市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

館林市議選の有効性が問われる中、当会の審査申立に対し、県選管が何も調べず棄却を裁決!

2019-03-02 22:48:00 | オンブズマン活動
■当会の会員が立候補した館林市議選は、2018年9月16日の告示後1週間の選挙戦を経て、同23日に市庁舎の近くの体育館で開票されました。ところが、投票者の人数より、投票箱の中にあった票の数が1つ多いという事態が判明し、大騒ぎになっています。この市議選に出馬した当会会員で館林市支部長は、当会副代表が遭遇した館林市選管のずさんな選挙対応に関する報告をもとに、館林市選挙管理委員会に対して選挙の有効性について10月5日までに正式に異議を申し出ました。その後、館林市議会は10月9日に臨時会を開き、議長と副議長を選出したというので、市民は仰天しましたが、10月12日には、なんと選管から市議選の候補者らに対して、供託物返還通知が届きました。そのため、その理由を質すべく当会は公開質問を館林市長に行いましたが、異議申出に対して対応しているということで、文書での回答はありませんでした。そして11月19日付の異議申出棄却の決定書が選管から当会会員のところに、11月27日に郵送で届いたため、当会会員は12月10日に群馬県選管宛てに審査申立書を配達証明郵便で提出しました。すると2019年1月16日付で群馬県選管から、館林市選挙管理員会の弁明書なるものが送られてきました。そこで、1月25日付でさっそく反論書を提出したところ、2月28日になって、2月13日付けの裁決書が県選管から送られてきました。採決の結果は「棄却する」という内容でした。
 この投票すり替え疑惑事件のこれまでの経緯については、次のブログ記事をご覧ください。
〇2019年1月20日:館林市議選の有効性が問われる中、当会の審査申立に対し、館林市選管が弁明書を県選管に提出!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2865.html
○2018年12月10日:館林市議選の有効性が問われる中、市選管からの異議申出棄却決定通知に対し県選管へ12.10審査申立!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2839.html
○2018年11月28日:館林市議選の有効性が問われる中、11月27日に選管から異議申出に対する棄却決定通知が届く!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2828.html
○2018年10月14日:市議選の有効性が問われる中、10月12日に選管から来た供託金返還通知に当会から公開質問状
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2779.html
〇2018年10月10日:選挙の有効性が問われる中で、10月9日館林市議会臨時会が議長・副議長を選出!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2776.html
〇2018年10月5日:館林市議選の有効性をめぐり当会会員が館林市選管に異議申し立ての補正書を提出!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2770.html
〇2018年10月1日:9月23日投開票の館林市議選の開票場の様子から見えてくる我が国選挙制度の不誠実な現況
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2766.html
〇2018年9月26日:9月23日の館林市議選の開票結果を巡る謎の解明は果たして可能なのか?
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2763.html
〇2018年9月17日:館林市議選で当会会員が奮戦中!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2760.html


■群馬県選管あてに1月25日付で送った反論書は次のとおりです。

*****反論書の送り状*****ZIP ⇒ 20190125qni_cmn.zip
               平成31年1月25日
〒371-8570群馬県前橋市大手町1-1-1
群馬県選挙管理委員会
委員長 松 本 修 平 殿
                審査申立人:
                 〒374-0068群馬県館林市台宿町1-31
                 小 林 光 一
                 (市民オンブヅズマン群馬顧問)

弁明書への反論

 貴殿からの平成31年1月16日付群選第915-17号の通知書に添付された館林市選挙管理委員会委員長の弁明書の副本に対して、審査申立人は、以下の如く反論すべく、正副2部の反論書を提出いたします。

                                以上

同封:反論書                    正・副各1部

*****反論書*****ZIP ⇒ 20190125qni_cmn.zip
                       平成31年1月25日
〒371-8570群馬県前橋市大手町1-1-1
群馬県選挙管理委員会
委員長 松 本 修 平 殿
                審査申立人:
                 〒374-0068群馬県館林市台宿町1-31
                 小 林 光 一
                 (市民オンブヅズマン群馬顧問)

            反 論 書

 先に申立書(平成30年12月5日)により貴委員会宛に「館林市選挙管理委員会による9月23日投開票の館林市議選に於ける不誠実行為にかかる確認事項」としてまとめた実情を申し上げ、お聞き入れいただき感謝申し上げます。
 しかるにこの度、館林市選挙管理委員会より、訳のわからない「弁明書」なるものを受領しました。その内容を拝読したところ、的外れな弁明に終始しており、審査申立人が要求した「館林市選挙管理委員会による9月23日投開票の館林市議選に於ける不誠実行為にかかる確認事項」の内容が全く説明されておらず、ただ「選挙内容は公職選挙法に則って間違いなく執り行われた」という趣旨の説明のみで、理解に苦しむ内容でした。

 審査申立人が申し上げている「謎の1票」がなぜ発生したのか?
 審査申立人が指摘した選挙期間中の不可思議な出来事の原因のひとつひとつについて、いつ、誰がどこで、どのようにその不可思議な出来事に関与したのか?

 こうした疑義について、館林市選挙管理委員会委員長は、審査申立人が挙げた数々のズサンな選挙管理の実態を直視し、それらの調査と結果の分析を行うべきところ、何もしようとしません。それどころか、自分達が勝手に挙げた疑義①~④について、法令に定めた制度上の仕組みをただ単に繰り返して説明するだけで、「謎の1票」が生じた原因についてのことは何一つ触れようとせず、頑なに選挙の公正性を主張するだけで現在に至っています。
 是非とも「謎の1票」について発生原因の究明と、責任の所在の明確化、さらに再発防止策の策定を、館林選挙管理員会に徹底して行わせるため、ご指導下さりますようお願い申し上げます。その具体的な一例として次のお願いがございます。

 1.「謎の1票」の発生原因の追求のため、館林市選挙管理委員会に、添付した要領で「解析レポート」を作成させること。
 2.投票用紙の再確認として、一票一票をすべて筆跡鑑定すること。

 では次に館林市選管の弁明書の内容について逐条的に反論を行います。

<市選管の弁明>
(1)選挙の効力に関する争訟において選挙が無効となるのは、法第205条第1項の規定により、その選挙が選挙の規定に違反して行われ、かつ、その規定違反のために選挙の結果に異動を及ぼすおそれがある場合に限られる。この点、申立人は、本件選挙の実施体制において様々な疑義が生じていると主張しているが、具体的にどのような事実が存在し、どの法令等に違反するのか何ら適示していない。


【審査申立人の反論】
 公選法第205条第1項は「選挙の効力に関し異議の申出、審査の申立て又は訴訟の提起があつた場合において、選挙の規定に違反することがあるときは選挙の結果に異動を及ぼす虞がある場合に限り、当該選挙管理委員会又は裁判所は、その選挙の全部又は一部の無効を決定し、裁決し又は判決しなければならない。」と定めている。審査申立人は、具体的に選挙の公正性が担保されない事象について具体的に摘示しているのに、市選管はそれを意味もなく否定し、対応する気のないことを露呈している。


<市選管の弁明>
(2)上記のことから、本件審査申立てには本件選挙の効力を無効とする理由がない。よって、本件審査申立ては棄却されるべきである。


【審査申立人の反論】
 審査申立人は、期日前投票箱の鍵の管理がズサンに扱われている実態を指摘したり、期日前投票箱が得体の知れない人物が一人で運んでいる現場を目撃したり、開票作業に立ち会う人物らの所持品検査が行われないなど、公選法に基づく公正性が担保されない実態を問題視しているのに、市選管は「本件選挙の効力を無効とする理由が見当たらない」として、自らの責務を放棄している。


<市選管の弁明>
(3)なお、当委員会は、本件審査申立てが本件選挙において、投票者総数よりも投票数が1票多かったことを契機としてなされたものであることに鑑みて、申立人が主張する疑義について次のとおり申し添える。
ア 疑義① 投開票作業に従事する職員の選任について
  投開票に従事する職員については、地方自治法(昭和22年法律第67号)第180条の3及び法第273条により、市町村の補助機関である職員を選挙に関する事務に従事させることができると規定されており、本件選挙においても平成30年8月3日付けで、259人の職員に委嘱している。


【審査申立人の反論】
 地自法第180条の3は「普通地方公共団体の長は、当該普通地方公共団体の委員会又は委員と協議して、吏員その他の職員を、当該執行機関の事務を補助する職員若しくはこれらの執行機関の管理に属する機関の職員と兼ねさせ、若しくは当該執行機関の事務を補助する職員若しくはこれらの執行機関の管理に属する機関の職員に充て、又は当該執行機関の事務に従事させることができる。」と定め、公選法第273条は「選挙事務の委嘱」として「参議院合同選挙区選挙管理委員会又は都道府県若しくは市町村の選挙管理委員会が、都道府県知事又は市町村長の承認を得て、当該参議院合同選挙区選挙管理委員会又は都道府県若しくは市町村の補助機関たる職員に選挙に関する事務を委嘱したときは、これらの職員は、忠実にその事務を執行しなければならない。」と定めている。
 このように、移植をうけた職員は忠実にその事務を執行しなければならない、とされているのだから、期日前投票箱の管理がきちんと実施されていたのかどうか、その証拠を住民に示すためには、誰がいつどこでどのような役割をしたのか、きちんと説明できる体制が構築されているはずだが、その具体的な説明がない。


<市選管の弁明>
イ 疑義② 期日前投票における投票箱の管理及び開票管理者への送致について
  期日前投票における投票箱の管理については、法第48条の2第5項の規定により読み替えて適用される法第53条及び公職選挙法施行令(昭和25年政令第89号。以下「政令」という。)第49条の7の規定により読み替えて適用される政令第43条により、期日前投票における投票箱の閉鎖及びそれに伴う鍵の取扱いが規定されており、本件選挙においても当該規定にのっとり、投票管理者及び投票管理者が指定した投票立会人により適切に行われている。
  また、期日前投票期間中は、当日の投票終了から翌日の投票開始までの間については、投票箱及び封印された投票箱の鍵は、当委員会の金庫で厳重に保管されている。
  期日前投票の投票箱の開票管理者への送致については、法第48条の2第5項の規定により読み替えて適用される法第55条及び政令第49条の7の規定により読み替えて適用される政令第44条により、期日前投票期間の末日に選挙管理委員会に送致し、選挙の期日に選挙管理委員会が開票管理者に送致しなければならないと規定されており、本件選挙においても当該規定にのっとり、期日前投票の投票箱は、期日前投票期間の末日である平成30年9月22日の投票終了後に当委員会に送致され、翌日(選挙期日)に当委員会の書記により、開票所の開票管理者に送致されている。


【審査申立人の反論】
1.期日前投票における投票箱の管理
 公選法第53条は「投票所を閉じるべき時刻になったときは、投票管理者は、その旨を告げて、投票所の入口を鎖し、投票所にある選挙人の投票の結了するのを待って、投票箱を閉鎖しなければならない。 2 何人も、投票箱の閉鎖後は、投票をすることができない。」と定め、公選法施行令第43条は「投票箱を閉鎖する場合の措置」として「法第五十三条第一項の規定により投票箱を閉鎖すべき場合には、投票管理者は、投票箱の蓋を閉じ、施錠した上、一の鍵は投票箱を送致すべき投票立会人(投票管理者が同時に開票管理者である場合には、投票管理者の指定した投票立会人)が保管し、他の鍵は投票管理者が保管しなければならない。」として、複数の鍵が使われ、それらを複数の者がそれぞれ保管しなければならないことが分かる。今回は、「謎の1票」が生じたのであるから、こうした鍵の管理について、市選管はいつ誰がどのように鍵を持たされ、保管していたのかをきちんと把握しているはずなので、詳しくそのことを説明でいる筈であるが、説明がないのはおかしい。
 ちなみに、投・開票後の有効投票は、段ボール箱に入れられるというが、開けられてしまう可能性がある場所をすべてガムテープ及びロープで密閉梱包し、さらに蓋の合わせ目を紙などで封じ、管理者と立会人全員がそれぞれの印鑑で割り印を押すという。また、無効投票も有効投票と同様に、選挙別にクラフト紙などで包み、麻ひもなどで縛ったうえで、梱包の合わせ目に管理者および立会人全員の割り印を押すという。これほどまでに厳重に封印をしないと、選挙の公正性は担保できない。

封印の一例
 期日前投票箱は、夜間、どこでどのように封印されて保管されていたのか、金庫に鍵を入れていたと言うがその金庫はどこにあり、金庫の鍵や暗証番号は誰がどのように管理していたのか、市選管からその具体的な説明がないのはおかしい。
2.期日前投票箱の開票管理者への送致
 公選法第55条は「投票管理者が同時に当該選挙の開票管理者である場合を除くほか、投票管理者は、一人又は数人の投票立会人とともに、選挙の当日、その投票箱、投票録、選挙人名簿又はその抄本及び在外選挙人名簿又はその抄本(当該在外選挙人名簿が第三十条の二第四項の規定により磁気ディスクをもつて調製されている場合には、当該在外選挙人名簿に記録されている全部若しくは一部の事項又は当該事項を記載した書類。以下この条及び次条において同じ。)を開票管理者に送致しなければならない。ただし、当該選挙人名簿が第十九条第三項の規定により磁気ディスクをもつて調製されている場合で政令で定めるときは選挙人名簿又はその抄本を、当該在外選挙人名簿が第三十条の二第四項の規定により磁気ディスクをもつて調製されている場合で政令で定めるときは在外選挙人名簿又はその抄本を、それぞれ、送致することを要しない。」と定めており、投票箱の送致は必ず投票管理者に加え、一人又は数人の投票立会人とともに開票管理者に送致されなければならない。
 ところが、市選管は、得体の知れない人物一人に期日前投票箱を持ち運びさせて投票管理者に送致しており、完全に違法行為である。この事実をなぜ市選管は認めて詳しく説明しようとしないのか。


<市選管の弁明>
ウ 疑義③ 開票作業について
  本件選挙においては、開票作業には上記のとおり市の職員が従事したほか、法第62条及び法第66条の規定にのっとり、開票立会人10人を定め、開票に立ち会わせ、及び開票管理者とともに投票の点検を待っている。また、開票所の出入りについては、入口に受付を設け、部外者が開票所に入らないようにしている。


【審査申立人の反論】
 公選法第62条は「開票立会人」として「公職の候補者は、当該選挙の各開票区における選挙人名簿に登録された者の中から、本人の承諾を得て、開票立会人となるべき者一人を定め、その選挙の期日前三日までに、市町村の選挙管理委員会に届け出ることができる。ただし、同一人を当該選挙と同じ日に行われるべき他の選挙における開票立会人となるべき者として届け出ることはできない。」と定め、同第66条は「開票」として「開票管理者は、開票立会人立会の上、投票箱を開き、先ず第50条第3項及び第5項(いずれも選挙人の確認及び投票の拒否)の規定による投票を調査し、開票立会人の意見を聴き、その投票を受理するかどうかを決定しなければならない。 2 開票管理者は、開票立会人とともに、当該選挙における各投票所及び期日前投票所の投票を開票区ごとに混同して、投票を点検しなければならない。 3 投票の点検が終わったときは、開票管理者は、直ちにその結果を選挙長に報告しなければならない。」と定めている。
 しかし開票立会人の位置は開票所の特定場所に設定され、その場所以外の移動も制限されているやにきく。そのため、開票に携わる市職員の開票作業を全て見ることは到底不可能と思われる。
 さらに、開票所の出入りについては、部外者の立入りを禁じているというが、開票に携わる市職員の所持品検査をどのようにしているのか、全く説明がない。これは、明らかに「職員に選挙に関する事務を委嘱したときは、これらの職員は、忠実にその事務を執行しなければならない」という法令の定めに違背している。


<市選管の弁明>
エ 疑義④ 投票用紙の管理について
  投票用紙は印刷業者から納品後は当委員会の金庫で保管している.また、各投票所において使用されなかった投票用紙については、選挙終了後、当委員会で保管している。
  なお、本件選挙においては、選挙終了後、各投票所において使用されなかった投票用紙の枚数を確認し、各投票所の投票録等の書類と照合したところ、一致している。


【審査申立人の反論】
 今回「謎の1票」が生じた背景には、未使用あるいは効力決定済みの投票用紙、いわゆる「白票」の取り扱いに問題があった可能性も指摘される。この「白票」は選挙の投開票において、厳格に管理し、慎重に取り扱わなければならず、この取り扱い方法について市選管は「納品後の白票は当委員会の金庫に保管し、各投票所で未使用の白票は当委員会で保管している」としており、その具体的な納品後や投票期間中、そして各投票所で未使用の白票の保管場所・方法と保管数についての説明が何もない。
 ちなみに、何も記入されていない投票用紙「白票」には次の3つの定義があるとされている。
①有権者に交付する前に選挙管理委員会事務局本部及び各投票所で保管している投票用紙
②選挙当日に使用することなく、各投票所(期日前、不在者分含む)から開票所に送致される投票用紙の残数
③有権者の意思により、何も記入せずに白紙のまま投票箱に投函された投票用紙
 これらの白票は、取り扱いを間違えると、不正や選挙無効につながる重大な事態を引き起こす可能性がある。今回の「謎の1票」の発生がいかに重大なことなのか、そのことについて、詳しい説明を弁明書でも避けている市選管は果たして、十分認識しているのかはなはだ疑問である。

                          以上
**********

■その後、当会から県選管に確認したところ、毎月委員会議を開いていることから、本件は2月の会議に上程され協議される見込みだということがわかりました。そのため、協議結果の通知を待っていたところ、2月28日に県選管から裁決書が送られてきました。内容は次の通りです。

*****送付書*****ZIP ⇒ 20190213.zip
                     群選第915-19号
                     平成31年2月13日
館林市台宿町1-31
小林 光一 様

                  群馬県選挙管理委員会
                  委員長  松 本 修 平

            裁決書の交付について

 平成30年12月10日付け書面をもってあなたから提起された、平成30年9月23日執行の館林市議会議員選挙に係る選挙の効力に関する審査申立てについて、公職選挙法第215条の規定により、別紙のとおり裁決書を交付します。
 なお、本裁決に不服がある場合は、同法第203条の規定により、裁決書の交付を受けた日の翌日から起算して30日以内に、群馬県選挙管理委員会を被告として、東京高等裁判所に、裁決の取消しの訴えを提起することができます。

                  群馬県選挙管理委員会 書記 下島
                  TEL:027-226-2219
                  FAX:027-243-2205
                  E-mail: senkan@pref.gunma.lg.jp

*****裁決書*****ZIP ⇒ 20190213.zip
裁  決  書
                   群馬県館林市台宿町1-31
                   審査申立人  小林 光一

 上記審査申立人(以下「申立人」という。)から平成30年12月10日付けで提起された同年9月23日執行の館林市議会議員選挙(以下「本件選挙」という。)における選挙の効力に関する審査の申立てについて、群馬県選挙管理委員会(以下「当委員会」という。)は 次のとおり裁決する。
              主  文
         本件審査の申立てを棄却する。
           審査の申立ての要旨
 申立人は、自ら立候補した本件選挙について、平成30年10月2日に館林市選挙管理委員会(以下「市委員会」という。)に対し、選挙の効力に関する異議の申出をしたところ、市委員会は、同年11月19日付けで異議の申出を棄却する旨の決定をした。
 申立人は、この決定を不服として、当委員会に対し、この決定を取り消し、本件選挙を無効とする旨の裁決を求めて審査の申立てをしたものである。
 その理由とするところを要約すれば、次のとおりである。

 本件選挙の実施体制に関し、以下のような様々な疑義が生じている。これらの疑義が解消されない限り、投開票の作業に疑問があり、本件選挙は無効である。
1 投票数が投票者数を1票上回るという事案の発生について
本件選挙では、投票総数が投票者数を1票上回るという事案(以下「1票の不一致」という。)が発生した。その原因が究明されない限り、本件選挙は無効である。それにもかかわらず、市委員会は、1票の不一致が生じた原因については何一つ触れず、選挙の公正性を主張するだけである。
2 投開票所における選挙管理委員や職員の役割について
 本件選挙の投開票所において、市の選挙管理委員及び職員の役割が適切でなかった疑いがある。そのため、本件選挙に関わった市の選挙管理委員の情報(氏名、職位等)、開票作業に従事した市職員全員の情報(氏名、職位等)、市の選挙管理委員の選出規定、 開票作業に従事する職員の選出規定を明らかにする必要がある。
 この点について 、市委員会は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第180条の3及び公職選挙法(昭和25年法律第100号。以下「法」という)第273条に基づき、市職員への 選挙に関する事務の委嘱を適法に行っていると主張する。しかし、期日前投票箱の管理等が適切であったという証拠を示すために、職員等の役割を具体的に説明していない。これは、法第273条の「職員に選挙に関する事務を委嘱したときは、これらの職員は、忠実にその事務を執行しなければならない」という規定に違反するものである。

<P2>
3 期日前投票と投票箱の管理について
 本件選挙においては、選挙の期日の午後6時28分に、開票所で期日前投票の投票箱を一人で運ぶ男性が目撃されたとの情報があるが、当該投票箱の送致が適切であるか否かを判断するために、この人物の氏名等の情報、市委員会との関係、市委員会がこの男性に出した指示及びその法的根拠、この投栗箱に何が入っており、どのように管理されていたのかを明確にする必要がある。加えて、期日前投票の投票箱の管理規定や夜間等の保管体制についても、適切でなかった疑いがある。
 しかし、市委員会は、1票の不一致が生じたにもかかわらず、期日前投票の投票箱及び鍵の管理について詳しい説明を行っていない。また、投票箱の閉鎖についても、選挙の公平性を担保するためには、密閉梱包の上割印を押すなどして厳重に封印しなければならないはずである。
 さらに 、投票箱の送致については 、法第55条に「投票管理者は、一人又は数人の投票立会人とともに、選挙の当日、その投票箱(略)を開票管理者に送致しなければならない」と定められている。しかし、本件選挙では、前述のとおり、選挙の期日に開票所において、期日前投票の投票箱の送致が一人で行われていることが目撃されており、これは当該規定に違反するものである。
4 開票作業について
 開票所における、開票従事者、開票立会人、蜆覧人、報道関係者等のチェック体制が適切ではない疑いがあるので、開票に従事する職員等の開票作業全般に関わる規定及び職員の氏名等の情報を明らかにする必要がある。
 この点について、市委員会は、開票作業には、法第62条及び法第66条の規定にのっとり、開票立会人10人を定めて開票に立ち会わせ、開票管理者とともに投票の点検を行っているとする。また、開票所の出入りについては、入口に受付を設け、部外者が開票所に入らないようにしていると主張する。
 しかし、開票立会人は特定の場所に配置され、作業の全てを見ることはできないと聞 いている。また、開栗作業に携わる市職員の所持品検査について説明がなく、これは、法第273条の「職員に選挙に関する事務を委嘱したときは、これらの職員は、忠実にその事務を執行しなければならない」という規定に違反するものである。
5 投栗用紙の管理について
 投票用紙の印刷方法、投票日までの管理方法、選挙で使用されなかった投票用紙の管理方法が適切でない疑いがある。この点について、市委員会は、投票用紙は印刷業者から納品後、市委員会の金庫で保管しており、投票所において使用されなかった投票用紙については、選挙終了後に市委員会で保管しているとする。しかし、投票用紙の保管場所及び保管方法等については、具体的に説明していない。

            裁決の理由
 当委員会は、本件審査の申立てを適法なものと認め、これを受理し、市委員会から弁明書を、申立人からは反論書を徴し、これらを慎重に審理した。
 およそ選挙が無効とされるのは、法第205条第1 項に規定されているように、その選挙が選挙の規定に違反して行われ、かつ、その規定違反が選挙の結果に異動を及ぼすおそれ

<P3>
がある場合に限られる。
 ここでいう 「選挙の規定に違反する」とは、「主として選挙管理の任にある機関が選挙の管理執行の手続に関する明文の規定に違反すること、又は直接そのような明文の規定がなくとも、選挙の管理執行の手続上、選挙法の基本理念たる選挙の自由公正の原則が著しく阻害されることを指称し、選挙人、候補者、選挙運動者等の選挙の取締りないし罰則規定違反の行為のごときは、これに当たるものではない」(昭61和年2 月18日最高裁判決) とされている。
 また、「選挙結果に異動を及ぼすおそれがある場合」とは、当該選挙の管理執行の手続に関する規定違反について、「その違反がなかったならば、選挙の結果、すなわち候補者の当落に、現実に生じたところと異った結果の生ずる可能性のある場合」(昭和29年9月24日最高裁判決)とされている。
 当委員会は、以上の観点から、申立人の主張する理由について、次のとおり判断する。
1 投票数が投票者数を1 票上回るという事案の発生について
 本件選挙において開票の結果、投票総数が投栗者数1を票上回る事案が発生している。市委員会は、選挙後に未使用投票用紙の数と投票録等を照合したが、投票に関しては誤りは発見されず、開票段階での計数誤り又は記入誤りの可能性が高いと結論するが、原因の断定には至らなかった旨を、平成30年9月28日付けで公表した。
 申立人は、本件選挙において発生した1票の不一致の原因が究明されない限り、本件選挙は無効であると主張する。しかし、1票の不一致が生じたという事実は、通常、個々の候補者の当選無効の原因にはなり得ても、このことのみでは、選挙全体の無効原因とはならないものである。さらに言えば、他にも違法な投票があったと認める具体的根拠がないこと、最下位当選人と次点候補者の得票数の差は437.206票であったことから、当落の結果に異動を及ぼすものとも認められず、当選無効の原因にも該当しない。
2 投開票所における選挙管理委員や職員の役割について
 申立人は、市委員会は市職員等の役割を具体的に説明しておらず、これは法第273条の「職員に選挙に関する事務を委嘱したときは、これらの職員は、忠実にその事務を執行しなければならない」という規定に違反すると主張する。同条は、選挙に関する事務の委嘱を受けた職員が、臨時に委嘱された者であるという安易な考えで事務を行わないように設けられた規定であると解されているが、申立人は、当該規定に関してどのような違反があったのか、具体的な事実を示していない。
3 期日前投票と投票箱の管理について
 申立人は、期日前投票の投票箱の閉鎖方法が十分に厳重でなかった可能性があるとの疑念を示しているが、この点について、市委員会は、公職選挙法施行令(昭25年和政令第89号。以下「令」という。)4第9条の 7 の規定により読み替えた令第43条に従い、投栗管理者及び投票管理者の指定した投票立会人が施錠を行ったとしており、これを否定する特段の理由もないことから、法令違反は認められない。
 また、投票箱の送致について、申立人は、選挙の期日に開票所において、期日前投票の投票箱の送致が一人で行われたとの情報を示し、これは法第55条の「投票管理者は、一人又は数人の投票立会人とともに、選挙の当日、その投票箱(略)を開票管理者に送致しなければならない」という規定に違反すると主張する。しかし、期日前投票の投票

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箱については、法第48条の2第5項により読み替えた法第55条が適用され、同条では、投票箱は期日前投票が行われる末日に市委員会に送致され、市委員会は当該投票箱を選挙の期日に開栗管理者に送致するよう定めている。この場合には、市委員会から開票管理者への送致に従事する人数の規定はなく、投票立会人等の随行は必要とされていない ため、申立人の示した情報が事実であったとしても、選挙の規定に違反するものではない。
4 開票作業について
 申立人は、市委員会は開栗作業に携わる市職員の所持品検査について説明していないとし、これは法第273条の「職員に選挙に関する事務を委嘱したときは、これらの職員は、忠実にその事務を執行しなければならない」という規定に違反すると主張する。同条の趣旨は前述のとおりであるが、申立人は、当該規定に関してどのような違反があったのか、具体的な事実を示していない。
5 投票用紙の管理について
 申立人は、投票用紙の印刷方法、投票日までの管理方法及び選挙で使用されなかった投票用紙の管理方法が適切でない疑いがあるとし、市委員会はこれらについて具体的な説明をしていないと主張する。しかし、申立人は、投栗用紙の保管方法等に関して、どのような選挙の規定違反が存在したのか具体的な事実を示していない。
 また、申立人は上記 1~5以外にも本件選挙の管理体制に関する疑義を主張するが、それらについてはいずれも法令等の違反があったことを示す具体的な事実を示していない。
 以上のことから、本件審査の申立てにおいて、申立人による選挙の無効を求める主張には理由がない。よって、当委員会は、主文のとおり裁決する。
 なお、本件選挙では、前述のとおり、開票の結果、1票の不一致が発生しており、これが本件審査の申立ての理由の一つともなっている。この不一致は、本件審査の申立てに対する結論を左右するものではないが、適正な選挙の管理執行への選挙人の信頼を損ないかねないものであるため、市委員会には、再発防止に向けた取組に努めるよう要望する。

   平成31年2月13日
                         群馬県選挙管理員会
                         委員長 松本修平
**********

■驚きました。投票用紙すり替え疑惑に関する当会の指摘について県選管は、「どのような違反があったのか、具体的な事実を示していない」という理由で、自ら指摘された疑惑について、館林市選管に確認しようとする姿勢も示さず、なにも自ら調べようという気持ちがないのに、当会に対して「法令違反についての具体的な事実の摘示がない」という理由を連発しています。

 挙句の果てには、館林市議選に当会会員が出馬して落選した際の「最下位当選印と時点候補者の得票差が437.206票であり、1票の不一致でも順位が逆転することはないので当選無効原因に該当しない」という論理を展開する始末です。

 これでは市役所職員が示し合わせれば投票用紙のすり替えなど朝飯前であり、500票単位ですり替えれば、自由自在に投票結果を左右できます。

■当会会員は、まもなく統一地方選挙が始まるこの時期、1票の不一致が生じたという厳然たる事実の重みを行政内組織の選挙管理員会にも痛感させない限り、公正、公明、透明な選挙の信頼は担保し得ないとの認識から、そうでなくても投票率の低下傾向にある現在の選挙制度が信頼を取り戻せるまで、粘り強く、選挙の不正撲滅を掲げて活動したいと話しています。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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