↑各警察署別暴力団勢力数。出典:「暴追ぐんま」2022年夏号↑
■「甲子園」で知られる阪神甲子園球場は、暴力団員の立ち入りが禁止されていますが、このほど、4月8日に甲子園でプロ野球の試合「阪神対ヤクルト」を観戦した暴力団員2名が建造物侵入の容疑で逮捕されました。メディア各社の報道内容を見てみましょう。
**********産経新聞2023年4月25日07:00
〈独自〉プロ野球・阪神戦観戦で暴力団員の男2人逮捕 兵庫県警
↑兵庫県警本部↑
暴力団員の立ち入りが禁止されている阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)でプロ野球の試合を観戦したとして、兵庫県警甲子園署が建造物侵入の疑いで、暴力団員の男2人を逮捕したことが24日、捜査関係者への取材で分かった。
逮捕容疑は4月8日、正当な理由がないのに、甲子園球場に立ち入り、プロ野球の阪神対ヤクルトの試合を観戦したなどとしている。
同球場は、暴力団や反社会的団体に所属する人物やその関係者の入場を拒否しており、同署は暴力団員が試合観戦のために球場内に入ったことが、建造物侵入罪にあたると判断した。
プロ野球と暴力団をめぐっては、平成15年に、阪神の私設応援団幹部を務めていた暴力団員ら2人が、甲子園球場の球場長らを脅迫した疑いで、県警に逮捕される事件などが発生。プロ野球12球団などは同年に「暴力団等排除宣言」を採択。暴力団や悪質な応援団の球場からの排除に努めている。
**********毎日新聞 2023年4月25日11:25(最終更新 4/25 18:09)
甲子園でプロ野球観戦の暴力団組員2人逮捕 建造物侵入容疑
↑兵庫県警本部↑
暴力団員の入場が禁止されている阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)でプロ野球を観戦したとして、兵庫県警甲子園署は25日、いずれも暴力団組員の酒井冨士男(78)=大阪市阿倍野区天王寺町北3=と出口英樹(52)=同市浪速区戎本町1=の両容疑者を建造物侵入の疑いで逮捕したと発表した。いずれも容疑を認めているという。
逮捕容疑は4月8日、入場門前などに「暴力団関係者お断り」と表示している同球場に入り、阪神対ヤクルトの試合を観戦したとしている。甲子園署によると、試合中に球場付近で違法駐車していた乗用車の運転手を職務質問したところ、暴力団関係者が観戦している疑いが浮上したという。試合終了後、両容疑者がこの車に戻ったことを確認し、9日に逮捕していた。出口容疑者は逮捕当時、「ヤクザがプロ野球を見に行ったらいけないとは知らなかった」と供述していたという。
日本野球機構(NPB)は2003年12月、暴力団の入場拒否などを盛り込んだ「暴力団等排除宣言」を採択した。同球場も暴力団など反社会的団体の所属者や密接な関係者を「入場をお断りする方」として注意事項に明記している。
**********読売テレビ2023年04月25日11:44
甲子園で阪神・ヤクルト戦観戦 組員2人を逮捕 駐車違反取り締まり中に運転手「暴力団員と来ている」
暴力団組員の立ち入りが禁止されている甲子園球場で、プロ野球の試合を観戦したとして、暴力団組員の男2人が逮捕されました。
建造物侵入の疑いで逮捕された大阪府の暴力団員の男2人は4月8日、「暴力団関係者お断り」と標示されているにもかかわらず、甲子園球場に立ち入り、阪神・ヤクルト戦を観戦した疑いです。
警察が、近くで駐車違反の取り締まりをしていたところ、運転手が「暴力団員を連れて来ている」と話し明らかになったということで、2人は容疑を認めています。
甲子園球場では2003年、「六甲おろし」の合唱をめぐって暴力団員が球場長を脅迫する事件があり、この年、プロ野球は「暴力団等排除宣言」を採択しました。
**********共同通信2023年4月25日12:40
甲子園で観戦、暴力団員を逮捕 建造物侵入の疑い、兵庫県警
↑阪神甲子園球場↑
暴力団関係者の入場を禁じている阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)に立ち入り、プロ野球の阪神―ヤクルトの試合を観戦したとして、県警甲子園署は25日までに、建造物侵入容疑で暴力団員の酒井冨士男容疑者(78)=大阪市阿倍野区=ら組員の男2人を逮捕、送検した。逮捕は9日付。
逮捕容疑は8日午後、「暴力団関係者お断り」と表示がある阪神甲子園球場に正当な理由がないのに入場した疑い。署によると、2人とも容疑を認めている。
球場に暴力団員がいるとの情報を受けた署員が、観戦を終えた酒井容疑者らを見つけて任意で事情を聴き、組員と認めたため翌9日に逮捕した。
**********読売新聞オンライン2023年04月25日12:47
暴力団員立ち入り禁止の甲子園球場でプロ野球観戦、組員2人を建造物侵入容疑で逮捕
↑阪神甲子園球場↑
暴力団員の立ち入りを禁止している阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)でプロ野球を観戦したとして、兵庫県警は25日、いずれも暴力団組員の大阪市阿倍野区の男(78)、同市浪速区の男(52)の両容疑者を建造物侵入容疑で逮捕したと発表した。容疑を認めているという。
発表では、2人は4月8日、球場周辺のポスターやチケットに「暴力団関係者お断り」などと記されていたにもかかわらず、球場に入って阪神対ヤクルトの試合を観戦した疑い。
2人は観戦を終えて路上に駐車していた車に戻ったところ、警察官から職務質問され、観戦していたことがわかったという。
プロ野球暴力団等排除対策協議会は2003年12月、暴力団と悪質な応援団を球界から追放する「暴力団等排除宣言」を採択。宣言では、暴力団員を球場に入れないことなどを明記している。
**********神戸新聞NEXT 2023年4月25日15:15
暴力団関係者「お断り」の甲子園球場に侵入、プロ野球観戦 容疑で大阪の暴力団員2人逮捕 兵庫県警
↑兵庫県警甲子園署=西宮市甲子園七番町↑
暴力団員の入場を拒否している阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)でプロ野球・阪神タイガースの試合を観戦したとして、県警暴力団対策課と甲子園署などは25日までに、建造物侵入の疑いで暴力団員の男2人を逮捕、送検した。
署によると、2人は大阪市阿倍野区の男(78)と、同市浪速区の男(52)。いずれも容疑をおおむね認めているという。
2人の逮捕、送検容疑は、別の男1人と共謀して8日午後1時40分ごろ~5時15分ごろ、入場門に「暴力団関係者お断り」の掲示があるにもかかわらず、観戦のため球場に侵入した疑い。この日は阪神対ヤクルトの試合が行われていた。
球場周辺に違法駐車された車があり、運転者に署員が職務質問したところ、暴力団員を球場まで送ってきた車と判明。車に戻ってきた78歳男らに任意同行を求め、9日未明に逮捕していた。
甲子園球場は、ホームページに「暴力団やこれに類する反社会的団体」に所属している人物や「これらと密接な関係」のある人物について「入場をお断りする」との注意事項を掲載している。
**********NHK NEWS WEB 2023年4月25日17:27
暴力団員入場禁止の甲子園球場で観戦か 暴力団員2人逮捕
暴力団員の入場を禁じている兵庫県西宮市の甲子園球場に立ち入り、プロ野球の阪神対ヤクルトの試合を観戦したとして、大阪の暴力団員2人が建造物侵入の疑いで逮捕されました。
逮捕されたのは、いずれも大阪市に住む暴力団員、酒井冨士男容疑者(78)と出口英樹容疑者(52)です。
警察によりますと2人は、4月8日、兵庫県西宮市にある甲子園球場で「暴力団関係者お断り」という看板が、入場門などに掲示されているにもかかわらず、プロ野球の阪神対ヤクルトの試合を観戦するために立ち入ったとして、建造物侵入の疑いが持たれています。
「球場に暴力団員がいる」という連絡を受けた警察官が観戦を終えた2人を見つけ、任意で事情を聞いたところ暴力団員だと認めたため、逮捕したということです。
調べに対し、いずれも容疑を認めているということです。
プロ野球12球団などは2003年12月に、暴力団の入場拒否などを盛り込んだ宣言を採択していて、暴力団や悪質な応援団を球場に入れないよう取り組んでいます。
**********
このように、たまたま違法駐車の取り締まりの過程で、入場禁止の甲子園球場に「侵入」した暴力団員が逮捕されましたが、通常、わざわざ「自分は暴力団員だ」と自己申告する者は極めて希であり、水面下では多くの暴力団員が野球観戦をしているものと推察できます。
■この報道に接し、当会が最近、安中市で対応した事案を思い出しました。
事の発端は2022年7月下旬に当会事務局あてに、「安中市役所の職員2名が反社会的勢力と付き合いがあり、市役所内でも部下に対して横柄な態度で接しているという噂がある。この噂は真実なのか。その場合、執行部はその事を把握しているのか、把握していた場合、何らかの処分が下されたのか、が知りたい。本人の口から聞いたのでなく、あくまで周りから聞こえてきた噂だが、職員を通じて職員課に問い合わせても、絶対に教えてくれないだろうから、お手数をおかけするが、事実関係を確認してもらえるとありがたい」という趣旨の匿名の通報メールがありました。
当会は、安中市役所で、27年前に発覚した51億円巨額詐欺横領事件の主犯の元職員が、暴力団関係者に多額のカネを揺すり取られていた事実を思い起こし、再び市の職員が反社勢力と関係があるとなると第二のタゴ事件当時の温床を醸成させるリスクが高まることを重大視しました。
そのため、折り返し通報者に、さらに詳しい具体的な事情を質しました。すると、通報者から概ね以下の情報がもたらされました。
「あくまでも当時の噂であり、真実は分かりかねるが、前橋育英高校が甲子園で優勝した時に、安中市を代表する反社会的立場にいるA氏と、当時有害鳥獣の担当をしていて面識のあったBという係長と、Cという一般職が宿泊も伴い応援に行ったという話があった。他にも行動を共にした職員がいるかは定かでない。両職員は、その後人事異動をしており、今はスポーツ課で同僚となっている。職員課的には、問題のありそうな職員は外部職場に置く事が多いと思われる。B係長と現在の職員課長は同級生であり、その辺も考慮されているのかもしれない。問題なのは、この内容が事実の場合、芸能界でも問題視されているように、反社との関わりを個人的に持つ者が公務員で良いのかという疑問であり、これを晴らしてほしい」
■このため当会は、反社勢力排除義務の観点から、本件を、明るく健全な市政運営を脅かしかねない問題としてとらえ、質問書兼申入書形式により安中市長宛に事実関係の調査と、それを踏まえた適切な対策措置を要請する必要があると判断しました。そして、2022年8月3日付で安中市長あてに以下の内容の文書を作成しました。
*****8/3市長宛申入書*****
令和4年8月3日
安中市長 岩井均 様
〒379-0114
安中市野殿980
市民オンブズマン群馬
代表 小 川 賢
連絡先 090-5302-8312
申 入 書
件名:反社勢力関係者との交友が取り沙汰される市職員について
(事実確認のための調査のお願い)
当会に寄せられた匿名情報によると、「2013年当時、前橋育英高校が甲子園で優勝した時に、安中市において反社勢力関係者として知られるA氏と、当時有害鳥獣の担当をしていて面識のあったBという名の係長と、Cという名の一般職のかたがたが、宿泊を伴う応援をするために、一緒に行動した」とのことです。他にも行動を共にした安中市職員がいたのかどうかは定かではありませんが、この二人の職員について、「両職員は、その後人事異動をしていますが、今はスポーツ課で同僚となっています」という情報も寄せられました。
当会として問題だと思われるのは、上記のことが事実の場合、反社勢力排除義務の観点から、明るく健全な市政運営を脅かしかねないことです。
そこでお願いがあります。以下の①~④の項目について事実関係を確認していただき、調査結果をご連絡いただけますよう、よろしくお願い申し上げます。
①2013年の前橋市育英高校が甲子園大会で優勝した当時、複数の市職員らが反社勢力関係者とともに、応援に出向いたという噂が市民の間でささやかれているが、承知しているか。
②承知している場合、執行部はその噂が事実かどうか、把握しているか。
③事実関係を把握している場合、当事者らになんらかの処分が下されたのか。
④承知していない場合、反社勢力排除の立場から、迅速な調査を実施する必要があると思うが、どのような判断をお願いできるか。
なお、調査結果は、できれば10月10日(月)ごろまでに、上記連絡先までお願いできれば幸いです。
以上
**********
■そして、2022年8月3日に上記文書を携えて、市役所を訪れ、岩井市長に相対で面談を申し入れました。しかし、生憎、「公務で外出中」とのことで、秘書課に「人事関係を所管する部長は誰か?」と聞いたところ、「総務部の萩原部長だ」ということで、さっそく行政課の奥にいる萩原部長と面談しました。他の職員に聞かれないように一番奥の応接スペースで、本件について、市長宛の上記文書を提出したうえで、小声で事情を説明し、事の真意を確かめるよう依頼しました。
おそらく回答に相当な時間がかかると思い、確認調査の結果を2022年10月10日までに連絡するように文書にも記しておきました。
その後も、2度ほど行政課に別件で文書開示請求をした際、居合わせた萩原部長には「その後どういう経過か?」と質問しましたが、「いや、まだやっていない」ということでした。
2022年10月10日は祝日だったため、1週間後の10月17日の午後5時に市役所を別件で訪れた際に、萩原部長のところにいってみると、不在だったため、「部長はどこにいったのか」と職員に聞いたところ、「職員課にいったようだ。じきに戻ると思う」ということだったので、応接場所の椅子で待っていたところ、午後6時になりようやく戻ってきました。「例の件で結果をうかがいたい」というと、「ここではなんなので」というので、新館の2階の一番奥の左側の会議室で、部長と相対で話を聞きました。
■萩原部長は、当会が提出した市長宛文書を示しながら、「この件を承知しているか、と言えば、承知していない」として、①から順番に説明し始めました。
==========
①2013年の前橋市育英高校が甲子園大会で優勝した当時、複数の市職員らが反社勢力関係者とともに、応援に出向いたという噂が市民の間でささやかれているが、承知しているか。
⇒【回答】承知していない。また、A氏が、反社勢力の関係者かどうかも、確かめていないのでわからない。
②承知している場合、執行部はその噂が事実かどうか、把握しているか。
⇒【回答】承知していないので答えられない。
③事実関係を把握している場合、当事者らになんらかの処分が下されたのか。
⇒【回答】これも承知していないので答えられない。
④承知していない場合、反社勢力排除の立場から、迅速な調査を実施する必要があると思うが、どのような判断をお願いできるか。
⇒【回答】実際に、当事者の2名に、それぞれ別々に事情を聴いてみた。その結果、いただいた文書に記載のことは、半分あたっており、半分はあたっていない、ということがわかった。「半分半分」ということは、どちらの人物なのかは明かせないが、一人はA氏と一緒に甲子園に育英高校の試合を観戦に行ったことを認めたが、もう一人は否認した。また、観戦に一緒に行ったという人物は、「宿泊を伴っていない」として、「日帰りだった」と述べた。そして、「それ以降、現在に至るまで、付き合っていない」と言った。もう一人は、「A氏とは面識がない」と言った。
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■以上が人事権を統括する総務部の萩原部長の説明の骨子ですが、その他にも当会から「育英高校の甲子園観戦したのは、母校だったからか?」と部長に聞くと「出身校とは関係ない。野球に興味があったのだと思う」と答えました。
また、萩原部長に、「A氏と一緒に甲子園に野球観戦に行った人物は、その後、Aとは付き合っておらず、今後も付き合わない、と本当にそう言ったのか」と念押しをしたところ、同部長は「本当にそう言っていた」と返事をしました。
当会からは、「引き続き反社勢力と付き合う市職員がいたり、今後も出てきた場合、弱みを握られてしまうと、安中市元職員タゴの土地開発公社不祥事件のように、公金が詐取される懸念が生じるため、こうした情報が囁かれること自体、絶対に避けなければならないことだ」と釘をさしました。
そして、「本件について岩井市長に報告したのか」と部長に聞いたところ、部長は「市長には報告していない」と言いました。そのため当会は、「必ず市長にも報告しておくべきだ。さもないと仮に不祥事が起きた場合、人事担当責任者としての責任を問われかねないので、必ず報告しておくことを勧めたい」と申し入れました。
■年が明けて、2023年1月16日に、安中市役所を訪れて、筆者が会長を務める東邦亜鉛安中製錬所に起因する周辺畑地の重金属土壌汚染の解消を目指す公特事業推進委員会の名義で、「碓氷川流域地区公害防除特別土地改良事業/平成4年度の経過報告と要望」と題する文書を岩井市長に手渡し、状況説明をした後、最後に、この反社勢力と職員との関係事件について、岩井市長に確認のため質問しました。
「市長、この件について、総務部長から報告を受けていましたか」
「いや、今日初めて聞いた」
「では市長は、総務部長からこの件について何も聞いていないのですね」
「そうだ」
そこで、多分こんなことだろうと思って、あらかじめ印刷して持参した市長あての申入書と、それまでの総務部長とのやりとりなど経緯を記した資料を岩井市長に手渡し、「後でよく読んでおいてください」と要請しておきました。
■このように、総務部長ですら、安中市の危機管理意識について「いかに希薄であるか」がお分かりいただけると思います。岩井市長には、第2のタゴ事件の芽を早期に摘めるように、常に幹部職員に対して、反社勢力との関係から決別するよう、日ごろから部下を厳しく見守るよう、訓示を心がけていただきたいものです。
以上の経過はすべて匿名の情報提供者に通知しました。その後、とくに追加情報は寄せられておりません。
当会では、役所内で、不思議なこと、異常なこと、なんでもよいので、気付いたことがあれば、匿名でかまいませんので、証拠を添えて情報提供をいただければ、すみやかに対応し、結果について公表する所存です。遠慮なく、お声がけください。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
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