市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

「渋川市議がまたまた売名行為?」その後(その3)

2019-11-24 22:26:00 | 渋川市の行政問題
■ 日本国や群馬県、その他の地方自治体などの行政機関では、文書で管理される「文書主義」が採用されていることはよく知られています。行政機関が、その意思決定に至る過程並びに事業の実績を合理的に跡付け、後から検証することができるようにするためです。
 ところが大同有害スラグで有名な渋川市の行政を巡り上毛新聞で、毎週末のように「了解」や「聞いていない」など、およそ行政機関の話ではないような目を疑う報道が繰り返されています。事故や事件など殺伐な事件が躍る社会面で一服の「清涼剤」的な、愉快なユニーク記事を見ていきましょう。

**********上毛新聞2019年11月23日
硯石周辺整備問題 報告遅れる可能性
渋川市議会特別委

 渋川市北橘町の市有地にある巨石「硯石」の周辺整備が市の正式な手続きを経ずに行われた問題で、同市議会の「歴史的価値のある硯石の掘り起こしに関する特別委員会」が22日、開かれた。
 報告書の取りまとめ方を話し合った結果、当初の目標としていた市議会12月定例会での報告がずれ込む可能性が出てきた。
 前回までに、関係する市職員や市議ら8人から話を聞いた。取りまとめに慎重を期すため、当初の目標時期にはこだわらないことで一致した。
 「(作業前の)地鎮祭の日時を市長に伝えた」とする市議の発言と、報道による高木勉市長の見解に相違があることから、特別委として市長の認識について文書で回答を求めることも決めた。
**********

 この記事だけではよくわからないので先週の記事もごらんください。


**********上毛新聞2019年11月15日
硯石周辺整備の市議「市の了解得ている」
渋川市議会特別委

 渋川市北橘町の市有地にある巨石「硯石」の周辺整備が市の正式な手続きを経ずに行われた問題で、同市議会の「歴史的価値のある硯石の掘り起こしに関する特別委員会」が14日、開かれた。
 作業した市議が委員の質疑に応じ、作業前の地鎮祭の日時を高木勉市長に伝えていたとした上で、「市の了解を得ている」との認識を示した。
 市議は、作業に関し議会事務局職員を通じて、石の説明板を掲示している市教委文化財保護課と市有地を管理する資産経営課に連絡をしたと説明。「市がくいを打ち、草を刈った場所に(作業)に入った。市長にも話しており、100パーセント市の了解を得ていると思っている」などと述べた。
 高木市長は上毛新聞の取材に「からっ風街道の石を動かすからと日程の都合を聞かれたが、市有地にある石の作業とは聞いていなかった」と認識の違いを示し、「どこに問題があったのかを現在調べているところだ」と述べた。
**********

 それでは、地元上毛新聞が、貴重な社会面の紙面をたびたび賑わせている渋川市のこの聖なる「鏡石」のご神体をあらためてチェックしてみましょう。

 まずは、上毛新聞に掲載された移動前の「硯石」のお姿はどうだったのでしょうか。<ビフォー?>



 続いて、上毛新聞に掲載された移動後の「硯石」のお姿。<アフター?>



 なんと痛々しいお姿だろうか。重機による傷だらけで満身創痍状態です。僕の・私の・硯石を返せ!の声が天にこだまするような気がいたします。

■さて、今回もポイントをまとめてみましょう。

ポイント①正式な文書による手続きもない周辺整備工事に「慎重を期す」特別委の姿勢。
ポイント②身勝手な「日時を市長に伝えた」の言い分に市長に文書による回答を求めること。

 それではそれぞれのポイントについて、検証してみましょう。

ポイント①
正式な文書による手続きもない周辺整備工事に「慎重を期す」特別委の姿勢。

■上毛新聞の書き出しは、「渋川市北橘町の市有地にある巨石『硯石』の周辺整備が市の正式な手続きを経ずに行われた問題で、同市議会の『歴史的価値のある硯石の掘り起こしに関する特別委員会』が22日、開かれた。」で始まっています。2週にわたり「硯石」の周辺整備が市の正式な手続きを経ていないことが紹介されています。

 正式な手続きを経ているかどうか?このことについて、どう検証するのでしょうか。

 その検証の道具はなんといっても「公文書」です。

 行政機関は書面によりやり取りをする「文書主義」であることが広く知られています。 この文書主義に関し、ネットで法令を検索してみると、「公文書等の管理に関する法律」を見つけることができました。

 そこには、第1条(目的)が記載され、「公文書等の管理に関する基本的事項を定めることによりことにより行政が適正かつ効率的に運営されるようにする」とされています。この法律は国の公文書についてのものですが、その第34条に「地方公共団体は、この法律の趣旨にのっとり、その保有する文書の適正な管理に関して必要な施策を策定し、及びこれを実施するよう努めなければならない。」となっています。

 渋川市でも公文書管理の条例が他の地方自治体に先駆けて制定される動きがあるようで、「文書主義」が採用されていることは明らかです。

 渋川市の公文書管理条例はネットで検索することができました↓↓
http://www.city.shibukawa.lg.jp/shisei/jyouhoukoukai/jyouhoukoukai/p006908_d/fil/1.pdf

 渋川市議会の特別委員会で、「硯石」の周辺整備が市の正式な手続きを経ずに行われたかどうかは、公文書を見れば明らかです。

 もし公文書がなければ、市の正式な手続きを経ずに、つまり勝手に整備が進められたと考えるしかありません。周辺整備を進めたのは「市議ら」と複数の市議です。一般市民と比べ市の行政に精通している人であるはずなので、泣き言は通じません。


毎日新聞掲載「硯石」の整備の様子=市議提供

 渋川市議会の「歴史的価値のある硯石の掘り起こしに関する特別委員会」が取りまとめに慎重を期す、との上毛新聞報道ですが、「硯石」は無慈悲な整備工事で傷だらけになっています。

 特別委員会のメンバーも市行政に精通した市議会議員の面々であるはずですので、せめて慎重を期すなら「寄付行為」や「公職選挙法違反」や「器物破損」そして「市有地不法侵入」などの刑事告発勧告の取りまとめであって欲しいものです。大同有害スラグ事件を不問に付してきた〝優秀な〟市議会議員様諸氏が雁首揃えれば、さぞかし素晴らしい提言ができることでしょう。

ポイント②
身勝手な「日時を市長に伝えた」の言い分に市長に文書による回答を求めること。

■「硯石」の周辺整備を無謀に進めた市議らは「市長にも話しており、100パーセント市の了解を得ていると思っている」などと述べていることから、「了解」は公文書のやりとりではなく、口頭で行われたとの主張であるようです。 「話をした」は、立ち話や、すれ違いざまに捨て台詞のように「話す」こともあるでしょう。

 上毛新聞では「『(作業前の)地鎮祭の日時を市長に伝えた』とする市議の発言と、報道による高木勉市長の見解に相違があることから、特別委として市長の認識について文書で回答を求めることも決めた。」と報道され、
口頭による発言に対し、市長には文書による回答を求める
という何ともあきれた報道になっています。

 そもそも文書主義で進められる行政機関の長である市長に対し、「話をした」の発言を取り上げて、質問する必要があるのでしょうか?

 「100パーセント市の了解を得ている」のであれば硯石周辺整備工事の進行状況が公文書に記載されているはずですので、そちらを確かめてはいかがでしょうか?

■大同有害スラグ事件で有名な渋川市においては、有害なフッ素毒が含まれたスラグが未だに大量に放置されています。そのフッ素毒にやられたのか、渋川市議会では「話をした」との主張を真に受け、市長に「文章」で回答を求めるという珍事件が発生しています。

 なぜか毎週繰り返される上毛新聞報道ですが、問題の「市議も?」「特別委も?」な状況をきっと次回も愉快に報道してくれることでしょう。

 それにしても、ヨシモトの漫才でも、ちゃんと台本があるのに、例えればあたかも「やくざもんの戯言(ざれごと)」に対して、市長には「文書で回答」という論法は、それ自体、不公平すぎて、議論など成り立つはずのないことですので、漫談のネタとして笑いとばしておけばよいでしょう。

 それを、上毛新聞が執拗に「戯言」を取り上げて記事化するものだから、話がややこしくなるわけです。

■そもそも議員から資料の提供の要求があった場合には、行政当局側としては、可能な限り速やかに対応すべきであり、仮に議員の要求に応じられない場合でも、行政側は可能な限りその理由を示すべきであると、考えられています。

 このように議員は公文書の公開請求に際しても、一般市民と比べると、住民の代表だけ会って、広く権限が認められるようです。

 他方、我々、市民オンブズマンが公文書を情報公開請求した場合に、なかなか情報が開示されないのは、いったいどういうわけでしょう。せめて、住民の代表であろうとなかろうと、行政情報は、納税者住民の財産の一部であるはずですし、そのように取り扱われなければなりません。

 残念ながら、いまから約25年前に情報公開法がはじめて施行されたころに比べると、役所の情報開示の姿勢はずいぶん後退してしまいました。それでも、原則公開であるはずの情報開示を復活させるために、引き続き尽力してまいります。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

※参考資料:硯石をめぐる報道
**********上毛新聞2019年8月22日
北橘の「硯石」見に来て 整地や駐車場確保 巨石周辺を住民が力

整備後の硯石。車を止めて見学できるようになった。

整備前におはらいをする関係者。周囲に草木が茂っている。
 地名の由来にもなった巨石「硯石(すずりいし)」を広く知ってもらおうと、群馬県渋川市北橘町赤城山の近隣住民らが周辺整備に動きだした。草木を伐採して整地し、駐車スペースを確保。将来、憩いの場になるようサクラの苗木も植えた。有志は「地域の宝を観光客らにも見てほしい」と話している。
 硯石は赤城南麓広域農道(からっ風街道)沿いにある。地上に出ていた部分は高さ1.4メートルで、幅は2.2メートルほど。赤城山が噴火した際に押し流されてきたとされ、上のくぼみに常に水がたまっていることから硯(すずり)に見立てて呼ばれているという。親鸞がくぼみの水を使って墨をすり、一首詠んだとの伝承も残る。
**********毎日新聞2019年9月17日
親鸞上人伝説の岩「硯石」、地域おこしの目玉に 渋川市議が無償で整備 住民賛否「見えやすい」「あんなに傷」 /群馬

整備が終わり地中から掘り起こされた硯石=群馬県渋川市北橘町で8月24日
 渋川市北橘町の岩「硯石(すずりいし)」を地域おこしの目玉にしようと、渋川市議の望月昭治氏(67)らが整備に入った。親鸞上人がこの地に立ち寄った際、岩のくぼみにたまった水で墨をすり歌を詠んだという伝説が残されている。市指定文化財ではないが「市の文化的財産」(市職員)といい、望月氏が整備を企画し実現した。
 硯石は、通称「からっ風街道」と呼ばれる市道沿いの市有地にあり、岩の脇には市教育委員会が立てた説明書きの看板もあった。
 望月氏らが整備に入ったのは7月下旬。土木建築会社の役員も務める望月氏が、会社の重機を使って岩を掘り返した。やぶも伐採し、桜の苗木を現地に植えた。望月氏は「硯石を世に出してやりたいと思った。今後は市の指定文化財になれればいい」と話す。
 ただ、地元では賛否が分かれている。「硯石が見やすくなった」と歓迎の声がある一方、重機で掘り返した際に岩に傷が付いたことから、「あんなに傷つくとは思わなかった」「文句が無いわけではないが、ボランティアでやってくれたのだから仕方がない」などという意見もある。
 市文化財保護課の担当者は「もう少し傷が付かないように強く要望すべきだった」と話している。【西銘研志郎】
**********毎日新聞2019年9月25日
硯石整備、正式許可なし 市議の要請、口頭のみ 渋川市 /群馬
 渋川市北橘町の市有地にある岩「硯石(すずりいし)」を市議が「地域おこし」を名目に移動させた件で、この整備行為に市の正式な許可がなかったことが24日分かった。高木勉市長もこの整備行為を報道されるまで把握しておらず、毎日新聞の取材に対し、整備に必要な手続きを経ていないことを認めた。この整備で岩には傷が付いており、地元住民からは「誰がその責任を追うのかが分からない」との声も上がっている。【西銘研志郎】
 硯石は「からっ風街道」と呼ばれる市道沿いにある。親鸞上人がこの地に立ち寄った際、岩のくぼみにたまった水で墨をすり歌を詠んだという伝説が残されており、市指定文化財ではないが、岩の脇には市教委が立てた説明書きの看板がある。7月下旬に、土木建築会社の役員を務める男性市議らが地域おこしの目玉にしようと、会社の重機を使って無償で硯石近辺を整備。その際に重機で岩に傷が付いた。
 市関係者などによると、通常、地元からの要望で市が事業化する場合、地元自治会長が組織する連合会が市の行政センターに要望書を提出し、センターが市の関係部署に要望を届ける。その後に市役所内での検討を経て、予算案に計上し、議会の承認を得る。
 だが今回の整備行為は男性市議が主導したもので、地元からの要望書は行政センターには提出されていなかった。市側は市議からの要請を受けて、「市議の善意」として受け取り、事業化するための起案書などを作成せず、市議と複数の関連部署の課長との間で話が進められた。担当課長の説明では「上司にも口頭では伝えた」というが、正式な書類は作成されず、決済などの手続きもされていなかった。
 高木市長は毎日新聞の取材に対し「硯石の整備は新聞で報道されるまで知らなかった。もしこうしたことをするなら正式な手続きが必要だが、適正な処理ではなかった。行政として責任はある」と述べた。担当課長は「市議の善意として受け取ったので特に問題視はしなかった。結果的にこうなってしまったのは残念」と話している。
**********毎日新聞2019年9月27日
渋川市議会 硯石問題で特別委 掘り起こしの経緯調査 

硯石の整備の様子=市議提供
 渋川市北橘町の市有地にある岩「硯石(すずりいし)」が市の正式な手続きを経ずに市議の男性らによって整備された問題で、渋川市議会は26日、この問題を調査する特別委員会を設置することを決めた。設置理由は「硯石の掘り起こしに関する許可手続きと掘り起こしの経緯について市議会として調査が必要」としている。
 硯石は市指定文化財ではないが、親鸞上人がかつてこの地に立ち寄った際に岩にたまった水で墨をすり歌を詠んだという伝説が残されており、そばには市教委の説明書きの看板も立てられている。長年、北橘地区の住民らに親しまれてきた。
 今年7月下旬に土木建築会社の役員を務める男性市議が中心となってこの会社の重機を使い、硯石周辺を整備した。この際に、硯石を掘り起こし、岩に傷が付いた経緯がある。
 この整備行為については、市の正式な手続きが一切とられておらず、起案書などの書面も作られていなかったため、問題視されている。【西銘研志郎】
**********毎日新聞2019年10月8日
「硯石」特別委が視察 複数の傷を確認 渋川市議会

硯石について傷跡を確認する市議=群馬県渋川市北橘町で
 渋川市北橘町の市有地にある岩「硯石(すずりいし)」が市の正式な手続きなしに市議の男性によって整備された問題で、同市議会特別委員会(田辺寛治委員長)が7日、現場を視察し、岩の移動と作業時に付いたとみられる複数の傷があることを確認した。
 視察したのは、委員8人と委員外の市議2人の計10人。岩には浄土真宗の宗祖・親鸞に関する伝説があり、視察した市議からは「移動によって文化的な価値が損なわれる」などの声が出た。田辺委員長は「事実関係を明らかにし、12月の定例市議会での報告を目指したい」と話した。委員会は今後、週1回開く予定で、必要があれば関係者の参考人招致も行うとしている。
 一方、高木勉市長は同日の定例会見で、昨年6月に岩の移動・整備を持ち込んだ市議の男性に、担当外の水道部長(当時)が対応していたことを明らかにした。高木氏は「なぜ、水道部長が対応したのかは分からない」と話した。【庄司哲也】
**********


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「渋川市議がまたまた売名行... | トップ | 【続報】高崎芸術劇場の官製... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

渋川市の行政問題」カテゴリの最新記事