私には愛情がなかった。
その人は言う。
仕事はお金さえもらえばよかった。
食べることに苦労したくはなかった、
「でも、怠けてはいけないと思う、一生懸命どんな仕事でもやる
仕事に尊卑はない、どんな仕事でもありがたくさせていただく」と思っていた。
それで、この会社に勤めて、総務の仕事につけた時は、ありがたいと思った。
一生懸命、遅くまで残り、徹夜まがいのこともしたし、泊まりの出張にもよく行った。
結婚ができて、子どもも二人、核家族で頑張った。
夫を愛してきた、子どもも愛してきた、と思っていた。
でも、それは形にミスがないように、気を配っていたに過ぎないと、
本当は人間嫌いで、暗い性格なのに、明るく振舞って、他人様のお世話大好きな顔をして、
気づいてはいた、それが、無理に演じるピエロだと。
今、父にいじめられていた母、母をいじめていた父を嫌い
抱きしめてくれなかった母に同情せず、
ひたすら、家を出ようとしていた思春期、
でも、年老いた父母は自分が看ようと、覚悟はしていて、
その、見返りに、子たちの面倒をみてくれる存在として、
表には出さない打算の若いころ・・・・・・・・・
その人は言う。
還暦を迎え、逝った母と父を思い、長期の病気のわが子を抱えて
やっと、自分の薄情な心を知った。
子は当然親として義務をはたす対象の存在だったとしかかんじていなかった
成長した子達の行く末は自分たちでやってくれれば
母なる私は外国に行って、貧しい国の貧しい子たちのお世話ができればなんて
大それたことを想像していたけれど、
それは、心からの愛情ではなくて
自分を認める体裁ではなかったか?
その人はそう言って
今までの自分を振り返っていた。
子の一人は離婚して、男やもめになっていて
子の一人は難病で
残った一人の子はまだ結婚せず・・・・・・・・・・
その人には、姉と兄がいた。
でも、遠いところにいて、疎遠になっている
でも、甥と姪は幸せそうな様子で、仕事に頑張っている。
私は優等生、人生の優等生、どんな波にも負けなかったとその人は言う。
ナースはその物語をだた聞いていた。
その人が今糖尿病で闘病し、初めて、自分には本当の愛がなかったと気づき
人々のふれあいの尊さを知ったと語っているその姿を、じっと見つめていた。
ナースは自分にもそんな似たところを感じながら
ただ、うなずいて。
その人は言う。
仕事はお金さえもらえばよかった。
食べることに苦労したくはなかった、
「でも、怠けてはいけないと思う、一生懸命どんな仕事でもやる
仕事に尊卑はない、どんな仕事でもありがたくさせていただく」と思っていた。
それで、この会社に勤めて、総務の仕事につけた時は、ありがたいと思った。
一生懸命、遅くまで残り、徹夜まがいのこともしたし、泊まりの出張にもよく行った。
結婚ができて、子どもも二人、核家族で頑張った。
夫を愛してきた、子どもも愛してきた、と思っていた。
でも、それは形にミスがないように、気を配っていたに過ぎないと、
本当は人間嫌いで、暗い性格なのに、明るく振舞って、他人様のお世話大好きな顔をして、
気づいてはいた、それが、無理に演じるピエロだと。
今、父にいじめられていた母、母をいじめていた父を嫌い
抱きしめてくれなかった母に同情せず、
ひたすら、家を出ようとしていた思春期、
でも、年老いた父母は自分が看ようと、覚悟はしていて、
その、見返りに、子たちの面倒をみてくれる存在として、
表には出さない打算の若いころ・・・・・・・・・
その人は言う。
還暦を迎え、逝った母と父を思い、長期の病気のわが子を抱えて
やっと、自分の薄情な心を知った。
子は当然親として義務をはたす対象の存在だったとしかかんじていなかった
成長した子達の行く末は自分たちでやってくれれば
母なる私は外国に行って、貧しい国の貧しい子たちのお世話ができればなんて
大それたことを想像していたけれど、
それは、心からの愛情ではなくて
自分を認める体裁ではなかったか?
その人はそう言って
今までの自分を振り返っていた。
子の一人は離婚して、男やもめになっていて
子の一人は難病で
残った一人の子はまだ結婚せず・・・・・・・・・・
その人には、姉と兄がいた。
でも、遠いところにいて、疎遠になっている
でも、甥と姪は幸せそうな様子で、仕事に頑張っている。
私は優等生、人生の優等生、どんな波にも負けなかったとその人は言う。
ナースはその物語をだた聞いていた。
その人が今糖尿病で闘病し、初めて、自分には本当の愛がなかったと気づき
人々のふれあいの尊さを知ったと語っているその姿を、じっと見つめていた。
ナースは自分にもそんな似たところを感じながら
ただ、うなずいて。