市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

看板から名前を忽然と消し去っても粛々とLPガスを運び続ける多胡運輸の現在と首都高との裁判の相関性

2012-03-08 21:20:00 | 首都高炎上とタゴ運輸
■多胡運輸といえば、安中市民に悪夢の103年ローンを払わせている安中市土地開発公社を舞台にした地方自治体としては史上最大クラスの51億円横領事件の単独犯とされている元職員タゴ(2009年9月刑期満了)の実弟が創業し経営している運送会社であることを安中市民なら誰でも知っています。その多胡運輸は2008年(平成20年)8月3日(日)早朝、東京都板橋区熊野町の首都高5号線下り線と中央環状線外回りの合流地点で首都高史上最大の物損事故を起こしました。

↑<9ヶ月前の様子>昨年6月ごろの多胡運輸。手前の看板に社名が大書してあった。

↑<先月の様子>左手の2本の青い支柱の上に“多胡運輸㈱本社営業所車庫”と大書してあった看板がなくなっている。

 このため、首都高は2008年10月14日、首都高5号線の復旧工事が完了し、約2ヶ月ぶりで全面復旧した時点で記者会見を行い、佐々木克己社長は「事故による被害額は、最大45億円に上る見通し。損害が経営に与える影響は小さくない。賠償請求をきちんとやりたい」として、平成20年度内に賠償請求額を確定し、事故を起こした群馬県高崎市の多胡運輸だけでなく、ガソリン運搬を依頼した荷主にも賠償請求できるかどうかも検討する方針を示したのでした。

 しかし、首都高はその後3年近く、損害賠償を求める裁判を起こすかどうか慎重な対応を見せました。もしかしたら賠償請求をしないのかもしれないという見方が広がりつつあった最中、時効が来る2011年8月3日寸前に、首都高は「交通量が著しく減り損害を受けた」と主張してガソリンの運搬を委託していた出光興産などに、約34億5千万円の賠償を求める裁判を起こしました。

そして、2011年10月7日に東京地方裁判所で初めての審理が開かれました。首都高からの訴えについて、出光興産は、「今後、どのように対応するか検討していきたい」と話していました。その後、審理は現在も継続中と思われますが、マスコミはその後、この件で報道していません。

■そうした中、先月はじめ、当会に「多胡運輸の看板がなくなった」という知らせがありました。さっそく現地に直行すると、なんと、本当に多胡運輸の看板がなくなっており、アポロマークの出光興産のロゴの描かれた大型タンクローリー数台が1台も見えないのです。

昨年末まではこのあたりに5、6台のアポロマークの大型タンクローリーが駐車していたが、現地調査時(2月14日)には1台も見当たらなかった。

 驚いて、よく観察してみると、施設や建物の外観は殆ど変わっていませんが、多胡運輸と大書した看板が忽然と消えていること、入口に「㈱美正駐車場」と書いた看板があること、アポロマークの大型ローリーが姿を消していることは間違いありません。

長野新幹線高架下をくぐると、左手に多胡運輸がある。入口に「㈱美正駐車場」と看板がある。↑

反対側から、新幹線高架側を見たときの多胡運輸の入口付近の様子。

 これが、首都高との損害賠償請求訴訟の影響かどうかは定かではありませんが、なんからの関連があると見るべきでしょう。

■注目されるのは、あいかわらず出光系の赤尾商事のプロパンガスの運搬事業は活発な様子です。また、敷地内には、それまで出光の大型タンクローリーが数台駐車してありましたが、それが姿を消した分、一般の乗用車が多く見られます。

大型ローリーやトラックが姿を消し、乗用車だらけになった敷地内。

 さらによく看板類を観察すると、多胡運輸の文字が消してあるのもあるし、まだ消し忘れているところもあります。

首都高横転炎上事故直後、ニュースで有名になった多胡運輸本社玄関入口に置かれた立看板。看板のスローガンの一番上に横に「多胡運輸」の文字が書かれていたが、今は白く消されている。

↑<3年半前の様子>2008年8月3日の首都高横転炎上事故直後にTBSニュースで報じられた当時の多胡運輸本社玄関前の立看板。

多胡運輸の名前は、このオレンジ色の看板にまだ記載されている。この看板によれば、㈱美正は「中古車販売」を、多胡運輸は「車検・一般整備」の業務をしていることになる。

いままで通りの多胡運輸の「車検・一般整備工場」。

 ネットで検索すると、株式会社美正(びしょう)は、「高崎市の引越し業者・運送業者」であり、住所が「〒370-3104群馬県高崎市箕郷町上芝541-2」とあります。これは多胡運輸の住所と同一です。

 別のネット情報によれば、株式会社美正(TEL027-386-8011)は、「群馬県高崎市沖町486番地5」に住所を置いており、この場所は、長野新幹線の高架脇にある多胡運輸の所在地と県道10号安中前橋線の沖町東交差点のほぼ中間にあり、多胡運輸(TEL027-360-7333)から沖町東交差点に向かって約1.2キロ南下した左手の道路脇にあたります。

■以上のことから、多胡運輸の文字が消えていて、入口に「株式会社美正 駐車場」の看板があり、多胡運輸のメインの商権である出光興産の石油製品の運搬の象徴だったアポロマークの大型タンクローリーが姿を消しており、しかし、依然としてアストモスエネルギー社(出光興産と三菱商事のLGガス子会社が事業統合したLPガス専業会社で、日本のLPガス市場のシェア20%を握る)のプロパンガスを運んでいるところを見ると、多胡運輸を擬装倒産させて、主力だった出光興産の石油製品の運送にかかる取扱利権は、元請のホクブトランスポートに戻して、その他のプロパンガス事業の商権を株式会社美正が引継いだのかもしれません。

出光のアポロマークをつけた大型ローリーのかわりに、LPガスタンクがゴロゴロ。もはや出光の液体石油製品の配送はやっていない様子。

 当然、東京地裁で係争中の首都高速道路株式会社と出光陣営(出光興産・ホクブトランスポート・多胡運輸)との間の係争に推移が、こうした多胡運輸の看板の架け替えに何らかの関係があるのは否定できないと思います。

いずれにしても、この時期に、多胡運輸の名前が忽然と消されたことは、首都高の損害賠償請求で、多胡運輸に直接火の粉がかからないように、元請のホクブや、その発注元の出光興産で、配慮せざるを得ない深い事情があるものと推測されます。

【ひらく会情報部】

コメント (2)
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