ローカル5Gで遠隔医療 川崎・聖マリ医大病院で実証実験
2022年2月2日 (水)配信神奈川新聞
高速大容量の第5世代(5G)移動通信システムを特定のエリアで利用できる「ローカル5G」を医療現場で活用する実証実験が、川崎市宮前区の聖マリアンナ医科大学病院で行われている。複数の医療スタッフが現場から離れた場所で診療の様子を写した映像を確認し、現場と連携する遠隔医療の実現が期待される。
実証実験では、負傷した患者が救急搬送されたと想定し、360度カメラや眼鏡型端末「スマートグラス」などを使って屋外や院内で模擬患者を撮影。その様子を写した映像を複数の医療スタッフがそれぞれの場所で確認し、治療法について相談、決定するのに有効か試している。
正確で迅速な処置が求められる救命救急センターでは、災害や事件事故などで負傷者が運び込まれた際、多いときは数十人のスタッフが集まって患者の状態や負傷箇所などを診断し、治療法を相談して決める。ローカル5Gを活用すればスタッフが集まらずに対応できるほか、CT(コンピューター断層撮影)画像なども迅速に共有できるという。
20日に視察に訪れた同市の福田紀彦市長は、スタッフが鮮明な映像を見ながら連携する様子を確認し、「離れた場所でも現場に的確に指示を出せるので、救急医療に大変寄与する。救命率が飛躍的に高まる可能性を感じた」と期待した。
同大学デジタルヘルス共創センターの松本純一副センター長は「診療の質を維持しながら効率化や長時間労働の改善につなげることができる。非接触が求められるコロナ禍の診療にも役立つ」と話した。
ITサービスを手掛けるトランスコスモス(東京都)や同市などが協力し、国の事業として昨年12月から実施。今年3月に報告書をまとめ、実用化が検討される。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます