市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

タゴ事件発覚から18周年・・・地方自治体史上最高額の横領事件に安中市民はどう対処したか(会報1号)

2013-05-18 22:09:00 | 安中市土地開発公社事件クロニクル
■平成7年5月18日に、安中市役所の西庁舎の2階にあった都市計画課に同居していた安中市土地開発公社で、大変な事件が発覚していました。公社の特別口座と称する裏口座が群銀に開設されており、そこに群銀からの巨額の借入金が長年にわたり振込まれていたことが明らかになったのでした。そこから、驚愕の史上空前の巨額詐欺横領事件が幕開きしたのでした。筆者は非公式に、巨額詐欺横領事件の発生について、5月末の時点で「大変な事態が市役所内で起きている。損害は10億円を超えそうだ」という情報を得ていました。しかし、一般市民が事件のことを知ったのは6月3日の新聞報道からでした。それまでの17日間に、安中市役所内では、東京から呼び寄せた弁護士をはじめ、群馬県内の警察に影響力を持つ弁護士らによるアドバイスで、証拠隠滅作業が、市民への公表までにどのようにしてこの事件の真相を隠すか、について、夜遅くまで水面下の協議が続いたのでした。

安中市北野殿地区の見晴らしの良い場所にある小川勝寿・元市長の豪華な墓。タゴ事件の関係者はなぜかこのように豪華な資産を残すものが多いのも特徴。小川元市長は、事件の真相を語らないまま平成19年8月2日80歳でこの世を去ってしまったが、史上空前の横領事件であと89年間続く公社の群銀への超長期ローンという重荷をこの世に残してしまった。なお、平成5年8月4日に若干42歳の若さで逝去した子息の一世氏も一緒に永眠されている。

 平成7年6月3日の新聞報道で事件を知った安中市民は仰天しました。そして、直ちに市民の間で、事件の真相を明らかにしようと有志が集い、その流れは日に日に大きくなりました。そして、6月10日に市政をただす緊急市民の会が開かれ、6月14日に対策会議で活動方針が決まり、月17日にはじめて「市政をただす安中市民の会」が正式に発足しました。そこで、会として会報を発行することが決まり、平成7年6月18日に記念すべき「会報1号」が発行されたのでした。

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■市政をただす安中市民の会 会報1号
事務局 関口八郎(85-6338)白石一郎(81-1704) 発行日 平成7年6月18日

 「市政をただす安中市民の会」の初会合開く

6月17日(土)19:30から安中中央公民館で80名の市民が集まり、今回の安中市土地開発公社の37億円事件を起こした小川勝寿市長の責任を追求したいとする市民の怒りの声が渦巻いた集会は10時過ぎまで続いた。

初会合では次のようなことが話し合われた。まず、これまでの経緯について事務局から報告があった。
(1)6月10日(土)の「市政をただす緊急市民の会」の報告
(2)6月14日(水)の安中市議会一般質間の傍聴報告
(3)6月14日早朝に死去した故吉田洋氏に関する事情報告
(4)本会設立の趣旨と経緯報告(6月9日に急速発案。10日の市民集会と、14日午前の議会傍聴を踏まえ、14日午後1時から議会を傍聴した市民らが集まり、対策会議を開き、本日の初会合開催を決定)

次に、6月14日の市議会傍聴後の対策会議で出た次の方針について、提案が出された。
(1)小川市長あて公開質問状(市長に、なぜこうした前代未聞の不祥事が起きたのか?発生原因、責任の取り方について質問状を6月19日月曜日に提出し、6月25日午後5時までに回答を求める)
(2)広上議長あて要求書(議会に100条委員会を直ちに設置して、事件の関係者の証人の出頭や、証言や証拠の提出を求め、徹底的に真相を解明し、その結果を市民の前で速やかに公表することを求める)
(3)県知事あて公文書開示請求書(安中市土地開発公社に開する事業報告書や財産目録等の公文書が毎年度、市長から知事に提出されており、この資料の開示を求める)

この後、参加市民から自由に意見を発表してもらったところ市政(市長、議会、市職員)に対する怒り、不満の声が次々にあがった。主な意見を順不同で列挙してみると、
*市政がちゃんとしておれば納得して納税するが、このような事件で37億円もの気の遠くなるような大金をなぜ私たち市民が尻拭いさせられるのか。もう税金は払いたくない!
*今度の事件で新聞や雑誌、テレビで日本中の恥さらしになった。私は市役所前で座りこみでも何でもやります!
*市議会では事件調査のための特別委員会をつくるといっているが、本気で真相解明する気のない無用の長物だ。これ以上税金のムダ遣いをさせるな!
*市3役は半年減給処分すると言って責任をとったつもりでいるが、3人で462万円しかならない。多胡容疑者は現時点で37億円の損害を市に与えていることを全く認識していない。いい加減な責任の取り方でごまかすな! 即刻辞職すべきだ!
*それでは足りない!市の職員も責任を自覚してボーナスゼロにすべきではないか!
*事件に関係した都市計画課以外の市の職員などは「他の課の事件で、自分の課でなくてよかった」と言っている始末。ことの重大性を分かっていない職員が多すぎる!
*民間ではリストラで苦しんでおり、血のにじむような腎ねを強いられているのに、市の職員がノーテンキでいられるのは変だ!
*コネによる市への就職がまかり通り、市役所に夫婦共稼ぎで定年後は悠々恩給生活などの話を聞く度に腹が立つ!
*既に、吉田洋氏の死去を今回の事件と絡めたデマが安中や松井田で流され始めている。これからもっとひどいデマや中傷や邪魔が入る可能性がある、市民一人一人が真実を見極める眼を持たなければならない!
*市長に質問状を出すだけでなく、市民から個々に選ばれた議員に対しても、各自の政治責任を問うべきだ!
*初めて議会を傍聴した。傍聴規則に大声を出すなと書いてあったので、遠慮してしまったが、あのような議会のていたらくでは大声をあげて抗議すればよかった!
*こうした事件を発生させた原因は、市議会の責任も大きい!
*市議会の一般質問で、小川市長が5月21日の日曜日に太平洋クラブ軽井沢コースで多胡容疑者らとゴルフをして遊んでいたことを指摘されたにも関わらず、市長は「プライベートなこと。議会でそういう答弁を求められるのは心外だ」と発言したのは、無責任な態度でけしからん!
*一般質問で質問した原田市議が土地開発公社の公印管理のずさんさを「めくら判」と表したところ、しばらくしてから半田市議が「先程の質問の中で差別発言があり、身障者への配慮にかける」とイチャモンをつけた。議員として資質に問題がある!
*そんなのはまだましで、半田市議がケチをつけたとき市長派の市民クラブ所属の議員らを観察していたら呆れ果てた。早川市議は手をたたいてはやし、澤市議も横山市議もニンマリとご満悦の表情だった!
*小西市議などは議事のテーマだけ手帳にメモを取った後はそっくりかえっていた!
*その国の民度は政治家のレベルに反映されるという西洋の格言がある。私も傍聴していたが、あの程度の市議だから安中市のレベルも推し量られる。そうした市議を選んでしまった我々市民も低レベルということだ。今こそこうした実態を打ち破らねばならない!
*安中市民はこれまでおとなしすぎた。今回もどうせそのうちに市民はおとなしくなると、市側ではたかをくくっている。一人一人の市民が立ち上がらねばならない時機と思う。さもないと、安中はいつまでも遅れたままだ!

最後に今後の方針について議論された。
■再度、この事件に関する市当局の責任をただす市民大集会の開催が必要。(次回討議)
■今回の大事件について本会としての統一呼称が必要なのでは。(次回討論)
■会の活動には資金が必要。ぜひカンパしたい。(次回からカンパ箱を用意)
■市議への緊急アンケートが有効。(たたき台を作成し次回討議する)
■市民ネットワークづくりが必要。(本日参加市民を核に連絡網を確立してゆく)
■ハンスト座りこみの実行が有効。(多くの人から参加要望あり。次回会合で手順を決定)

次回会合予定日 6月24日(土)午後 於:安中市教会隣の教育館
※故吉田洋氏の葬式(13時から安中教会)後、隣の教育館で開催

〔市民情報コーナー〕※今回の事件やそれを許したノーテンキの市政や市議会に関する情報を集めています。どんなことでも遠慮なく事務局へ!
今回の37億円事件に関連して、次のような情報が参加した市民から寄せられた。
*磯部地区で「多胡容疑者の事件を苦に吉田洋氏が自殺した.という噂が流されている。
*6月15日に市議会一般質問の休憩の際、トイレでY議員が「吉田洋氏は自殺したのだろうjという趣旨の発言を他の議員にしていた。
*市長は今回の事件が発覚すると東京から弁護士をさっそく雇った。弁護費用は長期にわたると予想され2億円とも3億円とも言われるが、取りあえず弁護士への着手金として1000万円を、土地開発公社に支出させた。
*市内に「小川勝寿命長を励ます会」という名で「小川市長を擁護する嘆願書」という怪文書がまわりはじめ何も知らされていない市民からの署名を集めている。
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市民は怒っている! 市長は辞めて責任取れ!
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公社37億円横領事件を報じた週刊誌とその見出し
●週間文春6月22日号  「安中市予算の5分の1を着服した男」
●週間新潮6月22日号  安中市「37億円」横領男を見抜けなかった世にも不思議
●FOCUS6月21日号 群馬の田舎で37億円着服市職員の金の使い途

この会報に対する賛否のご意見は実名でお聞かせ下さい。紙面上の匿名は希望に応じます。

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■B4サイズに横書きで2列で記載された会報1号は片面だけで裏面は白紙でしたが、今読み返すと本当に当時の様子が生き生きと蘇ってきます。

 会報は、その後、緊急の安中市長選を挟み、その年の12月11日の22号まで発行され続けました。

当会の前身の市政をただす安中市民の会が発行した会報を綴った本の表紙。「ただす」という字には、「質す」「糾す」「正す」がある。これらの漢字を行動の順番に並べたものを表紙の題字として使用した。なお、この他に「匡す」という漢字がある。

【ひらく会情報部・タゴ51億円事件18周年記念調査班】

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