市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

東邦亜鉛の有毒スラグ問題に関して2月の第1回定例会での質疑が県議会だより4月号に掲載

2019-05-25 18:30:00 | 東邦亜鉛カドミウム公害問題
■先日、廃品回収のため、新聞紙の整理をしていたところ、毎月はじめに広報ぐんまと一緒に新聞折り込みされる県議会だより平成31年4月号が出てきたのでめくってみたところ、2019年2月25日に開かれた群馬県議会平成31年第1回定例会3日目本会議(一般質問)で東邦亜鉛の有毒スラグについて、一般質問と県の回答が簡単に掲載されているのを発見しました。一般質問から既に3ヶ月が経過しますが、その内容をチェックしてみました。

東邦亜鉛スラグについての一般質問の記事が掲載された県議会だより。

 平成最後の県議会平成31年代1回定例会は、2月18日から3月12日までの23日間の会期で開かれました。

*****平成31年第1回定例会議事*****
月日     曜日 議事予定
2月18日   月   本会議(開会、提案説明)
2月22日   金   本会議(党(会)派代表による質疑及び一般質問)
2月25日   月   本会議(質疑及び一般質問)
2月27日   水   本会議(質疑及び一般質問)
2月28日   木   本会議(質疑及び一般質問)
3月04日   月   常任委員会(30・31年度関係)
3月05日   火   常任委員会(30・31年度関係)
3月07日   木   特別委員会
3月12日   火   本会議(委員長報告、議決、閉会)
**********

 平成31年2月22日、25日、27日、28日に開催された本会議では、質疑及び一般質問 が行われ、16 人の議員が質問しました。

 この中で、2月25日の一般質問で東邦亜鉛の有毒スラグについて質問したのは、酒井宏明県議(日本共産党)でした。65分の持ち時間のうち、「1 開発優先でなく子育て・教育・福祉優先の予算について」の一問一答を終えた後、最後の8分間を「2 有害スラグについて」と題して一問一答方式で、環境森林部長への質問に充てました。

 県議会だより第80号(平成31年4月)2面に掲載されたその時のやり取りの記事は次のとおりです。
※参考URL:https://www.pref.gunma.jp/contents/100104386.pdf

**********ZIP ⇒ c2019n47sp2xo.zip
2月25日㈪ 有害スラグについて
Q:有害な鉛やカドミウムを含んだ大量の スラグが、高崎市箕郷町のメガソーラーの土台に使われています。放置すれば、新たな公害に発展することが必至です。早急に全量撤去させるべきと考えますが、県の考えを伺います。
A:現在、県と高崎市が連携して、事実関係を調査しています。土壌の汚染が確認された場合は、周辺の地下水利用状況の把握や地下水の水質検査を実施します。県は、高崎市と連携・共同して、人の健康に被害が生じないよう、法令に従い適切に対応していきたいと考えています。
**********

■これではよく分からないため、2019年2月25日の一般質問の録画を県のHPでチェックしてみます。
http://www.gunma-pref.stream.jfit.co.jp/?tpl=play_vod&inquiry_id=4878

*****平成31年第1回定例会2月25日本会議(一般質問)*****
発言者:酒井宏明
所属党:日本共産党
発言通告内容:2 有害スラグについて
答弁を求める者の職名:環境森林部長

県議:それでは有害スラグについて環境森林部長お願いいたします。

議長:環境森林部長、答弁席へ願います。

県議:環境問題です。高崎市箕郷町のメガソーラー、岡田工務店所有ですが、この土台、基礎に数万トンとも言われる大量の有害スラグが使われているということが明らかとなりました。これは県道高崎渋川線の盛土に使用されたスラグと同一の可能性が高いと言われております。かつて安中公害事件を起こした東邦亜鉛から排出されたとみられております。この亜鉛を製錬する過程で出るスラグは本来サンパイ処分場に運ぶべきものであります。この有害な鉛やカドミウムを含んでいるために造成から数年たつのに雑草が一つもありません。しかも、簡易な土留めからスラグが漏れ出しているという状況です。これがそのスラグですけども、有害物質を含んでおります。東京農工大の渡邉泉教授が調査したところ、高濃度の鉛・ヒ素・カドミウムなどの重金属類が検出をされました。EF値、エンリッチメント・ファクターと、濃縮係数(←当会注:地球上の地殻上限に存在するそれぞれの物質ごとの平均値、つまり地球の平均値があります。その平均値に較べて、例えば特定のこの場所の泥や土には、何がどれだけ濃縮されているのか、その違いを知るための数値)というものだそうですが、鉛で5540倍、カドミウム118倍、アンチモン6980倍、国際的に使われている基準ですが、これは「5」を超えると明らかな汚染、「40」を超えると極めて強い汚染。鉛で「1000」を超えるのはあり得ない、と話しておられました。このスラグが剥き出しに使われていると。まあ、大雨が降れば流出する危険性もあります。放置すれば新たな公害に発展することが必至であります。早急に全量撤去させるべきだと考えますが、いかがでしょうか?

議長:環境森林部長。

部長:お答えいたします。えー、環境等への影響を及ぼすおそれのある物質を含むものと推定されます、建設資材が使用されております事案につきましては、現在、環境法令を所管いたします県、および、権限が委譲されております中核市が連携をいたしまして、製造元を含め、事実関係について調査を行っているところでございます。お尋ねの高崎市箕郷町地内の案件につきましては、造成された太陽光発電所の件に・・・の件でござますけれども、土壌汚染対策法がここに適用されれば(←当会注:おいおい、廃棄物処理法なのではないのか?)、中核市である高崎市が主体となりました対応をすることになりますが、これまでの県、および中核市の調査から、この他にも環境への影響を及ぼすおそれのある物質を含むと推定されます、建設資材が使用されている可能性のある場所が、複数分かってきたことから、県、および高崎市では、関係者に対しまして、本件を含め使用箇所における建設資材及びその下の土壌の分析調査を実施するよう依頼したところでございます(←当会注:おいおい、関係者って、まさか原因者の岡田工務店や排出者の東邦亜鉛のことなのか?泥棒に縄を綯わせる=ドロナワじゃないよね?)。今後、順次分析結果が報告されることとなりますが、その結果、土壌への汚染が確認された場合は、県、中核市では人の健康被害が生ずる恐れ、まあ、具体的には地下水汚染が生じ、かつ、周辺に飲用の井戸がある場合ということになりますけども、その有無を確認するため、周辺の地下水の利用状況の把握や必要に応じて、地下水の水質検査を実施することとなります。ご質問の現場における措置についてでございますが、こうした一連の調査結果において、汚染された地下水が飲用に供されているなど、人の健康被害が生じる・・・生じるおそれがある場合には(←当会注:どうやら近くに井戸がなければ、あるいは、井戸があってもその水を飲用に使っていなければ、特に健康被害はないといふうに誘導したい意向がありあり)、土壌汚染対策法の規定に従いまして、原位置封じ込め、まあ、矢板等による・・矢板等の設置、遮水工封じ込め、防水シートの敷設、地下水汚染の拡大の防止、井戸等による汚染された水の汲み上げ、また、汚染の除去等の必要な措置を土地所有者、または原因者に対して指示をすることとなります。いずれにいたしましても、県といたしましては、環境法令を所管いたします中核市等と連携、協働いたしまして、当該建設資材の使用が確認された場所につきましては、人の健康に被害が生じないよう、関係法令に従い、適正に対応してまいりたいと考えております。以上でございます。

議長:酒井議員、残り一分です。

県議:はい。もう既に農地や民地を汚染している可能性があります。もう、明らかなサンパイではありませんか?高崎市は箕郷町の梅公園ですとか芝桜公園、このところを撤去いたしました。そうした、県が、もっともっと積極的に高崎市等に働きかけて、これを完全撤去する。猛毒なわけですから、渡邉教授によると、この鉛を体内に取り込むと異常行動、運動・言語・学習障害、IQ低下など誘発するということです。ほんとにこうした重金属、有害な物質が含まれているという認識を持っていただきたいと思います。えー、県警本部長、ぜひここは捜査をしていただきたいし、マスコミの皆さんもここはしっかり報道して、危険性を住民に知らせていただきたい。これは行政上げて取り組んでいただきたいと思います。

議長:時間です

県議:はい。以上で私の一般質問を終わります。ありがとうございました。(傍聴席から拍手)
**********

 以上のように、県議会における群馬県の答弁は、極めて歯切れが悪く、大同スラグの事件と同様、既に東邦亜鉛の重金属の毒に当てられてしまったかのようです。

 文中での答弁にもあるように、重金属による土壌汚染が大規模に発生しても、井戸の使用を禁止し、水道水を使うように行政が住民に指導しますから、もともと地下水汚染について、行政が真剣に取り組むつもりなど、微塵もありません。

 現に筆者の住む安中市岩野谷の北野殿地区では筆者の自宅も含めどこの家でも井戸があります。しかし安中公害が公になり土壌中のカドミウム汚染が騒がれると、行政は住民に井戸水の使用を禁止し、水道水を利用するように強制しました。そのため、北野殿の地下水は改善されることなく、放置されたままです。

 いまでも井戸水を使おうと思えば使えますが、本来であれば、住民がこの井戸水を東邦亜鉛が進出してくる前までは飲用にも使っていたのですから、公害で飲めなくなったから飲用禁止というのは、あまりも企業寄りの行政判断だと言わざるを得ません。

■さて、群馬県はこのような体たらくですので、大量の有毒スラグを箕郷町に持ち込まれた中核市でもある高崎市の環境行政に、この件について、その後の対策状況をヒヤリングしなければと思い、5月15日午後に、高崎市役所を訪れました。




高崎市役所2階に環境課の環境政策係、産業廃棄物対策係、一般廃棄物係がある。

 さっそく環境部産業廃棄物係田島担当に面談して話を聞きました。

 ところが30分ほど粘った挙句、残念ながら高崎市の回答は「具体的な対策や調査の進捗などの内容は一切申し上げることはできません」というものでした。

 当会からは、梅公園駐車場などに投棄されたK砕は昨年12月末までに撤去したのに、岡田工務店のメガソーラーはそれから4カ月半も経つのに、全く手が付けられていない」ことや、「いまだに原因者の岡田工務店や排出者の東邦亜鉛の名前が公表されていない」こと、「このまま調査中だと言いながら幕引きされたらたまったものではない」などと、きちんとした調査を要請しました。

 また「群馬県とタイアップしても県にはやる気が見られない」こと、「本件は、市外の企業が排出した猛毒物質が、何の因果もない高崎市箕郷町に大量に持ち込まれたのであり、住民第一の観点から、なんら遠慮しなければならない理由はないはず」であることを当会から指摘し、サンプリングに躊躇する必要はないので、調査のスピード感の重視を期待したい旨伝えました。

 これに対し高崎市は、「サンプリングよりも、現在は、(有毒スラグ=K砕の)市場性や取引可否の有無、廃棄物該当性の調査を総合的に行ってから判断する」「岡田工務店をそれほど庇うなどという配慮はいっさいありません」と回答。さらに「調査の進捗状況とか、具体的な調査方法も含めて、お答えする段階になく、時期を踏まえてお答えすることにしたい」と言い放ちました。

 当会は「ではお答えする気がまだ熟していないということか?」と訊ねましたが、高崎市は「それらも踏まえて、事実関係を調査中」と述べるにとどまりました。当会は「そのような対応は民間では通用しません。PDSC(Plan→Do→See→Check→)の確実な実施が大切です」と言いました。

■高崎市は「市としてもトータルで様々な情報を関連部署で共有してやっている。必要な情報共有は行っている。産業廃棄物対策課と環境政策課とでは、それぞれ所管している法律の関連で廃棄物対策課は廃棄部処理法、環境政策課は土壌汚染対策法に分かれるが、どちらも環境部(の担当)なのは間違いありません」と、猛毒物質が数万トンも川の上流域に剥き出しに放置されている現況を決して無視しているわけではないことを強調していましたが、有言実行を実践して欲しいと思います。

 この問題では、箕郷町が高崎市と合併する前から既に有毒スラグ(K砕)を東邦亜鉛が岡田工務店に出荷していたはずであり、当会に対して東邦亜鉛が2年前に示唆した「昨年初めまで数年前(平成23年頃?)から岡田工務店に出荷していた」という説明と矛盾します。こうした疑問を質問しても、高崎市では行政文書の保存期限も過ぎているとして調べる意欲が見えません。

 最後に高崎市は「せっかくお越し頂いたにもかかわらず、歯切れの悪い回答で申し訳ありません」と一方的に締めくくりました。

■当会では引き続き粘り強くスラグ問題に取り組んでまいります。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

※参考情報「共産党の調査情報記事」
**********しんぶん赤旗2019年1月28日(月)
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2019-01-28/2019012819_01_1.html
群馬・高崎 メガソーラー施設周辺
鉛5540倍、カドミウム118倍検出
共産党県議団と住民団体が調査

 群馬県高崎市内のメガソーラー施設の土壌から、鉛やカドミウムなど有毒な重金属が、自然界に通常存在する量と比べて極めて多くの量が検出されたことが、日本共産党県議団と住民団体の調査で27日までに明らかになりました。分析した専門家は「仮に子どもが口にしたら障害が起きてもおかしくない」と懸念しています。


(写真)スラグと思われる土壌を見上げる(左から)伊藤県議ら=群馬県高崎市


(写真)施設から外にむき出しになっている、スラグと思われる塊=群馬県高崎市


(写真)スラグの影響か、草が1本も見当たらない太陽光施設=群馬県高崎市

 重金属が検出されたのは、株式会社岡田工務店(高崎市箕郷=みさと=町)が運営する太陽光発電設備「松之沢発電所」(同市)周辺。共産党県議団と「有害スラグの撤去を求める会」(永井正取事務局長)が東京農工大学の渡辺泉教授に同発電所に隣接する4カ所から入手した土壌の分析を依頼したところ、自然界に存在する量を1とみなすEF(エンリッチメント・ファクター=濃縮係数)値で最大、鉛5540倍、カドミウム118倍、アンチモン6980倍が検出されました。
 鉛は微量でも体内に取り込むと神経障害が懸念され、カドミウムはイタイイタイ病(三井金属鉱業)や安中公害(東邦亜鉛)の原因物質として知られています。
 共産党が昨年12月の県議会でこの問題を追及すると、県は「(スラグの)製造元も含め、立ち入り調査や報告聴取など事実関係の全貌を調査中」と答弁しています。
 岡田工務店が工事した「みさと芝桜公園」(同市)からもスラグが不正使用され、党県議団の調査によると環境基準の60倍を超す鉛が検出されています。
 現地を視察した共産党の伊藤祐司県議は「施設の土台は数万トンのスラグで造成したと思われる。運転開始から何年もたつのに地面に草が1本も見当たらないのは異常だ」と指摘しています。
 会の永井事務局長は「このメガソーラーをつくった会社は、自ら工事した道路や駐車場から環境基準を超す鉛が検出され、行政から土壌を撤去させられた会社。どこからスラグを仕入れたのか明らかにし、その企業にも責任をとってもらいたい」と語りました。
 スラグの仕入れ先や今後の対応について同社に問い合わせましたが、25日までに回答はありませんでした。
※スラグ(鉱さい) 金属鉱石を製錬する過程で分離される不純物や添加物。
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子どもへの影響懸念

東京農工大学教授(環境資源科学) 渡辺泉さん
 今回分析したサンプルは、毒性が懸念される重金属が軒並み高いのが特徴です。どこから排出されたスラグなのか現時点では断定できませんが、亜鉛や鉛の製造過程で出てきたのではないかと思われます。
 分析手法のEF値は、国際的な学術会で使用されている最もポピュラーな指標です。EF値で5を超えると「明らかな汚染」、40を超えると「極めて強い汚染」です。それが鉛で1000を超えるとか、ありえない異常な汚染状態です。
 鉛は、世界でトップレベルの危険物質と考えられ、オバマ前米大統領が、水道に混入している疑いがあるということで非常事態宣言を出したほどです。微量でも子どもの知能低下やメンタルに影響を与える可能性が高く、特に成長期の子どもたちへの影響が懸念されます。
 腎機能障害を起こすカドミウムは、水溶性が高く、人体に取り込まれる恐れがあります。
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コメント
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