市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

市民オンブズマン群馬へ寄せられた県警疑惑調査依頼書とその対応について

2011-04-20 23:46:00 | オンブズマン活動
■最近は、いろいろと内部告発情報がはやっています。当会の事務局長が代表を務める市民オンブズマン群馬にも、各方面からさまざまな情報提供や調査要請が舞い込んできます。


 先週、4月14日には、同13日付の消印で写真のような手紙が、市民オンブズマン群馬の事務局に届けられました。いわゆる差出人の名前のない匿名の手紙ですが、目を引いたのは、使われている封筒が群馬県警のものであることです。


 あて先は筆跡がわからないようにワード文字でプリントされており、本文にも、手書きの文字は一切書いてありません。

■当会に出されてきた調査依頼内容は次の通りです。

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オンブズマン群馬 事務局長 さま
急啓 不当不正な警察行政への疑惑調査を依頼します。
I  本部長の宴会費用疑惑
 着任以来各署の独身寮に宴会目的で公用車で出張しているが、公務とはいえないと思います。さらに課長会議は懇親会、二次会三次会がセットとなっていて、県民の安全安心をまもれるのか不安です。費用はすべて互助会が負担しているとのうわさです。
II 本部長公舎の疑惑
 新築となった本部長公舎には太陽発電装置が設置され、私的負担の電気料がやすくなっているとのうわさです。
 取り壊し前の本部長公舎で連日本部職員との宴会をしたのも公舎の不当な使用だとおもいます。
III 本部長としての資質疑惑
 前橋東署長が突然交代となったが、任命責任があると思います。伊勢崎署の開署式は、地震のため中止され再度行う方針でいるようですが、日本国中自粛ムード、前回費用を払ってしまっているのに再度支払うのは無駄だとおもいます。

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■この調査要請の内容を見る限り、群馬県警本部長に関する疑惑調査要請ですが、具体名は一切記載されていません。

 現在の群馬県警本部長は、大平修氏(警視監)です。大平修氏は、警察庁の2009年2月9日付け人事異動で、科学警察研究所総務部長から群馬県警本部長に昇進しました。入庁は昭和56年です。

 しかし、県警本部長に係わる前項の調査依頼項目に記載された件を確認するためには、市民オンブズマン群馬として、情報開示請求を行うしか手段がありません。

 開示請求で確認するために必要な情報の内容と、その目的は次のことが想定されます。

①警察の独身寮の場所と名前→独身寮にいる警察官に本部長を交えた宴会がどの程度頻繁に開催されているかどうか。また、宴会費用はどうしたのかをインタビューする。

②本部長公用車の2009年2月9日以降の使用履歴→独身寮に行った時期と回数の把握。

③課長会議の開催日時・場所と参加者名簿・議事録→参加した課長クラスの方にインタビューして、会議内容を確認する。

④互助会の平成23年1月1日から現在に至るまでの全支出の内訳→上記①と③の事実関係を確認する。

⑤本部長公舎の住所→太陽光発電装置が設置されているかどうかの確認を行う

⑥本部長公舎の建替時期と理由→築後何年で取り壊したのか、太陽光発電装置設置など建築仕様が従前と変更になっている場合、その申請根拠を確認する。

⑦取り壊し前の公舎の使用記録→このような情報が残されているかどうかは疑問だが、ダメもとで開示請求してみる。

⑧前橋東署長の交代理由→このような情報が開示してもらえるかどうかは疑問だが、ダメもとで開示請求してみる。

⑨伊勢崎署の開署式の予算計画と支払い実績→開署式に必要な費用をいくらと見積もり、実際にそれらをいつ、どのように支出したかを確認する。

■しかし、市民オンブズマン群馬では、これまでにも警察の裏金に関して再三、情報開示請求を行ってきましたが、いずれも黒塗りの資料ばかりです。また、それに対して異議申立をしても、群馬県の情報開示審査会の委員らは、いずれも群馬県行政の恩恵に預かっている方々ばかりなので、異議申立をしたり、行政訴訟を提起しても、すべて棄却ないし却下されてしまいます。

 こうした背景から、4月16日の市民オンブズマン群馬の例会では、出席者から、「匿名の情報だが、これらについて、すべて情報公開をして、黒塗りの資料が開示されるだけで、実態の把握には、多大の時間を費やしても、成果が見込まれないのではないか」という意見が出されました。

 こういう場合、詳しい証拠資料も併せて送ってもらえれば、市民オンブズマン群馬としても、疑惑調査の端緒として行動に踏み切れるのですが、匿名の上、疑惑事項の項目だけでは、「労」多くして「成果」なし、となることはミエミエとなるため、残念ながら、本件情報への具体的な対応は見送ることに決定しました。

■一方、警察の封筒を使用していることから、ひょっとしたら内部告発の可能性もあるのでは、という意見も出席者から出ました。そこで、当会のブログで、こうした投書の事実があったことだけをお知らせするだけに留めることで、出席者一同の合意を見たものです。

 投書していただいた、匿名の方には、こうした事情を理解していただければ幸いです。

■なお、ネット情報で調べられる範囲で確認できたことは次の通りです。

(1)前橋東署長の突然の交代について
 3月14日付けの群馬県警人事によれば、確かに次のような事実があるようです。したがって、宮下署長が警務部付となり、後任に高橋警視が署長になったことがわかります。通常、役所や金融機関の場合「総務部付」というのは何やら不詳事をしでかした職員を市民や預金者の目から遠ざけるための懲罰人事という見方がされますが、このケースはどうなのでしょう。
【警視】警務部付(前橋東署長)宮下直樹▽前橋東署長(生活安全部参事官兼生活安全企画課長)高橋秀文
<出典:毎日新聞 2011年3月11日 地方版>

(2)伊勢崎署の開署式について
 3月7日付けの報道によれば、「県警が新築移転を進めていた伊勢崎署の新庁舎が伊勢崎鹿島町に完成し、業務開始を前に3月2日、報道関係者に公開された。・・・・新庁舎は地上六階地下一階で、延べ床面積は約9900平方メートル、敷地面積は約1万4400平方メートルで、ともに現庁舎の約3.5倍。用地買収などを含め同事業費は約37億円かかった。・・・・・新庁舎の当直開始は3月3日午後3時から、窓口を含めた通常業務は7日午前8時半から。落成式は14日に行われる。」<出典:東京新聞2011年3月7日 地方版>とあります。
 となると、たしかに、3月11日に発生した東日本大震災により、落成式は自粛のため、中止になった可能性が十分に考えられます。それをあらためて開催するのか、あるいは開催したのかどうかは、やはり伊勢崎署に確認すれば容易に分かるはずです。

(3)県警本部長公舎について
 以前、静岡県のオンブズマンが警察の不正経理を追及して、元本部長らが処分されるというニュースがありました。
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静岡県警 不正経理 元本部長ら処分
元本部長ら減給処分 静岡県警の不正経理
 静岡県警の不正経理問題で警察庁は平成4年6月25日、不正が行われていた当時、県警本部長だった小林武仁警察大学校長を減給100分の20(1カ月)、当時警務部長だった門田渉中部管区警察局広域調整部長と竹内浩司警察庁暴力団排除対策官の2人を同100分の10(1カ月)の懲戒処分にした。
 また静岡県警は同日、1996年度以降に総務課で約300万円の裏金づくりが新たに判明したと発表した。
 警察庁によると、静岡県警は95年度と、98年4月から2000年8月までの間、架空の旅費請求文書を作成、裏金を捻出(ねんしゅつ)していた。
 不正経理は96年度と97年度にも行われていたとみられるが、書類が既に廃棄されており、関係者の記憶も明確でなく、不正支出の額を特定できなかった。
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静岡県警・不正経理:返還総額は616万円
 静岡県警警務部総務課の不正経理問題で、県警は平成4年4月16日、不正支出を認めていた95年度総務課の旅費と食糧費の最終調査結果をまとめ、県議会文教警察委員会に報告した。県に返還するのは当初より約106万円増えて総額約616万円となった。県警は同課の96年度以降の旅費・食糧費の使用状況を調べたうえで、県警本部各課と県下の全警察署を対象に捜査報償費を含めた全庁調査に乗り出すことを伝えた。
委員会では冒頭、水田竜二本部長が「県民の信頼を損ねたことに対し深くおわびします」と改めて謝罪した。
 報告によると、不正支出の総額はカラ出張による旅費関係が約940万円、食糧費は約101万円と3月時点と変わらなかったが、使途不明金が約66万円増え、約316万円となった。裏金の使途には本部長公舎の植木せん定(約20万円)▽本部長室用の雑誌購入(約8万円)▽来客者用土産代(15万円)などがあったほか、総務課員を慰労する宴会費(推計10万円)にも流用していた。
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■こうしてみると、本部長公舎にかかわる植木剪定、雑誌購入、来客用土産代、慰労会と称する宴会開催の費用など、私的か公的かの線引きをきちんとしておかないと、不正経理に結びつきやすいことが分かります。しかし、これをもって直ちに群馬県警で同様なことが発生しているかどうかについては、現時点では断言できません。

 以上のとおり、総じて、今回の県警本部長に関する疑惑調査要請は、まるっきりガセネタとは思えないフシがあります。しかし、市民オンブズマン群馬として、時間的にもマンパワー的にも十分な調査をする余力がないため、今回は詳しい調査活動は見送ることにしました。

 せっかくの疑惑調査要請ですが、投書された匿名者におかれましては、かかる事情をご賢察の上、ご理解をお願いするとともに、できれば実名で、かつ、さらに具体的な事実関係を証する資料も併せて提供していただけると、市民オンブズマン群馬としても、活動しやすくなるので、次回の参考にしてください。もちろん、実名で情報提供された場合、秘密は厳守しますので、ご安心ください。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

コメント
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