■緊急事態宣言中のコロナ規則破り疑惑が取り沙汰されている長野高専の岩佐総務課長について、同校関係者らから7月末から8月初頭にかけて相次いで情報提供が寄せられました。7月31日(金)昼、教職員宿舎の指定駐車場から岩佐氏の自家用車が消えていることが確認され、いつも通り東京の自宅に帰ったことは確実でした。一方で、その日の岩佐氏は東京への出張予定になっていたというのです。
高専機構の出張規則では、距離200km以上の自家用車出張は禁止されているそうです。すると、新幹線扱いはもちろんのこと、自家用車のガソリンや高速代扱いにしてもアウトですから、出張に関する長野から東京への往復交通費分はどうやっても請求できないことになります。そのため、同校関係者らから「旅費を不正請求しているのではないか」という疑念が相次いで当会に寄せられたのです。そこで当会では、本件について検証をおこなうことにしました。
■まず、9月12日、高専機構監査室に以下の問い合わせ状を発出しました。
*****9/12機構監査室宛問合せ状*****ZIP ⇒ 202009127ovsfj.zip
令和2年9月12日
〒193-0834 東京都八王子市東浅川町701-2
独立行政法人国立高等専門学校機構 監査室 御中
TEL: 042-662-3243(監査室)/FAX: 042-662-3131(機構本部代表)
〒371-0801 群馬県前橋市文京町1丁目15番10号
市民オンブズマン群馬 代表 小川 賢
TEL: 027-224-8567(事務局・鈴木)/
090-5302-8312(代表・小川)
FAX: 027-224-6624
長野高専職員の旅費不正受給疑惑に係る問合せ
拝啓 日々益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。
弊団体は、行政およびその関連機関を外部から監視し、当該機関による権限の不当な行使ないしは不行使による一般国民への権利利益侵害、並びに税金を原資とした公的資金の濫費について、調査および救済の勧告を図る活動をしている民間団体です。なお、弊団体は群馬県を主な活動地域としていますが、事案によっては、適宜近隣の県への出張活動も行っております。
さて、長野高専の岩佐達也総務課長が、今年7月31日に東京へ出張した際、前日に教職員宿舎から自家用車で東京に向かっていたとの情報が当会に寄せられました。こうした行動が事実であれば、自家用車での200km以上の出張を禁じる旨の貴法人規則に抵触するおそれがあります。また、公共交通機関で移動したという扱いで旅費を虚偽申請・不正受給していた疑惑が同校関係者の間から指摘されています。
したがって、貴法人の会計監査を司る貴部署に対し、事実関係確認の調査と、そのご回答を求めます。なお、回答については、大変勝手ながら、書面で2020年9月28日(月)までに郵送あるいはFAXにて上記弊連絡先まで折り返し送達いただければ幸いです。
なお、何らかの事情によりこの期限までの回答が不能である場合は、大変お手数ではありますが上記弊連絡先までお伝えいただきたく存じます。
以上
**********
■同時に、監査室に完全に検証を委ねず、キチンと事実関係を当会担当者の目でも確認するため、高専機構本部に対して次の法人文書開示請求書を郵送で提出しました。
*****9/12開示請求書*****ZIP ⇒ 202009127ovsfj.zip
法人文書開示請求書
令和2年9月12日
独立行政法人国立高等専門学校機構
理事長 殿
氏名又は名称:(法人その他の団体にあってはその名称及び代表者の氏名)
市民オンブズマン群馬 代表 小川 賢
住所又は居所:(法人その他の団体にあっては主たる事務所等の所在地)
〒379-0114 群馬県安中市野殿980
TEL 090(5302)8312
連 絡 先:(連絡先が上記の本人以外の場合は,連絡担当者の住所・氏名・電話番号)
〒371-0801 群馬県前橋市文京町一丁目15-10
市民オンブズマン群馬事務局長 鈴木 庸
TEL:027-224-8567
独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律第4条第1項の規定に基づき,下記のとおり法人文書の開示を請求します。
記
1 請求する法人文書の名称等
(請求する法人文書が特定できるよう,法人文書の名称,請求する文書の内容等をできるだけ具体的に記載してください。)
長野高専の岩佐達也総務課長が、令和2年7月31日に東京に出張したことに関し、出張の経緯、出張目的、出張報告、旅費申請(交通機関等の領収書があればそれを含む)、および旅費支給に関する情報の一切(長野高専・高専機構本部を含めた高専機構全体として保有している文書の一切とする)。
【当会注:後略】
**********
■当会では、このように、問い合わせと文書開示請求の両輪から事実関係の検証を行っていくことにしました。
まずは、高専機構監査室からの返答を待ちました。しかし、当会が指定した回答期限である9月28日になってもまったく音沙汰がなく、回答遅延に関する連絡すらもありません。たった一件の出張に関する事実確認にも関わらず、何を手こずっているのでしょう。
そのまま高専機構監査室からの回答を待っていると、10月21日付けで、ようやく以下の回答が寄せられました。
*****10/21付高専機構監査室回答*****ZIP ⇒ isoj.zip
令和2年10月21日
市民オンブズマン群馬代表
小 川 賢 殿
独立行政法人国立高等専門学校機構
監査室長
長野高専職員の旅費不正受給疑惑に係る問合せへの回答について
令和2年9月12日付けで依頼のありました、長野高専職員の旅費不正受給疑惑に係る問合せについて、別紙のとおり回答いたします。よろしくお願いいたします。
〒193-0834
東京都八王子市東浅川町701-2
独立行政法人国立高等専門学校(ママ)
監査室
電話:042-662-3243
**********
*****回答別紙*****
長野高専職員の旅費不正受給疑惑に係る問合せへの回答について
【問合せ内容】
長野高専の岩佐達也総務課長が、今年7月31日に東京へ出張した際、前日に教職員宿舎から自家用車で東京に向かっていたとの情報が当会に寄せられました。こうした行動が事実であれば、自家用車での200km以上の出張を禁じる旨の貴法人規則に抵触するおそれがあります。また、公共交通機関で移動したという扱いで旅費を虚偽申請・不正受給していた疑惑が同校関係者の間から指摘されています。
したがって、貴法人の会計監査を司る貴部署に対し、事実関係確認の調査と、そのご回答を求めます。
【回答】
事実関係を確認したところ、当該出張は、当機構規則等に則っておりますので、問題ないと考えます。
**********
■このように、40日近くかけて監査室から返ってきたのは、問題の存在を完全否定する一文回答でした。
そうなると、最初から本当に問題などなかったのか、それとも実は問題があったものの隠蔽されてしまったのか、ということが気にかかります。そのため、7月末出張関連情報に関する情報開示請求の行方に注目が移りました。
実は、上記の開示請求書を提出して間もなく、9月17日に機構本部総務課の橋本職員から以下のメールが寄せられていました。「機構本部では文書を保有していないので、長野高専に転送したい」とのこと。後述のとおり、このメールを発端に、各文書と開示実施の管轄をめぐって10日間ほどのメール応酬を重ねることになりました。
*****9/17機構⇒当会メール*****
From: 総務課
Date: 2020年9月17日(木) 10:41
Subject: 【高専機構:確認】R2.9.12付_法人文書開示請求について
To: masaru ogawa
Cc: 総務課総務係(高専機構)
市民オンブズマン群馬 小川様
いつもお世話になっております。
高専機構総務課の橋本でございます。
令和2年9月12日付け開示請求書につきまして、請求内容を確認しましたところ、当該東京出張は高専機構本部への用務ではなくこちらでは情報を保有しておりません。
開示請求書を長野高専へ送付させていただこうと思いますがいかがでしょうか。
なお、本部監査室宛ての質問状に関しては本部にてご回答させていただきますことを申し添えます。
【署名略】
**********
■高専関係者の話では、出張旅費の最終承認や振込みは各高専ではなく高専機構の名義で行われるといいます。そうなると当然、各高専としてでなく「高専機構」として作っている情報が無いわけはありません。そうした文書は機構本部で開示する扱いになるのが妥当なはずです。
また、そもそも、長野高専に請求の担当が移されてしまうと、当然総務課のトップである岩佐本人が開示業務を掌握することになります。仮に疑惑が事実であれば、保身のために無理に文書を不開示にするなど、隠蔽劇をしでかされてもたまりません。そこで、当会からは以下のメールを返信しました。
*****9/18当会⇒機構メール*****
From: masaru ogawa
To: 総務課
日付: 2020/09/18 1:04
件名: Re: 【高専機構:確認】R2.9.12付_法人文書開示請求について
高専機構本部
総務課総務係
橋本様
毎々お世話になります。丁寧にご連絡を賜り恐縮です。
貴メールについて、以下のとおり回答と折り返しの質問をさせていただきます。
>請求内容を確認しましたところ、当該東京出張は高専機構本部への用務ではなくこちらでは情報を保有しておりません。
とのことですが、貴法人においては例えば出張経費を支給するにあたっての最終確認などは高専機構がおこなっているとの話もうかがっております。高専機構本部への用務ではない一般の出張についてでも、各種申請や報告等で高専機構として関わっている部分があればその情報を検索・開示いただきたいという趣旨ですが、その点の見解はいかがでしょうか。
>開示請求書を長野高専へ送付させていただこうと思いますがいかがでしょうか。
これまでも、たびたび高専機構本部を介して各高専保有文書の開示請求をおこなわせていただいており、問題なく開示実施されております。
すいませんが、転送を待つことなく迅速に開示業務を開始していただきたいため、本部から長野高専に対し該当保有文書の提出を命令し、そのまま本部において開示実施業務をおこなっていただきたく存じます。
また、開示の実施方法の面でも、仮に現地開示を受ける場合、現在の弊会担当者の個人的な事情から長野高専より機構本部の方が負担が小さいため、本件に関しては機構本部の受け持ちとしていただくことを希望します。
>なお、本部監査室宛ての質問状に関しては本部にてご回答させていただきますことを申し添えます。
とのことですが、本部のどの部署において回答をおこなうのでしょうか。
本件はまさに貴法人の予算使途や会計監査にかかる問題であり、監査室は担当部署として間違ってはいないはずです。さらに、監査室は建前上であっても監事直属の独立部署のはずですが、本部の別部署が質問を横取りして回答するのであれば、監査独立性の観点から問題があるのではないでしょうか。
以上、よろしくお願いします。
市民オンブズマン群馬
代表 小川賢
**********
■すると、当日中にまた橋本職員から返信がありました。「『承認』は画面上でのことなので開示できる文書はない」とのこと。
*****9/18機構⇒当会メール*****
From: 総務課
Date: 2020年9月18日(金) 17:47
Subject: Re: 【高専機構:確認】R2.9.12付_法人文書開示請求について
To: masaru ogawa
Cc: 総務課総務係(高専機構)
市民オンブズマン群馬 小川様
いつもお世話になっております。
高専機構総務課の橋本でございます。
ご確認ありがとうございます。
高専機構の旅費業務全体の流れを少し御説明させていただきます。
各高専で出張申請・承認から出張報告・承認までを行い、その後、本部にて専用システムの画面上で『旅費の計算結果データの確認』を行ったのちに、旅費の支払いへと流れていきます。
画面上での確認・承認であることから、既に全ての処理が完了している岩佐総務課長の当該出張分については、開示できる文書がございませんが、本部が旅費支給に関してどのようなデータを画面に表示させて、確認・承認をしているのか、他の教職員の出張をサンプルにして補正にてお示しできるかと思いますが、ご希望されますでしょうか。
取り急ぎ、この部分につきましてご回答させていただきます。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
【署名略】
**********
■「画面上」の話だとしても、ただその「画面」をプリントアウトすれば済むはずです。また、旅費の振り込み元が高専機構である問題についても言及されていません。どうにも機構本部は妙に情報開示担当となるのを拒み、長野高専へと開示業務を移管したがっているようです。
そこで当会からは、文書の管轄について白黒付けるべく、以下のメールを発出しました。
*****9/23当会⇒機構メール*****
From: masaru ogawa
To: 総務課
日付: 2020/09/23 8:44
件名: Re: 【高専機構:確認】R2.9.12付_法人文書開示請求について
高専機構本部
総務課総務係
橋本様
毎々お世話になります。
公務ご多用のところご対応下さり感謝申し上げます。
先週末(9/18)にいただいた高専機構の旅費業務に関する貴説明メールを拝読いたしました。
かかるメールを踏まえまして、以下3点ほど新たに質問が生じたため、下記します。
(1)旅費業務に際して画面上で確認を済ませているとしても、旅行命令簿や復命書その他の「画面」を開示対象情報としてプリントアウトすることは可能なはずですが、いかがでしょうか。
(なお、長野高専・高専機構本部で同様情報へのアクセスが可能であれば、それは高専機構の保有文書であるものとして、本部にて開示願います)
(2)また、旅費の振り込みについても、振込依頼人は仮に各高専だとしても、実際の振り込み自体は高専機構本部の財務課出納係によるもののはずであり、機構本部としてそれに関わる情報を保有していなければおかしいはずですが、いかがでしょうか。
以上、貴ご見解を賜りたく存じます。
市民オンブズマン群馬
代表 小川賢
**********
■するとようやく、素直に機構本部扱いの文書が含まれていることを認め、同時に機構本部が開示実施業務を担当できることを認めました。
*****9/25機構⇒当会メール*****
From: 総務課
Date: 2020年9月25日(金) 19:52
Subject: Re: 【高専機構:確認】R2.9.12付_法人文書開示請求について
To: masaru ogawa
Cc: 総務課総務係(高専機構)
市民オンブズマン群馬 小川様
いつもお世話になっております。
高専機構総務課の橋本でございます。
ご質問いただきました件につきまして、9/23に新たにいただいたものからお答えさせていただきます。
(1)につきましては、「画面」をプリントアウトしたもので開示文書としてお渡しさせていただきます。
(2)につきましては、本部出納係から岩佐課長への振込が行われたことが分かる文書との理解でよろしいでしょうか。
その場合は、振込日の翌月に振込実績として、振込先、金額等の明細が取引銀行から本部宛へ届きますので、そちらを開示対象文書と考えております。
また、9/18にいただいておりました質問につきましても、併せまして以下のとおりご回答させていただきます。
開示の実施を長野高専ではなく、高専機構本部でのご希望とのことでございますが、機構規則では『法人文書の開示は、当該文書を保有する各学校等の情報公開窓口において行うもの』とされております。
ただし、今回の開示請求のように長野高専、機構本部の複数にまたがって文書を保有している場合に限って、機構本部で取りまとめて開示の実施を今までもやっておりました。
9月12日付け法人文書開示請求書の開示の実施につきましては、本部での実施をご希望の旨、承知いたしました。
なお、本部監査室宛ての質問状は同監査室からご回答させていただきます。
どうぞよろしくお願いいたします。
【署名略】
**********
■ただし9月28日、開示実施は機構本部で行ってよいものの、手数料の請求は長野高専が行うという連絡がよこされました。どうにも管轄が複雑です。
*****9/28機構⇒当会メール*****
From: 総務課
Date: 2020年9月28日(月) 11:26
Subject: Re: 【高専機構:確認】R2.9.12付_法人文書開示請求について
To: masaru ogawa
Cc: 総務課総務係(高専機構)
市民オンブズマン群馬 小川様
いつもお世話になっております。
高専機構総務課の橋本でございます。
ご連絡ありがとうございます。
これにて開示の準備を進めてまいります。
また、本件は長野高専総務課長の出張にかかる開示請求ということで手数料の御案内等につきましては、長野高専からご連絡予定でございます。
開示の実施は機構本部にて行いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【署名略】
**********
■その後、長野高専の白木職員から、「長野高専保有分が1件、機構本部保有分が2件の計3件×300円=900円を長野高専の口座に振り込んでほしい」とメールで連絡がありました。
指示通り手数料を振り込んで待っていると、以下の10月23日付開示決定通知書が、10月28日に長野高専から届きました。
*****岩佐7月末出張情報開示決定通知*****ZIP ⇒ 20201028ljmioj.zip
長野高専庶第42号
令和2年10月23日
法人文書開示決定通知書
市民オンブズマン群馬 小川 賢 様
独立行政法人国立高等専門学校機構
令和2年9月12日付けで請求のありました法人文書の開示について,独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律第9条第1項の規定に基づき,下記のとおり開示することとしましたので通知します。
記
1 開示する法人文書の名称
長野高専の岩佐達也総務課長が、令和2年7月31日に東京に出張したことに関し、出張の経緯、出張目的、出張報告、旅費申請および旅費支給に関する情報の一切。
【長野高専分】
(1)令和2年度支払関係証拠書類
【機構本部分】
(2)旅費システムにおける本部確認承認画面
(3)振込明細一覧表
2 不開示とした部分とその理由
(1)令和2年度支払関係証拠書類
不開示部分:個人に関する情報が記載されている部分
理 由:法第5条第一号及び法第5条第四号柱書きに該当すると認められ、また、法第5条第一号ただし書きに該当するとは言えず、不開示とすることが相当
不開示部分:口座情報
理 由:法第5条第一号及び第二号イに該当すると認められ、また、法第5条第一号ただし書き及び第二号ただし書きに該当するとは言えず、不開示とすることが相当
(2)旅費システムにおける本部確認承認画面
不開示部分:個人に関する情報が記載されている部分
理 由:法第5条第一号に該当すると認められ、また、法第5条第一号ただし書きに該当するとは言えず、不開示とすることが相当
(3)振込明細一覧表
不開示部分:振込に関する銀行情報
理 由:法第5条第二号イに該当すると認められ、また、法第5条第二号ただし書きに該当するとは言えず、不開示とすることが相当
**********
機構本部に開示通知を送り、開示実施も機構本部で可能という言質を得たものの、開示業務は完全に長野高専の取り扱いにされたようです。当会担当者の都合がつかなかったため、機構本部での現地開示は今回諦め、郵送での開示を希望した申出書と郵便切手を長野高専に返送しました。
■開示文書の行方を握る岩佐本人が無理やり全面黒塗りなどにしていないことを祈りながら開示を待っていると、11月5日付の送り状とともに、開示文書一式が当会に送られてきました。
●長野高専岩佐総務課長のR2年7月末出張関連情報一式 ZIP ⇒ 202011071tljp0107.zip
202011072tljp0813.zip
■さっそく文書を確認しました。どうやら出張目的は、長野高専名誉教授である山本行雄氏が教育功労で瑞宝小綬章を受章したため、代理で文科省まで受け取りに赴くことだったようです。
○参考:内閣府『令和2年春の叙勲長野県』
https://www8.cao.go.jp/shokun/hatsurei/r02haru/meibo_jokun/zuiho-20nagano.pdf
そして、肝心の「支払決議書」や「支払伝票」を見ると、そこには1,410円の数字が記載されていました。「旅行計算書」を見ると、岩佐氏の自宅(八王子界隈)から文科省までの片道47km分のみ自家用車で往復した扱いにされており、その他の移動分については特に請求されていないことがわかります。となると、特にルールには違反していませんから、確かに問題にはなりません。
↑岩佐氏の7月末東京出張に係る旅行計算書↑
他の線も検討してみましょう。例えば、岩佐氏が今回の出張について何かしら不正な請求をしていたものの、当会からの質問状を受けて、大慌てで請求補正をし、「なかったこと」にしたという可能性はないでしょうか。
当会担当者は、すぐにその線も薄いことに気が付きました。「支払決議書」や「債務伝票」、「支払伝票」の左上にある出納予定日を見ると、9月10日になっています。当会が機構監査室への質問状や情報開示請求を送ったのは9月12日ですから、時系列からして、旅費が支払われる前に請求を補正することは不可能です。なお、高専関係者によれば、「もし旅費が支払われた後に補正をしようとすれば、最低でも返金手続きが必要であり、痕跡がまったく残らないことは考えにくい」とのこと。
■最後に気になる点は、なぜ八王子から霞が関までの往復で、公共交通機関でなくわざわざ自家用車を使ったのかという点です。今回の開示文書を読んだ高専関係者によれば、「岩佐氏は、高専機構の理事長裁定に従って、自家用車を業務使用するための指定車登録をしていることがわかる」とのこと。ただし、同裁定においては、指定車を使用できる基準のひとつとして「交通の便が良くないこと」があるようです。
我が国でもひときわ高密度の線路・バス網を持つ東京内の移動がこれに当たるのであれば、日本全国は不毛の地です。この点は平時であれば著しく不自然であり、当会としても疑問に感じました。ただし、今の時勢を考慮すると、「三密&不特定多数との接触を回避するためあえて自家用車を使った」というある程度もっともらしい反論も想定されます。
■このように、取り沙汰された7月末の東京出張について、岩佐氏は『シロ』であったというのが当会の検証結果です。
いくらコロナ規則破り疑惑でさんざん無法をはたらいている岩佐氏とはいっても、事実に基づかない濡れ衣を着せることは本意ではありません。したがって、「不正疑惑は杞憂に終わってくれた」という宣言をもって、当会としての結論とさせていただきます。
ただしひとつ、興味深い情報提供もあったことを付記します。今回の当会による検証作業に関するものかは不明ですが、10月28日の午前、またもや土居校長と岩佐総務課長の間で「密談」が行われていたそうです。監査室が「問題なし」の回答をした後でなお、どのような内容の密談をしたのか、気になるところではあります。
■当会では、長野高専の抱える諸問題について、引き続き検証と追及を行ってまいります。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
高専機構の出張規則では、距離200km以上の自家用車出張は禁止されているそうです。すると、新幹線扱いはもちろんのこと、自家用車のガソリンや高速代扱いにしてもアウトですから、出張に関する長野から東京への往復交通費分はどうやっても請求できないことになります。そのため、同校関係者らから「旅費を不正請求しているのではないか」という疑念が相次いで当会に寄せられたのです。そこで当会では、本件について検証をおこなうことにしました。
■まず、9月12日、高専機構監査室に以下の問い合わせ状を発出しました。
*****9/12機構監査室宛問合せ状*****ZIP ⇒ 202009127ovsfj.zip
令和2年9月12日
〒193-0834 東京都八王子市東浅川町701-2
独立行政法人国立高等専門学校機構 監査室 御中
TEL: 042-662-3243(監査室)/FAX: 042-662-3131(機構本部代表)
〒371-0801 群馬県前橋市文京町1丁目15番10号
市民オンブズマン群馬 代表 小川 賢
TEL: 027-224-8567(事務局・鈴木)/
090-5302-8312(代表・小川)
FAX: 027-224-6624
長野高専職員の旅費不正受給疑惑に係る問合せ
拝啓 日々益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。
弊団体は、行政およびその関連機関を外部から監視し、当該機関による権限の不当な行使ないしは不行使による一般国民への権利利益侵害、並びに税金を原資とした公的資金の濫費について、調査および救済の勧告を図る活動をしている民間団体です。なお、弊団体は群馬県を主な活動地域としていますが、事案によっては、適宜近隣の県への出張活動も行っております。
さて、長野高専の岩佐達也総務課長が、今年7月31日に東京へ出張した際、前日に教職員宿舎から自家用車で東京に向かっていたとの情報が当会に寄せられました。こうした行動が事実であれば、自家用車での200km以上の出張を禁じる旨の貴法人規則に抵触するおそれがあります。また、公共交通機関で移動したという扱いで旅費を虚偽申請・不正受給していた疑惑が同校関係者の間から指摘されています。
したがって、貴法人の会計監査を司る貴部署に対し、事実関係確認の調査と、そのご回答を求めます。なお、回答については、大変勝手ながら、書面で2020年9月28日(月)までに郵送あるいはFAXにて上記弊連絡先まで折り返し送達いただければ幸いです。
なお、何らかの事情によりこの期限までの回答が不能である場合は、大変お手数ではありますが上記弊連絡先までお伝えいただきたく存じます。
以上
**********
■同時に、監査室に完全に検証を委ねず、キチンと事実関係を当会担当者の目でも確認するため、高専機構本部に対して次の法人文書開示請求書を郵送で提出しました。
*****9/12開示請求書*****ZIP ⇒ 202009127ovsfj.zip
法人文書開示請求書
令和2年9月12日
独立行政法人国立高等専門学校機構
理事長 殿
氏名又は名称:(法人その他の団体にあってはその名称及び代表者の氏名)
市民オンブズマン群馬 代表 小川 賢
住所又は居所:(法人その他の団体にあっては主たる事務所等の所在地)
〒379-0114 群馬県安中市野殿980
TEL 090(5302)8312
連 絡 先:(連絡先が上記の本人以外の場合は,連絡担当者の住所・氏名・電話番号)
〒371-0801 群馬県前橋市文京町一丁目15-10
市民オンブズマン群馬事務局長 鈴木 庸
TEL:027-224-8567
独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律第4条第1項の規定に基づき,下記のとおり法人文書の開示を請求します。
記
1 請求する法人文書の名称等
(請求する法人文書が特定できるよう,法人文書の名称,請求する文書の内容等をできるだけ具体的に記載してください。)
長野高専の岩佐達也総務課長が、令和2年7月31日に東京に出張したことに関し、出張の経緯、出張目的、出張報告、旅費申請(交通機関等の領収書があればそれを含む)、および旅費支給に関する情報の一切(長野高専・高専機構本部を含めた高専機構全体として保有している文書の一切とする)。
【当会注:後略】
**********
■当会では、このように、問い合わせと文書開示請求の両輪から事実関係の検証を行っていくことにしました。
まずは、高専機構監査室からの返答を待ちました。しかし、当会が指定した回答期限である9月28日になってもまったく音沙汰がなく、回答遅延に関する連絡すらもありません。たった一件の出張に関する事実確認にも関わらず、何を手こずっているのでしょう。
そのまま高専機構監査室からの回答を待っていると、10月21日付けで、ようやく以下の回答が寄せられました。
*****10/21付高専機構監査室回答*****ZIP ⇒ isoj.zip
令和2年10月21日
市民オンブズマン群馬代表
小 川 賢 殿
独立行政法人国立高等専門学校機構
監査室長
長野高専職員の旅費不正受給疑惑に係る問合せへの回答について
令和2年9月12日付けで依頼のありました、長野高専職員の旅費不正受給疑惑に係る問合せについて、別紙のとおり回答いたします。よろしくお願いいたします。
〒193-0834
東京都八王子市東浅川町701-2
独立行政法人国立高等専門学校(ママ)
監査室
電話:042-662-3243
**********
*****回答別紙*****
長野高専職員の旅費不正受給疑惑に係る問合せへの回答について
【問合せ内容】
長野高専の岩佐達也総務課長が、今年7月31日に東京へ出張した際、前日に教職員宿舎から自家用車で東京に向かっていたとの情報が当会に寄せられました。こうした行動が事実であれば、自家用車での200km以上の出張を禁じる旨の貴法人規則に抵触するおそれがあります。また、公共交通機関で移動したという扱いで旅費を虚偽申請・不正受給していた疑惑が同校関係者の間から指摘されています。
したがって、貴法人の会計監査を司る貴部署に対し、事実関係確認の調査と、そのご回答を求めます。
【回答】
事実関係を確認したところ、当該出張は、当機構規則等に則っておりますので、問題ないと考えます。
**********
■このように、40日近くかけて監査室から返ってきたのは、問題の存在を完全否定する一文回答でした。
そうなると、最初から本当に問題などなかったのか、それとも実は問題があったものの隠蔽されてしまったのか、ということが気にかかります。そのため、7月末出張関連情報に関する情報開示請求の行方に注目が移りました。
実は、上記の開示請求書を提出して間もなく、9月17日に機構本部総務課の橋本職員から以下のメールが寄せられていました。「機構本部では文書を保有していないので、長野高専に転送したい」とのこと。後述のとおり、このメールを発端に、各文書と開示実施の管轄をめぐって10日間ほどのメール応酬を重ねることになりました。
*****9/17機構⇒当会メール*****
From: 総務課
Date: 2020年9月17日(木) 10:41
Subject: 【高専機構:確認】R2.9.12付_法人文書開示請求について
To: masaru ogawa
Cc: 総務課総務係(高専機構)
市民オンブズマン群馬 小川様
いつもお世話になっております。
高専機構総務課の橋本でございます。
令和2年9月12日付け開示請求書につきまして、請求内容を確認しましたところ、当該東京出張は高専機構本部への用務ではなくこちらでは情報を保有しておりません。
開示請求書を長野高専へ送付させていただこうと思いますがいかがでしょうか。
なお、本部監査室宛ての質問状に関しては本部にてご回答させていただきますことを申し添えます。
【署名略】
**********
■高専関係者の話では、出張旅費の最終承認や振込みは各高専ではなく高専機構の名義で行われるといいます。そうなると当然、各高専としてでなく「高専機構」として作っている情報が無いわけはありません。そうした文書は機構本部で開示する扱いになるのが妥当なはずです。
また、そもそも、長野高専に請求の担当が移されてしまうと、当然総務課のトップである岩佐本人が開示業務を掌握することになります。仮に疑惑が事実であれば、保身のために無理に文書を不開示にするなど、隠蔽劇をしでかされてもたまりません。そこで、当会からは以下のメールを返信しました。
*****9/18当会⇒機構メール*****
From: masaru ogawa
To: 総務課
日付: 2020/09/18 1:04
件名: Re: 【高専機構:確認】R2.9.12付_法人文書開示請求について
高専機構本部
総務課総務係
橋本様
毎々お世話になります。丁寧にご連絡を賜り恐縮です。
貴メールについて、以下のとおり回答と折り返しの質問をさせていただきます。
>請求内容を確認しましたところ、当該東京出張は高専機構本部への用務ではなくこちらでは情報を保有しておりません。
とのことですが、貴法人においては例えば出張経費を支給するにあたっての最終確認などは高専機構がおこなっているとの話もうかがっております。高専機構本部への用務ではない一般の出張についてでも、各種申請や報告等で高専機構として関わっている部分があればその情報を検索・開示いただきたいという趣旨ですが、その点の見解はいかがでしょうか。
>開示請求書を長野高専へ送付させていただこうと思いますがいかがでしょうか。
これまでも、たびたび高専機構本部を介して各高専保有文書の開示請求をおこなわせていただいており、問題なく開示実施されております。
すいませんが、転送を待つことなく迅速に開示業務を開始していただきたいため、本部から長野高専に対し該当保有文書の提出を命令し、そのまま本部において開示実施業務をおこなっていただきたく存じます。
また、開示の実施方法の面でも、仮に現地開示を受ける場合、現在の弊会担当者の個人的な事情から長野高専より機構本部の方が負担が小さいため、本件に関しては機構本部の受け持ちとしていただくことを希望します。
>なお、本部監査室宛ての質問状に関しては本部にてご回答させていただきますことを申し添えます。
とのことですが、本部のどの部署において回答をおこなうのでしょうか。
本件はまさに貴法人の予算使途や会計監査にかかる問題であり、監査室は担当部署として間違ってはいないはずです。さらに、監査室は建前上であっても監事直属の独立部署のはずですが、本部の別部署が質問を横取りして回答するのであれば、監査独立性の観点から問題があるのではないでしょうか。
以上、よろしくお願いします。
市民オンブズマン群馬
代表 小川賢
**********
■すると、当日中にまた橋本職員から返信がありました。「『承認』は画面上でのことなので開示できる文書はない」とのこと。
*****9/18機構⇒当会メール*****
From: 総務課
Date: 2020年9月18日(金) 17:47
Subject: Re: 【高専機構:確認】R2.9.12付_法人文書開示請求について
To: masaru ogawa
Cc: 総務課総務係(高専機構)
市民オンブズマン群馬 小川様
いつもお世話になっております。
高専機構総務課の橋本でございます。
ご確認ありがとうございます。
高専機構の旅費業務全体の流れを少し御説明させていただきます。
各高専で出張申請・承認から出張報告・承認までを行い、その後、本部にて専用システムの画面上で『旅費の計算結果データの確認』を行ったのちに、旅費の支払いへと流れていきます。
画面上での確認・承認であることから、既に全ての処理が完了している岩佐総務課長の当該出張分については、開示できる文書がございませんが、本部が旅費支給に関してどのようなデータを画面に表示させて、確認・承認をしているのか、他の教職員の出張をサンプルにして補正にてお示しできるかと思いますが、ご希望されますでしょうか。
取り急ぎ、この部分につきましてご回答させていただきます。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
【署名略】
**********
■「画面上」の話だとしても、ただその「画面」をプリントアウトすれば済むはずです。また、旅費の振り込み元が高専機構である問題についても言及されていません。どうにも機構本部は妙に情報開示担当となるのを拒み、長野高専へと開示業務を移管したがっているようです。
そこで当会からは、文書の管轄について白黒付けるべく、以下のメールを発出しました。
*****9/23当会⇒機構メール*****
From: masaru ogawa
To: 総務課
日付: 2020/09/23 8:44
件名: Re: 【高専機構:確認】R2.9.12付_法人文書開示請求について
高専機構本部
総務課総務係
橋本様
毎々お世話になります。
公務ご多用のところご対応下さり感謝申し上げます。
先週末(9/18)にいただいた高専機構の旅費業務に関する貴説明メールを拝読いたしました。
かかるメールを踏まえまして、以下3点ほど新たに質問が生じたため、下記します。
(1)旅費業務に際して画面上で確認を済ませているとしても、旅行命令簿や復命書その他の「画面」を開示対象情報としてプリントアウトすることは可能なはずですが、いかがでしょうか。
(なお、長野高専・高専機構本部で同様情報へのアクセスが可能であれば、それは高専機構の保有文書であるものとして、本部にて開示願います)
(2)また、旅費の振り込みについても、振込依頼人は仮に各高専だとしても、実際の振り込み自体は高専機構本部の財務課出納係によるもののはずであり、機構本部としてそれに関わる情報を保有していなければおかしいはずですが、いかがでしょうか。
以上、貴ご見解を賜りたく存じます。
市民オンブズマン群馬
代表 小川賢
**********
■するとようやく、素直に機構本部扱いの文書が含まれていることを認め、同時に機構本部が開示実施業務を担当できることを認めました。
*****9/25機構⇒当会メール*****
From: 総務課
Date: 2020年9月25日(金) 19:52
Subject: Re: 【高専機構:確認】R2.9.12付_法人文書開示請求について
To: masaru ogawa
Cc: 総務課総務係(高専機構)
市民オンブズマン群馬 小川様
いつもお世話になっております。
高専機構総務課の橋本でございます。
ご質問いただきました件につきまして、9/23に新たにいただいたものからお答えさせていただきます。
(1)につきましては、「画面」をプリントアウトしたもので開示文書としてお渡しさせていただきます。
(2)につきましては、本部出納係から岩佐課長への振込が行われたことが分かる文書との理解でよろしいでしょうか。
その場合は、振込日の翌月に振込実績として、振込先、金額等の明細が取引銀行から本部宛へ届きますので、そちらを開示対象文書と考えております。
また、9/18にいただいておりました質問につきましても、併せまして以下のとおりご回答させていただきます。
開示の実施を長野高専ではなく、高専機構本部でのご希望とのことでございますが、機構規則では『法人文書の開示は、当該文書を保有する各学校等の情報公開窓口において行うもの』とされております。
ただし、今回の開示請求のように長野高専、機構本部の複数にまたがって文書を保有している場合に限って、機構本部で取りまとめて開示の実施を今までもやっておりました。
9月12日付け法人文書開示請求書の開示の実施につきましては、本部での実施をご希望の旨、承知いたしました。
なお、本部監査室宛ての質問状は同監査室からご回答させていただきます。
どうぞよろしくお願いいたします。
【署名略】
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■ただし9月28日、開示実施は機構本部で行ってよいものの、手数料の請求は長野高専が行うという連絡がよこされました。どうにも管轄が複雑です。
*****9/28機構⇒当会メール*****
From: 総務課
Date: 2020年9月28日(月) 11:26
Subject: Re: 【高専機構:確認】R2.9.12付_法人文書開示請求について
To: masaru ogawa
Cc: 総務課総務係(高専機構)
市民オンブズマン群馬 小川様
いつもお世話になっております。
高専機構総務課の橋本でございます。
ご連絡ありがとうございます。
これにて開示の準備を進めてまいります。
また、本件は長野高専総務課長の出張にかかる開示請求ということで手数料の御案内等につきましては、長野高専からご連絡予定でございます。
開示の実施は機構本部にて行いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【署名略】
**********
■その後、長野高専の白木職員から、「長野高専保有分が1件、機構本部保有分が2件の計3件×300円=900円を長野高専の口座に振り込んでほしい」とメールで連絡がありました。
指示通り手数料を振り込んで待っていると、以下の10月23日付開示決定通知書が、10月28日に長野高専から届きました。
*****岩佐7月末出張情報開示決定通知*****ZIP ⇒ 20201028ljmioj.zip
長野高専庶第42号
令和2年10月23日
法人文書開示決定通知書
市民オンブズマン群馬 小川 賢 様
独立行政法人国立高等専門学校機構
令和2年9月12日付けで請求のありました法人文書の開示について,独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律第9条第1項の規定に基づき,下記のとおり開示することとしましたので通知します。
記
1 開示する法人文書の名称
長野高専の岩佐達也総務課長が、令和2年7月31日に東京に出張したことに関し、出張の経緯、出張目的、出張報告、旅費申請および旅費支給に関する情報の一切。
【長野高専分】
(1)令和2年度支払関係証拠書類
【機構本部分】
(2)旅費システムにおける本部確認承認画面
(3)振込明細一覧表
2 不開示とした部分とその理由
(1)令和2年度支払関係証拠書類
不開示部分:個人に関する情報が記載されている部分
理 由:法第5条第一号及び法第5条第四号柱書きに該当すると認められ、また、法第5条第一号ただし書きに該当するとは言えず、不開示とすることが相当
不開示部分:口座情報
理 由:法第5条第一号及び第二号イに該当すると認められ、また、法第5条第一号ただし書き及び第二号ただし書きに該当するとは言えず、不開示とすることが相当
(2)旅費システムにおける本部確認承認画面
不開示部分:個人に関する情報が記載されている部分
理 由:法第5条第一号に該当すると認められ、また、法第5条第一号ただし書きに該当するとは言えず、不開示とすることが相当
(3)振込明細一覧表
不開示部分:振込に関する銀行情報
理 由:法第5条第二号イに該当すると認められ、また、法第5条第二号ただし書きに該当するとは言えず、不開示とすることが相当
**********
機構本部に開示通知を送り、開示実施も機構本部で可能という言質を得たものの、開示業務は完全に長野高専の取り扱いにされたようです。当会担当者の都合がつかなかったため、機構本部での現地開示は今回諦め、郵送での開示を希望した申出書と郵便切手を長野高専に返送しました。
■開示文書の行方を握る岩佐本人が無理やり全面黒塗りなどにしていないことを祈りながら開示を待っていると、11月5日付の送り状とともに、開示文書一式が当会に送られてきました。
●長野高専岩佐総務課長のR2年7月末出張関連情報一式 ZIP ⇒ 202011071tljp0107.zip
202011072tljp0813.zip
■さっそく文書を確認しました。どうやら出張目的は、長野高専名誉教授である山本行雄氏が教育功労で瑞宝小綬章を受章したため、代理で文科省まで受け取りに赴くことだったようです。
○参考:内閣府『令和2年春の叙勲長野県』
https://www8.cao.go.jp/shokun/hatsurei/r02haru/meibo_jokun/zuiho-20nagano.pdf
そして、肝心の「支払決議書」や「支払伝票」を見ると、そこには1,410円の数字が記載されていました。「旅行計算書」を見ると、岩佐氏の自宅(八王子界隈)から文科省までの片道47km分のみ自家用車で往復した扱いにされており、その他の移動分については特に請求されていないことがわかります。となると、特にルールには違反していませんから、確かに問題にはなりません。
↑岩佐氏の7月末東京出張に係る旅行計算書↑
他の線も検討してみましょう。例えば、岩佐氏が今回の出張について何かしら不正な請求をしていたものの、当会からの質問状を受けて、大慌てで請求補正をし、「なかったこと」にしたという可能性はないでしょうか。
当会担当者は、すぐにその線も薄いことに気が付きました。「支払決議書」や「債務伝票」、「支払伝票」の左上にある出納予定日を見ると、9月10日になっています。当会が機構監査室への質問状や情報開示請求を送ったのは9月12日ですから、時系列からして、旅費が支払われる前に請求を補正することは不可能です。なお、高専関係者によれば、「もし旅費が支払われた後に補正をしようとすれば、最低でも返金手続きが必要であり、痕跡がまったく残らないことは考えにくい」とのこと。
■最後に気になる点は、なぜ八王子から霞が関までの往復で、公共交通機関でなくわざわざ自家用車を使ったのかという点です。今回の開示文書を読んだ高専関係者によれば、「岩佐氏は、高専機構の理事長裁定に従って、自家用車を業務使用するための指定車登録をしていることがわかる」とのこと。ただし、同裁定においては、指定車を使用できる基準のひとつとして「交通の便が良くないこと」があるようです。
我が国でもひときわ高密度の線路・バス網を持つ東京内の移動がこれに当たるのであれば、日本全国は不毛の地です。この点は平時であれば著しく不自然であり、当会としても疑問に感じました。ただし、今の時勢を考慮すると、「三密&不特定多数との接触を回避するためあえて自家用車を使った」というある程度もっともらしい反論も想定されます。
■このように、取り沙汰された7月末の東京出張について、岩佐氏は『シロ』であったというのが当会の検証結果です。
いくらコロナ規則破り疑惑でさんざん無法をはたらいている岩佐氏とはいっても、事実に基づかない濡れ衣を着せることは本意ではありません。したがって、「不正疑惑は杞憂に終わってくれた」という宣言をもって、当会としての結論とさせていただきます。
ただしひとつ、興味深い情報提供もあったことを付記します。今回の当会による検証作業に関するものかは不明ですが、10月28日の午前、またもや土居校長と岩佐総務課長の間で「密談」が行われていたそうです。監査室が「問題なし」の回答をした後でなお、どのような内容の密談をしたのか、気になるところではあります。
■当会では、長野高専の抱える諸問題について、引き続き検証と追及を行ってまいります。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】