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子の医療拒否、3割「経験」 中核55病院 宗教理由、輸血など 毎日新聞調査

2023年05月07日 17時09分45秒 | 行政

子の医療拒否、3割「経験」 中核55病院 宗教理由、輸血など 毎日新聞調査

 2023年5月5日 (金)配信毎日新聞社
 

 宗教を理由に保護者が子どもへの医療を拒む事例が後を絶たない。毎日新聞のアンケート調査に応じた全国の55病院のうち、約3割の18病院が過去10年間に子どもへの医療拒否を経験し、少なくとも計48件に上った。厚生労働省は子どもへの医療拒否を虐待としているが、成人患者が宗教的信念に反して輸血されたケースでは病院側に賠償を命じた判例もある。救命を最優先とする一方で、信仰への配慮も求められる医療現場の苦悩が浮かぶ。(3面に「宗教と子ども」)

 毎日新聞は2~3月、日本小児科学会が「中核病院小児科」として登録する全国の119病院を対象にアンケートを実施し、55病院が回答した(回答率46・2%)。中核病院小児科は、大学病院や小児医療センターなど小児医療の中核となる医療機関。重篤な患者に対応する3次救急や高度医療を提供している。

 調査結果によると2013~23年、宗教を理由とする子どもへの医療拒否が「ある」と回答したのは18病院。件数ベースでは少なくとも計48件が確認された。

 拒否内容は複数選択で「輸血」が最も多く13件。次いで「投薬」が6件。「予防接種」「受診・入院」「手術」がそれぞれ3件。内容を明らかにしない病院もあった。

 医療拒否への対応は複数選択で「保護者を説得した」が最多の8件。「児童相談所や自治体に通告・相談した」が6件、「転院先や他の医療機関を紹介した」が5件だった。現在、両親との協議が続いている病院もあった。

 「対応に迷ったか」という設問では、8病院が「迷った」と回答。患者である子どもの意思確認の難しさを挙げる意見が目立った。ある病院は「重篤な疾患だったので(患者は)逝去された。小児は基本的に親の影響が強く、本人の意思がわからず、小児科医はじくじたる思いだった」と述べた。

 「親の同意が得られなくても生命の危険がある場合は輸血や治療をするか」との問いには、31病院が「する」と回答。「しない」はゼロで、「どちらともいえない」が16病院。8病院は未回答だった。

 キリスト教系新宗教「エホバの証人」は輸血を拒否する教義で知られる。他の宗教でも投薬や予防接種などを拒むケースがある。55病院のうち50病院は、輸血拒否への対応を定めた独自の指針があると回答した。

 安倍晋三元首相の銃撃事件をきっかけに「宗教2世」の存在が注目される中、厚労省は22年12月、医師が必要と判断する医療行為を子どもに受けさせないことは虐待の一種である「ネグレクト」(育児放棄)に当たるとして、自治体などに対応を求める通知を出した。【菅沼舞、森口沙織、野口由紀】

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