■12月7日午後1時30分から最高裁判所第一小法廷において、“はらぼじ被疑事件”の判決が出されました。傍聴者によると最高裁の判断は「上告を棄却する」という内容だったそうです。詳しい内容はおって、判決文で確認することにして、最高裁は、被告人が主張していた憲法第22条に定めた国民の権利である「営業の自由」について、問答無用であっさりと退けたということです。
日本国憲法第22条は、日本国憲法第3章にあって、「居住移転の自由」、「職業選択の自由」、「外国移住、国籍離脱の自由」について規定しているものです。条文は次の通りです。
1.何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
2.何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。
特定の職業を営む自由を「営業の自由」といいます。日本国憲法にはこれを保障する直接の規定はありませんが、「職業選択の自由」を保障しても「営業の自由」を認めなければ、「職業選択の自由」の保障が無に帰することを理由として、「営業の自由」は憲法第22条により保障されると解するのが通説となっています。
■被告人の“はらぼじ観光”元社長は、上告に際して、憲法でさだめられたこの国民の権利を骨子にして、次の内容の上告趣意書を最高裁に提出していました。被告人の次のブログから転載します。↓
http://www.haraboji.co.jp/haraboji/chapter32.html
*****【上告趣意書】*****
上告趣意書
平成26年(あ)第1118号
被告人 松浦紀之
最高裁判所 第一小法廷
第1 基本的な主張
1.一審・二審における旅行業法の解釈に間違いがあると考えます。
一審、二審でも主張していますが、それらの判決に全く反映されていませんのであらためて次の通り主張します。
(1)現在、観光庁では、
「手配旅行契約に該当する行為は、旅行業ではない」
という考え方もあることから、旅行業法第2条第1項第3号・同4号の定めを外すような旅行業法改正に向けた作業を検討しています。
観光庁のホームページ
http://www.mlit.go.jp/kankocho/news06_000208.html
「旅行業産業の今後と旅行業法の見直しに係る方向性について」
http://www.mlit.go.jp/common/001040390.pdf
のページ4のイ
(2)1審の判決文では、はらぼじ観光が旅行業の許認可返納の後も、変わらず旅行業を続けていた、とありますが、それは事実ではありません。
直接対価をお客さんからいただく仕事は止めました。
「転業」をしたのです。
【証拠1】
平成21年に作った冊子
「個人レベルのがんばりが観光地を救う」の46ページ、現前橋市長の山本龍氏の文章の中に「今回彼は、旅行業の免許を返上した。つまりこの業界から退席をしたわけです」
と書いてあること。
1審で、転業したという事実ではなく「そのまま旅行業を続けていた」という間違った内容にされました。
1審の判決は転業の事実を全く無視しています。
私が行ったビジネスは、旅行業にあたらないと考えられますので、当然旅行業法は適応になりません。
なぜなら、後述のとおり、私と同様のビジネスをしているにもかかわらず、旅行業の許認可を取得する必要が無いと、告訴人である全国旅行業協会も認めているからです。
ウ)したがって、上記(1)のようなビジネスを行うには、観光庁長官の行う登録は不要です。(旅行業法第3条)
3)このことから、旅行業法第3条の違反によって、同法第29条第1号により、被告人が罰金30万円の刑に処せられたことは失当です。
2.憲法違反であること。
このことについて、一審、二審でも主張していますが、それらの判決に全く反映されていませんのであらためて次の通り主張します。
(1)今回の行為(ホテル・旅館に関し、宿泊客を紹介することで、後日、ホテル・旅館から、紹介料又は広告料ということで報酬を得るビジネスを行ってきた)は旅行業に該当すると定めた、旅行業法第2条第1項第3号・同4号は、職業選択の自由を保障した、憲法第22条第1項に違反します。
(2)私が行ってきたビジネスは、憲法第22条第1項でいう「公共の福祉に反しない」に該当します。
なぜなら私は、これまでこのビジネスで30年、はらぼじ観光を設立して22年、旅行業の許認可返納後の3年間、ずっと営業をしてきました
が旅行業法違反による被害を被った者は誰も存在しておりません。
それどころか、私のビジネスにより、恩恵を受けた方が多数おります。
後述のとおり関係者の証言も得ております。
【証拠2】
ホテル経営者の文章
【証拠3】
現のんびり温泉案内所前橋営業所代表の佐藤智也君の文章
(3)私が行ってきたビジネスを行うには、旅行業法第3条、同第7条、同第11条の2その他により、各種の規制が成されていることも、憲法22条第1項に違反するものです。
(4)このことから、私が罰則30万円の刑に処せられたことは憲法違反であり失当です。
第2 審理において勘案されるべき事柄について
1、起
私の事件は全国旅行業協会の刑事告訴によって、はじまりました。
言い方を変えれば、全国旅行業協会の刑事告訴がなければ、この事件自体が存在しませんでした。
供述調書によると全国旅行業協会の群馬県支部である群馬県旅行業協会の事務局長である青木譲氏が、はらぼじ観光を摘発するように積極的な供述をしています。
東京にある全国旅行業協会のだれかが、刑事告訴をしましたが、だれがその当事者、発起人なのかを、被告人である私が知る術がありません。
2、承
(1)告訴人である全国旅行業協会が旅行業法の平等な運用を無視しています。
日本旅行業協会の傘下の群馬県旅行業協会が会員として会費を徴収し、その営業を積極的に認めている、総合案内所(以下、総案)(別称、予約センター)は、8社ありますが、その業態は、はらぼじ観光が旅行業の登録放棄後の業態と、そっくり同じです。
8社とも、旅行業の許認可がないのに、私の容疑である「予約約に媒介して対価を得る」ことを生業にしています。
二審ではこれらのビジネスについて、私が類似性を主張したにもかかわらず、審理をしようとしませんでした。
【群馬県旅行業協会の会員である総案】
① フロント群馬
〒370-2111 群馬県高崎市吉井町小串1036-10 TEL027-386-0009
② 第一予約センター
〒370-0843 群馬県高崎市双葉町33-4 TEL027-328-2378
③ 群馬リザーブセンター
〒379-2106群馬県前橋市荒子町643-5 TEL027-268-3301
④ 関東ホテルガイドサービス
〒371-0825 群馬県前橋市大利根町1-31-1 TEL027-253-8502
⑤ 東海予約センター
〒379-2154 群馬県前橋市天川大島町2-3-9 TEL027-224-4557
⑥ 前案湯の郷予約センター
〒371-0037群馬県前橋市上小出町2-26-6 TEL|027-234-7722
⑦ エムアールシー群馬
〒379-2106群馬県前橋市荒牧町591-3 TEL027-233-2624
⑧ 旅プラン全国総合予約センター
〒922-0436石川県加賀市松が丘1-21-6 TEL0761-75-7111
(2)業態が同じだという具体的な証拠は次のとおりです。
① ホテル旅館と契約し、そのホテル旅館から契約金を受け取っていること。
広告宣伝し予約に媒介するのは、契約先のホテル旅館に限定していること。
② 契約金の他に送客数と数量による、歩合的な対価をホテル旅館から受け取っていること。
③ ホテル旅館に直接的な対価を支払うのは、第3者であること。
④ 第3者が直接的な対価を支払うのだから、総合案内所もはらぼじ観光も直接的な債務が発生しないこと。
⑤ 宿泊サービスにしても、旅程管理(宿泊施設への行き帰りの行程を決めること)にしても、自らが行うことは原則としてないこと。第3者に依頼されたときのみ、アドバイスをする程度であること。
これら8社をインターネットで検索すると、業種が「旅行業」として広告されているものがほとんどであり、旅行業の登録がなくても堂々と営業していることはこの事においても明らかです。
なお、証拠4にあるとおり、市民オンブズマン群馬代表との面談時に、全国旅行業協会の事務局長は、
「もし、あのう、判決が、(有罪と)確定すれば、まあ我々も会員さんには、こういうものは、違反があるよ、っていうのは、全国に通知勿論。今後、結果としては報告しなければいけないと思うんですよ。
で、そのものの類似のものが、あるかどうかですね、そこまで、具体的に、別に調査するつもりはないですけれども・・・」
と語っており、業界の実態を把握しないまま、はらぼじ観光を提訴したことを示唆しています。
市民オンブズマン群馬が、総案の存在と私の容疑について、公開質問状を提出しその回答を受けましたが、何も答えてくれませんでした。
【証拠4】
全国旅行業協会への質問状と回答です。
【証拠5】
群馬県旅行業協会への質問状と回答です。
【証拠6】
公開質問状で答えてくれなかったため、市民オンブズマン群馬の代表の小川氏が事務局長の若井氏と面談をしています。
その面談の内容ですが、若井氏は、具体的な事件の内容について、何も把握していないというものです。 「刑事告発は弁護士がした」と言っています。
転
私が旅行業の許認可を放棄した後は、上記の総案と同じ業態の仕事だけに限定して営業をしていました。
対価を直接受け取る仕事は、はらぼじ観光から独立した4人が営業をする「あすなろ観光」がしています。
なお、供述調書に出てくるKとSは「あすなろ観光」の事業主のうちの二人ですが、
「松浦は悪徳業者だからはらぼじ観光を辞めた」
と言う供述の内容は警察官による誘導の結果であって、事実は、「旅行業を継続したいメンバーが、はらぼじ観光から独立した。
そして、松浦は契約先のホテルに対して、独立した4人とも契約するようにすすめたりなどをして、陰ながら応援をしていた。」 というのが事実です。
はらぼじ観光の仕事の内容は、旅行業協会が積極的に無資格での営業を認めている事なのだから、違法なはずがない、とずっと考えています。
警察官の強引な強制捜査の時も、そして今でも、ずっと同じ考えでいます。
同じ業態の仕事を一方では傘下に置き、会費を徴収し、積極的に営業を認める。
そして、そっくり同じ業態の、はらぼじ観光は摘発する。
そして前科者とされて、仕事と生活を剥奪する。
そう言うことに、納得がいきません。
結
全国の総案は47都道府県に存在し、それぞれ都道府県単位の全国旅行業協会の支部が会員として積極的に営業を認めています。
数百社が各都道府県支部の会員となっています。
私が罰金を払えばよいという問題だけではなく、全国の総案が今後、営業が継続できるのかどうかの問題になります。
はらぼじ観光旅行業違反事件は事件として存在するべきものだったのでしょうか。
なお、2審において、この主張をしようとしましたが、国選弁護人は、この主張も何もしてくれませんでした。
よって、3審では、私自らがこの文章を作成しました。
以上です。
**********
■何万人もの顧客から、感謝されこそすれ、一度もクレームをもらったことのない“はらぼじ観光”だけが、なぜ群馬県旅行業協会経由で全国旅行業協会から告発され、前橋東署の警察官17名もの家宅捜索を受け、送検され、前橋地検で取り調べられて起訴され、一審の前橋簡裁・地裁、二審の東京高裁で有罪とされ、最高裁から上告棄却の判決を受け、罰金を支払うハメにさせられなければならないのでしょうか。
被告人は、判決に従うことになるのでしょうが、そうなると、同種のビジネスを旅行業法で無登録で行っている数多くの業者を放置しておくことは、告発した旅行業協会はもとより、送検した警察、起訴した検察、そして有罪の判断をくだした裁判所にとって許されることではありません。
あるいは警察や、検察・裁判所など司直は「告発が無いから摘発できず、裁けないのだ」と言い訳をするのかもしれません。
そうすると、各都道府県の旅行業協会や元締めの全国旅行業協会が、無登録の旅行業者を全て告発しなければなりません。ところが、なぜか彼らはそうした動きに出ようとしません。
となれば、誰かがボランティアで、腰の重い旅行業協会関係者に代わって、前述のような無登録の旅行業者を告発する必要があるでしょう。もし、そうした動きが見られない場合には、オンブズマンとして旅行業法を司る行政関係者に対して、告発をうながす用意があります。さもないと行政の二重基準により不平等が生じてしまうためです。
■最近の我が国の動きとして、2020年の東京オリンピック開催に向けて、外国人観光客を増やし、観光立国を目指す政府の「ようこそジャパン」キャンペーンの取り組みがり、これまで一定の成果を上げてきています。
例えば、中国、台湾をはじめ東南アジアの人たちへのビザに対する規制緩和は典型例で、豊かになった彼らの強烈な購入力は、日本経済(特に小売業)にとって無視できないほど大きいものになっています。
外務省は、人的交流の拡大が「日中両国の相互理解の増進、政府の観光立国推進や地方創生の取組に資する」としていますが、やはり分かりやすいのはその経済効果でしょう。人口減少と少子高齢化により、今後、日本の生産力が相対的に後退するのは明らかです。内需が減少していく以上、外需に頼らざるをえない構造に直面しなくてはならないからです。
こうした時代背景の中で、旅館業法が大きく揺れ動いています。インターネットを利用した新たな民泊ビジネスは、旅館業法の想定外でしたが、消費を生み出す可能性がある点、宿泊施設不足が外国人旅行者の増加にブレーキを掛ける点を考慮し、単に違法とするわけにもいかなくなっているからです。すなわち、違法だとして取り締まる方向にするべきか、その経済効果を取り入れて規制緩和により受け入れる方向にするべきか、政府の検討が始まったということです。
■そしてついに一昨日の平成27年12月7日(月)、東京都大田区議会で、民泊に関する条例案が可決されました。正式名称は『大田区国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業に関する条例』です。この種の条例の可決は、大阪府に続いて2例目ということですが、東京都大田区は来年1月中の実施を目指している旨の報道がありますので、東京都大田区が国内初の事例となるようです。
民泊で関連する現行制度では、「旅館業法」「不動産賃貸業」「建築基準法」があります。国家戦略特区における旅館業法の特例、農林漁業体験民宿業、イベント民泊を除いて、各法律上で一定のルール作りが必要となり、今後、議論が進む中で、民泊が「旅館業」に該当するとされた場合は、Airbnbをはじめとする民泊サービスを仲介する事業が「旅行業」に該当する点にも注目されます。
インターネットを駆使した旅行情報は既に国境を越えて、全世界を市場にしてビジネスを展開しています。全国旅行業協会は、インターネットで顧客に旅行情報を提供し、それによって利益を得ている業者に対しては、何の対策も講じようとしていません。民泊ビジネスで注目されているAirbnb (エアビーアンドビー、エアビーエンビー)は、宿泊施設を貸し出す人向けのウェブサイトで、192カ国33,000の都市で80万以上の宿を提供しているといわれています。 2008年8月に設立され、米国サンフランシスコに本社を置き、非公開会社Airbnb, Inc. により所有、運営されており、日本のルールに照らせば、明らかに日本でビジネスをするには旅行業法の登録が必要とされるところです。
■このようにザル法である旅行業法ですが、「旅行業法に抵触しないので無登録で営業をしています」ときちんと公表して、順調にビジネスをして、多数の利用者から一度もクレームを受けたことのない業者を最高裁は旅行業違反の罪で有罪だと断じました。
旅行業界の発展に逆行する今回の判決は時代錯誤ですが、最高裁がこのように判断したのですから、不公平の内容に法律を運用してもらわなければなりません。
ご承知のとおり、市民オンブズマン群馬では、現在東京地検特捜部に小渕優子・元経産相による無登録による明治座観劇ツアーやプロ野球観戦ツアーについて旅行業違反容疑で告発中です。
今のところ特捜部からは、受理したとも不受理だとも通知がありません。しかし、今回の“はらぼじ観光被疑事件”で最高裁から旅行業違反の罪による有罪判決が出されたことで、特捜部としては小渕優子・元経産相の起訴に向けて、大きな後押しになったことでしょう。
その後押しを確かなものにするため、当会では東京地検に早期に基礎をうながす要請書の提出に向けて、次回の例会で会員諸氏と前向きに協議することにしています。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
日本国憲法第22条は、日本国憲法第3章にあって、「居住移転の自由」、「職業選択の自由」、「外国移住、国籍離脱の自由」について規定しているものです。条文は次の通りです。
1.何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
2.何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。
特定の職業を営む自由を「営業の自由」といいます。日本国憲法にはこれを保障する直接の規定はありませんが、「職業選択の自由」を保障しても「営業の自由」を認めなければ、「職業選択の自由」の保障が無に帰することを理由として、「営業の自由」は憲法第22条により保障されると解するのが通説となっています。
■被告人の“はらぼじ観光”元社長は、上告に際して、憲法でさだめられたこの国民の権利を骨子にして、次の内容の上告趣意書を最高裁に提出していました。被告人の次のブログから転載します。↓
http://www.haraboji.co.jp/haraboji/chapter32.html
*****【上告趣意書】*****
上告趣意書
平成26年(あ)第1118号
被告人 松浦紀之
最高裁判所 第一小法廷
第1 基本的な主張
1.一審・二審における旅行業法の解釈に間違いがあると考えます。
一審、二審でも主張していますが、それらの判決に全く反映されていませんのであらためて次の通り主張します。
(1)現在、観光庁では、
「手配旅行契約に該当する行為は、旅行業ではない」
という考え方もあることから、旅行業法第2条第1項第3号・同4号の定めを外すような旅行業法改正に向けた作業を検討しています。
観光庁のホームページ
http://www.mlit.go.jp/kankocho/news06_000208.html
「旅行業産業の今後と旅行業法の見直しに係る方向性について」
http://www.mlit.go.jp/common/001040390.pdf
のページ4のイ
(2)1審の判決文では、はらぼじ観光が旅行業の許認可返納の後も、変わらず旅行業を続けていた、とありますが、それは事実ではありません。
直接対価をお客さんからいただく仕事は止めました。
「転業」をしたのです。
【証拠1】
平成21年に作った冊子
「個人レベルのがんばりが観光地を救う」の46ページ、現前橋市長の山本龍氏の文章の中に「今回彼は、旅行業の免許を返上した。つまりこの業界から退席をしたわけです」
と書いてあること。
1審で、転業したという事実ではなく「そのまま旅行業を続けていた」という間違った内容にされました。
1審の判決は転業の事実を全く無視しています。
私が行ったビジネスは、旅行業にあたらないと考えられますので、当然旅行業法は適応になりません。
なぜなら、後述のとおり、私と同様のビジネスをしているにもかかわらず、旅行業の許認可を取得する必要が無いと、告訴人である全国旅行業協会も認めているからです。
ウ)したがって、上記(1)のようなビジネスを行うには、観光庁長官の行う登録は不要です。(旅行業法第3条)
3)このことから、旅行業法第3条の違反によって、同法第29条第1号により、被告人が罰金30万円の刑に処せられたことは失当です。
2.憲法違反であること。
このことについて、一審、二審でも主張していますが、それらの判決に全く反映されていませんのであらためて次の通り主張します。
(1)今回の行為(ホテル・旅館に関し、宿泊客を紹介することで、後日、ホテル・旅館から、紹介料又は広告料ということで報酬を得るビジネスを行ってきた)は旅行業に該当すると定めた、旅行業法第2条第1項第3号・同4号は、職業選択の自由を保障した、憲法第22条第1項に違反します。
(2)私が行ってきたビジネスは、憲法第22条第1項でいう「公共の福祉に反しない」に該当します。
なぜなら私は、これまでこのビジネスで30年、はらぼじ観光を設立して22年、旅行業の許認可返納後の3年間、ずっと営業をしてきました
が旅行業法違反による被害を被った者は誰も存在しておりません。
それどころか、私のビジネスにより、恩恵を受けた方が多数おります。
後述のとおり関係者の証言も得ております。
【証拠2】
ホテル経営者の文章
【証拠3】
現のんびり温泉案内所前橋営業所代表の佐藤智也君の文章
(3)私が行ってきたビジネスを行うには、旅行業法第3条、同第7条、同第11条の2その他により、各種の規制が成されていることも、憲法22条第1項に違反するものです。
(4)このことから、私が罰則30万円の刑に処せられたことは憲法違反であり失当です。
第2 審理において勘案されるべき事柄について
1、起
私の事件は全国旅行業協会の刑事告訴によって、はじまりました。
言い方を変えれば、全国旅行業協会の刑事告訴がなければ、この事件自体が存在しませんでした。
供述調書によると全国旅行業協会の群馬県支部である群馬県旅行業協会の事務局長である青木譲氏が、はらぼじ観光を摘発するように積極的な供述をしています。
東京にある全国旅行業協会のだれかが、刑事告訴をしましたが、だれがその当事者、発起人なのかを、被告人である私が知る術がありません。
2、承
(1)告訴人である全国旅行業協会が旅行業法の平等な運用を無視しています。
日本旅行業協会の傘下の群馬県旅行業協会が会員として会費を徴収し、その営業を積極的に認めている、総合案内所(以下、総案)(別称、予約センター)は、8社ありますが、その業態は、はらぼじ観光が旅行業の登録放棄後の業態と、そっくり同じです。
8社とも、旅行業の許認可がないのに、私の容疑である「予約約に媒介して対価を得る」ことを生業にしています。
二審ではこれらのビジネスについて、私が類似性を主張したにもかかわらず、審理をしようとしませんでした。
【群馬県旅行業協会の会員である総案】
① フロント群馬
〒370-2111 群馬県高崎市吉井町小串1036-10 TEL027-386-0009
② 第一予約センター
〒370-0843 群馬県高崎市双葉町33-4 TEL027-328-2378
③ 群馬リザーブセンター
〒379-2106群馬県前橋市荒子町643-5 TEL027-268-3301
④ 関東ホテルガイドサービス
〒371-0825 群馬県前橋市大利根町1-31-1 TEL027-253-8502
⑤ 東海予約センター
〒379-2154 群馬県前橋市天川大島町2-3-9 TEL027-224-4557
⑥ 前案湯の郷予約センター
〒371-0037群馬県前橋市上小出町2-26-6 TEL|027-234-7722
⑦ エムアールシー群馬
〒379-2106群馬県前橋市荒牧町591-3 TEL027-233-2624
⑧ 旅プラン全国総合予約センター
〒922-0436石川県加賀市松が丘1-21-6 TEL0761-75-7111
(2)業態が同じだという具体的な証拠は次のとおりです。
① ホテル旅館と契約し、そのホテル旅館から契約金を受け取っていること。
広告宣伝し予約に媒介するのは、契約先のホテル旅館に限定していること。
② 契約金の他に送客数と数量による、歩合的な対価をホテル旅館から受け取っていること。
③ ホテル旅館に直接的な対価を支払うのは、第3者であること。
④ 第3者が直接的な対価を支払うのだから、総合案内所もはらぼじ観光も直接的な債務が発生しないこと。
⑤ 宿泊サービスにしても、旅程管理(宿泊施設への行き帰りの行程を決めること)にしても、自らが行うことは原則としてないこと。第3者に依頼されたときのみ、アドバイスをする程度であること。
これら8社をインターネットで検索すると、業種が「旅行業」として広告されているものがほとんどであり、旅行業の登録がなくても堂々と営業していることはこの事においても明らかです。
なお、証拠4にあるとおり、市民オンブズマン群馬代表との面談時に、全国旅行業協会の事務局長は、
「もし、あのう、判決が、(有罪と)確定すれば、まあ我々も会員さんには、こういうものは、違反があるよ、っていうのは、全国に通知勿論。今後、結果としては報告しなければいけないと思うんですよ。
で、そのものの類似のものが、あるかどうかですね、そこまで、具体的に、別に調査するつもりはないですけれども・・・」
と語っており、業界の実態を把握しないまま、はらぼじ観光を提訴したことを示唆しています。
市民オンブズマン群馬が、総案の存在と私の容疑について、公開質問状を提出しその回答を受けましたが、何も答えてくれませんでした。
【証拠4】
全国旅行業協会への質問状と回答です。
【証拠5】
群馬県旅行業協会への質問状と回答です。
【証拠6】
公開質問状で答えてくれなかったため、市民オンブズマン群馬の代表の小川氏が事務局長の若井氏と面談をしています。
その面談の内容ですが、若井氏は、具体的な事件の内容について、何も把握していないというものです。 「刑事告発は弁護士がした」と言っています。
転
私が旅行業の許認可を放棄した後は、上記の総案と同じ業態の仕事だけに限定して営業をしていました。
対価を直接受け取る仕事は、はらぼじ観光から独立した4人が営業をする「あすなろ観光」がしています。
なお、供述調書に出てくるKとSは「あすなろ観光」の事業主のうちの二人ですが、
「松浦は悪徳業者だからはらぼじ観光を辞めた」
と言う供述の内容は警察官による誘導の結果であって、事実は、「旅行業を継続したいメンバーが、はらぼじ観光から独立した。
そして、松浦は契約先のホテルに対して、独立した4人とも契約するようにすすめたりなどをして、陰ながら応援をしていた。」 というのが事実です。
はらぼじ観光の仕事の内容は、旅行業協会が積極的に無資格での営業を認めている事なのだから、違法なはずがない、とずっと考えています。
警察官の強引な強制捜査の時も、そして今でも、ずっと同じ考えでいます。
同じ業態の仕事を一方では傘下に置き、会費を徴収し、積極的に営業を認める。
そして、そっくり同じ業態の、はらぼじ観光は摘発する。
そして前科者とされて、仕事と生活を剥奪する。
そう言うことに、納得がいきません。
結
全国の総案は47都道府県に存在し、それぞれ都道府県単位の全国旅行業協会の支部が会員として積極的に営業を認めています。
数百社が各都道府県支部の会員となっています。
私が罰金を払えばよいという問題だけではなく、全国の総案が今後、営業が継続できるのかどうかの問題になります。
はらぼじ観光旅行業違反事件は事件として存在するべきものだったのでしょうか。
なお、2審において、この主張をしようとしましたが、国選弁護人は、この主張も何もしてくれませんでした。
よって、3審では、私自らがこの文章を作成しました。
以上です。
**********
■何万人もの顧客から、感謝されこそすれ、一度もクレームをもらったことのない“はらぼじ観光”だけが、なぜ群馬県旅行業協会経由で全国旅行業協会から告発され、前橋東署の警察官17名もの家宅捜索を受け、送検され、前橋地検で取り調べられて起訴され、一審の前橋簡裁・地裁、二審の東京高裁で有罪とされ、最高裁から上告棄却の判決を受け、罰金を支払うハメにさせられなければならないのでしょうか。
被告人は、判決に従うことになるのでしょうが、そうなると、同種のビジネスを旅行業法で無登録で行っている数多くの業者を放置しておくことは、告発した旅行業協会はもとより、送検した警察、起訴した検察、そして有罪の判断をくだした裁判所にとって許されることではありません。
あるいは警察や、検察・裁判所など司直は「告発が無いから摘発できず、裁けないのだ」と言い訳をするのかもしれません。
そうすると、各都道府県の旅行業協会や元締めの全国旅行業協会が、無登録の旅行業者を全て告発しなければなりません。ところが、なぜか彼らはそうした動きに出ようとしません。
となれば、誰かがボランティアで、腰の重い旅行業協会関係者に代わって、前述のような無登録の旅行業者を告発する必要があるでしょう。もし、そうした動きが見られない場合には、オンブズマンとして旅行業法を司る行政関係者に対して、告発をうながす用意があります。さもないと行政の二重基準により不平等が生じてしまうためです。
■最近の我が国の動きとして、2020年の東京オリンピック開催に向けて、外国人観光客を増やし、観光立国を目指す政府の「ようこそジャパン」キャンペーンの取り組みがり、これまで一定の成果を上げてきています。
例えば、中国、台湾をはじめ東南アジアの人たちへのビザに対する規制緩和は典型例で、豊かになった彼らの強烈な購入力は、日本経済(特に小売業)にとって無視できないほど大きいものになっています。
外務省は、人的交流の拡大が「日中両国の相互理解の増進、政府の観光立国推進や地方創生の取組に資する」としていますが、やはり分かりやすいのはその経済効果でしょう。人口減少と少子高齢化により、今後、日本の生産力が相対的に後退するのは明らかです。内需が減少していく以上、外需に頼らざるをえない構造に直面しなくてはならないからです。
こうした時代背景の中で、旅館業法が大きく揺れ動いています。インターネットを利用した新たな民泊ビジネスは、旅館業法の想定外でしたが、消費を生み出す可能性がある点、宿泊施設不足が外国人旅行者の増加にブレーキを掛ける点を考慮し、単に違法とするわけにもいかなくなっているからです。すなわち、違法だとして取り締まる方向にするべきか、その経済効果を取り入れて規制緩和により受け入れる方向にするべきか、政府の検討が始まったということです。
■そしてついに一昨日の平成27年12月7日(月)、東京都大田区議会で、民泊に関する条例案が可決されました。正式名称は『大田区国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業に関する条例』です。この種の条例の可決は、大阪府に続いて2例目ということですが、東京都大田区は来年1月中の実施を目指している旨の報道がありますので、東京都大田区が国内初の事例となるようです。
民泊で関連する現行制度では、「旅館業法」「不動産賃貸業」「建築基準法」があります。国家戦略特区における旅館業法の特例、農林漁業体験民宿業、イベント民泊を除いて、各法律上で一定のルール作りが必要となり、今後、議論が進む中で、民泊が「旅館業」に該当するとされた場合は、Airbnbをはじめとする民泊サービスを仲介する事業が「旅行業」に該当する点にも注目されます。
インターネットを駆使した旅行情報は既に国境を越えて、全世界を市場にしてビジネスを展開しています。全国旅行業協会は、インターネットで顧客に旅行情報を提供し、それによって利益を得ている業者に対しては、何の対策も講じようとしていません。民泊ビジネスで注目されているAirbnb (エアビーアンドビー、エアビーエンビー)は、宿泊施設を貸し出す人向けのウェブサイトで、192カ国33,000の都市で80万以上の宿を提供しているといわれています。 2008年8月に設立され、米国サンフランシスコに本社を置き、非公開会社Airbnb, Inc. により所有、運営されており、日本のルールに照らせば、明らかに日本でビジネスをするには旅行業法の登録が必要とされるところです。
■このようにザル法である旅行業法ですが、「旅行業法に抵触しないので無登録で営業をしています」ときちんと公表して、順調にビジネスをして、多数の利用者から一度もクレームを受けたことのない業者を最高裁は旅行業違反の罪で有罪だと断じました。
旅行業界の発展に逆行する今回の判決は時代錯誤ですが、最高裁がこのように判断したのですから、不公平の内容に法律を運用してもらわなければなりません。
ご承知のとおり、市民オンブズマン群馬では、現在東京地検特捜部に小渕優子・元経産相による無登録による明治座観劇ツアーやプロ野球観戦ツアーについて旅行業違反容疑で告発中です。
今のところ特捜部からは、受理したとも不受理だとも通知がありません。しかし、今回の“はらぼじ観光被疑事件”で最高裁から旅行業違反の罪による有罪判決が出されたことで、特捜部としては小渕優子・元経産相の起訴に向けて、大きな後押しになったことでしょう。
その後押しを確かなものにするため、当会では東京地検に早期に基礎をうながす要請書の提出に向けて、次回の例会で会員諸氏と前向きに協議することにしています。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】