(滋賀)「医療を探在宅看取り」る
2011年8月31日 提供:読売新聞
地域創造会議発足 討論や実例紹介
地域でのチーム医療体制作りを目指し、県内の医療関係者や行政関係者ら約200人が「医療福祉・在宅看取(みと)りの地域創造会議」(顧問=辻哲夫・東京大高齢社会総合研究機構教授)を発足させ、県立男女共同参画センター(近江八幡市鷹飼町)で30日、第1回会議が開かれた。2期目の政策の柱の一つとして、「在宅看取り」のシステム作りを掲げる嘉田知事も参加。在宅医療をテーマにしたパネルディスカッションや、地域でのチーム医療の実例紹介が行われた。
県などによると、県内では病院での看取りが約8割を占め、自宅など病院以外で亡くなる人は2332人(2008年)。慢性疾患を抱える高齢者に対応するため、地域で看護や介護を行う体制作りの必要性が高まっているとして、医療関係の有志らが同会議を発足させた。
パネルディスカッションでは、湖東地域で在宅医療連携に取り組む医師、久我正文さんや、彦根市で往診に従事する医師、松木明さんらが意見交換。久我さんは「在宅医療などをする医師や、医療機関の絶対数が少ない」と指摘し、松木さんは「病院から出て、患者の生活に入り込んで行う往診は医療の最先端。往診の面白さや誇りを伝える教育も必要だ」と協調した。
記念講演では辻顧問が、千葉県柏市で築いた地域医療のモデルを紹介。「誰もが長寿を全うする時代には、認知症でも寝たきりでも社会と接点を持つことが尊厳につながる。その状態を、地域で守り育てることが大切だ」と締めくくった。
嘉田知事は会議の終了後に、「『病院で亡くなるのが家族孝行で、幸せだ』という見方を見直す時に来ている。様々な人が支え、関わる新しい医療の形を、行政として応援していきたい」と語った。