市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

大同有毒スラグを斬る!・・・「大同特殊鋼スラグ使用 新たに148カ所判明」報道その後

2016-05-17 23:17:00 | スラグ不法投棄問題

■2016年5月14日上毛新聞で「大同特殊鋼スラグ使用 新たに148カ所判明 自治体 撤去や舗装で対応」と報道されました。その中で、群馬県の対応にも報道が及び、大きな反響を呼んでいます。注目記事を切り抜いて見ましょう。

**********2016/5/14上毛新聞
大同特殊鋼スラグ使用 新たに148カ所判明
自治体 撤去や舗装で対応

「土壌汚染の箇所数が抜きんでて多い渋川市は、学校や市民体育館など5カ所でアスファルト舗装した。レジャー施設など3カ所で工事に向けて調査中という。
 前橋市は本年度から8カ所でスラグを撤去したり、舗装工事を行う予定だ。27カ所で工事が必要な関東地方整備局は16カ所の工事を終え、残りは順次進める。県と水資源機構は必要な工事を終えたとしている。」
(末尾に全文を記載しました)
**********

 確かに、国の機関である水資源機構は、有害スラグ問題が発覚するとすぐに毅然とした態度で、「撤去」を打ち出し、スラグ使用場所を丁寧に特定し、さっさと撤去してしましました。優秀な人材が揃った日本が誇れるお役人様の組織とはこうあるべきなのだ、と感じることができます。新聞報道の通り「必要な工事を終了」しています。


2014年6月12日の上毛新聞。「水資源機構 管理道路のスラグ撤去」と見出しにあるとおり、既に2年余り前に撤去を表明した。

 この記事に関する詳細はこちらをご覧ください。↓↓
○2014年6月13日:水資源機構の管理道路等の大同有害スラグ撤去の報に接しても自らの施工場所は舗装でフタする群馬県行政体質
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1315.html#readmore

■水資源機構の迅速な決断と対応に比べて、群馬県・県土整備部の対応はどうでしょうか?読者の方から反響をいただき、更に考察を加えていきたいと思います。2014年11月に行われた第1回スラグ連絡会議の資料を見ていきましょう。群馬県のHPから次のURLをクリックしてみましょう。↓
https://www.pref.gunma.jp/contents/000309543.pdf



■まず、第1回連絡会議において群馬県は次のとおり発表しました。

□27工事については、施工にあたって品質規格証明書により安全性を確認していたが、安全性の再確認のため、6工事を抽出して、環境安全品質基準(8項目)の分析試験を行った。

□(平成26年5月)分析試験の結果、6工事すべての箇所において基準に適合していることが確認されたことにより、県工事における鉄鋼スラグを含む砕石は 環境上安全であると公表した。


 このように群馬県は、第1回連絡会議で早くも安全宣言を出してしまいました。

■次に、2015年11月に行われた第3回スラグ連絡会議の資料を見ていきましょう。群馬県のHPから次のURLをクリックしてみましょう。↓
https://www.pref.gunma.jp/contents/000351738.pdf



 上記のように、第3回連絡会議において群馬県は次のとおり発表しました。

□出荷記録のある工事については、これまでの公表結果を合わせて、県施工58工事で鉄鋼スラグを含む材料の使用が確認されている。

□52工事においては、品質規格証明書が提出されており、品質規格証明書がない6工事については、鉄鋼スラグを含む材料の分析試験を実施した。


 このように群馬県の取り組み状況が会議資料に明記されています。52工事では、廃棄物処理法違反で刑事告発され前橋地検に書類送検されたブラック企業が提出した品質規格証明書があることを理由に、分析試験を実施していないと明記しているのです。

 この品質規格証明書のことを一体なんだと思っているのでしょうか?

 そして、品質規格証明書がない6工事については、鉄鋼スラグを含む材料の分析試験を実施し1工事について環境基準を上回るフッ素を検出しているのです。品質規格証明書の有無にかかわらず、実際にスラグ混合砕石を分析調査すれば環境基準を上回る有害物質が検出されることを知っているのに、敢えて、ブラック企業の出したインチキ品質規格証明をたてに、分析試験を省略しているのです。詐欺師同然のブラック企業の作った文書を金科玉条のものとして信用しているわけですから、県土整備部の役人様は、詐欺師よりもさらに悪質な面々です。

■国土交通省もスラグ混合砕石を分析調査しています。その工事個所には、群馬県がいうところの品質規格証明書と同じ証明書が提出されているはずです。

 平成26年12月26日(金)に、国土交通省関東地方整備局 が公表した記者発表資料を見ると基準値を超えたフッ素が検出された場所が列挙されています。その中で有害スラグ混合砕石が使われたと思われる工事を一部書き出してみると次のとおりです。国交省のHPから次のURLをクリックしてみましょう。↓
http://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000614913.pdf

H23 八ッ場ダム工事事務所 H23大沢地区代替地他整備工事
資材置場 (敷砂利) 道路 (路盤)
H24 八ッ場ダム工事事務所 H24上湯原地区代替地他整備工事
資材置場 (敷砂利) 進入路 (敷砂利)
H25 八ッ場ダム工事事務所 H25温井沢流路工外工事
資材置場 (敷砂利)


 ざっと見ただけで上記の工事を見つけることができます。

 第1回スラグ連絡会議において、国土交通省は「39工事の施工箇所で使用した砕石については、都道府県知事の登録を受けた試験機関の品質規格証明書により環境基準への適合を確認。」と品質規格証明書が提出されていることを明言しています。このことは群馬県のHPから次のURLをクリックすれば確認できます。↓
http://www.pref.gunma.jp/06/h8000225.html#gidai3

 それはそうでしょう。工事を受注した建設業者は国・県にかかわらず、どのような材料を使うか材料承認願いを必ず提出しているはずです、そのなかに品質規格証明書が含まれています。

 国土交通省の分析調査により、品質規格証明書が提出されていても、環境基準を上回るフッ素が検出されることが判明しています、つまり品質規格証明書はデタラメだという事が証明されているのです。それもそのはず、スラグ混合砕石のスラグの粒(つぶ)だけを分析すれば、環境基準を上回るフッ素が必ず検出されてしまうのですから。

■ここまでの考察をまとめてみます。

考察結果1:
ブラック佐藤建設工業が役所に提出した品質規格証明書はデタラメで、実際の混合砕石のスラグのみを分析調査すれば、環境基準を上回るフッ素が検出されること。

考察結果2:

群馬県・県土整備部においては品質規格証明書が提出された現場は6工事しか分析調査しておらず、52工事では「ブラック企業のデタラメ書類に基づき強引に安全宣言をしていること。

 以上の2点を指摘することができます。

■さて、群馬県が鉄鋼スラグ連絡会議の資料で示したスラグとはどのような種類の砕石なのでしょうか?第2回連絡会議の群馬県提出の会議資料を見てみましょう。群馬県のHPから次のURLをクリックしてみましょう。↓
http://www.pref.gunma.jp/06/h8000235.html#gidai1gunma



 材料区分として「混合砕石」が示されています。品質規格証明書が提出されている「混合砕石」とは、下層路盤材としてブラック佐藤建設工業が販売した「偽装再生砕石」のことです。

 ところで、国土交通省の現場では、盛り土の中に有害スラグが不法投棄されています。群馬県の工事には盛り土材は使われていないのでしょうか?群馬県の工事でも、路床置換工や盛り土工と呼ばれる工種で、国土交通省の工事と同じように佐藤建設工業の盛り土が大量に使われているようです。スラグ連絡会議で紹介された高渋バイパスを始めとして多数の現場において、路床置換工で盛り土材が使用されているようです。群馬県・県土整備部はなぜ、国土交通省でフッ素が検出され、土壌を汚染する恐れがある置換盛り土材を調査しないのでしょうか?

 必要な調査をしないで、上毛新聞の取材に対して「県は必要な工事を終えた」などと答えるとは、いったい何の事を言っているのでしょうか?調査もせず、問題を公にしないのですから、そりゃ~「必要な工事を終えた」と鼻高々でしょう。

 都合の悪い書類は、作成しなかったことにして、オンブズマンからの情報開示請求に対して、「不存在だ」と言い張る役人様の論理と共通性があります。今や、ここまで、公務員の資質レベルが劣化してきているのです。

 そのようなお役人様の劣化ぶりを熟知しているのでしょうか。佐藤建設工業は、盛り土材・下層路盤材・上層路盤材などその販売する全ての建設資材に有害スラグを混入させています。

 読者の皆様!これ以上有毒スラグの不法投棄実態の検証作業をやる気が群馬県の県土整備部にないのであれば、市民オンブズマン群馬がリットン調査団の支援を受けて、工事完成写真を情報公開請求して、盛り土材をアップで見て、サビ浮き石を探すという手法で、有害スラグを探索するという企画を提案したいと思いますが、これについてはいかがでしょうか?

■以上、群馬県の県土整備部の有害スラグ対策を考察してまいりました。まともに調査すらしようとしないお役人様お得意の「不作為」な姿勢を、垣間見ることができます、このまま役人様の不作為に状況を委ねてしまうと、将来、極めてゆゆしい問題が持ち上がることでしょう。

 それは、上層路盤材や盛り土材などの“健全な”建設資材が、有害スラグの混入の恐れのある“不健全な”建設資材と区別して認識されないことにより、将来の建設工事において、これらの建設資材を掘削・撤去するとき、有害スラグの二次汚染を招いてしまう懸念があるのです。このままでは、将来の有害スラグのフッ素二次汚染の犯人は、ブラック企業連合ではなく、「不作為」により問題を将来に先送りしてしまった群馬県・県土整備部ということになってしまうのではないでしょうか?

■それにつけても、当会が深刻に感じることは、これだけ大勢の職員を要する群馬県庁が、上記のような違法不当な行政の事務事業行為を知りつつ、誰も自ら声をあげて告発しないことです。県民の安全・安心な生活環境の保全よりも、自らの保身を優先するというこうした「役人根性」は、かつてはこれほど存在していませんでした。

 県民の目線でなく、トップや上司からの目線ばかり気にして、我々の血税を食んでいる役人様は無用な存在です。だから、さっさとクビにできればよいのですが、なぜか公務員の罷免権は我々納税者・住民にはないのです。たしかに憲法第15条には「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。」とありますが、実際に選定・罷免をするのは、国家公務員法や地方公務員法に基づき、行政機関が執行するわけです。つまり、ドロボーがドロボーを裁くようなものですから、一向に改善できません。公務員が着服しても、数百万円程度であれば、たいてい執行猶予付きの有罪判決で幕引きされてしまいます。

 こうした状況ですので、市民によるオンブズマン活動により、役所の実態を暴く活動は今後とも重要度を増すはずです。当会は微力ながら、全力を挙げてオンブズマン活動に邁進してゆく所存です。

【市民オンブズマン群馬・大同有毒スラグ特別調査チーム・この項続く】

※参考資料1
**********2016/5/14上毛新聞
大同特殊鋼スラグ使用 新たに148カ所判明 
自治体 撤去や舗装で対応

 鉄鋼メーカー「大同特殊鋼」の渋川工場(渋川市)から出た鉄鋼スラグが群馬県内の公共工事で使われ、一部で環境基準値を超えるフッ素や六価クロムが検出された問題で、県は13日、公共と民間を合わせて計148カ所の工事で新たにスラグの使用が見つかったと発表した。使用された工事は373カ所になった。実施主体の自治体などは、スラグの撤去や、アスファルトで舗装するなど対応に追われている。
 新たに見つかったのは、関東地方整備局、関東森林管理局、北関東防衛局の国の三つの出先機関と、渋川、吉岡、中之条、長野原、昭和、みなかみの8市町村の計100カ所と、民間の計48カ所。
 県などはこれまでに、373カ所のうち259カ所で環境調査を実施した。101カ所のスラグから環境基準値を超える有害物質が検出され、このうち57カ所は周辺の土壌からも検出された。地下水汚染が確認されたところはなかった。渋川市の工事は42カ所で土壌汚染があった。
 土壌汚染の箇所数が抜きんでて多い渋川市は、学校や市民体育館など5カ所でアスファルト舗装した。レジャー施設など3カ所で工事に向けて調査中という。
 前橋市は本年度から8カ所でスラグを撤去したり、舗装工事を行う予定だ。27カ所で工事が必要な関東地方整備局は16カ所の工事を終え、残りは順次進める。県と水資源機構は必要な工事を終えたとしている。
 この問題は2013年6月に明るみに出て、県は14年1月~2月、大同特殊鋼や関係者への立ち入り調査を実施し、15年9月に同社などを刑事告発した。県警は4月26日に廃棄物処理法違反の疑いで、同社を含む3社と、その役員ら5人を前橋地検に書類送検した。
**********

※参考資料2
 佐藤建設工業の品質規格証明書についてはこちらをご覧ください↓↓
○2014年11月1日:大同有毒スラグ問題を斬る!…佐藤建設工業の“偽装”試験成績報告書がまかり通った群馬県の特異体質(1/2)
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1444.html#readmore

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