■2019年10月31日、午後2時1分、「主文1、原告らの請求をいずれも棄去する。2、訴訟費用は原告らの負担とする」という渡邊和義裁判長の声が、40名近い傍聴人が詰めかけた前橋地裁2階第21号法廷の張りつめた空気のなかで響いてから今日でちょうど2週間目。本日の午前9時50分に原告住民は、今度は控訴人として控訴状を前橋地裁3階事務係受付に提出しました。
↑控訴手数料は一審の1.5倍の1万9500円。プラス郵便切手代が一審と同様に6000円かかる。↑
※前橋地裁控訴状貼用印紙代及び郵便切手代(計2万5500円)ZIP ⇒
pyxiv25500j.zip
なお、2018年4月25日(水)午後4時30分に開かれた第8回弁論準備以降、これまでの本件裁判に関する情報は次のブログ記事を御覧下さい。
○2018年6月15日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…6月20日前橋バイオマス補助金返還第9回弁論に向け原告が準備書面(8)提出↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2669.html
○2018年8月4日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…9月5日前橋バイオマス補助金返還第10回弁論に向け被告が第7準備書面提出↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2716.html
○2018年8月28日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…9月5日前橋バイオマス補助金返還第10回弁論に向け原告が準備書面(8)提出↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2737.html
○2018年10月2日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…10月26日前橋バイオマス補助金返還第11回弁論に向け原告が証拠申出書を提出↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2767.html
○2018年10月6日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…10.26前橋バイオマス補助金返還第11回弁論に向け被告第8準備書面が届く↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2772.html
○2018年10月27日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…10.26前橋バイオマス補助金返還第11回弁論準備でついに証人尋問決定!↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2795.html
〇2019年1月22日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…1.30前橋バイオマス発電訴訟第12回弁論準備に向けて被告陳述書2通が到来!↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2864.html
○2019年2月4日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…前橋バイオマス補助金返還第12回弁論準備で4月24日に尋問決定!↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2876.html
○2019年7月17日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…前橋バイオマス補助金返還訴訟が7月17日に結審!判決は10月31日(木)14時!↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2980.html
○2019年10月31日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…前橋バイオマス訴訟の10月31日14時の判決を傍聴しよう!↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3061.html
○2019年10月30日:【速報】東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…前橋バイオマス訴訟で原告住民全面敗訴判決!↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3065.html
○2019年11月1日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…原告住民全面敗訴判決のこれが全文!↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3066.html
○2019年11月1日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…原告住民全面敗訴判決から見える裁判官の一分(いちぶん)とは↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3067.html
↑数々のルールを無視したまま、2018年3月4日の商業運転開始後、既に1年8カ月が経過。補助金の名のものとに多額の税金が投入され、さらにはFIT制度による高い電気代が電気料金に転嫁され、この亡国事業のために費やされている。出典:関電工HP。↑
■10月31日午後2時からの判決言渡しには38名の傍聴者のかたがたに来ていただきました。また、インターネットでオンライン記事をSNS発信しているマスコミ記者の取材もありました。取材記事は11月3日に次の通りネット配信されました。
**********オルタナ2019年11月3日11:13
http://www.alterna.co.jp/28498
群馬の木質バイオマス発電所訴訟で住民側が敗訴
前橋地方裁判所は10月31日、バイオマス発電所に補助金を交付した群馬県を相手取った住民訴訟で、住民側の請求を棄却する判決を言い渡した。このバイオマス発電所は環境破壊の可能性が高く、住民らは控訴を含めて今後の対応を検討している。(オルタナ編集委員・栗岡理子)
↑前橋バイオマス発電所のゲート↑
この訴訟は、福島第一原発事故による放射能で汚染された森林を伐採・焼却することに不安を感じた住民らが「赤城山の自然と環境を守る会」(代表:横川忠重)を結成し、提訴したもの(詳細は「緊急連載・バイオマス発電の限界と可能性」)。
放射能汚染を懸念する木質バイオマス発電所に対する地元住民による訴訟は、2019年9月に福島県田村市で建設中の発電所に対しても起こされている。木質バイオマス発電所の増加に伴い、今後このような訴訟は増える可能性がある。
訴状によると、群馬県が前橋バイオマス発電所に公布した補助金4億8000万円について、住民らが県に対し返還履行請求を行った。住民が特に問題視するのは、県が環境影響評価を行わずに補助金を支給したことだ。
群馬県は、新規の工場建設にあたり、総排ガス量が毎時4万Nm3を超える場合は環境影響評価を実施することと条例を定めていた。しかし、木質バイオマスを燃料とする場合には含水率を考慮してよいと規定を改定し、当該発電所を評価の対象外とした経緯がある。
同発電所は、東京電力子会社である関電工と、トーセン(栃木県)による出資で建設。住民らは、環境影響評価を行うことで建設の遅れを心配する関電工の圧力に屈した県が、同社に便宜を図るため条例を改定したと主張している。
これに対し県は、関電工の計画を知る以前から木質バイオマス発電の活用を推進しており、同規定を再検討していたとして、同社からの不当な働きかけにより改訂したものではないと反論していた。
住民らは、発電所の近隣住民への建設に関する周知が不十分であったことや、補助金の使途、稼働後の夜間騒音、さらに県産材のみを利用するはずが、県外トラックによる原料チップの搬入が目撃されていることなども問題にしている。
しかし、今回の判決では、住民らの主張はすべて退けられた。これ受け、原告団の小川賢・市民オンブズマン群馬代表は「すべて県側の主張が採用されてしまった。まるで独裁国家だ。来週にはみんなで相談し、控訴するかどうか検討したい」とのことである。
**********
↑バイオマス発電施設へ進入する市道。↑
↑施設入口ゲート。↑
↑構内から見た施設遠景。↑
↑管理棟。↑
↑発電ボイラープラント。↑
↑構内の模様。↑
■この記事は、今回はじめて「Yahoo!ニュース」にも配信されています。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20191103-00010000-alterna-soci
この「Yahoo!ニュース」では、新聞・通信社が配信するニュースのほか、映像、雑誌や個人の書き手が執筆する記事などを掲載しています。ちなみに、Yahoo!ニュースは記事ニュース・写真ニュース・動画ニュース・トピックスから構成されており、ニュースおよびトピックスは更に8つのカテゴリに分かれています。記事ニュースは主に毎日新聞、読売新聞、朝日新聞、産経新聞、時事通信などのニュースを扱っており、Yahoo!ニュースのみに配信しているメディアが多い点も特徴です。
記事によっては掲載期間が過ぎると記事は削除されリンク切れになるのと、個別記事に対してYahoo!JAPAN IDを持つユーザーがコメントを投稿できるようになっており、各コメントに対する賛否を投票することも可能です。投稿者のYahoo!JAPAN IDは一部が伏字で表示されており、匿名性が高くなっています。
今回の11月3日昼にオルタナが配信したこの記事に寄せられたコメントは、11月4日までに24件に上っていますが、この事件の本質を分かっていないコメントが過半数に上っています。
■さて、この記事の末尾の当会代表によるコメントにもあるとおり、原告ら地元住民のかたがたが11月10日(日)午後2時から宮城公民館に集まり、本件に関する今後の対応策を1時間50分にわたって協議しました。
↑原告住民らによる判決結果協議が11月10日(日)午後2時から開かれた宮城公民館。↑
冒頭、当会代表から、判決の分析、敗訴の背景、課題、裁判所と行政の関係などについて話した後、参加者の皆さんから本件についていろいろな観点から、意見が出されました。
これまでの原告準備書面の中で特に燃焼について詳しく教示いただいた住民のかたかはら「排ガス量に大きく影響を与える空気比について、水分量が高ければそれだけ空気が余計必要になるのに、裁判所が被告の主張をそのまま採用するなど言語道断なので、あらためて環境アセスをやらせるためだけを目的に裁判を起こせないだろうか」との見解が示されました。
それに関連して、排ガス中の窒素酸化物(NOx)、酸素量(O2)、放射性セシウム等などの測定データの確認の必要であることから、そうしたデータをなんとか得られないか、という切実な提案もありました。そうすれば周辺環境へのインパクトが数値的に検証できるからです。
こうした環境関連のデータは関電工が前橋市に定期的に報告しているはずなので、前橋市に情報開示請求して入手できないだろうかという意見もありました。
また、「バイオマス燃料とバイオマス発電は別法人だ。だから原告住民らが、バイオマス燃料事業への補助金支給と、バイオマス発電事業への排ガス・排水・焼却灰などによる大気汚染・水質汚染・放射能汚染リスクへの環境アセスメント実施義務を関連付けることはできない」とする判断について、裁判所が判決文の事実認定の冒頭で触れていることから、「そうであれば、バイオマス燃料はバイオマス発電に敷地の地代を支払っているはずだが、それをしていないのは同一組織の証である」とするの意見も出されました。
そうした意見を踏まえて、今後この件についてどのように対処すべきかを話し合いました。その結果、このままでは済ませずに、控訴したほうがよいという意見が出されました。
一方、これ以上続けても意味がないという意見は皆無でした。
そのうえで、11月14日までに控訴手続きを行い、来年1月6日までに控訴理由書を作成することで参加者全員からの総意が得られました。。
■こうした経緯を経て、本日11月14日に告訴状を前橋地裁に提出しました。二審の東京高裁では、弁論期日指定日に原告(これからは控訴人)として必ず本人が出頭しなれればならず、負担が大きくなるため、高裁での二審では当会代表のみ控訴人としました。
*****控訴状*****ZIP ⇒ 20191114tiioj.zip
令和元年11月14日
東京高等裁判所 御中
控 訴 状
控 訴 人 住所 〒379-0114
群馬県安中市野殿980
氏名 小 川 賢 印
Tel. 090(5302)8312 Fax. 027(224)6624(鈴木庸)
被控訴人 住所 〒371-8570
群馬県前橋市大手町1-1-1
氏名 群馬県知事 山本一太
訴訟物の価額 160万円(算定不能)
貼 用 印 紙 1万9500円
上記当事者間の前橋地方裁判所平成28年(行ウ)第27号 住民訴訟によるバイオマス補助金支払差止請求事件について,令和元年10月31日下記判決の言渡しを受け,同日判決正本の送達を受けたが,同判決は全部不服であるから控訴を提起する。
原判決の表示(主文)
1 原告らの請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告らの負担とする。
控訴の趣旨
1 被控訴人は,前橋バイオマス燃料株式会社に対し,4億8000万円及びこれに対する平成29年5月29日から支払い済みまで年5分の割合による金員を群馬県に支払うよう請求せよ。
2 被控訴人が,前橋バイオマス燃料株式会社に対して交付した平成28年7月4日付け平成27年度(繰越)群馬県林業・木材産業再生緊急対策事業補助金交付決定に基づく4億8000万円につき,上記補助金交付決定を取り消して返還請求することを怠る事実が違法であることを確認する。
3 訴訟費用は被控訴人らの負担とする。
控訴の理由
追って,控訴理由書を提出する。
附属書類 控訴状副本 1通
**********
■11月14日(木)朝9時35分に前橋地裁に到着したあと、3階に上り、エレベーター前のテーブルでカバンから起訴状一式を取り出しました。事務係の部屋を見ると、渡辺裁判長が平服で中に入るのが見えました。
起訴状の正本と副本を確認してから、事務係室に入りました。裁判長の姿は既に見えませんでしたが、一審を担当した民事第1部の女性書記官に「控訴手続きはどこですか」と尋ねると、「あちらの受付です」と指さしました。受付で起訴状2通を提出し、手数料として貼用収入印紙と郵便切手の金額を確認していると、先ほどの女性書記官が、「前橋バイオマスの件ですね」と言って、分厚い裁判資料のファイルを抱えて、受付にやって来ました。どうやら、本日が判決言渡しから2週間後の控訴期限日のため、すでに準備をしていたようです。
再び1階に降り、売店で収入印紙1万9500円と切手6000円を購入し、3階でそれらを揃えた後、民事受付に差し出しました。受付の職員が「切手の内訳を確認しますので、外のテーブルのところでお待ちください」というので、待機していたところ、2、3分すると、職員が出てきて「確認できましたので、(控訴状を)お預かりします」と声を掛けてくれました。
こうして、午前9時50分に控訴手続きを終えました。これから、7週間後は来年1月2日(木・祝)なので、裁判所が年始オープンする1月6日(月)までに控訴人として控訴理由書を作成し、東京高裁に提出する予定です。
↑控訴手続きを終えて地裁を後にする。↑
↑県庁前のケヤキ並木も色付いてきた。↑
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】