【独自】子供の全死亡例 検証…厚労省 22年度にも
2020年1月17日 (金)配信読売新聞
児童虐待や事故による子どもの死亡を防ぐため、厚生労働省は、18歳未満の子どもについて原則、全死亡例を収集・検証する「チャイルド・デス・レビュー(CDR)」を2022年度にも全国で導入する方針を決めた。まず今年4月から、五つの自治体でモデル事業としてスタートさせる。死亡例をすべて検証することで、児童相談所(児相)や警察が把握できなかった虐待や事故の発見につなげ、再発防止に役立てる。
虐待・事故再発防ぐ
CDRは、子どもの死亡診断書や、警察、消防、児相の対応などを多角的に検証する取り組み。検証の結果、虐待や事故の事実が新たに判明しても、個人や関係機関、担当者の責任を追及するのではなく、再発防止につなげるのが狙いだ。
同省によると、1年間に亡くなる18歳未満の子どもの数は、約3800人(2018年)。このうち、虐待死として国の検証対象となるのは年間70人前後(約2%)となっている。
だが、同省の研究班が14~16年、全国約150の医療機関から18歳未満の死亡例約2300人分を集めて分析したところ、虐待死とみられるケースが118人(約5%)に上った。こうしたことから、同省は「CDRで全死亡例を検証することで、児相や警察が認知しなかった虐待も明らかになる」とみている。
4月からのモデル事業は、都道府県の中から五つを選定。県(または都道府)や医師会が管内のすべての医療機関や医師に呼びかけ、18歳未満の子どもの死亡診断書やカルテを提出してもらう。警察など関係機関にも情報提供を求め、各県の「検証委員会」で分析する。検証委のメンバーは、小児科医や監察医、警察・消防関係者、保健師、児相職員らが想定されている。
文書や情報は任意提供だが、同省は「責任追及ではなく再発防止が目的だと説明し、協力を求めていく」としている。子どもや関係者らの個人情報は県や医師会で厳重に管理する。
検証委は、虐待が疑われる事案や、予防できたと思われる事故例をもとに再発防止策を県に提言。県は、その提言を虐待防止の取り組みや、救急医療体制の見直しなどにつなげる。
CDRについては、成育基本法(昨年12月施行)や死因究明推進基本法(今年4月施行)に推進が盛り込まれ、同省は新年度当初予算案に関連経費約5900万円を計上している。
◆チャイルド・デス・レビュー(CDR)=「子どもの死因究明」という意味で、米国カリフォルニア州で1978年に導入された。英国でも同様の仕組みがある。4月施行の死因究明推進基本法は、施行後3年をめどにCDRの検討をすることを付則で明記している。
2020年1月17日 (金)配信読売新聞
児童虐待や事故による子どもの死亡を防ぐため、厚生労働省は、18歳未満の子どもについて原則、全死亡例を収集・検証する「チャイルド・デス・レビュー(CDR)」を2022年度にも全国で導入する方針を決めた。まず今年4月から、五つの自治体でモデル事業としてスタートさせる。死亡例をすべて検証することで、児童相談所(児相)や警察が把握できなかった虐待や事故の発見につなげ、再発防止に役立てる。
虐待・事故再発防ぐ
CDRは、子どもの死亡診断書や、警察、消防、児相の対応などを多角的に検証する取り組み。検証の結果、虐待や事故の事実が新たに判明しても、個人や関係機関、担当者の責任を追及するのではなく、再発防止につなげるのが狙いだ。
同省によると、1年間に亡くなる18歳未満の子どもの数は、約3800人(2018年)。このうち、虐待死として国の検証対象となるのは年間70人前後(約2%)となっている。
だが、同省の研究班が14~16年、全国約150の医療機関から18歳未満の死亡例約2300人分を集めて分析したところ、虐待死とみられるケースが118人(約5%)に上った。こうしたことから、同省は「CDRで全死亡例を検証することで、児相や警察が認知しなかった虐待も明らかになる」とみている。
4月からのモデル事業は、都道府県の中から五つを選定。県(または都道府)や医師会が管内のすべての医療機関や医師に呼びかけ、18歳未満の子どもの死亡診断書やカルテを提出してもらう。警察など関係機関にも情報提供を求め、各県の「検証委員会」で分析する。検証委のメンバーは、小児科医や監察医、警察・消防関係者、保健師、児相職員らが想定されている。
文書や情報は任意提供だが、同省は「責任追及ではなく再発防止が目的だと説明し、協力を求めていく」としている。子どもや関係者らの個人情報は県や医師会で厳重に管理する。
検証委は、虐待が疑われる事案や、予防できたと思われる事故例をもとに再発防止策を県に提言。県は、その提言を虐待防止の取り組みや、救急医療体制の見直しなどにつなげる。
CDRについては、成育基本法(昨年12月施行)や死因究明推進基本法(今年4月施行)に推進が盛り込まれ、同省は新年度当初予算案に関連経費約5900万円を計上している。
◆チャイルド・デス・レビュー(CDR)=「子どもの死因究明」という意味で、米国カリフォルニア州で1978年に導入された。英国でも同様の仕組みがある。4月施行の死因究明推進基本法は、施行後3年をめどにCDRの検討をすることを付則で明記している。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます