市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

失われた18年…東邦亜鉛安中製錬所周辺の汚染土壌の除染対策はなぜ先送りされたのか(その2)

2013-09-17 00:57:00 | 東邦亜鉛カドミウム公害問題

■行政の怠慢と無責任により、18年という貴重な歳月が無為に過ぎ去ってしまいました。18年前に立案され、幻となった計画の続きを見てみましょう。

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【碓氷川流域農用地土壌汚染対策(畑対策)の計画概要…53年計画との比較(未完)】
 53年計画         今回の計画構想       課題・問題点
●工法等
 ・原状回復方式       ・区画整理方式       ・施工単価比較
 ・排土客土工法15,30,30cm  ・排土客土工法15,20,30cm  
●事業計画概要
 ○指定地21.91ha      同左(現況農地 ha)
 1公特事業   25.78ha   1指定地等…公特事業2-(1)約20ha余 ・県営事業の採択要件20ha以上
  ・指定地   21.61ha                 ・計画検討中
  ・再汚染防止工 4.17ha
 2関連桑園   22.4ha   2要観察地域…公特事業2-(3)約40ha余 ・計画検討中
               3非農用地区域等      ・計画検討中
                ・公共用地(緑地公園、農村公園)
                ・道路水路
                ・宅地
●事業費と負担区分
 1工事費等         1公特事業…■■と仮定した場合 ・事業費積算中
  ・公特事業■■■■■    ・指定地等…2-(1)     ・要観察地域の負担割合の調整
    うち企業■■■(75%)  ■■■■■■■■■■■■■
  ・関連桑園■■■(企業)   うち企業■■■■(75%)
  ・総事業費■■■■■     ・要観察地域…2-(3)
    うち企業■■■(86.5%) ■■■■■■■■■■■
                  うち企業…小規模と同率とした
                  場合(国50県32市7.2企業10.8)
                        ■■■■
                 ・総事業費■■■■■
                  うち企業■■■■■(32.2%)
 2補償 ■■■■■■■
  ■■■■■■■■■■■■■■
    ■■■■■
※事業量・事業費については、現在検討調整中である。

【碓氷川流域農用地土壌汚染対策(畑対策)の推進状況、課題及び推進方向(メモ)】
●対策計画の変更
◆区分:1土地利用計画
 推進状況・計画概要:◇指定地(畑)21.91ha うち農地利用20ha以下(再汚染防止工)と合わせて20ha余)
 課題:◇公特事業の計画と整合させる
 今後の推進方向:◇地元合意等により公特事業の計画がある程度固まった時点で対策計画を変更
◆区分:2対策処方
 推進状況・計画概要:◇区画整理方式(一部現状回復)
           ◇排土客土工法 15,20.30cm
 今後の推進報告:◇県環境審議会・安中市の意見聴取、国の承認(年度末~8年,度)
◆区分:3事業費・企業負担
 推進状況・計画概要:◇指定地等の企業負担率は75%(要観察地域の企業負担は未定)
 課題:◇法に基づく対策計画の対象は指定地であるが、要観察地域も合わせた全体計画を明らかにする必要がある
 今後の推進方向:◇要観察地域(2-(3)事業)の事業費負担割合を調整(1月~)
◆区分:3その他①排土の処理
 推進状況:◇公特事業実施区域内の窪地に埋設(一部緑地公園)
 課題:◇汚染ま埋設場所の施工方法と地権者の合意
 今後の推進方向:◇埋設場所の基盤土・客土厚等
         ◇円滑な地元対応・説明
◆区分:3その他②土取り場
 推進状況:◇候補地①■■■■
          ②その他の山林等
 課題:①■■■■…市の跡地利用計画、農委との調整、水源対策
    ②その他の場合…土性。開発可能性
 今後の推進方向:①市の跡地利用計画・水源対策
         ②■■■■以外の土取り可能地検討
         ◇当面の地元説明、候補地選定
●公特事業
◆区分:1計画構想(H5地元説明時)
 推進状況・計画概要:
   ①計画区域(対象地)約88ha 指定畑21.6、再汚染防止工4.2、要観察畑60.1、要観察田2.7)
   ②事業計画 受益面積(仕上り農地)62.8ha(畑60.1、田2.7)
         その他25.6ha)公園用地、現況非農地)
 課題:◇概算事業量・事業費の把握
    ◇地権者意向を反映した事業計画の詰め…計画区域、土地利用
    ◇公共用地の区域、非農用地区域の換地・買収方法等
    ◇排土処理…施工計画
    ◇客土材の確保方法…買土方式
 今後の推進方向:◇12月中に概算事業費等積算予定
         ◇仮同意の徴取と並行した地元調整
         ◇市の方針等を明確にする
         ◇排土量・埋土可能量の積算・調整
         ◇候補地の選定と確保方法
◆区分:2地元調整
 推進状況:◇7年10月アンケート(無記名)賛成78%、反対8%、わからない13%
      ◇公特事業推進委員会設立(9月7日)
      ◇仮同意により地元意向確認予定
 課題:◇役員等の取組姿勢・体制
    ◇地権者から種々の意見が予想される
    ◇役員会で一部役員から永年性作物等の補償価格提示の強い要望
 今後の推進報告:◇役員のリーダーシップ体制づくり
         ◇役員会開催方法・内容・段取、想定質問の円滑な対応
         ◇補償に関する企業との詰め

【碓氷川流域農用地土壌汚染対策(畑対策)関係検討整理資料一覧(メモ)】
                   7.1.6 農業技術課
1 基本的資料……年内整理、年明けに会議
 ・推進の経緯…技術課
 ・推進方針…技術課
 ・対策計画変更の概要…技術課
 ・公特事業計画の概要…土地改良
 ・  〃 概算事業費
 ・  〃 実施面積…現況・計画…地目別、指定地・再汚染防止工・要観察地域別
 ・推進スケジュール…技術課・土地改良・市
2 調整・検財用資料……逐次整理
(1)全 般……技術課
 ・推進状況と課題
 ・推進スケジュール…関連法手続き等、調整・詰めの手順
(2)対策計画関係…技術課
 ・変更計画書
 ・  〃  の概要…国等との事前調整、審議会用
(3)公特事業関係…土地改良・市
 ・土地改良法手続等の流れ・スケジュール
 ・地元調整・推進の手順・段取
 ・事業費等積算基礎
 ・設計構想図面
(4)土地利用計画…市中心
 ・指定地・公特事業実施区域(指定地・再汚染防止工・要観)の現況・計画地目等別面積
 ・公共用地の考え方…面積、換地・取得方法、概算事業費
 ・地元調整過程での対応の考え方(区域除外等)
(5)土取り場
 ・市の当面の方針、候補地選定の方針…市
 ・公特事業(土地改良施工上)における客土材確保方策…土地改良
(6)排土処理
 ・ほ場整備農地内埋め土と土捨て場(位置・土量計算等)…土地改良
 ・埋め土処理の取扱方針…対策処方と施工方法、地元説明・・・技術課・土地改良・市
(7)東邦亜鉛,(株)対応・・・技術課中心
 ・東邦亜鉛(株)の要望事項と問題点
 ・53年事業計画と今回の事業計画との比較(事業内容、事業費、負担区分)…土地改良
 ・対策計画変更の考え方…基本的事項は整理・回答済

【碓氷川流域農用地土壌汚染対策変更計画書の土地利用計画における県の基本方針】
               平成7年3月29日
               農 業 技 術 課
1.基本方針   ・
 対策計画における土地利用計画は、農地法の農地の定義及び土壌汚染防止法の農用地の解釈から、その土地の登記等をもとに形式的に決定されるものではなく、その判断が行われる時点(対策計画の策定時)における土地の現況を基本に計画することとする。ただし、土地利用の決定については、この基本方針で地権者に説明し、地権者の意向を十分に確認して決定することとする。
2.具体的事項
 1)地目が宅地で既に農用地外利用として認められる場合(現況宅地、駐車場等)
  ・農用地外利用とする
 2)地目が宅地で現況農地利用の場合(つげ、竹林、家庭菜園等)
  ・原則として農用地外利用と駿河、地権者の意向が農地利用を望むなら、地目を畑に変更することを前提に農地利用とする
 3)地目が農地で現況は農業用構築物あるいは宅地の一部として認められる場合(駐車場、庭の一部、庭木等)
  ・原則として農用地外利用とする
 4)地目が農地で現況も農地利用の場合
  ・農用地利用とする

【碓氷川流域農用地土壌汚染対策と公害防除特別土地改良事業(畑対策)における土地利用計画の調整について(内部検討用メモ)】
1 農用地土壌汚染対策計画における「対策地域の利用区分」
(1)利用区分
 ・農用地として利用する土地…………………田、畑、樹園地、放牧地
 ・農用地以外のものとして利用する土地……宅地、工場等用地、緑地林地、その他
(2)利用区分を行う上での基本的な考え方
①「農用地の土壌の汚染等に関する法律」により定義され、対策地域の指定及び対策事業等の対象となる「農用地」に関する解釈は、農地法上の農地及び採草放牧地と同様であり、現況により判断することとなる。
     農用地=農地(田、畑)+採草放牧地
②土壌汚染対策地域の指定は、現況農用地を対象として行われ、その対策計画については、対策計画時における現況農用地について、排客土等を行い、公害を除去し、農作物の栽培に支障が生じない良好な農用地として復元することを基本とし、地権者の意向等によっては、宅地等の非農業上の土地利用を図ることとして土地利用区分(土地利用計画)を行うこととなる。
③従って、土地利用区分で、非農地として区分を行う場合には、土地の現況の他、ある程度公的開発の見通し、他法令に基づく開発許可の可能性等に配慮する必要はあるが、具体的な農地転用・開発の時点で、個々に法令等に基づく許認省ける必要があり、その時点で許認可権者により可否の判断が行われることとなる。(土地利用区分上の非農地部分であっても転用が認められない場合もあり、逆に農地部分でも転用が認められる場合もある。)
④また、対策計画は、具体的な対策事業を推進することが目的であり、土地改良事業の計画・推進と並行的に整合を保ち定めることが望ましい。
 *土地改良事業実施区域外指定地=現況非農地、公共用地、宅地等利用希望、(陸稲不作付)
 *土地改良事業区域=創設非農用地区域、(異種目換地等)
2 土地改良事業計画における土地利用計画
 公的開発計画及び地権者等の意向により、土地改良事業の実施区域及び事業実施区域(換地区域)内の事業計画及び換地計画を決定することとなるが、非農業上の土地利用に開する調整の方向として次のようなことが想定される。
①土地改良区域外とする土地
 ・公共用地等(事業施工前に買収、施工)…特別養護老人ホーム、
 ・地権者の意向(将来宅地等志向)…周辺の事業実施に支障が生じない土地
                (宅地に介在した農地、事業計画区域の外延部)
 ・事業実施が著しく困難な土地…当該土地の立地条件・地形等と施工技術との関連
②非農用地区域の設定等
 ・共同減歩…道路・水路等
 ・創設非農用地区域…緑地公園、農村公園、
   ・底地地権者(非農用地区域予定地の従前地権者)の全員同意
   ・底地地権者の区域外換地(農地)、希望面積と区域外地権者の農地売却希望面積との整合、換地の評価方法
   ・換地処分と用地買収時期とのスケジュール調整
 ・東邦亜鉛(株)の所有地の取扱
③地目が登記簿と現況で異なる場合
 ・原則として現況農地を対象として事業実施
 ・現況農地・登記簿非農地…事業実施後農地(畑)として換地(異種目換地)
 ・現況非農地・登記簿農地…地権者の希望があり、簡易に農地復元できる場合は事業実施後農地として換地
 *登記簿農地で違反転用が行われている場合には、農業委員会の意向・処理を勘案する必要がある。
④道路計画との関連又は隣接地との区画を整形にするための非農地の事業区域への編入・
 ・編入した非農地については、整形にして原則として同面積で換地(面積が減少した場合は精算金)
⑤一筆の一部の現況が登記簿地目と異なる場合
 ・具体的ケースに応じて判断し、対応することとなるが、一般的には登記簿地目非農地で現況農地が相当面積ある場合に地権者の意向を勘案し、当該現況農地部分を分筆し、③の考え方で事業対象とする場合が想定される。(全筆編入し換地により処理することは可能か?)
  なお、現況非農地部分が簡易に農地復元できる場合は、全筆事業実施も可能
 ・現況地目の大半が非農地(農地が小面積)である場合は、④のケースを除いて、原則として事業区域に含めない。
⑤農地内に点在する果樹・花木等の永年性作物
 ・周辺との関連で一体施工区域…補償?
 ・事業区域の外延部…地権者の意向により、地区除外又は換地により周辺整形化
⑦土捨て場の取扱
 ・緑地公園予定地…創設非農用地区域
 ・土地改良事業予定地…農地復元…一般農地転用許可基準が適用される。
   (土壌汚染地であることを理由とする第三種農地の適用はない。)
   ・現地換地を基本とした関係地権者の合意
※換地関係の法手続等は、・事業計画の法手続等より遅れて進められることとなる。
※一般な土地改良事業の推進過程における計画熟度
  土地改良事業計画概要→事業計画  → 実施設計→工事→換地
          (県営事業開始手続)(採択・補助金)
          (改良区設立手続)
  地元の基本的合意  3条資格者同意  換地案合意
  (同意書・仮同意) 非農用地区域同意

【農用地土壌汚染対策と農地転用許可基準等との関連(内部検討用メモ)】
1 農地転用許可基準(要旨抜粋)
(1)「特定有害物質による汚染農地の農地転用に関する許可基準上の取扱について」
 (47.8.25、農林事務次官通達)により汚染農地に関して特例が設けられている。
①特定有害物質による汚染農地
 土染法3条の規定により農用地土壌汚染対策地域として指定された農用地(農用地土壌汚染対策計画において「農用地として区分された区域内の農用地を除く)
②汚染農地の農地区分の取扱
 汚染農地は、許可基準における農地の区分上、第三種農地とみなす。
③公害防除のための土地改良事業の取扱
 次に掲げる公害防除のための土地改良事業は、許可基準上の農業に対する公共投資とはみなさない。
(2)「農地転用許可基準」(34.10.27、農林事務次官通達)
①農地の区分
 ・第一種農地…農業生産力め高い農地
        土地改良事業等.の農業に対する公共投資の対象となった農地
        集団的に存する農地
 ・第二種農地… 略
 ・第二種農地… 略
②許可方針
 ・第三種を対象とする農地の転用は、原則として許可する。
 ・第二極を対象とする農地の転用は、第三種農地に立地することが困難・不適当と認められるものに限り許可することができる。
 ・第一種を対象とする農地の転用は、原則として許可しない。
③一般的基準
 ・申請目的の確実性…遅滞なく実行、他法令の許認可、資金調達 等
 ・計画面積の必要性…必要最小限、
 ・位置…農業生産条件に及ぼす影響、用途地域内の土地利用状況等
 ・用排水・・・他法令許認可見込、取水・排水に伴う影響
 ・被害防除…土砂・ガス・湧水粉塵等、周辺農地の日照・通風・耕作等
2 碓氷川流域畑対策における土捨て場の取扱
   区分/農用地土壌汚染対策計画/土地改良事業計画
  公共用地   /非農地利用(公園緑地) /非農用地区域
  区画整理予定地/農地利用        /区画整理・換地、農地復元
          客土厚…対策区に応じる (基盤土+客土)=1m
※区画整理予定地については、農地復元が行われることから、農地転用許可基準の特例は適用されないこととなる。

【碓氷川流域農用地土壌汚染対策地域における畑対策の対策処方について(メモ)】
内部検討資料・取扱注意         H7.9.12 農業技術課
1 畑対策の事業化に伴う対策計画変更の基本的な考え方
(1)経緯
①昭和47~49年にかけて指定された安中市野殿・岩井地区の畑21.91haについては、53年に対策計画の変更により、21.61haを畑として利用すべき土地とし、その対策上不可避な4.17haを再汚染防止工として位置付け、計25.78haの畑を対象として、対策計画が樹立された。(現状回復方式、排土客土厚15,20,30cm)
②以来、周辺の開運桑園対策(22ha余、対策内容は指定地同様)も併せて、現状回復方式による対策事業の推進を図ったが、地元の意向がまとまらず、事業着手に至らなかった。
③平成5年2月に公害防除特別土地改良事業運用の見直しにより、要観察地域内の農地も事業実施が可能となったこと等から、過去の推進経緯も踏まえ、平成5年度に県市等の関係者の協議により、周辺の要観察地域を含め区画整理方式による事業実施の検討を行い、国の基本的了解も得られたことから、現計画による事業推進を図ってきたところである。
 (5年11月から地元説明会開始、6年11月地元説明・アンケート調査)
④この間、対策計画の基本的事項については、地元及び国との協議調整の中で、次のような方向付けがなされ、この対策計画(対策処方)をもとに土地改良事業の構想を作成し、地元説明等が推進されている。
 ア)対策方式は、区画整理方式とする。(一部現状回復)
 イ)対策内容は、「53年計画」で承認された排土客土厚とする。(対策1地区…15 cm、対策2地区…20cm、対策3地区…30cm)
 ウ)指定地周辺の要観察地域の対策処方は、指定地に準じる。(対策地区別の指定地と嬰観察地域のー体的対策を行う。)
(2)対策計画変更の基本的な考え方
 今回の計画変更は、上記経緯のように、国から地元意向等に配慮した弾力的な事業対応(指定地と要観察地域の区画整理方式による一体的施工)の了解が得られたことから、これに伴い事業実施の見通しがづいた段階で、事業計画との整合を保ち、円滑かつ週切に事業実施が図られるよう、所要な変更を行うものであり、その基本的事項等は、次のとおりである。
①土地利用計画
 土地利用現況の変化、新たな公共土地利用計画及び地権者の意向等をもとに、土地改良事業の計画と,整合させ、土地利用計画を変更し定める。
②復旧方式
 現状回復方式から区画整理方式に変更する。
③工法及び内容
 排土客土  土壌汚染状況と降下灰塵量に応じて15cm、20cm、30cm
  ※53年対策計画と同様・
④要観察地域の対策
 指定地周辺の要観察地域については、従前は対策計画及び公特事業とは別途に企業負担による関連桑園対策として計画されていたが、公特事業実施について国の了解が得られたことから、一体的な事業推進を図るため、対策計画の中でも位置付ける。
 要観察地域における対策内容については、当該地の汚染状況等がその周辺指定地と同様であることから、指定地と同様とする。
2 対策処方(排土客土厚)の考え方
(1)対策処方(排土客土厚)の決定方法
■対策目標…玄米中Cd濃度  0.4ppm以下
     ■■■■     ■■■
 ↓→汚染状況等基礎データ(対策区別)①土壌の深度別汚染状況、②降下灰塵量
 ↓→積算・検証データ①玄米中のCd濃度と土壌中のCd濃度との相関関係、
 ↓         ②土壌の深度別Cdの玄米に及ぼす影響…寄与率
 ↓→30年後の陸稲玄米中Cd濃度予測 ①降下灰塵による作土中Cdの影響
                   ②下層汚染土の影響
■対策処方…排土客土厚
(2)対策処方の考え方
①(1)で示したように、対策処方については、対策事業実施後において汚染米が生産されることのな.いよう、対策区別の土壌汚染状況と降下灰塵による作土中Cd蓄積濃度を基礎データとし、土壌中のCd濃度と玄米中のCd濃度との相関関係(陸稲については相関関係が認められる)から、・積算・検証を行ったところ、53年計画と同様の排土客土厚となったところである。
 なお、平成5年度に国と事前調整を行った際、国の意見も、・現状回復方式から区画整理方式に変更されても、53年時に諸調査・手続を経て定めた対策処方については、‘変更しないことが妥当とのことであった。(基本的な状況の変化はない。)
②対策処方としての工法については、当該地区の地形、土層等の立地条件等をもとに地元意向も勘案して排土客土工法が選定されたところである。
(反転工…下層土に浅間砂・角磯・浮石、上乗せ客土…客土量膨大)
③排土客土厚については、前記方法で積算・検証されたものであるが、対策区別に15cm、20cm、30cmとなった理由・原因について、一般的に概括すれば、次のようなことがいえる。
 ア)当該地区で想定されるトラクターの耕うん深が15cm程度であり、最低、作土15cmは、良好な土壌とする必要がある。
 イ)排土客土厚については、土壌の深度別汚染状況と降下灰塵量により決定されることになることから、それらのデータをもとに対策区の区分を行っている。
 ウ)陸稲の栽培管理上、作土1 5cmの範囲は土壌の攬件が行われることを想定する必要があり、また、陸稲の根の分布は深さ30cl以下の層までおよび下層土壌のCdも陸稲に吸収されることから、作土の下の下層に高濃度の汚染土が残らないよう対策を講じる必要がある。
 エ)従って、最低15cm以上の排土客土が必要と考えられ、対策区別の深度別汚染状況をみると工場から近い順に30cm、20cm、15cmの範囲の汚染度が高く、それ以下の層の汚染度はかなり低くなっている。
 このように、工場に近いほど、土壌汚染状況が下層土におよぴ、また、陸稲の吸収率が高い作土中に蓄積される降下灰塵量も多いことから、積算・検証の結果、排土客土厚がそれぞれ3 0cm、20cm、1 5cmとなったものである。
3 対策処方と施工との関連
(1)施工方式が現状回復方式から区画整理方式に変更されたことから、区画整理によるテラス状基盤整地工に伴い土砂の移動・攬拝が生じるが、その状態は場所により異なる。
  従って、区画整理方式となったが、現状回復方式の場合と同様、排土後の下層Cd汚染土による影響を配慮して対策処方を積算している。
(2)対策処方と施工との関連については、対策処方による排土深・客土厚を確保するため、施工上は、現況基盤の均平度、切盛整地後の基盤の均平度及び客土後の畑面の均平度を考慮し、排土深及び客土厚の設計を行うこととされている。
(3)区画整理に伴い、施工上切り盛りが行われ、事業実施区域内の窪地に相当量の排土を埋設する計画であることから、排土埋設予定の窪地等では当該地の汚染土排土処理は不要となり、逆に、切土部分において排土処理が基盤整地工の工程の一郎となる面もあることから、合理的・効率的な施工が行われることとなる。

【再汚染防止工の位置付けについて(案)】
1 土壌汚染防止法上の位置付け
(1)土壌汚染防止法(以下「法」という。)では、農用地土壌汚染対策事業の内容として、法第5条第2項第2号で、「イ.農用地の土壌の特定有害物質による汚染を防止するためのかんがい排水施設その他の施設の新設、管理又は変更」「ロ.農用地の土壌の特定有害物質による汚染を除去するための客土その他の事業」等を規定している。
(2)碓氷川流域の畑対策では、陸稲作付畑が指定地となっていることから、指定地が桑園等(土壌汚染状況は指定地と同様)と混在しており、指定地の対策として排土客土工事(2号ロ)を行っても、その周辺の桑園等からの土壌の流入等よる再汚染が懸念される状況にある。
  このような指定地の状況であることから、昭和53年の対策計画策定時において、県が中心となり国及び地元との種々検討・調整が行われた結果、次のようなことから、隣接桑園等の一部(4.17ha)については、法第5条第2項第2号イに該当する再汚染防止工として、対策計画で位置付けたものである。
①本件畑対策においては、指定地及びその周辺の土壌汚染及び地形等の状況からして、指定地の対策上、周辺汚染土壌による再汚染防止対策が不可避である。
②再汚染を防止するため、土壌の汚染濃度が高く、水食等によって汚染土壌の流亡を誘発し、改良後の対策地域を再汚染させ、対策事業の実施効果の■■■■■■■を割ることが懸念される隣接桑園の一部について、公害防除特別土地改良事業を実施する必要がある。
③従って、■■■■■■■を前提とし再汚染防止指定地位置関係及び傾斜度等による流入土量の積算の結果、指定地の上位郎等の隣接桑園4.17haを対象に、再汚染防止工として排土覆土(15,20,30cm)を行う必要がある。
④なお、再汚染防止のための工法として排土覆土の方式としたのは、他の工法として指定地の上位郎等に土留工・排水路・土留防風垣等の工法も検討されたが、指定地が丘陵・傾斜地に散在し、かつ、区画が不整形であることから、いずれも指定地に直接隣接した上位郎のみの施工で対処することができず、広範囲(延長が長い)な対策とならざるをえないことから、用地確保、地元合意等の種々の問題・観点から実行が極めて困難であり、上位郎の排土覆土方式が最良と判断されたことによるものである。
(3)なお、指定地及び再汚染防止工以外のその周辺部(桑園等)についても、同様の土壌汚染地であることから、地元地権者等からは、再汚染源としての懸念、更には汚染による営農上の制約等解消のため、指定地及び再汚染防止工と同様の対策実施の要望もあったが、前記のとおり、法に基づく対策上は、指定地の汚染除去の効果維持期間を30年間とし、流入土量の積算により、再汚染防止工’の部分のみ対策計画に盛り込んだところであり、その他の桑園等については、別途企業独自の負担による対策を講じることとされていた。
2 公害防除特別土地改良事業上の位置付け
 公害防除特別土地改良事業実施要綱では、対象とする事業について、第2の(1)で、「土染法に基づき指定された対策地域(対策地域の隣接地域であって対策地域に準じて一体として事業を施工することが必要と認められる地域を含靫)において実施される同法5条2項2号に掲げる事業」と規定されており、再汚染防止工は、前記のとおり、法第5条第2項第2号イに該当するものとして対策計画に位置付けられたものであることから、まさに要綱第2の1による対策地域(指定地)において実施される事業に該当するものと判断される。
3,復旧方式の変更に伴う判断
(1)昭和53年の対策計画策定(変更)時においては、復旧方式を現状回復方式としていたが、この方式では種々の問題から地元合意が得られず、事業化が図れな,かったところであり、事業実現のための方策について検討・調整を進める過程で、指定地及び再汚染防止工以外の要観察地域についても、要綱第2の(3)の事業(要観察地域)として、第2の(1)の対策地域を対象とする事業と一体的に区画整理方式を導入し、事業実施を図ることになったところである。
(2)このように、今回の対策では、復旧方式を現状回復方式から区画整理方式に変更し、指定地及び再汚染防止工を第2の(1)の事業として、また、それ以外の周辺要観察地域を第2の(3)の事業として一体的に実施することとなったが、指定地及びその周辺の土壌汚染状況及び地形条件等の地域の実態について基本的な変化はないことから、対策工法(排土客土)及びその内容(15.’20.30CI)等についての変更はない。
(3)再汚染防止工については、指定地との関係等において、53年当時と現在とで何ら変わるところはなく、従って、当時と同様、指定地の対策上再汚染防止のため必要不可避のものであり、再汚染防止のためのいわば最小範囲ともいえる。
(4)以上のようなことから、再汚染防止工については、53年に国の承認を得て策定した対策計画上の判断を踏襲し、今回の対策計画の変更及び土地改良事業実施上、法第5条第2項第2号イに該当する事業として取り扱うことが妥当を判断される。

【農用地土壌汚染対策における客土材の確保について(関係者検討用メモ)】
1 農用地土壌汚染対策計画上の取扱
(1)農用地土壌汚染対策計画については、法令上
①対策地域の利用区分及び利用方針
②対策事業…実施区域、事業の種類(排土客土等対策処方)、事業費概算、事業実施者
③土壌の汚染の状況把握のための調査測定に関する事項を定めることとされており、施行通達、計画書様式の中でも土取り場・土捨て場については、触れられていない。
(2)このように、法令上の規定からは、土取り場等については、必ずしも対策計画の中で明らかにすることは要しないものと考えられるが、対策計画をよ,り具体性のあるものとし、あるいは、その熟度が高まっていれば、対策計画の中で位.置付けることが望ましいものと考えられる。なお、対策計画の中で位置付けた場合、当該候補地が変更になっても対策計画の変更は要しないものと考えられる。(碓氷川流域の場合、当初計画(47年)では土取り場は不明、現計画(53年)では土取り場を明らかにしている)
(3)従って、碓氷川流域の畑対策では、客土材が大量(約20万㎡)に必要であること等から、基本的には、土地改良事業の実行性を確保するため、候補地を選定することとし、その見通しがある程度ついた時点で対策計画を定め、その中でも位置付けることが望ましいと考えられる。
2 土地改良事業の計画・実施上の土取場の取扱
(1)設計・施工上の一般的取扱
①通常の土地改良事業における客土のための用土については、設計にあたって、通常、一般的な土性・運搬距離等をもとに現地番価格で積算し、工事発注後、土取り場の距離が設計時と異なること等から著しく価格が変わった場合等、必要に応じて、設計変更・契約変更により是正する場合が多い。
②必要土が極めて多い場合等で、工事の実行性及び設計積算精度を高めるため、あらかじめ土取り場の候補地を選定する場合もある。(碓氷川流域の場合もこのケースとして候補地が検討されてきた。)
(2)工事発注及び土取場地権者との契約方式等
①一般的手順
          土地改良法手続
          対策計画             土採取許認可
             ↓                ↓
   全体計画・概算設計 → 実施・請負設計 → 工事発注 → 土採取
<少量>基準単価(運搬距離等一般的想定)      (必要に応じ設計・契約変更)
<大量>候補地概定・特定
  ・業者の既設土取場                  土採取許認可
  ・土取可能山林地帯
  ・公共用地、開発予定地…実施設計前に取得、調整完了
②客土材確保の方策
 ア)客土材を工事現場着価格により買取り…買土方式
  ・落札業者(又は土取業者)が所有地から又は借地(又は土買取り・補償)により土を確保…開発行為の許認可
  ・必要土量が少量の場合、あるいは近辺に土採取可能(開発の許認可等見込)な山林等が相当ある場合には、設計段階で場所を特定しなくても問題ない。
  ・大量の土確保が困難と予想される場合は、あらかじめ、候補地を選定し、開発の許認可及び地元同意の見通しを確認しておく必要がある。(より実行性を確保するためには、あらかじめ条件等を提示・地元の基本的合意→落札業者等が開発許可手続・地権者と契約する等の対策を講じる必要がある。)
 イ)土地改良事業施工者(事業主体)による借地方式
  ・土地改良事業の実施主体が土取場の用地を借地し、土代相当額を借地料・土代補償費等として支払い、完了後、整地等を行い地権者に返却する方式。
  ・渡良瀬川流域では、あらかじめ候補地を選定し、当初この方式を予定していたが、事業途中で買土方式にし、土取り場も一部変更された。
 ウ)土地改良事業又は公共用地として買収し、採土する方式…買収方式・土地改良事業の中で土地改良区等が取得する方式も考えられるが、跡地処理、財産権(土地改良財産)等の問題点が多く、基本的には好ましくない。(土地改良区域と一体的な土地の場合には、換地手法を用いて最終的には農地又は非農地として処分することも考えられる。)
  ◎公共用地として取得した土地から採土する場合には、跡地の利用計画との整合を保ち採土することにより、跡地の復元・権利関係の諸問題も解決し、土取経費・造成費の面で効率的な場合も考えられる。
3 土取場に係る主要関係法令手続
 ・県大規模土地開発事業の規制等に関する条例…・.・・5ha以上の土地の区画形質の変更
 ・農振法(農用地区域の場合)…農用地区域の除外手続(農用地区域内のI一時転用許可は原則として1年以内)
 ・農地転用(農地の場合)……一時転用、農業委員会・県農業会議に付議、1 2ha以上の場合は、農林水産大臣許可(関東農政局・・・事前審査、許可申請)
 ・市町村の開発指導要綱……安中市の場合…特定工作物等3,000㎡以上
 ・公共用地(道路・水路等)……所有者・管理者との協議・同意、必要に応じ付け替え
 ※土取りの計画(採取方法・スケジュール・環境保全措置・運搬計画等)、復元計画等が必要となる。
 ※大規模な区域で筆数が多く、道路・水路等を含む場合は、採取後の復元計画、復元後の区画・権利の確定等が困難な場合も想定される。

【碓氷川流域農用地土壌汚染対策事業に係る土取り場の検討結果(案)】
1 経 緯
 碓氷川流域の農用地土壌汚染対策のための公害防除特別土地改良事業の推進にあたって、客土量が20~30万nfと想定され、事業実施上その確保が重要な課題であることから、平成2年8月以来、安中市及び県の関係職員により、20か所の候補地について調査・検討を行い、有力候補地の選定を進めてきたところである。
2 候補地の選定条件
 ・極力安中市内で客土材を確保する。
 ・客土材として適した用土が、まとまって確保できる場所であること
 ・客土材運搬のため、県道等の幹線道路が近くにあり、土取り場までの接続道路も完備されているか、簡易な仮設道路での対応ができること
 ・まとまりのある地権者の同意が得られること
 ・土取り後の土地利用についても関係者の了解が得られること
 ・周辺に著しい悪影響を及ぼす恐れがないこと
3 候補地の調査結果
 20か所の候補地について、土性、地形的・経済的条件等の検討を行った結果、別表のとおり5か所の候補地が選定された。
 この中でも土量土性等を勘案すると■■■■■■が最適地と判断されまた他の候補地では、必要土量を確保することが至難と推定される。
4 客土材確保のための方策
(1)土地改良事業による客土については、通常、少量である場合には、工事現場着単価により、積算・発注し、施工業者が直厦又は土取り業者を介して土を確保する方式が多いが、多量の場合には、あらかじめ候補地を概定し、あるいは特定して事業を進めることにより、事業の実行性及び設計積算精度を高める必要がある。.
(2)本土地改良事業においては、必要土量が多く、近辺における土取り業者等の既設(許認可済)の土採取場等の状況も勘案すると、あらかじめ相当量の客土材が確保できる候補地を選定し、事業推進を図る必要があることから、候補地の調査を行い、■■■■■■が最有力候補地と判断されたところである。
(3)■■■■■■における土採取の方策を想定すると、国有林に囲まれた25ha余の民、有地の中で、地権者の意向、開発に伴う周辺への影響、土地利用規制に係る調整等を図りつながら、土の採取区域及び採取方法等の具体化を図る必要がある。
 当該地区は、広大な区域であり、筆数も多いことなどから、施工業者(土取り業者)が土を採取する方式ついては、土の採取過程・採取後における周辺への影響、復元工事の徹底・権利確定等について懸念される問題点が多く、また、事業推進の進度と開発に伴う諸手続の時期・期間等の面においても調整が非常に困難と予測される。
(4)従って、■■■■■■を土取り場の候補地として、その具体化を図るためには、市が自然環境保全型の公共用地として取得し、開発に伴う影響及び跡地利用計画に配慮した土採取の計画・実行を図ることが、最善の方策であるとがあると考えられる。
 なお、土地改良事業の実施にあたっては、県が事業主体となった場合、事業主体である県と地権者である市との間で土の採取に伴う基本的事項Iに関して覚書等を締結し、また、必要に応じて協議のうえ、何らか契約により土の採取に伴う代金・補償費等を土地改良事業費として支払うことも考えられる。
5 土取り場確保のための今後の調整課題
 ■■■■■■を土取り場の候補地としてその具体化を図るためには、次のような基本的な課題があり、これらについて、土地改良事業の推進スケジュールと併せて、逐次、円滑かつ適切に処理し、推進する必要がある。
①市が、できるだけ早く、用地取得の方針決定を行うとともに都市計画基本構想で位置付けている「保全ゾーン」の方向に沿って跡地利用の構想をたてる。
②そのうえで、当該地区の自然環境及び周辺地域への影響に配慮した土採取の構想を描き、関係機関・地権者等との調整を図りながら用地買収及び土の採取計画を樹立する。
③②の推進過程で適時に土量・土性等の調査を行い、設計・事業費の精度を高めるとともに土地改良事業受益者への客土材の説明等を行う。
<土取り場候補地の現地調査結果>
No./候補地/面積(ha)/距離(Km)/可能量(千㎥)/地目/土地の概況/評価/摘要
1/■■■ ■■■■/全体25.3うち約20/20/200 h=1.5/畑、原野、山林、宅地/開拓地…現営農1戸、国有林内緩傾斜地、■■■■■■■、下位部に簡易水道/◎/土量・土性・運搬面から最適、地元調整
2/■■■ ■■■/2/-/20/畑/群馬用水受益地、ほ場整備済、約1ha農転許可済/○/少量確保は可能、土質は最良
3/■■■ ■■■/3.3 残1.0/18/10/山林/林地開発許可済H.6 約1/2彩土済/○/少量、採土中…スケジュール
4/■■■ ■■■/6.0 残2.0/12/2/畑/採土中/△/少量、採土中…スケジュール
5/■■■ ■■■/3.5/6/21/畑/桑畑地帯、ほ場整備計画推進中/○/ほ場整備計画…スケジュール

【内部検討用メモ:碓氷川流域における畑対策の推進について】
                    平成7年7月26日
                    農 業 技 術 課
 碓氷川流域の農用地土壌汚染対策事業(畑対策)については、長年の経緯を経て、平成5年度から対策計画の構想(現計画・区画整理方式)を地元に示し、平成6年度にはアンケート調査等も実施し、事業の具体化に向けた詰めの段階を迎えているところである。
 従って、本対策の具体化にあたっては、現在までの経緯を踏まえ、円滑、かつ早期の事業実施に向けて、県、市、企業等の関係者が相互の信頼と協力のもと・に、地元の合意を得ながら、各種法手続及び諸調整を適期・適確に推進する必要がある。
1 要観察地域の費用負担のあり方
(1)農用地の土壌の汚染防止等に関する法律(45.12・.25)では、カドミウムによる土壌汚染対策地域の指定要件について、食品衛生法に基づく「食品添加物等の規格基準」(45.10月一部改正)による米の安全基準(玄米中のCd濃度1 ppm未満)をもとに、政令(46.6.24)により「その地域内において生産される米に含まれるCd濃度が1ppm以上であると認められる地域及びその恐れが著しい地域」と規定し、その指定及び対策計画の策定等について定めている。
 この対策地域における事業実施に伴う費用負担について、公害防止事業費事業者負担法(45.12.25)により、企業の費用負担を義務付けているところである。
 同法の解説では、土染法に基づく「公害防止事業に要する費用のうち事業者に負担させる部分について定めたものであり、それ以外の部分の費用負担について、被害者に負担させるわけにはいかず結局のところ国や都道府県・市町村などで負担せざるを得ない。」としている。指定地における事業者負担以外の負担については、公害防除特別対策事業補助金交付要綱により、国が55%補助する条件として、県営事業(20ha以上)の場合は県が41%以上負担、団体営事業の場合30%以上補助することとされている。
(2)上記負担法の解説及び補助率等については、指定地における事業者負担残に関するものであり、このことから要観察地域を対象とする2-(3)事業の費用を国、県・市で負担せざるを得ないということはいえない。
 要観察地域については、上記法律に基づく対策計画及びその費用負担の規定は適用されないが、土壌汚染による影響を相当受け、産米が一般流通できないなど農業経営上不利益を受けているところであり、その対策についても原因者である企業の社会的道義的責任があり、対策事業費の一郎を企業が負担すべきものと考えられる。
 なお、碓氷川流域においては、53年に畑地対策の計画時において、指定地及び再汚染防止工を対象として公特事業(企業75%)を実施するとともに周辺の桑園については、公特事業の実施が認められなかったことから、全額企業負担により事業を実施することとされていた。なお、公特事業の対象とならない農作物補償についても企業が負担することとされていた。
 その後、国・県等で種々検討調整が行われた結果、平成5年に「公特事業実施要綱」第2の(3)による要観察地域における事業実施に関する国の運用・解釈の弾力化・明確化が図られ事業実施が可能になったところである。
 従って、2の(3)部分については、53年の計画策定時における全額企業負担による事業実施から、公特事業として国の補助事業による事業実施に変更されたことに伴い、企業は、その経緯を踏まえ、原因者としての社会的.・道義的責任から、費用の一部を負担すべきものと考えられる。
(3)富山県における事業推進の背景・実情については、詳細は不明であるが、基本的には、従来指定地の対策事業(2の(1)事業)を行ってきたが、今回始めて要観察地域において2の(3)事業を推進するにあたって、費用負担割合について調整・合意がなされたものと理解している。
2 対策計画の進め方
(1)平成5年以来の対策計画推進の過程で、企業の費用負担の問題については、全体事業費及びその区分(2の(1)と2の(3))、農作物補償費等を積算する中で、企業としての負担総額を念頭に調整・判断したい旨の企業の意向もあり、昨年、補償費の試算等を行い、調整を進めてきたが、最終的には、土地改良事業の実施見通しを勘案した土地利用計画等がある程度固まった段階で事業費を積算し、県の予算要求に伴う県負担額の調整と併せて企業負担及び市の負担について調整することとして対策の推進を図ってきたところである。
 従って、事業費総額及びその負担割合等については、昨年行ったアンケート調査結果を踏まえ、公園用地等の公共用地に係る調整及び地元推進委員会等との調整による土地利用計画・土地改良事業計画がある程度固まった段階で実務的調整及びトップレベルの調整により最終的に決定したいと考えている。
(2)農作物補償については、土地改良事業の制度上、農道整備等による用地買収に伴う立毛補償は行っているが、区画整理等のほ場の整備に伴う補償は事業対象とされていない。
(3)富山県では、要観察地域について今回新たに2の(3)事業として対策事業に取り組むことになったことから、事業の実施方向、費用負担割合等について基本的な調整がなされたものと考えられる。
3 対策計画・対策工法
(1)農用地土壌汚染対策計画では、工法及び対策内容等を定めており、その策定にあたっては、知事が、①県環境審議会及び市町村長の意見をきいたうえで、②環境庁長官及び農林水産大臣の承認を得て、策定することとされている。
 昭和53年に策定した対策計画では、復旧方式は現状回復方式とし、工法は排土客土工法、その内容は、汚染状態により排土客土厚を15cm、20cm、30cmとしている.この工法・内容については、当時、諸調査・試験の結果を踏まえ、かつ諸手続を経て定められたものである。
 従って、今回の対策計画では、種々の調整経緯を経て復旧方式として区画整理方式を取り入れる(一部現状回復)こととなったが、基本的には、土壌の汚染状況等について対策処方の変更につながるような変化はないことから、国とも調整を図りながら排土客土厚については従前どおり15cm、20cm、30cmとし、土地利用計画について、その後の土地利用動向、公的開発計画、地権者意向等を反映して変更することにより、土地改良事業計画と整合した実現性のある対策計画とすべく、現在推進中ある。
 なお、要観察地域については、土壌の汚染状況が指定地と同様であることから、2の(3)事業の部分についても、近隣の指定地と一体的に同様な排土客土厚で計画している(53年時も同様)。
 対策工法(排土客土)は、当該地域の立地条件、地元の要請、調査・試験等を踏まえ定めたものである。
 現状回復方式部分の対策内容については、深さ別Cd濃度に基づき、その汚染状態により排土客土厚を15 cm、30cmとしている。
(2)町屋・―町田地区の要観察地域の水田については、指定地の水田に比べ産米中のCd濃度が低く(1pp里未満)、また、用水路と田面との高低差から上乗せ客土による対策が可能と想定され、本工法が排土客土工法に比べ効率的でもあること等から上乗せ客土工法による対策試験を行い、15cmの上乗せ客土工法により、事業を実施することとしたところである。(既実施の指定地水田は排土客土工法)
 また、神通川流域の要観察地域の対策については、従来実施した指定地と産米中のCd濃度が異なること等から、新たに調査・対策を講じたものと理解している。
 これらは、水田における対策であり、陸稲を対象とした畑対策とは、ほ場条件、栽培管理条件が異なることから、これらのデータ・方式を畑対策に活かすことはできない。
4 対策事業の事業主体
(1)農用地土壌汚染対策計画では、53年の対策計画変更時に48.49年に追加指定された野殿・・岩井地区の畑地帯の対策を追加し、定めたところであり、変更後の全体事業計画面積106.71haの中に21.6haの畑対策が含まれている。
 事業の具体化にあたっては、土地改良事業としての国の採択及び補助金交付を受け、また土地改良法手続等を行い、事業が実施されることとなる。
 公害防蝕特別土地改良事業実施要綱に基づく採択基準では、県営事業については、2の(1)事業及び2の(3)事業のそれぞれが受益面積がおおむね2 0ha以上と規定されており、いづれかが2 0ha未満(10ha以上)の場合は団体言事業となる。
 このような土地改良事業制度体系の中で、昭和47年から50年にかけて実施された県営事業の実施区域には、畑は47年指定の約4ha以外含まれておらず、従って、野殿・岩井地区等全体の畑対策については、新たに国への採択申請及び土地改良法手続を行う予定である。
(2)公害防除のための土地改良事業については、いづれにしても、基本的には、県と市が一致協力し、また、企業が原因者としての責任・費用負担を自覚し、汚染状態の早期解決に向けて、関係者相互の連携と信頼のもとにそれぞれがその役割と業務を分担し、事業の推進・実施を行う必要があると考えている。
 具体的には、公害防除対策に伴う特殊性からして、事業実施の基本方向、対策工法、追跡調査等については、県が主体となって推進する必要があり、土地利用動向、公的土地利用計画、地権者の志向等を勘案した土地利用計画・土地改良事業計画の具体化のための地元調整については、市が中心となって推進することが望ましいと考えられる。
5 事業主体、費用負担方法等に関する県・市・企業の協議
(1)事業主体については、従来から、県営事業を想定しながら推進してきたところであり、今後、事業の具体化に向けて、緑地公園その他公共用地の計画及び事業実施区域等に関する地元推進委員会・地権者の意向等を確認しながら、土地改良事業計画・受益面積等を確定していくこととなる。
(2)企業負担の方法については、2の(3)事業の場合、国の補助率は50%と決まっているが、残については、規定がないことから県、市、企業との間で協議しながら決めていかなければならない。
 負担割合を決めるうえでは、公特事業等の補助・負担率、他県事例等をもとに
 ①従来から三者協議で進めてきた県の補助・負担を決め残りを市と企業で負担
 ②市の負担を決め残りを県と企業で負担
 ③企業の負担を決め残りを県と市が負担
 という3つの先決方法考えられ、県、市、企業いずれかの負担率から決めていくことになるが、いずれにしても、相互に信頼のもとに過去の経緯も踏まえ、全体のバランスを考慮して協議・決定する必要がある。
 なお、企業の負担は事業主体の請求により事業主体に対して支払うことが妥当と考えられる。
(3)再汚染防止工の扱いについては、前記1の(3)のような経過を経て、53年の対策計画策定時に、指定地の汚染除去(法5条2項2号ロ)を行う際、再汚染防止のため一体的施工が不可避の範囲を再汚染防止工(同号イ)として位置付けたものであり、まさ,に土壌汚染防止法で規定する対策事業に該当するものである。
 従って、企業負担の対象とされ、また、公害防除特別土地I改良事業の対象として53年以来事業推進が図られてきたところである。
 また、公害防除特別土地改良事業実施要綱では、2の(1)事業について、第2の(1)で、「土染法に基づき指定された対策地域(対策地域の隣接地域であって対策地域に準じて一体として事業を施工することが必要と認められる地域を含む)において実施される開法互恵盈原屁厘に掲げる事業」と規定されている。(再汚染防止工は、2号イに該当)

<資料6>
碓氷川流域農用地土壌汚染対策(畑対策)関係検討整理資料
                    平成8年1月11日 市土地改良課
(1)公特事業関係
問題点
1 補償費との関係を考慮しながら仮同意の扱いをどうするか。本同意をという声がある。
2 地区毎に検討をしてもらうように構想図を代表者に渡してあるが、地元において検討されている動きは見られないため、地元で構想を練る雰囲気作りが必要である。
3 推進委員以外の地元地権者においては、平成6年にアンケートを実施して以来空白になっている。
4 換地工区の設定については、野殿地域、西岩井地域、中岩井地域の3地域に分けたい。しかし、野殿地域については、地域性や意識の相違から三つくらいの換地工区に分けないと問題が生じるとの声があるため調整が必要である。
5 再汚染防止の観点において、宅地等から具用地への雨水流入を防ぐために水路などをつける必要が考えられるため、事業費との関係もあるのでその把握が必要である。
(2)土地利用計画
実施区域の面積について
1 全休面積については現在アジア航測において集計中である。
2 県営採択基準である2-(1)面積20haを計画調整し確保する。(集計中)
公共用地の考え方
 面積について
1 緑地公園 約4.3ha
  農村公園 野殿約3,000㎡2ケ所 中岩井約3,000㎡
  市  道 約12,000㎡
 換地・取得方式について
1 緑地公園、農村公園、市道を含め基本的には売却希望者より面積を募り市が買収する。この場合、緑地公園は会社からの寄付予定面積約1haを除いた面積を買収する。
2 換地に支障がでないような取得方式を役員とも検討しながら詰めてゆきたい。例えば特別減歩方式で異種目換地し、買収する面積を分筆して従前地を安中市が買収しておく。
 概算事業費について
1 面積集計などのデータがそろい次第概算を算出したい。
地元調整過程での対応の考え方(区域除外等)
1 中岩井地区における区域の設定についてはこれまでニ転三転してきており、現在の区域設定についても見直し検討を要望する声もあることから、今後仮同意などの結果を参考にして区域の詰めを行いたい。
2 現在野殿字藤井及びヒヤの急斜面地を地区内に取り込んでいるが、急斜面のために事業構想のとおりに実施した場合耕作面積はあまり確保できない。そのため、関係地権者より今後の土地利用などを聴取し合理的な区域の設定を考えたい。
(5)土取り場
経 緯
 20ケ所以上において調査してきた結果、土質、賦存推定量を考慮し■■■■■■■■■を最有力候補地として位置付けた。
 周辺は国有林に囲まれた開墾地約25haの内、約12haから約30万m3を土取りする計画である。既に、大口地権者からは口頭で協力してもらえることを確認している。
問題点
1 水源対策、農業委員会との調整が未解決。
2 跡地利用計画の具体的な案を見いだせていない。
3 跡地活用に必要な具体的な財政的バックアップの見通しが立っていない。
4 地元から土取り場について具体的な説明を求められた場合の説明の仕方。
市の当面の方針
1 問題点はあるが、土質、賦存量などを考慮すると一ケ所からまとまって土取りできる候補地は現在のところ他にないことから、■■■■を最有力候補地とする。
2 ■■■■と平行して他に適切な場所を見出したい。
候補地選定の方針
1 地元は、特に視覚的な点から土質を判断する傾向にあるため、黒土系でないと受け入れは困難が予想される。そのため、極力畑地に適した黒土を確保してゆきたい。この場合、土質の均一性を保持してゆきたい。
2 土取り後の跡地を広範囲に農地として復元しなければならない場所は選定しない。これは、農地復元後に収量の減収補償や、復元する際の面積増減による支障、買土方式か買収方式かを含め経済的な合理性などを総合的に考慮して選定したい。
(6)排土処理
問題点
1 「土捨て場」という言葉は地元に対して印象が悪いので、換地等への影響を回避するためにも表現を変えることが必要である。
2 土捨て場に対する安全性を懸念する声があるので、不安を取り除くことが必要である。
3 切通地区、東岩井地区の排土処理場が未定である。

・・・・・この項終わり・・・・・

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