市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

多胡運輸親族の語る「出来る限り・誠心誠意の償い」の真の意味?

2008-10-26 22:11:00 | 土地開発公社51億円横領事件
■8月3日に起きた多胡運輸所有のタンクローリー横転炎上事故で損傷を受けた東京都板橋区の首都高速5号線が10月14日正午に全面復旧したことが報じられました。

首都高速道路会社は10月14日、事故を起こした高崎市に本社がある多胡運輸に損害賠償を請求することを発表しました。賠償金の試算の基になるのは復旧工事費約20億円。08年8月、9月の通行止めや渋滞などから発生したと考えられる25億4千万円の減収分で、合計45億4千万円にもなります。

首都高広報はマスコミの取材に対し、「支払い能力のある無しにかかわらず、賠償請求はきっちり行います」と話しています。ただし今回の事故による減収分の請求に関しては、景気の動向や原油高の影響を考慮することになるとし、請求額が決定するのは今度中としています。

■一方、マスコミから賠償金を支払う能力があるかどうか訊かれた、今回事故を起こした多胡運輸は、「まだ確定した賠償請求が来ていないため(支払えるかどうか)わからないが、誠心誠意対応していきたい」と話したが、同社がどれだけの保険に入っているかについては、「担当者が不在でわからない」ということでした(J-CASTニュース)。

他のマスコミの報道によると、多胡運輸は「被害額を聞いて驚いている。できる範囲で誠心誠意、対応させていただきたい」と話しています(スポニチ)。

この2社の取材結果を見ると、多胡運輸は「まだ確定した賠償請求が来ていない」「被害額を聞いて驚いている」「出来る範囲で誠心誠意対応したい」というコメント内容だったことになります。ただし「担当者が不在で分からない」ということから、多胡茂美社長自身のコメントだったかどうかは定かではありません。

■平成7年に発覚した前代未聞の安中市土地開発公社51億円事件では、単独犯とされた多胡邦夫・元職員の刑事裁判で、元職員とその配偶者は次のように発言しています。

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出典:平成7年(わ)第333号被告人供述調書(第6回公判調書)平成8年2月1日
【検察官】今民事訴訟行なわれてますけど、群馬銀行、被害者か、あるいは安中市が負担することになりますね。
【多胡邦夫】はい。
【検察官】あなたは、これについては、どうしようと思ってますか。
【多胡邦夫】一生かけて誠心誠意償っていくつもりでおります。
**********
出典:平成7年(わ)第333号被告人供述調書(第5回公判調書)平成8年1月18日
【裁判長】もう半年以上たっているじゃないですか。
【配偶者】まず骨董品の処分をどうにするか、(夫である多胡邦夫の弁護士の)穂積先生にいろいろ、どういう処分の仕方がいいのか。骨董品というのはふだん我々の生活にないものですから、処分の仕方が非常に難しかったんですね。そういうこともあって、時間がかかってしまいました。一つ一つやっていったら、結局時間が足りなくなってしまったんです。
【裁判長】自宅はまだ持ち家ですか。
【配偶者】今は貸家に住んでます。
【裁判長】質問だけ受けていたわけですが、あなたのほうから言いそびれたような点ありませんか。
【配偶者】特にないと思います。
【裁判長】こういうことを話しておきたいということはありませんか。
【配偶者】ご迷惑をおかけした皆様には大変申し訳ないと思ってます。できるかぎりの償いをさせていただきたいと思います。
**********

このように、安中市土地開発公社51億円横領事件の刑事裁判で、元職員とその配偶者が「償い」について前橋地裁で語ったキーワードは「誠心誠意」「出来る限り」でした。今回、多胡運輸の関係者がマスコミに語った言葉にも「誠心誠意」「出来る範囲で」というフレーズがあります。

■安中市民は、こうした言葉を信用することができません。なぜなら、元職員をはじめ、その親族からは51億円事件の償いは、刑事事件、民事事件とも判決後すでに10年ちかく経過していますが、1000万円程度の償い、それも安中市土地開発公社が渋々(?)参加した元職員の所有していた不動産の一部を差押え参加して得られた金額であり、親族から積極的に償われたものではないからです。元職員の親族の頭からは、当の昔に「賠償」という言葉は消えていることでしょう。

■現在、元職員は仮出所中ですが、所在は明らかではありません。元職員の配偶者も同様です。従って、唯一、所在の確かな親族は多胡運輸の社長と、同社役員の母親だけです。実兄であり実子が起こした世紀の巨額詐欺横領事件の尻拭いが、全て安中市民により行なわれている現状を横目に、大物政治家の息のかかった元請から安定した仕事を得て社業を伸ばしてきた多胡運輸ですが、安中市土地開発公社51億円事件の賠償の傘から逃れた経験があるだけに、今度の首都高炎上事故による巨額損害賠償に対して、どうやってスルリと身をかわそうとするのか、或いは、果たして身をかわす事が出来るのかどうか、今後の展開に注目したいと思います。

【ひらく会情報部】
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