■1日目の公聴会が続きます。
【議長】 次は、竹本弘幸さんから公述をしていただきます。竹本さんは壇上に上がり、公述人席に着いてください。また、公述人からは起業者への質問の希望がありますので、国土交通省関東地方整備局の方も壇上に上がり、起業者席に着いてください。
(公述人・起業者登壇)
【議長】 準備はよろしいですか。
【公述人(竹本)】 ちょっと待ってください。
【議長】 現在の時刻は3時17分です。ただいまから公述を開始し、30分間で終了するようお願いいたします。また、終了の10分前、5分前、1分前に呼び鈴で合図するとともに表示によりお知らせしますので目安にしてください。なお、終了時間までに終了しない場合には公述の中止を命ずることとなります。プロジェクターを使用しますので、少し照明を落とします。 それでは公述を開始してください。どうぞ。
【公述人(竹本)】 竹本と申します。群馬県について、30年ほどずっと地形及び地質あるいは火山災害について調査してきた者です。今回は、国土交通省が公式に出している書類を検討しまして、かなりひどいということがわかりましたので、そのことを中心にお話ししたいと思います。また同時に、長野原町の方が今後、受けるであろう被害、あるいは想定される土砂災害について、具体的にお話をしたいと思います。では始めます。
実際に八ッ場ダムというのはどういう場所かということから、まず始めます。ちょっと文章にまとめました。吾妻渓谷は、強酸性で熱水変質作用を受けた脆弱な地盤と急峻な地形で構成されています。この山間地の生活地盤というのは、実を言うと浅間山の山体崩壊物によってつくられています。簡単に言ってしまえば、崩れ落ちてきた土砂でできています。この土砂は、吾妻川が深い谷を刻むことによって地下水面が下がりまして、実際に水で飽和した状態から脱し、地すべりという危険状態から脱したのが事実です。結局、そこにまた水を張ると逆のことが起こるという極めて単純な話なのです。こんなことを平然とやってのける国土交通省の方々を私は理解できないというのがまず第1点です。
次にダムを造ることで想定されることを、ざっと7つ挙げました。簡単に言うと、上流のほうでは河床勾配が変わってしまいますから、側方侵食が起こります。今、長野原草津口駅前の川のところで、側方浸食を防ぐための工事をやっていますけれど、実際にダムができれば側方浸食が進むだろうこと。それから、何より一番心配しているのは、応桑層は崩れ落ちてきた土砂ですから、当然これは崩れてしまうということ。崩れるということは、ダムは埋まり機能しないということになります。3番目として、場所によっては崩壊土砂によって湖面津波が起きるだろうこと。4番目、これはダム湖の埋積ですから、当然、砂防機能などは落ちてしまいますから、下流都県にとってみれば土石流災害を発生させるものをためるだけです。そして、集中豪雨や火山噴火が起これば、当然、吾妻川の下流、利根川について大きな影響を与えるだろうこと。しかも、利根川の河床の河床上昇は逆に、群馬県、埼玉県、下流域の洪水被害、こういうものに大きな影響を与えるだろうこと。水質悪化の問題や空ダムの影響について今回は触れません。
次に、実際に八ッ場ダムの堆砂量に関して国土交通省が提示しているものを検討しまし た。実際にどういう部分で不正な情報操作が行われてきたか挙げます。1番として堆砂量。 堆砂量を計算する選定地がでたらめであること。それから火山性黒ボク土に関する記述が 嘘であること。さらに浅間火山側の排出土砂量を排除しています。それから浅間山の噴火 実績も排除しています。八ッ場ダムを運用中に浅間山が噴火しないことが前提になってい ます。
2番目、火山噴出物量実績を排除しています。防災計画を見ますと、実際に泥流が発生した場合、1億トンというものがありますから、これを防ぐためにはダムが機能する、水位を下げていれば止められますよという話なのですけれど、天明噴火の時は、それ以上の降下軽石がありましたから、泥流が流れてくる前にダムは埋まります。このことは知っているはずです。
実際に、八ッ場ダムの堆砂量試算にどういう点で問題があるか述べます。まず堆砂量を考える上で、活火山2つを流域に持つ八ッ場ダムと地質条件が共通する近傍ダムなどはありません。ないにもかかわらず、さもあるかのように報告をしています。それから、一番私がおかしいなと思ったのは、ウォッシュロード効果という表現です。ウォッシュロード効果については、この地域では特殊な火山性黒ボク土が分布しており、これは流せるのだという話です。群馬県の火山を調査している私からすれば、随分インチキなことが書かれているなと。実は群馬県の黒土層は全部、火山性黒ボク土です。では、実際に火山性黒ボク土が流れ込んでいる霧積ダムはどうか。霧積ダムでは堆積しています。ですから、この記述は明らかに虚偽であると言えます。
そして3番目として、流域最大の土砂供給源の浅間山の噴火実績。これは全部排除しています。これをもし入れた場合には、運用している間、1,750万立方メートルの不正操作がばれてしまいます。このように極めて悪質なデータがずっと並んでいます。結局、堆砂量試算を計算上、減らすために、いろいろやっていたということがわかりました。
実際にもっとわかりやすく言うと、では1つの例として霧積ダムをとってみます。霧積ダムは、浅間山からの距離がほぼ八ッ場ダムと近い関係にあります。流域面積は、八ッ場ダム上流域で707㎢です。一方霧積は20.4㎢です。それで、計画比堆砂量というのがありまして、八ッ場の場合は1平方キロ当たり245立方メートル/年、霧積は196立方メートル/年という計画比堆砂とあります。もうこの時点で、このデータ自体が偽りだというのは、皆さんお気づきだと思います。八ッ場ダムの流域面積が霧積ダムの35倍もあるにもかかわらず、計画比堆砂量/年がこんなに小さいわけがないわけですね。それでも100歩譲りまして、では霧積ダムの実績堆砂量はどうであったか。実績は716.6立方メートル。つまり計画から比べますと3.65倍堆積したという事実があります。では八ッ場ダムの堆砂容量はどこをもとにして計算しているのか。これは吾妻川ではなくて、草津白根山側の白砂川及びその上流にある小さな尻焼温泉だと思うのですが根広第一堰堤。この2つを利用しまして、全部引き伸ばして流域面積35倍に相当する堆砂量を出していたわけです。その結果の計算が1,750万立方メートルです。私は、受け入れがたいのですけれども、霧積ダムの分の実績を受け入れて計算をしてみますと、6,330万立方となります。つまり、この計算でいっても、八ッ場ダムは、浅間が噴火しなくても埋まってしまうという数値になります。
次に、この画像は、具体的な場所がおわかりになるようにと思いまして作成しました。堆砂基準がこのような、草津白根山側の根広とか白砂川第一堰堤で行っていました。本来であれば、八ッ場ダムの上流域の各支流河川から来る土砂量を全部計算した上で出さなければいけないのですけれども、それをやっていません。つまり、この話自体が全てあり得ない、意図的なものであるということです。
この画像は、セントヘレンズ火山の噴火の様子です。このように山体崩壊を起こしますと、膨大な土砂量が供給されます。右側は、そのセントヘレンズの噴火のときにどういうことが起きたか。これが吾妻渓谷だと思っていただければいいです。2万4千年前にはこういう状態になっていました。
国土交通省の人に最初の質問です。こういう土砂ダムというのが豪雨の際にはできます (2012年の土砂ダム事例の画像を提示しながら質問)。このような土砂ダムができた場 合に最も有効な災害防止策を1つとその理由を答えてください。大体、1分もかからない 答えで結構です。
【議長】 起業者側、お答え願います。もしあれでしたら座って公述されていただいて結構です。
【公述人(竹本)】 はい。
【議長】 回答をお願いします。
【起業者(藤原)】 八ッ場ダム工事事務者の藤原と申します。ご質問に対してお答えいたします。さまざまな土砂災害があるので、有効な対策はケース・バイ・ケースになりますが……。
【公述人(竹本)】 このことだけにお答えください。土砂ダムができた場合に最初に何をやるかということです。
【議長】 司会が発言を許してから発言をしてください。今の、聞こえたと思いますけれども、今の点について端的にお答えください。
【起業者(藤原)】 このような天然ダムが形成された場合には、事前にダムの貯水量を下げておくことによって、天然ダムによる段波を捕捉することができると、3・11、震災を踏まえた今後の治水システムに関連する知見、情報の整理でもうたわれております。
【議長】 では公述人、続けてください。
【公述人(竹本)】 今のは答えになっていないのですけれど。いいです。その程度の認識しかないということはわかりました。結構です。それで、実際にこのような現場、ここにダムを建設するとどんな被害が発生するでしょうか。一応、そちらの答えを想定して書いておきました。これで正しいでしょうか。
【議長】 ご質問ということですか。
【公述人(竹本)】 そうですね。
【議長】 画面を見ていただきますけれど、これについて正しいかどうかというご質問です。
【起業者(藤原)】 八ッ場ダム工事事務所の藤原と申します。
【議長】 名前は言わなくて結構ですので、すぐに答えてください。
【起業者(藤原)】 先ほどと、繰り返しになりますが、同様の回答とさせていただきたいと思います。
【公述人(竹本)】 同様の回答?
【議長】 ちゃんと答えてください。
【起業者(藤原)】 事前に、下流にダムがある場合には。
【公述人(竹本)】 下流にダムはありません。この状態になった場合にという話をしています。それで、もし仮にここにダムをつくるとどういうことが起きますかということを聞いています。
【議長】 すみません。土砂ダムができたときの対策としてどういうものが適当かということを聞かれているということですか。
【公述人(竹本)】 そうです。もう、日本全国どこでも起きることですから。
【議長】 それで、それに加えて、その下流部にダムがあったとするとどういう状況が 起こるかということのご質問ということですか。
【公述人(竹本)】 ダムをこれからつくるとすると、ここで何が起こるかということを聞いています。
【議長】 はい、ではそれについてお願いします。
【公述人(竹本)】 こんな基本的なことも答えられないのでは、起業者として不適切です。
【起業者(小宮)】 では、八ッ場ダム工事事務所、小宮と申します。今の……。
【公述人(竹本)】 答えはここに書いてありますよ。
【起業者(小宮)】 ちょっと今、私が答えますので。今、田辺市、あと十津川村、あとこっちの田辺市熊野ということで、河川工学者の回答例というようなことが出ています。それで、今のご質問はこれが正しいかどうか。それで、我々、関東地方整備局の八ッ場ダムの起業者として、今ここに公述している立場ですので、直接それらの点について、現在のところお答えは……。
【公述人(竹本)】 これは一般論ですよ。
【起業者(小宮)】 持っていないというところでございます。
【公述人(竹本)】 情報がないわけですね。国土交通省としては……。
【議長】 では公述を続けてください。
【公述人(竹本)】 国土交通省としては、こういう土砂ダムができたときに、対策がとれないということですね。一般のこういう崩壊土砂がたまった場合には、まず土石流災害を防ぐために水を抜きます。崩壊した土砂についても、ここにダムをつくって水を張ったら再流動してしまいますから、これは避けます。これは河川工学、土砂災害のイロハのイです。それで、もう一度、皆さんの正式な回答をここに書いておきました。実際にこういうことが起きると、土石流災害とか洪水災害がありますから、これを防ぐために水を抜くということ。そして飽和した土石を除去します。理由は単純です。崩れやすくなった地盤を安定化させるためです。これでよろしいですね。
【議長】 ご質問の点については、もともとのご質問の要旨の2番ということで、出されていたものについてのご回答ということですけれど、これについてのご回答はどういうことだったのでしょうか。いいのですか。
【公述人(竹本)】 いえ、彼らの話で、答えられないというのはよくわかりましたし、この程度のことも理解していないということがわかりました。
【議長】 では公述を続けていただきます。
【公述人(竹本)】 質問3として、実を言うと、応桑岩屑なだれ堆積物が流下してきた直前の浅間山の噴出物は何ですかという質問をしました。
【議長】 では、これについてお答えください。噴出物の認識いかんということですね。
【起業者(藤原)】 応桑岩屑流堆積物の流下直前の浅間山の噴出物は、現在の黒斑山周辺で確認されている地質の成層構造から、安山岩を主体とする溶岩や火山砕屑物等からなるものと認識しております。
【議長】 公述を続けてください。
【公述人(竹本)】 ありがとうございました。今の回答は全部うそです。これは、実を言うとプリニー式噴火といって、軽石噴火している最中に崩壊していますから、直前のものはBP軽石です。ここ(事前提出資料)に答えも書いてあります。実際に、これは立馬地区のところの林層と言われている基盤のところをはいおりている応桑層です。吾妻川流 域ですと、岩屑なだれの下に必ずBP軽石が入っています。現地で全部、確認しています。 実際に中之条でも、応桑層の下では地滑りが起きています。
次に応桑層の特性を説明します。ここに粒度分析と水浸変形実験のデータが出ています。私はこの表を見た途端に衝撃を受けました。なぜかというと、この時点で、応桑層の性質を全く知らない人がサンプリングし、分析した結果を公表していたからです。それから、サンプルを水につけた場合、変形率、大体20センチぐらいのピースをとって、30センチの板に載せ、水漬けにして、それを押して潰した実験結果です。これらの変形率を20メートル換算で、わずか4.8ミリとか8.4ミリしか変形しないという、極めて不可解な結果を表示していました。これも、応桑層の性質を全く理解していないということがこれでわかりました。実際に、この状態でダムをつくりますと、どういうことが起こるかというと、1つには過去の事例として、やんば館の裏のところで応桑層の堆積面がありましたが、これは現在の道の駅のところのすぐ下ですけれども、ここで堆積面が一気に崩れ落ちています。これは深層崩壊というのですけれど、こういうことが起きています。実際にこれから湛水しますと、応桑層の下に引いているBP軽石がすべり面になりまして、応桑層が、ひどい場合は一気に崩れる可能性があります。もちろん、初めから一気に崩れるというよりは少しずつ崩れていくと思いますけれども、地震動が伴った場合は、これは崩れます。そうすると、その時点で、地元住民の方の生活基盤が奪われてしまいます。
次に、先ほどもお見せした粒度分析がいかにいかがわしいかということを、画像でお示しします。サンプリングされた同じ川原畑のところで検証してみました。川原畑では強溶結の火砕岩といって、これは、浅間山の山頂部で実際に堆積したものですから、これはもう固結していますから、このようなものをサンプリングし水漬けにしても変形はしませんし、ほとんどしません。溶結した火砕流もそうです。しかし、こういう通常の固結しない火砕流、降下スコリア、降下火山灰、土壌層ブロックなどを皆さん想像してみてください。水漬けにして指で押しただけでも変形します。変形することが当たり前なわけです。こういうことすら、この起業者は理解していないということです。そして分析データもでたらめだったということです。
次に、応桑層についての特性を把握していないにもかかわらず、どういうことを考えたのだろうと。あの数字からすると、応桑層は、均質な火砕岩で、固結しているというような認識だと思います。実際はそうではないということが、今の画像でおわかりになったと思います。
起業者は、このような地すべり対策として、排土工法、押さえ盛土工法、杭工法、アンカー工法の4つを提示してきました。
排土工法:巨大なメガブロックの場合とか岩盤クリープの場合には有効性があります。しかし、水につけると崩れる。簡単に言えば、おにぎりを水につけてゆらせば崩れるのと同じです。そんなものに排土工法をしても意味がありません。
押さえ盛土工法:全体にやった場合、応桑層の分布しているところ全部にやらなければなりませんから、これは貯水量が激減します。
杭工法:これもブロックでできていますから、どこにそのブロックがあるか把握していなければ杭を打つ意味がありません。
アンカー工法:これはpH1から3の強酸性の地域ですと、ここでもし仮にアンカーを打った場合に、果たして耐えられるかどうかということですね。それも問題があります。
次に、応桑岩屑なだれの流下に伴って形成された不透水層だとか地すべり面の存在認識があるかどうか心配になり、各有識者会議委員に証拠資料をつけて書類を送りました。実際に、ダム計画に疑問を持っている方たちはすぐ反応されましたけれども、ほかの方たちは反応しませんでした。つまり、彼らは認識がないのです。これは、私が送った証拠画像(有識者会議委員への送付記録)です。有識者会議のメンバーの多くの人に送りましたけれども、彼らはこういう認識がありません。そういうメンバーで構成されている会議でした。
では、長野原の人たちがどこに気をつけたら良いかということを検証してみました。例えば、応桑層が実際に堆積する各所の中で、3つの層準ですべり面が存在する可能性があります。特に石畑・川原畑・上湯原・林地区の皆さんは、この点についてぜひ注意してほしいということ。それで実際に災害が発生した場合は、長野原町の方の生活基盤を奪う可能性があります。実際にこの指摘を受けながら、今の起業者の回答でおわかりのように、彼らは地盤について全く理解していない。有識者会議のメンバーの中にも、そういうことをわかっていない人たちで構成された会議でした。ですから、こういうことが起こりますよという指摘を念頭に入れた上で、災害が発生したときには全部この方たちに責任を負ってもらうように、この指摘を担保して計画を進めるように起業者に言ってください。
次に、皆さんにわかりやすい画像を使って、実際にどのように地すべり面ができるかということをお話しします。これは、応桑層のすぐ下の部分です。先ほど私は、BPという軽石が下に敷いていますよとお話ししました。これはどこへ行ってもこのように敷いています。この地層は、粘土化しています。画像で気がつくと思うのですけれど、ここに変な丸い球があります。これは上にあるこの小さなブロックの重みでもってへこんでいる場所です。ここがくぼんでいます。そして、この茶色くなっているのは地下水位が上下したことにより出来たものです。少なくとも、応桑層の下には2つの層準で、間違いなく、この部分が地すべり面になる可能性があるということです。
先ほど私は応桑層自体を、おにぎりに例えましたけれど、水につかると崩れやすいという事例があります。これは湖面3号橋の林地区側のところです。付帯施設をつくろうと穴を掘った場所です。ところが、その穴を放置していまして、水がたまったところ、崩れてしまったのです。慌てて、国土交通省がここに石垣を組んで、崩れ防止と同時に水抜きのパイプを入れていました。また、大雨が降ったときに崩れたのもここにありますけれど、この状態はそのまま放置されています。つまり、想定されることというのは、水で飽和すると崩れるというのが現実に目の前にあるということです。
それから、皆さん忘れてならないことは、吾妻渓谷は連続雨量120ミリで道路・鉄道が停止します。その背景には、何といっても応桑層の存在が大きくて、崩れやすいからです。JRもここに鉄道を引いていますけれども、大雨が降ると止めます。もう一つ、注目すべきものはこの部分です。河川沿いの崖でありながら不自然に出入りに富んだ崖があります。これは、実を言うと全部、ブロック崩壊を起こした爪痕なのです。これは、たまたま、吾妻川が一生懸命、谷を掘ってくれたので崩壊が止まっただけなのです。ここに水を入れて応桑層が飽和すれば、同じことを繰り返すことになるでしょうということです。湖面津波の津波の発生についてはちょっと複雑なので、この程度にしておきます。
つまり、応桑層が水によって飽和することで膨張したり、凍結・融解を繰り返せば、当然、ばらばらと崩れ始めていきますし、ひどい場合は一気に崩れてしまうということが、この仕組みでわかるわけです。
この画像は、応桑層の堆積面をプロットしたものです。本来はずっと平らでないといけ ないものですね。ところが、この地区ではきれいにずり落ちてしまっています。これは、 既に応桑岩屑なだれが、地すべりや崩壊を起こしている証拠です。この位置まで下がって しまっているわけです。熱水変質帯とぴったり一致しているところで落ちていることがわ かります。それよりも、吾妻川が谷を掘った後は、起きていないわけです。つまり、この ような場所でダムを造り湛水すれば、これはまた動き出しますよということが、これでお -32- わかりになるかと思います。
実際に、この周辺部の地形をもう一度、調べました。先ほど触れたやんば館の裏、そし て上湯原のこちら側にも実を言うと深層崩壊の地形があります。それから、八ッ場ダム工 事事務所が初めに「蛇行地形」だと、うその事実を公表した部分について言えば、地すべり 土塊が動いたために河道も同様にシフトしたということがわかっています。何よりも、こ ちらの立馬側の堆積面、平らな部分と、こちらの上湯原の堆積面が、実に50メートル以 上も食い違う落差があります。ここでの高さの食い違いだけでも、これが地すべりだとい うのがわかります。
今お話しした仕組みというのはこういう形でまとめられます。今現在、安定しているの は、応桑層の水を切ってくれているおかげで助かっているわけです。熱水変質帯やBP軽 石という、まさにビニールシートではないけれど、すべり面になり得るもの、降った直後 に、おにぎりに例えると、非常に凝集力の乏しい応桑層が谷を埋めているという状況です。 そんな中で、吾妻川が一生懸命に谷を刻み、地下水面を下げてくれた結果、今の生活地盤 が安全な状態になっている。ただし、応桑層は、地震や大雨が降ると崩れるということが あります。八ッ場ダムを造り湛水した場合、想定されることは、飽和と地震動で、ダムが 埋まってしまいますよということがあります。
国土交通省が当時の連立政権に対して提出した極めて悪質な回答書がここにあります。3・11のタスク報告書と、民主党に提出した部門意見書です。実を言うと、この2つの文書の記述が異なるのです。1つは、上湯原について、タスクフォース報告書では崖錐堆積物、民主党に対しては、これは以前の記述のまま、「川の蛇行地形」であると報告しています。しかし、実態は両方とも間違いです。そういうことが書いてあります。
そこで、私が質問したかったのは、この報告書の中で述べられている「応桑岩屑なだれについて見解を述べた専門家」は、誰か教えてくださいという質問をしました。どなたですか。
【議長】 ただいまの質問についてご回答願います。
【起業者(藤原)】 回答させていただきます。八ッ場ダムの地すべり等の検討については……。
【公述人(竹本)】 応桑岩屑なだれの専門家は誰ですかと聞いています。
【起業者(藤原)】 国立研究開発法人土木研究所の助言を得ながら進めてきており、応桑岩屑なだれ堆積物に係る報告や回答に不備があったとは考えておりません。
【議長】 公述人、公述をお願いします
【公述人(竹本)】 では、その方は応桑岩屑なだれについての研究発表や論文がありますか。
【議長】 起業者側、追加的な質問ですけれども回答できますでしょうか。
【公述人(竹本)】 私はそれについて聞いているわけですから。組織について聞いているわけではありません。いるならいる、いないならいない。
【起業者(小宮)】 お答えいたします。今、土木研究所のダム、地質、地すべり等の専門家と答えているので、ご質問、論文があるかというのは……。
【公述人(竹本)】 人物です。それでは、質問に答えられないということですね。
【議長】 個人名まではお答えできないということですか。
【起業者(小宮)】 個人名までは差し控えさせてください。
【公述人(竹本)】 その方は論文もありますね。後でちゃんと調べますよ。
【議長】 すみません。ちょっと公述をお願いします。
【公述人(竹本)】 これは、まさにその質問なわけです。個人名は答えなくてもいいですけれども、ちゃんとあるかないかを聞いているわけです。
【議長】 論文があるかどうかを聞いておられる。
【公述人(竹本)】 そうです。研究発表や論文があるかどうかを聞いています。あるかないかで結構です。
【起業者(小宮)】 今、お答えについては……。
【公述人(竹本)】 お答えできないということですね。
【起業者(小宮)】 はい。
【公述人(竹本)】 それでは、結構です。
【議長】 では公述人、続けてください。
【公述人(竹本)】 そうしますと、八ッ場ダムについて言うと、先ほど触れたように、6,000万から1億立方メートルなのですけれども、鎌原は1億立方メートルだという話をしていました。しかし、先ほど言ったように、天明の噴火の軽石層はそれを超えてしまうのです。ほかの過去のB軽石、C軽石、ほかのでもこれは埋まってしまいます。つまり、事前に泥流対策になるんだ、防災対策になるんだというのも、これは破綻しているわけです。両方考えなくてはいけないわけですから、3・11以降、これぐらいのことは考えなくてはいけないにもかかわらずやっていないということですね。つまり、この防災論そのものも機能していないということです。 -34-
実際に繰り返された上湯原の不正なデータについてお話しをします。先ほど出した図です。実際に立馬とこちらでは、こんなに高さが違います。でも実際に埋まったのは、この堆積物の分布でわかっています。防災研についても、これが地すべりだということをちゃんと認定していますし、路頭でも見つかっています。いろんな証拠がありまして、地すべりと認定しているにもかかわらず、片方では蛇行地形、片方では崖錐というふうに虚偽の報告をしています。これはもう明らかにうそが書かれているわけです。実際にこれは国土交通省の出してきた地質断面図です。古い地層が新しい地層に乗り上げていますが、国交省はこれを河川が蛇行した地形だといって証明したとしていますが、実態は、自分たちの提示した証拠資料が逆に「地すべりを証明」しているわけです。群馬県も同じように把握しているにもかかわらず、「地すべりではない」というふうな認識です。蛇行地形が崖錐となって偽装された上に、こういうものを住民に全く説明しなかった、県、JR、有識者の責任というのは大きいと思います。このお三方、こういう事実を見ながら、フィールドを歩いて確認していれば、絶対にこんなものを承認するわけがありません。何らかの意図があったとしか思えません。
次の画像は、新駅前工事のところの事象です。これは新駅前で見つけた、岩屑なだれが地すべりを起こして逆傾斜している様子です。こちらに向かって応桑層の堆積面が傾斜しています。山は画面の右手ですから、応桑層がクリープしていることがこれですぐわかります。左の画像を見てみますと、軽石の上にこういうブロックがあります。これが地震性の崩落だというのは、水で運ばれた場合、火山灰自体、摩耗されてしまうわけですが、塊のままあるということは、がさっと崩れたことをあらわしています。一方、右の画像が土石流です。古墳時代以降、この場所でかなり頻繁に土石流が発生していることもわかります。
地すべり面というものについて、ボーリングをしても認定できないという話をしていますけれども、現場でちゃんと実例が出ています。
この画像を見ると、面に沿ってきれいに湧水があります。これに対して対策を打っていると言いながら、パイプを打っていますけれど、パイプを打ちながら、周りで全部、漏水しています。つまり、この対策自体が全く機能していない。谷に水が流れずに尾根の先端で水が出ています。これも地すべりである証拠です。この証拠に対して、私はこれを提出していますけれども、起業者は違うということを言っている。極めて悪質です。
次の画像は、国道のほうから見た上湯原の様子を示しております。本来この高さにあるべき応桑層の堆積面が、この位置まですべり落ちているということです。それに加えて、この背後に崖錐堆積物があります。地すべりが起きた場合、崖錐が一緒になって襲ってきますから非常にリスクが高いです。それから、冬場になると凍結・融解が、春先もそうなのですけれども、落石が降ります。落石は、高さ1に対して到達距離は3の関係ですから、高さ300メートルあれば900メートルまで到達しますから、防災対策を考える場合、駅前にちゃんと落石対策の工事をしなければいけないのですが、それをしていません。それからもう一つ重要な点は、この斜面堆積物は、実はこの崩壊を抑えるための押さえ盛り土の役割をしているのです。それにもかかわらず、駅前の敷地を確保したいために、この崖錐を今、除去しています。極めて矛盾する工事をしています。
次の画像は、浅間山についてです。これは、私の学位論文ですけれども、浅間山は大体、1回のステージで10立方キロメートルの降下物を噴出するのですけれど、今、前掛期で既に3立方キロメートル噴出しています。この中を見ていきますと、大体、周期で言うと300から800年なのです。早川由紀夫さんの研究している草津白根山では1,000年周期。これらの噴火実績を考慮すると、大体、この八ッ場ダム運用期間中には、噴火が起こることを想定しておかなければいけないのですけれど、それをしていないのです。しかも、先ほどあげた有識者の人たちは、軽石だけでもダムが埋まりますよというデータを送りましたけれども、一切、反応はありませんでした。結果的に見ると、ここは、こういった災害は、ダムをつくると全部増してしまいます。現地再建するのが一番安全ですよということが1つです。
私は特にこの中で、長野原町の方たちのことを考えてみると、このダム計画を進めた場合に災害が発生した際には、速やかに中止してほしいと願っています。何十年にもわたってだまされ続けていたわけで、踏んだり蹴ったりです。これからも土砂災害のリスクを背負わなくてはいけないというのはひど過ぎますので、それでもダムをつくり湛水試験をやって、ちょっとでも崩れたら、申しわけないですけれど、全部、ダムを撤去してください。ただし、その撤去は、長野原町の中小の土木関係者の皆さんの手で、もとへ戻すようにやってください。外部発注だとか大手に出さないでください。
それから、この事業を進めた官僚の人たち、ダム推進の有識者委員全員を処分するなり罷免してください。どういう人たちかというと、ここに挙げておきました。利根川・江戸川河川整備計画の会議に出た際に、捏造氾濫図とか、もういいかげんなものを全部認めたのは小池さんです。それを取り仕切ったのは宮村さんで、地元の大学の清水さんです。彼にはきれいに情報をあげました。しかも、私の学位論文を【カスリーン台風の報告】で引用していますから、彼にはちゃんと、こうですよと、懇々とデータを挙げましたけれど、一切、反応はありませんでした。全て仕切ったのは泊さんと宮村さんですね。ちゃんと反応してくれた有識者のメンバーはこのお三方だけです。極めて悲しい状況です。以上です。 (拍手)
【議長】 終了ということでよろしいですか。
【公述人(竹本)】 では、まだ少し時間があるのならお話をしておきましょう。
私自身は災害について研究していますので、その地域についてよくわかっているつもりでいます。しかし、私みたいな人間には一切、声をかけずに、民間コンサルに丸投げをして、そして起業者の方も、今質問してわかったのですけれど、全く、このデータに関しても全て事前にお渡ししているわけです。私からすれば検閲されているようなものです。それを1週間、2週間も前に渡しておきながら、それについてさえ勉強もしてこない。それで堂々とここに出てきて答えている。信じられないというのが率直な意見です。
それから、先ほど最初の陳述の方で、公共性がゼロだと言いましたけれど、私は公共性はゼロではなくてマイナスだと思っています。マイナス50でも100でもいいです。それほどひどいことが今、推し進められています。皆さんは公務員です。公務員は我々が税金で雇っているわけですから、そのことを考えていただきたい。多くの方たちがこれで不幸になっているわけです。とにかく地元の人たちを助けてあげてほしいということ。下流にこんな迷惑になるようなものをつくらないでいただきたいというのが私の訴えです。よろしいでしょうか。あと一分ありますか。
もう一つ言うと、実を言うと、昭和6年になるのですけれども、北埼玉地震というのがありました。これは埼玉で起きた地震ですけれども、吾妻渓谷では、実に50カ所、石垣が倒壊しています。そして山崩れが200カ所もあります。それについて全く考えてもいない。そういうことに対しても非常に腹立たしい。3・11以降、一体何をやっているのですかということが1つ。
もう一つ加えると、これは裏話になりますけれど、3・11のタスクフォース報告に当たって、私の恩師で、国際火山学会までやった先生を途中で呼びとめまして、彼に国土交通省は何をやったか。この場は八ッ場ダムを議論する場所ではありません。大規模な火山活動についての話をしてください。くぎを刺していますね。しかし、実際にタスクフォースの報告書を見てみますと、八ッ場ダムは安全ですという項目がしっかり入っているわけです。先生は、裏切られたような思いをされていました。少なくともそういうことはやめていただきたいと思います。以上です。
【議長】 時間になりましたので。ありがとうございました。速やかに降壇してください。(拍手)
(公述人・起業者降壇)
【議長】 次は、篠原憲一さんから公述をしていただく予定でしたが、篠原さんご本人から公述の辞退の通知がありましたので、次の開始時刻でございますけれども、若干、公述が早く終わられた方、また辞退の方がいらっしゃいましたけれども、後の日程でまだいらっしゃっていない方がいらっしゃるということですので、もともとのスケジュールの予定どおり16時40分から再開することといたしまして、それまでの間、休憩とさせてい ただきます。
( 休 憩 )
【議長】 それでは、公聴会を再開します。次は、遠藤保男さんから公述をしていただ きます。遠藤さんは壇上に上がり、公述人席に着いてください。また、公述人からは起業 者への質問の希望がありますので、国土交通省関東地方整備局の方も壇上に上がり、起業 者席に着いてください。
(公述人・起業者登壇)
【議長】 準備はよろしいですか。
【公述者(遠藤)】 はい、どうぞ。
【議長】 起業者側、準備はよろしいですか。 現在の時刻は4時40分です。ただいまから公述を開始し、30分間で終了するようお願いいたします。また、終了の10分前、5分前、1分前に呼び鈴で合図をするとともに表示によりお知らせしますので、目安にしてください。なお、終了の時間までに終了しない場合には公述の中止を命ずることとなります。プロジェクターを使用しますので、少し照明を落とします。それでは公述を開始してください。
【公述者(遠藤)】 遠藤保男と申します。よろしくお願いいたします。これから意見陳述を始めさせていただきます。
内容は、八ッ場ダム事業はその経過から見て極めて不当な手法が用いられていたこと、それからその必要性がもはやないこと。それからもう一つは、八ッ場ダムは完成したとしても、水位変動でダム湖周辺の崩落を引き起こす可能性が高くて、代替地住民に日常的な不安を与える。こういうようなことで、中止を求めます。
八ッ場ダム事業の経過であります。八ッ場ダム事業は1952年にその構想が発表されて、それから17年後に群馬県が正式にダム建設を発表したわけです。それから20年もたって、町長と知事が生活再建案について覚書を締結すると。それまでに20年もかかっているわけです。それから、その翌年には河川予定地指定をしております。河川予定地指定をすると、自分の家を直すにも建て直すにも新築するにも国交省に届け出が必要なのです。極めて当人たちにしてみるとやりにくい状況になってきたわけです。それから、2001年に利根川水系八ッ場ダム建設事業の施行に伴う補償基準というのが、水没五地区の連合体の補償交渉委員会が調印しております。これによって、個別補償の交渉が開始されました。2005年、代替地の分譲基準交渉で川原湯地区も合意して、それから2年たってから代替地分譲手続が開始されたということであります。非常に時間がかかっているということです。そして現在は、代替地がほとんどできているのですけれども、そこの人工造成地の安全性の不安が極めて高まっているということで、水没予定地住民あるいは自治体にとって、こんなとんでもない迷惑なものはないという視点で話を進めさせていただきます。
2005年につくられたビデオがありまして、それは「住民が迫られた理不尽な選択」 という題名です。これをちょっと見ていただきたいと思います。 (ニュースの映像放映)
【公述者(遠藤)】 こういうような状態で、現地再建方式、ズリアガリ方式と言われていますけれども、そういう形でダム推進に移っていったという経過があるわけです。なぜそういうような選択をしなくてはならなくなったのかということでありますけれども、ここにありますように、これは道路です。狭い道路、狭いまま直しませんとか、あるいは修理しなければならないところが生じても、なかなか修理をしないとか、あるいは川もそうです。災害が起きて、それで川の補修をしなくてはならなくなっても、なかなか手をつけない、直さないということです。そういうような行政圧迫がありました。
ハードの面だけではなくて、こういう行政圧迫もあったのです。路線バス。これは、今はこのバスを見かけることはないのですけれども、これは長野原行きのバスですよね。ここに川原湯の温泉街の郵便局があります。バスは廃止されるし、郵便局は格下げになって、それで業務が縮小されていくというような。ハードからソフトまでどんどん嫌がらせというか不便な状態を強いられていく。そういうようなことで生活が成り立たなくなるというような状態に陥って、それで条件をつけて合意せざるを得なくなっていったというのが実態であります。その条件は何かというと、極力、住民たちの犠牲を少なくするということが大前提でありまして、そこで出てきたのが現地再建方式、自分たちの住んでいるところをそのまま湖ができたならば、湖畔の上に上げて、そのまま集落を上げていくと。ズリアガリ方式ですね。そうやって地域社会を保とうとしたのです。地域社会の平和を保とうとして、そういう選択をしていったわけです。しかしながら、その思惑が全く外れてしまったというのが現実であります。
人口がどんどん減るのです。(スライドのグラフを指して)上の方は川原湯で、下の方は川原畑の人口です。ここでガクッと減っているのは、補償基準が調印されたのが2001年ですね。だけど補償基準が決まったのだけれども、代替地がないわけです。移っていくところが。代替地で地域再建をするのだと言っていたのに代替地ができていないわけです。代替地ができていないから、みんな、さっさといなくなってしまったと。先が見えないということでね。それで人口がどんどん減っていったということであります。
そういう視点で整理してみますと、川原湯温泉街をはじめ340世帯が完全に水没すると。最初からそれがわかった計画なのです。それに対して、もちろん断固反対と、長年の反対運動が続きました。彼らが常に言っていたのは、首都圏に住む人々のために何で水没地に住む住民が犠牲にならなければならないのかという疑問です。怒りですね。これは『都市の理論』という本も出ていますけれども、何で地方が大都市の犠牲にならなければならないのかという、当時、この問題が大変な問題になりました。それで合意させるために、先ほど言いました行政圧迫を加えていって、無理やり同意させられていく。それで同意して、ズリアガリ方式の採用を求めたわけですけれども、それにオーケーが出たわけです。だけど、そのオーケーを出したときに、安全性や実現性がどこまで確認されていたのかというのが、当時、最初から大きな問題になります。それで、水没予定地の住民にダム計画を受け入れさせるための道具でしかなかったのではないかというふうに世間では言われております。さらに住民にとってひどいことは、先ほどのビデオにもありましたけれど、補償基準を代替地の分譲価格の単価の基準にしてしまっていることです。ですから、土地をたくさん持っていた人は、補償金でそれなりの代替地を手にすることができますけれども、土地を持っていなかった人は住みつけなくなってしまったのです。出ていくしかなくなってしまったということで、これが大きな痛手になっています。それで住民流出が続いたわけであります。人口が減少して限界集落化して、存続の危機にあると。それからもう一つは、人工造成地の安全性の不安がある。ですから、現在の残された住民の皆さんは、こういうような状態にあるので、これ以上ひどい状態にさせては絶対いけないというのが、今日言いたいことです。
八ッ場ダムは不要なのですよね。ここで、嶋津さんが調査された結果を借用させていただいていますけれども、八ッ場ダム受益予定地の上水道の1日最大給水量は1992年度以降、減少の一途をたどりまして、20年間で200万トンも減少しています。工業用水も同様で、80万トン減少しています。そうすると、合計で280万トン減少したことになります。八ッ場ダム開発水量(スライドには143トンと書かれていますが、正しくは、143万です。これは「万」が抜けています。)のほぼ2倍に相当しているのです。「水がないから八ッ場ダム」と言ったときの、必要だと言った143万トンの倍も水の需要が減っているのです。こういうような現実から、八ッ場ダムはもはや利水上、全く必要ない状況にあると判断して構わないと思います。
その次に治水です。治水も、1998年の洪水がありまして、その洪水は過去65年間で最大の洪水であります。そのときの八斗島の水位が堤防の天端よりも4メートル以上も下を流れていました。この洪水は何かというと、70年に1回の洪水にほぼ等しいと。それで4メートル下を流れていたということは、河川構造令で、堤防の余裕高が1万トン以上のところは2メートルとなっています。だから、2メートルの余裕高プラス2メートル。それだけ余裕があったということなのです。ほぼ70年に1回の洪水が、余裕高プラス2メートルの余裕もあって、水位に余裕があったということから、70年に1回の洪水は、もう十分に流すことができると。よって、治水安全度1/70を目標としている利根川の河川整備計画から八ッ場ダムは削除するのが妥当であると考えます。
もう一つは、これは吾妻渓谷の写真ですけれども、吾妻渓谷を道路の上から眺めていると、こんなに細くなっているところがたくさんあるのです。要するに、天然のスリット形のダムになっているのです。だから、流量調節機能はこの渓谷自身が十分に持っているということであります。
さらに、八ッ場ダムは危険であるということですね。先ほどの報告にもありましたけれども、八ッ場ダムは極めて危険であります。地すべり等の心配がたくさんあるということであります。奥西先生が、八ッ場、この調査に関して、「過去の地すべり履歴のある傾斜面については現状の安全率を1.0と仮定することになっていると。マニュアルではね。それで、八ッ場ダムに限らず、ダム事業者の多くはこれを逆手にとって、現時点で滑動していない斜面は安全率が1.00よりも高く、地すべり地とみなさなくてもよいとの考え方に立って、対策工事の仕分けをしているように思われる」と指摘されています。「このような考え方は安全性の原則に反し極めて危険である」という指摘をされております。
まとめは、先ほど最初に書いたのと同じでございます。この3点です。よって中止することを求めます。それで質問でございます。たくさんあるのですけれども、まず八ッ場ダム水没予定地住民が、何で大都会の犠牲にならなければならないのか。理由があるとするならば、起業者はその理由を具体的に述べていただきたいと思います。どうぞ。
【議長】 1番の質問だと思いますけれども、起業者側、お願いします。
【起業者(藤原)】 回答させていただきます。まず地元住民の皆様には、八ッ場ダム建設事業の計画発表から……。
【公述者(遠藤)】 そういう話は時間の無駄です。やめてください。
【起業者(藤原)】 それでは、八ッ場ダムは、首都圏を抱える利根川の流域の洪水被害を軽減させ……。
【公述者(遠藤)】 それもやめてください。
【起業者(藤原)】 流域住民の生命及び……。
【公述者(遠藤)】 それもやめてください。
【議長】 ちょっと……。
【公述者(遠藤)】 私が聞きたいのは、大都会の犠牲にならなければならないのかという話をしているのです。
【議長】 今、では……。
【公述者(遠藤)】 時間をとめてくださいね。答えが悪いから時間がかかっているのですから。
【議長】 時間をとめるかどうかは私のほうで判断しますけれども、ただいまの質問は、1番の、犠牲になる必要があるのかということで、今、必要性の話をされようとしているのですね。ではそれを答えてください。
【起業者(藤原)】 では続けさせていただきます。八ッ場ダムは首都圏を抱える利根川の流域の洪水被害を軽減させ、流域住民の生命及び財産の保全を図るとともに、1都4県、新たな水道用水及び工業用水……。
【公述者(遠藤)】 すみません。とめてください。答えになっていない。とめてください。
【議長】 では公述人、質問が違うということですので、質問をしてください。
【公述者(遠藤)】 都会が必要とするのはいいですよ。だからといって、水没予定地の人たちが犠牲にならなければならない根拠を教えてください。
【議長】 では起業者側、お願いします。
【起業者(藤原)】 八ッ場ダム建設事業の検証に係る検討においても、平成22年9月に検証を開始し、予断を持たずに行うという基本姿勢のもとで、今後の利水対策……。
【公述者(遠藤)】 それももういいです。そんなのはみんなわかっています。やめてください。時間の無駄です。
【議長】 では質問をお願いします。
【公述者(遠藤)】 大都会の犠牲になぜならなければいけないのですか。なってもいいのですか。どうぞ。
【起業者(藤原)】 繰り返しの説明になりますが、八ッ場ダム建設事業の検証に係る検討において、平成22年9月に……。
【公述者(遠藤)】 ではいいです。わかりました。答えられないということですね。そういうふうに認識します。
【議長】 では公述人、次に質問を続けてください。
【公述者(遠藤)】 ではその次。八ッ場ダム水没予定地住民と長野原町はダムに反対することで生活ができなくなってきました。それはどうしてでしょうか。1960年から65年にかけての話です。思い出してください。
【議長】 では起業者側、回答してください。2番の質問ですね。
【公述者(遠藤)】 はい。
【起業者(塩谷)】 では2番の質問について答えさせていただきます。地元住民の皆様には、八ッ場ダム建設事業の計画発表から60年の長きにわたり多大なる不安と苦労を… …。
【公述者(遠藤)】 それもやめてください。
【議長】 すみません。回答については端的に回答していただければ結構ですので、前置きみたいな説明は不要だと思います。ではお願いします。
【起業者(塩谷)】 現在、付替道路等の生活再建事業及びダム本体建設工事を実施しているところですが、これも一重に地元住民の皆様や……。
【公述者(遠藤)】 それもやめてください。
【起業者(塩谷)】 長野原町の皆様が苦渋の選択をいただき……。
【公述者(遠藤)】 それもやめてください。ただの宣伝でしかないからやめてください。
【議長】 すみません。とまってください。公述人も回答の途中であれのときは、趣旨はわかりますけれども、私の整理も聞いてください。
【公述者(遠藤)】 はい。
【議長】 今の点につきましては、生活できなくなったのはなぜかということについて、 彼らは多分、生活関連事業をやっていますという答弁をしようと思っているのだと思います。それについて、もしコメントがあれば公述人からお願いします。
【公述者(遠藤)】 生活再建事業をやりますと言っているのは全然おかしいでしょう。ダムに反対することで生活できなくなっていったのはなぜかという質問ですから。
【議長】 先ほどの、例えばバスが廃止になったとか、幾つか事例も出されていましたけれども、ああいうふうになったのはなぜかという質問だと思われますので、それについて、起業者が原因なのかどうかはよくわかりませんけれども、起業者側としての見解があれば答えてください。
【起業者(塩谷)】 現在、関係住民で組織するダム対策委員会で、ダム湖を中心とした地元の生活再建と地域振興の実現に向けた取り組みを実施しています。八ッ場ダム事業はダム本体と生活再建が車の両輪として進めることが重要で……。
【公述者(遠藤)】 それでは話にならないでしょう。
【議長】 起業者側、回答をとめてください。公述人、追加で質問等があれば言ってください。
【公述者(遠藤)】 要するに答えられないということだというふうに、また整理させていただきます。その次。ズリアガリ方式を採用したわけですけれども、そのときに技術的な保証はとれていたのですか。どうぞ。
【議長】 では回答願います。
【起業者(塩谷)】 回答します。宅地及び付替道路等の公共施設を構成する八ッ場ダムの代替地区については、昭和55年に群馬県が地元に提示した生活再建案が基本となっております。その段階で詳細な検討等は承知していません。
【公述者(遠藤)】 承知していないということですね。皆さん、承知していない。これは大事なことなんです。承知もしていないでズリアガリ方式でいきましょうと約束したんです。これでは説得するための材料でしかないじゃないですか。だまし討ちもいいところですよ。それで20年もたっているのですよ。20年じゃないな。60年からだから、もう30年。今、ちょっと頭がぼーっとしているけれど。
【起業者(塩谷)】 いいですか。では続きがありますので。
【議長】 続けてください。
【公述者(遠藤)】 要するに、きちっとした解析や検討をしたかはわからないということですね。ほんとう、怖いですね。それから、ダム湖になって水位変動が繰り返されると、周囲の傾斜地で崩落が起きることがあると言われております。私もそう思うんです。中の説明は時間がないのでやめておきます。起業者は科学的な根拠に基づいて、もし斜面崩落が起きたとして、最大でどの程度の土の量がダム湖に崩落すると考えますか。いろんなところが一度にバッと崩れた場合です。最大で何トンぐらいの崩落があると予測されますか。
【議長】 ご回答願います。
【起業者(藤原)】 回答させていただきます。八ッ場ダムの建設による湛水に伴う地すべり対策については、これまで地質や地すべり等の専門家の助言を得ながら最新の全国共通の技術指針に基づき……。
【公述者(遠藤)】 それもやめてください。それもわかっています。ちょっととめてください。時間の無駄です。
【議長】 崩落したときに最大でどれぐらいの量が崩落すると見込んでいますかという質問ですので、その数字みたいなものを答えていただければ。
【起業者(藤原)】 必要な地すべり等の対策を、専門家の助言を得ながら講じることとしておりますので、ダム運用後のダム湖に崩落する土砂の最大量を算定することは予定しておりません。
【議長】 ないということですか。
【公述者(遠藤)】 ほら。これもないのでしょう? これが怖いんですよ。イタリアのバイオントダムと同じことになるとは私も思いませんけれども、同じ扱いをしてはいけないと思いますけれども、だけど最大でどんなような災害になるのかというのは予測しなければいけないというのが3・11の教訓でしょう? 違いますか。
【議長】 ご質問ということでしょうか。ではただいまの……。
【公述者(遠藤)】 ええ。答えられないのだから。
【起業者(藤原)】 現時点においては、地すべり等の対策を検討する上で対象としている土砂量は、八ッ場ダム建設事業の検証に係る検討、地すべり等の対策工にお示ししている八ッ場ダム貯水池内地すべりの評価の概査結果一覧表及び八ッ場ダム貯水池内未固結堆積物斜面の斜面再評価結果一覧表に示した地すべり等の規模によると、約1,985万立米となります。なお、今お示しした数値については、現時点において地すべり等の対策検討の対象としているブロック範囲内の土砂量であり、ダム湖に崩落する土砂量を示したものではありません。
【議長】 公述を続けてください。
【公述者(遠藤)】 そうすると、最大で一度に落ちる量を想定した場合に約2,000万トンになるということですね。そういうふうに考えていいということですね。違うのですか。
【議長】 ご回答願います。
【起業者(藤原)】 崩落する土砂量の最大量を算定しているわけではありませんので、先ほど説明したとおり、対象としている地すべりブロックの範囲内の土砂量を今回はお示ししたものであります。
【公述者(遠藤)】 わかりました。そうすると、そちらが対象としているところはあまりにも狭いんです。少ないんです。1.0以上のところを対象としないわけだから。その1.0の扱いが全然間違えているというふうに奥西さんは指摘されているわけです。そういうふうに考えたならば、もっともっと今の……細かい話はやめましょう。今のは何? 間もなく終了? それから、あとは水道水源に不足を来していると言うけれども、もうそんな実態は全くないと。それを認めないならば、科学的根拠とともに数値をつけて反論されたいとか、あるいは治水効果だとか、質問を加えております。しかしながら、時間がないでしょう?
【議長】 そうですね。
【公述者(遠藤)】 終わりですよね。
【議長】 まとめてください。
【公述者(遠藤)】 では後で文書でください。お願いします。
【議長】 回答につきましては、文書で回答するということはいたしておりませんが、ご質問の趣旨があったということは認識しておりますので、それを踏まえた対応を認定庁としてはさせていただきます。
【公述者(遠藤)】 だって、時間がなくて答えができないのだから、きちっと文書で答えなさいよ。
【議長】 もともと質問も含めて30分以内でお願いするということでございますので、冒頭、スライドも見させていただきましたけれども、それらのご意見も踏まえて我々としても判断させていただきます。ではありがとうございました。
【公述者(遠藤)】 (ダムネーションのTシャツを示して)今はこういう時代ですよ。ダムはもう要らないの。(拍手)
【議長】 では降壇してください。
(公述人・起業者降壇)
【議長】 次は、竹内良太郎さんから公述をしていただきます。竹内さんは壇上に上がり、公述人席に着いてください。
(公述人登壇)
【公述人(竹内)】 紹介もするのですか。
【議長】 特段、必要ありませんので。
【公述人(竹内)】 はい。
【議長】 マイクを使ってお願いします。準備はよろしいでしょうか。
【公述人(竹内)】 はい。
【議長】 現在の時刻は5時12分です。ただいまから公述を開始し、15分間で終了するようお願いいたします。また、終了の5分前、1分前に呼び鈴で合図をするとともに表示によりお知らせしますので、目安にしてください。なお、終了時間までに終了しない場合には公述の中止を命ずることとなります。それでは公述を開始してください。
【公述人(竹内)】 まず八ッ場ダム関係については、ただいま、前の人がいろいろ調べて話してくれましたけれども、ほんとうにダム関係で、道路の悪いところも全然直してくれなかった。まして我々、小学校ごろは、4キロぐらいの農道があったのですけれども、そこを歩いて通ったのですけれども、舗装でなかったものですから、真ん中に草が生えていて、その草の中にマムシがいてかまれた女性もいました。そんなことも、町に言っても全然、ダムだ、ダムだといって舗装もしてくれなかったのですけれど、最近やっとし始めたら、いよいよダムというようなことになりました。ほんとうに、このダムというのは、我々がつくってくれと言ったダムではありません。下流都県がどうしても、埼玉県では家の上を河川が流れているよというようなことで、上田知事あたりは本気で通ってくれました。我々も行かせていただきました。そんなことから、今までの経緯等、少し話させていただきます。
八ッ場ダムが始まったころ、私は小学校高学年のころだったのですけれども、学校の通学路や学校の入り口にむしろ旗をいっぱい立ててダム反対というような状況が、何年、30年近く続いたというような話も聞きましたし、そんな中で、地域の中でも、隣近所でも話ができなかったというようなことを先輩たちから聞かせていただきました。ほんとうに、ダムのためにどんなに苦しんだか、我々はわかりません。その後、県が生活再建案を提示して、やむなく条件つきで、反対から条件つき賛成というような結果になりました。そのときでも、いろいろとありましたけれども、下流がどうしてもというようなことで、県や下流都県とも調印がされました。平成4年に基本計画の調印式が、関係者が多数出席して、長野原町で条件つきで受け入れ、長野原町で開催されました。その後、工事、道路、代替地等も順調に進捗し、いよいよ家の移転というようなことになりました。工事用道路の仮設道路では、いろんなところでいろんな問題もありました。けれども、道路ができなければ、車が入られない細い道の地域ばかりでしたから、仕方なく誰もが調印した、許可をしたというようなことでございます。
代替地もできない人たちは町外へ。おまえ、我々の今までの悩んだことがわかるかと言われました。10日ほどぐらい夜も寝ずに家族と話し合い、先祖代々守ってきた家、土地を手放して町外へ移転した気持ちなどわかるはずがないよな。こんな悩み、苦しんだこと、私は涙が出ました。町外へ出た人、女性群はどこかから嫁に来たからすぐなれたようですけれども、男性の場合はどこへ行っても話下手で嫌われたというような話を数々聞きました。聞きましたけれども、出た以上はもとには戻れないというようなことで、とにかく一日も早くダムをつくってほしいというのが皆さんの頼みでした。また代替地、道路等で造成され、八ッ場バイパス145号も工事が順調に施工され、ある会社はいまだかつて仮移転しています。
私の家、倉庫等も移転をせざるを得ない状況でした。そのかわり、私の場合は一部の代替地が造成されていたので、倉庫を借りて、家や倉庫の荷物をみんなその仮倉庫に入れて、応桑というところに妻の家があったので、3人で2年間、暮らさせていただきました。その冬は、応桑というところは雪がすごいんです。朝5時ごろから起きて雪かきをして、妻、子供は会社へ、私は仮移転の倉庫へ通いました。大変な2年、3年間でした。いざ家ができて代替地に住んでも、うちの周りには水がたまったり、いろいろな苦労もありました。ありましたけれども、移転した以上はどうしようもないということで、今、暮らしております。
大事なことを話させていただきますけれども、会社や私の家が解体され、整地も済み、何と言われたか、皆さんわかりますか。わかりませんよね。ある担当の県の職員は、やっとどいてくれたねと、こう言われました。この言葉を皆さんはどう思いますか。ほんとう、棒を持ったら、どつきたい気持ちでいっぱいでした。ほんとうに。でも、そのおかげで、国道145号のバイパスができて、西吾妻にとってはほんとうによかったし、吾妻全体が近くなりました。そして運送業や観光関係の方も、交通止めがなくてほんとうによかったよ、おまえらのおかげだと言われました。そうわかってくれればほんとうにありがたいと思いました。
やっぱり道路というのは一番大事なものなのだなと、つくづく思いました。だから、貨物輸送にしろ、旅館、ホテルの、今までは台風が来ればキャンセルがあったのが、今は全然なくてよかったよというような話をたまたま耳にします。皆さんの気持ちもよくわかりますけれど、六十数年、悩み、苦しめられ、ダム本体が完成しても水が貯水できなければ、下流都県もがっかりすると思いますし。
(傍聴人より発言あり)
【公述人(竹内)】 今まで、皆さんそうかもしれないけれど、苦しんだ我々の気持ちもわかってほしいんですよ。
(傍聴人より発言あり)
【公述人(竹内)】 貯水ができねば、今までに使った税金がどうなるか、無駄遣いになるじゃないですか。そういうことを思った場合、ぜひこれはね。
(傍聴人より発言あり)
【公述人(竹内)】 ほんとう、皆さんの気持ちもよくわかりますけれど、我々の気持ちもわかってほしいのが願いです。
(傍聴人より発言あり)
【議長】 すみません。公述人は公述を続けてください。傍聴人の方々、公述人と会話をされる場所ではありませんので、すみませんがよろしくお願いします。
【公述人(竹内)】 いろんな意見はよくわかりますけれど、我々の気持ちもわかっていただければと思いまして、一応、苦労話やらいろいろと話させていただきました。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
【議長】 ありがとうございました。では降壇してください。
(公述人降壇)
【市民オンブズマン群馬・この項続く】
【議長】 次は、竹本弘幸さんから公述をしていただきます。竹本さんは壇上に上がり、公述人席に着いてください。また、公述人からは起業者への質問の希望がありますので、国土交通省関東地方整備局の方も壇上に上がり、起業者席に着いてください。
(公述人・起業者登壇)
【議長】 準備はよろしいですか。
【公述人(竹本)】 ちょっと待ってください。
【議長】 現在の時刻は3時17分です。ただいまから公述を開始し、30分間で終了するようお願いいたします。また、終了の10分前、5分前、1分前に呼び鈴で合図するとともに表示によりお知らせしますので目安にしてください。なお、終了時間までに終了しない場合には公述の中止を命ずることとなります。プロジェクターを使用しますので、少し照明を落とします。 それでは公述を開始してください。どうぞ。
【公述人(竹本)】 竹本と申します。群馬県について、30年ほどずっと地形及び地質あるいは火山災害について調査してきた者です。今回は、国土交通省が公式に出している書類を検討しまして、かなりひどいということがわかりましたので、そのことを中心にお話ししたいと思います。また同時に、長野原町の方が今後、受けるであろう被害、あるいは想定される土砂災害について、具体的にお話をしたいと思います。では始めます。
実際に八ッ場ダムというのはどういう場所かということから、まず始めます。ちょっと文章にまとめました。吾妻渓谷は、強酸性で熱水変質作用を受けた脆弱な地盤と急峻な地形で構成されています。この山間地の生活地盤というのは、実を言うと浅間山の山体崩壊物によってつくられています。簡単に言ってしまえば、崩れ落ちてきた土砂でできています。この土砂は、吾妻川が深い谷を刻むことによって地下水面が下がりまして、実際に水で飽和した状態から脱し、地すべりという危険状態から脱したのが事実です。結局、そこにまた水を張ると逆のことが起こるという極めて単純な話なのです。こんなことを平然とやってのける国土交通省の方々を私は理解できないというのがまず第1点です。
次にダムを造ることで想定されることを、ざっと7つ挙げました。簡単に言うと、上流のほうでは河床勾配が変わってしまいますから、側方侵食が起こります。今、長野原草津口駅前の川のところで、側方浸食を防ぐための工事をやっていますけれど、実際にダムができれば側方浸食が進むだろうこと。それから、何より一番心配しているのは、応桑層は崩れ落ちてきた土砂ですから、当然これは崩れてしまうということ。崩れるということは、ダムは埋まり機能しないということになります。3番目として、場所によっては崩壊土砂によって湖面津波が起きるだろうこと。4番目、これはダム湖の埋積ですから、当然、砂防機能などは落ちてしまいますから、下流都県にとってみれば土石流災害を発生させるものをためるだけです。そして、集中豪雨や火山噴火が起これば、当然、吾妻川の下流、利根川について大きな影響を与えるだろうこと。しかも、利根川の河床の河床上昇は逆に、群馬県、埼玉県、下流域の洪水被害、こういうものに大きな影響を与えるだろうこと。水質悪化の問題や空ダムの影響について今回は触れません。
次に、実際に八ッ場ダムの堆砂量に関して国土交通省が提示しているものを検討しまし た。実際にどういう部分で不正な情報操作が行われてきたか挙げます。1番として堆砂量。 堆砂量を計算する選定地がでたらめであること。それから火山性黒ボク土に関する記述が 嘘であること。さらに浅間火山側の排出土砂量を排除しています。それから浅間山の噴火 実績も排除しています。八ッ場ダムを運用中に浅間山が噴火しないことが前提になってい ます。
2番目、火山噴出物量実績を排除しています。防災計画を見ますと、実際に泥流が発生した場合、1億トンというものがありますから、これを防ぐためにはダムが機能する、水位を下げていれば止められますよという話なのですけれど、天明噴火の時は、それ以上の降下軽石がありましたから、泥流が流れてくる前にダムは埋まります。このことは知っているはずです。
実際に、八ッ場ダムの堆砂量試算にどういう点で問題があるか述べます。まず堆砂量を考える上で、活火山2つを流域に持つ八ッ場ダムと地質条件が共通する近傍ダムなどはありません。ないにもかかわらず、さもあるかのように報告をしています。それから、一番私がおかしいなと思ったのは、ウォッシュロード効果という表現です。ウォッシュロード効果については、この地域では特殊な火山性黒ボク土が分布しており、これは流せるのだという話です。群馬県の火山を調査している私からすれば、随分インチキなことが書かれているなと。実は群馬県の黒土層は全部、火山性黒ボク土です。では、実際に火山性黒ボク土が流れ込んでいる霧積ダムはどうか。霧積ダムでは堆積しています。ですから、この記述は明らかに虚偽であると言えます。
そして3番目として、流域最大の土砂供給源の浅間山の噴火実績。これは全部排除しています。これをもし入れた場合には、運用している間、1,750万立方メートルの不正操作がばれてしまいます。このように極めて悪質なデータがずっと並んでいます。結局、堆砂量試算を計算上、減らすために、いろいろやっていたということがわかりました。
実際にもっとわかりやすく言うと、では1つの例として霧積ダムをとってみます。霧積ダムは、浅間山からの距離がほぼ八ッ場ダムと近い関係にあります。流域面積は、八ッ場ダム上流域で707㎢です。一方霧積は20.4㎢です。それで、計画比堆砂量というのがありまして、八ッ場の場合は1平方キロ当たり245立方メートル/年、霧積は196立方メートル/年という計画比堆砂とあります。もうこの時点で、このデータ自体が偽りだというのは、皆さんお気づきだと思います。八ッ場ダムの流域面積が霧積ダムの35倍もあるにもかかわらず、計画比堆砂量/年がこんなに小さいわけがないわけですね。それでも100歩譲りまして、では霧積ダムの実績堆砂量はどうであったか。実績は716.6立方メートル。つまり計画から比べますと3.65倍堆積したという事実があります。では八ッ場ダムの堆砂容量はどこをもとにして計算しているのか。これは吾妻川ではなくて、草津白根山側の白砂川及びその上流にある小さな尻焼温泉だと思うのですが根広第一堰堤。この2つを利用しまして、全部引き伸ばして流域面積35倍に相当する堆砂量を出していたわけです。その結果の計算が1,750万立方メートルです。私は、受け入れがたいのですけれども、霧積ダムの分の実績を受け入れて計算をしてみますと、6,330万立方となります。つまり、この計算でいっても、八ッ場ダムは、浅間が噴火しなくても埋まってしまうという数値になります。
次に、この画像は、具体的な場所がおわかりになるようにと思いまして作成しました。堆砂基準がこのような、草津白根山側の根広とか白砂川第一堰堤で行っていました。本来であれば、八ッ場ダムの上流域の各支流河川から来る土砂量を全部計算した上で出さなければいけないのですけれども、それをやっていません。つまり、この話自体が全てあり得ない、意図的なものであるということです。
この画像は、セントヘレンズ火山の噴火の様子です。このように山体崩壊を起こしますと、膨大な土砂量が供給されます。右側は、そのセントヘレンズの噴火のときにどういうことが起きたか。これが吾妻渓谷だと思っていただければいいです。2万4千年前にはこういう状態になっていました。
国土交通省の人に最初の質問です。こういう土砂ダムというのが豪雨の際にはできます (2012年の土砂ダム事例の画像を提示しながら質問)。このような土砂ダムができた場 合に最も有効な災害防止策を1つとその理由を答えてください。大体、1分もかからない 答えで結構です。
【議長】 起業者側、お答え願います。もしあれでしたら座って公述されていただいて結構です。
【公述人(竹本)】 はい。
【議長】 回答をお願いします。
【起業者(藤原)】 八ッ場ダム工事事務者の藤原と申します。ご質問に対してお答えいたします。さまざまな土砂災害があるので、有効な対策はケース・バイ・ケースになりますが……。
【公述人(竹本)】 このことだけにお答えください。土砂ダムができた場合に最初に何をやるかということです。
【議長】 司会が発言を許してから発言をしてください。今の、聞こえたと思いますけれども、今の点について端的にお答えください。
【起業者(藤原)】 このような天然ダムが形成された場合には、事前にダムの貯水量を下げておくことによって、天然ダムによる段波を捕捉することができると、3・11、震災を踏まえた今後の治水システムに関連する知見、情報の整理でもうたわれております。
【議長】 では公述人、続けてください。
【公述人(竹本)】 今のは答えになっていないのですけれど。いいです。その程度の認識しかないということはわかりました。結構です。それで、実際にこのような現場、ここにダムを建設するとどんな被害が発生するでしょうか。一応、そちらの答えを想定して書いておきました。これで正しいでしょうか。
【議長】 ご質問ということですか。
【公述人(竹本)】 そうですね。
【議長】 画面を見ていただきますけれど、これについて正しいかどうかというご質問です。
【起業者(藤原)】 八ッ場ダム工事事務所の藤原と申します。
【議長】 名前は言わなくて結構ですので、すぐに答えてください。
【起業者(藤原)】 先ほどと、繰り返しになりますが、同様の回答とさせていただきたいと思います。
【公述人(竹本)】 同様の回答?
【議長】 ちゃんと答えてください。
【起業者(藤原)】 事前に、下流にダムがある場合には。
【公述人(竹本)】 下流にダムはありません。この状態になった場合にという話をしています。それで、もし仮にここにダムをつくるとどういうことが起きますかということを聞いています。
【議長】 すみません。土砂ダムができたときの対策としてどういうものが適当かということを聞かれているということですか。
【公述人(竹本)】 そうです。もう、日本全国どこでも起きることですから。
【議長】 それで、それに加えて、その下流部にダムがあったとするとどういう状況が 起こるかということのご質問ということですか。
【公述人(竹本)】 ダムをこれからつくるとすると、ここで何が起こるかということを聞いています。
【議長】 はい、ではそれについてお願いします。
【公述人(竹本)】 こんな基本的なことも答えられないのでは、起業者として不適切です。
【起業者(小宮)】 では、八ッ場ダム工事事務所、小宮と申します。今の……。
【公述人(竹本)】 答えはここに書いてありますよ。
【起業者(小宮)】 ちょっと今、私が答えますので。今、田辺市、あと十津川村、あとこっちの田辺市熊野ということで、河川工学者の回答例というようなことが出ています。それで、今のご質問はこれが正しいかどうか。それで、我々、関東地方整備局の八ッ場ダムの起業者として、今ここに公述している立場ですので、直接それらの点について、現在のところお答えは……。
【公述人(竹本)】 これは一般論ですよ。
【起業者(小宮)】 持っていないというところでございます。
【公述人(竹本)】 情報がないわけですね。国土交通省としては……。
【議長】 では公述を続けてください。
【公述人(竹本)】 国土交通省としては、こういう土砂ダムができたときに、対策がとれないということですね。一般のこういう崩壊土砂がたまった場合には、まず土石流災害を防ぐために水を抜きます。崩壊した土砂についても、ここにダムをつくって水を張ったら再流動してしまいますから、これは避けます。これは河川工学、土砂災害のイロハのイです。それで、もう一度、皆さんの正式な回答をここに書いておきました。実際にこういうことが起きると、土石流災害とか洪水災害がありますから、これを防ぐために水を抜くということ。そして飽和した土石を除去します。理由は単純です。崩れやすくなった地盤を安定化させるためです。これでよろしいですね。
【議長】 ご質問の点については、もともとのご質問の要旨の2番ということで、出されていたものについてのご回答ということですけれど、これについてのご回答はどういうことだったのでしょうか。いいのですか。
【公述人(竹本)】 いえ、彼らの話で、答えられないというのはよくわかりましたし、この程度のことも理解していないということがわかりました。
【議長】 では公述を続けていただきます。
【公述人(竹本)】 質問3として、実を言うと、応桑岩屑なだれ堆積物が流下してきた直前の浅間山の噴出物は何ですかという質問をしました。
【議長】 では、これについてお答えください。噴出物の認識いかんということですね。
【起業者(藤原)】 応桑岩屑流堆積物の流下直前の浅間山の噴出物は、現在の黒斑山周辺で確認されている地質の成層構造から、安山岩を主体とする溶岩や火山砕屑物等からなるものと認識しております。
【議長】 公述を続けてください。
【公述人(竹本)】 ありがとうございました。今の回答は全部うそです。これは、実を言うとプリニー式噴火といって、軽石噴火している最中に崩壊していますから、直前のものはBP軽石です。ここ(事前提出資料)に答えも書いてあります。実際に、これは立馬地区のところの林層と言われている基盤のところをはいおりている応桑層です。吾妻川流 域ですと、岩屑なだれの下に必ずBP軽石が入っています。現地で全部、確認しています。 実際に中之条でも、応桑層の下では地滑りが起きています。
次に応桑層の特性を説明します。ここに粒度分析と水浸変形実験のデータが出ています。私はこの表を見た途端に衝撃を受けました。なぜかというと、この時点で、応桑層の性質を全く知らない人がサンプリングし、分析した結果を公表していたからです。それから、サンプルを水につけた場合、変形率、大体20センチぐらいのピースをとって、30センチの板に載せ、水漬けにして、それを押して潰した実験結果です。これらの変形率を20メートル換算で、わずか4.8ミリとか8.4ミリしか変形しないという、極めて不可解な結果を表示していました。これも、応桑層の性質を全く理解していないということがこれでわかりました。実際に、この状態でダムをつくりますと、どういうことが起こるかというと、1つには過去の事例として、やんば館の裏のところで応桑層の堆積面がありましたが、これは現在の道の駅のところのすぐ下ですけれども、ここで堆積面が一気に崩れ落ちています。これは深層崩壊というのですけれど、こういうことが起きています。実際にこれから湛水しますと、応桑層の下に引いているBP軽石がすべり面になりまして、応桑層が、ひどい場合は一気に崩れる可能性があります。もちろん、初めから一気に崩れるというよりは少しずつ崩れていくと思いますけれども、地震動が伴った場合は、これは崩れます。そうすると、その時点で、地元住民の方の生活基盤が奪われてしまいます。
次に、先ほどもお見せした粒度分析がいかにいかがわしいかということを、画像でお示しします。サンプリングされた同じ川原畑のところで検証してみました。川原畑では強溶結の火砕岩といって、これは、浅間山の山頂部で実際に堆積したものですから、これはもう固結していますから、このようなものをサンプリングし水漬けにしても変形はしませんし、ほとんどしません。溶結した火砕流もそうです。しかし、こういう通常の固結しない火砕流、降下スコリア、降下火山灰、土壌層ブロックなどを皆さん想像してみてください。水漬けにして指で押しただけでも変形します。変形することが当たり前なわけです。こういうことすら、この起業者は理解していないということです。そして分析データもでたらめだったということです。
次に、応桑層についての特性を把握していないにもかかわらず、どういうことを考えたのだろうと。あの数字からすると、応桑層は、均質な火砕岩で、固結しているというような認識だと思います。実際はそうではないということが、今の画像でおわかりになったと思います。
起業者は、このような地すべり対策として、排土工法、押さえ盛土工法、杭工法、アンカー工法の4つを提示してきました。
排土工法:巨大なメガブロックの場合とか岩盤クリープの場合には有効性があります。しかし、水につけると崩れる。簡単に言えば、おにぎりを水につけてゆらせば崩れるのと同じです。そんなものに排土工法をしても意味がありません。
押さえ盛土工法:全体にやった場合、応桑層の分布しているところ全部にやらなければなりませんから、これは貯水量が激減します。
杭工法:これもブロックでできていますから、どこにそのブロックがあるか把握していなければ杭を打つ意味がありません。
アンカー工法:これはpH1から3の強酸性の地域ですと、ここでもし仮にアンカーを打った場合に、果たして耐えられるかどうかということですね。それも問題があります。
次に、応桑岩屑なだれの流下に伴って形成された不透水層だとか地すべり面の存在認識があるかどうか心配になり、各有識者会議委員に証拠資料をつけて書類を送りました。実際に、ダム計画に疑問を持っている方たちはすぐ反応されましたけれども、ほかの方たちは反応しませんでした。つまり、彼らは認識がないのです。これは、私が送った証拠画像(有識者会議委員への送付記録)です。有識者会議のメンバーの多くの人に送りましたけれども、彼らはこういう認識がありません。そういうメンバーで構成されている会議でした。
では、長野原の人たちがどこに気をつけたら良いかということを検証してみました。例えば、応桑層が実際に堆積する各所の中で、3つの層準ですべり面が存在する可能性があります。特に石畑・川原畑・上湯原・林地区の皆さんは、この点についてぜひ注意してほしいということ。それで実際に災害が発生した場合は、長野原町の方の生活基盤を奪う可能性があります。実際にこの指摘を受けながら、今の起業者の回答でおわかりのように、彼らは地盤について全く理解していない。有識者会議のメンバーの中にも、そういうことをわかっていない人たちで構成された会議でした。ですから、こういうことが起こりますよという指摘を念頭に入れた上で、災害が発生したときには全部この方たちに責任を負ってもらうように、この指摘を担保して計画を進めるように起業者に言ってください。
次に、皆さんにわかりやすい画像を使って、実際にどのように地すべり面ができるかということをお話しします。これは、応桑層のすぐ下の部分です。先ほど私は、BPという軽石が下に敷いていますよとお話ししました。これはどこへ行ってもこのように敷いています。この地層は、粘土化しています。画像で気がつくと思うのですけれど、ここに変な丸い球があります。これは上にあるこの小さなブロックの重みでもってへこんでいる場所です。ここがくぼんでいます。そして、この茶色くなっているのは地下水位が上下したことにより出来たものです。少なくとも、応桑層の下には2つの層準で、間違いなく、この部分が地すべり面になる可能性があるということです。
先ほど私は応桑層自体を、おにぎりに例えましたけれど、水につかると崩れやすいという事例があります。これは湖面3号橋の林地区側のところです。付帯施設をつくろうと穴を掘った場所です。ところが、その穴を放置していまして、水がたまったところ、崩れてしまったのです。慌てて、国土交通省がここに石垣を組んで、崩れ防止と同時に水抜きのパイプを入れていました。また、大雨が降ったときに崩れたのもここにありますけれど、この状態はそのまま放置されています。つまり、想定されることというのは、水で飽和すると崩れるというのが現実に目の前にあるということです。
それから、皆さん忘れてならないことは、吾妻渓谷は連続雨量120ミリで道路・鉄道が停止します。その背景には、何といっても応桑層の存在が大きくて、崩れやすいからです。JRもここに鉄道を引いていますけれども、大雨が降ると止めます。もう一つ、注目すべきものはこの部分です。河川沿いの崖でありながら不自然に出入りに富んだ崖があります。これは、実を言うと全部、ブロック崩壊を起こした爪痕なのです。これは、たまたま、吾妻川が一生懸命、谷を掘ってくれたので崩壊が止まっただけなのです。ここに水を入れて応桑層が飽和すれば、同じことを繰り返すことになるでしょうということです。湖面津波の津波の発生についてはちょっと複雑なので、この程度にしておきます。
つまり、応桑層が水によって飽和することで膨張したり、凍結・融解を繰り返せば、当然、ばらばらと崩れ始めていきますし、ひどい場合は一気に崩れてしまうということが、この仕組みでわかるわけです。
この画像は、応桑層の堆積面をプロットしたものです。本来はずっと平らでないといけ ないものですね。ところが、この地区ではきれいにずり落ちてしまっています。これは、 既に応桑岩屑なだれが、地すべりや崩壊を起こしている証拠です。この位置まで下がって しまっているわけです。熱水変質帯とぴったり一致しているところで落ちていることがわ かります。それよりも、吾妻川が谷を掘った後は、起きていないわけです。つまり、この ような場所でダムを造り湛水すれば、これはまた動き出しますよということが、これでお -32- わかりになるかと思います。
実際に、この周辺部の地形をもう一度、調べました。先ほど触れたやんば館の裏、そし て上湯原のこちら側にも実を言うと深層崩壊の地形があります。それから、八ッ場ダム工 事事務所が初めに「蛇行地形」だと、うその事実を公表した部分について言えば、地すべり 土塊が動いたために河道も同様にシフトしたということがわかっています。何よりも、こ ちらの立馬側の堆積面、平らな部分と、こちらの上湯原の堆積面が、実に50メートル以 上も食い違う落差があります。ここでの高さの食い違いだけでも、これが地すべりだとい うのがわかります。
今お話しした仕組みというのはこういう形でまとめられます。今現在、安定しているの は、応桑層の水を切ってくれているおかげで助かっているわけです。熱水変質帯やBP軽 石という、まさにビニールシートではないけれど、すべり面になり得るもの、降った直後 に、おにぎりに例えると、非常に凝集力の乏しい応桑層が谷を埋めているという状況です。 そんな中で、吾妻川が一生懸命に谷を刻み、地下水面を下げてくれた結果、今の生活地盤 が安全な状態になっている。ただし、応桑層は、地震や大雨が降ると崩れるということが あります。八ッ場ダムを造り湛水した場合、想定されることは、飽和と地震動で、ダムが 埋まってしまいますよということがあります。
国土交通省が当時の連立政権に対して提出した極めて悪質な回答書がここにあります。3・11のタスク報告書と、民主党に提出した部門意見書です。実を言うと、この2つの文書の記述が異なるのです。1つは、上湯原について、タスクフォース報告書では崖錐堆積物、民主党に対しては、これは以前の記述のまま、「川の蛇行地形」であると報告しています。しかし、実態は両方とも間違いです。そういうことが書いてあります。
そこで、私が質問したかったのは、この報告書の中で述べられている「応桑岩屑なだれについて見解を述べた専門家」は、誰か教えてくださいという質問をしました。どなたですか。
【議長】 ただいまの質問についてご回答願います。
【起業者(藤原)】 回答させていただきます。八ッ場ダムの地すべり等の検討については……。
【公述人(竹本)】 応桑岩屑なだれの専門家は誰ですかと聞いています。
【起業者(藤原)】 国立研究開発法人土木研究所の助言を得ながら進めてきており、応桑岩屑なだれ堆積物に係る報告や回答に不備があったとは考えておりません。
【議長】 公述人、公述をお願いします
【公述人(竹本)】 では、その方は応桑岩屑なだれについての研究発表や論文がありますか。
【議長】 起業者側、追加的な質問ですけれども回答できますでしょうか。
【公述人(竹本)】 私はそれについて聞いているわけですから。組織について聞いているわけではありません。いるならいる、いないならいない。
【起業者(小宮)】 お答えいたします。今、土木研究所のダム、地質、地すべり等の専門家と答えているので、ご質問、論文があるかというのは……。
【公述人(竹本)】 人物です。それでは、質問に答えられないということですね。
【議長】 個人名まではお答えできないということですか。
【起業者(小宮)】 個人名までは差し控えさせてください。
【公述人(竹本)】 その方は論文もありますね。後でちゃんと調べますよ。
【議長】 すみません。ちょっと公述をお願いします。
【公述人(竹本)】 これは、まさにその質問なわけです。個人名は答えなくてもいいですけれども、ちゃんとあるかないかを聞いているわけです。
【議長】 論文があるかどうかを聞いておられる。
【公述人(竹本)】 そうです。研究発表や論文があるかどうかを聞いています。あるかないかで結構です。
【起業者(小宮)】 今、お答えについては……。
【公述人(竹本)】 お答えできないということですね。
【起業者(小宮)】 はい。
【公述人(竹本)】 それでは、結構です。
【議長】 では公述人、続けてください。
【公述人(竹本)】 そうしますと、八ッ場ダムについて言うと、先ほど触れたように、6,000万から1億立方メートルなのですけれども、鎌原は1億立方メートルだという話をしていました。しかし、先ほど言ったように、天明の噴火の軽石層はそれを超えてしまうのです。ほかの過去のB軽石、C軽石、ほかのでもこれは埋まってしまいます。つまり、事前に泥流対策になるんだ、防災対策になるんだというのも、これは破綻しているわけです。両方考えなくてはいけないわけですから、3・11以降、これぐらいのことは考えなくてはいけないにもかかわらずやっていないということですね。つまり、この防災論そのものも機能していないということです。 -34-
実際に繰り返された上湯原の不正なデータについてお話しをします。先ほど出した図です。実際に立馬とこちらでは、こんなに高さが違います。でも実際に埋まったのは、この堆積物の分布でわかっています。防災研についても、これが地すべりだということをちゃんと認定していますし、路頭でも見つかっています。いろんな証拠がありまして、地すべりと認定しているにもかかわらず、片方では蛇行地形、片方では崖錐というふうに虚偽の報告をしています。これはもう明らかにうそが書かれているわけです。実際にこれは国土交通省の出してきた地質断面図です。古い地層が新しい地層に乗り上げていますが、国交省はこれを河川が蛇行した地形だといって証明したとしていますが、実態は、自分たちの提示した証拠資料が逆に「地すべりを証明」しているわけです。群馬県も同じように把握しているにもかかわらず、「地すべりではない」というふうな認識です。蛇行地形が崖錐となって偽装された上に、こういうものを住民に全く説明しなかった、県、JR、有識者の責任というのは大きいと思います。このお三方、こういう事実を見ながら、フィールドを歩いて確認していれば、絶対にこんなものを承認するわけがありません。何らかの意図があったとしか思えません。
次の画像は、新駅前工事のところの事象です。これは新駅前で見つけた、岩屑なだれが地すべりを起こして逆傾斜している様子です。こちらに向かって応桑層の堆積面が傾斜しています。山は画面の右手ですから、応桑層がクリープしていることがこれですぐわかります。左の画像を見てみますと、軽石の上にこういうブロックがあります。これが地震性の崩落だというのは、水で運ばれた場合、火山灰自体、摩耗されてしまうわけですが、塊のままあるということは、がさっと崩れたことをあらわしています。一方、右の画像が土石流です。古墳時代以降、この場所でかなり頻繁に土石流が発生していることもわかります。
地すべり面というものについて、ボーリングをしても認定できないという話をしていますけれども、現場でちゃんと実例が出ています。
この画像を見ると、面に沿ってきれいに湧水があります。これに対して対策を打っていると言いながら、パイプを打っていますけれど、パイプを打ちながら、周りで全部、漏水しています。つまり、この対策自体が全く機能していない。谷に水が流れずに尾根の先端で水が出ています。これも地すべりである証拠です。この証拠に対して、私はこれを提出していますけれども、起業者は違うということを言っている。極めて悪質です。
次の画像は、国道のほうから見た上湯原の様子を示しております。本来この高さにあるべき応桑層の堆積面が、この位置まですべり落ちているということです。それに加えて、この背後に崖錐堆積物があります。地すべりが起きた場合、崖錐が一緒になって襲ってきますから非常にリスクが高いです。それから、冬場になると凍結・融解が、春先もそうなのですけれども、落石が降ります。落石は、高さ1に対して到達距離は3の関係ですから、高さ300メートルあれば900メートルまで到達しますから、防災対策を考える場合、駅前にちゃんと落石対策の工事をしなければいけないのですが、それをしていません。それからもう一つ重要な点は、この斜面堆積物は、実はこの崩壊を抑えるための押さえ盛り土の役割をしているのです。それにもかかわらず、駅前の敷地を確保したいために、この崖錐を今、除去しています。極めて矛盾する工事をしています。
次の画像は、浅間山についてです。これは、私の学位論文ですけれども、浅間山は大体、1回のステージで10立方キロメートルの降下物を噴出するのですけれど、今、前掛期で既に3立方キロメートル噴出しています。この中を見ていきますと、大体、周期で言うと300から800年なのです。早川由紀夫さんの研究している草津白根山では1,000年周期。これらの噴火実績を考慮すると、大体、この八ッ場ダム運用期間中には、噴火が起こることを想定しておかなければいけないのですけれど、それをしていないのです。しかも、先ほどあげた有識者の人たちは、軽石だけでもダムが埋まりますよというデータを送りましたけれども、一切、反応はありませんでした。結果的に見ると、ここは、こういった災害は、ダムをつくると全部増してしまいます。現地再建するのが一番安全ですよということが1つです。
私は特にこの中で、長野原町の方たちのことを考えてみると、このダム計画を進めた場合に災害が発生した際には、速やかに中止してほしいと願っています。何十年にもわたってだまされ続けていたわけで、踏んだり蹴ったりです。これからも土砂災害のリスクを背負わなくてはいけないというのはひど過ぎますので、それでもダムをつくり湛水試験をやって、ちょっとでも崩れたら、申しわけないですけれど、全部、ダムを撤去してください。ただし、その撤去は、長野原町の中小の土木関係者の皆さんの手で、もとへ戻すようにやってください。外部発注だとか大手に出さないでください。
それから、この事業を進めた官僚の人たち、ダム推進の有識者委員全員を処分するなり罷免してください。どういう人たちかというと、ここに挙げておきました。利根川・江戸川河川整備計画の会議に出た際に、捏造氾濫図とか、もういいかげんなものを全部認めたのは小池さんです。それを取り仕切ったのは宮村さんで、地元の大学の清水さんです。彼にはきれいに情報をあげました。しかも、私の学位論文を【カスリーン台風の報告】で引用していますから、彼にはちゃんと、こうですよと、懇々とデータを挙げましたけれど、一切、反応はありませんでした。全て仕切ったのは泊さんと宮村さんですね。ちゃんと反応してくれた有識者のメンバーはこのお三方だけです。極めて悲しい状況です。以上です。 (拍手)
【議長】 終了ということでよろしいですか。
【公述人(竹本)】 では、まだ少し時間があるのならお話をしておきましょう。
私自身は災害について研究していますので、その地域についてよくわかっているつもりでいます。しかし、私みたいな人間には一切、声をかけずに、民間コンサルに丸投げをして、そして起業者の方も、今質問してわかったのですけれど、全く、このデータに関しても全て事前にお渡ししているわけです。私からすれば検閲されているようなものです。それを1週間、2週間も前に渡しておきながら、それについてさえ勉強もしてこない。それで堂々とここに出てきて答えている。信じられないというのが率直な意見です。
それから、先ほど最初の陳述の方で、公共性がゼロだと言いましたけれど、私は公共性はゼロではなくてマイナスだと思っています。マイナス50でも100でもいいです。それほどひどいことが今、推し進められています。皆さんは公務員です。公務員は我々が税金で雇っているわけですから、そのことを考えていただきたい。多くの方たちがこれで不幸になっているわけです。とにかく地元の人たちを助けてあげてほしいということ。下流にこんな迷惑になるようなものをつくらないでいただきたいというのが私の訴えです。よろしいでしょうか。あと一分ありますか。
もう一つ言うと、実を言うと、昭和6年になるのですけれども、北埼玉地震というのがありました。これは埼玉で起きた地震ですけれども、吾妻渓谷では、実に50カ所、石垣が倒壊しています。そして山崩れが200カ所もあります。それについて全く考えてもいない。そういうことに対しても非常に腹立たしい。3・11以降、一体何をやっているのですかということが1つ。
もう一つ加えると、これは裏話になりますけれど、3・11のタスクフォース報告に当たって、私の恩師で、国際火山学会までやった先生を途中で呼びとめまして、彼に国土交通省は何をやったか。この場は八ッ場ダムを議論する場所ではありません。大規模な火山活動についての話をしてください。くぎを刺していますね。しかし、実際にタスクフォースの報告書を見てみますと、八ッ場ダムは安全ですという項目がしっかり入っているわけです。先生は、裏切られたような思いをされていました。少なくともそういうことはやめていただきたいと思います。以上です。
【議長】 時間になりましたので。ありがとうございました。速やかに降壇してください。(拍手)
(公述人・起業者降壇)
【議長】 次は、篠原憲一さんから公述をしていただく予定でしたが、篠原さんご本人から公述の辞退の通知がありましたので、次の開始時刻でございますけれども、若干、公述が早く終わられた方、また辞退の方がいらっしゃいましたけれども、後の日程でまだいらっしゃっていない方がいらっしゃるということですので、もともとのスケジュールの予定どおり16時40分から再開することといたしまして、それまでの間、休憩とさせてい ただきます。
( 休 憩 )
【議長】 それでは、公聴会を再開します。次は、遠藤保男さんから公述をしていただ きます。遠藤さんは壇上に上がり、公述人席に着いてください。また、公述人からは起業 者への質問の希望がありますので、国土交通省関東地方整備局の方も壇上に上がり、起業 者席に着いてください。
(公述人・起業者登壇)
【議長】 準備はよろしいですか。
【公述者(遠藤)】 はい、どうぞ。
【議長】 起業者側、準備はよろしいですか。 現在の時刻は4時40分です。ただいまから公述を開始し、30分間で終了するようお願いいたします。また、終了の10分前、5分前、1分前に呼び鈴で合図をするとともに表示によりお知らせしますので、目安にしてください。なお、終了の時間までに終了しない場合には公述の中止を命ずることとなります。プロジェクターを使用しますので、少し照明を落とします。それでは公述を開始してください。
【公述者(遠藤)】 遠藤保男と申します。よろしくお願いいたします。これから意見陳述を始めさせていただきます。
内容は、八ッ場ダム事業はその経過から見て極めて不当な手法が用いられていたこと、それからその必要性がもはやないこと。それからもう一つは、八ッ場ダムは完成したとしても、水位変動でダム湖周辺の崩落を引き起こす可能性が高くて、代替地住民に日常的な不安を与える。こういうようなことで、中止を求めます。
八ッ場ダム事業の経過であります。八ッ場ダム事業は1952年にその構想が発表されて、それから17年後に群馬県が正式にダム建設を発表したわけです。それから20年もたって、町長と知事が生活再建案について覚書を締結すると。それまでに20年もかかっているわけです。それから、その翌年には河川予定地指定をしております。河川予定地指定をすると、自分の家を直すにも建て直すにも新築するにも国交省に届け出が必要なのです。極めて当人たちにしてみるとやりにくい状況になってきたわけです。それから、2001年に利根川水系八ッ場ダム建設事業の施行に伴う補償基準というのが、水没五地区の連合体の補償交渉委員会が調印しております。これによって、個別補償の交渉が開始されました。2005年、代替地の分譲基準交渉で川原湯地区も合意して、それから2年たってから代替地分譲手続が開始されたということであります。非常に時間がかかっているということです。そして現在は、代替地がほとんどできているのですけれども、そこの人工造成地の安全性の不安が極めて高まっているということで、水没予定地住民あるいは自治体にとって、こんなとんでもない迷惑なものはないという視点で話を進めさせていただきます。
2005年につくられたビデオがありまして、それは「住民が迫られた理不尽な選択」 という題名です。これをちょっと見ていただきたいと思います。 (ニュースの映像放映)
【公述者(遠藤)】 こういうような状態で、現地再建方式、ズリアガリ方式と言われていますけれども、そういう形でダム推進に移っていったという経過があるわけです。なぜそういうような選択をしなくてはならなくなったのかということでありますけれども、ここにありますように、これは道路です。狭い道路、狭いまま直しませんとか、あるいは修理しなければならないところが生じても、なかなか修理をしないとか、あるいは川もそうです。災害が起きて、それで川の補修をしなくてはならなくなっても、なかなか手をつけない、直さないということです。そういうような行政圧迫がありました。
ハードの面だけではなくて、こういう行政圧迫もあったのです。路線バス。これは、今はこのバスを見かけることはないのですけれども、これは長野原行きのバスですよね。ここに川原湯の温泉街の郵便局があります。バスは廃止されるし、郵便局は格下げになって、それで業務が縮小されていくというような。ハードからソフトまでどんどん嫌がらせというか不便な状態を強いられていく。そういうようなことで生活が成り立たなくなるというような状態に陥って、それで条件をつけて合意せざるを得なくなっていったというのが実態であります。その条件は何かというと、極力、住民たちの犠牲を少なくするということが大前提でありまして、そこで出てきたのが現地再建方式、自分たちの住んでいるところをそのまま湖ができたならば、湖畔の上に上げて、そのまま集落を上げていくと。ズリアガリ方式ですね。そうやって地域社会を保とうとしたのです。地域社会の平和を保とうとして、そういう選択をしていったわけです。しかしながら、その思惑が全く外れてしまったというのが現実であります。
人口がどんどん減るのです。(スライドのグラフを指して)上の方は川原湯で、下の方は川原畑の人口です。ここでガクッと減っているのは、補償基準が調印されたのが2001年ですね。だけど補償基準が決まったのだけれども、代替地がないわけです。移っていくところが。代替地で地域再建をするのだと言っていたのに代替地ができていないわけです。代替地ができていないから、みんな、さっさといなくなってしまったと。先が見えないということでね。それで人口がどんどん減っていったということであります。
そういう視点で整理してみますと、川原湯温泉街をはじめ340世帯が完全に水没すると。最初からそれがわかった計画なのです。それに対して、もちろん断固反対と、長年の反対運動が続きました。彼らが常に言っていたのは、首都圏に住む人々のために何で水没地に住む住民が犠牲にならなければならないのかという疑問です。怒りですね。これは『都市の理論』という本も出ていますけれども、何で地方が大都市の犠牲にならなければならないのかという、当時、この問題が大変な問題になりました。それで合意させるために、先ほど言いました行政圧迫を加えていって、無理やり同意させられていく。それで同意して、ズリアガリ方式の採用を求めたわけですけれども、それにオーケーが出たわけです。だけど、そのオーケーを出したときに、安全性や実現性がどこまで確認されていたのかというのが、当時、最初から大きな問題になります。それで、水没予定地の住民にダム計画を受け入れさせるための道具でしかなかったのではないかというふうに世間では言われております。さらに住民にとってひどいことは、先ほどのビデオにもありましたけれど、補償基準を代替地の分譲価格の単価の基準にしてしまっていることです。ですから、土地をたくさん持っていた人は、補償金でそれなりの代替地を手にすることができますけれども、土地を持っていなかった人は住みつけなくなってしまったのです。出ていくしかなくなってしまったということで、これが大きな痛手になっています。それで住民流出が続いたわけであります。人口が減少して限界集落化して、存続の危機にあると。それからもう一つは、人工造成地の安全性の不安がある。ですから、現在の残された住民の皆さんは、こういうような状態にあるので、これ以上ひどい状態にさせては絶対いけないというのが、今日言いたいことです。
八ッ場ダムは不要なのですよね。ここで、嶋津さんが調査された結果を借用させていただいていますけれども、八ッ場ダム受益予定地の上水道の1日最大給水量は1992年度以降、減少の一途をたどりまして、20年間で200万トンも減少しています。工業用水も同様で、80万トン減少しています。そうすると、合計で280万トン減少したことになります。八ッ場ダム開発水量(スライドには143トンと書かれていますが、正しくは、143万です。これは「万」が抜けています。)のほぼ2倍に相当しているのです。「水がないから八ッ場ダム」と言ったときの、必要だと言った143万トンの倍も水の需要が減っているのです。こういうような現実から、八ッ場ダムはもはや利水上、全く必要ない状況にあると判断して構わないと思います。
その次に治水です。治水も、1998年の洪水がありまして、その洪水は過去65年間で最大の洪水であります。そのときの八斗島の水位が堤防の天端よりも4メートル以上も下を流れていました。この洪水は何かというと、70年に1回の洪水にほぼ等しいと。それで4メートル下を流れていたということは、河川構造令で、堤防の余裕高が1万トン以上のところは2メートルとなっています。だから、2メートルの余裕高プラス2メートル。それだけ余裕があったということなのです。ほぼ70年に1回の洪水が、余裕高プラス2メートルの余裕もあって、水位に余裕があったということから、70年に1回の洪水は、もう十分に流すことができると。よって、治水安全度1/70を目標としている利根川の河川整備計画から八ッ場ダムは削除するのが妥当であると考えます。
もう一つは、これは吾妻渓谷の写真ですけれども、吾妻渓谷を道路の上から眺めていると、こんなに細くなっているところがたくさんあるのです。要するに、天然のスリット形のダムになっているのです。だから、流量調節機能はこの渓谷自身が十分に持っているということであります。
さらに、八ッ場ダムは危険であるということですね。先ほどの報告にもありましたけれども、八ッ場ダムは極めて危険であります。地すべり等の心配がたくさんあるということであります。奥西先生が、八ッ場、この調査に関して、「過去の地すべり履歴のある傾斜面については現状の安全率を1.0と仮定することになっていると。マニュアルではね。それで、八ッ場ダムに限らず、ダム事業者の多くはこれを逆手にとって、現時点で滑動していない斜面は安全率が1.00よりも高く、地すべり地とみなさなくてもよいとの考え方に立って、対策工事の仕分けをしているように思われる」と指摘されています。「このような考え方は安全性の原則に反し極めて危険である」という指摘をされております。
まとめは、先ほど最初に書いたのと同じでございます。この3点です。よって中止することを求めます。それで質問でございます。たくさんあるのですけれども、まず八ッ場ダム水没予定地住民が、何で大都会の犠牲にならなければならないのか。理由があるとするならば、起業者はその理由を具体的に述べていただきたいと思います。どうぞ。
【議長】 1番の質問だと思いますけれども、起業者側、お願いします。
【起業者(藤原)】 回答させていただきます。まず地元住民の皆様には、八ッ場ダム建設事業の計画発表から……。
【公述者(遠藤)】 そういう話は時間の無駄です。やめてください。
【起業者(藤原)】 それでは、八ッ場ダムは、首都圏を抱える利根川の流域の洪水被害を軽減させ……。
【公述者(遠藤)】 それもやめてください。
【起業者(藤原)】 流域住民の生命及び……。
【公述者(遠藤)】 それもやめてください。
【議長】 ちょっと……。
【公述者(遠藤)】 私が聞きたいのは、大都会の犠牲にならなければならないのかという話をしているのです。
【議長】 今、では……。
【公述者(遠藤)】 時間をとめてくださいね。答えが悪いから時間がかかっているのですから。
【議長】 時間をとめるかどうかは私のほうで判断しますけれども、ただいまの質問は、1番の、犠牲になる必要があるのかということで、今、必要性の話をされようとしているのですね。ではそれを答えてください。
【起業者(藤原)】 では続けさせていただきます。八ッ場ダムは首都圏を抱える利根川の流域の洪水被害を軽減させ、流域住民の生命及び財産の保全を図るとともに、1都4県、新たな水道用水及び工業用水……。
【公述者(遠藤)】 すみません。とめてください。答えになっていない。とめてください。
【議長】 では公述人、質問が違うということですので、質問をしてください。
【公述者(遠藤)】 都会が必要とするのはいいですよ。だからといって、水没予定地の人たちが犠牲にならなければならない根拠を教えてください。
【議長】 では起業者側、お願いします。
【起業者(藤原)】 八ッ場ダム建設事業の検証に係る検討においても、平成22年9月に検証を開始し、予断を持たずに行うという基本姿勢のもとで、今後の利水対策……。
【公述者(遠藤)】 それももういいです。そんなのはみんなわかっています。やめてください。時間の無駄です。
【議長】 では質問をお願いします。
【公述者(遠藤)】 大都会の犠牲になぜならなければいけないのですか。なってもいいのですか。どうぞ。
【起業者(藤原)】 繰り返しの説明になりますが、八ッ場ダム建設事業の検証に係る検討において、平成22年9月に……。
【公述者(遠藤)】 ではいいです。わかりました。答えられないということですね。そういうふうに認識します。
【議長】 では公述人、次に質問を続けてください。
【公述者(遠藤)】 ではその次。八ッ場ダム水没予定地住民と長野原町はダムに反対することで生活ができなくなってきました。それはどうしてでしょうか。1960年から65年にかけての話です。思い出してください。
【議長】 では起業者側、回答してください。2番の質問ですね。
【公述者(遠藤)】 はい。
【起業者(塩谷)】 では2番の質問について答えさせていただきます。地元住民の皆様には、八ッ場ダム建設事業の計画発表から60年の長きにわたり多大なる不安と苦労を… …。
【公述者(遠藤)】 それもやめてください。
【議長】 すみません。回答については端的に回答していただければ結構ですので、前置きみたいな説明は不要だと思います。ではお願いします。
【起業者(塩谷)】 現在、付替道路等の生活再建事業及びダム本体建設工事を実施しているところですが、これも一重に地元住民の皆様や……。
【公述者(遠藤)】 それもやめてください。
【起業者(塩谷)】 長野原町の皆様が苦渋の選択をいただき……。
【公述者(遠藤)】 それもやめてください。ただの宣伝でしかないからやめてください。
【議長】 すみません。とまってください。公述人も回答の途中であれのときは、趣旨はわかりますけれども、私の整理も聞いてください。
【公述者(遠藤)】 はい。
【議長】 今の点につきましては、生活できなくなったのはなぜかということについて、 彼らは多分、生活関連事業をやっていますという答弁をしようと思っているのだと思います。それについて、もしコメントがあれば公述人からお願いします。
【公述者(遠藤)】 生活再建事業をやりますと言っているのは全然おかしいでしょう。ダムに反対することで生活できなくなっていったのはなぜかという質問ですから。
【議長】 先ほどの、例えばバスが廃止になったとか、幾つか事例も出されていましたけれども、ああいうふうになったのはなぜかという質問だと思われますので、それについて、起業者が原因なのかどうかはよくわかりませんけれども、起業者側としての見解があれば答えてください。
【起業者(塩谷)】 現在、関係住民で組織するダム対策委員会で、ダム湖を中心とした地元の生活再建と地域振興の実現に向けた取り組みを実施しています。八ッ場ダム事業はダム本体と生活再建が車の両輪として進めることが重要で……。
【公述者(遠藤)】 それでは話にならないでしょう。
【議長】 起業者側、回答をとめてください。公述人、追加で質問等があれば言ってください。
【公述者(遠藤)】 要するに答えられないということだというふうに、また整理させていただきます。その次。ズリアガリ方式を採用したわけですけれども、そのときに技術的な保証はとれていたのですか。どうぞ。
【議長】 では回答願います。
【起業者(塩谷)】 回答します。宅地及び付替道路等の公共施設を構成する八ッ場ダムの代替地区については、昭和55年に群馬県が地元に提示した生活再建案が基本となっております。その段階で詳細な検討等は承知していません。
【公述者(遠藤)】 承知していないということですね。皆さん、承知していない。これは大事なことなんです。承知もしていないでズリアガリ方式でいきましょうと約束したんです。これでは説得するための材料でしかないじゃないですか。だまし討ちもいいところですよ。それで20年もたっているのですよ。20年じゃないな。60年からだから、もう30年。今、ちょっと頭がぼーっとしているけれど。
【起業者(塩谷)】 いいですか。では続きがありますので。
【議長】 続けてください。
【公述者(遠藤)】 要するに、きちっとした解析や検討をしたかはわからないということですね。ほんとう、怖いですね。それから、ダム湖になって水位変動が繰り返されると、周囲の傾斜地で崩落が起きることがあると言われております。私もそう思うんです。中の説明は時間がないのでやめておきます。起業者は科学的な根拠に基づいて、もし斜面崩落が起きたとして、最大でどの程度の土の量がダム湖に崩落すると考えますか。いろんなところが一度にバッと崩れた場合です。最大で何トンぐらいの崩落があると予測されますか。
【議長】 ご回答願います。
【起業者(藤原)】 回答させていただきます。八ッ場ダムの建設による湛水に伴う地すべり対策については、これまで地質や地すべり等の専門家の助言を得ながら最新の全国共通の技術指針に基づき……。
【公述者(遠藤)】 それもやめてください。それもわかっています。ちょっととめてください。時間の無駄です。
【議長】 崩落したときに最大でどれぐらいの量が崩落すると見込んでいますかという質問ですので、その数字みたいなものを答えていただければ。
【起業者(藤原)】 必要な地すべり等の対策を、専門家の助言を得ながら講じることとしておりますので、ダム運用後のダム湖に崩落する土砂の最大量を算定することは予定しておりません。
【議長】 ないということですか。
【公述者(遠藤)】 ほら。これもないのでしょう? これが怖いんですよ。イタリアのバイオントダムと同じことになるとは私も思いませんけれども、同じ扱いをしてはいけないと思いますけれども、だけど最大でどんなような災害になるのかというのは予測しなければいけないというのが3・11の教訓でしょう? 違いますか。
【議長】 ご質問ということでしょうか。ではただいまの……。
【公述者(遠藤)】 ええ。答えられないのだから。
【起業者(藤原)】 現時点においては、地すべり等の対策を検討する上で対象としている土砂量は、八ッ場ダム建設事業の検証に係る検討、地すべり等の対策工にお示ししている八ッ場ダム貯水池内地すべりの評価の概査結果一覧表及び八ッ場ダム貯水池内未固結堆積物斜面の斜面再評価結果一覧表に示した地すべり等の規模によると、約1,985万立米となります。なお、今お示しした数値については、現時点において地すべり等の対策検討の対象としているブロック範囲内の土砂量であり、ダム湖に崩落する土砂量を示したものではありません。
【議長】 公述を続けてください。
【公述者(遠藤)】 そうすると、最大で一度に落ちる量を想定した場合に約2,000万トンになるということですね。そういうふうに考えていいということですね。違うのですか。
【議長】 ご回答願います。
【起業者(藤原)】 崩落する土砂量の最大量を算定しているわけではありませんので、先ほど説明したとおり、対象としている地すべりブロックの範囲内の土砂量を今回はお示ししたものであります。
【公述者(遠藤)】 わかりました。そうすると、そちらが対象としているところはあまりにも狭いんです。少ないんです。1.0以上のところを対象としないわけだから。その1.0の扱いが全然間違えているというふうに奥西さんは指摘されているわけです。そういうふうに考えたならば、もっともっと今の……細かい話はやめましょう。今のは何? 間もなく終了? それから、あとは水道水源に不足を来していると言うけれども、もうそんな実態は全くないと。それを認めないならば、科学的根拠とともに数値をつけて反論されたいとか、あるいは治水効果だとか、質問を加えております。しかしながら、時間がないでしょう?
【議長】 そうですね。
【公述者(遠藤)】 終わりですよね。
【議長】 まとめてください。
【公述者(遠藤)】 では後で文書でください。お願いします。
【議長】 回答につきましては、文書で回答するということはいたしておりませんが、ご質問の趣旨があったということは認識しておりますので、それを踏まえた対応を認定庁としてはさせていただきます。
【公述者(遠藤)】 だって、時間がなくて答えができないのだから、きちっと文書で答えなさいよ。
【議長】 もともと質問も含めて30分以内でお願いするということでございますので、冒頭、スライドも見させていただきましたけれども、それらのご意見も踏まえて我々としても判断させていただきます。ではありがとうございました。
【公述者(遠藤)】 (ダムネーションのTシャツを示して)今はこういう時代ですよ。ダムはもう要らないの。(拍手)
【議長】 では降壇してください。
(公述人・起業者降壇)
【議長】 次は、竹内良太郎さんから公述をしていただきます。竹内さんは壇上に上がり、公述人席に着いてください。
(公述人登壇)
【公述人(竹内)】 紹介もするのですか。
【議長】 特段、必要ありませんので。
【公述人(竹内)】 はい。
【議長】 マイクを使ってお願いします。準備はよろしいでしょうか。
【公述人(竹内)】 はい。
【議長】 現在の時刻は5時12分です。ただいまから公述を開始し、15分間で終了するようお願いいたします。また、終了の5分前、1分前に呼び鈴で合図をするとともに表示によりお知らせしますので、目安にしてください。なお、終了時間までに終了しない場合には公述の中止を命ずることとなります。それでは公述を開始してください。
【公述人(竹内)】 まず八ッ場ダム関係については、ただいま、前の人がいろいろ調べて話してくれましたけれども、ほんとうにダム関係で、道路の悪いところも全然直してくれなかった。まして我々、小学校ごろは、4キロぐらいの農道があったのですけれども、そこを歩いて通ったのですけれども、舗装でなかったものですから、真ん中に草が生えていて、その草の中にマムシがいてかまれた女性もいました。そんなことも、町に言っても全然、ダムだ、ダムだといって舗装もしてくれなかったのですけれど、最近やっとし始めたら、いよいよダムというようなことになりました。ほんとうに、このダムというのは、我々がつくってくれと言ったダムではありません。下流都県がどうしても、埼玉県では家の上を河川が流れているよというようなことで、上田知事あたりは本気で通ってくれました。我々も行かせていただきました。そんなことから、今までの経緯等、少し話させていただきます。
八ッ場ダムが始まったころ、私は小学校高学年のころだったのですけれども、学校の通学路や学校の入り口にむしろ旗をいっぱい立ててダム反対というような状況が、何年、30年近く続いたというような話も聞きましたし、そんな中で、地域の中でも、隣近所でも話ができなかったというようなことを先輩たちから聞かせていただきました。ほんとうに、ダムのためにどんなに苦しんだか、我々はわかりません。その後、県が生活再建案を提示して、やむなく条件つきで、反対から条件つき賛成というような結果になりました。そのときでも、いろいろとありましたけれども、下流がどうしてもというようなことで、県や下流都県とも調印がされました。平成4年に基本計画の調印式が、関係者が多数出席して、長野原町で条件つきで受け入れ、長野原町で開催されました。その後、工事、道路、代替地等も順調に進捗し、いよいよ家の移転というようなことになりました。工事用道路の仮設道路では、いろんなところでいろんな問題もありました。けれども、道路ができなければ、車が入られない細い道の地域ばかりでしたから、仕方なく誰もが調印した、許可をしたというようなことでございます。
代替地もできない人たちは町外へ。おまえ、我々の今までの悩んだことがわかるかと言われました。10日ほどぐらい夜も寝ずに家族と話し合い、先祖代々守ってきた家、土地を手放して町外へ移転した気持ちなどわかるはずがないよな。こんな悩み、苦しんだこと、私は涙が出ました。町外へ出た人、女性群はどこかから嫁に来たからすぐなれたようですけれども、男性の場合はどこへ行っても話下手で嫌われたというような話を数々聞きました。聞きましたけれども、出た以上はもとには戻れないというようなことで、とにかく一日も早くダムをつくってほしいというのが皆さんの頼みでした。また代替地、道路等で造成され、八ッ場バイパス145号も工事が順調に施工され、ある会社はいまだかつて仮移転しています。
私の家、倉庫等も移転をせざるを得ない状況でした。そのかわり、私の場合は一部の代替地が造成されていたので、倉庫を借りて、家や倉庫の荷物をみんなその仮倉庫に入れて、応桑というところに妻の家があったので、3人で2年間、暮らさせていただきました。その冬は、応桑というところは雪がすごいんです。朝5時ごろから起きて雪かきをして、妻、子供は会社へ、私は仮移転の倉庫へ通いました。大変な2年、3年間でした。いざ家ができて代替地に住んでも、うちの周りには水がたまったり、いろいろな苦労もありました。ありましたけれども、移転した以上はどうしようもないということで、今、暮らしております。
大事なことを話させていただきますけれども、会社や私の家が解体され、整地も済み、何と言われたか、皆さんわかりますか。わかりませんよね。ある担当の県の職員は、やっとどいてくれたねと、こう言われました。この言葉を皆さんはどう思いますか。ほんとう、棒を持ったら、どつきたい気持ちでいっぱいでした。ほんとうに。でも、そのおかげで、国道145号のバイパスができて、西吾妻にとってはほんとうによかったし、吾妻全体が近くなりました。そして運送業や観光関係の方も、交通止めがなくてほんとうによかったよ、おまえらのおかげだと言われました。そうわかってくれればほんとうにありがたいと思いました。
やっぱり道路というのは一番大事なものなのだなと、つくづく思いました。だから、貨物輸送にしろ、旅館、ホテルの、今までは台風が来ればキャンセルがあったのが、今は全然なくてよかったよというような話をたまたま耳にします。皆さんの気持ちもよくわかりますけれど、六十数年、悩み、苦しめられ、ダム本体が完成しても水が貯水できなければ、下流都県もがっかりすると思いますし。
(傍聴人より発言あり)
【公述人(竹内)】 今まで、皆さんそうかもしれないけれど、苦しんだ我々の気持ちもわかってほしいんですよ。
(傍聴人より発言あり)
【公述人(竹内)】 貯水ができねば、今までに使った税金がどうなるか、無駄遣いになるじゃないですか。そういうことを思った場合、ぜひこれはね。
(傍聴人より発言あり)
【公述人(竹内)】 ほんとう、皆さんの気持ちもよくわかりますけれど、我々の気持ちもわかってほしいのが願いです。
(傍聴人より発言あり)
【議長】 すみません。公述人は公述を続けてください。傍聴人の方々、公述人と会話をされる場所ではありませんので、すみませんがよろしくお願いします。
【公述人(竹内)】 いろんな意見はよくわかりますけれど、我々の気持ちもわかっていただければと思いまして、一応、苦労話やらいろいろと話させていただきました。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
【議長】 ありがとうございました。では降壇してください。
(公述人降壇)
【市民オンブズマン群馬・この項続く】
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