■それでは被告の反論のベースとなった原告の準備書面と求釈明に照らし合せて、前橋市の言い分を検証しましょう。
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第1 平成31年3月8日付け原告準備書面(1)に対する認否
第1 請求1について<不正その③>
このときの不正は、平成29年6月18日でこの日は前橋地域づくりフェスタが開催された。小島美帆は配偶者と子供と参加した。その様子は南橘公民館の職員が目撃していた。家族連れで参加しているにも関わらず、時間外勤務手当が「10:00~12:00」分が支給されており、これは不倫相手の石田健一が任命権者として、小島美帆に対して、実態を確認しないまま印を暴捺したことによるものである。
(1) 第1段落
平成29年6月18日に地域づくりフェスタが開催されたこと,小島美帆(以下,「訴外小島」という。)が同フェスタに配偶者と子どもと参加したこと,及び訴外小島に対して同日午前10時から正午までの2時間分の時間外手当が支給されたことはいずれも認め,訴外小島の様子を南橘公民館職員が目撃していたことは不知,その余は否認する。
小島美帆は、この地域づくりフェスタの担当者ではなく、わざわざ休日出勤をする必要もない事は明らかであるので、誰がみても不自然な出勤であった。
(2) 第2段落
訴外小島が地域づくりフェスタの担当者でなかったこと及び訴外小島の出勤が休日出勤であったことはいずれも認め,評価は争う。
本来の担当者は石田健一と出勤しており、南橘公民館の職員からも「なぜ、担当者が出勤しているのに、担当者以外が休日出勤をして時間外勤務手当を受給するのだ?」との声も上がった。
(3) 第3段落
地域づくりフェスタの担当者が石田健一(以下,「訴外石田」という。)とともに出勤していたことは認め,その余は不知。
こうした不自然で不適切な時間外勤務手当の不正承認は、小島にとって直接の任命権者である石田と、その不倫関係にあった小島美帆との間で頻繁に行われており、本件請求1もそのひとつであった。この背景には、石田健一が小島美帆との不倫関係を維持したいとする強い意図の存在があり、他方、小島美帆も、館長であり不倫相手として行為(ママ、好意)を寄せていた石田の不正承認を当然視したと推認される。
(4) 第4段落
否認ないし争う。
したがって、本件は石田・小島両名による共同不正行為であり、小島の時間外勤務手当の返還に加え、遅延損害金として、不法行為者の両名に対し、手当の支給日からの支払済みに至るまで年5分の割合による金員をそれぞれ等分した金額の賠償を求めるべきである。
(5) 第5段落
争う。
被告は第2準備書面で「小島氏が悪意の受益者でないこと」として「1 小島氏は,自ら「時間外手当等命令簿」(乙11)に必要事項を記入して時間外手当を申請し」としているが、確認印の欄も所属長の欄も「石田」の押印であり、第3者によるチェックが為されていない。
(6) 第6段落
訴外小島が,時間外勤務命令簿(乙11)に自ら必要事項を記入したこと,及び同書面の確認印及び所属長の欄の押印が訴外石田のものであることはいずれも認め,その余は否認する。
さらに被告は「小島が善意の受益者である」として、その根拠として「小島が業務と認識していた」ことを挙げ、さらに「前橋市監査委員が,小島氏が地域づくりフェスタに参加したことについて労働時間にあたらないと判断したことは,あくまで前橋市監査委員の事後の判断であり,地域づくりフェスタ参加時及び時間外手当申請時における小島氏の認識とは関係ない」などと主張するが、笑止千万である。事後の判断が間違いであれば、監査委員の存在は不必要ということになり、先日、埼玉県おおみや市でストーカー殺人を起こした職員を雇用していた被告ならではの見解と言える。原告として被告に猛省を促したい。
(7) 第7段落
原告の畢寛独自の見解であり,認否の必要性を認めない。
第2 請求2について<不正その④>
1 石田と小島の不倫行為の発覚から小島の病気休暇・病気休業に至る経緯
石田健一・小島美帆の二人による目に余る秩序を乱す行動そして、公務員として地域行政携わる者としての、品格の欠如や業務不履行に我慢のできなくなった別の職員は、平成29年7月10日(月)夜半、この二人に対して、直接会話で「通常業務をさせてほしい、窓口業務に支障がでている。恋愛ごっこは職場外でやって欲しい。もし変わらないのであれば小島氏の配偶者にも相談する。」とこれ以上職場の規律が乱されないようにすべく懇願した。
すると、翌7月11日(火)の8時25分から始まった朝礼(南橘公民館では「朝会」という)で、石田・小島の両名が職員全員に謝罪をした。
一方、小島美帆の配偶者(夫)の小島幹生も市役所職員であるが、平成29年7月10日(月)の当日の夜、小島美帆は自ら夫に不倫関係の概要を告白したところ、平成29年7月12日(水)午前、小島幹生は、妻との不倫関係を石田に確認するとともに、ほかの職員に謝罪をするため南橘公民館に来館した。
そしてその日の午後、小島美帆本人は、南橘公民館の職員ひとりひとりを呼び出して個別に謝罪したが、その際に「申し訳ありませんでした。明日からまた頑張りますのでよろしくお願いします」と述べていた。
翌7月13日(木)は、小島は午前中のみ休暇をとったが、なぜか、小島の「29年度休暇等承認簿」(乙9号証)にはその事実の記載が見当たらない。
●求釈明1:被告はこのことについて釈明されたい。
2 「第2 請求2について<不正その④>」について
(1) 1項について
ア 第1段落ないし第6段落(求釈明1まで)
不知。なお,求釈明1は,本件訴訟と関係のない事実に関する求釈明であるため,回答しない。
平成29年7月14日(金)に小島は夏季休暇を取り(乙9号証)、自宅近くにある前橋市日吉町三丁目23-1の清王寺クリニックを訪れ、おそらく中尾みな子による診断の結果「適応障害」だとして、同日7月14日(金)から10月13日(金)まで3か月間、「自宅安静療養を要する」との診断書を発行してもらった(乙8号証の1)。
イ 第7段落
認める。
そして、この7月14日付の診断書にメモ書きとして「※本人より提出されたのは7/18であることを確認済。(7/18)」と、中尾みな子と思しき人物と同様の筆跡で追記されていることから、小島美帆は7月18日に再度、清王寺クリニックを訪れたものと推認される。
このことから、小島美帆は、7月12日午後にほかの職員全員に個別に謝罪し、「明日から頑張ります」と言明した舌の根も乾かぬうちに、7月14日(金)に清王寺クリニックを訪れて「当日の7月14日から3か月間、自宅安静療養を要する」とする診断書を書いてもらい、それを石田に提出したことが分かる。
ウ 第8段落
7月14日付けの診断書(乙8の1)に「※本人より提出されたのは,7/1であることを確認済み。(7/18)」との記載があることは認め,その余は否認する。同筆跡は前橋市職員課の職員が,提出年月日を記載したものである。
石田健一が小島美帆からいつどのような場所で診断書を受け取ったのか、正確な日時や場所は当事者でないとわからないが、いずれにしても、石田は7月14日に小島美帆の診断書をもって、被告の本庁に提出しに赴いていたことは南橘公民館の職員にも知られている。
エ 第9段落
訴外小島が謝罪をしたことについては認否の必要性を認めず,その余は,否認する。訴外小島は,診断書を訴外石田に提出していない。
ただし、小島美帆の診断書(乙8号証の1)には、「「7月14日から・・自宅安静療養」とあるにもかわらず、「※本人より提出されたのは7/18であることを確認済。(7/18)」と何者かが追記した形跡は明白である。
この追記した形跡から、7月14日に石田が本庁に提出した診断書では、診断日と病気休暇開始日が同じとなり、不都合であるため、本庁の職員課あたりがアドバイスをして、「三連休明けの7月18日から病気休暇開始日にしたらどうか」などと石田にアドバイスした可能性がうかがえる。
そのため、石田は小島美帆が診断書をもらいに行った7月14日を急遽夏季休暇とし、病気休暇開始日を7月18日にすることで、本庁の職員課の確認をあらかじめ得たうえで、小島美帆の29年度休暇等承認書(乙9号証)の休暇等期間に「29.7.18~29.10.13」と自ら記載し、いつもと異なる印鑑を押印したことがうかがえる。なぜなら、平成29年の休暇等期間の欄に記入されている数字は石田の筆跡であるからである。
また、職員課長の欄が、空欄であるのは不可思議であり、何かを消した痕跡がみられることから、実際には職員課長が押印した経緯があるものの、それがたとえば日付的に不都合が生じたため、急遽消した可能性もある。
そして、小島美帆の診断書に追記された筆跡がクリニックの中尾みな子と同一である場合は、小島美帆から石田がいったん預かった診断書を、小島美帆に戻して、「診断書の提出日が7月18日であることをクリニックに照明してもらってこい」と指示し、そのうえで小島美帆が、クリニックを訪れて追記をしてもらい、あらためて、後付けで石田を経由して本庁の職員課に提出したと考えられる。
他方、小島美帆の診断書に追記された筆跡がクリニックの中尾みな子ではなく、たとえば本庁の職員課であった場合には、石田が7月14日に提出した小島美帆の診断書に、勝手に被告が追記したことになる。
このように、小島美帆の病気休暇の開始にあたっては、不明瞭な経緯がみてとれる。事前になんらかのかたちで小島美帆は、直接の任命権者である石田と病気休暇の相談をし、それを受けたかたちで石田が職員課に対して、不倫相手の小島美帆のために、7月18日(火)から3か月間の自宅安静療養を名目の病気休暇を取得することで話をつけたものとみられる。
そして29年度休暇等承認簿のあと、主務課長の平石が同日押印し、さらに平石が主務部長・都丸の代理印を押印しているが、職員課長の欄には、一見空欄だが、よくみると何か押印された痕跡を消したとみられる汚れがある。
●求釈明2:被告は、小島美帆の診断書の提出と病気休暇を認めた過程、そして、休暇等承認簿の「主務係長・出先機関の長」の欄の違和感のある「石田」の印章と「職員課長」の空欄にみられる不自然な汚れのような痕跡について釈明されたい。
オ 第10段落ないし第19段落(求釈明2まで)
否認する。詳細は被告の主張のとおり。なお,釈明2のうち,訴外小島の診断書の提出,病気休暇承認の過程については,「第3 被告の主張」を確認されたい。また,休暇等承認簿に関する求釈明に関しては,被告が原告に送付した乙9号証の写しに職員課長印が押印されていないように見える,の押は印が経年劣化により薄くなってしまったため,コピーした際に反映されなかったためである。乙第9号証原本には, 職員課長印の押印がある(乙9)。
もうひとつ重大な疑義がある。当日、クリニックへ診察を受けに赴いて、その日に診断書を書いてもらえるのか、ということである。そこで原告は3月6日11:03ごろ、清王寺クリニック(電話027-234-4313)に電話をかけてみた。応対したのは院長の中尾みな子医師ではなかったが、事務方の担当とみられる年増じみた声の女性が電話で対応した。その際、聞き取りによりわかった内容は次の通り。
①前橋市役所には指定医という制度はない。
②したがって、どこの心療内科も、内科でも、外科でも疾病により、ドクターが診断書を書いてくれる。
③当クリニックはもちろん診断書を発行できるが、ただし(医者に)かかっていないとダメ。
④当クリニックの場合、初回で全部検査をする。脳は(ママ、脳波)、血液検査、心電図、心理テスト、さらに必要に応じてそれ以上の検査もすることがある。そのうえで薬が一番の処方となるので、薬も出す。
⑤なので、初回13,000円くらいかかる。また、診断書作成の場合はさらに5,000円をいただいている。だからうちは他と比べて高い。
⑥初回で診断書を出すかどうかは、院長先生との相談次第となる。
●求釈明3:乙8号証の1~3はいずれも清王寺クリニックが発行した診断書のようだが、診断結果を示すデータは添付されていたのかどうか、釈明されたい。
カ 第20段落及び第21段落(求釈明3まで)
不知。なお,求釈明3は,回答する必要性を認めない。
この時点で、診断書の3か月(7月14日~10月13日の91日間)と病気休暇期限の90日との間にタイムラグが生じたため、小島美帆は、自宅安静療養中の10月3日(火)に再びクリニックを訪れ、診断を受け「適応障害のため、引き続き、10月14日(日)~11月13日(月)の1か月間、安静療養を要する」旨の診断書の発行を受けた。そして、この診断書をもって、10月6日(金)に石田に提出したものとみられる。
キ 第22段落
訴外小島が10月3日に清王寺クリニックを受診したこと及び同クリニック中屋みな子医師が同日付の診断書を作成したことはいずれも認め,その余は否認する。訴外小島は, 訴外石田に対して,同診断書を提出していない。
石田は不倫相手の小島の便益を図るため、給料が減額されない90日ぎりぎりまで病気休暇とすべく、診断書とのタイムラグを埋める必要があった。そのため石田は10月6日(金)に、10月14日(土)・15日(日)の両日を病気休暇として認めるため、“主務係長・出先機関の長”として「石田」の押印をした。同日、主務部長・都丸が押印した。主務課長の平石は「後聞」だったため、おそらく後日になって、日付のない押印をした。そして、本庁の職員課長・角田が10月10日に押印をするとともに、なんと手回しよく同日付で、10月16日(月)~11月13日(月)まで29日間の休職命令を市長名で発令した(乙10号証の1)。
ク 第23段落
休暇等承認簿(乙9)に主務部長,主務課長,主務係長・出先機関の長,職員課長の各押印がされていること及び被告が訴外小島に対して,平成29年10月16日から同年11月13日まで休職を命じたことはいずれも認め,その余は否認する。
さらに、小島美帆は前回診断された安静療養期間の期限までまだ14日もあるのに、10月31日にクリニックを訪れて、11月14日(火)から年末の12月31日(日)まで48日間の安静療養の診断を受けた。そして、この診断書に基づいて、上司であり不倫相手の石田の判断で主務課長・主務部長の決裁をとり、職員課長に上程して、11月6日付で市長名の休職延長命令を発令させた(乙10号証の2)。
ケ 第24段落
訴外小島が10月31日に清王寺クリニックを受診したこと,同クリニック中屋みな子医師が同日付の診断書を作成したこと,及び被告が訴外小島に対して,平成29年12月31日まで休職を命じたことはいずれも認め,その余は否認する。
この時、クリニックとしても、適応障害を理由に、すでに4か月も安静療養しているのに、さらに1か月半以上もの期間、安静療養させることはさすがに不都合だと思ったのか、但し書きとして「職場復帰に向けてリハビリの出勤をすることは可能です」と追記した。だが、被告の職員課は躊躇なく年末までの休職を認めてしまった。
●求釈明4:被告はなぜ診断書の但し書きを無視したのか、釈明されたい。
コ 第25段落及び第26段落(求釈明4)
平成29年10月31日付け診断書(乙8の3)に,「但し,職場復帰に向けてリハビリ出勤をすることは可能です」との記載があることは認め,その余は否認する。
詳細は,「第3 被告の主張」のとおりであるが,訴外小島は,平成29年12月1日より,ならし勤務をしている。
そもそも、「適応障害」なる病気は、耐え切れなくなったストレスによってさまざまな症状が起きるとされている。それまで、職場において全くストレスがなったのに、石田との不倫行為がばれただけで、しかも謝罪の後「頑張ります」とほかの職員に言明した小島が、直後に突然、重篤な適応障害に陥ることはありえない。
仮に小島美帆が精神的な安定を欠く事態に陥ったとしても、これは自己の責任によるものであり、言わば、勝手に不倫をした挙句、自らの立場が悪くなったとして病気休暇を取得し、その間給料が支払われることは明らかに不合理であり違法不当である。
さらに驚くべき証言がある。それは病気休職中のはずの小島が元気いっぱいだったという目撃談である。平成29年10月26日に当時南橘公民館の職員だった茂木氏(現・南橘公民館長)が、勤務中にヤマダ電気へ行った際に、元気で散歩中の小島を見かけ、さらに小島からも声をかけられたという。そして、茂木氏が小島に「元気?」と問いかけたところ、「元気です」と小島は返答をしたとのことである。この目撃談は、同日、南橘公民館へ戻ってきた茂木氏が、同公民館職員に話しているが、茂木氏は「驚いたよ。小島さんすごい元気そうだったから」と言ったというから、よほど驚いたに違いない。
加えて仰天ものの情報もある。病気休暇・病気休職中に、小島は■■■の■■もしていたというのである。心身を病み、仕事も出来ない深刻な状況下で、■■■■■■から■■■■■■■■に■■■■いたとすれば違和感はぬぐい切れない。
●求釈明5:被告はこれらの事実を確認しているか。
サ 第27段落ないし第31段落(求釈明5まで)
認否及び求釈明に回答する必要性を認めない。
なお,第30段落の記載は,訴外小島の名誉またはプライバシーを侵害するおそれのある記載であり,原告の訴外小島に対する不法行為となりかねないことを付言する。
被告は小島美帆の「適応障害」の理由を「職場内のハラスメント(いじめ)によるストレス」ということで認識しているかもしれないが、だとすれば、それは事実を故意にすり替えられたものであると言わざるを得ない。なぜなら、職場で「いじめ」を受けていたとする人物とは思えないほど、小島美帆は宴会等においてはしゃいでおり、そうした写真も多数存在する(甲6号証)からである。トータルで5か月半、167日間に及ぶ病気休暇や休職の理由を「いじめ」等のストレスによる「適応障害」にすり替える事で、正当な理由に対して許されるべき病気休暇の取得や病気休職という分限処分がないがしろにされてしまってはならないはずである。
仮に小島が職場でハラスメントをうけたことが原因で心身の障害のひとつである「適応障害」となって職場勤務が無理だと診断され、被告が「病気休暇」を認めたとすると、もうひとつ矛盾点が発生する。それは平成29年7月12日に小島の夫が妻の職場である南橘公民館へわざわざ来て謝罪をした際、小島幹生は、ほかの職員に対し、謝罪に加えて感謝の意を伝えたからである。「皆さまのおかげで妻は石田との不倫に深入りする手前で防げた」という趣旨で「感謝をしたい」と語った(甲7号証)。通常、いじめを受けた職場にその親族が訪問して、職場のほかの職員に感謝の意を伝えるとは、到底考えられない。この点から考えてみても、小島美帆が「適応障害」だとして診断を受け、それを被告がうのみにして病気休暇措置やその後の休職処分をしたことには大きな矛盾が生じ、不正な病気休暇や病気休職だったことは明白である。
また、小島美帆の配偶者である小島幹生が、「小島美帆の病気休暇は、予め計画していた措置である」という趣旨であることを自ら認識していたことを仄めかす発言記録もあり(甲7号証)、前橋市職員でもある夫(甲8号証)も、妻の不調が「適応障害」の診断前に病気休暇の対象になるが確実視されるであろうことを認識していた可能性は高く、小島美帆の病気休暇は、被告による組織ぐるみの共同不正行為であったことは明らかである。
また、とりわけ石田健一を共同不正行為の当事者とする根拠としては、直属の上司として、また不倫相手として、また南橘公民館長として、小島美帆の時間外勤務と命令書(乙11)の所属長欄に「石田」の押印があること、また、休暇等承認簿(乙9)の決裁欄のうち「主務係長・出先機関の長」の欄には、直属の上司として、また不倫相手として、さらに南橘公民館長として、「石田」の押印があることから、石田健一の責任は重大である。
シ 第32段落ないし第35段落
原告の畢寛独自の見解であり,認否の必要性を認めない。
よって、被告は、共同不正行為を働いた両名から、損害を回収しなければならない。
ス 第36段落
争う。
2 病気休暇の取得手続きにおける不正
小島の病気休暇取得について被告は次のように主張する。
ア 法令上の根拠等について
前橋市職員の勤務時間、休暇等に関する条例(以下,「休暇条例」という。乙4)第11条は,職員の休暇として「病気休暇」を規定しており,休暇条例第1 3条は,病気休暇について,「職員が負傷又は疾病のため療養する必要があり、その勤務しないことがやむを得ないと認められる場合における休暇」と定める。
また,病気休暇を取得する場合,「任命権者の承認」が必要である(休暇条例第17条) が,病気休暇の場合,前橋市職員の勤務時間、休暇等に関する規則(以下,「休暇規則」という。乙5)第16条により,任命権者の承認は原則として義務づけられている。
そして,病気休暇の期間については,休暇規則第12条の表第2号において,90日以内と定められ,任命権者の承認を得て病気休暇している期間中の給与については,減額しない旨規定されている(前橋市一般職の職員の給与に関する条例(以下,「給与条例」という。乙6)第11条)。
イ 小島氏の病気休暇について
小島氏は,医師から 「適応障害」のため,「自宅安静療養を要します」(乙 8の1)との診断を受けているのであるから,「職員が負傷又は疾病のため療養する必要があり、その勤務しないことがやむを得ないと認められる場合」(休暇条例第 13条)に該当する。また,任命権者である被告の承認(乙 9)もあり,病気休暇の期間も平成 29年 7月 18日から同年 10月 15日までの 90日間と休暇規則で定められた期間内である。
そのため,前橋市が小島氏に対して,病気休暇中に支払った給与は,適法な支給である。
原告は次の通り反論する。
病気休暇の承認について、被告が承認時に判断した経緯について大きな疑義があることは前項1で指摘したとおりである。
まず、病気休暇の制度の概要について触れておく。病気休暇は、負傷又は疾病のために勤務に服することができない職員に対し、医師の診断等に基づき、最小限度必要と認められる期間、その治療に専念させることを目的とする有給の休暇である。ここで着目したいのは「最小限度必要と認められる期間、その治療に専念させることを目的」としていることである。
「負傷又は疾病」とは、身体的に不健康に陥っている状態、心身に故障のある状態をいい、これには「適応障害」などメンタルヘルスの不調が含まれると解釈されている。
地方公共団体において、給与、勤務時間その他の勤務条件は地方公務員法第24条第5項により条例で定めることとなる。ただ、国や他の地方公共団体との均衡を失しないように考慮しなければならず(同条第4項)、病気休暇についても国の制度に準ずるのが通常である。
なお、病気休暇又は分限休職処分からの職場復帰後のリハビリテーションを受けるような場合も、その期間を病気休暇と承認し得、これにより勤務軽減措置が図られることとなる。
●求釈明6:被告は小島が分限休職処分からの職場復帰後、どのようなリハビリを実施したのか否か、釈明されたい。
さて、病気休暇の期間は、国においては、人事院規則15-14第21条第1項により、除外日(生理日の就業が著しく困難である場合、公務災害若しくは通勤災害の場合又は人事院規則10-4に基づく勤務の軽減措置を受けた場合における病気休暇を使用した日等)を除き、連続して90日(週休日等を含む。)を超えることができない。
しかし、当初の病気休暇とは明らかに異なる負傷又は疾病のため療養する必要がある場合は、同規則第21条第3項又は第4項により、当初の病気休暇とは別に、病気休暇を取得することができる。この場合においても、取得可能期間は、当該明らかに異なる負傷又は疾病に罹った日から連続して90日を超えることはできない。
このことから、清王寺クリニックの診断書が、平成29年7月14日(金)から同10月13日(土)までの3か月計91日間だったのに、被告は平成29年7月18日(火)から同10月15日(月)まで小島の病気休暇を認めたのか、きわめて疑問である。なぜなら、小島は7月14日に「適応障害」の診断を受けたのであるから、当日は夏季休暇を取得したとしても、翌7月15日(土)から病気休暇を取得できるのであるから、10月13日(土)まで診断書記載の自宅安静療養期間に該当したはずである。
しかし、被告は、10月14日(日)と15日(月)を病気休暇として認めてしまった。このことにより、小島は実質的に、93日間の病気休暇を取得したことになる。よって、被告は、病気休暇の目的である「負傷又は疾病のために勤務に服することができない職員に対し、医師の診断等に基づき、最小限度必要と認められる期間、その治療に専念させること」に定められた「最小限度必要と認められる期間、その治療に専念させること」に違反し、不当な便益を小島に与えたことになる。
通常、90日間の病気休暇を終えれば、その時点でクリニックに赴き、その時点での病状をチェックして、その後の措置について、小島と任命権者との間で判断し決定するのが一般的だと思われるが、今回の場合、病気休暇が終わらない10月3日に、小島が一方的にクリニックを受診し、さらに1か月間(10月14日~11月13日)の安静療養の診断を受けており、本当に90日間の病気休暇が妥当であったのかどうかも含めて、大きな疑念を禁じ得ない。
(2) 2項について
被告の主張の引用箇所については認否せず,病気休暇の期間が連続して90日を超えてはいけないこと,及び被告が,訴外小島に対し,平成29年7月18日から同年10月15日まで病気休暇を承認したことは認め,その余の原告の評価,推測は争う。
被告が,訴外小島に対し,平成29年7月18日から同年10月15日まで病気休暇を承認したことに何ら違法はない。
また,求釈明6に関しては,「第3 被告の主張」を確認されたい。
3 病気休職について
小島の病気休職取得について被告は次のように主張する。
被告は,小島氏に対して,病気休暇期間に続く平成 29年 10月 16日から同年 12月 31日まで休職を命 じた(乙 10の 1,乙 10の2)。この休職命令は適法であるが、その理由は下記のとおりである。
ア 法令上の根拠等について
地方公務員法第28条第2項第1号は,「心身の故障のため、長期の休養を要する場合」には「その意に反してこれを休職することができる」と規定していることから,病気を原因とする休職も認められる。
また,休職期間について,前橋市職員の分限に関する手続及び効果に関する条例(以下,「分限条例」という。乙7)第9条第1項は,「3年を超えない範囲内において、それぞれ個々の場合について任命権者が定める。」と規定している。
さらに,休職期間中の給与について分限条例第10条第2項は,「休職者は、休職の期間中法令又は条例に特別の定めがある場合を除くほか、いかなる給与も支給されない。」と定めるところ,給与条例第23条第3項は,「職員が前2項1以外の心身の故障により法(地方公務員法のこと)第28条第2項第1号に掲げる事由に該当して休職にされたときは、その休職の期間が満1年に達するまでは、これに給料、扶養手当、地域手当、住居手当及び期末手当のそれぞれ100分の80を支給する(括弧内被告)。」と規定する。すなわち,私傷病による休職の場合については,給料の8割を支給されることとなる。
イ 小島氏の病気休職について
小島氏は,医師により,「適応障害」のため,「ひき続き H29.10. 14~H29.11.13の 1ヶ月間安静療養を要します」(乙8の2),「ひき続きH29.11.14~H29.12.31の間安静療養を要します」(乙8の3)と診断されていることから,「心身の故障のため、長期の休養を要する場合」(地方公務員法第28条第2項第1号)にあたり,被告の休職命令は適法である。
原告は次の通り反論する。
病気休暇の次の段階の身分取扱い上の措置となる「分限休職処分」とは、職員に職を保有させたまま一定期間職務に従事させない処分をいう。
地方公共団体において、任命権者は、地公法第28条第2項第1号により「心身の故障のため、長期の休養を要する場合」は、その職員に対して分限休職処分を行うことができるとされている。病気休暇と同様、心身の故障にメンタルヘルス不調が含まれるのは前述のとおりである。
メンタルヘルス不調の職員の発生による職場への影響を表す用語で「プレゼンティイズム」と「アブセンティイズム」というものがある。プレゼンティイズムは、職員が出勤しているもののメンタルヘルス不調により職務遂行能力が低下している状態を意味し、アブセンティイズムは、メンタルヘルス不調の職員が病気休暇や分限休職処分等により休業している状態を意味する。つまり、メンタルヘルス不調の職員の発生は、職場において、職務遂行能力の低下や休業による労働力の損失に加え、周囲の職員への負担増大という影響を及ぼす。言い換えると、メンタルヘルス不調による長期病休者数及び分限休職処分者数の増加は、病気休暇・分限休職処分を繰り返す職員の増加を示唆するものである。この問題点は、休業からの職場復帰後はプレゼンティイズム、休業期間中はアブセンティイズムの2つの側面を持つ。
病気休暇と分限休職処分のいずれによるか、また、病気休暇で療養中の職員をいつ分限休職処分とするか判断する場合、判例においては、「(地公法第28条)第2項第1号に定める私傷病休職の場合の処分事由が被処分者の状態等に関する一定の評価を内容として定められていることを考慮するときは、同条に基づく休職処分につき、任命権者には当該趣旨・目的に照らして合理的な裁量が認められるというべき」としている(大阪高裁平27・5・14判決)。このことから、病気休暇の残日数で賄いきれない長期の休業を要することが診断書等で明らかになった場合等は、アブセンティイズムの解消の観点から、速やかに分限休職処分を行うべきとされる。
地方公共団体において、分限に関する手続き及び効果は地公法第28第3項により条例で定めることとなる。そして、各地方公共団体においては、基本的に、国から示された条例案(昭26・7・7地自乙発第263号別表1。以下「分限条例案」という。)に基づき、分限に関する手続き及び効果が定められている。
「分限条例案」における分限休職処分の手続き及び期間に係る規定については、「分限条例案」第2条第1項では、心身の故障による分限休職処分の手続きについて、「医師2名を指定してあらかじめ診断を行わせなければならない」とされている。
医師の診断を要件とする趣旨は、心身の故障の認定を医師の医学的見地からの所見に基づく客観的判断に依拠させることによって、任命権者の恣意を排除し、職員の身分保障を図るためである。また、医師については、診断の信憑性の問題から、本人が任意に依頼するのではなく、任命権者が指定することとなる。
この観点から、病気休暇と異なり、分限休職処分を選択する場合には、心身の故障の認定を厳格に判断することが求められている。つまり被告は、小島の病気休職の承認に際して、しかるべき医師にきちんと診断させなければならない。
ところが今回の診断は、10月3日に本人が再度、清王寺クリニックを訪れて診断した結果、10月14日(日)から11月13日(火)まで1か月間の安静療養が必要だという診断書をもとに、10月10日(水)に被告が小島に対して10月16日(火)~11月13日(火)まで休職命令を発令している。
これでは、病気休暇の残日数で賄いきれない長期の休業を要するのかどうかが診断書等で明らかにできず、アブセンティイズムの解消の観点から、速やかに分限休職処分を行うことはできない。他方、心身の故障の認定を医師の医学的見地からの所見に基づく客観的判断に依拠させることによって、任命権者の恣意を排除し、職員の身分保障を図ることも不可能である。
●求釈明7:被告は、小島の病気休職の承認判断に際して、清王寺クリニックをいつ、どんな手続きで誰に指定させたのか。また、ほかにも指定した医師はいるのか。指定医師がもう1名いる場合、その医師は誰なのか、釈明されたい。
●求釈明8:被告は、小島の病気休職が平成29年12月31日で終結後、職場復帰に際して、どのような医学的見地から、復帰可能と判断したのか具体的な証拠を示して釈明されたい。
一般に公務員の長期病休者とは、公務災害又は通勤災害によるものと認定された者も含め、疾病等により、病気休暇、分限休職処分等休業の種類を問わず、休業30日以上又は1か月以上の療養者としている。このうち、精神及び行動の障害による長期病休者数、いわゆるメンタルヘルスに関する疾病として、「精神及び行動の障害(国際疾病分類ICD-10「疾病及び関連保健問題の国際統計分類:International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems 」第5章F)https://www.mhlw.go.jp/toukei/sippei/ がある。これは、脳の機能的な障害や器質的な問題によって生じるもので、代表的なものには、統合失調症、躁うつ病、神経症性障害、精神障害等がある。
平成27年度中の職員10万人当たりの長期病休者数は、全疾病の総数で2,406.9人であった。このうち、精神及び行動の障害による長期病休者数は、1,301.3人であり、平成26年度と比較すると61.8人(4.99%)増加し、また、10年前の平成17年度と比較すると約1.6倍となっている。長期病休者の疾病分類別構成比は、精神及び行動の障害の割合が54.1%と最も高く、その割合は年々増加し、平成24年度から連続して50%を超えて推移しているといわれている。
次に、地方公共団体における分限処分者の状況であるが、そもそも、分限処分とは、公務能率の維持及びその適正な運営を確保する目的で、職員の意に反して行われる不利益処分であり、免職、降任、休職、降給の4種類がある。
地方公共団体において、各任命権者は、地方公務員法(昭和25年12月13日法律第261号。以下「地公法」という。)第27条第2項により、一定の事由がある場合に限り、分限処分を行うことができ、このうち、免職及び降任は地公法で定める事由がある場合、休職は地公法又は条例で定める事由がある場合とされている。この地公法で定める事由とは、地公法第28条で次のように規定されている。
[1]免職(降任)
・勤務実績が良くない場合(第1項第1号)
・心身の故障の場合(第1項第2号)
・職に必要な適格性を欠く場合(第1項第3号)
・職制等の改廃等により過員等を生じた場合(第1項第4号)
[2]休職
・心身の故障の場合(第2項第1号)
・刑事事件に関し起訴された場合(第2項第2号)
●求釈明9:被告は、小島に「病気休職」処分を課した際に、なぜ免職(降任)などを選択肢として検討しなかったのか。また、小島の意に反した不利益処分であることを、どのように本人に説明し確認したのか否か、釈明されたい。
(3) 3項について
被告の主張の引用箇所については認否せず,その余は認否の必要性を認めない。
また,求釈明7ないし求釈明9については,回答の必要性を認めない。
4 被告による虚偽公文書変偽造および行使の疑いについて
前項1~3で原告が陳述したとおり、被告のコンプライアンス軽視の実態は目を覆いたくなるが、今回、被告が証拠として提出した小島美帆の時間外勤務にかかる「29年度6月分時間外勤務等命令簿」(乙11号証)や、同じく小島美帆の病気休暇・病気休職にかかる「29年度休暇等承認簿」(乙9号証)の記載内容が、実際の出来事を果たして正確に反映しているかどうか、はなはだ疑問があるのも事実である。
(1)「29年度6月分時間外勤務等命令簿」について
そもそも、時間外勤務等命令簿は、時間外手当の算定に必要不可欠な文書であるが、それ以前に、労働時間の適正な把握のために、その取扱いは極めて慎重に行わねばならないことは、公金を扱い、市民の税の滞納に対して全国トップレベルで厳しい対応をとっている被告にとって、十分承知のはずである。
ところが、被告が提出した乙11号証をみると、次の経緯が反映されていないことがわかる。なぜなら当時の南橘公民館の庶務担当の別の職員が、小島美帆がホタル祭りなど、ただ遊びに来ているようなものまでドシドシ時間外手当をつけて申請していたことを咎めて、「この時間外手当はおかしいんじゃない?」と小島美帆本人に指摘をしたところ「彼(石田)が、やってる事なんで…」と言いながらブチキレ気味に時間外申請に二重線を引いて消したことがありますが、そのことが反映されていないからです。
そのため、当時の記録を調査したところ、小島美帆が6月10日(土)の提示後から19時30分まで「ほたる祭り用務」と記載した項目を自ら二重線を引いた「29年度6月分時間外勤務等命令簿」(甲9号証)が見つかった。
この2つを見比べると、筆跡から見ると、甲9号証のほうは石田健一のものと思われるが、被告が乙11号証として提出したものは、筆跡が異なっていることがわかる。この日付は、おそらく小島美帆と思われるが、なぜこのように同じ命令簿で全く異なる文書が存在するのであろうか。
原告は、この背景として、原告が事務局長を務める市民団体「市民オンブズマン群馬」が、石田健一による印章偽造を端緒として、さまざまな不正行為が行われていたことを追及し始めたため、南橘公民館を舞台にした不正事件が重大化するのを懸念し、被告が後で小島美帆本人に書き直させたものであると推認する。
そもそも時間外勤務命令等は、急を要する等、業務処理上真にやむを得ない場合に限り、職員の健康を充分配慮し、命令権者の勤務命令により行わなければならない。そのため、小島美帆の直接の命令権者である石田が命じたものを本人の小島美帆が取り消したわけだから、その経緯は正確に反映されたものが原本として保存されているはずである。
ところが、乙11号証を見ると、どうやら小島美帆がすべて書き直したことがうかがえる。また、「石田」の印章についても、甲9号証と乙11号証とではその文字の太さや、「田」の字の中央部にある「十」の字と周囲の「□」の隙間が微妙に異なっており、改ざんされた経緯が垣間見える。
こうした公文書の改ざんは、石田健一による印章偽造事件でも確認されているが、今回の訴訟事件で、被告が自らこのような改ざん書類を提出してきたことは極めて重大であり、原告は別途、被告への法的手段が必要であると思料する。
●求釈明10:なぜこのような虚偽公文書が被告の組織内部でまかりとおっているのか、その原因究明と責任の所在明確化、そして再発防止策について、被告の見解を質したい。
(4) 4項について
本件訴訟と関係のない主張であるため, 認否しない。
第3 まとめ
こうして、石田健一と小島美帆との不倫行為が明るみになるや否や、小島美帆は平成29年7月14日(金)に休暇を取り、清王寺クリニックで「適応障害」の診断書を取り、7月18日(火)に病気休暇申請をし、同日より以降、実に同年12月31日まで5カ月半に及ぶ病気休暇と病気休職を取得した。
しかし、小島美帆が精神的な安定を欠く事態に陥ったとしても、これは自己の責任、いわゆる自ら巻いたタネによるものである。しかも、「今後は業務に頑張ります」と謝罪宣言をしたにもかかわらず、実際にはほとぼりが冷めるまで、職場を離れることを意図して、クリニックで診断書を取得した。さらに不倫相手でもあり小島の直属の任命権者である石田が、勝手に承認印を押した小島の休暇等承認簿を、その上の上司である主務課長・主務部長はもとより、被告の職員課長まで、うのみにして承認印を暴捺してしまった。
こうした人事管理のずさんさは、先日発生した被告の建設部道路管理課職員によるさいたま市で起きたストーカー殺人という凶悪犯罪者まで生み出す結果さえもたらしてしまった。
納税者である前橋市民対しては、税金が定められた期限までに納付されない場合、原則として法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じて、利息に相当する延滞金が被告から自動的に課され、さらに督促や差し押さえ、そして無申告加算金や重加算金も課されることになりかねないのである。
ところが、被告の職員が共同不法行為を働いで、時間外手当や病気休暇手当、病気休職手当をせしめても、それらの返還を迅速に求めようとしないばかりか、遅延損害金を課そうというつもりもないことが今回の事件で判明した。
被告には猛省を促すとともに、職員の人事・業務管理をきちんと実施し、2度と石田や小島のように、役所や公民館を使って時間外勤務中に不貞行為を働くような不良職員を一掃し、再発防止策を構築するよう強く要請したい
3 「第3 まとめ」について
認否の必要性を認めない。
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第2 平成31年4月15日付け原告準備書面(2)及び令和元年5月28日付け原告準備書面(2)に対する認否
第1 請求1について
本件の不法行為の態様は石田健一および小島美帆という複数加害者が共同して、時間外である平成29年6月18日の日曜日に前橋市千代田町中央通りアーケードの前橋中央イベント広場で10時から15時まで開催された前橋地域づくりフェスタにおいて、配偶者と子供を連れて参加した小島美帆に対して、石田時間外勤務手当が「10:00~12:00」分が支給されており、これは不倫相手の石田健一が任命権者として、小島美帆に対して、実態を知りながら意図的に印を暴捺し、不正に手当てを騙し取ったものである。
甲10・11号証のとおり、石田と小島が「地域づくりフェスタ用務」を理由に時間外手当を共謀して騙し取ったイベントである「地域づくりフェスタ」は、10:00~15:00まで開催されており、公務で参加したのであれば、10:00の開会式から15:00の閉会式まで会場に留まるのが普通である。また、甲10・11号証にもあるとおり、「南橘」公民館では、「体験ブース」として「地区リユース品無料配布【南橘】」を、「物販・飲食ブース」として、「廃油石鹸販売【南橘】」を行っており、小島がこれらの業務支援の為公務に従事したと、被告が見做しているのであれば、なぜ、午前中2時間のみで、しかも配偶者と子供連れで公務が可能なのか、きちんと説明が必要であり、当然、これらを公務として認めなかった監査委員に対しても、同じ説明をしたはずである。しかし被告は、「監査委員の事後判断」などと主張したことから、被告前橋市自体が、石田と小島の共謀に加担したということができる。
原告準備書面(1)にも述べた通り、小島美帆は、この地域づくりフェスタの担当者ではなく、わざわざ休日出勤をする必要もない事は明らかであるので、誰がみても不自然な出勤であった。
本来の担当者は石田健一と出勤しており、南橘公民館の職員からも「なぜ、担当者が出勤しているのに、担当者以外が休日出勤をして時間外勤務手当を受給するのだ?」との声も上がった。
こうした不自然で不適切な時間外勤務手当の不正承認は、小島にとって直接の任命権者である石田と、その不倫関係にあった小島美帆との間でそれまでにも多年にわたり頻繁に行われており、本件請求1もそのひとつであった。この背景には、石田健一が小島美帆との不倫関係を維持したいとする強い意図の存在があり、他方、小島美帆も、館長であり不倫相手として好意を寄せていた石田の不正承認を当然視したと推認される。
したがって、本件は石田・小島両名による共同不正行為であり、小島の時間外勤務手当の返還に加え、遅延損害金として、不法行為者の両名に対し、手当の支給日からの支払済みに至るまで年5分の割合による金員をそれぞれ等分した金額の賠償を求めるべきである。
被告は第2準備書面で「小島氏が悪意の受益者でないこと」として「1 小島氏は,自ら「時間外手当等命令簿」(乙11)に必要事項を記入して時間外手当を申請し」としているが、確認印の欄も所属長の欄も「石田」の押印であり、第3者によるチェックが為されていない。
さらに被告は「小島が善意の受益者である」として、その根拠として「小島が業務と認識していた」ことを挙げ、「前橋市監査委員が,小島氏が地域づくりフェスタに参加したことについて労働時間にあたらないと判断したことは,あくまで前橋市監査委員の事後の判断であり,地域づくりフェスタ参加時及び時間外手当申請時における小島氏の認識とは関係ない」などと主張するが、前述のとおり笑止千万である。事後の判断が間違いであれば、監査委員の存在は不必要ということになり、先日、埼玉県おおみや市でストーカー殺人を起こした職員を雇用していた被告ならではの見解と言える。
石田と小島は、平成29年6月末までに作成された「29年度6月分時間外勤務等命令簿」(乙11号証ないし甲9号証)の作成において、上記の違法に報酬を得るために、部下の小島が虚偽の申請を行い、所属長の石田がそれを虚偽と知りつつ承認印を押印したものである。石田と小島は互いに不倫関係にあったことから、一方の小島は不貞行為を承諾することで石田の歓心を買い、併せて報酬を得るために、他方の石田は、不貞行為に応じた小島との不倫関係を引き続き維持することを目的に、休日のイベントに家族とともに遊びに来た小島に対して、午前10:00~12:00までの2時間を公務として装い、公金から報酬を小島に得させるべく承認印を暴捺し、時間外手当をだまし取ろうとしたものである。
この場合、共同不法行為者は、互いに不倫相手同士であることから、各自に主観的要件である「故意」が具わっていることは明白であり、その態様からこの不法行為者間に意思の共通(共謀)または共同の認識があったことが強く推認される。
そもそも、時間外勤務等命令簿は、時間外手当の算定に必要不可欠な文書であるが、それ以前に、労働時間の適正な把握のために、その取扱いは極めて慎重に行わねばならないことは、公金を扱い、市民の税の滞納に対して全国トップレベルで厳しい対応をとっている被告にとって、十分承知のはずである。
ちなみに、石田健一の場合、平成28年12月28日に当時南橘公民館長として職場の女性職員に対して、忘年会の席上、嫌がる同職員に対して強制的なわいせつ行為を行い、令和元年5月15日に事件番号:平成31年(わ)第124号、事件名:強制わいせつ事件として起訴された事案の第1回公判が前橋地裁1階1号法廷で開かれた。
この事件では、平成28年12月28日に強制わいせつ行為の被害に遭った女性嘱託職員が、その後、館長の石田健一に抗議し続けた。ところが、加害者である石田健一は館長の立場で、抗議を続ける被害者の女性嘱託職員を含め、南橘公民館の職員全員に対して、「本庁で人員削減会議が開かれ検討中だ」という内容のメールを送りつけた。石田の強制わいせつ行為は、職場の職員にもひろく知られていたことから、被害者の女性嘱託職員はもとより、他の職員も、「館長に逆らうと、いつクビにされかねない」と脅威を覚えたことは容易に想像がつく。そのため、被害者の女性嘱託職員が、その後平成30年秋頃警察に相談することを決意するまで、1年半もの間のインターバルが必要だったことからも、その間強いられた葛藤の深刻さを物語っている
このような石田健一の態様は、南橘公民館長の立場で、不倫行為同意等自らのいう事を聞く小島美帆のような職員には、違法不当な時間外手当申請の容認と当該不当手当支給手続のように“破格”の優遇を与える一方で、強制わいせつ行為を受けたことで粘り強く館長の石田健一に抗議をしたり被告の職員課に被害相談をしたりする女性嘱託職員のように言うことを聞かない者には解雇をチラつかせることによって、自らに対し従属させることを意図していたのである。つまり、アメとムチを使い分けて部下の女性職員を管理していた。
このため、石田健一がこれまでに起こした印章偽造、飲酒運転、上記のセクハラ行為(強制わいせつ行為)と、本件事件の時間外手当不正支給および病気休暇・休職不正取得は、公民館長の職位を利用し、そうした違法不当な行為や、本件挙動不法行為など、まさにやりたい放題だった職場環境状況と密接に関係しているのである。
こうした状況下で、嫌がらない女性職員である小島美帆と石田健一の間には、「俺のいうことをきけばこうして優遇がうけられるぞ」と他の女性職員らにアメを見せつけ、小島美帆としても館長に優遇されることで時間外手当等の便宜供与を受けられるという相互にメリットを感じていた事実があったからこそ、持ちつ持たれつの関係により共同不法行為を続けられていたのである。
第2 請求2について
本件の不法行為の態様は石田健一および小島美帆という共同不法行為者が、自らの不貞行為が職場の他の職員らに発覚したことで、石田健一及び小島美帆が結託して、小島美帆を職場から逃避させようと意図し、その理由付けとして、あたかも小島が精神的ストレスを患っているかの如く装わせクリニックの医師の診断を受け、どのような手を使ったのかは定かではない者の「適応障害」の診断書の取得をしたことから、その診断書の提出を根拠として、石田健一が小島美帆の29年度休暇等承認書(乙9号証)の休暇等期間に「29.7.18~29.10.13」と自ら記載し、病気休暇、さらには病気休職まで認めることで、小島との共同不法行為である不貞行為を他の職員の目から隠蔽するために、不当に長期の有給休業を許可したものである。
この背景として、小島美帆が石田との不倫を、同じく市職員である配偶者(夫)に知られてしまったこと、石田健一がその状況を勘案し長期休暇・休職を不倫相手の小島に与えることで小島の配偶者に配慮したことは明白で、不倫同士のこうした思惑が、虚偽の休暇等承認書を共謀して作成に至ったことは明らかである。
小島が受診したクリニックによれば、診断に際して、ストレスチェックのほか、心電図や血液検査など客観的手法で診断しているとしているが、小島が石田に提出した診断書(乙8号証)を見る限り、そのような具体的な診断データが添付してあったのかどうかは確認できない。
なお、小島は、長期休暇中に元気な姿を目撃されている。2017年10月26日に当時南橘公民館の職員だった茂木氏(前・南橘公民館長。石田の後任)が、勤務中にヤマダ電気へ行った際に、元気で散歩中の小島を見かけ、さらに小島からも声をかけられたという。そして、茂木氏が小島に「元気?」と問いかけたところ、「元気です」と小島は返答をしたとのことである。この目撃談は、同日、南橘公民館へ戻ってきた茂木氏が、同公民館職員に話しているが、茂木氏は「驚いたよ。小島さんすごい元気そうだったから」と言ったというから、よほど驚いたに違いない。
加えて仰天ものの情報もある。病気休暇・病気休職中に、小島は第2子の妊娠もしていたというのである。心身を病み、仕事も出来ない深刻な状況下で、謝罪の気持ちから夫との子づくりに勤しんでいたとすれば違和感はぬぐい切れない。
最後に重要な事実を指摘しておかねばならない。
石田健一と小島美帆の共同不正行為にかかる被告の関与のことである。なぜならば、小島美帆の配偶者(夫)の小島幹生も被告前橋市役所職員である。小島幹生は、被告の副市長ないし部長クラスの、いわゆる被告前橋市役所の上層部と知り合いである。
小島幹生は、配偶者(妻)小島美帆と南橘公民館館長の石田健一との不倫関係が発覚した直後、その知り合いである被告の上層部のところへ相談に行っている。
この相談の件は、南橘公民館の当時の職員らが、当事者の小島幹生からも、小島美帆からも聞いており、まぎれもない事実である。
配偶者(妻)小島美帆の不倫が世間に対して明るみになることによるダメージ(さらに言えば配偶者(夫)小島幹生自身へのダメージも含む)を最小限に抑えるため、被告の上層部により、早い段階で何らかの対処方針が策定され、そのシナリオ通りに病気休暇およびそれに続く病気休職を取得したものと思われる。
このことについては、原告がその準備書面(1)のページ2/13~13/13において、乙9号証や乙10号証の分析等を通じて推認できる事項を詳述したとおりである。
被告がなぜこれほどまでに小島美帆を組織ぐるみで守っているのか、その理由が原告の乙9号証や乙10号証の分析等を通して、浮き彫りになったと言えよう。
なお、小島美帆は、平成29年後半において、病気休暇ないし病気休職の期間中に妊娠し、平成30年初頭に職場に復帰したが、半年後に産休、そしてその後育児休暇を現在も取得中とみられる。
以上のように、被告前橋市は、石田健一と小島美帆の共同不法行為により、そして被告はそのことを知りつつ加担したかたちで、損害を増大させたのだから、速やかに、せめて当事者である両名に対して、連帯して損害を回復させなければならない。
原告の主張は争う。詳細は,以下に述べる「第3 被告の主張」のとおり。
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■以上のとおり、前橋市役所は異常なほど、不倫職員らを庇うための反論に固執していることが分かります。「フリンは文化だ」などと騒がれたタレントもいますが、まさに前橋市役所では、「不倫のどこが悪い」という組織内規程があり、もはやコンプライアンスに合致していると主張しているに等しい有様です。
石田健一は既に前橋市役所の職員課のアドバイスにより、強制わいせつで起訴される前に自主退職して退職金を満額得ており、その後前橋地検で起訴された後、現在公判中で、6月28日(金)午後4時半から前橋地裁1階1号法廷で判決言い渡しが行われる予定ですが、前橋市役所のイメージダウンに貢献した元職員を、前橋市はなぜこうも庇わなければならないのでしょうか?まことに不可思議です。
また、被告第2準備書面の「被告の主張」はウソだらけのしろもので、よくぞ、ここまで不良公務員を正当化できるものだと、驚きを超えてあきれ果ててしまいます。なるほど、職員がストーカー殺人を起こすのも、このような組織ではむべなるかな、だと前橋市民ならずとも、県都前橋市を擁する群馬県民としても、情けない思いでいっぱいでしょう。
なお、次回第5回口頭弁論は、7月3日(水)午前10時から前橋地裁2階21号法廷で開催されます。ぜひ、都合のつく読者諸兄は傍聴に足をお運びください。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
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第1 平成31年3月8日付け原告準備書面(1)に対する認否
第1 請求1について<不正その③>
このときの不正は、平成29年6月18日でこの日は前橋地域づくりフェスタが開催された。小島美帆は配偶者と子供と参加した。その様子は南橘公民館の職員が目撃していた。家族連れで参加しているにも関わらず、時間外勤務手当が「10:00~12:00」分が支給されており、これは不倫相手の石田健一が任命権者として、小島美帆に対して、実態を確認しないまま印を暴捺したことによるものである。
(1) 第1段落
平成29年6月18日に地域づくりフェスタが開催されたこと,小島美帆(以下,「訴外小島」という。)が同フェスタに配偶者と子どもと参加したこと,及び訴外小島に対して同日午前10時から正午までの2時間分の時間外手当が支給されたことはいずれも認め,訴外小島の様子を南橘公民館職員が目撃していたことは不知,その余は否認する。
小島美帆は、この地域づくりフェスタの担当者ではなく、わざわざ休日出勤をする必要もない事は明らかであるので、誰がみても不自然な出勤であった。
(2) 第2段落
訴外小島が地域づくりフェスタの担当者でなかったこと及び訴外小島の出勤が休日出勤であったことはいずれも認め,評価は争う。
本来の担当者は石田健一と出勤しており、南橘公民館の職員からも「なぜ、担当者が出勤しているのに、担当者以外が休日出勤をして時間外勤務手当を受給するのだ?」との声も上がった。
(3) 第3段落
地域づくりフェスタの担当者が石田健一(以下,「訴外石田」という。)とともに出勤していたことは認め,その余は不知。
こうした不自然で不適切な時間外勤務手当の不正承認は、小島にとって直接の任命権者である石田と、その不倫関係にあった小島美帆との間で頻繁に行われており、本件請求1もそのひとつであった。この背景には、石田健一が小島美帆との不倫関係を維持したいとする強い意図の存在があり、他方、小島美帆も、館長であり不倫相手として行為(ママ、好意)を寄せていた石田の不正承認を当然視したと推認される。
(4) 第4段落
否認ないし争う。
したがって、本件は石田・小島両名による共同不正行為であり、小島の時間外勤務手当の返還に加え、遅延損害金として、不法行為者の両名に対し、手当の支給日からの支払済みに至るまで年5分の割合による金員をそれぞれ等分した金額の賠償を求めるべきである。
(5) 第5段落
争う。
被告は第2準備書面で「小島氏が悪意の受益者でないこと」として「1 小島氏は,自ら「時間外手当等命令簿」(乙11)に必要事項を記入して時間外手当を申請し」としているが、確認印の欄も所属長の欄も「石田」の押印であり、第3者によるチェックが為されていない。
(6) 第6段落
訴外小島が,時間外勤務命令簿(乙11)に自ら必要事項を記入したこと,及び同書面の確認印及び所属長の欄の押印が訴外石田のものであることはいずれも認め,その余は否認する。
さらに被告は「小島が善意の受益者である」として、その根拠として「小島が業務と認識していた」ことを挙げ、さらに「前橋市監査委員が,小島氏が地域づくりフェスタに参加したことについて労働時間にあたらないと判断したことは,あくまで前橋市監査委員の事後の判断であり,地域づくりフェスタ参加時及び時間外手当申請時における小島氏の認識とは関係ない」などと主張するが、笑止千万である。事後の判断が間違いであれば、監査委員の存在は不必要ということになり、先日、埼玉県おおみや市でストーカー殺人を起こした職員を雇用していた被告ならではの見解と言える。原告として被告に猛省を促したい。
(7) 第7段落
原告の畢寛独自の見解であり,認否の必要性を認めない。
第2 請求2について<不正その④>
1 石田と小島の不倫行為の発覚から小島の病気休暇・病気休業に至る経緯
石田健一・小島美帆の二人による目に余る秩序を乱す行動そして、公務員として地域行政携わる者としての、品格の欠如や業務不履行に我慢のできなくなった別の職員は、平成29年7月10日(月)夜半、この二人に対して、直接会話で「通常業務をさせてほしい、窓口業務に支障がでている。恋愛ごっこは職場外でやって欲しい。もし変わらないのであれば小島氏の配偶者にも相談する。」とこれ以上職場の規律が乱されないようにすべく懇願した。
すると、翌7月11日(火)の8時25分から始まった朝礼(南橘公民館では「朝会」という)で、石田・小島の両名が職員全員に謝罪をした。
一方、小島美帆の配偶者(夫)の小島幹生も市役所職員であるが、平成29年7月10日(月)の当日の夜、小島美帆は自ら夫に不倫関係の概要を告白したところ、平成29年7月12日(水)午前、小島幹生は、妻との不倫関係を石田に確認するとともに、ほかの職員に謝罪をするため南橘公民館に来館した。
そしてその日の午後、小島美帆本人は、南橘公民館の職員ひとりひとりを呼び出して個別に謝罪したが、その際に「申し訳ありませんでした。明日からまた頑張りますのでよろしくお願いします」と述べていた。
翌7月13日(木)は、小島は午前中のみ休暇をとったが、なぜか、小島の「29年度休暇等承認簿」(乙9号証)にはその事実の記載が見当たらない。
●求釈明1:被告はこのことについて釈明されたい。
2 「第2 請求2について<不正その④>」について
(1) 1項について
ア 第1段落ないし第6段落(求釈明1まで)
不知。なお,求釈明1は,本件訴訟と関係のない事実に関する求釈明であるため,回答しない。
平成29年7月14日(金)に小島は夏季休暇を取り(乙9号証)、自宅近くにある前橋市日吉町三丁目23-1の清王寺クリニックを訪れ、おそらく中尾みな子による診断の結果「適応障害」だとして、同日7月14日(金)から10月13日(金)まで3か月間、「自宅安静療養を要する」との診断書を発行してもらった(乙8号証の1)。
イ 第7段落
認める。
そして、この7月14日付の診断書にメモ書きとして「※本人より提出されたのは7/18であることを確認済。(7/18)」と、中尾みな子と思しき人物と同様の筆跡で追記されていることから、小島美帆は7月18日に再度、清王寺クリニックを訪れたものと推認される。
このことから、小島美帆は、7月12日午後にほかの職員全員に個別に謝罪し、「明日から頑張ります」と言明した舌の根も乾かぬうちに、7月14日(金)に清王寺クリニックを訪れて「当日の7月14日から3か月間、自宅安静療養を要する」とする診断書を書いてもらい、それを石田に提出したことが分かる。
ウ 第8段落
7月14日付けの診断書(乙8の1)に「※本人より提出されたのは,7/1であることを確認済み。(7/18)」との記載があることは認め,その余は否認する。同筆跡は前橋市職員課の職員が,提出年月日を記載したものである。
石田健一が小島美帆からいつどのような場所で診断書を受け取ったのか、正確な日時や場所は当事者でないとわからないが、いずれにしても、石田は7月14日に小島美帆の診断書をもって、被告の本庁に提出しに赴いていたことは南橘公民館の職員にも知られている。
エ 第9段落
訴外小島が謝罪をしたことについては認否の必要性を認めず,その余は,否認する。訴外小島は,診断書を訴外石田に提出していない。
ただし、小島美帆の診断書(乙8号証の1)には、「「7月14日から・・自宅安静療養」とあるにもかわらず、「※本人より提出されたのは7/18であることを確認済。(7/18)」と何者かが追記した形跡は明白である。
この追記した形跡から、7月14日に石田が本庁に提出した診断書では、診断日と病気休暇開始日が同じとなり、不都合であるため、本庁の職員課あたりがアドバイスをして、「三連休明けの7月18日から病気休暇開始日にしたらどうか」などと石田にアドバイスした可能性がうかがえる。
そのため、石田は小島美帆が診断書をもらいに行った7月14日を急遽夏季休暇とし、病気休暇開始日を7月18日にすることで、本庁の職員課の確認をあらかじめ得たうえで、小島美帆の29年度休暇等承認書(乙9号証)の休暇等期間に「29.7.18~29.10.13」と自ら記載し、いつもと異なる印鑑を押印したことがうかがえる。なぜなら、平成29年の休暇等期間の欄に記入されている数字は石田の筆跡であるからである。
また、職員課長の欄が、空欄であるのは不可思議であり、何かを消した痕跡がみられることから、実際には職員課長が押印した経緯があるものの、それがたとえば日付的に不都合が生じたため、急遽消した可能性もある。
そして、小島美帆の診断書に追記された筆跡がクリニックの中尾みな子と同一である場合は、小島美帆から石田がいったん預かった診断書を、小島美帆に戻して、「診断書の提出日が7月18日であることをクリニックに照明してもらってこい」と指示し、そのうえで小島美帆が、クリニックを訪れて追記をしてもらい、あらためて、後付けで石田を経由して本庁の職員課に提出したと考えられる。
他方、小島美帆の診断書に追記された筆跡がクリニックの中尾みな子ではなく、たとえば本庁の職員課であった場合には、石田が7月14日に提出した小島美帆の診断書に、勝手に被告が追記したことになる。
このように、小島美帆の病気休暇の開始にあたっては、不明瞭な経緯がみてとれる。事前になんらかのかたちで小島美帆は、直接の任命権者である石田と病気休暇の相談をし、それを受けたかたちで石田が職員課に対して、不倫相手の小島美帆のために、7月18日(火)から3か月間の自宅安静療養を名目の病気休暇を取得することで話をつけたものとみられる。
そして29年度休暇等承認簿のあと、主務課長の平石が同日押印し、さらに平石が主務部長・都丸の代理印を押印しているが、職員課長の欄には、一見空欄だが、よくみると何か押印された痕跡を消したとみられる汚れがある。
●求釈明2:被告は、小島美帆の診断書の提出と病気休暇を認めた過程、そして、休暇等承認簿の「主務係長・出先機関の長」の欄の違和感のある「石田」の印章と「職員課長」の空欄にみられる不自然な汚れのような痕跡について釈明されたい。
オ 第10段落ないし第19段落(求釈明2まで)
否認する。詳細は被告の主張のとおり。なお,釈明2のうち,訴外小島の診断書の提出,病気休暇承認の過程については,「第3 被告の主張」を確認されたい。また,休暇等承認簿に関する求釈明に関しては,被告が原告に送付した乙9号証の写しに職員課長印が押印されていないように見える,の押は印が経年劣化により薄くなってしまったため,コピーした際に反映されなかったためである。乙第9号証原本には, 職員課長印の押印がある(乙9)。
もうひとつ重大な疑義がある。当日、クリニックへ診察を受けに赴いて、その日に診断書を書いてもらえるのか、ということである。そこで原告は3月6日11:03ごろ、清王寺クリニック(電話027-234-4313)に電話をかけてみた。応対したのは院長の中尾みな子医師ではなかったが、事務方の担当とみられる年増じみた声の女性が電話で対応した。その際、聞き取りによりわかった内容は次の通り。
①前橋市役所には指定医という制度はない。
②したがって、どこの心療内科も、内科でも、外科でも疾病により、ドクターが診断書を書いてくれる。
③当クリニックはもちろん診断書を発行できるが、ただし(医者に)かかっていないとダメ。
④当クリニックの場合、初回で全部検査をする。脳は(ママ、脳波)、血液検査、心電図、心理テスト、さらに必要に応じてそれ以上の検査もすることがある。そのうえで薬が一番の処方となるので、薬も出す。
⑤なので、初回13,000円くらいかかる。また、診断書作成の場合はさらに5,000円をいただいている。だからうちは他と比べて高い。
⑥初回で診断書を出すかどうかは、院長先生との相談次第となる。
●求釈明3:乙8号証の1~3はいずれも清王寺クリニックが発行した診断書のようだが、診断結果を示すデータは添付されていたのかどうか、釈明されたい。
カ 第20段落及び第21段落(求釈明3まで)
不知。なお,求釈明3は,回答する必要性を認めない。
この時点で、診断書の3か月(7月14日~10月13日の91日間)と病気休暇期限の90日との間にタイムラグが生じたため、小島美帆は、自宅安静療養中の10月3日(火)に再びクリニックを訪れ、診断を受け「適応障害のため、引き続き、10月14日(日)~11月13日(月)の1か月間、安静療養を要する」旨の診断書の発行を受けた。そして、この診断書をもって、10月6日(金)に石田に提出したものとみられる。
キ 第22段落
訴外小島が10月3日に清王寺クリニックを受診したこと及び同クリニック中屋みな子医師が同日付の診断書を作成したことはいずれも認め,その余は否認する。訴外小島は, 訴外石田に対して,同診断書を提出していない。
石田は不倫相手の小島の便益を図るため、給料が減額されない90日ぎりぎりまで病気休暇とすべく、診断書とのタイムラグを埋める必要があった。そのため石田は10月6日(金)に、10月14日(土)・15日(日)の両日を病気休暇として認めるため、“主務係長・出先機関の長”として「石田」の押印をした。同日、主務部長・都丸が押印した。主務課長の平石は「後聞」だったため、おそらく後日になって、日付のない押印をした。そして、本庁の職員課長・角田が10月10日に押印をするとともに、なんと手回しよく同日付で、10月16日(月)~11月13日(月)まで29日間の休職命令を市長名で発令した(乙10号証の1)。
ク 第23段落
休暇等承認簿(乙9)に主務部長,主務課長,主務係長・出先機関の長,職員課長の各押印がされていること及び被告が訴外小島に対して,平成29年10月16日から同年11月13日まで休職を命じたことはいずれも認め,その余は否認する。
さらに、小島美帆は前回診断された安静療養期間の期限までまだ14日もあるのに、10月31日にクリニックを訪れて、11月14日(火)から年末の12月31日(日)まで48日間の安静療養の診断を受けた。そして、この診断書に基づいて、上司であり不倫相手の石田の判断で主務課長・主務部長の決裁をとり、職員課長に上程して、11月6日付で市長名の休職延長命令を発令させた(乙10号証の2)。
ケ 第24段落
訴外小島が10月31日に清王寺クリニックを受診したこと,同クリニック中屋みな子医師が同日付の診断書を作成したこと,及び被告が訴外小島に対して,平成29年12月31日まで休職を命じたことはいずれも認め,その余は否認する。
この時、クリニックとしても、適応障害を理由に、すでに4か月も安静療養しているのに、さらに1か月半以上もの期間、安静療養させることはさすがに不都合だと思ったのか、但し書きとして「職場復帰に向けてリハビリの出勤をすることは可能です」と追記した。だが、被告の職員課は躊躇なく年末までの休職を認めてしまった。
●求釈明4:被告はなぜ診断書の但し書きを無視したのか、釈明されたい。
コ 第25段落及び第26段落(求釈明4)
平成29年10月31日付け診断書(乙8の3)に,「但し,職場復帰に向けてリハビリ出勤をすることは可能です」との記載があることは認め,その余は否認する。
詳細は,「第3 被告の主張」のとおりであるが,訴外小島は,平成29年12月1日より,ならし勤務をしている。
そもそも、「適応障害」なる病気は、耐え切れなくなったストレスによってさまざまな症状が起きるとされている。それまで、職場において全くストレスがなったのに、石田との不倫行為がばれただけで、しかも謝罪の後「頑張ります」とほかの職員に言明した小島が、直後に突然、重篤な適応障害に陥ることはありえない。
仮に小島美帆が精神的な安定を欠く事態に陥ったとしても、これは自己の責任によるものであり、言わば、勝手に不倫をした挙句、自らの立場が悪くなったとして病気休暇を取得し、その間給料が支払われることは明らかに不合理であり違法不当である。
さらに驚くべき証言がある。それは病気休職中のはずの小島が元気いっぱいだったという目撃談である。平成29年10月26日に当時南橘公民館の職員だった茂木氏(現・南橘公民館長)が、勤務中にヤマダ電気へ行った際に、元気で散歩中の小島を見かけ、さらに小島からも声をかけられたという。そして、茂木氏が小島に「元気?」と問いかけたところ、「元気です」と小島は返答をしたとのことである。この目撃談は、同日、南橘公民館へ戻ってきた茂木氏が、同公民館職員に話しているが、茂木氏は「驚いたよ。小島さんすごい元気そうだったから」と言ったというから、よほど驚いたに違いない。
加えて仰天ものの情報もある。病気休暇・病気休職中に、小島は■■■の■■もしていたというのである。心身を病み、仕事も出来ない深刻な状況下で、■■■■■■から■■■■■■■■に■■■■いたとすれば違和感はぬぐい切れない。
●求釈明5:被告はこれらの事実を確認しているか。
サ 第27段落ないし第31段落(求釈明5まで)
認否及び求釈明に回答する必要性を認めない。
なお,第30段落の記載は,訴外小島の名誉またはプライバシーを侵害するおそれのある記載であり,原告の訴外小島に対する不法行為となりかねないことを付言する。
被告は小島美帆の「適応障害」の理由を「職場内のハラスメント(いじめ)によるストレス」ということで認識しているかもしれないが、だとすれば、それは事実を故意にすり替えられたものであると言わざるを得ない。なぜなら、職場で「いじめ」を受けていたとする人物とは思えないほど、小島美帆は宴会等においてはしゃいでおり、そうした写真も多数存在する(甲6号証)からである。トータルで5か月半、167日間に及ぶ病気休暇や休職の理由を「いじめ」等のストレスによる「適応障害」にすり替える事で、正当な理由に対して許されるべき病気休暇の取得や病気休職という分限処分がないがしろにされてしまってはならないはずである。
仮に小島が職場でハラスメントをうけたことが原因で心身の障害のひとつである「適応障害」となって職場勤務が無理だと診断され、被告が「病気休暇」を認めたとすると、もうひとつ矛盾点が発生する。それは平成29年7月12日に小島の夫が妻の職場である南橘公民館へわざわざ来て謝罪をした際、小島幹生は、ほかの職員に対し、謝罪に加えて感謝の意を伝えたからである。「皆さまのおかげで妻は石田との不倫に深入りする手前で防げた」という趣旨で「感謝をしたい」と語った(甲7号証)。通常、いじめを受けた職場にその親族が訪問して、職場のほかの職員に感謝の意を伝えるとは、到底考えられない。この点から考えてみても、小島美帆が「適応障害」だとして診断を受け、それを被告がうのみにして病気休暇措置やその後の休職処分をしたことには大きな矛盾が生じ、不正な病気休暇や病気休職だったことは明白である。
また、小島美帆の配偶者である小島幹生が、「小島美帆の病気休暇は、予め計画していた措置である」という趣旨であることを自ら認識していたことを仄めかす発言記録もあり(甲7号証)、前橋市職員でもある夫(甲8号証)も、妻の不調が「適応障害」の診断前に病気休暇の対象になるが確実視されるであろうことを認識していた可能性は高く、小島美帆の病気休暇は、被告による組織ぐるみの共同不正行為であったことは明らかである。
また、とりわけ石田健一を共同不正行為の当事者とする根拠としては、直属の上司として、また不倫相手として、また南橘公民館長として、小島美帆の時間外勤務と命令書(乙11)の所属長欄に「石田」の押印があること、また、休暇等承認簿(乙9)の決裁欄のうち「主務係長・出先機関の長」の欄には、直属の上司として、また不倫相手として、さらに南橘公民館長として、「石田」の押印があることから、石田健一の責任は重大である。
シ 第32段落ないし第35段落
原告の畢寛独自の見解であり,認否の必要性を認めない。
よって、被告は、共同不正行為を働いた両名から、損害を回収しなければならない。
ス 第36段落
争う。
2 病気休暇の取得手続きにおける不正
小島の病気休暇取得について被告は次のように主張する。
ア 法令上の根拠等について
前橋市職員の勤務時間、休暇等に関する条例(以下,「休暇条例」という。乙4)第11条は,職員の休暇として「病気休暇」を規定しており,休暇条例第1 3条は,病気休暇について,「職員が負傷又は疾病のため療養する必要があり、その勤務しないことがやむを得ないと認められる場合における休暇」と定める。
また,病気休暇を取得する場合,「任命権者の承認」が必要である(休暇条例第17条) が,病気休暇の場合,前橋市職員の勤務時間、休暇等に関する規則(以下,「休暇規則」という。乙5)第16条により,任命権者の承認は原則として義務づけられている。
そして,病気休暇の期間については,休暇規則第12条の表第2号において,90日以内と定められ,任命権者の承認を得て病気休暇している期間中の給与については,減額しない旨規定されている(前橋市一般職の職員の給与に関する条例(以下,「給与条例」という。乙6)第11条)。
イ 小島氏の病気休暇について
小島氏は,医師から 「適応障害」のため,「自宅安静療養を要します」(乙 8の1)との診断を受けているのであるから,「職員が負傷又は疾病のため療養する必要があり、その勤務しないことがやむを得ないと認められる場合」(休暇条例第 13条)に該当する。また,任命権者である被告の承認(乙 9)もあり,病気休暇の期間も平成 29年 7月 18日から同年 10月 15日までの 90日間と休暇規則で定められた期間内である。
そのため,前橋市が小島氏に対して,病気休暇中に支払った給与は,適法な支給である。
原告は次の通り反論する。
病気休暇の承認について、被告が承認時に判断した経緯について大きな疑義があることは前項1で指摘したとおりである。
まず、病気休暇の制度の概要について触れておく。病気休暇は、負傷又は疾病のために勤務に服することができない職員に対し、医師の診断等に基づき、最小限度必要と認められる期間、その治療に専念させることを目的とする有給の休暇である。ここで着目したいのは「最小限度必要と認められる期間、その治療に専念させることを目的」としていることである。
「負傷又は疾病」とは、身体的に不健康に陥っている状態、心身に故障のある状態をいい、これには「適応障害」などメンタルヘルスの不調が含まれると解釈されている。
地方公共団体において、給与、勤務時間その他の勤務条件は地方公務員法第24条第5項により条例で定めることとなる。ただ、国や他の地方公共団体との均衡を失しないように考慮しなければならず(同条第4項)、病気休暇についても国の制度に準ずるのが通常である。
なお、病気休暇又は分限休職処分からの職場復帰後のリハビリテーションを受けるような場合も、その期間を病気休暇と承認し得、これにより勤務軽減措置が図られることとなる。
●求釈明6:被告は小島が分限休職処分からの職場復帰後、どのようなリハビリを実施したのか否か、釈明されたい。
さて、病気休暇の期間は、国においては、人事院規則15-14第21条第1項により、除外日(生理日の就業が著しく困難である場合、公務災害若しくは通勤災害の場合又は人事院規則10-4に基づく勤務の軽減措置を受けた場合における病気休暇を使用した日等)を除き、連続して90日(週休日等を含む。)を超えることができない。
しかし、当初の病気休暇とは明らかに異なる負傷又は疾病のため療養する必要がある場合は、同規則第21条第3項又は第4項により、当初の病気休暇とは別に、病気休暇を取得することができる。この場合においても、取得可能期間は、当該明らかに異なる負傷又は疾病に罹った日から連続して90日を超えることはできない。
このことから、清王寺クリニックの診断書が、平成29年7月14日(金)から同10月13日(土)までの3か月計91日間だったのに、被告は平成29年7月18日(火)から同10月15日(月)まで小島の病気休暇を認めたのか、きわめて疑問である。なぜなら、小島は7月14日に「適応障害」の診断を受けたのであるから、当日は夏季休暇を取得したとしても、翌7月15日(土)から病気休暇を取得できるのであるから、10月13日(土)まで診断書記載の自宅安静療養期間に該当したはずである。
しかし、被告は、10月14日(日)と15日(月)を病気休暇として認めてしまった。このことにより、小島は実質的に、93日間の病気休暇を取得したことになる。よって、被告は、病気休暇の目的である「負傷又は疾病のために勤務に服することができない職員に対し、医師の診断等に基づき、最小限度必要と認められる期間、その治療に専念させること」に定められた「最小限度必要と認められる期間、その治療に専念させること」に違反し、不当な便益を小島に与えたことになる。
通常、90日間の病気休暇を終えれば、その時点でクリニックに赴き、その時点での病状をチェックして、その後の措置について、小島と任命権者との間で判断し決定するのが一般的だと思われるが、今回の場合、病気休暇が終わらない10月3日に、小島が一方的にクリニックを受診し、さらに1か月間(10月14日~11月13日)の安静療養の診断を受けており、本当に90日間の病気休暇が妥当であったのかどうかも含めて、大きな疑念を禁じ得ない。
(2) 2項について
被告の主張の引用箇所については認否せず,病気休暇の期間が連続して90日を超えてはいけないこと,及び被告が,訴外小島に対し,平成29年7月18日から同年10月15日まで病気休暇を承認したことは認め,その余の原告の評価,推測は争う。
被告が,訴外小島に対し,平成29年7月18日から同年10月15日まで病気休暇を承認したことに何ら違法はない。
また,求釈明6に関しては,「第3 被告の主張」を確認されたい。
3 病気休職について
小島の病気休職取得について被告は次のように主張する。
被告は,小島氏に対して,病気休暇期間に続く平成 29年 10月 16日から同年 12月 31日まで休職を命 じた(乙 10の 1,乙 10の2)。この休職命令は適法であるが、その理由は下記のとおりである。
ア 法令上の根拠等について
地方公務員法第28条第2項第1号は,「心身の故障のため、長期の休養を要する場合」には「その意に反してこれを休職することができる」と規定していることから,病気を原因とする休職も認められる。
また,休職期間について,前橋市職員の分限に関する手続及び効果に関する条例(以下,「分限条例」という。乙7)第9条第1項は,「3年を超えない範囲内において、それぞれ個々の場合について任命権者が定める。」と規定している。
さらに,休職期間中の給与について分限条例第10条第2項は,「休職者は、休職の期間中法令又は条例に特別の定めがある場合を除くほか、いかなる給与も支給されない。」と定めるところ,給与条例第23条第3項は,「職員が前2項1以外の心身の故障により法(地方公務員法のこと)第28条第2項第1号に掲げる事由に該当して休職にされたときは、その休職の期間が満1年に達するまでは、これに給料、扶養手当、地域手当、住居手当及び期末手当のそれぞれ100分の80を支給する(括弧内被告)。」と規定する。すなわち,私傷病による休職の場合については,給料の8割を支給されることとなる。
イ 小島氏の病気休職について
小島氏は,医師により,「適応障害」のため,「ひき続き H29.10. 14~H29.11.13の 1ヶ月間安静療養を要します」(乙8の2),「ひき続きH29.11.14~H29.12.31の間安静療養を要します」(乙8の3)と診断されていることから,「心身の故障のため、長期の休養を要する場合」(地方公務員法第28条第2項第1号)にあたり,被告の休職命令は適法である。
原告は次の通り反論する。
病気休暇の次の段階の身分取扱い上の措置となる「分限休職処分」とは、職員に職を保有させたまま一定期間職務に従事させない処分をいう。
地方公共団体において、任命権者は、地公法第28条第2項第1号により「心身の故障のため、長期の休養を要する場合」は、その職員に対して分限休職処分を行うことができるとされている。病気休暇と同様、心身の故障にメンタルヘルス不調が含まれるのは前述のとおりである。
メンタルヘルス不調の職員の発生による職場への影響を表す用語で「プレゼンティイズム」と「アブセンティイズム」というものがある。プレゼンティイズムは、職員が出勤しているもののメンタルヘルス不調により職務遂行能力が低下している状態を意味し、アブセンティイズムは、メンタルヘルス不調の職員が病気休暇や分限休職処分等により休業している状態を意味する。つまり、メンタルヘルス不調の職員の発生は、職場において、職務遂行能力の低下や休業による労働力の損失に加え、周囲の職員への負担増大という影響を及ぼす。言い換えると、メンタルヘルス不調による長期病休者数及び分限休職処分者数の増加は、病気休暇・分限休職処分を繰り返す職員の増加を示唆するものである。この問題点は、休業からの職場復帰後はプレゼンティイズム、休業期間中はアブセンティイズムの2つの側面を持つ。
病気休暇と分限休職処分のいずれによるか、また、病気休暇で療養中の職員をいつ分限休職処分とするか判断する場合、判例においては、「(地公法第28条)第2項第1号に定める私傷病休職の場合の処分事由が被処分者の状態等に関する一定の評価を内容として定められていることを考慮するときは、同条に基づく休職処分につき、任命権者には当該趣旨・目的に照らして合理的な裁量が認められるというべき」としている(大阪高裁平27・5・14判決)。このことから、病気休暇の残日数で賄いきれない長期の休業を要することが診断書等で明らかになった場合等は、アブセンティイズムの解消の観点から、速やかに分限休職処分を行うべきとされる。
地方公共団体において、分限に関する手続き及び効果は地公法第28第3項により条例で定めることとなる。そして、各地方公共団体においては、基本的に、国から示された条例案(昭26・7・7地自乙発第263号別表1。以下「分限条例案」という。)に基づき、分限に関する手続き及び効果が定められている。
「分限条例案」における分限休職処分の手続き及び期間に係る規定については、「分限条例案」第2条第1項では、心身の故障による分限休職処分の手続きについて、「医師2名を指定してあらかじめ診断を行わせなければならない」とされている。
医師の診断を要件とする趣旨は、心身の故障の認定を医師の医学的見地からの所見に基づく客観的判断に依拠させることによって、任命権者の恣意を排除し、職員の身分保障を図るためである。また、医師については、診断の信憑性の問題から、本人が任意に依頼するのではなく、任命権者が指定することとなる。
この観点から、病気休暇と異なり、分限休職処分を選択する場合には、心身の故障の認定を厳格に判断することが求められている。つまり被告は、小島の病気休職の承認に際して、しかるべき医師にきちんと診断させなければならない。
ところが今回の診断は、10月3日に本人が再度、清王寺クリニックを訪れて診断した結果、10月14日(日)から11月13日(火)まで1か月間の安静療養が必要だという診断書をもとに、10月10日(水)に被告が小島に対して10月16日(火)~11月13日(火)まで休職命令を発令している。
これでは、病気休暇の残日数で賄いきれない長期の休業を要するのかどうかが診断書等で明らかにできず、アブセンティイズムの解消の観点から、速やかに分限休職処分を行うことはできない。他方、心身の故障の認定を医師の医学的見地からの所見に基づく客観的判断に依拠させることによって、任命権者の恣意を排除し、職員の身分保障を図ることも不可能である。
●求釈明7:被告は、小島の病気休職の承認判断に際して、清王寺クリニックをいつ、どんな手続きで誰に指定させたのか。また、ほかにも指定した医師はいるのか。指定医師がもう1名いる場合、その医師は誰なのか、釈明されたい。
●求釈明8:被告は、小島の病気休職が平成29年12月31日で終結後、職場復帰に際して、どのような医学的見地から、復帰可能と判断したのか具体的な証拠を示して釈明されたい。
一般に公務員の長期病休者とは、公務災害又は通勤災害によるものと認定された者も含め、疾病等により、病気休暇、分限休職処分等休業の種類を問わず、休業30日以上又は1か月以上の療養者としている。このうち、精神及び行動の障害による長期病休者数、いわゆるメンタルヘルスに関する疾病として、「精神及び行動の障害(国際疾病分類ICD-10「疾病及び関連保健問題の国際統計分類:International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems 」第5章F)https://www.mhlw.go.jp/toukei/sippei/ がある。これは、脳の機能的な障害や器質的な問題によって生じるもので、代表的なものには、統合失調症、躁うつ病、神経症性障害、精神障害等がある。
平成27年度中の職員10万人当たりの長期病休者数は、全疾病の総数で2,406.9人であった。このうち、精神及び行動の障害による長期病休者数は、1,301.3人であり、平成26年度と比較すると61.8人(4.99%)増加し、また、10年前の平成17年度と比較すると約1.6倍となっている。長期病休者の疾病分類別構成比は、精神及び行動の障害の割合が54.1%と最も高く、その割合は年々増加し、平成24年度から連続して50%を超えて推移しているといわれている。
次に、地方公共団体における分限処分者の状況であるが、そもそも、分限処分とは、公務能率の維持及びその適正な運営を確保する目的で、職員の意に反して行われる不利益処分であり、免職、降任、休職、降給の4種類がある。
地方公共団体において、各任命権者は、地方公務員法(昭和25年12月13日法律第261号。以下「地公法」という。)第27条第2項により、一定の事由がある場合に限り、分限処分を行うことができ、このうち、免職及び降任は地公法で定める事由がある場合、休職は地公法又は条例で定める事由がある場合とされている。この地公法で定める事由とは、地公法第28条で次のように規定されている。
[1]免職(降任)
・勤務実績が良くない場合(第1項第1号)
・心身の故障の場合(第1項第2号)
・職に必要な適格性を欠く場合(第1項第3号)
・職制等の改廃等により過員等を生じた場合(第1項第4号)
[2]休職
・心身の故障の場合(第2項第1号)
・刑事事件に関し起訴された場合(第2項第2号)
●求釈明9:被告は、小島に「病気休職」処分を課した際に、なぜ免職(降任)などを選択肢として検討しなかったのか。また、小島の意に反した不利益処分であることを、どのように本人に説明し確認したのか否か、釈明されたい。
(3) 3項について
被告の主張の引用箇所については認否せず,その余は認否の必要性を認めない。
また,求釈明7ないし求釈明9については,回答の必要性を認めない。
4 被告による虚偽公文書変偽造および行使の疑いについて
前項1~3で原告が陳述したとおり、被告のコンプライアンス軽視の実態は目を覆いたくなるが、今回、被告が証拠として提出した小島美帆の時間外勤務にかかる「29年度6月分時間外勤務等命令簿」(乙11号証)や、同じく小島美帆の病気休暇・病気休職にかかる「29年度休暇等承認簿」(乙9号証)の記載内容が、実際の出来事を果たして正確に反映しているかどうか、はなはだ疑問があるのも事実である。
(1)「29年度6月分時間外勤務等命令簿」について
そもそも、時間外勤務等命令簿は、時間外手当の算定に必要不可欠な文書であるが、それ以前に、労働時間の適正な把握のために、その取扱いは極めて慎重に行わねばならないことは、公金を扱い、市民の税の滞納に対して全国トップレベルで厳しい対応をとっている被告にとって、十分承知のはずである。
ところが、被告が提出した乙11号証をみると、次の経緯が反映されていないことがわかる。なぜなら当時の南橘公民館の庶務担当の別の職員が、小島美帆がホタル祭りなど、ただ遊びに来ているようなものまでドシドシ時間外手当をつけて申請していたことを咎めて、「この時間外手当はおかしいんじゃない?」と小島美帆本人に指摘をしたところ「彼(石田)が、やってる事なんで…」と言いながらブチキレ気味に時間外申請に二重線を引いて消したことがありますが、そのことが反映されていないからです。
そのため、当時の記録を調査したところ、小島美帆が6月10日(土)の提示後から19時30分まで「ほたる祭り用務」と記載した項目を自ら二重線を引いた「29年度6月分時間外勤務等命令簿」(甲9号証)が見つかった。
この2つを見比べると、筆跡から見ると、甲9号証のほうは石田健一のものと思われるが、被告が乙11号証として提出したものは、筆跡が異なっていることがわかる。この日付は、おそらく小島美帆と思われるが、なぜこのように同じ命令簿で全く異なる文書が存在するのであろうか。
原告は、この背景として、原告が事務局長を務める市民団体「市民オンブズマン群馬」が、石田健一による印章偽造を端緒として、さまざまな不正行為が行われていたことを追及し始めたため、南橘公民館を舞台にした不正事件が重大化するのを懸念し、被告が後で小島美帆本人に書き直させたものであると推認する。
そもそも時間外勤務命令等は、急を要する等、業務処理上真にやむを得ない場合に限り、職員の健康を充分配慮し、命令権者の勤務命令により行わなければならない。そのため、小島美帆の直接の命令権者である石田が命じたものを本人の小島美帆が取り消したわけだから、その経緯は正確に反映されたものが原本として保存されているはずである。
ところが、乙11号証を見ると、どうやら小島美帆がすべて書き直したことがうかがえる。また、「石田」の印章についても、甲9号証と乙11号証とではその文字の太さや、「田」の字の中央部にある「十」の字と周囲の「□」の隙間が微妙に異なっており、改ざんされた経緯が垣間見える。
こうした公文書の改ざんは、石田健一による印章偽造事件でも確認されているが、今回の訴訟事件で、被告が自らこのような改ざん書類を提出してきたことは極めて重大であり、原告は別途、被告への法的手段が必要であると思料する。
●求釈明10:なぜこのような虚偽公文書が被告の組織内部でまかりとおっているのか、その原因究明と責任の所在明確化、そして再発防止策について、被告の見解を質したい。
(4) 4項について
本件訴訟と関係のない主張であるため, 認否しない。
第3 まとめ
こうして、石田健一と小島美帆との不倫行為が明るみになるや否や、小島美帆は平成29年7月14日(金)に休暇を取り、清王寺クリニックで「適応障害」の診断書を取り、7月18日(火)に病気休暇申請をし、同日より以降、実に同年12月31日まで5カ月半に及ぶ病気休暇と病気休職を取得した。
しかし、小島美帆が精神的な安定を欠く事態に陥ったとしても、これは自己の責任、いわゆる自ら巻いたタネによるものである。しかも、「今後は業務に頑張ります」と謝罪宣言をしたにもかかわらず、実際にはほとぼりが冷めるまで、職場を離れることを意図して、クリニックで診断書を取得した。さらに不倫相手でもあり小島の直属の任命権者である石田が、勝手に承認印を押した小島の休暇等承認簿を、その上の上司である主務課長・主務部長はもとより、被告の職員課長まで、うのみにして承認印を暴捺してしまった。
こうした人事管理のずさんさは、先日発生した被告の建設部道路管理課職員によるさいたま市で起きたストーカー殺人という凶悪犯罪者まで生み出す結果さえもたらしてしまった。
納税者である前橋市民対しては、税金が定められた期限までに納付されない場合、原則として法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じて、利息に相当する延滞金が被告から自動的に課され、さらに督促や差し押さえ、そして無申告加算金や重加算金も課されることになりかねないのである。
ところが、被告の職員が共同不法行為を働いで、時間外手当や病気休暇手当、病気休職手当をせしめても、それらの返還を迅速に求めようとしないばかりか、遅延損害金を課そうというつもりもないことが今回の事件で判明した。
被告には猛省を促すとともに、職員の人事・業務管理をきちんと実施し、2度と石田や小島のように、役所や公民館を使って時間外勤務中に不貞行為を働くような不良職員を一掃し、再発防止策を構築するよう強く要請したい
3 「第3 まとめ」について
認否の必要性を認めない。
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第2 平成31年4月15日付け原告準備書面(2)及び令和元年5月28日付け原告準備書面(2)に対する認否
第1 請求1について
本件の不法行為の態様は石田健一および小島美帆という複数加害者が共同して、時間外である平成29年6月18日の日曜日に前橋市千代田町中央通りアーケードの前橋中央イベント広場で10時から15時まで開催された前橋地域づくりフェスタにおいて、配偶者と子供を連れて参加した小島美帆に対して、石田時間外勤務手当が「10:00~12:00」分が支給されており、これは不倫相手の石田健一が任命権者として、小島美帆に対して、実態を知りながら意図的に印を暴捺し、不正に手当てを騙し取ったものである。
甲10・11号証のとおり、石田と小島が「地域づくりフェスタ用務」を理由に時間外手当を共謀して騙し取ったイベントである「地域づくりフェスタ」は、10:00~15:00まで開催されており、公務で参加したのであれば、10:00の開会式から15:00の閉会式まで会場に留まるのが普通である。また、甲10・11号証にもあるとおり、「南橘」公民館では、「体験ブース」として「地区リユース品無料配布【南橘】」を、「物販・飲食ブース」として、「廃油石鹸販売【南橘】」を行っており、小島がこれらの業務支援の為公務に従事したと、被告が見做しているのであれば、なぜ、午前中2時間のみで、しかも配偶者と子供連れで公務が可能なのか、きちんと説明が必要であり、当然、これらを公務として認めなかった監査委員に対しても、同じ説明をしたはずである。しかし被告は、「監査委員の事後判断」などと主張したことから、被告前橋市自体が、石田と小島の共謀に加担したということができる。
原告準備書面(1)にも述べた通り、小島美帆は、この地域づくりフェスタの担当者ではなく、わざわざ休日出勤をする必要もない事は明らかであるので、誰がみても不自然な出勤であった。
本来の担当者は石田健一と出勤しており、南橘公民館の職員からも「なぜ、担当者が出勤しているのに、担当者以外が休日出勤をして時間外勤務手当を受給するのだ?」との声も上がった。
こうした不自然で不適切な時間外勤務手当の不正承認は、小島にとって直接の任命権者である石田と、その不倫関係にあった小島美帆との間でそれまでにも多年にわたり頻繁に行われており、本件請求1もそのひとつであった。この背景には、石田健一が小島美帆との不倫関係を維持したいとする強い意図の存在があり、他方、小島美帆も、館長であり不倫相手として好意を寄せていた石田の不正承認を当然視したと推認される。
したがって、本件は石田・小島両名による共同不正行為であり、小島の時間外勤務手当の返還に加え、遅延損害金として、不法行為者の両名に対し、手当の支給日からの支払済みに至るまで年5分の割合による金員をそれぞれ等分した金額の賠償を求めるべきである。
被告は第2準備書面で「小島氏が悪意の受益者でないこと」として「1 小島氏は,自ら「時間外手当等命令簿」(乙11)に必要事項を記入して時間外手当を申請し」としているが、確認印の欄も所属長の欄も「石田」の押印であり、第3者によるチェックが為されていない。
さらに被告は「小島が善意の受益者である」として、その根拠として「小島が業務と認識していた」ことを挙げ、「前橋市監査委員が,小島氏が地域づくりフェスタに参加したことについて労働時間にあたらないと判断したことは,あくまで前橋市監査委員の事後の判断であり,地域づくりフェスタ参加時及び時間外手当申請時における小島氏の認識とは関係ない」などと主張するが、前述のとおり笑止千万である。事後の判断が間違いであれば、監査委員の存在は不必要ということになり、先日、埼玉県おおみや市でストーカー殺人を起こした職員を雇用していた被告ならではの見解と言える。
石田と小島は、平成29年6月末までに作成された「29年度6月分時間外勤務等命令簿」(乙11号証ないし甲9号証)の作成において、上記の違法に報酬を得るために、部下の小島が虚偽の申請を行い、所属長の石田がそれを虚偽と知りつつ承認印を押印したものである。石田と小島は互いに不倫関係にあったことから、一方の小島は不貞行為を承諾することで石田の歓心を買い、併せて報酬を得るために、他方の石田は、不貞行為に応じた小島との不倫関係を引き続き維持することを目的に、休日のイベントに家族とともに遊びに来た小島に対して、午前10:00~12:00までの2時間を公務として装い、公金から報酬を小島に得させるべく承認印を暴捺し、時間外手当をだまし取ろうとしたものである。
この場合、共同不法行為者は、互いに不倫相手同士であることから、各自に主観的要件である「故意」が具わっていることは明白であり、その態様からこの不法行為者間に意思の共通(共謀)または共同の認識があったことが強く推認される。
そもそも、時間外勤務等命令簿は、時間外手当の算定に必要不可欠な文書であるが、それ以前に、労働時間の適正な把握のために、その取扱いは極めて慎重に行わねばならないことは、公金を扱い、市民の税の滞納に対して全国トップレベルで厳しい対応をとっている被告にとって、十分承知のはずである。
ちなみに、石田健一の場合、平成28年12月28日に当時南橘公民館長として職場の女性職員に対して、忘年会の席上、嫌がる同職員に対して強制的なわいせつ行為を行い、令和元年5月15日に事件番号:平成31年(わ)第124号、事件名:強制わいせつ事件として起訴された事案の第1回公判が前橋地裁1階1号法廷で開かれた。
この事件では、平成28年12月28日に強制わいせつ行為の被害に遭った女性嘱託職員が、その後、館長の石田健一に抗議し続けた。ところが、加害者である石田健一は館長の立場で、抗議を続ける被害者の女性嘱託職員を含め、南橘公民館の職員全員に対して、「本庁で人員削減会議が開かれ検討中だ」という内容のメールを送りつけた。石田の強制わいせつ行為は、職場の職員にもひろく知られていたことから、被害者の女性嘱託職員はもとより、他の職員も、「館長に逆らうと、いつクビにされかねない」と脅威を覚えたことは容易に想像がつく。そのため、被害者の女性嘱託職員が、その後平成30年秋頃警察に相談することを決意するまで、1年半もの間のインターバルが必要だったことからも、その間強いられた葛藤の深刻さを物語っている
このような石田健一の態様は、南橘公民館長の立場で、不倫行為同意等自らのいう事を聞く小島美帆のような職員には、違法不当な時間外手当申請の容認と当該不当手当支給手続のように“破格”の優遇を与える一方で、強制わいせつ行為を受けたことで粘り強く館長の石田健一に抗議をしたり被告の職員課に被害相談をしたりする女性嘱託職員のように言うことを聞かない者には解雇をチラつかせることによって、自らに対し従属させることを意図していたのである。つまり、アメとムチを使い分けて部下の女性職員を管理していた。
このため、石田健一がこれまでに起こした印章偽造、飲酒運転、上記のセクハラ行為(強制わいせつ行為)と、本件事件の時間外手当不正支給および病気休暇・休職不正取得は、公民館長の職位を利用し、そうした違法不当な行為や、本件挙動不法行為など、まさにやりたい放題だった職場環境状況と密接に関係しているのである。
こうした状況下で、嫌がらない女性職員である小島美帆と石田健一の間には、「俺のいうことをきけばこうして優遇がうけられるぞ」と他の女性職員らにアメを見せつけ、小島美帆としても館長に優遇されることで時間外手当等の便宜供与を受けられるという相互にメリットを感じていた事実があったからこそ、持ちつ持たれつの関係により共同不法行為を続けられていたのである。
第2 請求2について
本件の不法行為の態様は石田健一および小島美帆という共同不法行為者が、自らの不貞行為が職場の他の職員らに発覚したことで、石田健一及び小島美帆が結託して、小島美帆を職場から逃避させようと意図し、その理由付けとして、あたかも小島が精神的ストレスを患っているかの如く装わせクリニックの医師の診断を受け、どのような手を使ったのかは定かではない者の「適応障害」の診断書の取得をしたことから、その診断書の提出を根拠として、石田健一が小島美帆の29年度休暇等承認書(乙9号証)の休暇等期間に「29.7.18~29.10.13」と自ら記載し、病気休暇、さらには病気休職まで認めることで、小島との共同不法行為である不貞行為を他の職員の目から隠蔽するために、不当に長期の有給休業を許可したものである。
この背景として、小島美帆が石田との不倫を、同じく市職員である配偶者(夫)に知られてしまったこと、石田健一がその状況を勘案し長期休暇・休職を不倫相手の小島に与えることで小島の配偶者に配慮したことは明白で、不倫同士のこうした思惑が、虚偽の休暇等承認書を共謀して作成に至ったことは明らかである。
小島が受診したクリニックによれば、診断に際して、ストレスチェックのほか、心電図や血液検査など客観的手法で診断しているとしているが、小島が石田に提出した診断書(乙8号証)を見る限り、そのような具体的な診断データが添付してあったのかどうかは確認できない。
なお、小島は、長期休暇中に元気な姿を目撃されている。2017年10月26日に当時南橘公民館の職員だった茂木氏(前・南橘公民館長。石田の後任)が、勤務中にヤマダ電気へ行った際に、元気で散歩中の小島を見かけ、さらに小島からも声をかけられたという。そして、茂木氏が小島に「元気?」と問いかけたところ、「元気です」と小島は返答をしたとのことである。この目撃談は、同日、南橘公民館へ戻ってきた茂木氏が、同公民館職員に話しているが、茂木氏は「驚いたよ。小島さんすごい元気そうだったから」と言ったというから、よほど驚いたに違いない。
加えて仰天ものの情報もある。病気休暇・病気休職中に、小島は第2子の妊娠もしていたというのである。心身を病み、仕事も出来ない深刻な状況下で、謝罪の気持ちから夫との子づくりに勤しんでいたとすれば違和感はぬぐい切れない。
最後に重要な事実を指摘しておかねばならない。
石田健一と小島美帆の共同不正行為にかかる被告の関与のことである。なぜならば、小島美帆の配偶者(夫)の小島幹生も被告前橋市役所職員である。小島幹生は、被告の副市長ないし部長クラスの、いわゆる被告前橋市役所の上層部と知り合いである。
小島幹生は、配偶者(妻)小島美帆と南橘公民館館長の石田健一との不倫関係が発覚した直後、その知り合いである被告の上層部のところへ相談に行っている。
この相談の件は、南橘公民館の当時の職員らが、当事者の小島幹生からも、小島美帆からも聞いており、まぎれもない事実である。
配偶者(妻)小島美帆の不倫が世間に対して明るみになることによるダメージ(さらに言えば配偶者(夫)小島幹生自身へのダメージも含む)を最小限に抑えるため、被告の上層部により、早い段階で何らかの対処方針が策定され、そのシナリオ通りに病気休暇およびそれに続く病気休職を取得したものと思われる。
このことについては、原告がその準備書面(1)のページ2/13~13/13において、乙9号証や乙10号証の分析等を通じて推認できる事項を詳述したとおりである。
被告がなぜこれほどまでに小島美帆を組織ぐるみで守っているのか、その理由が原告の乙9号証や乙10号証の分析等を通して、浮き彫りになったと言えよう。
なお、小島美帆は、平成29年後半において、病気休暇ないし病気休職の期間中に妊娠し、平成30年初頭に職場に復帰したが、半年後に産休、そしてその後育児休暇を現在も取得中とみられる。
以上のように、被告前橋市は、石田健一と小島美帆の共同不法行為により、そして被告はそのことを知りつつ加担したかたちで、損害を増大させたのだから、速やかに、せめて当事者である両名に対して、連帯して損害を回復させなければならない。
原告の主張は争う。詳細は,以下に述べる「第3 被告の主張」のとおり。
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■以上のとおり、前橋市役所は異常なほど、不倫職員らを庇うための反論に固執していることが分かります。「フリンは文化だ」などと騒がれたタレントもいますが、まさに前橋市役所では、「不倫のどこが悪い」という組織内規程があり、もはやコンプライアンスに合致していると主張しているに等しい有様です。
石田健一は既に前橋市役所の職員課のアドバイスにより、強制わいせつで起訴される前に自主退職して退職金を満額得ており、その後前橋地検で起訴された後、現在公判中で、6月28日(金)午後4時半から前橋地裁1階1号法廷で判決言い渡しが行われる予定ですが、前橋市役所のイメージダウンに貢献した元職員を、前橋市はなぜこうも庇わなければならないのでしょうか?まことに不可思議です。
また、被告第2準備書面の「被告の主張」はウソだらけのしろもので、よくぞ、ここまで不良公務員を正当化できるものだと、驚きを超えてあきれ果ててしまいます。なるほど、職員がストーカー殺人を起こすのも、このような組織ではむべなるかな、だと前橋市民ならずとも、県都前橋市を擁する群馬県民としても、情けない思いでいっぱいでしょう。
なお、次回第5回口頭弁論は、7月3日(水)午前10時から前橋地裁2階21号法廷で開催されます。ぜひ、都合のつく読者諸兄は傍聴に足をお運びください。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
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