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コロナ後遺症に多い筋肉痛や関節痛の特徴

2023年12月16日 19時46分07秒 | ウイルス

コロナ後遺症に多い筋肉痛や関節痛の特徴|治療や改善方法を解説

コロナ後遺症関節痛

皆様はコロナウイルス(以下、COVID-19)に感染したことがございますか?

2023年05月09日時点で日本国内の累積感染者数は3000万人を超えており、感染することは誰にでも起こりうることであると考えられます。

予防策をしっかりと講じていたつもりでも、COVID-19は健康な若者から高齢者まで、さまざまな年齢層の人々に感染します。

感染の結果、軽症から重症、あるいは命にかかわる状態に陥ることもあります。

私自身も外来で感染し、発熱・咽頭痛・倦怠感に悩まされ、軽く考えることのできない深刻な病気であることを知りました。

COVID-19禍を通し​​感染者だけでなく、家族や友人、社会全体にも影響を及ぼすことを痛感いたしました。

コロナウイルス感染後、一部の患者には長期間にわたって症状が続く「コロナ後遺症」(または「長期COVID-19症候群」とも呼ばれます)が見られることがあります。​​

頻度についての海外での系統的レビューによると、罹患12ヶ月経過時点でみられた症状として、倦怠感(28%)、関節痛(26%)、抑うつ(23%)、不安(22%)、記憶障害(1%)などが挙げられております。
(COVID-19診療の手引き 別冊 罹患後症状のマネジメント より抜粋)

別の報告では、COVID-19罹患後の運動器の痛みは、従来株流行期は47.7%、アルファ株流行期は38.3%、デルタ株流行期は41.0%に達したと言われます。

COVID-19といえば風邪症状や味覚嗅覚異常という印象が多いと思われがちですが、一定の割合で関節や筋肉の疼痛を訴える方もいらっしゃるのです。

今回はそんなコロナ後遺症の関節痛・筋肉痛になる原因や、対処法、病院へ行く目安などについて詳しく解説していきます。

 

コロナ後遺症で関節痛・筋肉痛になる原因

コロナ後遺症関節痛

いくつかの要因が考えられますが、COVID-19感染症の後遺症(長期症状)について詳細なメカニズムは完全に解明されていません。

考えられる理由としては以下があります。

感染初期の疼痛の原因としては、COVID-19が神経細胞・筋細胞表面のACE2受容体※1を介して細胞内に侵入し、細胞を傷害することで疼痛に繋がると考えられます。

また、この時にACE2受容体を介する代謝経路が減少するため痛みの拮抗作用※2(きっこうさよう)が減弱し疼痛を感じやすくなることが指摘されています。

長期にわたる疼痛の原因としては、COVID-19が侵入することで身体がウイルスと戦うために炎症反応を起こします。

この炎症反応(サイトカインという物質)により脊髄や神経・筋肉が障害を受け疼痛に繋がることがあります。

また、廃用症候群(感染症による体力の消耗や弱体化)が、筋肉の損傷を引き起こすこともあります。

特に重症の場合、長期間の入院や寝たきりの状態が筋肉の衰弱につながることが考えられます。

また、感染症に罹患した後は、心に疲労が残ることがあります。

不安・運動恐怖が慢性疼痛につながることが指摘されており、この疲労やストレスが筋肉痛の原因となることが考えられます。

以上の要因が複雑に絡み合い、関節痛・筋肉痛を引き起こすと考えられています。

※1 ACE2受容体…血圧を上昇させる作用を持つアンジオテンシンⅡというホルモンを分解し、血圧を降下させる働きをする酵素
※2 拮抗作用…体のある現象に対して二つの要因が同時に働いて、互いにその効果を打ち消し合う作用

▶︎コロナ後遺症で頭痛が起こる理由|偏頭痛との見分け方や対処法について

コロナ後遺症でみられる関節痛・筋肉痛の特徴

コロナ後遺症関節痛

特定の部位に限局しない広範性の痛みが20%程度で見られ、頭頸部・上肢下肢関節・腰など限局する痛みが、それぞれ10%程度の方に見られます。

明らかな臓器障害が身体検査上認められていなくても疼痛があることはCOVID-19後遺症の特徴と考えられます。

また、不安症状や感作関連症状(感覚過敏が全身に広がっている状態)が認められることも特徴です。

罹患後疼痛の原因要素としては以下が挙げられています。

   ✅女性
   ✅加齢
   ✅喫煙
   ✅肥満
   ✅過去の運動器の疼痛
   ✅COVID-19感染時の頭痛・筋痛の存在
   ✅COVID-19の入院期間が長いこと

特に女性の場合は男性と比べ、疼痛強度が強く、感作関連症状が強く、不安や運動恐怖が強く、睡眠の質が低いという報告があります。

女性でCOVID-19感染後に疼痛が出現した方は要注意ですね。

▶︎高血圧の原因になりやすい食事や食べてはいけないものとは?

その他考えられる関節痛・筋肉痛の原因

コロナ後遺症関節痛

当然ながら事故やスポーツを契機として、関節の外傷や骨折・軟骨の損傷をきたし関節痛が発生することがあります。

それ以外の疾患としては、関節痛の多くの原因を占めるものが「関節炎」です。

関節の炎症を特徴とする疾患であり、原因としてはリウマチによるものや加齢に伴う変形が原因のもの、尿酸結晶や痛風によるもの、細菌感染によるものが考えられます。

頻度としては稀ですが、全身の慢性的な筋肉痛や関節痛を伴う「線維筋痛症 (せんいきんつうしょう)」や、自己免疫疾患、免疫不全が原因となることもあります。

関節の痛みが出現する疾患は整形外科の領域から内科の領域まで広く存在するため、原因の特定には各種検査が必要になります。

コロナ後遺症で関節痛・筋肉痛以外でよくみられる症状

コロナ後遺症関節痛

これまでの多くの研究において、COVID-19罹患後に見られる痛みの症状としては以下が報告されてます。

   ✅頭痛(1.7-33.9%)
   ✅喉の痛み(0.7-47.1%)
   ✅胸部痛(1.6-17.7%)
   ✅腹部痛(1.9-14.5%)
   ✅運動器の痛み(0.3-65.2%)

「痛み」以外では、慢性的な疲労感や体力の低下、息切れや呼吸困難、記憶力や集中力の低下、一過性の嗅覚や味覚の喪失、動悸や心悸亢進、不安やうつ症状、血栓形成が「長期COVID-19症候群」​​で観察されます。

関節痛・筋肉痛の治し方や対処法について

コロナ後遺症関節痛

多くの方は対症療法として鎮痛薬を内服していると、時間経過とともに改善していきます。

しかし、症状がCOVID-19罹患後も1ヶ月以上継続する場合は、当該疼痛部位の診療科を受診することが推奨されています。

具体的には、筋肉や関節痛の場合は整形外科、腹部痛の場合は消化器内科、胸部痛の場合は循環器内科や呼吸器内科、頭痛の場合は神経内科といった形になります。

血液検査をはじめとした基本的な検査を実施し、器質的に懸念される病態について確認します。

関節痛・筋肉痛で病院に行く目安

コロナ後遺症関節痛

痛みが継続するとその痛みは慢性化してしまう可能性があります。

そのため、COVID-19罹患後も1ヶ月以上継続する場合は、当該疼痛部位の診療科を受診することを推奨しています。

その後、一般的な疼痛治療や生活指導を実施後も治療が奏功しない場合や、症状増悪が認められる場合は集学的な治療を行っている拠点病院への紹介を考慮します。

▶︎発熱の基準は何度から?外来に行くべき目安やよくある症状を解説

横浜内科・在宅クリニックでの対応方法

筋肉痛や関節痛の症状がある方は、ぜひ当院を受診ください。

関節炎の原因(リウマチによるもの、加齢に伴う変形が原因のもの、尿酸結晶や痛風によるもの、細菌感染によるもの)について精査させていただきます。

場合によっては超音波検査も可能です。

原因が特定された場合は疾患に応じて治療を開始させていただきます。

対症療法として消炎鎮痛薬の処方も可能ですので、気軽にご相談くださいね。

 

神奈川県で急な往診は横浜内科・在宅クリニックをご利用ください

COVID-19感染後に気になる症状がある場合、軽度な症状であれば、安静にして十分な休息を取り、体の回復を見守ることが重要です。

その後も改善がない場合は、当院に相談いただけると嬉しいです。

各種検査によりCOVID-19以外の原因となる疾患の精査をいたします。

痛みの症状に対しては、痛みを和らげるために適切な痛み止めを使用したり、炎症を抑える薬を処方いたします。

 

まとめ

今回は、コロナ後遺症の関節痛・筋肉痛になる原因や、対処法、病院へ行く目安などについて詳しく解説してきました。

COVID-19感染後、一部の患者には長期間にわたって症状が続く後遺症が見られることがあります。​​

罹患12ヶ月経過時点でみられた症状として、関節痛は26%程度の方に出現するとされます。

COVID-19の後遺症として、風邪症状や味覚嗅覚異常が多いと思われがちですが、関節や筋肉の疼痛を訴える方も一定数いらっしゃるのです。

特定の部位に限局しない広範性の痛みが特徴的であり、痛みが継続すると慢性化する可能性があります。

痛みは、身体を守り、回復を促すための重要な生体反応ですが、慢性的な痛みや重度の痛みは日常生活に多大な影響を与えることがあります。

そのため、適切な治療や痛みの管理が重要となります。

​​COVID-19罹患後も1ヶ月以上継続する場合は医療機関への受診を推奨しております。痛みを我慢せず、気軽にご相談くださいね。

参考文献

厚生労働省|新型コロナウイルス感染症の国内発生状況等について
新型コロナウイルス感染症診療の手引き 別冊 罹患後症状のマネジメント第2.0版

この記事の監修医師

朝岡 龍博

横浜内科・在宅クリニック 院長:朝岡 龍博 医師 

▶︎詳しいプロフィールはこちらを参照してください。

『クリニックに関わる全ての人を幸せに』
『最後まで患者様と病気と向き合います』

【経歴】

・2016年 名古屋市立大学卒業、豊橋市民病院 初期研修医勤務
・2018年 豊橋市民病院 耳鼻咽喉科
・2020年 名古屋市立大学病院 耳鼻咽喉科
・2021年 一宮市立市民病院 耳鼻咽喉科
・2022年 西春内科・在宅クリニック 副院長
・2023年 横浜内科・在宅クリニック 院長

【資格】

・舌下免疫療法講習会修了
・厚生労働省 指定オンライン診療研修修了
・緩和ケア研修会修了
・難病指定医
・麻薬施用者

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せっかく建てた建物を

粉々にして

水も電気も、毛布さえない日々に

誰がしたというのだろう

なんの意味があって来る日も来る日も続けているのだろう。

子たちの言葉を。

 

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