■安中市は、2010年(平成22年)2月開催の地区別懇談会から、同懇談会に参加した住民に対して、回答と説明をするようになりました。この背景には、平成22年10月28日に、岡田義弘・安中市長が、群馬県功労者表彰制度の「地方自治」分野で「市民対話で融和に努力」したとして表彰される話が浮上したため、慌てて懇談会参加者宛に個々に回答書類を発送する気になった事情があるようです。それでは、今年2月20日に岩野谷公民館で開催された同地区の地区別懇談会で参加者から提起されて質問や意見等に対する岡田市長からの回答・説明内容を見てみましょう。
【送り状】**********
(公 印 省 略)
平成25年 9月 9日
平成24年度地区別懇談会参加者各位
安中市長 岡田 義弘
(総務部秘書課)
地区別懇談会でいただいた意見の回答の送付について
2月1日から22日にかけて行った地区別懇談会には多くの皆様に参加していただき、誠にありがとうございました。当日いただいた意見に対する市の回答を送付いたしますので、ご覧ください。
また、ご回答が大変遅れましたことをお詫び申し上げます。
なお、同一の事項に対し、複数の方から意見が出た場合等は編集の都合上、意見の集約等を行っているほか、担当部署からの補足説明も加えておりますので、ご了承ください。
また、送付に関しては、会場で記入していただいた名簿をもとに送付させていただいていますので、誤字等ありましたら、ご容赦ください。
【問合せ】
安中市役所秘書課広報広聴係
Tel 382-1111
(内線1014)
【回答・説明内容】
平成24年度地区別懇談会
いただいた意見とその回答
岩野谷地区
実施日:: 平成25年2月20日
参加人数:22人 ※住民の人数だけでなく、市側からの出席者の人数と職位・氏名も記載すべきではないのか。
●意見・要望(岩野谷地区)→ ▼回答・説明 ※( )内は当会コメント
●市役所に電話して、広報何月号に載っているのでということで質問したが回答にすごく時間がかかった。勉強不足である。
→▼市役所はそれぞれ担当課が決まっているため、担当していない課のことはわからないの
が現状。
※これは明らかに実際のやり取りを反映していない。住民は「広報くらいは職員が直ぐ手に取れるように、各課毎に目に付く場所に保管しておいてください」と要望していたが、市長のトンチンカンな回答しか載せていないのは怠慢である。住民の要望を故意に無視した可能性もある。
●税の申告についてであるが、申告書を作っていった人も何もしてきていない人も同じ様に待だされてしまう。作っていった人はおいてくればいいようにするなどしてもらいたい。
→▼申告時期には大勢の皆さんが申告に来庁されますので混雑し、ご迷惑をおかけしております。さて、申告書を自分で作成した場合には、相談をする方とは別にしたらどうかということですが、今年の申告期間中にもご意見をいただき、早速、自分で申告書を作成し完成している方の申告書は預かるような体制を作りました。市としても、自分自身での適正な申告書作成を、一層促進していきたいと考えております。これからも、ご意見等をいただければありがたく思います。よろしくお願い致します。〔財務部〕
※税務申告時の市民サービスについての対応は記載があるが、人口増による市の活性化対策についてのやり取りの記載が見当たらない。また、タクマによるゴミ焼却炉談合問題についての意見も出たのに省かれている。
●碓氷病院の赤字を改善するようにしていただきたい。
→▼碓氷病院についてですが、二年前に受診したときと比べて天と地ほどの違いがある。対応が凄くよくなった。という手紙をいただいた。医師をはじめ職員に自分で開業したと思ってやるように指示しています。
→▼業務の外部委託や職員削減により人件費を抑制し、また、経費の節減にも努めておりますが、地方の医師不足により整形外科、泌尿器科等の常勤医確保が厳しい状況であります。収益を上げるため引き続き医師招聘に努力してまいります。併せて、職員の接遇等、患者サービスの向上、意識改革にも努め、患者の増、経営改善を図っていきたいと思います。〔碓氷病院〕
※市長の自画自賛のコメントばかりではなく、赤字がいくらで、それがどのように推移してきて、今後どのような見通しなのかについて数字を示してわかり易く記載すべきです。
●防災無線が今度、増設されるらしいが、きのう火事があったらしいが、全然判らなかった。
●防災無線が聞こえにくい。野球場の高い位置のところなどもっと高いところにつけてもらいたい。
→▼防災無線で流す地域が選べることになっています。昨日の火事は原市であったのでそこのところを確認しないとわかりませんが、現在防災無線を増設等し改善をはかっているところです。
→▼防災行政無線につきましては、平成22年度において108子局を整備しましたが、それが聞こえているかどうかの調査を平成24年度に専門機関にお願いし実施しました。その結果を基に、難聴地域の解消を図るべく33局を増設、さらに34局のスピーカーを調節し本年3月に竣工しました。これをもって、山間部等一部の地域を除き、市内全域が防災行政無線の放送が聞こえることになったと思っています。しかしながら、天候状況や放送内容等によっては聞こえづらいこともあろうかと思います。そのような場合は、情報を提供していただき、機器の調整・改善を図っていきたいと考えております。なお、特定の地域限定の内容については、それ以外の地域に流さないことがありますのでご了承ください。
※安中市防災行政無線テレホンサービスについて
防災行政無線子局の放送内容が聞き取りづらかった場合に、放送された直近の内容を電話にて確認できる自動応答システムを運用しています。ご利用の際は電話番号027-382-8300へおかけください。〔市民部〕
●文化センターにエレベーターを作ると聞いたが、ホールが老朽化しているので建て替える予定はないのか。前の席が寒い。
→▼現在は、小中学校の耐震工事を優先して行っているため、文化センター建て替えの予定はありません。
※建て替えるという言葉は出たが、住民から「舞台の上はそれほど寒くはないが、観客席の前のほうが寒くてみんな後ろに行っちゃった」と具体的な指摘があったのだから、きちんとその点について対応案を記載すべきだ。
●安中から上ってくる坂の道を拡幅すると聞いたが早く歩道をつけるようにして欲しい。
→▼今後用地測量を実施し、その後用地買収を行い、以後拡幅改良(歩道設置)工事の実施を考えております。(建設部)
※いつどのような要件が整ったら、どういう日程案で実施するのかについて、具体的な説明がない。これでは、ずっと「考えております」だけでお仕舞いになりかねない。
●学童クラブの建設については、新年度から予算付けをして進めていただきたい。
→▼学童クラブの用地については区長会の皆さんに大変なご努力いただき、この場をお借りしてお礼申し上げます。
→▼新しい学童保育施設は、平成26年3月までに完成する予定です。〔保健福祉部〕
※せっかく完成予定日まで示したのだから、完成予想図や面積、収容人数等の規模も示してもらいたいものです。安中市HPにそうした情報をアップし、当該URLを示せば事足りるはずです。
●産廃について市長は反対ということだが、住民と一緒に反対ということをなぜしないのか。カンキョウ資源という会社は我々の反対に対して、県の22部署と46法令に基づいてやっているから大丈夫だとといっている。
→▼産業廃棄物処理施設の許認可権は県であり、本市としては事前協議規程に基づき意見を述べるだけで、県の判断で協議が進んでいる状況です。(株)環境資源に関しては、事前協議が県に提出された当初より庁議により反対の意見を提出してきましたが、県の判断で事前協議が進行している状況があります。地元住民の皆さんから施設設置の賛成及び反対の陳情が提出されている中で、市としては反対でも、個々の皆さんのご意見に踏み込むことはできませんのでご理解をお願いいたします。〔市民部〕
※住民の切実な要望に対して、声を裏返して議員の怠慢のせいにした岡田市長の説明部分が市側の解答欄で省かれているのは、やはり岡田市長の指示によるものなのだろうか。また、苦し紛れに原市の汚泥堆肥化の中間施設について岡田市長から意味不明の説明がありましたが、それも見当たりません。意味不明だから記載しないのか、岡田市長にとって都合が悪いから記載しないのか、いずれにしても、市側の回答として不十分な気がします。
●上毛新聞の森林環境税の賛否についての質問について答えなったのはなぜか。
→▼地方分権により、国、県、市が法的には対等になりました。県が決めて県議会に特別委員会を設置して県議会で議論して決定するものですから市町村が答える立ち場にはありません。
※地方分権で法的に対等だとする岡田市長の見解ですが、2000年施行の地方分権一括法のことを指しているようです。確かにこの法律によれば、機関委任事務が廃止されて、国と地方公共団体は名目上では対等な関係とされています。しかし、税法上はそうなっていません。都合のよいとこ取りは岡田市長の得意技でしょうが、正確な説明をしないまま、行政法に疎い住民らを惑わさないでほしいものです。
●農業委員の選挙の関係で問題がある。
→▼平成25年3月に行われた農業委員の選挙において、特に問題は無かったと認識しています。〔総務部・農業委員会〕
※住民から農業委員の選挙について、もっとオープンにして有権者に候補者の情報を周知するようにと要望があったのに、「特に問題はなかったと認識している」という回答では、余りにもそっけないと思っていないようです。岡田市長は懇談会でこの質問が出たとき、間髪をいれず農業委員会や選挙管理会は行政の権限の及ばない組織だと言い切りました。だから選管と農委からしかるべき意見や回答があるはずですが、なぜ岡田市長はこれらの組織にきちんと回答させようとしないのでしょう。
●以前、区の統合前に区長名で産廃の誘致要望を出したようだが、要望書等の保存年限に決まりがあるのであれば、それを過ぎたら、きちんと廃棄してほしい。
→▼原則として、保存年限はありますが、市民要望ということなので、めどがつくまで保管しているというのが今の状態です。
※この回答に岡田市長の魂胆が見えます。元の区長名で業者が産廃誘致要望書を出させておいたのは、地元住民の意見として産廃賛成の根拠となるものなので、それが如何なる背景と経緯で出されたのかは不問にし、その存在を最後まで、つまりサンパイ場の許可が下りるまで10年でも20年でも保存しておくことが、岡田市長にとっての「めど」のようです。サンパイ場を作らせることが本意であると、二枚舌をやめて市民に率直に自らの方針を語れば、こうした二重基準は起こり得ないのです。
●環境事業で、もっと地元に丁寧に説明会するように県に要望ほしい。先ほど企業の説明で県の22の部署で見たから安心だといっていたがどのような文書を出したのかを説明してもらわないとわからない。住民説明きちんとするように市からも言ってほしい。
→▼市としては業者に説明を求めることなく、当初から反対意見を提出した訳でありますので、ここで説明会を要望するのは難しいと考えますが、地元の皆様のご要望であれば検討させていただきたいと思います。〔市民部〕
※岡田市長がこのとき例示した笹子トンネルの事故をもとにした説明について記載がありません。また、市民部のこの回答によれば、業者の見解者について、きちんと業者に地元住民に対して説明会を開かせることを「検討させて頂きたい」と言っています。これも、きちんといつごろを「めど」に開催するのかが分かりません。この「めど」がサンパイ場の許可という意味なのかもしれません。群馬県と安中市のサンパイ行政の実態が如実に現れているといえます。
●民生委員をしており、一人暮らし高齢者を訪問したりしているが、避難場所である公民館まで一人ではこれない人が多くいる。
→▼ご指摘の通りで、車で救助に向かうにも渋滞に巻き込まれると思われます。内部協議もしていますが、大変難しい問題。皆さんのお知恵もお借りし、しっかりしたものを作らなければと思っています。
※これも、結局は市長として行政として、やる気がないということのようです。
●未来塾との訴訟で、5万円と利息を含めて、市に支払い命令があり、市長がポケットマネーで支払おうとしたが、公職選挙法で禁止されているからということで、市から支払ったとのことだった。せっかく市長個人で支払うという崇高な気持ちを大事にしなければと思い監査請求を行ったが裁判に従って支払ったまでであるという回答だった。市から市長個人へ請求し、市長個人が支払うのであれば問題ないのではないか。
→▼いただいた情報公開請求の中で「首長が賠償金を支払うということは寄付行為に当たるからできないとする法的根拠は確認できなかった。」というご指摘をいただいた。一人でも支払うべきという人がいるのであれば、支払いたいと考え、個人的に市へ支払いをさせてもらいました。
※この問題について、住民監査請求をしても監査委員は「市が裁判敗訴判決の賠償金を支払うことは問題ない」といい、法制課の担当責任者も「公選法違反になるおそれがあるから、市長はポケットマネーで支払うことはできない」という見解でした。これには呆れ果てて住民訴訟も検討したが、費用対効果の観点から踏み切りませんでした。太田市の当選御礼記事掲載による広報刷り直し問題と同様、きちんと市議会に市長の給与減額に関する臨時条例を制定すべきだと、当会が要望しましたが、そのことも記載がありません。
●公社の問題で元職員から回収したのは1400万円。市民に負担の無いようにどのようにするのか。 ※この質問に対する答えが見当たりません。
●元職員の家は競売にかけたのか。
→▼市役所隣の家については、競売しようとしましたが、土地が母親の名義であるため、上手くいきませんでした。競売できるのは建物だけであるため難しく、何度も競売にかけると供託金が減ってしまうため、供託金を減らさないようにするため競売は取りやめています。
→▼絵画については今景気がどん底であるので、冷暖房完備しているところに保管しています。保管している2点は偽者。あと4点は、詳しく知れべないと判らないということです。
※住民は、市税滞納者への徴税督促強化について、タゴ及びその関係者に対する賠償金請求と強制取立をきちんとした上で、市民への徴税強化をするのでなければ、バランスが取れないと要望したのですが、なぜかそのことについては省かれています。また、市役所前のタゴの家や王料金で購入した絵画類の競売に関してですが、さすがにタゴ事件をよく知る岡田市長ならではの回答・説明です。すべて自分で回答しているからです。でも市役所の目の前のタゴの親族所有地の件は、元職員のタゴやその配偶者が全財産を以って償うと裁判所で約束したのですから、岡田市長はタゴに強く迫れるはずです。それをしようとしないのは、やはりこの事件の真相と罪をひとりで背負ったタゴに対して、何かしらの遠慮があるようです。
●公害汚染土壌の土地改良の問題で、今日解答をもらったが、いろいろ問題があるが再客土の問題が一番の問題。古城団地の土をもってくれば自然破壊につながってしまう。
去年の推進委員会で話のあった鷲宮にある桑園の工場団地に建設に伴う土は登記手続き等の問題のため利用は断念したとのことだが、どういうことか。
→▼工業団地は相手にわたす時期が決まっているため、土地改良の日程が決まるのをまっていられないためです。
※秘書課の担当者は、この質問者の発言をきちんと把握していないようです。せっかく当会が、今年の3月7~9日にかけて岩野谷地区の地区別懇談会の一部始終をブログに掲載しておいたのに、活用していないからです。「再客土」ではなく「排客土」が正しく、「古城団地の土をもってくれば自然破壊につながる」ではなく「古城団地がつくられる前に、山の土を客土用に大量に削ったのと同様なことをすれば自然破壊につながる」が正しい発言内容です。また、住民からは、安中の鷺宮の桑園開発で出る大量の表土は一旦、どこかの市有地に保管するなどして、東邦亜鉛安中製錬所周辺の重金属汚染土地改良事業に備えることが最優先ではないかと提案しましたが、そのことも全部削除されています。
●市民が楽しみにしていたフリーマーケットを再開するため、米山公園等の場所を借りに行ったが貸してもらえなかった。
→▼米山公園は市民の憩いの場であるので、西毛総合運動公園の射撃場と野球場の間に多目的のイベント広場を用意したのでそちらを利用していただきたいということです。
※未来塾のフリーマーケット用には市有施設は貸し出さないが、安中市は、たとえば明日9月15日(日)の9時から15時まで、社会福祉協議会や福祉ふれあまつり実行委員会には、総合体育館スポーツセンターの施設及び市役所や会場周辺の駐車場を貸し出し、さらにはシャトルバスまで運行させるという破格の便宜供与を図っています。なぜ特定の団体には貸し出して、住民団体には貸し出さないという二重基準を適用するのか、その理由説明が省かれています。
■今年で4回目になる、地区別懇談会参加者への市側回答・説明内容の個別郵送配布ですが、当初の10月末配布よりは、1カ月範囲上、配布次期が改善されたとはいて、未だに地区別込んだ位階開催後半年以上が経過しています。
しかも、住民とのやり取りの内容が、要旨だけだとしても、市側或いは市長として都合の悪い部分については、記載がないものもたくさんあります。これでは、せっかく配達経費をかけて配布しても、効果が半減してしまいます。
できればYouTubeのように動画で撮影して、懇談会のやり取りをすべてホープページ上にアップできるような態勢を整えてもらいたいと思います。
【ひらく会情報部】