医大生がシェーク！

医大生がシェーク！
U35 2018年6月12日 (火)配信読売新聞

　◇鳥大「カクテル部」　米子にバー
　◇下旬オープン　価格抑え若者も気軽に
　鳥取大医学部の学生団体「カクテル部」の部員たちが６月下旬、米子市中心部の繁華街にバーを開業する。バーになじみの薄い同世代の若者を主な客層にしたいといい、中心となって準備を進める６年の増田興我さん（２７）は「静かに飲めて、ホッと一息つける空間にしたい」と意気込む。（河合修平）
　増田さんは子どもの頃、バーテンダーを題材にした漫画を読み、主人公が華麗にシェーカーを振る姿に憧れた。２０歳を過ぎて大学生になると、バーに足を運ぶように。普段は、居酒屋で友人たちとにぎやかに飲酒することがほとんどだったが、「バーの落ち着いた雰囲気や、様々な話題を振ってくれるバーテンダーとのやりとりが心地よかった」と振り返る。
　さらに興味を引かれたのは、豊富なカクテル。グラスの中で七色の層ができるものもあり、目でも楽しめた。「同じお酒を使っていても、シェーカーを振る回数や強弱で味が変わるのが不思議で、面白い」。５年前からは、なじみの店でバーテンダーのアルバイトを始めた。
　カウンターに立ってみて気づいたのは、客層が中高年中心で、同年代の若者が少ないこと。友人に聞いても「値段が高い」「敷居が高そう」などの理由で、ほとんどが入店したことがなかったという。「若い人にもバーの魅力や、色々なお酒の飲み方を知ってほしい」とカクテル部の仲間に声を掛け、気軽に立ち寄れる店を出そうと話し合った。
　カクテル部は学園祭に出店する以外に目立った活動はしておらず、開業に向けて４月から、大学近くの飲食店に頼み、休業日の日曜夜に試験的に営業を開始。シェーカーを振る技術の向上やオリジナルカクテルの試作などを重ねてきた。４年の松田真さん（２６）は「バーテンダーに興味はあったが挑戦する機会がなかった。お客さんとの触れ合いも楽しい」と笑顔を見せる。
　６月にオープンする店は、ＪＲ米子駅に近い米子市東倉吉町のテナントを借りた。資金は部員や卒業生からのカンパなどで調達し、メニューの多くは価格を３００円程度に抑える予定。酒のボトルやシェーカーを空中に投げ上げたり、回したりする「フレア」と呼ばれるパフォーマンスを披露するなど、初めて訪れる客が楽しめる仕掛けも用意する。
　増田さんは「プロの方々に技術は到底かなわないけど、訪れた人に『たまにはバーで飲むのもいいな』と思ってもらえれば」と話している。