市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

高専機構への文科官僚天下りの実態を探るべくオンブズが国会図書館で再度の資料調査

2019-03-23 21:22:00 | 群馬高専アカハラ問題


■依然として悪辣な高専校長を生産し続けている、文科省から高専機構への天下りについて、その実態を明らかにすべく当会では高専機構や文科省に資料開示を求めてきていましたが、どちらからも確たるデータは出てこないまま時間が過ぎてしまいました。

 仕方がないので、当会では再度永田町にある国会図書館に赴き、高専幹部の名簿資料を閲覧して高専全体としての概況が果たしてどのようなものなのか探ることにしました。なお、当会では去年の2月にも資料の閲覧を行っていますが、当時は群馬高専幹部のプロフィールを調査するにとどまり、全国的なデータを取るのはこれが初めてとなります。前回の訪問については以下の記事を参照ください。
○2018年2月20日:アカハラと寮生死亡事件に揺れる群馬高専…国立国会図書館での職員名鑑閲覧で見えてきた西尾前校長の作戦
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2566.html


永田町駅を降りるとすぐに国会図書館が見える。まだ桜の開花には程遠い3月某日。当会が桜の乱れ咲く群馬高専で西尾前校長に最初の公開質問状を提出してから、まもなく4年になる。↑


■本来であれば朝から夜までかけて高専機構発足以後の名簿すべてを仔細にチェックすべきなのでしょうが、それほど時間もなかったため、議会官庁資料室の開架にある直近3年分の名簿、特に最新の平成30年度分でとりあえずは十分と判断し、書棚に向かいました。

 平成30年度の名簿(同年8月31日時点での情報)を手に取って、まずはキャリア官僚から天下っている人物がどの程度いるのか調べてみると、同年度の天下り校長は福島・木更津・東京・長野・津山・阿南で6名在職していることがわかりました。また、機構本部の「理事長特別補佐」と「執行調整役」としても、2名が天下っていることが判明しました。機構全体としては約8名が天下っていることになります。

■さらに切り込んで、それぞれの校長についていったい何歳で就任しているのかデータを取ってみることにしました。チラホラ生年を掲載していない校長がいるため、全員分というわけにはいきませんでしたが、生年月まで確認できたプロパー校長34名、天下り校長5名が校長就任時に満何歳かを調べてみると、ひどい実態が見えてきました。

 まず、プロパーで就任した校長は全員就任時61~64歳で、60歳以下の人物が1人もいません。そして計算してみると、平均は就任時62.3歳であることがわかりました。一般的に定年とされる年齢を超えなければ、どれほど熱意や能力があっても校長になる門は固く閉ざされていることがわかります。

 一方、文科省からの天下りで校長に就任した人物の平均就任年齢を計算してみると、54.6歳であることがわかりました。天下り校長はやはりプロパーより一回り以上も若く校長に就任していることが今回明瞭に数値で示されたことになります。高専機構は、建前上はどの機関からの校長候補者も対等に扱っているかのように説明していましたが、結局のところ天下りの優遇ぶりと残酷な実態は厳然たる事実として存在するということになります。

■ところで、今回の調査でさらに気になる点が浮上してきました。国家総合職(旧・国I)に合格して入省したいわゆるエリート官僚による天下りではなく、一般職で公務員になったとみられる事務方の幹部職員と文科省の関わりについてです。

 各高専の事務部長の経歴を見ていると、「(1)大卒後(高卒後)どこかの大学の事務職に就職し数年間勤務⇒ (2)数年~十数年以上文科省勤務⇒ (3)その後様々な機関を転々とし、最終的に高専事務部長に就任」というパターンが異様に多いことがわかりました。数えてみると、キャリアのうちで4年以上文科省勤務があった事務部長が在職する高専は、実に51高専中30高専に及びます。しかも、キャリアに差異はあれどこの多くが判で押したように上述したパターンを辿っています。

 さらに、高専機構本部についても、キャリア官僚天下り以外で名簿に記載のある幹部職員12名のうち10名が、4年以上の文科省への在職経験があるという結果が出てきました。まさに、高専での昇進には文科省との「コネ」が必須事項というべきほどの惨状を呈していることがわかります。

 このように、文科省とズブズブの関係で御用機関になり果てている高専機構の実情が明らかになるにつれ、当会としては溜息をつかざるを得ません。それでも、中央からハラスメント対策やコンプライアンスなど、先進的な意識を持ち込んでくれればまだ救いようもあるのですが、ひたすら悪弊だけを持ち込み、甘い汁だけを搾取しては去っていく状況のため、評価を下すまでもありません。

■ところで、いじめ自殺事件を起こし機構本部に逃亡した大島商船前校長の石田廣史氏については、校長就任時の名簿や文科省関連の広報から天下りと考えてきましたが、今回名簿を閲覧して経歴を精査した結果、当該人物については天下りではないことが判明したため、関連記事については削除もしくは改稿させていただきます。読者の皆様方に混乱を招いてしまい、心よりお詫び申し上げます。

 筆者がこのことから考えた結論としては、群馬高専の山崎校長(プロパー)が西尾前校長の強硬隠蔽路線を未だに踏襲していることを見ても、一概に天下り校長のみを悪者にし、天下りを廃絶すれば万事解決という見方ではなく、高専全体、高専機構全体としての意識や組織の抜本的改革を図っていく必要があるのではないだろうか、ということです(もちろん、天下りは天下りで、解決されねばならないテーマの1つとしてしっかりと批判していかなければなりません)。

■当会では、今回調査までに判明した事項をもとに、改めて高専機構への天下りの問題点を取りまとめていきたいと考えています。



【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

不祥事の度に「なんちゃって第三者委員会」が増えた我が国のコンプライアンスの劣化と弁護士

2019-03-22 23:45:00 | 不良弁護士問題
■不祥事が起こる度に「第三者委員会」なるものが設立されています。企業、大学、アイドルの運営会社しかり。ついには国の機関である厚生労働省が、ずさんな統計不正問題の特別監察委員会をこう呼ぶ事態となりました。24年前に発覚した安中市土地開発公社巨額横領事件(通称「タゴ51億円事件」)でも、安中市が関連部署の幹部らで構成した、名ばかりの“なんちゃって第三者委員会”を作り、1年もかけて、「なんちゃって報告書」を出しました。それが、24年を経過して、我が国の国政から民間にまで、なんちゃって第三者委員会が蔓延しているように感じます。

「企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン」の解説、単行本–2011/3/1、日本弁護士連合会弁護士業務改革委員会 (編集)、15,997円。
※発行後8年以上経過した日弁連の「企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン」2010年7月15日、改訂2010年12月17日
ZIP ⇒
100715_2nichibenren_dai3shaiinkai_guideline.zip

 この問題について、当会では、行政内の不祥事では、外部の第三者による徹底した調査が不可欠だと主張してきましたが、最近、官民で頻発する不祥事件の度に設置される第三者委員会のまとめ役に弁護士が起用されていることが、大きな問題だと当会では常々痛感しております。

 そうしたなか、2019年3月21日付東京新聞の「こちら特報部」でこの問題が取り上げられたのでご紹介します。

**********東京新聞2019年3月21日
ZIP ⇒ 20190325oxpocw.zip
【こちら特報部】
なぜ間違いだらけの「第三者委員会」

<経営陣> 責任逃れのお墨付きに
米では依頼種は取締役会 CEO解任も

 厚生労働省、レオパレス21、入試不正…。大きな組織の絡む不祥事があると、すぐに「第三者委員会」など外部の人が加わった調査委員会ができる。名前だけみれば公正に真相を探ってくれそうだが、結果を見ると「?」が付くケースが多い。なぜ、そうなるのか。この問題に詳しい弁護士に「間違いだらけの第三者委員会」を語ってもらった。
(榊原崇仁、中沢佳子)

第三者委員会の問題を厳しく指摘する久保利英明弁護士=20日、東京・有楽町で
 「 問題あるところに第三者委員会あり 」。そう言いたくなるくらい、第三者委の調査結果が新聞紙面をにぎわしている。
 まずは毎月勤労統計の不正調査問題。 厚労省は一月、 樋口美雄氏を委員長に弁護士や公認会計士ら六人でつくる第三者委の特別監察委員会を設け、二度にわたって報告書を出した。
 賃貸アパート大手、レオパレス21の施工不良問題でも二月末、外部の弁護士三人による委員会ができ、東京医科大の入試不正問題では第三者委のトップに元最高裁判事が就いた。
 スポーツ界も無縁ではない。日本大アメリカンフットボール部の悪質タックル問題や日本ボクシング連盟の奈良判定問題でも登場。今年初めに明らかになったアイドルグループ「NGT48」のメンバーへの暴行疑惑も、第三者委で検証が続いている。いじまなど身近な問題でも設けられる。
 そもそも、第三者委とは何か。
 日弁連のガイドラインによると、企業や官公庁なとから独立した委員のみで構成する組織を指す。徹底した調査や専門的な知見に基づいて問題の原因を分析するほか、再発防止策などを提言し、信頼を回復させることが使命とされる。
 そんな立派な組織を「いんちき第三者委」「なんちゃって第三者委」と激しく批判する人がいる。久保利英明弁護士(74)だ。
 ガイドライン策定に携わり、弁護士や大学教授などでつくる「第三者委員会報告書格付け委員会」の委員長でもある。いわばこの道のプロだから、聞き拾てならない。何がいけないのか。まずは歴史を振り返る。
 久保利氏によると、第三者委が日本に広がり始めたのは二〇〇〇年前後。インサイダー取引疑惑の調査などがあり、主に弁護士や会計士が調査に当たった。「当初はきちんと真実を調べようと組織された 」と久保利氏は説明する。
 とはいえ経営陣は責任を取りたくない。 経営陣から依頼された第三者委は意をくんで調査する。そして組織に甘い「なんちゃって」が横行するようになった。久保利氏は「経営陣が都合のいいメンバーを選び、第三者委を責任逃れのお墨付きにしている」と語る。
 こんな調査を繰り返していては、弁護士への信頼も損なわれかねない。日弁連のガイ ラインは、調査する弁護士全体への信頼を保とうという意味もあった。しかし、今のところ効果は限定的だ。
 ちなみに、 米国でも経営を左右するような問題が起きると、信頼できる法律事務所に調査させる。ただし、依頼主は取締役会。多くの社外取締役が名を連ねている。結果によっては、最高経営貴任者(C E O )も解任される。
 「CEOは『社員の長』で『会社の長』ではない」。なんちゃって第三者委は、社長が「会社の長」である日本の企業風土が生み出したという。
ZIP ⇒ 20190325oxpm.zip
<弁護士> 重大案件で費用10億円
「やらせメール」厳しい指摘 九電拒否


九電やらせメール問題の最終報告について記者会見する第三者委委員長の郷原信郎弁護士(右)=2011年9月、東京都千代田区で
厚生省統計不正 委員長 中立性に問題

厚労省の統計不正問題で会見する特別関西の樋口美雄委員長(左)=2月27日、厚労省で
 引き受ける弁護士側にもメリットがある。久保利氏は「第三者委の費用は、 調査費含め最低一、二値円、大企業の重大案件なら十億円。多くの若い弁護士を抱える大手法律事務所が請け負う。企業の合併・買収(M & A)の仕事が減り、代わりのビジネスにしている事務所がある」と説明する 。
 手心を期待する経営者は、ビジネスと割り切る法律事務所に依頼したくなるだろう。ただ、 久保利氏は「本当の依頼主は、株主や従業員、消費者といったすべてのステークホルダー(利害関係者)だ。報酬もステークホルダーから出た会社の金だ」と戒める。
 噴飯物の第三者委を挙げてもらった。真っ先に出てきたのが、毎月勤労統計調査を巡る厚労省の特別監察委員会の報告書。前出の格付け委員会の評価は最低の「F」だった。
 久保利氏は「監察委の委員長が厚労省所管の独立行政法人関係者。中立性に問題がある。中身を見るまでもなかった」とあきれる。
 「そもそも勤労統計でだまされたのは国会だ。調査するなら国会が担うべきだった」と求める。ほかにも「厳しい指摘の報告書を第三者委がまとめたところ、経営陣が公表しなかった」という企業もあるそうだ。
 実際に第三者委のメンバーになった人にも、体験を聞いた。
 元検事の郷原信郎弁護士は二〇一一年、九州電力が設けた第三者委では委員長を務めた。玄海原発(佐賀県玄海町)の運転再開に向け、国主催の県民説明番組宛てに再開賛成の意見を投稿するよう、子会社などに呼び掛けた「やらせメール」問題を調べた。
 郷原氏はこの前に、水力発電所のデータ改ざんを巡る中国電力の第三者委のトップを務めた。それで「九電は依頼してきたのではないか」と振り返る。
 委員会の報告書が大きくもめた。古川康知事(当時)の発言が、やらせ問題の発端になったと明記したからだ。九電はそれを認めず、経済産業省に報告する際に省いてしまった。
 なぜ、会社が受け入れないような厳しい調査ができたのか。郷原氏はメンバー構成を理由に挙げる。
 「同業種だと物が言いにくくなりがち。先輩後輩や上下関係があることが少なくない。検事出身の弁護士はその傾向が強い」。九電の第三者委で弁護士は郷原氏だけで、ほか三人は学者や消費者問題の専門家ら。だから意見を戦わせ、突っ込んだ調査ができた。
 さらに、郷原氏は「原発再稼働は公益性の高い問題。独立性を確保し、筋を通すことが一番と考えていた」。この思いが四人のうち三人で一致し、調査の推進力になったという。
 一方、 振り返って思うのは第三者委による調査の難しさだ。「委員は寄せ集め。調査班をつくり、役割分担し、さらに検証するには技術がいる。ただ、第三者委は何となくやっている例が目立ち、ノウハウが蓄積されていない」
 ノウハウを持つはずの郷原氏にはこれ以降、就任依頼があまり来なくなった。「煙たがられているのかもしれない」と語る。
 では一般の人が善しあしを見分けるにはどうすればいいか。 久保利氏はポイントを二つ挙げた。
 企業なら株価。「内容のある報告書が出て、 企業がその提言を受け止めれば市場は好意的に反応する。株価は下げ止まり、 再発防止策の効果が出れば上向く」
 もう一つは人選。「元高検検事長」「元高裁長官」といった肩書に注意という。「とかく元裁判官や元検事の偉かった人が入るが、現場に長年いた証拠収集能力のある人や、各分野の専門家でなければ真相究明と厳正な調査は難しい。」良い調査には、 能力のある人と誠実な取り組みが欠かせないということだ。
《デスクメモ》
 第三者委員会のニュースで、かつてお世話になった人たちの姿を見る。それぞれの分野で立派な行政を上げ、人柄も信頼できる人たちだ。実績を買われて委員に就任したのだろう。だから信じたい。しかし、どうしても納得いかない結果が時に示される。こんな現実に悲しくなる。(裕)
2019・3・21
**********

■当会では弁護士の資質に関して、このブログでも「不良弁護士」のタイトルで関連記事をご紹介しております。

 現在日弁連に2件の弁護士調査委処分に関する異議申出中ですので、弁護士という職業に従事するかたがたが、決してすべて社会正義の実践者ではないことを、ひとりでも多くの皆さんにご理解いただければ幸いです。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大同スラグ問題を斬る!…4年越しの住民訴訟で敗訴・上告断念するも新たな「スラグの管理を問う」戦いへ!

2019-03-21 23:25:00 | スラグ不法投棄問題
■当会が東吾妻町萩生地区の圃場整備事業で、農道に大同のフッ素・六価クロム入り有毒生スラグが敷砂利として投棄されていた現場をはじめて2014年6月1日に確認して以来、4年9カ月が経過し、先日3月6日(水)に二審の東京高裁で再び住民敗訴の不当判決が言い渡されました。以降、当会はこの判決を不服として上告するかどうか、真剣に検討してまいりました。そして、最終的に、提出期限の3月20日(水)を待たずに、3月19日(火)までに上告をしないことに決めました。
 この裁判に敗れたとはいえ、裁判を通じて、東吾妻町萩生地区にスラグが投棄されていることに争いはないこと、そして有害スラグは平成27年9月11日に違法・有害廃棄物に認定されたこと、そして萩生地区の有害スラグにアスファルトでフタをする行為は、鉄鋼スラグ連絡会議で考え出された対策方針の被覆と考えが同一であることが確認されました。

■国土交通省・群馬県土整備部・渋川市で組織された鉄鋼スラグ連絡会議の鉄鋼スラグ製品を含む材料の対策方針(案)は次の様なものでした。
http://www.pref.gunma.jp/06/h8000259.html
**********
基本方針
1.鉄鋼スラグを含む材料が環境基準値を超過している施工箇所の対策
管理者において将来にわたり管理できない施工箇所等については撤去を行う。
前記以外の箇所については、県環境部局の助言を得ながら表面被覆等を行う。
2.鉄鋼スラグを含む材料が環境基準値を満足している施工箇所の対策
これまでの調査の結果、直ちに撤去等が必要となるところはない。
環境基準値を満足しているものの、スラグへの経口・接触リスクが高いと考えられる小・中学校等の箇所については、県環境部局の助言を得ながら必要に応じて鉄鋼スラグを含む材料が表面に出ている施工箇所の表面被覆等を行う。
3.鉄鋼スラグを含む材料を存置する場合の対応
存置する工事の施工箇所については、県環境部局がリスト化し地下水の常時監視等を通じて、引き続き、環境への影響等について監視を行う。
公共工事事業者としても、存置する施工箇所については、将来、修繕工事や占用工事等で該当箇所を掘削する場合は、県環境部局の助言を得ながら廃棄物処理法等の関係法令への適用状況を踏まえ適切に対応していく。
※ここでいう「鉄鋼スラグ」とは、大同特殊鋼(株)渋川工場から出荷されたもの。

**********

 この方針は大同特殊鋼やスラグをばら撒いた佐藤建設工業を擁護するため、本来はスラグには有害物質が含まれているのに、天然石と混ぜた状態で環境分析調査を行い、なんとか撤去せずにアスファルト舗装でフタをするのみで対策を済ませてしまおう、とする官業癒着の対策方針になっています。

 この対策案について、当会でも萩生スラグ控訴審の後半で、スラグを将来にわたり管理できない箇所以外について被覆するこの対策案の「管理」という言葉について、定義が示されていないことに疑問を感じていましたが、渋川市でこの「管理」について新たな住民監査請求が行われたことを知り、当会の新たなスラグ問題の戦い方針に“ひらめき”を感じています。当ブログにこの住民監査請求情報提供がありましたので、見ていきましょう。

*****住民監査請求*****
請求の要旨

1. 措置対象者  渋川市長 高木 勉

2. 事件の概要と違法性

ア、事件の経緯
 大同特殊鋼(株)渋川工場が排出した鉄鋼スラグが群馬県中に投棄され多方面にわたり問題となっている。このスラグは、「土壌と接する方法により使用するとフッ素により土壌を汚染する可能性がある」等の理由で、群馬県環境森林部により平成27年9月11日廃棄物に認定された(事実証明書①)。
この有害廃棄物は渋川市においても多数の投棄現場がある。投棄現場は、市道や市立の公園、民間の駐車場等であるが、深刻なのは建設資材の中に鉄鋼スラグが含まれて広範囲にわたりスラグが投棄されていることである。
渋川市はスラグの対策について、本来はスラグを廃棄物に認定した 群馬県環境森林部が主導する対策とすべき ところ、国・群馬県・渋川市の各工事実施主体で組織される鉄鋼スラグ連絡会議に参加し対応を検討した(事実証明書②)。
 
イ、鉄鋼スラグを含む材料の対応方針(案)(事実証明書③)
 鉄鋼スラグ連絡会議は、鉄鋼スラグを含む材料が環境基準値を超過している施工箇所の対策について、「管理者において将来にわたり管理できない施工箇所等については撤去を行う。前記以外の箇所については、県環境部局の助言を得ながら表面被覆等を行う。」としている。
この鉄鋼スラグを含む材料の「管理」については、定義が示されておらず、また管理を行う期間等も明示されていない。しかし鉄鋼スラグの対策について「管理者において将来にわたり管理」できないか否かで対策を分けて考えている以上、「管理」が検討され「管理者において将来にわたり管理」できる施工箇所と分類された時点より「管理」が行われているはずである。
なお、この対応方針には「鉄鋼スラグを含む材料が環境基準値を超過している施工箇所」「鉄鋼スラグを含む材料が環境基準値を満足している施工箇所」という記述があるが、群馬県環境森林部が「土壌と接する方法により使用するとフッ素により土壌を汚染する可能性がある」等の理由で、有害廃棄物に認定した(事実証明書①)以上、当該スラグが一粒でも含まれた材料は有害廃棄物が含まれた材料である。スラグとスラグでないものを分離できない場合は、全て環境基準値を超える材料と考えるべきである。

ウ、事件の概要
(1) 渋川市平成30年3月定例会審議及び議員活動参考資料(事実証明書④)によると、まず「鉄鋼スラグを含む材料が使われていた箇所の調査一覧表及び対応方針に基づく対応について、これまでに判明した調査個所一覧表」が明示された(事実証明書④P1~P46)。
(2) これらの箇所について渋川市は大同特殊鋼(株)との間で、鉄鋼スラグ製品に関する調査、撤去、処分、被覆工事等(以下「処理」という)について基本協定書を締結した。(事実証明書④P47~P50)
(3) 渋川市は、市道1-4265号線のスラグの「処理」について平成29年8月9日、具体的に個別契約書を大同特殊鋼(株)との間で締結し、スラグを撤去することなく存置し、アスファルト舗装による被覆工事を行った。契約期間は平成29年8月9日から平成30年3月31日である(事実証明書④P109~P110)。
(4) この市道1-4265号線のスラグは環境基準値を超過しており、また驚くべきことにこの市道では、直下の土壌までスラグにより汚染されており、環境基本法第16条などの記述により土壌は水と並び生活環境と考えられるので、廃棄物であるスラグにより生活環境保全上支障が生じている市道ということが指摘できる。
また生活環境保全上支障が生じているこの市道1-4265号線のスラグについて、鉄鋼スラグ連絡会議の対応方針(案)に沿って渋川市が考えた対策は「被覆」となっていることが確認できる(事実証明書④P2上から3行目)。
(5) 鉄鋼スラグ連絡会議の対応方針によると「被覆」対策が採用されるケースは、「鉄鋼スラグを含む材料が環境基準値を超過している施工箇所の対策」の場合であり、更に「管理者において将来にわたり管理できない施工箇所」以外の箇所である場合となっている(事実証明書③基本方針1)。
(6) 市道1-4265号線では、スラグについて「被覆」により対応すると方針が決定した以上、この市道は「管理者において将来にわたり管理」できる施工箇所と考えられたはずで、少なくとも市道1-4265号線舗装被覆工事の個別契約が締結された時点からスラグの「管理」が始まっていると考えられる。
(7) (2)及び(3)の契約書を見ると「鉄鋼スラグ製品に関する調査、撤去、処分、被覆工事等」という文言は読み取れるが、「管理」という言葉はみあたらない。そこでは「管理」についての費用は渋川市と大同特殊鋼(株)との間で契約が締結されていないと考えるが妥当である。
(8) 市道1-4265号線において、スラグの「管理」が開始されている以上、「管理」費用が生じているはずであり、大同特殊鋼との間で「管理」費用負担について基本的事項を定めていないことから、スラグの「管理」費用について渋川市の税金より支出されていると考えるほかはない。
(9) 大同特殊鋼(株)由来のスラグは、群馬県により産業廃棄物に認定されているので、排出事業者の責任により適正に処理されなければならない(廃棄物処理法第3条)。市道1-4265号線に存置された廃棄物たるスラグに「管理」が必要な場合にも、その管理費用は、適正に処理する責任を負う排出事業者つまり大同特殊鋼(株)により負担されるべき費用である。
(10) 加えて(3)の個別契約書において市道1-4265号線舗装被覆工事が締締されてスラグの上にアスファルト舗装を施した費用を大同特殊鋼(株)に請求することから、この市道に存置されたスラグの「管理」費用についても大同特殊鋼(株)に負担を求めるべきである。

エ、本件被覆工事の違法性
  前項 ウ、(1)から(10)に示すように、「有害スラグ」を存置することにより発生するスラグの「管理」費用は、大同特殊鋼(株)により負担されるべきものであり、渋川市は負担する理由はなく、不正・違法に支出された費用である。

3、渋川市(渋川市民)が被る損害

ア、 スラグを、市道1-4265号線に存置することによるスラグの管理費用を渋川市が負担することは、公金の違法な支出でありそのまま渋川市(渋川市民)の損害である。
イ、 仮に、市道1-4265号線「被覆工事」が、廃棄物処理法第3条により排出事業者に適正に処理させることで、つまり撤去・片づけさせる工事であれば、スラグの「管理費用」は発生することはなかったと考えられる。廃棄物は廃棄物処理法が予定する廃棄物処理施設に処分することが適正に処理することである。

4、措置の請求

ア、渋川市長 高木 勉 は、鉄鋼スラグ連絡会議の構成員であるので、その対策方針(案)に明示されたスラグの「管理」の定義を明らかにせよ。
イ、渋川市長 高木 勉 はスラグの「管理」費用を直ちに計算し公表せよ。
ウ、渋川市長 高木 勉 は「大同特殊鋼」に対し、スラグの「管理費用」を利息とともに請求せよ。
との勧告を求める。
請求者

  ・住所 

  ・職業 

   ・氏名          


 以上、地方自治法第242条第1項の規定により、別紙事実証明書を添えて、必要な措置を請求します。

                    平成31年3月20日

 渋川市監査委員あて
**********

■当会で追及した萩生農道においても、廃棄物認定されたスラグの上にアスファルトでフタをしましたが、平成27年9月11日以降、このスラグが廃棄物に認定され、群馬県農政部が考えを同じくすると主張する鉄鋼スラグ連絡会議の方針によれば、スラグについて何某かの「管理」が始まっているはずです。渋川市において提起された住民監査請求を参考にして、当会においても萩生農道のスラグの管理やそのほかの佐藤建設工業がばら撒いたスラグの管理について、戦いを挑めないか?慎重に検討してまいりますので、これからもご支援ご指導をよろしくお願いいたします。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

※参考資料「渋川市のスラグ「管理」住民監査請求の事実証明書」
**********
事実証明書(説明書)
ZIP ⇒ cu1.zip

事実証明書①「群馬県スラグ廃棄物認定」
URL:http://www.gunma-sanpai.jp/gp26/003.htm

事実証明書②「鉄鋼スラグに関する連絡会議(仮称)規約(案)」
URL:http://www.pref.gunma.jp/06/h8000225.html#gidai1

事実証明書③「鉄鋼スラグを含む材料の対応方針(案)」
URL:http://www.pref.gunma.jp/06/h8000260.html#gidai1

事実証明書④「平成30年度3月定例会」
ZIP ⇒ 30n_part1p0106.zip
30n_part1p0709.zip
30n_part1p1012.zip
30n_part1p1316.zip
30n_part1p1720.zip
30n_part1p2123.zip
30n_part2p0103.zip
30n_part2p0407.zip
30n_part2p0812.zip
30n_part2p1316.zip
30n_part2p1721.zip
30n_part2p2227.zip
30n_part3p0104.zip
30n_part3p0511.zip
30n_part3p1218.zip
30n_part3p1926.zip
30n_part3p2731.zip
30n_part3p3236.zip
30n_part4p0106.zip
30n_part4p0709.zip
30n_part4p1014.zip
30n_part4p1523.zip
30n_part4p2430.zip
30n_part4p3135.zip
30n_part5p0108.zip
30n_part5p0916.zip
30n_part5p1723.zip
30n_part5p2428.zip
30n_part5p2933.zip
**********
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大同スラグ控訴審…4年越しの住民訴訟の挙句3月6日東京高裁での敗訴判決に当会上告せず不当判決確定

2019-03-19 23:58:00 | スラグ不法投棄問題
■当会が東吾妻町萩生地区の圃場整備事業で、農道に大同のフッ素・六価クロム入り有毒生スラグが敷砂利として投棄されていた現場をはじめて2014年6月1日に確認して以来、4年9カ月が経過し、先日3月6日(水)に二審の東京高裁で再び住民敗訴の不当判決が言い渡されました。以降、当会はこの判決を不服として上告するかどうか、真剣に検討してまいりました。そして、最終的に、提出期限の3月20日(水)を待たずに、3月19日(火)までに上告をしないことに決めました。


 今から4年10ヵ月ほど前の2014年6月、当会代表は「臭いものに蓋をしないでほしい」と農道舗装工事施工主体である吾妻農業所長に電話で懇願したにもかかわらず、その直後、有害スラグを撤去せずに舗装工事が行われたため、住民監査請求を2015年1月30日に提出しました。

 しかし、群馬県監査委員が棄却したため、2015年4月30日に住民訴訟を提起しました。以来ほぼ3年が経過しようとしていた2018年3月16日(金)午後1時10分に前橋地裁21号法廷で、裁判長の「主文 原告らの請求を棄却する。訴訟費用は原告らの負担とする」という判決の声が法廷に響き渡りました。

 この判決を確定させてしまうと、さまざまな方面で収拾のつかない事態が発生し、我が国の土木建設業界のみならず、生活及び営農環境面に甚大な影響を及ぼしかねないため、当会は2018年3月26日(月)に、前橋地裁で控訴手続きをとり、その後、舞台を東京高裁に移し、同8月15日(水)に第1回口頭弁論、同10月31日(水)に第2回口頭弁論、2019年1月9日(水)に第3回口頭弁論で結審し、そして本日3月6日(水)午後1時10分に東京高裁で判決が言い渡されました。結果は一審判決を支持し、原告住民側の完全敗訴に終わりました。

 一審敗訴以降のこの件に関する情報は、次の当会のブログ記事を参照ください。
○2018年3月27日:大同スラグ裁判・・・3月16日に前橋地裁が言渡した判決を不服としてオンブズマンが3月27日に控訴状提出!
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2604.html
○2018年5月15日:大同スラグ裁判・・・3月16日の前橋地裁での敗訴判決を受けて、東京高裁に控訴理由書を提出!
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2640.html
○2018年5月26日:大同スラグ裁判・・・控訴審の第1回口頭弁論が8月15日に東京高裁で開廷が決定!
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2648.html
○2018年8月3日:大同スラグ控訴審…8月15日の第1回口頭弁論が迫り、被控訴人群馬県から控訴答弁書が到来!(前編)
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2714.html
○2018年8月3日:大同スラグ控訴審…8月15日の第1回口頭弁論が迫り、被控訴人群馬県から控訴答弁書が到来!(後編)
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2715.html
○2018年10月3日:大同スラグ控訴審…10月31日の第2回口頭弁論に向けて控訴人準備書面(1)を提出!(前編)
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2768.html
○2018年10月3日:大同スラグ控訴審…10月31日の第2回口頭弁論に向けて控訴人準備書面(1)を提出!(後編)
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2768.html
○2018年10月31日:大同スラグ控訴審…10月31日に開かれた第2回口頭弁論で次回結審が決定!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2798.html
○2018年12月18日:大同スラグ控訴審…1月9日の第3回口頭弁論が迫り被控訴人群馬県から控訴審第1準備書面が到来!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2845.html
○2018年12月27日:大同スラグ控訴審…1月9日の第3回口頭弁論が迫るなか被控訴人群馬県へ反論の控訴人準備書面(2)を提出!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2850.html
〇2019年1月9日:大同スラグ控訴審…4年越しの住民訴訟がついに終結!3月6日13:10東京高裁424号法廷で判決!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2857.html
○2019年3月6日:【速報】大同スラグ控訴審…4年越しの住民訴訟の挙句3月6日13:10東京高裁424号法廷で住民完全敗訴!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2895.html

■当会は、はやばやと次の内容の上告状兼上告受理申立書を作成し、判決文受領の日の翌日から2週間目までに、いつでも提出すべく準備をしていました。

**********ZIP ⇒ 20190318r1_joukokujou_cum_joukokujurimousitatesho.zip
         上告状兼上告受理申立書

平成31年3月19日
最高裁判所 御中

    上 告 人 兼 申 立 人  小 川   賢

  〒379-0114 群馬県安中市野殿980番地(送達場所)
        上 告 人 兼 申 立 人  小 川   賢
        電話 090-5302-8312
  〒371-8570 群馬県前橋市大手町1-1-1
        被上告人兼相手方    群馬県知事 大澤正明

住民訴訟請求上告兼上告受理申立て事件
訴 訟 物 の 価 額   160万円 (算定不能)
ちょう用印紙額   2万6000円

 上記当事者間の東京高等裁判所 平成30年(行コ)第139号住民訴訟控訴事件(原審・前橋地方裁判所平成27年(行ウ)第7号)について,平成31年3月6日下記判決の言渡しを受け, 同年同月6日判決正本の送達を受けたが,同判決は全部不服であるから上告提起及び上告受理の申立てをする。

         二 審 判 決 の 表 示
            主  文
   1 本件控訴を棄却する。
   2 控訴費用は控訴人の負担とする。
          上 告 の 趣 旨
   原判決を破棄し,更に相当の裁判を求める。
      上 告 受 理 申 立 て の 趣 旨
   本件上告を受理する。
   原判決を破棄し,更に相当の裁判を求める。
   上告及び上告受理申立ての理由
   おって,上告理由書及び上告受理申立て理由書を提出する。
          添 付 書 類
   上告状兼上告受理申立書副本             1通
                                以 上

**********

■ここまで裁判所が行政側に加担する現実を突きつけられれば、上告しても結果は棄却されることが明白です。また、最高裁で高裁判決が追認されると、それは逆に権威付けられることになり、間違った判決が現在や今後の経済・社会のルールのもとになりかねません。

 そうした状況は、有毒スラグが大手を振って、堂々と不法投棄されるのを容認することになり、ここで最高裁に上告しても、社会の常識にうとく自らの保身で最高裁の裁判官に上り詰めた判事らが、当会の主張にまともに耳を貸すとは到底思えないからです。

 という意見が当会の3月16日の例会で相当出されたため、最終的に3月19日までに上告しないことに決しました。

 今後、有害スラグは、上に舗装をかければ撤去などせずに、そのまま残置させてもよいことになります。しかも、それは農業地帯においても、合法な対応手段として、裁判所が認めたことになります。

■現在、群馬県では東邦亜鉛安中製錬所から毎年5万数千トン排出されている高濃度の鉛とヒ素を含むスラグが高崎市箕郷町を中心に、野放図に公有地や民有地に投棄されています。いまのところ、梅林公園の駐車場などの公有地の有毒スラグは撤去されてきていますが、今回の判決で、その動きに水をさすのではないかという重大な懸念が頭をもたげています。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新年度を間近に控えた群馬高専(+長野高専)…現況やいかに?

2019-03-19 22:43:00 | 群馬高専アカハラ問題
■群馬高専アカハラ問題をめぐる同校と当会の闘いについては、被害者らによる告発が当会になされてから間もなくはや4年が経過しようとしています。不開示処分取消裁判の結果として、関連文書の一部開示こそなされたものの、その後も山崎体制の群馬高専が依然として強硬な隠蔽姿勢を続けているため、遺憾ながらなかなか打開策が見出せず、膠着状態に陥ったままとなっています。

平成23年の群馬高専設立50周年記念ロゴデザイン最優秀賞作品。当時環境都市工学科5年在学の新海敬之氏作成。赤城・榛名・妙義の上毛三山に囲まれ、利根川が流れる豊かな大地で、心暖かで溌溂としたグローバル・エンジニアが育つ群馬高専を表す。群馬高専を囲むG型の曲線には、群馬の頭文字、学生の元気と頑張り、そして善意(Goodwill)と幸運(Good fortune)の意味が込められている。
 ところで、この強硬な隠蔽姿勢の強力な軸と歯車になっていたとみられる群馬高専の猿田事務部長(2017年度~)と櫻井総務課長(2016年度~)について、両名とも1958年度生まれであり(参考⇒https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2566.html)、今年度末に定年退職すると判明していたため、群馬高専の現況に関する質問をすることを兼ねて、電話口で退職前の挨拶をしておくことにしました。

 当会が3月11日に群馬高専に電話を掛けたところ、櫻井課長が電話口に出ました。会話の内容は次のとおりです。

当会:2017年度の情報をまとめた「校報」131号が、2019年度間近の今になっても未だに掲載されていないようだが、遅すぎないか?

櫻井課長:自分は知らなかった。調べてみる。(10分経って)……調べたところ、現在131号は掲載準備中。いつ掲載するのかは具体的に申せないが、近々といったところ。

当会:今年度から受験方式を大幅に変更したようだが、なぜ変更したことをしっかりとアナウンスして注意喚起していないのか?いくらなんでも配慮に欠けすぎている。

櫻井課長:いちおう受験生に対する説明会、チラシ、パンフ、あるいはHP上でそれなりに説明したつもり【当会注:とはいうものの、群馬高専のHP上に、少なくとも目につく場所にそのような説明文は見当たらない。チラシやパンフは当会には確認不能】
とはいえ、それで十分だったかどうかは定かではない。なお、オンブズマンのブログについても一応見させてもらった。

当会:どうでもいいことだが、群馬高専教職員の予定管理はサイボウズを使っているのか?

櫻井課長:他のソフトとあわせて、使っている。

■最後に、「長い間当会に付き合ってくれてありがとう。お疲れ様」と声をかけると、「なぜそのような個人的なことを知っているのか?」と訝しげな様子を一瞬見せつつも、何だかんだ「長い間お世話になりました」と返礼しました。当会から、「猿田部長にもよろしくお伝えください」と言うと、先方からは「承知しました」と返事があり、電話が終わりました。

 群馬高専のこれまでの強権的体制の維持に一役買っていた猿田部長・櫻井係長という主要幹部がゴソッと消えてしまうことで、いよいよ西尾前校長時代や訴訟過程を知る事務方までもが群馬高専を去ってしまうことになります。この後釜に果たしてどのような人物が就くのかは、新年度になってみなければわかりませんが、猿田部長の例を鑑みるに、より高専機構の意向を反映した「優秀な」人材が一挙に投入されてくる可能性が高いものとみられます。

■また、「校報」人事情報非公開や入試方式変更など、群馬高専がコッソリと行っていた各種措置について、理由や経緯を明らかにすべく、3月11日に以下のとおり群馬高専に情報開示請求をおこないました。

**********
(1)2016年10月に貴校が「校報」の人事情報を非公開としたことについて、その決定の経緯や命令者の役職・氏名に関わる一切の文書(校内会議の議事要旨・議事録・開催日程、または指示文書や記録等が想定される)。
(2)2019年度入学者選抜より、その前年度以前に比べて入試実施要項を多項目にわたり大幅に変更したことに関して、その変更の経緯・理由や検討・決定過程に関わる一切の文書。
(3)貴校の西尾典眞前校長に関して、就任から退職までの予定表(スケジュール)・勤務記録データのすべて

**********

 この情報が開示されるのは新年度、つまり幹部の陣容が入れ替わった後になるものとみられます。この情報開示請求への対応を小手調べにして、まずは新幹部のお手並み拝見といきたいと考えています。

■一方で、群馬高専での事件拡大をきっかけに腐敗した実態が明るみに出たお隣の長野高専でも、動きがありました。前年から校長が交代する可能性についてささやかれていましたが、関係者からの情報によれば、どうやら本当に今年度末をもって石原校長が退任し、校長が交代する見通しだということです。

 この校長交代劇に、当会の活動がどれほど影響を与えたのかは定かではありませんが、やはり天下り校長の定石は「責任も取らずに逃亡」なのだと再認識させられました。とはいえ、これで一件落着というわけではありません。天下り校長がただ逃亡しただけで、長野高専がこれまでブクブク溜め込んできた膿が吐き出されたわけではないからです。

 当会では、この膿が完全に吐き出されるまで、追及の手を緩めない方針でいます。

■ところで、この校長交代劇に関しては、11月に石原氏が文科省人事課を訪れていたとの証言があったため、関係者の間で予測がなされていました。当会が気になったのは、この訪問について、文科省側に果たして記録が残っているのだろうか、ということです。もしかすれば、群馬高専の西尾前校長の逃亡劇についても同様に証拠が掴めるかもしれません。

 そのような観点から、当会では3月11日に以下の情報開示請求書を文科省宛に提出しました。

**********
2018年11月16日に、貴省から出向中の職員である石原祐志氏が貴省人事課を訪れたことに関して、登庁記録・来庁記録等の一切、加えてこれに関連して作成した文書の一切
**********

 この開示請求に関しても、文科省からの反応を注視していく次第です。

■当会では、年度替わりを前にして状況の整理と情報収集に努めつつ、新年度そして新元号のもと新たなアクションを始めるための準備を粛々と進めていこうと考えています。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする