資本金3億3591万円、従業員数は平成18年9月末時点で60名、2007年に本社ビルの正面に当る敷地に新館ビルを建設しています。
直接の逮捕容疑は、同社の容疑者が今年1月から3月にかけて、同社の口座から無断で9回にわたり計1500万円を同社のキャッシュカードで引き出して、着服した業務上横領罪です。警視庁捜査2課と原宿署は、11月18日に業務上横領容疑で容疑者を取り調べ、同日逮捕しました。
■警視庁によると、元局長は、平成8年の入社以来、1人で経理を担当し、平成13年8月~平成21年3月の約7年半で約9億2000万円を着服、馬券34億7000万円分購入のうち日本中央競馬会(JRA)に計約5億円余、地方競馬の団体に計約29億6000万円余を振り込んでいたことが元局長の個人口座履歴から判明しました。不正に引き出した現金は自分の口座に移し、電子投票で馬券を購入し、多額の払い戻しもありましたが、残高が少なくなるたびに横領を繰り返していました。
発覚を免れるための手口として、会計端末を操作し、書籍販売に伴う売掛金が実際に多くなるように見せ掛けるために、会計システムを自分で操作するなどして、架空の売掛金を計上していました。
2009年2月の決算作業時に、取引先の会計上の売掛金残高が目立って多かったため調査したところ、元局長が入力した不正データが見つかり発覚したとされています。一方、今年3月、税務調査が入ることを知り、自ら同社に不正を告白したという報道もあります。その時点で、容疑者の個人口座の残高は1万円以下でした。なお、元局長は発覚までに1390万円を返還していたという報道もあります。
■幻冬舎では、今年3月の不正発覚後、元局長については、3月23日付けで懲戒解雇し、損害賠償請求と刑事告訴を行う予定であると発表し、専門家調査委員会を設け、3月24日から調査を開始しました。同時に、管理者責任として、代表取締役を30%、経営企画局長を20%の減棒処分(いずれも2カ月間)にしました。その後、5月19日、横領による被害総額が9億1230万円にのぼると発表。そして、11月20日に、元局長を逮捕。警察はこれから裏付け捜査を開始するそうです。
■この民間会社で起きた横領事件と、安中市のタゴ事件と比較してみましょう。
幻冬舎の9億1230万円の横領は7年半の間に行われましたが、安中市土地開発公社の51億1250万円の横領は実質的に10年間で達成されました。横領の規模は、幻冬舎の6倍近いのに、横領期間は僅か1.5倍という犯罪効率に驚かされます。
幻冬舎の場合、事件が社内で発覚した今年3月には、すぐにマスコミにも報道されました。まず3月23日に元局長を懲戒解雇し、翌日から専門家調査委員会による調査を始めました。損害賠償請求はいつやったのか、あるいはいつやるのか、報じられていませんが、今回の逮捕は、同社の内部調査を受けてから、一定の捜査をして、容疑を固めたうえで踏み切ったと見られます。
■一方、安中市土地開発公社の51億1250万円の横領は、平成7年(1995年)5月17日に公社内部で発覚後、市長らごく一部の関係者だけで極秘に調査と証拠隠滅が行われ、5月31日に元職員を懲戒解雇し、その6月2日に市長が安中署に告発し、6月7日に元職員のタゴが逮捕されました。その後、関係者の取り調べが行われましたが、共犯者が多数いるにもかかわらず、11月19日の出直し市長選直後に、タゴの単独犯行と断定され、すべての捜査が中止されました。
幻冬舎横領事件の規模の6倍近いのに、安中市土地開発公社横領事件では、わずか半年で、事件の捜査が全部終了しています。一方、幻冬舎では、事件発覚後、8ヵ月目で元局長が逮捕され、これからさらに捜査が続くことになります。
安中市土地開発公社51億円横領事件の異常で不思議な現象は、ここにも見て取ることができます。
【ひらく会情報部】
株式会社幻冬舎は、ジャスダック証券取引所の上場会社で、1993年11月12日設立、本社は東京都渋谷区千駄ヶ谷四丁目、資本金3億3591万円、従業員数は平成18年9月末時点で60名、2007年に本社ビルの正面に当る敷地に新館ビルを建設しています。
直接の逮捕容疑は、同社の容疑者が今年1月から3月にかけて、同社の口座から無断で9回にわたり計1500万円を同社のキャッシュカードで引き出して、着服した業務上横領罪です。警視庁捜査2課と原宿署は、11月18日に業務上横領容疑で容疑者を取り調べ、同日逮捕しました。
■警視庁によると、元局長は、平成8年の入社以来、1人で経理を担当し、平成13年8月~平成21年3月の約7年半で約9億2000万円を着服、馬券34億7000万円分購入のうち日本中央競馬会(JRA)に計約5億円余、地方競馬の団体に計約29億6000万円余を振り込んでいたことが元局長の個人口座履歴から判明しました。不正に引き出した現金は自分の口座に移し、電子投票で馬券を購入し、多額の払い戻しもありましたが、残高が少なくなるたびに横領を繰り返していました。
発覚を免れるための手口として、会計端末を操作し、書籍販売に伴う売掛金が実際に多くなるように見せ掛けるために、会計システムを自分で操作するなどして、架空の売掛金を計上していました。
2009年2月の決算作業時に、取引先の会計上の売掛金残高が目立って多かったため調査したところ、元局長が入力した不正データが見つかり発覚したとされています。一方、今年3月、税務調査が入ることを知り、自ら同社に不正を告白したという報道もあります。その時点で、容疑者の個人口座の残高は1万円以下でした。なお、元局長は発覚までに1390万円を返還していたという報道もあります。
■幻冬舎では、今年3月の不正発覚後、元局長については、3月23日付けで懲戒解雇し、損害賠償請求と刑事告訴を行う予定であると発表し、専門家調査委員会を設け、3月24日から調査を開始しました。同時に、管理者責任として、代表取締役を30%、経営企画局長を20%の減棒処分(いずれも2カ月間)にしました。その後、5月19日、横領による被害総額が9億1230万円にのぼると発表。そして、11月20日に、元局長を逮捕。警察はこれから裏付け捜査を開始するそうです。
■この民間会社で起きた横領事件と、安中市のタゴ事件と比較してみましょう。
幻冬舎の9億1230万円の横領は7年半の間に行われましたが、安中市土地開発公社の51億1250万円の横領は実質的に10年間で達成されました。横領の規模は、幻冬舎の6倍近いのに、横領期間は僅か1.5倍という犯罪効率に驚かされます。
幻冬舎の場合、事件が社内で発覚した今年3月には、すぐにマスコミにも報道されました。まず3月23日に元局長を懲戒解雇し、翌日から専門家調査委員会による調査を始めました。損害賠償請求はいつやったのか、あるいはいつやるのか、報じられていませんが、今回の逮捕は、同社の内部調査を受けてから、一定の捜査をして、容疑を固めたうえで踏み切ったと見られます。
■一方、安中市土地開発公社の51億1250万円の横領は、平成7年(1995年)5月17日に公社内部で発覚後、市長らごく一部の関係者だけで極秘に調査と証拠隠滅が行われ、5月31日に元職員を懲戒解雇し、その6月2日に市長が安中署に告発し、6月7日に元職員のタゴが逮捕されました。その後、関係者の取り調べが行われましたが、共犯者が多数いるにもかかわらず、11月19日の出直し市長選直後に、タゴの単独犯行と断定され、すべての捜査が中止されました。
幻冬舎横領事件の規模の6倍近いのに、安中市土地開発公社横領事件では、わずか半年で、事件の捜査が全部終了しています。一方、幻冬舎では、事件発覚後、8ヵ月目で元局長が逮捕され、これからさらに捜査が続くことになります。
安中市土地開発公社51億円横領事件の異常で不思議な現象は、ここにも見て取ることができます。
【ひらく会情報部】