市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

ウラジオストクの短い春(その3)

2010-04-15 23:56:00 | 国内外からのトピックス

■春を迎えつつあるウラジオストクですが、天候の変化が著しく、低気圧の通過で火曜日午前に大雪が降ったと思ったら、水曜日からぽかぽか陽気で、気温も日中は10度を超え、雪もすっかり融けました。再び郊外では、野焼きの煙がたなびき始めました。

 この野焼きですが、日本でも害虫対策で河原の土手や原野で行われています。先日は、野焼きの最中に強風が吹き、火に巻かれて死者が出るという惨事もありました。ウラジオストクの野焼きも、春の風物詩ですが、中には無許可で野焼きをして、民家に燃え移ったりするトラブルや死傷事故も起きるそうです。とくに、ロシアの短い春には、野草、とりわけワラビが一斉に芽吹きますが、収穫しやすいようにあらかじめ野焼きをします。ロシアでもワラビは良い値段で売れるため、この時期に勝手に野焼きをするケースが後を絶たず、事故やトラブルが多発するそうです。

■ところで、ロシアでも日本より一足先に、2007年から子ども手当制度を始めています。ロシアでは、2008年に女性一人当たりの生涯出産率が1.49となり、20年前の1988年の2.13から大幅に下がっているため、人口増の切り札として、導入されました。

 ロシアでは子ども手当制度は、正式には母親への出産奨励策で、正確には母親手当というべきものです。2016年末までに2人目以上の子どもを出産した母親に1回だけ資金援助され、当初は25万ルーブル(約80万円)でしたが、物価上昇を勘案して昨年から34万ルーブル(約105万円)になりました。

 ただし、使途は自由というわけではなく、子ども子供が3歳を迎えた後、「住宅購入資金」「大学や専門学校の学費」「母親の年金としての積み立て」の中から一つ選ぶそうです。それでも、この制度はかなり効果が出始めているようで、ウラジオストクでも2子目を産むカップルが多くなってきたとのことです。しかし、具体的な効果がわかるのは、10年ごとに行われる国勢調査で確認してからとなります。

■ロシアでは教育も、かつてソ連時代では無料でしたが、今では、有料の私立学校に人気が集まる傾向だそうです。日本と異なり、最近は理系の人気が高く、リーマンショック後、厳しくなった就職環境においても、理系を選択するほうが有利だからということです。

 ロシアでは、かつて宇宙開発や金属材料、化学技術などで世界をリードした分野がたくさんありました。その背景として、基礎科学研究が大学や研究所で行われていたことが挙げられます。国の方針でそうした基礎分野の教育や研究の重要性が認識され、継続して実行されていたためです。ところが、ソ連崩壊後は、欧米や日本と同様に、とりあえずすぐに結果が出て当座の利益を得やすい応用化学に政府の方針がシフトしました。そのため、独創的な技術論文や特許の数が激減したと、かつてソ連時代に教育を受けた年代の人たちは嘆いています。

■ウラジオストクには、今のところ在留邦人は100人前後です。このほかに、日本からの観光客はまだまだ少ないのですが、ロシア語の習得のために訪れる日本人が多いようです。なぜなら、ロシア語には方言がなく、日本に近いウラジオストクで語学学習をすれば、ロシア語標準をマスターできるからです。

 一方、日本語を学習するロシア人は、ウラジオストクだけでも常時3000人いると言われています。極東大学にも日本語学科があり、ここで学んだ卒業生は、日露のビジネスに従事しているものも多いということです。

■ロシアの男性の平均寿命は59歳と言われています。女性は72歳だそうですが、それでも、日本の女性に比べれば14歳以上差がついています。この平均寿命の短い原因として、寒い気候によるウォッカの一気飲みや高カロリーの食事などが取りざたされています。

 そのため、現在はダイエットに対する関心が高くなっています。ウラジオストク市内にも、日本食レストランが次第に増えており、スシバーを銘打った店や、メニューに日本食を載せる店も増えています。また、野菜サラダや魚料理など工夫を凝らしてヘルシーさを売り物にしたメニューも見かけます。

■こうした背景で、今回、ウラジオストク空港で偶然見かけた「群馬県昭和村」の出迎えプラカードから、既に報告した通り、コンニャクにまつわる話題を知ることができました。

 残念ながら、現地では多忙のため、昭和村が参加した農産物見本市の会場には足を運べませんでしたが、日本のマスコミで、唯一ウラジオストクに支局を持っているNHKが、4月14日に開催された見本市で、昭和村のコンニャク紹介の話題を取材し、その晩の7時のニュースで次のように放送したことを後で知りました。

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こんにゃくをロシアへ紹介
4月14日 19時25分
 消費が伸び悩むこんにゃくの販路を海外に拡大しようと、全国一の産地、群馬県の生産者らがロシア極東のウラジオストクを訪れ、こんにゃくを初めて紹介しました。群馬県は、こんにゃく芋の全国一の産地ですが、海外からの輸入が増える一方、国内消費が伸び悩み、販路の拡大が課題となっています。
 ウラジオストクを訪問しているのは、群馬県昭和村の生産者ら10人です。一行は、14日ウラジオストクの農産物見本市に参加し、こんにゃく芋から作ったハンバーグやめんなど、13種類の製品を並べて、こんにゃくを紹介しました。ロシアでは、日本食が健康によいとして消費者の関心が高く、生産者たちは、こんにゃくが日本でダイエット食品として知られていると説明しながら試食を勧めていました。こうした説明は、とりわけ女性たちの注目を集め、このうちの1人は「簡単にダイエットができそうです。1つの芋から、こんなにたくさんの食品ができるなんて不思議です」と話していました。群馬県は、こんにゃく芋の国内生産の90%余りを占める全国一の産地ですが、海外からの輸入が増える一方、国内消費が伸び悩んでいるため、販路の拡大が課題となっています。県などによりますと、こんにゃくを海外で本格的に紹介するのは、今回が初めてだということで、昭和村の加藤秀光村長は、「こんにゃくのよさをアピールして、ロシアでも、どんどん広げていきたい」と話していました。村では、今回の反応をもとに、こんにゃくを本格的に売り込むか検討することにしています。
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4月14日夜7時のNHKニュースから。

■たまたま、15日のフライトでウラジオストクから成田に戻る際に、前日、現地見本市に参加した昭和村の加藤村長初め、コンニャク農家や商工会議所メンバーら今回のコンニャク紹介のための使節団と再び一緒になりました。


成果に手ごたえを感じたという昭和村使節団。帰国のため意気揚々とウラジオストク航空機に搭乗する加藤村長(左から2人目)ら使節団一行。



日本人経営者が自ら料理を作っているレストラン「BIBABO(ビバボ)」のお奨め料理。外見は韓国料理店。しかし、日本料理とイタリア料理を得意としている。ちなみに、ビバボというのは指人形のことだとか。
http://www.geocities.jp/urajionihon/News2/kawaraban51/51-4.html(ウラジオストク市内の食事場所情報)




↑創作的なロシア料理の一例。↑

■加藤村長の話によると、「ロシア側の手ごたえは相当感じた」とのことです。「7月にも再度ミッションを派遣する予定」だそうですが、「せっかくコンニャク消費のマーケットを開拓しても、日本の場合と同様に、安い中国産のコンニャクに取って代わられるのでは」という不安が付きまとっているようです。

 しかし、ロシア人は、日本産の食材と中国産の食材を比較して、価格よりも安全性の観点から、中国産の食材を敬遠する動きをすることは確かです。そこで、当会では、日本食とのコラボレーションで、コンニャクの消費拡大のアイデアを考えてはどうか、と提言しました。今回も試食用に持参したそうですが、コンニャクの刺身や、カニ風味のコンニャクなどは日本食をイメージさせるので、ロシア人の好みを刺激するはずです。

 また、ロシア料理で有名なボルシチ、ピロシキ、ぺリメニなどの食材向けに、牛スジ味や豚角煮味などに加工したコンニャクなどの開発なども有望と思われます。長寿効果は半減するでしょうが、ウォッカのツマミ用にピクルス風味や酢漬け風味のコンニャク加工品も面白いでしょう。

■昭和村による今回のコンニャクキャンペーンで、極東ロシアに、新たな日本食=ダイエットの開拓が生まれ、さらなる日本食ブームが沸き起こるのかどうか、興味深く見てゆきたいと思います。

【ひらく会情報部・海外取材班】

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ウラジオストクの短い春(その2)

2010-04-13 23:53:00 | 国内外からのトピックス
■今朝は一転して大雪になりました。当地のロシア人の言うには、今頃、これほどたくさん積もるのは珍しい、とのことです。



 その雪も、昼過ぎには止んで、青空となり、春の日差しが差し込むと、またたく間に解け始めました。金角湾がくっきりと見わたせます。



■ところで、金角湾にあるウラジオストク港の昨年度2009年1月から12月の貨物取扱量は620万5200トンでした。これは前年比4.9%増加です。現在、同港の貨物取扱量全体でトップを占めるのは金属製品やコークス等の輸出貨物です。

 ウラジオストク港ではこれまで、中古輸入拠点として大量の自動車貨物を扱ってきました。ところが自動車輸入関税引き上げ後、中古車の輸入量が激減言してしまいました。同港ではそれに代わる新たな貨物の確保が急務となっています。

■その一つの可能性が穀物です。最近のロシアでは穀物の収穫量が安定してきており、輸出余力が生まれたため、極東地域でも年間400万トンの穀物を東アジアや東南アジアに向けて輸出しようという計画が浮上しつつあり、そのための積出港としてウラジオストク港に穀物ターミナルを設置しようという動きがあります。

 ロシアでは、小麦・大麦などの穀物は、秋から冬にかけての香水を効果的に利用する目的で、春撒きと別に秋撒きがあります。春撒き、秋撒きともに収穫時期は夏となっています。

■ロシアでは、9700万トンの穀物が収穫された2009年に続き、2010年にも9000万トンを超える穀物の豊作が見込まれています。なぜなら秋撒き作物の播種面積が1800万ヘクタールに達しており、もしこれから春撒き作物の播種面積が前年より縮小しても、2010ん面の播種面積は合計で4800万ヘクタール以上となり、これだけの播種面積があれば、2010年の穀物収穫量は9000万トン以上になると予測されているからです。

 一方、ロシア連邦政府では、近年国家が市場介入によって買い付けた穀物が余剰在庫となり、穀物倉庫の保管能力不足が深刻な問題になっています。

■そのため、今年の豊作の収穫前に、在庫穀物のうち、300万トンを輸出向けに販売する必要がありますが、穀物の国際市場価格は、販売対象となるロシアの在庫穀物の買い付け価格よりも低いレベルにあるため、備蓄穀物を販売するたびに差額分の損失が生じます。その損失は国家予算から支出される金額で補てんすることになります。

 しかし、そのための予算は50億ルーブルとされていますが、市場価格がトン当たり180ドルとすると、せいぜい200万トン程度の輸出補てんしかできず、到底全量を輸出でさばける余力に乏しいことが指摘されています。さらに生産地から積み出し港までのコストとして30から50億ルーブルの補てんが必要になるそうです。

【ひらく会・海外取材班】

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ウラジオストクの短い春(その1)

2010-04-12 22:54:00 | 国内外からのトピックス

■4月11日は安中市長選の投開票日でしたが、桜満開の北関東をあとにして、成田空港から、今回3度目の訪問となるウラジオストクに向けて飛び立ちました。


↑成田空港第1ターミナル南ウイングの駐機場。

成田空港第1ターミナル南ウイングの海外向け土産物売り場にはダルマが置いてある。


昨年秋に新規オープンした南ウイングだが、やたらとブランドショップばかり建ち並び、普通の旅行者にとっては立ち寄りがたい雰囲気。

 機内アナウンスによると、ウラジオストクの気温は8度。群馬より経度がずっと西にあるのに、時差が日本より1時間進んでおり、3月下旬からサマータイムの影響でさらに時差が1時間も進み、日本と+2時間の時差があります。そのため、日本では午後6時なのに、ウラジオストク空港に着陸した午後8時は、まだあたり一面明るいのです。

 上空から見ると、ウラジオストク周辺の山々にはまだ根雪が残って見えましたが、平野部では雪は見られません。しかし、まだ春の芽吹きには至らず、一面カーキ色の世界で、あちこちで川岸や土手の枯れ草を焼く光景が見られました。そのため、地表には薄い霧が立ち込めているかのようでした。

■ウラジオストク空港で機内からバスでターミナルに移動しますが、駐機場には先日ポーランドの大統領一行が搭乗していたのと同じツポレフTu154型機の姿も見えました。

 ソ連時代を彷彿させるかのように、パスポートコントロールで1時間近くも並ばされた挙句、ようやく入国審査が終わり、出迎えの人々でごった返す到着ロビーに出た途端、「群馬県昭和村」というプラカードを持ったロシア人に呼びとめられました。一瞬、「えっ」と思いましたが、直ぐに先日の新聞記事の内容を思い出しました。

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こんにゃく日本一から世界一へ 昭和村、ロシアに売り込み
東京新聞2010年4月1日
 日本一のコンニャクイモ生産量を誇る昭和村の加藤秀光村長は今月11~15日、こんにゃくの消費拡大を目的に、村商工会のメンバーらとロシアのウラジオストクを訪問する。同村が海外でこんにゃくをトップセールスするのは初めて。加藤村長は「ロシアを皮切りに健康食品のこんにゃくを世界に売り出したい」と意気込んでいる。 (山岸隆)
 村産業課によると、村内のコンニャクイモの生産農家は約二百五十戸、栽培面積は約八百ヘクタールで、収穫量は年間約一万三千八百トン。全国有数の生産地として知られる。
 村によると、ロシアではダイエットに対する国民の関心が高く、昨年秋に在日ロシア大使館のスタッフが昭和村を訪れ、コンニャクイモ畑などを視察。今年二月には同大使館に加藤村長らが招かれ、「ロシアに来て、こんにゃくをPRしてみてはどうか」と打診を受けていた。
 同大使館の紹介でウラジオストクの経済界の代表らと昭和村との調整が進み、訪問が実現した。
 訪問団は村や村商工会の幹部、村内のこんにゃく加工業者ら計九人。ウラジオストクで開かれる国際的な農業見本市で、同商工会が開発したこんにゃく入りの「ダイエットハンバーグ」や刺し身こんにゃくなど十四種類の加工品を展示、試食してもらう。
 村産業課は「ロシアの食品業者やレストラン経営者、行政関係者らとの交流を予定している。チャンスを生かし、日本一から世界一を目指したい」と意欲的だ。
**********

■ほどなく、加藤村長ら役場の幹部や、商工会の役員ら一行がガヤガヤと通関を終えて到着ロビーに出てきました。木曜日までの滞在にしては、皆大きなスーツケースを抱えています。中に見本市向けのこんにゃく加工品が入っているのでしょうか。荷物はすべてX線荷物検査機を通されますが、中を開けろとはめったに言われないので、無事に通関できたようです。

 役場の幹部とおぼしき人物に、激励の言葉をかけると、一瞬驚いた様子でしたが、直ぐに趣旨を理解していただきました。

 ここ、ロシアではコンニャク芋の栽培は冬が長いので、あまり適している環境とは言えませんが、ロシアでは近年日本食ブームなので、さらにダイエットに効果的という付加価値をキャッチフレーズにして売り出せば、ロシアでもヒット商品になる可能性は十分にありそうです。


サマータイムの影響で、ウラジオストクの日の出は午前7時50分。もうもうと煙を上げているのは火力発電所。中央の金角湾の左に見えるのが2012年APEC開催に間に合わすべく建設中の斜長橋。

【ひらく会情報部・海外取材班】

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安中市長選の開票結果を受けて思うこと

2010-04-12 00:05:00 | 安中市長選挙
■地縁金権型選挙VS都市型選挙の一騎打ちに終止符が打たれました。結果は、次のとおりです。

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<安中市長選>現職の岡田氏が再選 群馬
4月11日21時1分配信 毎日新聞
 任期満了に伴う群馬県安中市長選が11日投開票され、現職の岡田義弘氏(71)=無所属=が、新人で前市議の高橋由信氏(53)=同=を破り、再選を果たした。投票率は53.34%。
◇確定得票数は次の通り。
当14673 岡田義弘=無現<2>
 12401 高橋由信=無新
最終更新:4月11日21時39分
**********

■この数字を見た感想を述べてみます。

 選挙で無敗を誇る岡田義弘候補が、今回も無敗神話を維持したことになりますが、この数字を見る限り、高橋由信候補が非常に善戦したとみるべきでしょう。

 新聞などでは、前回の合併市長選挙で、岡田義弘候補が得票した票以外の、その他の3候補が得票した票数の行方がどうなるのか、というような分析がされていました。

 前回、2006年4月に行われた合併市長選挙の結果は、次の通りでした。
 1.岡田義弘 11583
 2.中島博範 10725
 3.早川正雄  6316
 4.小川 賢  2666
有権者数 : 52394人  投票者数 : 31783人  投票率 : 60.66%

 今回は、投票率が前回を7.32ポイント下回りましたが、岡田義弘候補は、3千票以上、前回より上乗せしています。この上乗せ分の相当部分は、前回早川正雄候補に投じられた票が流れたと見ることができます。

 一方、高橋由信候補は、おそらく前回選挙で中島博範前市長に投じられた票の相当部分に、この4年間で新規に選挙権を得た若い世代票を上乗せしたかたちとなったと思われます。

 前回より、投票率が大幅に下がった理由にはいろいろな要因が考えられますが、当会の事務局長の小川賢候補に投じられた票が、今回、行き場を失って棄権、あるいは白票となって現れた可能性も、要因の一つとして挙げられます。

■やはり安中市では、都市型選挙では勝てないことが証明された形です。今回は、岡田義弘候補VS高橋由信候補という構図というよりも、保守利権構造ネットワークVS市民ネットワークという構図での戦いだったといえます。

 いまから15年前に安中市土地開発公社を舞台にした前代未聞、空前絶後のタゴ51億円巨額詐欺横領事件が発覚して、当時の市長が椅子を投げ出したあとに行われた出直し市長選で、市民団体擁立の候補がやはり約2200票差で涙を飲んだことがありました。その時、市民団体擁立候補に清き一票を投じた多くの市民は、「いったいなぜなんだ」という思いを禁じえませんでした。

 今回も、フリーマーケットに代表される市民ボランティア活動に携わる市民ネットワークの関係者や、それに共鳴した市民の多くは、「いったいなぜなんだ」と、戸惑う気持ちを抑えきれないことでしょう。隣の富岡市で同じく県議出身で現職の岩井賢太郎候補が地縁金権選挙で落選したのをみるにつけ、51億円事件を起こした安中の特質性を感じざるを得ません。

■しかし、選挙というものは、やはり利権がものをいうのです。15年前の選挙でも、未来塾は、51億円事件の真相究明をさけぶ市民代替候補よりも、自らの活動に理解をしめしてくれる候補を支援しました。

 今回の地縁金権型選挙VS都市型選挙でも、高邁な市民ボランティア精神を掲げるよりも、法律やルールを捻じ曲げてさえも、利権の実現のために口利きをしてもらえる候補のほうが、安中市民の多くの支援を受けたということに他なりません。

 51億円事件で103年ローンの尻拭いをさせられようが、孫子の代までツケ払いをさせられようが、今、現在の利権を擁護してくれる候補を選ぶ安中市民が、15年を経てもなお、多いということなのです。

■今回の選挙戦に先立ち、当会の事務局に、上毛新聞から選挙戦の展望について、電話インタビューを受けたことがあります。その時、当会では次の趣旨でインタビューに答えました。

「当会は、今回の選挙を地縁金権型と都市型の選挙の戦いというふうに捉えている、在来型の選挙を展開する岡田候補のほうが現状では有利だと思うが、選挙は水ものなので、高橋候補が選挙戦の途中で、急に勢いづく可能性もあり、その場合は結果は流動的になるかもしれない。本来なら、フリーマーケットをめぐる岡田市政対未来塾の因縁の戦いが根底にあることから、未来塾の代表が岡田市長と直接対決をすれば、市民にとってわかりやすいと思う」

 案の定、このような展開になってしまいましたが、代議士さえも舌を巻く岡田義弘候補の選挙強さはいったいどこからくるのでしょうか。

■岡田義弘候補は、有権者の前での態度と、役所の職員の前での態度が180度異なることで知られています。普通の市民はそのことを知りません。役所の職員はみな知っていますが、市役所の職員は、報復が怖くて口に出せません。事実、1期目の岡田市政においても、中島前市長に仕えていた幹部らは、1、2年間のうちに殆どが辞めたり、辞めさせられました。残ったのは、保身のために豹変して岡田市長への忠誠を誓った職員ばかりです。

 また、岡田義弘候補は、市議当時から、地元住民の冠婚葬祭、とりわけ、法事の際の弔辞を通じて、ふかく住民のプライバシーに根をおろしてきました。そうして蓄積した個人情報は、他の候補には絶対マネのできない強力な武器となっています。

■とりわけ、信越化学や東邦亜鉛など、地元の有力企業をリタイヤした地元のOBのネットワークを利活用する術にかけては、他の候補の追従を許しません。企業を定年退職して、手持無沙汰なOBに対して、「今度の選挙では、ぜひ選対に入っていただき、貴殿の人脈を使わせていただきたい。それをお願いできるのは貴殿をおいて他にいません」などと言いくるめ、集票網を構築するのです。これも、市長として、毎年公務で200社を訪問できる環境をフルに活用した賜物ということができます。

 そして、最終的な決め球は、やはり金品のやりとりです。前回選挙では、大勢の住民、とりわけ、以前町長選で現金買収事件でひどい目にあった住民が、選挙後に大挙して警察に申し出ましたが、結局、警察沙汰はひとつも起きませんでした。前回選挙では、長年岡田義弘候補のやりかたをみてきた地元の支援者でさえも、「今度は絶対にあぶない」と言っていましたが、結局、なんらかの口利きがあったのかどうか、候補者本人には司直の手は及ばなかったのでした。こうしたことも、候補者が当選を果たすための実力として、この安中市ではカウントしなければなりません。

■今回、2272票差をつけられた高橋義信候補の後ろ盾となっている未来塾としては、フリマ中止をめぐり、市役所の市長室で行われた意見交換会の議事内容を勝手に岡田市長に改ざんされて、しかも市の広報にそれを掲載されるという仕打ちに対して、岡田市長を相手取り名誉棄損による損害賠償請求を提訴して係争中の事件について、きたる5月27日の判決に向けて、今回の市長選の敗北の意味するところは甚大です。

 おそらく、裁判所は、岡田市長が提出した事実をゆがめる偽造書類でさえも、有効だとみなし、結局、岡田市長に有利な判決、あるいは和解案を提示する可能性が高くなると思われます。

■未来塾としては、この選挙での敗北を深刻に受け止めるのでしょうが、裁判で不利な結果が出たとしても、それで泣き寝入りすることはないでしょう。なぜなら、フリマ中止という仕打ちに屈することは、ますます岡田市政を増長させることになるからです。今回の選挙でも、市民の45.8%がフリマ継続支持をしてくれた、と積極的に受け止めるべきでしょう。

 真の市民運動とは、決してあきらめず、継続することです。また、初心を貫き通すことです。残念ながら、15年経過しても安中市を覆うモヤモヤを、市民の目線で吹き飛ばす困難さは、あいかわらずであることが今回の選挙でも実証されてしまいました。しかし、今回の選挙で、安中市を変えなければならないと考えた若い世代のパワーが、これだけの接戦を成し遂げたことも事実です。

 「決してあきらめないこと」これを未来に向けたメッセージとして、未来塾がどのような活動を今後継続してゆくのか。とりあえず選挙に勝利してホッとした岡田市長が、すぐにまた気にし始めるような展開を、未来塾が打ち出すことを、期待する市民は多いはずです。

■なお、選挙が終わっても、選挙違反による摘発の動きがどうなるのか。3か月を経過してみないと、岡田市長も本当にホッとするわけにはまいりません。15年前のタゴ事件による出直し市長選でも、埼玉のサイボウの社長が、3千万円持って選挙期間中安中市内に入ったことが警察でも確認されましたが、3か月経過しても、結局なにも起きず、多くの市民はがっかりしたことがあります。さて、今回は?

【ひらく会情報部】

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安中市長選挙期間を終えても、投票日の昼過ぎまでまだまだ続いている選挙戦

2010-04-11 01:39:00 | 安中市長選挙
■一週間の選挙運動が土曜日の午後8時に終わっても、選挙戦は今日の投票日まで続きます。今回の市長選挙も期日前投票に出かけた市民は相当多く、既に市民の間で定着した感があります。


 さて、選挙運動期間は土曜日の午後8時までで、いわゆる街頭演説等は終わりましたが、それ以降も電話による投票依頼は、夜を徹して行われます。当会の事務局長の話によると、選挙の大勢は、むしろ投票日の昼過ぎまでわからないのだということです。

■さて、今回の市長選では選挙違反が行われたかどうかは、選挙期間中にもたらされた情報をもとに、選挙後に群馬県警捜査二課が動いて、情報が事実かどうかを確かめたうえで、違反者の取り調べが行われることになります。今回は、富岡市とみどり市も同時に行われたので、捜査の順番によってはかなり遅くなってから警察が動くこともありえます。

 今回は、仕事の都合で出馬を見送った当会の事務局長によると、1995年の最初の市長選からこれまで4回の選挙を通じて、いろいろな選挙違反の情報に接し、警察にも通報したが、結局立件された事例は皆無だったそうです。

■その中から選挙違反のいくつかの手口を紹介します。

 投票日には、なんとか票読みをしなければなりません。今でもやっているのかどうかは分かりませんが、以前の情報では、確実に特定の候補に票を入れたかどうかを確認するには、まず、最初に投票所に行った人が投票をしたふりをして、投票用紙を持ちだします。それに次の人が特定の候補者の名前を書いてポケットに入れて、投票所で投票用紙をもらい、それには何も書かずにポケットにしまいこみ、あらかじめポケットに用意しておいた投票用紙を投票箱に入れて、何食わぬ顔で投票所を出ます。

 これを延々と繰り返せば、その人たちの数だけは確実に誰に投票したかを把握できるわけです。もちろん、謝礼と口止め料として、現金が関係することは言うまでもありません。投票用紙は普通の紙に印刷しただけで、通し番号もふられておらず、無記名なので、告発されない限り絶対にばれません。

■以前は不在者投票という制度がありました。1999年の市長選は、当会の事務局長と現職市長との一騎打ちでしたが、事務局長が遊説中に出会った市会議員から、「不在者投票の動向をみると5対5になっており、相手陣営もそうとう危機感を持っているらしい」という情報を聞かされた時に、事務局長は非常に驚いたそうです。なぜなら、そうした情報が市役所から漏れ伝わってきたというのですから。ということは、不在者投票で投じられた封筒入りの投票用紙を市の職員が開封してチェックしているということになるからです。


1995年5月17日まで、安中市の利権と権勢をほしいままにした元職員と妻が経営しいた喫茶店「珈琲ぶえいく」。平成17年ごろ強制換価のため競売とない、一時期、韓国龍理店が借りていたが、今また入居者募集中。

 当時は、51億円巨額詐欺横領事件の発覚から間もない頃でしたので、市役所内部では、事件の真相究明を公約に掲げた当会の事務局長を何とかして排除しなければならいという強い結束が事件関係者の間にあったようです。事件関係者は当然市役所職員にも大勢いたわけで、市民の投票動向を確認するには不在者投票の内訳を調べるのが最も有効だからです。


タゴが当時、打ち出の小槌がわりに使っていた群馬銀行安中支店。今から15年前の3月末にこの駐車場で、タゴから1000万円をゆすりとった骨董商は今ごろどうしているのやら。

■51億円事件が発覚する直前に行われた1995年の4月に行われた市長選挙では、タゴといつもゴルフ三昧だった当時の現職市長と、市職員から市議になった候補の一騎打ちでした。非常に接戦で、開票足票では一進一退で、最終段階では、市議候補が1千票リードしていましたが、最後に突然票が逆転し約500票差で現職市長が勝利を収めたシーンが群馬テレビで流されました。

 当時、市の総合体育館で開票状況を見ていた市民らは、ひそひそ話をしている職員らの後ろポケットが異常に膨らんでいるのに気付き、最後に職員のリーダー格の人物がニヤリと合図を送るしぐさをしたことが気になってしかたがないと、あとで告白したことがあります。51億円事件でも内部告発がこれまでにほとんど出てこない市役所の体質を思えば、そうした不信感を市民が抱くのも無理はありません。

■また、老人ホームや病院などで寝たきり老人の方々の投票行動についても、いろいろな話が取りざたされていました。こうした施設での投票は、介添人が関与することになります。中には、候補者の主張を理解できないほど症状が悪化した入所者や入院者がいるわけですが、そうした方々にも投票権はあるわけで、投票結果が本当にそうした人たちの意向を反映しているのかどうかは、誰にも検証ができません。

 もちろん身障者の方々も投票できます。当会の事務局長は、いまでも、点字で投票していただいた方々のことが忘れられないそうです。

 市民の清き一票が決してけがされることのないように、選管の関係者には十分配慮願いたいと思います。

■いよいよ合併後2期目の市長をきめる投票は、本日4月11日(日)午前7時から午後6時までの間、市内の49か所の投票所で行われ、午後7時半から安中市総合体育館で開票作業が始められ、午後9時ごろには、大勢が判明することになります。投票についての質問は、安中市選挙管理委員会(電話382-1111)まで問合せ願います。


新しい主を待つ安中市庁舎。


こちらも主の帰還を待つタゴ邸。後方は安中市庁舎。

【ひらく会情報部・選挙不正監視班】
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