■群馬県の片田舎の一運送会社が首都高で起こしたタンクローリー横転炎上事故から4年5か月が経過しました。首都高史上最大の物損事故とされるこの事故を巡り、一昨年の10月から首都高が提起した損害賠償請求の訴訟で相手取った先は、群馬県の片田舎の運送会社が尋常ではないことを物語っています。当会は、この首都高横転炎上事故の直後から、原因者の多胡運輸が、安中市土地開発公社巨額横領事件との関連で、いくら首都高でも、係争になった場合には非常に手こずるに違いないと予測していました。今まさに、その予測が的中した感があります。
この事故を巡り、当会は、なんど情報開示請求をしても梨のつぶての首都高に見切りをつけて、昨年12月に、首都高のお目付け役である上部組織の独立行政法人・日本高速道路保有・債務返済機構に対して事故や裁判に関する情報の開示を要請していましたが、やはり首都高の時と同様に不開示となりました。そこで、新年早々、1月4日付けで、機構に対して次の異議申立てを提出しました。
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異議申立書
平成25年1月4日
〒105-0003東京都港区西新橋2-8-6 住友不動産日比谷ビル7F
独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構 御中
異議申立人
郵便番号 379-0114
住 所 群馬県安中市野殿980
氏 名 市政をひらく安中市民の会
小川 賢 (60歳)
連絡先 TEL:027-382-0468
独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(以下「法」という)第18条及び行政不服審査法第45条の規定に基づき、次のとおり法人文書不開示決定に対して異議申立を行います。
1.異議申立に係る処分:
貴機構が異議申立人に対して、平成24年12月25日付(総総第119号)で行った「平成20年(2008年)8月3日早朝、首都高速道路5号池袋線熊野町ジヤンクション付近の下り線で、荷主である出光興産㈱(東京都千代田区)のマークをつけ、元請業者であるホクブトランスポート㈱(高崎市)の下請業者である多胡運輸㈱(高崎市)(以上まとめて「利用者」という)のタンクローリーが横転して炎上した事故で、道路管理者の首都高速道路株式会社が被った損害について、①法令により道路管理者の権限を代行する責機構が、当該利用者の過失で損傷又は汚損により必要を生じた道路に関する工事又は道路の維持の施行を利用者に命じた経緯を示す文書、及び、②利用者の過失により道路管理者の首都高速道路株式会社が被った損害の賠償に関して貴機構が作成もしくは入手した情報のうち、平成20年度以降の法人文書ファイル管理簿に掲げられている次の情報。ただし、いずれも関係情報記載部分のみ。なお、2011年7月に利用者を相手取って首都高速道路株式会社が計約34億5千万円の損害賠償を求め、東京地裁に提訴した事件にかかる情報も含む。
(1)役員会の議事録
(2)監事監査関係
(3)記者発表
(4)特殊車輛通行受理・許可一覧
(5)特殊車輛通行許可番号
(6)争議関係
(7)警告書等
(8)措置命令書管理簿
(9)措置命令書(控)等
(10)原因者負担督促状(控)等
(11)債務引受契約書
(12)道路資産の現地確認関係
(13)その他、もしあれば」
の情報(以下「本件情報」という)に関して為した不開示決定処分(以下「本件処分」という)。
2.異議申立に係る処分があったことを知った年月日:平成24年12月26日
3.異議申立の趣旨:
本件処分は、法及び行政不服審査法を不当に解釈し運用されたものであり、本件処分の取り消しを求めます。
4.異議申立の理由:
(1)異議申立人は日本国民として貴機構の法人文書の開示を求める権利を有しています。
(2)貴機構は、「(10)原因者負担督促状(控)」の存否を明らかにせず、2011年7月に首都高が事故の原因者らを相手取り東京地裁に提起した損害賠償請求事件関連情報を含む「その他」情報について不存在としましたが、実際に貴機構が作成ないし受理した書類であるので、次の理由により本件情報は公にすることが必要と考えます。
①法第5条2号イに非該当:貴機構は「公にすることにより、当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある不開示情報である」と判断しているが、同号ただし書きに定めるとおり、本件情報は「人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要である」との比較考量の上、判断されなければならない。
この場合の“当該法人”とは、首都高速道路株式会社を指すのか、それとも事故原因者らである出光興産・ホクブトランスポート・多胡運輸を指すのか判然としないが、いずれの場合でも、異議申立人としては、当該情報を公にすることにより保護される一般利用者の生活又は財産の利益のほうが、これを公にしないことにより保護される当該法人の権利利益よりも、利益を保護する必要性が上回ると考えている。なぜなら、この情報を公にしないと、一般利用者(当該事故により影響を受けた不特定多数の一般個人及び一般法人)に事故の損害の負担が利用料金に転嫁される蓋然性が高くなるからである。
また、多大な直接損害を首都高に与え、さらに多大な間接損害を一般利用者に与えた事故の原因者に関する情報を公にした場合でも、事故原因者の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれは皆無ないし、あったとしても僅少であると考えられる。
本件情報を公にすることにより当該法人の首都高速道路株式会社は、一般利用者が懸念している事故の損害の負担が利用料金に転嫁される蓋然性の懸念を相当な範囲で払拭することが可能となる、と異議申立人は考えている。また当該法人の出光興産・ホクブトランスポート・多胡運輸は、首都高に与えた損害を負担したかどうかを知らしめることで、一般利用者に対する責任の一端が果たせることになると考えている。
また、本件情報を公にすることにより当該法人等の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるかどうかに関して、それぞれのキーワードの観点から考察してみる。
まず、“権利”については、当該法人の財産権を指すと考えられるが、本件情報を公にしても、首都高はもとより原因者ら出光興産・ホクブトランスポート・多胡運輸の財産権を侵害することはない。
次に、“競争上の地位”については、該当法人の公正な競争関係における地位を指すと考えられるが、本件情報を公にしても、首都高はもとより原因者らの公正な競争関係における地位が侵害されることはなく、むしろ、今後同様な事故をその他一般利用者が起こした場合の対処の指針が公にされることから公正な競争に資することになる。
次の“その他正当な利益”についても、本件情報を公にすることが、今後、類似事故が発生した場合、関係者の対処方針におけるノウハウ、信用等、関係者の運営上の地位の保護や保全に資することになる。
最後に“害するおそれ”があるかどうかの判断に当たっては、原因者らが事故後、これまで一度も正式な記者会見をしたことがなく、ホームページでの事故の経緯や謝罪の公表もないことから、原因者らへの世間の批判には厳しいものがある。むしろ、貴機構が本件情報を積極的に公にすることで、そうした原因者らへの批判等が軽減できるようになると考えられる。また、原因者らにとって、憲法上、守られるべき権利の保護の必要性は特に見当たらず、原因者らと貴機構との関係等で十分考慮しなければならない必要性も見当たらない。
以上のことから、本件情報が公開されることで、損害を原因者負担としたかどうかの経緯が判然とすることになり、一般利用者の生活と財産の保護に資する結果がもたらされる。
②法第8条に非該当:本件情報にかかる文書の存否を明らかにするためにも、請求拒否はできない。
(3)よって、本件処分を取り消し、全面開示を求めます。
処分庁の教示の有無及びその内容:平成24年12月25日付総総第119号の法人文書不開示決定通知書により、「この決定に不服がある場合には、法18条及び行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第45条の規定により、この決定があったことを知った日の翌日から起算して60日以内に、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構に対して異議申立てをすることができます」と通知されました。 以 上
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■この異議申立ての取扱いは日本高速道路保有・債務返済機構の対応に委ねたいと思いますが、機構が当会の情報開示請求に対して、不開示を決断した背景と思しき情報が、先月12月14日付で株式会社物流産業新聞社が毎週月曜日に発行している「物流ウィークリー」に掲載されていました。http://weekly-net.jp/2012/12/post-1534.html
この情報誌は、ブランケット判14-36ページ(特別号は臨時増ページ)の全国ネットの物流・運送・ロジスティクス業界の総合専門紙で、運送業界から流通業界までのあらゆる最新情報を網羅しています。トラック運送からSCMまで、実運送とロジスティクス、マテハン、RFIDに関する情報を総合的に報道しています。末週月曜発行で、発行部数は16万5,000部とされ、読者層は、物流関連企業(陸運・倉庫・鉄道貨物・海運・航空貨物)のトップ及び管理者層、ロジスティクス関連企業、トラックメーカー、 マテハンメーカー、物流商社、荷主企業(物流担当者)、物流コンサルタント、関係団体、関係官公庁、大学・研究機関、 調査団体、経営コンサルタント、ISO審査機関・ISOコンサルタント、その他にわたり、購読地域は全国一円を対象にしています。
それでは、この情報誌の記事を見てみましょう。
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関交協に突然賠償請求 高速道路保有・債務返済機構
【事故】2012年12月14日 13:19
08年8月、ガソリンを積んだ大型トレーラが首都高で横転、炎上するという事故が起こった。道路がトロトロに溶けるという日本の高速道路史上、未経験の大火災事故だった。4年以上経った今も、事故を起こした多胡運輸(群馬県高崎市)と首都高速道路会社との間で裁判は続いているが、多胡運輸が加入する関東交通共済協同組合(大高一夫理事長)に、今年に入って突然、日本高速道路保有・債務返済機構から損害賠償の請求が届いていたことが本紙の取材で分かった。関交協が支払えるのは危険物特約として再共済を利用した10億円が限度。「それをはるかに上回る金額」の要求に関係者は戸惑っている。
全面復旧までに2か月以上かかり、市民の生活から首都圏経済まで大打撃を与えた事故を起こした多胡運輸は保有車両30台。直荷主の出光興産から元請けのH運送(当会注:ホクブトランスポート)を経由して仕事をする、いわゆる下請け業者だ。事故の2か月後、関東運輸局は同社に対し車両5台を55日間使用停止とする行政処分を行った。さらに特別監査の結果、運転者に対する指導監督違反など8項目の法律違反が判明。追加の車両停止処分と運行管理者資格者証の返納命令を発出している。
当初、被害総額は復旧工事費20億円、通行止めに伴う通行料金の逸失利益25億円の計45億円と噂されたが、9か月後に首都高速が関交協に示した「損害見積もり」は、復旧費用17億円、営業損害15億6000万円の計32億6000万円だった。その頃、関交協には、東京都建設局(排水システム被害ほか)、東京ケーブルテレビジョン(配線ケーブル全焼)、隣接するマンション(外壁被害)など首都高速以外の各方面からの損害賠償が出そろったが、現在、2次被害も含めて「ほぼ片付いた」という。
未解決なのが首都高速に対する損害賠償。多胡運輸との裁判がいまだに続いており、損害賠償額は決定していない。そこに機構からの請求書。関交協は「まだ被害総額も確定せず、当事者の賠償額も決まっていないのに訳が分からない」と困惑。確かに民営化に際して採用された「上下分離方式」では「下」の部分、つまり道路施設は機構の所有物で、損害賠償を請求できる立場といえるが、裁判には現在も参加しておらず「突然、一方的に」加害者の保険会社に文書が送られてきた格好だ。
首都高速に「今後、どう対応するのか」聞いてみたが、「ノーコメント」。膠着状態が続く炎上事故の裁判が、複雑な様相を見せ始めた。(土居忠幸)
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■この記事によれば、多胡運輸が加入するトラック協会を通じて保険を付保していた先の、関東交通共済協同組合が、保険金を支払うと思われていましたが、あまりにも巨額な補償金のため、カバーし切れなかったという経緯がはっきりしたことになります。
また、多胡運輸と首都高の間の訴訟が泥沼化していること、そして、機構は首都高に訴訟参加していないことも判明しました。さらに、損害額さえ未確定であるという状況は、やはり当会が懸念した通り、多胡運輸の経営者の実兄が、17年前に安中市で起こした土地開発公社巨額横領事件のその後の異常な経緯をたどったことに照らしても、おそらく、真相は闇に葬られるのではないかという当会の予測がほぼ正しいことを示しています。
恐るべしは、タゴ兄弟。兄は51億円という公金を15年間にわたって弄んだ挙句に安中市民に103年ローンという負の遺産で尻拭いを課し、弟は首都高と機構にたいして、最大45億円の損害を与えた挙句、事故後4年5カ月を経過してもなお、いまだに事故に対する謝罪の記者会見もせず、社名を変更して相変わらずLPガスを運搬する事業を営んでいます。
物流業界の専門誌が、首都高速に対して「今後、どう対応するのか」と質問しても、「ノーコメント」としか回答して来ないほど、タゴ兄弟の絡む事件・事故は常識を遥かに超えた異常なことだらけです。
機構に提出した異議申立てに対して、どのような回答が為されるのか、予断は許されませんが、当会としても、安中市土地開発公社を舞台に17年前発覚した史上空前絶後の巨額横領事件の真相解明に、何らかの参考になると思われるため、この多胡運輸の首都高ローリー横転炎上事故の顛末を注視し、なぜこのような異常な展開をたどっているのか、その理由と背景の解明に向けて、微力ながら最大限の努力を今年もしていきたいと思います。
【ひらく会情報部】
この事故を巡り、当会は、なんど情報開示請求をしても梨のつぶての首都高に見切りをつけて、昨年12月に、首都高のお目付け役である上部組織の独立行政法人・日本高速道路保有・債務返済機構に対して事故や裁判に関する情報の開示を要請していましたが、やはり首都高の時と同様に不開示となりました。そこで、新年早々、1月4日付けで、機構に対して次の異議申立てを提出しました。
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異議申立書
平成25年1月4日
〒105-0003東京都港区西新橋2-8-6 住友不動産日比谷ビル7F
独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構 御中
異議申立人
郵便番号 379-0114
住 所 群馬県安中市野殿980
氏 名 市政をひらく安中市民の会
小川 賢 (60歳)
連絡先 TEL:027-382-0468
独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(以下「法」という)第18条及び行政不服審査法第45条の規定に基づき、次のとおり法人文書不開示決定に対して異議申立を行います。
1.異議申立に係る処分:
貴機構が異議申立人に対して、平成24年12月25日付(総総第119号)で行った「平成20年(2008年)8月3日早朝、首都高速道路5号池袋線熊野町ジヤンクション付近の下り線で、荷主である出光興産㈱(東京都千代田区)のマークをつけ、元請業者であるホクブトランスポート㈱(高崎市)の下請業者である多胡運輸㈱(高崎市)(以上まとめて「利用者」という)のタンクローリーが横転して炎上した事故で、道路管理者の首都高速道路株式会社が被った損害について、①法令により道路管理者の権限を代行する責機構が、当該利用者の過失で損傷又は汚損により必要を生じた道路に関する工事又は道路の維持の施行を利用者に命じた経緯を示す文書、及び、②利用者の過失により道路管理者の首都高速道路株式会社が被った損害の賠償に関して貴機構が作成もしくは入手した情報のうち、平成20年度以降の法人文書ファイル管理簿に掲げられている次の情報。ただし、いずれも関係情報記載部分のみ。なお、2011年7月に利用者を相手取って首都高速道路株式会社が計約34億5千万円の損害賠償を求め、東京地裁に提訴した事件にかかる情報も含む。
(1)役員会の議事録
(2)監事監査関係
(3)記者発表
(4)特殊車輛通行受理・許可一覧
(5)特殊車輛通行許可番号
(6)争議関係
(7)警告書等
(8)措置命令書管理簿
(9)措置命令書(控)等
(10)原因者負担督促状(控)等
(11)債務引受契約書
(12)道路資産の現地確認関係
(13)その他、もしあれば」
の情報(以下「本件情報」という)に関して為した不開示決定処分(以下「本件処分」という)。
2.異議申立に係る処分があったことを知った年月日:平成24年12月26日
3.異議申立の趣旨:
本件処分は、法及び行政不服審査法を不当に解釈し運用されたものであり、本件処分の取り消しを求めます。
4.異議申立の理由:
(1)異議申立人は日本国民として貴機構の法人文書の開示を求める権利を有しています。
(2)貴機構は、「(10)原因者負担督促状(控)」の存否を明らかにせず、2011年7月に首都高が事故の原因者らを相手取り東京地裁に提起した損害賠償請求事件関連情報を含む「その他」情報について不存在としましたが、実際に貴機構が作成ないし受理した書類であるので、次の理由により本件情報は公にすることが必要と考えます。
①法第5条2号イに非該当:貴機構は「公にすることにより、当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある不開示情報である」と判断しているが、同号ただし書きに定めるとおり、本件情報は「人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要である」との比較考量の上、判断されなければならない。
この場合の“当該法人”とは、首都高速道路株式会社を指すのか、それとも事故原因者らである出光興産・ホクブトランスポート・多胡運輸を指すのか判然としないが、いずれの場合でも、異議申立人としては、当該情報を公にすることにより保護される一般利用者の生活又は財産の利益のほうが、これを公にしないことにより保護される当該法人の権利利益よりも、利益を保護する必要性が上回ると考えている。なぜなら、この情報を公にしないと、一般利用者(当該事故により影響を受けた不特定多数の一般個人及び一般法人)に事故の損害の負担が利用料金に転嫁される蓋然性が高くなるからである。
また、多大な直接損害を首都高に与え、さらに多大な間接損害を一般利用者に与えた事故の原因者に関する情報を公にした場合でも、事故原因者の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれは皆無ないし、あったとしても僅少であると考えられる。
本件情報を公にすることにより当該法人の首都高速道路株式会社は、一般利用者が懸念している事故の損害の負担が利用料金に転嫁される蓋然性の懸念を相当な範囲で払拭することが可能となる、と異議申立人は考えている。また当該法人の出光興産・ホクブトランスポート・多胡運輸は、首都高に与えた損害を負担したかどうかを知らしめることで、一般利用者に対する責任の一端が果たせることになると考えている。
また、本件情報を公にすることにより当該法人等の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるかどうかに関して、それぞれのキーワードの観点から考察してみる。
まず、“権利”については、当該法人の財産権を指すと考えられるが、本件情報を公にしても、首都高はもとより原因者ら出光興産・ホクブトランスポート・多胡運輸の財産権を侵害することはない。
次に、“競争上の地位”については、該当法人の公正な競争関係における地位を指すと考えられるが、本件情報を公にしても、首都高はもとより原因者らの公正な競争関係における地位が侵害されることはなく、むしろ、今後同様な事故をその他一般利用者が起こした場合の対処の指針が公にされることから公正な競争に資することになる。
次の“その他正当な利益”についても、本件情報を公にすることが、今後、類似事故が発生した場合、関係者の対処方針におけるノウハウ、信用等、関係者の運営上の地位の保護や保全に資することになる。
最後に“害するおそれ”があるかどうかの判断に当たっては、原因者らが事故後、これまで一度も正式な記者会見をしたことがなく、ホームページでの事故の経緯や謝罪の公表もないことから、原因者らへの世間の批判には厳しいものがある。むしろ、貴機構が本件情報を積極的に公にすることで、そうした原因者らへの批判等が軽減できるようになると考えられる。また、原因者らにとって、憲法上、守られるべき権利の保護の必要性は特に見当たらず、原因者らと貴機構との関係等で十分考慮しなければならない必要性も見当たらない。
以上のことから、本件情報が公開されることで、損害を原因者負担としたかどうかの経緯が判然とすることになり、一般利用者の生活と財産の保護に資する結果がもたらされる。
②法第8条に非該当:本件情報にかかる文書の存否を明らかにするためにも、請求拒否はできない。
(3)よって、本件処分を取り消し、全面開示を求めます。
処分庁の教示の有無及びその内容:平成24年12月25日付総総第119号の法人文書不開示決定通知書により、「この決定に不服がある場合には、法18条及び行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第45条の規定により、この決定があったことを知った日の翌日から起算して60日以内に、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構に対して異議申立てをすることができます」と通知されました。 以 上
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■この異議申立ての取扱いは日本高速道路保有・債務返済機構の対応に委ねたいと思いますが、機構が当会の情報開示請求に対して、不開示を決断した背景と思しき情報が、先月12月14日付で株式会社物流産業新聞社が毎週月曜日に発行している「物流ウィークリー」に掲載されていました。http://weekly-net.jp/2012/12/post-1534.html
この情報誌は、ブランケット判14-36ページ(特別号は臨時増ページ)の全国ネットの物流・運送・ロジスティクス業界の総合専門紙で、運送業界から流通業界までのあらゆる最新情報を網羅しています。トラック運送からSCMまで、実運送とロジスティクス、マテハン、RFIDに関する情報を総合的に報道しています。末週月曜発行で、発行部数は16万5,000部とされ、読者層は、物流関連企業(陸運・倉庫・鉄道貨物・海運・航空貨物)のトップ及び管理者層、ロジスティクス関連企業、トラックメーカー、 マテハンメーカー、物流商社、荷主企業(物流担当者)、物流コンサルタント、関係団体、関係官公庁、大学・研究機関、 調査団体、経営コンサルタント、ISO審査機関・ISOコンサルタント、その他にわたり、購読地域は全国一円を対象にしています。
それでは、この情報誌の記事を見てみましょう。
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関交協に突然賠償請求 高速道路保有・債務返済機構
【事故】2012年12月14日 13:19
08年8月、ガソリンを積んだ大型トレーラが首都高で横転、炎上するという事故が起こった。道路がトロトロに溶けるという日本の高速道路史上、未経験の大火災事故だった。4年以上経った今も、事故を起こした多胡運輸(群馬県高崎市)と首都高速道路会社との間で裁判は続いているが、多胡運輸が加入する関東交通共済協同組合(大高一夫理事長)に、今年に入って突然、日本高速道路保有・債務返済機構から損害賠償の請求が届いていたことが本紙の取材で分かった。関交協が支払えるのは危険物特約として再共済を利用した10億円が限度。「それをはるかに上回る金額」の要求に関係者は戸惑っている。
全面復旧までに2か月以上かかり、市民の生活から首都圏経済まで大打撃を与えた事故を起こした多胡運輸は保有車両30台。直荷主の出光興産から元請けのH運送(当会注:ホクブトランスポート)を経由して仕事をする、いわゆる下請け業者だ。事故の2か月後、関東運輸局は同社に対し車両5台を55日間使用停止とする行政処分を行った。さらに特別監査の結果、運転者に対する指導監督違反など8項目の法律違反が判明。追加の車両停止処分と運行管理者資格者証の返納命令を発出している。
当初、被害総額は復旧工事費20億円、通行止めに伴う通行料金の逸失利益25億円の計45億円と噂されたが、9か月後に首都高速が関交協に示した「損害見積もり」は、復旧費用17億円、営業損害15億6000万円の計32億6000万円だった。その頃、関交協には、東京都建設局(排水システム被害ほか)、東京ケーブルテレビジョン(配線ケーブル全焼)、隣接するマンション(外壁被害)など首都高速以外の各方面からの損害賠償が出そろったが、現在、2次被害も含めて「ほぼ片付いた」という。
未解決なのが首都高速に対する損害賠償。多胡運輸との裁判がいまだに続いており、損害賠償額は決定していない。そこに機構からの請求書。関交協は「まだ被害総額も確定せず、当事者の賠償額も決まっていないのに訳が分からない」と困惑。確かに民営化に際して採用された「上下分離方式」では「下」の部分、つまり道路施設は機構の所有物で、損害賠償を請求できる立場といえるが、裁判には現在も参加しておらず「突然、一方的に」加害者の保険会社に文書が送られてきた格好だ。
首都高速に「今後、どう対応するのか」聞いてみたが、「ノーコメント」。膠着状態が続く炎上事故の裁判が、複雑な様相を見せ始めた。(土居忠幸)
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■この記事によれば、多胡運輸が加入するトラック協会を通じて保険を付保していた先の、関東交通共済協同組合が、保険金を支払うと思われていましたが、あまりにも巨額な補償金のため、カバーし切れなかったという経緯がはっきりしたことになります。
また、多胡運輸と首都高の間の訴訟が泥沼化していること、そして、機構は首都高に訴訟参加していないことも判明しました。さらに、損害額さえ未確定であるという状況は、やはり当会が懸念した通り、多胡運輸の経営者の実兄が、17年前に安中市で起こした土地開発公社巨額横領事件のその後の異常な経緯をたどったことに照らしても、おそらく、真相は闇に葬られるのではないかという当会の予測がほぼ正しいことを示しています。
恐るべしは、タゴ兄弟。兄は51億円という公金を15年間にわたって弄んだ挙句に安中市民に103年ローンという負の遺産で尻拭いを課し、弟は首都高と機構にたいして、最大45億円の損害を与えた挙句、事故後4年5カ月を経過してもなお、いまだに事故に対する謝罪の記者会見もせず、社名を変更して相変わらずLPガスを運搬する事業を営んでいます。
物流業界の専門誌が、首都高速に対して「今後、どう対応するのか」と質問しても、「ノーコメント」としか回答して来ないほど、タゴ兄弟の絡む事件・事故は常識を遥かに超えた異常なことだらけです。
機構に提出した異議申立てに対して、どのような回答が為されるのか、予断は許されませんが、当会としても、安中市土地開発公社を舞台に17年前発覚した史上空前絶後の巨額横領事件の真相解明に、何らかの参考になると思われるため、この多胡運輸の首都高ローリー横転炎上事故の顛末を注視し、なぜこのような異常な展開をたどっているのか、その理由と背景の解明に向けて、微力ながら最大限の努力を今年もしていきたいと思います。
【ひらく会情報部】
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