↑Sep 12
富岡市/市役所職員が住宅手当235万円不正受給 停職6か月の懲戒処分 市民生活部の主事(50歳)が実家に住んでいるにもかかわらず、賃貸住宅に住んでいるとして約10年間の住宅手当235万円を不正受給。職員の氏名は発表せず。↑
■当会の公式X(旧ツイッター)の9月12日のアカウントで報じたように、富岡市で、職員が住宅手当を約10年間不正受給して235万円をネコババしていた事件が公になりました。メディアの報道記事を見てみましょう。
**********NHK群馬 NEWS WEB 2023年09月11日19:00
群馬 富岡市の職員が住宅手当235万円不正受給 停職6か月
富岡市の50歳の職員が、実家に住んでいるにもかかわらず10年近くにわたってあわせて235万円の住宅手当を不正に受け取っていたとして、停職6か月の懲戒処分を受けました。
懲戒処分を受けたのは、富岡市市民生活部の50歳の職員です。
富岡市によりますと、職員は、10年前に生活の拠点を市内の賃貸住宅から実家に移したにもかかわらず職場に届け出ず、ことし6月までの9年7か月分の住宅手当あわせて235万円を不正に受給していました。
職員がことし4月に行われた上司との面談の際に実家に住んでいると話したことから不正が発覚したということです。
市の調査に対して、職員は「賃貸住宅を借り続けていたが、居住していないので、手当を返金しなければならないと思っていた。反省している」などと話しているということです。
市は、11日付けで職員を懲戒処分にするとともに、再発防止策として全職員に対して住居や扶養などを正しく届け出るよう通知を出しました。
富岡市の榎本義法市長は「法を順守すべき公務員としてあるまじき行為であり、市民の信頼を著しく失墜させたことは誠に遺憾で、深くおわび申し上げます」とコメントしています。
**********上毛新聞2023年9月12日06:00
住居手当235万円不正受給 群馬・富岡市職員の男性を懲戒処分
住居手当を不正に受給したとして、群馬県富岡市は11日、市民生活部の男性主事(50)を停職6カ月の懲戒処分にした。主事は9年7カ月にわたり、約235万円を不正に受給していた。既に全額を返還している。
市人事課によると、主事は2013年11月ごろ、生活拠点を賃貸住宅から実家へ移した。住居手当の対象外となったにもかかわらず必要な手続きを行わず、今年6月まで手当を受け取り続けた。主事は「手当の対象にならないのではないかと思ったが、手続きを怠った。申し訳ない」などと話しているという。
榎本義法市長は「公務員としてあるまじき行為。誠に遺憾であり深くおわび申し上げる。綱紀粛正の徹底と再発防止を図る」とコメントした。
**********産経新聞2023年9月11日20:17
市職員が住居手当を10年間不正受給 群馬・富岡
群馬県富岡市は11日、生活拠点が賃貸住宅から実家に移った後も9年7カ月にわたり、住居手当計約235万円を不正受給したとして、市民生活部の主事(50)を停職6カ月の懲戒処分とした。全額返還しており、市の聞き取りに「賃貸契約は続けており、(手当を)もらえるものならもらおうと思った」などと話しているという。
市によると平成25年11月ごろに生活拠点が移った後も必要な手続きをしなかった。今年春に正確な通勤届を出すよう呼びかけられたことを受け、7月上旬に人事課に提出したものが、従来と変わっていたことで判明した。
**********
■当会では、事実関係を確認すべく、さっそく次の情報開示請求を富岡市に9月14日に提出しました、
*****9/14富岡市公文書開示請求*****
公文書開示請求書
令和5年9月14日
富岡市長様
請求者 郵便番号 371-0801
住所
(所在地) 前橋市文京区1-10-15
氏名 市民オンブズマン群馬
(名称・代表者氏名) 代表 小川 賢
電話番号(090)5302―8312
富岡市情報公開条例第6条第1項の規定により、次のとおり公文書の開示を請求します。
<請求する公文書の内容>
2023年9月11日に富岡市人事課が行った職員の懲罰処分を巡り、富岡市職員の懲戒の手続及び効果に関する条例(平成18年3月27日条例第33号)の第2条は「戒告、減給、停職又は懲戒処分としての免職の処分は、その旨を記載した書面を当該職員に交付して行わなければならない」と定めるが、今回停職6か月の懲戒処分とした判断に至る過程がわかる次の情報。
①「富岡市職員の懲戒等に係る指針」またはそれに準じた内規
②停職6か月の懲戒処分を決定するに至った調査委員会、懲罰委員会など庁内で開催した一切の会議録。
③平成25年11月ごろから令和5年6月分までを不正受給の対象とした住宅手当235万2000円の内訳及び根拠(遅延損害金の計算方法を含む)
④生活の拠点が賃貸住宅から実家へ移った場合、本来、必要な手続きの文書
⑤処分理由を地方公務員法第29条第1項第3号(全体の奉仕者たるにふさわしくない非行)、地方公務員法第33条(信用失墜行為の禁止)違反に限定した理由
⑥「全額返還した」というが、自主的に返納したのか、それとも返納命令に応じたのか
⑦住所手当の支給条件
⑧職員の住所要件を定めた規定、ないしそれに準じた内部規約
⑨その他、本件に関連する情報
**********
■本件の情報開示請求の背景には、10年間にわたり住宅手当を不正受給されていたにもかかわらず、なぜ富岡市は気付かなかったのか、そして、公金をごまかして懐に入れていた職員に対して、なぜ免職による解雇ではなく、6か月の休職という大甘な処分をくだしたのか、民間の常識からすると理解できない事項があったためです。
そのため、9月14日付の情報開示請求書を富岡市役所に郵送するのではなく、直接持参して、担当部署に提示して、内容を予め見てもらい、見解をヒヤリングすることにしました。
■富岡市役所の2階の総務部の情報開示担当窓口で事情を説明したところ、富岡市総務部人事課の担当者が応対してくれました。
同担当者は、当会の開示請求書を一読すると、困惑した表情を浮かべました。そして次の趣旨の説明を当会にしました。
(1)今回の非違行為による処分を受けた職員は、いわゆる障害を持った職員。
(2)どのような障害なのかは、個人情報にあたるので教えられない。
(3)市として、とりあえず6か月の休職という懲戒処分を本人に課したが、これが最終的なものではない。
(4)なぜなら、現在も本人を呼び出して、本人から直接事情を聴くなどして、本事案の調査を継続中であり、その結果次第では、処分内容が変わる可能性もあり得る。
(5)なぜなら、本人からの聞き取り査の目的は、本人が公務員として業務が遂行できるのに値しているかどうか、であり、結果次第では、仮に公務員としての能力に欠けると判断された場合は、別の処分が下されることになるため。
(6)したがって、今回の開示請求について、①と⑦については開示できるが、そのほかの項目については、現時点では未確定ないし未成熟な情報だったり、個人情報にからむ機微な情報だったりするので、取り下げてほしい。
当会は、「そういう事情が背景にあるというのは知らなかった。現在も調査中で、障害のある職員ということで温情的な処分をとりあえずした、と理解する。そうすると、なぜ、そうしたハンディのある職員を公務に就かせていたのか、職務遂行の能力に欠けるとなれば、それにふさわしい適材適所に配置するなど、人事管理面で瑕疵はなかったのか」と疑問を投げかけました。
人事課担当者は、「そうした事情を確認するためにも、現在、本人から詳しく事情を聴きとっている過程なので、現時点では、①と⑦以外は出せない」ということでした。
当会としても、ハンディがどのようなものかがわからないものの、特別な事情により、こうした温情処分が為されたということは認識できました。そのため、①と⑦、⑧、⑨について開示請求とし、②から⑥までを取り消しました。
■この結果、10月3日付で通知の連絡があり、10月6日に富岡市役所を訪れて、情報開示を受けてきました。開示されたのは①と⑦で、⑧と⑨は非開示決定とされました。
*****10/3富岡市公文書開示決定通知書****
様式第2号(第4条関係)
公文書開示決定通知響
富総第160号
令和5年10月3日
市民オンブズマン群馬
代表 小川 賢 様
富岡市長 榎本 義法
令和5年9月19日付けで請求のありました公文書の開示については、次のとおり開示することと決定しましたので、富岡市情報公開条例第11条第1項の規定により通知します。
<請求のあった公文書の内容>
2023年9月11日に富岡市人事課が行った職員の懲罰処分を巡り、富岡市職員の懲戒の手続及び効果に関する条例(平成18年3月27日条例第33号)の第2条は「戒告、減給、停職又は懲戒処分としての免職の処分は、その旨を記載した書面を当該職員に交付して行わなければならない」と定めるが、今回停職6か月の懲戒処分とした判断に至る過程がわかる次の情報。①「富岡市職員の懲戒に係る指針」⑦住所手当の支給条件
<開示の日時>
令和5年10月6日 午前9時00分
<開示の場所>
富岡市役所
<開示の方法>
■閲覧 □視聴 ■写しの交付(□郵送)
<事務担当課等>
総務部人事課 人事研修係 (担当者 田中 秀実)
電話番号 (0274)62-1511 内線 1212
<備考>
※⑦は「職員の給与に関する条例」(HP参照可)
1 公文書の開示をする日時に都合が悪い場合には、あらかじめ事務担当課等に連絡してください。
*****10/3公文書非開示決定通知書*****
様式第4号(第4条関係)
公文書非開示決定通知書
富総第161号
令和5年10月3日
市民オンブズマン群馬
代表 小川 賢 様
富岡市長 榎本 義法
令和5年9月19日付けで請求のありました公文書の開示については、次のとおり開示しないことと決定しましたので、富岡市情報公開条例第11条第2項の規定により通知します。
<請求のあった公文書の内容>
2023年9月11日に富岡市人事課が行った職員の懲罰処分を巡り、富岡市職員の懲戒の手続及び効果に関する条例(平成18年3月27日条例第 33号)の第2条は「戒告、減給、停職又は懲戒処分としての免職の処分は、その旨を記載した習面を当該職員に交付して行わなければならない」と定めるが、今回停職6か月の懲戒処分とした判断に至る過程がわかる次の惜報。⑧職員の住所要件を定めた内規、ないしそれに準じた内部規約、⑨その他、本件に関する情報
<開示を行わない理由>
富岡市情報公開条例第7条第6号(注:当該事務事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれ)該当及び同条第11条第2号(注:開示請求に対する不開示措置)に該当するため
<事務担当課等>
人事課人事研修係 (担当者 田中 秀実)
電話番号(0274)62-1511 内線 1212
<備考>
⑧上記条例第7条第6号(注:当該事務事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれ)
⑨上記条例第11条第2号(注:開示請求に対する不開示措置)
1 この決定に不服がある場合には、この決定があったことを知った日の翌日から起算して3箇月以内に、富岡市長に対して審査請求をすることができます(なお、この決定があったことを知った日の翌日から起算して3箇月以内であっても、この決定の日の翌日から起算して1年を経過すると、異議申立てをすることができなくなります。)。
2 この決定については、この決定があったことを知った日の翌日から起算して6箇月以内に、富岡市を被告として(訴訟において富岡市を代表する者は富岡市長となります。)、処分の取消しの訴えを提起することができます(なお、この決定があったごとを知った日の翌日から起算して6箇月以内であっても、この決定の日の翌日から起算して1年を経過すると処分の取消しの訴えを提起することができなくなります。)。ただし、上記1の審査請求をした場合には、当該審査請求に対する裁決があったことを知った日の翌日から起算して6箇月以内に、処分の取消しの訴えを提起することができます。
**********
以上のとおり、富岡市は、「⑨その他、本件に関する不開示理由」として、市情報公開条例第11条第2号に該当するとしました。条例第11条を次に示します。「第2項」を赤字で記しました。「第2号」は富岡市の誤記のようです。
(開示請求に対する措置)
第11条 実施機関は、開示請求に係る公文書の全部又は一部を開示するときは、その旨の決定をし、開示請求者に対し、その旨を書面により通知しなければならない。ただし、開示請求に係る公文書の全部を開示する決定が直ちに行われ、即時に開示をすることができる場合は、口頭により通知することができる。
2 実施機関は、開示請求に係る公文書の全部を開示しないとき(前条の規定により開示請求を拒否するとき、及び開示請求に係る公文書を保有していないときを含む。)は、開示をしない旨の決定をし、開示請求者に対し、その旨を書面により通知しなければならない。
これは、非開示理由を示したものではなく、単に非開示処分の措置をした条例の該当事項を示したものであり、富岡市の判断は不適切です。おそらく、「その他、本件に関する情報」も、最初から取り下げを当会に申し入れてきた②から⑥と同様に、条例第7条第6号と同じく、当該事務事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれと同じ理由にしたかったところ、何らかの修正ミスがあったのかもしれません。
■そして、①と⑦が開示されました。それぞれの文書は以下のとおりです。
*****①市職員の懲戒処分の指針*****
〇富岡市職員の懲戒処分の指針について
この指針は、地方公務員法(昭和25年法律第261号)第29条の規定による懲戒処分(以下「懲戒処分」という。)がより一層厳正に行われるよう、任命権者が懲戒処分に付すべきと判断した事案について、処分量定を決定するにあたっての参考に供する事を目的として、次のとおり代表的な事例についての標準的な処分の量定に関し必要な事項を定めるものとする。
第1 基本事項
本指針は、代表的な事例を選び、それぞれにおける標準的な懲戒処分の種類を掲げたものである。
具体的な処分量定の決定に当たっては、
(1) 非違行為の動機、態様及び結果はどのようなものであったか
(2) 故意又は過失の度合いはどの程度であったか
(3) 非違行為を行った職員の職責はどのようなものであったか、その職責は非違行為との関係でどのように評価すべきか
(4) 他の職員及び社会に与える影曹はどのようなものであるか
(5) 過去に非違行為を行っているか
等のほか、適宜、日頃の勤務態度や非違行為後の対応等も含め総合的に考慮のうえ判断するものとする。
個別の事案の内容によっては、標準例に掲げる処分の種類以外とすることもあり得るところである。例えば、標準例に掲げる処分の種類より重いものとすることが考えられる場合として、
(1) 非違行為の動機若しくは動態が極めて悪質であるとき又は非違行為の結果が極めて重大であるとき
(2) 非違行為を行った職員が管理又は監督の地位にあるなどその職責が特に高いとき
(3) 非違行為の公務内外に及ぼす影響が特に大きいとき
(4) 過去に類似の非違行為を行ったことを理由として懲戒処分を受けたことがあるとき
(5) 処分の対象となり得る複数の異なる非違行為を行っていたとき
がある。また、例えば、標準例に掲げる処分の種類より軽いものとすることが考えられる場合として、
(1) 職員が自らの非違行為が発覚する前に自主的に申し出たとき
(2) 非違行為を行うに至った経緯その他の情状に特に酌量すべきものがあると認められるときがある。
なお、標準例に掲げられていない非違行為についても、懲戒処分の対象となり得るものであり、これらについては標準例に掲げる取扱いを参考にしつつ判断する。
第2 懲戒処分の種類
地方公務員法第29条及び富岡市職員の懲戒の手続及び効果に関する条例に基づき、次の懲戒処分を行う。
(1) 免職 職員たる身分を失わせる処分
(2) 停職 一定期間(1日以上6月以下)、職務に従事させない処分
(3) 減給 一定期間(1日以上6月以下)、給料の一定額(10分の1以下)を減ずる処分
(4) 戒告 非違行為の責任を確認し、その将来を戒める処分
第3 標準例
1 一般服務関係
(1) 欠勤
ア 正当な理由なく10日以内の間勤務を欠いた職員は、減給又は戒告とする。
イ 正当な理由なく11日以上20日以内の間勤務を欠いた職員は、停職又は減給とする。
ウ 正当な理由なく21日以上の間勤務を欠いた職員は、免職又は停職とする。
(2) 遅刻・早退
勤務時間の始め又は終わりに繰り返し勤務を欠いた職員は、戒告とする。
(3) 休暇の虚偽申請
病気休暇又は特別休暇について虚偽の申請をした職員は、減給又は戒告とする。
(4) 勤務態度不良
勤務時間中に職場を離脱して職務を怠り、公務の運営に支障を生じさせた職員は、減給又は戒告とする。
(5) 職場内秩序を乱す行為
ア 他の職員に対する暴行により職場の秩序を乱した職員は、停職又は減給とする。
イ 他の職員に対する暴言により職場の秩序を乱した職員は、減給又は戒告とする。
(6) 虚偽報告
事実をねつ造して虚偽の報告を行った職員は、減給又は戒告とする。
(7) 違法な職員団体活動
ア 地方公務員法第37条第1項前段の規定に違反して同盟罷業、怠業その他の争議行為をなし、又は市の活動能率を低下させる怠業的行為をした職員は、減給又は戒告とする。
イ 地方公務員法第37条第1項後段の規定に違反して同項前段に規定する違法な行為を企て、又はその遂行を共謀し、そそのかし、若しくはあおった職員は、免職又は停職とする。
(8) 秘密漏えい
職務上知ることのできた秘密を漏らし、公務の運営に重大な支障を生じさせた職員は、免職又は停職とする。
(9) 政治目的を有する文書の配布
政治目的を有する文書を配布した職員は、戒告とする。
(10) 兼業の承認等を得る手続のけ怠
営利企業の役員等の職を兼ね、若しくは自ら営利企業を営むことの承認を得る手続又は報酬を得て、営利企業以外の事業の団体の役員等を兼ね、その他事業若しくは事務に従事することの許可を得る手続を怠り、これらの兼業を行った職員は、減給又は戒告とする。
(11) 入札談合等に関与する行為
市が入札等により行う契約の締結に関し、その職務に反し、事業者その他の者に談合をそそのかすこと、事業者その他の者に予定価格等の入札等に関する秘密を教示すること又はその他の方法により、当該入札等の公正を害すべき行為を行った職員は、免職又は停職とする。
(12) 個人の秘密情報の目的外収集
その職権を濫用して、専らその職務の用以外の用に供する目的で個人の秘密に属する事項が記録された文書等を収集した職員は、減給又は戒告とする。
(13) セクシュアル・ハラスメント(他の者を不快にさせる職場における性的な言動及び他の職員を不快にさせる職場外における性的な言動)
ア 暴行若しくは脅迫を用いてわいせつな行為をし、又は職場における上司部下等の関係に基づく影響力を用いることにより強いて性的関係を結び若しくはわいせつな行為をした職員は、免職又は停職とする。
イ 相手の意に反することを認識の上で、わいせつな言辞、性的な内容の電話、性的な内容の手紙 電子メールの送付、身体的接触、つきまとい等の性的な言動(以下「わいせつな言辞等の性的な言動」という。)を繰り返した職員は、停職又は減給とする。この場合においてわいせつな言辞等の性的な言動を執拗に繰り返したことにより相手が強度の心的ストレスの重積による精神疾患に罹患したときは、当該職員は免職又は停職とする。
ウ 相手の意に反することを認識の上で、わいせつな言辞等の性的な言動を行った職員は、減給又は戒告とする。
(14) パワー・ハラスメント
ア パワー・ハラスメント(人事院規則10-16(パワー・ハラスメントの防止等)第2条に規定するパワー・ハラスメントをいう。以下同じ。)を行ったことにより、相手に著しい精神的又は身体的な苦痛を与えた職員は、停職、減給又は戒告とする。
イ パワー・ハラスメントを行ったことについて指導、注意等を受けたにもかかわらず、パワー・ハラスメントを繰り返した職員は、停職又は減給とする。
ウ パワー・ハラスメントを行ったことにより、相手を強度の心的ストレスの重責による精神疾患に罹患させた職員は、免職、停職又は減給とする。
(注) (13)及び(14)に関する事案について処分を行うに際しては、具体的な行動の態様、悪質性等も情状として考慮の上判断するものとする。
2 公金財産等取扱い等関係
(1) 横領
公金又は財産を横領した職員は、免職とする。
(2) 窃取
公金又は財産を窃取した職員は、免職とする。
(3) 詐取
人を欺いて公金又は財産を交付させた職員は、免職とする。
(4) 紛失
公金又は財産を紛失した職員は、戒告とする。
(5) 盗難
重大な過失により公金又は財産の盗難に遭った職員は、戒告とする。
(6) 財産損壊
故意に職場において財産を損壊した職員は、減給又は戒告とする。
(7) 失火
過失により職場において財産の失火を引き起こした職員は、戒告とする。
(8) 諸給与の違法支払・不適正受給
故意に法令に違反して諸給与を不正に支給した職員及び故意に届出を怠り、又は虚偽の届出をするなどして諸給与を不正に受給した職員は、減給又は戒告とする。
(9) 公金財産処理不適正
自己保管中の公金の流用等公金又は財産の不適正な処理をした職員は、減給又は戒告とする。
(10) コンピュータの不適正使用
職場のコンピュータをその職務に関連しない不適正な目的で使用し、公務の運営に支障を生じさせた職員は、減給又は戒告とする。
(11) 虚偽公文書作成
ア その職務に関し、行使の目的で、公印を使用して、虚偽の公文書を作成し、又は公文書を変造した職員は、免職又は停職とする。
イ 公印を使用せずに、アに規定する行為をした職員は、減給又は戒告とする。
(12) 公印偽造
行使の目的で、公印を偽造した職員は、免職又は停職とする。
(13) 公文書等毀棄
故意に公文書又は公務の用に供する電磁的記録を毀棄した職員は、免職又は停職とする。
(14) 不適正事務処理
故意又は重大な過失により自己の職務を不適正に処理した職員は、減給又は戒告とする。
3 倫理関係
(1) 収賄
職務に関する行為をすること若しくは行為をしたこと若しくはしないこと若しくはしなかったことの対価若しくは請託を受けてその地位を利用して他の職員にその職務に関する行為をさせ、若しくは行為をさせないようにあっせんすること若しくはあっせんしたことの対価として供応接待若しくは財産上の利益の供与を受けた又はこれらの対価として第三者に対し供応接待若しくは財産上の利益の供与をさせた職員は免職又は停職とする。
(2) 贈与
ア 職務に関して利害関係を有する事業者等(以下「利害関係者」という。)から、金銭、物品の贈与を受けた職員は、免職、停職、減給又は戒告とする。
イ 利害関係者から不動産の贈与を受けた職員は、免職又は停職とする。
(3) 貸付け
ア 利害関係者から金銭の貸付けを受けた職員は、減給又は戒告とする。
イ 利害関係者から又は利害関係者の負担により無償で物品の貸付けを受けた職員は、減給又は戒告とする。
ウ 利害関係者から又は利害関係者の負担により無償で不動産の貸付けを受けた職員は、停職又は減給とする。
(4) 役務の提供
利害関係者から又は利害関係者の負担により無償で役務の提供を受けた職員は、免職、停職、減給又は戒告とする。
(5) 供応接待
利害関係者から供応接待を受けた職員は、停職、減給又は戒告とする。
(6) 第三者を通じた行為
利害関係者をして、第三者に対し、前(1)から(5)の行為をさせた職員は、免職、停職、減給又は戒告とする。
4 公務外非行関係
(1) 放火
放火をした職員は、免職とする。
(2) 殺人
人を殺した職員は、免職とする。
(3) 傷害
人の身体を傷害した職員は、停職又は減給とする。
(4) 暴行・けんか
暴行を加え、又はけんかをした職員が人を傷害するに至らなかったときは、減給又は戒告とする。
(5) 器物損壊
故意に他人の物を損壊した職員は、減給又は戒告とする。
(6) 横領
ア 自己の占有する他人の物(公金及び財産を除く。)を横領した職員は、免職又は停職とする。
イ 遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した職員は、減給又は
戒告とする。
(7) 窃盗・強盗
ア 他人の財物を窃取した職員は、免職又は停職とする。
イ 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した職員は、免職とする。
(8) 詐欺・恐喝
人を欺いて財物を交付させ、又は人を恐喝して財物を交付させた職員は、免職又は停職とする。
(9) 賭博
ア 賭博をした職員は、減給又は戒告とする。
イ 常習として賭博をした職員は、停職とする。
(10) 麻薬 覚せい剤等の所持又は使用
麻薬 覚せい剤等を所持又は使用した職員は、免職とする。
(11) 酪酎による粗野な言動等
酪酎して、公共の場所や乗物において、公衆に迷惑をかけるような著しく粗野又、乱暴又は品格を欠く言動をした職員は、減給又は戒告とする。
(12) 淫行
18歳未満の者に対して、金品その他財産上の利益を対償として供与し、又は供与することを約束して淫行をした職員は、免職又は停職とする。
(13) 痴漢行為
公共の乗物等において痴漢行為をした職員は、停職又は減給とする。
(14) 盗撮行為
公共の場所若しくは乗物において他人の通常衣服で隠されている下着若しくは身体の盗撮行為をし、又は通常衣服の全部若しくは一部を着けない状態となる場所における他人の姿態の盗撮行為をした職員は、停職又は減給とする。
5 飲酒運転 交通事故·交通法規違反関係
(1) 飲酒運転
ア 酒酔い運転をした職員は、免職とする。
イ 酒気帯び運転をした職員は、免職又は停職とする。
ウ 酒気帯び運転で人を死亡させた職員は、免職とする。
エ 酒気帯び運転で人に傷害を負わせた職員は、免職又は停職とする。この場合において措置義務違反をした職員は、免職とする。
オ 酒気帯び運転により物の損壊に係る交通事故を起こした職員は、免職又は停職とする。この場合において措置義務違反をした職員は、免職とする。
力 飲酒運転をした職員に対し、車両若しくは酒類を提供し若しくは飲酒をすすめた職員又は職員の飲酒を知りながら当該職員が運転する車両に同乗した職員は、飲酒運転をした職員に対する処分量定、当該飲酒運転への関与の程度等を考慮して、免職、停職、減給又は戒告とする。
(2) 悪質運転
ア 無免許運転等の悪質な交通法規違反による運転で、人を死亡させた職員は、免職とする。
イ 無免許運転等の悪質な交通法規違反による運転で、人に傷害を負わせた職員は、免職又は停職とする。この場合において措置義務違反をした職員は、免職とする。
ウ 無免許運転等の悪質な交通法規違反による逓転で、物の物損に係る交通事故を起こした職員は、免職又は停職とする。この場合において措置義務違反をした職員は、免職とする。
工 無免許運転等の悪質な交通法規違反をした職員は、停職とする。
(3) その他の悪質な交通事故 交通法規違反
ア 重大な交通事故により人を死亡させた職員は、免職、停職、減給とする。この場合において措置義務違反をした職員は、免職とする。
イ 重大な交通事故により人に傷害を負わせた職員は、停職、減給又は戒告とする。この場合において措置義務違反をした職員は、免職又は停職とする。
ウ 重大な交通事故により物を損壊させた職員は、減給又は戒告とする。―の場合において措置義務違反をした職員は、停職又は減給とする。
工 その他重大な交通法規違反をした職員は、戒告とする。
(注) 処分を行うに際しては、過失の程度や事故後の対応等も情状として考慮のうえ判断するものとする。
6 監督責任関係
(1) 指導監督不適正
部下職員が懲戒処分を受ける等した場合で、管理監督者としての指導監督に適正を欠いていた職員は、減給又は戒告とする。
(2) 非行の隠ぺい、黙認
部下職員の非違行為を知得したにもかかわらず、その事実を隠ぺいし、又は黙認した職員は、停職又は減給とする。
第4 適用期日
この指針は、平成28年5月19日から適用する。
この指針は、令和2年6月1日から適用する。
*****⑦住居手当*****
○富岡市職員の給与に関する条例(平成18年3月27日条例第51号)抜粋
(住居手当)
第12条の3 住居手当は、次の各号のいずれかに該当する職員に支給する。
(1) 自ら居住するため住宅(貸間を含む。)を借り受け、月額16,000円を超える家賃(使用料を含む。以下同じ。)を支払っている職員(市が設置する公舎を貸与され、使用料を支払っている職員その他規則で定める職員を除く。)
(2) 削除
2 住居手当の月額は、次の各号に掲げる職員の区分に応じて、当該各号に定める額とする。
(1) 前項第1号に掲げる職員 次に掲げる職員の区分に応じて、それぞれ次に定める額(その額に100円未満の端数を生じたときは、これを切り捨てた額)に相当する額
ア 月額27,000円以下の家賃を支払っている職員 家賃の月額から16,000円を控除した額
イ 月額27,000円を超える家賃を支払っている職員 家賃の月額から27,000円を控除した額の2分の1(その控除した額の2分の1が17,000円を超えるときは、17,000円)を11,000円に加算した額
(2) 削除
3 前2項に規定するもののほか、住居手当の支給に関し必要な事項は、規則で定める。
一部改正〔平成21年条例9号・34号・令和元年48号〕
**********
■⑦の富岡市職員懲戒に係る指針は、富岡市によるとホームページには掲載していないそうです。また、この指針には、刑事訴訟法第239条に定める公務員の告発義務の項目が含まれていません。
富岡市によれば、この指針は、群馬県に倣っているとのことです。そのため、「群馬県職員の懲戒処分の指針について」と見比べてみると、確かに、全く同じ内容になっています。群馬県はこの指針をホームページで公表していませんが、当会のブログの次の記事に掲載しているので参照ください。
〇2023年5月29日:県知事の被害届は即刻受理するのに県民が県職員の不祥事を告発しても受理しない群馬県警察の二重基準↓
唯一、富岡市の指針では、「第1 基本事項」の末尾で、「(1) 職員が自らの非違行為が発覚する前に自主的に申し出た時」という項目が付け加えてあるだけです。わかりやすいように、上記の指針では青字で当該箇所を示してあります。
■このように、富岡市で今回発生した住居手当の不正受給では、富岡市の50歳になる何らかのハンディを負った職員が、10年前までアパートに住んでいたのに、その後、実家に住み始めたにもかかわらず、9年7か月(115か月)にわたって、トータル235万円の住宅手当を不正に受け取っていたと報じられています。そうすると富岡市は、235万円/115か月=約2万4000円の住居手当を毎月だまし取られていたことになります。
また、このことから、ハンディがあるとされる当該職員は、住居手当の計算式から、月額約5万3000円の市内賃貸アパートを借りていたことになります。
この事件では、報道記事をもとに読み解くと、さらに不可解なことがあります。なぜなら、NHKの報道では、「富岡市によりますと、職員は、10年前に生活の拠点を市内の賃貸住宅から実家に移したにもかかわらず職場に届け出ず、ことし6月までの9年7か月分の住宅手当あわせて235万円を不正に受給していました。職員がことし4月に行われた上司との面談の際に実家に住んでいると話したことから不正が発覚したということです。」とありますが、産経新聞の記事では「市によると平成25年11月ごろに生活拠点が移った後も必要な手続きをしなかった。今年春に正確な通勤届を出すよう呼びかけられたことを受け、7月上旬に人事課に提出したものが、従来と変わっていたことで判明した。」と報じているからです。
■常識的に考えれば、産経新聞の取材に対する富岡市の説明が腑に落ちます。なぜなら、今年春に正確な通勤届を出すように呼びかけられたことを受けて、当該職員が7月上旬に人事課に提出したものが、従来の内容と異なり、実家から通勤していると届けたことで発覚し、6月までの住居手当の不正受給と判断したからです。
これに対して、NHKの報道では、「職員がことし4月に行われた上司との面談の際に実家に住んでいると話した」ことで不正が発覚し、ことし6月までの住居手当を不正に受給していた」とあり、なぜ、6月まで市が住居手当を払い続けたのか、疑問だからです。NHKの取材に対して富岡市はどのような説明をしたのでしょうか?
さらに言えば、産経新聞の記事では「市の聞き取りに『賃貸契約は続けており、(手当を)もらえるものならもらおうと思った』などと話しているという。」と報じていますが、NHKの報道では「職員は『賃貸住宅を借り続けていたが、居住していないので、手当を返金しなければならないと思っていた。反省している』などと話しているという」とあり、上毛新聞は「主事は『手当の対象にならないのではないかと思ったが、手続きを怠った。申し訳ない』などと話しているという。」と報じており、各社の書きぶりが微妙に食い違って見えます。
また、常識的に考えれば、当該職員が「賃貸契約は続けており、手当をもらえるものならもらおうと思った」が「居住していないので、手当の対象にならないのではないかと思い、手当を返金しなければならないと思っていた」ところ、「手続きを怠った」と話していたこと自体、論理が一貫していないように見えます。単に手続きを怠っただけでは済まされないからです。なぜなら、賃貸契約で空き部屋だったとはいえ、家主には毎月5万3000円が支払われており、当該職員は、毎月2万9000円を自腹で支払い続けていたわけであり、この事件の背景には、別の何かが隠されているという疑惑がぬぐい切れません。
■いずれにしても、富岡市が報道関係者に対して、この事件についてどのように報じたのか、が重要になります。
当会では、そういう情報も含めて、「⑨その他、本件に関する情報」として富岡市に開示請求を行いましたが、非開示とされてしまいました。
そのため、富岡市に対して、⑨の非開示決定処分に対する審査請求を出すかどうか判断する前に、公開質問のかたちで、次の情報について、あらかじめ確認する必要があるのではないかと考えております。
(1)この事件について、富岡市が報道機関に提供した一切の情報。
(2)富岡市が、9月11日に当該職員に出した懲戒処分通知。(個人情報を除く)
(3)富岡市が、9月11日付で、再発防止策として全職員に対して住居や扶養などを正しく届け出るよう通知した文書。
(4)約10年間にわたる不正受給について、該当職員が不正に得た公金は弁済されているというが、遅延損害金に係る情報。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます