健保組合、半数超が赤字 高齢者医療への拠出増影響 21年度決算見込み
2022年10月7日 (金)配信共同通信社
大企業の社員らが加入する健康保険組合の全国組織、健康保険組合連合会(健保連)は6日、2021年度の決算見込みを発表した。全国1388組合の53・3%に当たる740組合が赤字となった。前年度の33・0%から大幅に増加。組合全体の収支でも825億円の赤字となった。赤字は8年ぶり。現役世代の保険料から払う高齢者医療への拠出金増が響いた。新型コロナウイルス禍の「受診控え」の反動などでも医療費が伸びた。
大企業の社員やその家族約2850万人はそれぞれの健保組合に加入。企業や会社員の保険料で運営している。赤字が続けば保険料を大きく引き上げたり、解散を検討したりする健保組合が出てくる可能性がある。
21年度の保険料収入は前年度から810億円増えて8兆2652億円だった。支出は、医療費が3408億円、高齢者医療への拠出金が1057億円それぞれ増えるなどして、全体の収支は825億円の赤字となった。これに対し前年度の収支は、受診控えもあり2958億円の黒字だった。
保険料は労使折半で、21年度の平均保険料率は賃金の9・23%と過去最高になった。保険料を支払う会社員1人当たりの年間負担額は平均で49万9744円だった。
拠出金は高齢者医療費の伸びに応じて増加する仕組みとなっており、健保連の佐野雅宏(さの・まさひろ)副会長は6日の記者会見で「このままでは現役世代の負担が増え続ける。早急に高齢者医療制度を見直してほしい」と訴えた。
政府は、75歳以上が対象の後期高齢者医療制度を巡り、健保組合などからの拠出金の増大を抑えることを検討。高齢者の保険料を引き上げる方向で、来年の通常国会で法改正を目指している。
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