■2019年10月31日に前橋地裁で全面敗訴となった東電グループの関電工による前橋バイオマス燃料・発電施設の差止を求める住民訴訟は、2020年1月6日付で控訴理由書を東京高裁に提出しました。その後、控訴審第1回期日が2020年3月9日(月)14時30分から東京高裁4階424号法廷でひらかれ、即日結審しました。その後、コロナ禍の影響で判決が遅れ、言渡しが行われたのは同6月22日(月)でした。一審判決全面支持の判決で原告敗訴が決まりました。そのため、地元住民の皆さんと相談の上、上告を決意し、7月6日に上告手続きを取り、2020年8月28日に上告理由書と上告受理申立書を提出していたところ、2020年11月5日付で最高裁第三小法廷から到着通知が届きました。

なお、2018年4月25日(水)午後4時30分に開かれた第8回弁論準備以降、これまでの本件裁判に関する情報は次のブログ記事を御覧下さい。
○2018年6月15日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…6月20日前橋バイオマス補助金返還第9回弁論に向け原告が準備書面(8)提出↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2669.html
○2018年8月4日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…9月5日前橋バイオマス補助金返還第10回弁論に向け被告が第7準備書面提出↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2716.html
○2018年8月28日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…9月5日前橋バイオマス補助金返還第10回弁論に向け原告が準備書面(8)提出↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2737.html
○2018年10月2日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…10月26日前橋バイオマス補助金返還第11回弁論に向け原告が証拠申出書を提出↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2767.html
○2018年10月6日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…10.26前橋バイオマス補助金返還第11回弁論に向け被告第8準備書面が届く↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2772.html
○2018年10月27日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…10.26前橋バイオマス補助金返還第11回弁論準備でついに証人尋問決定!↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2795.html
〇2019年1月22日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…1.30前橋バイオマス発電訴訟第12回弁論準備に向けて被告陳述書2通が到来!↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2864.html
○2019年2月4日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…前橋バイオマス補助金返還第12回弁論準備で4月24日に尋問決定!↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2876.html
○2019年7月17日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…前橋バイオマス補助金返還訴訟が7月17日に結審!判決は10月31日(木)14時!↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2980.html
○2019年10月31日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…前橋バイオマス訴訟の10月31日14時の判決を傍聴しよう!↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3061.html
○2019年10月30日:【速報】東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…前橋バイオマス訴訟で原告住民全面敗訴判決!↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3065.html
○2019年11月1日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…原告住民全面敗訴判決のこれが全文!↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3066.html
○2019年11月1日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…原告住民全面敗訴判決から見える裁判官の一分(いちぶん)とは↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3067.html
○2019年11月14日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…前橋バイオマス訴訟一審敗訴を受け原告が控訴状提出!↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3073.html
○2020年1月18日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…控訴審第1回期日が3月9日14:30東京高裁424号法廷で開催↑
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3113.html
○2020年2月26日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…控訴審第1回期日3月9日が迫り群馬県から控訴答弁書:
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3120.html
○2020年7月7日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…6月22日の控訴審敗訴判決により、7月6日最高裁に上告!↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3178.html
○2020年8月8日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…なんと福島県でも除染を隠れ蓑にした木質バイオ発電計画が進行中↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3188.html
○2020年8月28日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…当会が上告理由書と上告受理申立書を東京高裁第22民事に提出↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3197.html
■2020年11月7日に最高裁第3小法廷から届いた記録到着通知書の内容は次のとおりです。
*****記録到着通知書*****ZIP ⇒ 202011073lm.zip
〒379-0114 令和2年11月5日
群馬県安中市野殿980
小川賢 殿
令和2年(行ツ)第260号
令和2年(行ヒ)第298号
最高裁判所第三小法廷
裁判所書記官 山之内 憲二
記 録 到 着 通 知 書
現裁判所から下記事件記録の送付を受けました。今後は,当裁判所で審理することになりますのでお知らせします。
なお,審理する上で書面を提出してもらう必要が生じたときは連絡します。その際には,提出する書面に当裁判所における事件番号(下記1)を必ず記載してください。
記
1 当裁判所における事件番号
令和2年(行ツ)第260号
令和2年(行ヒ)第298号
2 当事者
上告人 兼 申立人 小川賢
被上告人兼相手方 群馬県知事 山本一太
3 現裁判所及び原審事件番号
東京高等裁判所
令和元年(行コ)第316号
当裁判所所在地 〒102-8651 東京都千代田区隼町4番2号
ダイヤルイン 03-3264-8555・8556・○8560
**********
■ところで上告手続き上は、上告理由書や上告受理申立て理由書が提出されると、事件記録が控訴審裁判所から上告審裁判所に送られます。この段階で、最高裁での事件番号がつき、担当する小法廷(最高裁は、第一小法廷、第二小法廷、第三小法廷の3つの小法廷に、民事事件も刑事事件も全部係属します)が決まります。今回は第三小法廷が担当ということになります。8月28日に上告理由書と上告受理申立て理由書を東京高裁に提出したので、最高裁に届けられるまでなんと2か月余りかかったわけです。
記録が上告審裁判所に届くことで、一審原告の当会はもとより、被告の群馬県にも「記録到着通知書」が送られたはずです。しかし、これは文字通り事件記録が上告審裁判所の最高裁に着いたというだけで、決して上告なり上告受理申立てが受理されたという通知ではありません。今回、最高裁第三法廷からの記録到着通知によって、最高裁での事件番号は、上告が「行ツ」第260号、上告受理申立ては「行ヒ」第298号と割り振られました。ちなみに、通常の民事事件では、上告は「オ」、上告受理申立ては「受」という符号が付きます。
日本に1つしかない最高裁は3つの部(小法廷)に分かれており、3つの部15人の裁判官で年間数千件にのぼるすべての上告や上告受理申立て事件が処理されることになります。
上告事件、上告受理申立て事件には、機械的に担当調査官と主任裁判官が割り当てられ、まず調査官が上告理由書、上告受理申立て理由書を読んで事件を持ち回り審議事件と(審議室)審議事件に分類します。
事件の大半は、持ち回り審議事件とされて、調査官報告書と1審・2審判決、上告理由書・上告受理申立て理由書等をセットにして、順次その事件を担当する小法廷の裁判官に回覧され、異論がなければ審議を終了し、その時点で上告棄却・不受理となります。この場合、最初に主任裁判官が検討し、その後他の裁判官が検討します。その過程で主任裁判官や別の裁判官から異論が出されて(審議室)審議事件にした方がよいとなれば、(審議室)審議事件になりますが、そういうことは極めて少ないようです。
(審議室)審議事件の場合、比較的詳細な調査官報告書が出され、各裁判官が事前に調査官報告書や上告理由書・上告受理申立て理由書等を検討した上で、原則として週1回その小法廷の裁判官が一堂に会して開かれる審議の場で各裁判官が意見を述べ、議論することになります。
審議事件となるのは全体の5~6%で、最高裁に係属する事件の約95%は持ち回り審議事件となると言われています。
それぞれの裁判官が1日に記録検討をして判断をする事件は20件から30件に上り、簡単な事件では記録検討が数分で終わることもあるそうです。(審議室)審議事件での審議では、各裁判官が自分の意見を書いた審議メモを配布することも多く、口頭であまり激烈なやりとりはないそうです。
■このように、最高裁の事件の大半は口頭弁論を開かずに上告棄却・上告不受理とされています。上告棄却の判決・決定も大抵「適法な上告理由に該当しない」と書かれているだけで、上告不受理の決定には理由は書かれません。
しかも、その判決・決定がいつ来るかは、口頭弁論が開かれなければ予告されず、時期は予測できません。当会の経験でも、環境アセスメントの評価書の写しの交付を情報非開示とされた裁判で、著作権法が争点となった時は、上告して実に4年後に突然棄却通知が来たことがあります。他方、多くの場合、2か月前後で棄却通知が来ました。
実際に、2019年に最高裁が行った上告棄却決定(1671件)の記録到着後決定までの期間は2か月以内が597件、2か月超3か月以内が422件、3か月超6か月以内が487件、6か月超1年以内が142件、1年超2年以内が22件、2年超5年以内が1件、同じく2019年に最高裁が行った上告不受理決定(2020件)の記録到着後決定までの期間は2か月以内が686件、2か月超3か月以内が524件、3か月超6か月以内が611件、6か月超1年以内が187件、1年超2年以内が11件、2年超5年以内が1件です。
こうして、原判決を破棄する可能性はおよそ1%で、取下げその他が2%前後、残り97%が上告棄却または却下、ないし不受理となるようです。しかし、今回の事件は福島原発事故を起こした東電の子会社による放射能汚染間伐材由来の木質バイオマス燃料を使った発電事業です。原発問題、環境問題の観点から最高裁がしっかりと事件の重要性と判決の意義を認識してくれるはずです。
■さっそく、前橋バイオマス発電事業施設のある地元住民の皆さんにも報告しましたが、それにしても、我が国の裁判とは、なんと時間がかかるものなのでしょうか。
当のバイオマス発電事業は、2018年3月4日に営業運転を開始してから、既に2年8カ月も経過してしまいました。連日、県外ナンバーを付けた大型トラックも含め、木質燃料を満載したトラックが頻繁に施設に入っていくのが目撃されています。
そうした中で、2020年7月15日に前橋バイオマス発電(株)の第5期決算が公告されました。これを見ると、多額の赤字が計上されています。しかも、同社の過去3年間の決算の推移を見ても、この傾向は継続中です。
*****第5期決算公告*****
発表日 2020年07月15日
会社名 前橋バイオマス発電株式会社
住所 群馬県前橋市古市町215番地6
代表 福本 雅邦
会社ホームページ http://www.maebashi-bio.jp/
親会社・関連会社等 https://catr.jp/companies/57f8f/43264
決算末日 2020年03月31日
純利益 ▲2862万7000円 (赤字縮小)
利益剰余金 ▲2億6054万5000円 (赤字拡大)
総資産 45億0494万1000円 (▲4.87%)

*****第4期決算公告*****
発表日 2019年06月28日
会社名 前橋バイオマス発電株式会社
住所 群馬県前橋市古市町215番地6
代表 福本 雅邦
会社ホームページ http://www.maebashi-bio.jp/
親会社・関連会社等 https://catr.jp/companies/57f8f/43264
決算末日 2019年03月31日
純利益 ▲7815万6000円 (赤字縮小)
利益剰余金 ▲2億3191万8000円 (赤字拡大)
総資産 47億3544万8000円

*****第3期決算公告*****
発表日 2018年06月27日
会社名 前橋バイオマス発電株式会社
住所 群馬県前橋市古市町215番地6
代表 野本 健司
会社ホームページ http://www.maebashi-bio.jp/
親会社・関連会社等 https://catr.jp/companies/57f8f/43264
決算末日 2018年03月31日
純利益 ▲1億1578万8000円
利益剰余金 ▲1億5376万1000円

**********

↑直近3難関の決算一覧。↑
■他方、前橋バイオマス発電の売電収入は次のとおり想定できます。
**********
発電量 年4,300万キロワットアワー
売電価格 32円/キロワットアワー
1日の発電量 118,000キロワットアワー
1ヶ月の売上高 1億1300万円
1年の売上高 13億円
**********
これでも利益が出ないとなると、どのようなカラクリが背後にあるのが、誰でも疑うでしょう。そもそも同社の株主は(株)関電工と(株)トーセンですが、隣接する施設として(株)前橋バイオマス燃料から燃料の木質チップを購入しており、この前橋バイオマス燃料の株主は、トーセンと関電工に加えて、群馬県森林組合連合会、群馬県素材生産流通協同組合です。
ちなみに、群馬県森林組合連合会(県森連)の八木原勇治・会長は、県森連に長年勤務しながら、自民党青年部を創設したり、知事選や国会議員をはじめとする各種の選挙で重要な役割を果たしてきた御仁で、2015年9月11日に県森連会長に就任した際の祝賀会には自民党の政治家が大勢来賓として顔を出していました。また、群馬県素材流通協同組合の代表理事は橋爪洋介・県議会議員兼自民党県連副会長です。
こうしてみると、前橋バイオマス発電事業に対しては、その事業手続の過程で環境アセスメントを免除するなどして、早期稼働のために群馬県が全面的に協力をした理由が、よく見えてきます。
■こうして、群馬県民の安心・安全な生活環境の保全より、政治家の圧力のほうを最優先する群馬県の環境行政に対して、一石を投じた本件訴訟は、いよいよ最高裁第三法廷で審議されることになりました。
東電と行政と自民党が仕組んだこの無謀な事業に対して、日本の司法の最高機関が、三権分立の機能を保てるのかどうかを示すかを判定する意味でも、本件裁判の結果がどのように下されるのか、地元住民はじめ、県民の皆さんとともに注視していきます。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
※参考情報「バイオマス発電の欺瞞」
今回の訴訟を通じて、節目節目で記事を書いて発表していただいた電子出版の株式会社オルタナ(東京都目黒区駒場)の記者のかたが、つい最近、バイオマスに関する記事を掲載したのでご紹介します。
**********オルタナ2020年11月2日
「輸入バイオマス発電」にご用心
電気料金の請求書を見ると「再エネ発電賦課金」という項目がある。その使いみちは「環境に配慮された再生可能エネルギーのため」と私たちは信じて支払っているわけだが、実はそうでないかもしれない。環境NGOによると、この賦課金によって「海外の森林や生態系が破壊されている」という。一体何が起きているのか。(編集委員・栗岡理子)
★電気代が海外の森林を破壊する★
再エネ発電賦課金は再生可能エネルギーの利用を促進するための費用で、私たちは毎月電気の使用量に応じて、電気代の一部として支払っている。
電気事業者には、再生可能エネルギー源(太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス)を使って発電された電気を、国が定める価格で一定期間買い取ることが義務付けられているためだ。
これを固定価格買取制度(略称:FIT)と呼び、買い取りに要した費用が、再エネ発電賦課金として電気利用者に転嫁されるのだ。
FITの下、この再エネ発電賦課金はバイオマス発電燃料の買い取りなどに利用される。
現在、再エネ発電賦課金を使って発電されるバイオマス発電燃料は国産のものばかりでなく、外国から輸入されるものも多い。
しかし、これら輸入バイオマスは、輸送時に発生するCO2などの温室効果ガスに加え、調達方法などが適切でないため環境破壊につながっているケースが多々見受けられる。

↑発電などに使われる木質ペレット(イメージ)©Racool_studio↑
国際環境NGOのFoEジャパン(東京・板橋)は、この再エネ発電賦課金が「海外の森林や生態系を破壊する原資となっている」と指摘する。
「バイオマス発電に使われる木質ペレットは、多くが北米やベトナムから輸入されている。残材では足りずに天然林を皆伐している事例も報告されている」(満田夏花事務局長)。
なぜ、このようなことが起きるのだろうか。
★「カーボンニュートラル」って本当?★
その背景には、バイオマスを燃やしても二酸化炭素排出量(CO2)としてカウントされない「カーボンニュートラル」の考えがある。
カーボン(炭素)を大量に含んだ木材を燃やしても、木材は成長過程で光合成によりCO2を吸収し、炭素の形で体内に貯め込んでいる。その木材を燃やしてCO2を出しても、CO2はプラスマイナスゼロ、つまりニュートラル(中立)であるため、CO2排出量としてカウントしないでよい、というのがカーボンニュートラルの考え方だ。
これはレジ袋有料化の例外とされた「バイオマス素材の配合率が25%以上のもの」の根拠にもなっているものだ。バイオマスがプラスチック重量の25%以上を占めるレジ袋については、バイオマス素材がカーボンニュートラルな素材であり、地球温暖化対策に寄与するとして、有料化の対象外とされた。
しかし、カーボンニュートラルの考え方の危うさについては以前から多くの科学者や環境団体によって指摘されている。実は最近、米NGOが日本の経済産業省や林野庁長官などに要請書を提出したのだが、そのなかにもこの指摘があった。
★米NGO17団体が経産省宛てに要請★
さる10月2日、米NGO 17団体はFoE経由で日本の関係機関宛てに、木質ペレットをFITの対象から外すよう求める要請書を提出した。
このなかで、米国南部で天然林を伐採して木質ペレットを生産している現状を示し、この木質ペレットを「再生可能エネルギー」の名の下で生産消費することは「グリーンウォッシュ」(見せかけの環境配慮)だと指摘。日本に対し、再生可能エネルギーの定義と「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」から木質ペレット森林系バイオマスを除外することを求めた。
目標が温室効果ガスの削減であるなら、再生可能エネルギーとして木質ペレットを使用することは、目的に合わないというのがその理由だ。
洪水を防止したり、生物多様性を保全したりするなどの機能を持つ天然林を伐採し、その丸太全体を利用して作った木質ペレットを燃やすことは、確かにカーボンニュートラルどころの話ではない。
米ノースカロライナ州政府も公式文書の中で、木質ペレット産業が伐採、加工、輸送を通じて同州の炭素排出量を増加させていることを明確に認めているという。
木質ペレット生産現場の実態は、私たちが持つ「バイオマスは環境に良い」というイメージとはかけ離れているようだ。
満田事務局長は、「FITの調達基準はゆるゆるで、こうした非持続可能な燃料を排除することができていない」という。
昨今、バイオマス発電については良い話を聞かない。カーボンニュートラルの考えは確かに一理あると思う。しかし、HIS角田バイオマスパーク(宮城県角田市)や三恵福知山バイオマス発電所(京都府福知山市)のバーム油発電も同様だが、カーボンニュートラルだから環境負荷が低いと考えるのは早計だ。
直接生産地を見る機会のない輸入バイオマスを原料とする発電については、特に用心が必要だ。
**********

なお、2018年4月25日(水)午後4時30分に開かれた第8回弁論準備以降、これまでの本件裁判に関する情報は次のブログ記事を御覧下さい。
○2018年6月15日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…6月20日前橋バイオマス補助金返還第9回弁論に向け原告が準備書面(8)提出↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2669.html
○2018年8月4日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…9月5日前橋バイオマス補助金返還第10回弁論に向け被告が第7準備書面提出↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2716.html
○2018年8月28日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…9月5日前橋バイオマス補助金返還第10回弁論に向け原告が準備書面(8)提出↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2737.html
○2018年10月2日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…10月26日前橋バイオマス補助金返還第11回弁論に向け原告が証拠申出書を提出↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2767.html
○2018年10月6日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…10.26前橋バイオマス補助金返還第11回弁論に向け被告第8準備書面が届く↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2772.html
○2018年10月27日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…10.26前橋バイオマス補助金返還第11回弁論準備でついに証人尋問決定!↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2795.html
〇2019年1月22日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…1.30前橋バイオマス発電訴訟第12回弁論準備に向けて被告陳述書2通が到来!↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2864.html
○2019年2月4日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…前橋バイオマス補助金返還第12回弁論準備で4月24日に尋問決定!↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2876.html
○2019年7月17日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…前橋バイオマス補助金返還訴訟が7月17日に結審!判決は10月31日(木)14時!↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2980.html
○2019年10月31日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…前橋バイオマス訴訟の10月31日14時の判決を傍聴しよう!↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3061.html
○2019年10月30日:【速報】東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…前橋バイオマス訴訟で原告住民全面敗訴判決!↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3065.html
○2019年11月1日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…原告住民全面敗訴判決のこれが全文!↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3066.html
○2019年11月1日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…原告住民全面敗訴判決から見える裁判官の一分(いちぶん)とは↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3067.html
○2019年11月14日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…前橋バイオマス訴訟一審敗訴を受け原告が控訴状提出!↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3073.html
○2020年1月18日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…控訴審第1回期日が3月9日14:30東京高裁424号法廷で開催↑
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3113.html
○2020年2月26日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…控訴審第1回期日3月9日が迫り群馬県から控訴答弁書:
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3120.html
○2020年7月7日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…6月22日の控訴審敗訴判決により、7月6日最高裁に上告!↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3178.html
○2020年8月8日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…なんと福島県でも除染を隠れ蓑にした木質バイオ発電計画が進行中↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3188.html
○2020年8月28日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…当会が上告理由書と上告受理申立書を東京高裁第22民事に提出↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3197.html
■2020年11月7日に最高裁第3小法廷から届いた記録到着通知書の内容は次のとおりです。
*****記録到着通知書*****ZIP ⇒ 202011073lm.zip
〒379-0114 令和2年11月5日
群馬県安中市野殿980
小川賢 殿
令和2年(行ツ)第260号
令和2年(行ヒ)第298号
最高裁判所第三小法廷
裁判所書記官 山之内 憲二
記 録 到 着 通 知 書
現裁判所から下記事件記録の送付を受けました。今後は,当裁判所で審理することになりますのでお知らせします。
なお,審理する上で書面を提出してもらう必要が生じたときは連絡します。その際には,提出する書面に当裁判所における事件番号(下記1)を必ず記載してください。
記
1 当裁判所における事件番号
令和2年(行ツ)第260号
令和2年(行ヒ)第298号
2 当事者
上告人 兼 申立人 小川賢
被上告人兼相手方 群馬県知事 山本一太
3 現裁判所及び原審事件番号
東京高等裁判所
令和元年(行コ)第316号
当裁判所所在地 〒102-8651 東京都千代田区隼町4番2号
ダイヤルイン 03-3264-8555・8556・○8560
**********
■ところで上告手続き上は、上告理由書や上告受理申立て理由書が提出されると、事件記録が控訴審裁判所から上告審裁判所に送られます。この段階で、最高裁での事件番号がつき、担当する小法廷(最高裁は、第一小法廷、第二小法廷、第三小法廷の3つの小法廷に、民事事件も刑事事件も全部係属します)が決まります。今回は第三小法廷が担当ということになります。8月28日に上告理由書と上告受理申立て理由書を東京高裁に提出したので、最高裁に届けられるまでなんと2か月余りかかったわけです。
記録が上告審裁判所に届くことで、一審原告の当会はもとより、被告の群馬県にも「記録到着通知書」が送られたはずです。しかし、これは文字通り事件記録が上告審裁判所の最高裁に着いたというだけで、決して上告なり上告受理申立てが受理されたという通知ではありません。今回、最高裁第三法廷からの記録到着通知によって、最高裁での事件番号は、上告が「行ツ」第260号、上告受理申立ては「行ヒ」第298号と割り振られました。ちなみに、通常の民事事件では、上告は「オ」、上告受理申立ては「受」という符号が付きます。
日本に1つしかない最高裁は3つの部(小法廷)に分かれており、3つの部15人の裁判官で年間数千件にのぼるすべての上告や上告受理申立て事件が処理されることになります。
上告事件、上告受理申立て事件には、機械的に担当調査官と主任裁判官が割り当てられ、まず調査官が上告理由書、上告受理申立て理由書を読んで事件を持ち回り審議事件と(審議室)審議事件に分類します。
事件の大半は、持ち回り審議事件とされて、調査官報告書と1審・2審判決、上告理由書・上告受理申立て理由書等をセットにして、順次その事件を担当する小法廷の裁判官に回覧され、異論がなければ審議を終了し、その時点で上告棄却・不受理となります。この場合、最初に主任裁判官が検討し、その後他の裁判官が検討します。その過程で主任裁判官や別の裁判官から異論が出されて(審議室)審議事件にした方がよいとなれば、(審議室)審議事件になりますが、そういうことは極めて少ないようです。
(審議室)審議事件の場合、比較的詳細な調査官報告書が出され、各裁判官が事前に調査官報告書や上告理由書・上告受理申立て理由書等を検討した上で、原則として週1回その小法廷の裁判官が一堂に会して開かれる審議の場で各裁判官が意見を述べ、議論することになります。
審議事件となるのは全体の5~6%で、最高裁に係属する事件の約95%は持ち回り審議事件となると言われています。
それぞれの裁判官が1日に記録検討をして判断をする事件は20件から30件に上り、簡単な事件では記録検討が数分で終わることもあるそうです。(審議室)審議事件での審議では、各裁判官が自分の意見を書いた審議メモを配布することも多く、口頭であまり激烈なやりとりはないそうです。
■このように、最高裁の事件の大半は口頭弁論を開かずに上告棄却・上告不受理とされています。上告棄却の判決・決定も大抵「適法な上告理由に該当しない」と書かれているだけで、上告不受理の決定には理由は書かれません。
しかも、その判決・決定がいつ来るかは、口頭弁論が開かれなければ予告されず、時期は予測できません。当会の経験でも、環境アセスメントの評価書の写しの交付を情報非開示とされた裁判で、著作権法が争点となった時は、上告して実に4年後に突然棄却通知が来たことがあります。他方、多くの場合、2か月前後で棄却通知が来ました。
実際に、2019年に最高裁が行った上告棄却決定(1671件)の記録到着後決定までの期間は2か月以内が597件、2か月超3か月以内が422件、3か月超6か月以内が487件、6か月超1年以内が142件、1年超2年以内が22件、2年超5年以内が1件、同じく2019年に最高裁が行った上告不受理決定(2020件)の記録到着後決定までの期間は2か月以内が686件、2か月超3か月以内が524件、3か月超6か月以内が611件、6か月超1年以内が187件、1年超2年以内が11件、2年超5年以内が1件です。
こうして、原判決を破棄する可能性はおよそ1%で、取下げその他が2%前後、残り97%が上告棄却または却下、ないし不受理となるようです。しかし、今回の事件は福島原発事故を起こした東電の子会社による放射能汚染間伐材由来の木質バイオマス燃料を使った発電事業です。原発問題、環境問題の観点から最高裁がしっかりと事件の重要性と判決の意義を認識してくれるはずです。
■さっそく、前橋バイオマス発電事業施設のある地元住民の皆さんにも報告しましたが、それにしても、我が国の裁判とは、なんと時間がかかるものなのでしょうか。
当のバイオマス発電事業は、2018年3月4日に営業運転を開始してから、既に2年8カ月も経過してしまいました。連日、県外ナンバーを付けた大型トラックも含め、木質燃料を満載したトラックが頻繁に施設に入っていくのが目撃されています。
そうした中で、2020年7月15日に前橋バイオマス発電(株)の第5期決算が公告されました。これを見ると、多額の赤字が計上されています。しかも、同社の過去3年間の決算の推移を見ても、この傾向は継続中です。
*****第5期決算公告*****
発表日 2020年07月15日
会社名 前橋バイオマス発電株式会社
住所 群馬県前橋市古市町215番地6
代表 福本 雅邦
会社ホームページ http://www.maebashi-bio.jp/
親会社・関連会社等 https://catr.jp/companies/57f8f/43264
決算末日 2020年03月31日
純利益 ▲2862万7000円 (赤字縮小)
利益剰余金 ▲2億6054万5000円 (赤字拡大)
総資産 45億0494万1000円 (▲4.87%)

*****第4期決算公告*****
発表日 2019年06月28日
会社名 前橋バイオマス発電株式会社
住所 群馬県前橋市古市町215番地6
代表 福本 雅邦
会社ホームページ http://www.maebashi-bio.jp/
親会社・関連会社等 https://catr.jp/companies/57f8f/43264
決算末日 2019年03月31日
純利益 ▲7815万6000円 (赤字縮小)
利益剰余金 ▲2億3191万8000円 (赤字拡大)
総資産 47億3544万8000円

*****第3期決算公告*****
発表日 2018年06月27日
会社名 前橋バイオマス発電株式会社
住所 群馬県前橋市古市町215番地6
代表 野本 健司
会社ホームページ http://www.maebashi-bio.jp/
親会社・関連会社等 https://catr.jp/companies/57f8f/43264
決算末日 2018年03月31日
純利益 ▲1億1578万8000円
利益剰余金 ▲1億5376万1000円

**********

↑直近3難関の決算一覧。↑
■他方、前橋バイオマス発電の売電収入は次のとおり想定できます。
**********
発電量 年4,300万キロワットアワー
売電価格 32円/キロワットアワー
1日の発電量 118,000キロワットアワー
1ヶ月の売上高 1億1300万円
1年の売上高 13億円
**********
これでも利益が出ないとなると、どのようなカラクリが背後にあるのが、誰でも疑うでしょう。そもそも同社の株主は(株)関電工と(株)トーセンですが、隣接する施設として(株)前橋バイオマス燃料から燃料の木質チップを購入しており、この前橋バイオマス燃料の株主は、トーセンと関電工に加えて、群馬県森林組合連合会、群馬県素材生産流通協同組合です。
ちなみに、群馬県森林組合連合会(県森連)の八木原勇治・会長は、県森連に長年勤務しながら、自民党青年部を創設したり、知事選や国会議員をはじめとする各種の選挙で重要な役割を果たしてきた御仁で、2015年9月11日に県森連会長に就任した際の祝賀会には自民党の政治家が大勢来賓として顔を出していました。また、群馬県素材流通協同組合の代表理事は橋爪洋介・県議会議員兼自民党県連副会長です。
こうしてみると、前橋バイオマス発電事業に対しては、その事業手続の過程で環境アセスメントを免除するなどして、早期稼働のために群馬県が全面的に協力をした理由が、よく見えてきます。
■こうして、群馬県民の安心・安全な生活環境の保全より、政治家の圧力のほうを最優先する群馬県の環境行政に対して、一石を投じた本件訴訟は、いよいよ最高裁第三法廷で審議されることになりました。
東電と行政と自民党が仕組んだこの無謀な事業に対して、日本の司法の最高機関が、三権分立の機能を保てるのかどうかを示すかを判定する意味でも、本件裁判の結果がどのように下されるのか、地元住民はじめ、県民の皆さんとともに注視していきます。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
※参考情報「バイオマス発電の欺瞞」
今回の訴訟を通じて、節目節目で記事を書いて発表していただいた電子出版の株式会社オルタナ(東京都目黒区駒場)の記者のかたが、つい最近、バイオマスに関する記事を掲載したのでご紹介します。
**********オルタナ2020年11月2日
「輸入バイオマス発電」にご用心
電気料金の請求書を見ると「再エネ発電賦課金」という項目がある。その使いみちは「環境に配慮された再生可能エネルギーのため」と私たちは信じて支払っているわけだが、実はそうでないかもしれない。環境NGOによると、この賦課金によって「海外の森林や生態系が破壊されている」という。一体何が起きているのか。(編集委員・栗岡理子)
★電気代が海外の森林を破壊する★
再エネ発電賦課金は再生可能エネルギーの利用を促進するための費用で、私たちは毎月電気の使用量に応じて、電気代の一部として支払っている。
電気事業者には、再生可能エネルギー源(太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス)を使って発電された電気を、国が定める価格で一定期間買い取ることが義務付けられているためだ。
これを固定価格買取制度(略称:FIT)と呼び、買い取りに要した費用が、再エネ発電賦課金として電気利用者に転嫁されるのだ。
FITの下、この再エネ発電賦課金はバイオマス発電燃料の買い取りなどに利用される。
現在、再エネ発電賦課金を使って発電されるバイオマス発電燃料は国産のものばかりでなく、外国から輸入されるものも多い。
しかし、これら輸入バイオマスは、輸送時に発生するCO2などの温室効果ガスに加え、調達方法などが適切でないため環境破壊につながっているケースが多々見受けられる。

↑発電などに使われる木質ペレット(イメージ)©Racool_studio↑
国際環境NGOのFoEジャパン(東京・板橋)は、この再エネ発電賦課金が「海外の森林や生態系を破壊する原資となっている」と指摘する。
「バイオマス発電に使われる木質ペレットは、多くが北米やベトナムから輸入されている。残材では足りずに天然林を皆伐している事例も報告されている」(満田夏花事務局長)。
なぜ、このようなことが起きるのだろうか。
★「カーボンニュートラル」って本当?★
その背景には、バイオマスを燃やしても二酸化炭素排出量(CO2)としてカウントされない「カーボンニュートラル」の考えがある。
カーボン(炭素)を大量に含んだ木材を燃やしても、木材は成長過程で光合成によりCO2を吸収し、炭素の形で体内に貯め込んでいる。その木材を燃やしてCO2を出しても、CO2はプラスマイナスゼロ、つまりニュートラル(中立)であるため、CO2排出量としてカウントしないでよい、というのがカーボンニュートラルの考え方だ。
これはレジ袋有料化の例外とされた「バイオマス素材の配合率が25%以上のもの」の根拠にもなっているものだ。バイオマスがプラスチック重量の25%以上を占めるレジ袋については、バイオマス素材がカーボンニュートラルな素材であり、地球温暖化対策に寄与するとして、有料化の対象外とされた。
しかし、カーボンニュートラルの考え方の危うさについては以前から多くの科学者や環境団体によって指摘されている。実は最近、米NGOが日本の経済産業省や林野庁長官などに要請書を提出したのだが、そのなかにもこの指摘があった。
★米NGO17団体が経産省宛てに要請★
さる10月2日、米NGO 17団体はFoE経由で日本の関係機関宛てに、木質ペレットをFITの対象から外すよう求める要請書を提出した。
このなかで、米国南部で天然林を伐採して木質ペレットを生産している現状を示し、この木質ペレットを「再生可能エネルギー」の名の下で生産消費することは「グリーンウォッシュ」(見せかけの環境配慮)だと指摘。日本に対し、再生可能エネルギーの定義と「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」から木質ペレット森林系バイオマスを除外することを求めた。
目標が温室効果ガスの削減であるなら、再生可能エネルギーとして木質ペレットを使用することは、目的に合わないというのがその理由だ。
洪水を防止したり、生物多様性を保全したりするなどの機能を持つ天然林を伐採し、その丸太全体を利用して作った木質ペレットを燃やすことは、確かにカーボンニュートラルどころの話ではない。
米ノースカロライナ州政府も公式文書の中で、木質ペレット産業が伐採、加工、輸送を通じて同州の炭素排出量を増加させていることを明確に認めているという。
木質ペレット生産現場の実態は、私たちが持つ「バイオマスは環境に良い」というイメージとはかけ離れているようだ。
満田事務局長は、「FITの調達基準はゆるゆるで、こうした非持続可能な燃料を排除することができていない」という。
昨今、バイオマス発電については良い話を聞かない。カーボンニュートラルの考えは確かに一理あると思う。しかし、HIS角田バイオマスパーク(宮城県角田市)や三恵福知山バイオマス発電所(京都府福知山市)のバーム油発電も同様だが、カーボンニュートラルだから環境負荷が低いと考えるのは早計だ。
直接生産地を見る機会のない輸入バイオマスを原料とする発電については、特に用心が必要だ。
**********