■大同有害スラグで有名な渋川市で、またもやスラグを巡る報道がありました。お話の舞台は一般家庭から出たごみを焼却処分した際に排出される焼却灰を埋め立てる一般廃棄物最終処分場です。この処分場は渋川市・吉岡町・榛東村の3市町村で運営されているようですが、その運営をつかさどる議会で、またもや(株)佐藤建設工業が無慈悲にばら撒いた有害スラグが問題になっているようです。
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**********上毛新聞2019年11月10日
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最終処分場工事のスラグ問題で特別委 渋川広域圏議会
渋川地区広域市町村圏振興整備組合議会は、同組合が渋川市内に建設した最終処分場の工事を巡る問題を扱う「エコ小野上処分場建設工事に伴うスラグ砕石の調査及び契約手続きに関する特別委員会」を設置した。8日に第1回委員会を開き、調査事項を話し合った。
工事で有害物質を含む鉄鋼スラグが使われたかどうかなどを調べるべきだとする意見に対し、この問題に関する住民訴訟が係争中のため裁判の結果を受けて対応するのが妥当だとする意見もあり、結論は出なかった。訴訟内容を共有した上で、再度、特別委で扱う内容を詰めることにした。
同議会は渋川、吉岡、榛東の3市町村議で構成し、定数15。10月定例会で特別委設置の議案が出され、賛成多数で可決された。特別委は10人が委員となっている。
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問題の焼却灰の処分場はこちらです。↓↓
※参考URL:渋川地区広域市町村圏振興整備組合⇒
http://www.sknet.or.jp/c01/jigyo03-2
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↑これが、エコ小野上処分場という名の埋め立て処分場なのだそうだ。↑
議会の委員会での説明によると、平成24年度~26年度で、広域組合3か所目となる管理型の最終処分場を建設したそうです。この最終処分場は従来からあるオープン型の最終処分場とは異なり、屋根や壁を備えたクローズド型最終処分場なのだそうです。
こんな近代的な屋根付き処分場に有害スラグが使われたとしたら毒性を含めて大変なことになりそうですね。
■では、いつものようにポイントをまとめてみましょう。
ポイント①渋川広域圏議会の10月定例会でスラグ特別委が設置されたこと。
ポイント②スラグ特別委では、有害スラグの使用と建設工事の不当性が問題となっているようだ。
ポイント③調査特別委員会が設置されたのに、調査に条件を付ける意見が出されたという不自然な報道であること。
次に、それぞれのポイントごとに検証してみましょう。
ポイント①
渋川広域圏議会の10月定例会でスラグ特別委が設置されたこと。
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↑元々あった焼却灰を埋める小野上処分場の近くに、平成24~26年建設されたのが今回問題となっているエコ小野上処分場だ。大同スラグが使用されているのに、スラグが使われたのは昔の処分場だということにして、役人ぐるみで逃げ回っているらしい。↑
渋川市・吉岡町・榛東村の3市町村は組合を組織し、一般家庭から出るゴミを処理しています。同組合は、そのゴミの焼却灰を埋め立てる「エコ小野上処分場」を運営していますが、その建設工事にスラグ砕石が使用されたことや、契約手続きに問題があるため、特別委員会が設置されたとの報道です。
ポイント②
スラグ特別委では、有害スラグの使用と建設工事の不当性が問題となっているようだ。
報道によれば、この組合では「渋川、吉岡、榛東の3市町村議」で議会を構成し、定数15となっているそうです。10月定例会で特別委設置の議案が出され、賛成多数で可決され、特別委は10人が委員となっている模様です。
その名称は「エコ小野上処分場建設工事に伴うスラグ砕石の調査及び契約手続きに関する特別委員会」と名付けられたことから、工事にスラグが使われたことや契約に疑義があるための特別委員会であることが容易に想像できるでしょう。
ポイント③
調査特別委員会が設置されたのに、調査に条件を付ける意見が出されたという不自然な報道であること。
報道によると、「エコ小野上処分場建設工事に伴うスラグ砕石の調査及び契約手続きに関する特別委員会」は既に設置済みであるのに、11月8日に開かれた第1回委員会で調査事項を決めようとしたところ、係争中であるため裁判の結果がでるまで調査をさせないという意見が出されたと読み取れます。
行政の執行部が「調査中だ」とか「係争中だ」などを理由に、議会での議員の質問に対し説明責任を果たさないことが問題となっています。
行政事件訴訟法にも住民訴訟の規定がある地方自治法にも「調査中」とか「係争中」を理由に議会答弁を回避できるなどとはどの条文にも書いていないと思いますが、現実には地方議会のあちこちで「係争中」を理由に説明を避けることがよく見受けられます。
■しかし今回「住民訴訟が係争中のため」という意見が出されたのは、特別委員会の席上です。特別委員会は選挙で選ばれた議員10人で構成されています。行政の執行部つまりお役人様は特別委員ではないハズなので、「住民訴訟が係争中のため」という意見は、いったい誰から出されたのでしょうか?
まさか渋川広域圏組合の執行部が頼まれもしないのにしゃしゃり出て、意見を述べたのでしょうか?執行部のお役人様は議会での権限はないハズですので、この場合この意見は無効となることでしょう。
また議員の中に、お役人様がよく口にする「住民訴訟が係争中」という言葉を使う輩がいる場合には、スラグ調査を反対するお役人様から頼まれたことが考えられます。
■とりわけ、この報道で一番の疑問なのは、通常の特別委員会の設置だけでは、上毛新聞は記事として取り上げません。それなのに今回は、「調査事項を話し合う席で、調査そのものをストップする方向に進む」と以上に踏み込んだ表現で、上毛新聞が記事として取り上げたことです。
この報道は、スラグ調査反対派と上毛新聞がタイアップして記事になったのでは・・・という可能性を感じてしまうのは、果たして当会だけなのでしょうか?
以上、上毛新聞のスラグ報道を検証してまいりましたが、大同の企業城下町渋川市では、スラグの実態調査に反対する人々の存在や、こうした不逞の輩とタイアップする上毛新聞の報道姿勢、という図式が見え隠れしているようです。
■もう一度このスラグ報道の疑問点をまとめるに当たり、「渋川地区広域市町村圏振興整備組合」の執行部のお役人様に次のことを聞いてみたいものです!
・誰が「係争中だから、裁判の結果がでてから調査項目を決めよう」と言い出したのか?
・なぜ係争中なので、 結果がでてから調査項目を決めなければならないのか?
・広域圏議会では、三権分立のような考え方はないのか?
我が国の三権分立はまさに風前の灯です。ここで、改めて声を大にします。
「裁判は裁判」「議会は議会」のはずだ!
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
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