都医会長「休業要請だけでは全国が感染の火だるまに」
国会召集で新型インフル特措法の改正を要望
東京都医師会の尾崎治夫会長は7月30日の会見で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を収束させるには、(1)無症状者を含めた感染者の徹底的な隔離、(2)法的拘束力を持ち補償を伴った休業要請、(3)エピセンター(震源地)化している地域での一斉PCR検査の実施――の3本柱が必要だと提言した。東京だけでなく、愛知や大阪、福岡や沖縄でもエピセンター化が進んでいると指摘。「このまま強制力のない休業要請を続けたら、日本中が感染の火だるまに陥ってしまう。今が第2波だとしたら、これが感染を抑える最後のチャンスだ。新型インフルエンザ等対策特別措置法改正のために、政府は今すぐに国会を召集して議論を始めてほしい」と強く訴えた。
尾崎会長は東京都で感染者が増える状況について、都職員、保健所、医療従事者の努力で「どんどん増えていかない状況を作っているということでかなり効果はある。東京も決して無策ではないことをご理解いただきたい」と説明する一方で、「お願いに基づく今のやり方では限界がある」と強調。法的拘束力を持ち補償を伴った休業要請が必要として、新型インフル特措法の改正、そのための国会召集を要望した。
続いて、角田徹副会長は、エピセンター化している地域について、法的な強制力を持ち補償を伴う休業要請を、地域と期間を限定して実施する施策について提案。「新型インフルエンザ等対策特別措置法を改正するか、都道府県単位で柔軟に条例で対応できるようにすることが必要では」と述べた。
PCR検査の拡大については、医療機関が必要だと判断した無症状者にも検査を提供するため、都民1万人に1カ所の割合で1400カ所まで検査機関を増やす計画を発表。達成するには約1000カ所の診療所の協力が必要になるが、都内の47医師会に唾液PCR検査の実施拡充を要請したという。この目標は、地域包括ケアや中学校区の人口規模を参考にし、歩いていける身近な距離の検査機関にアクセスできることを重視して策定した。他にも、都内250カ所を目標に2次救急病院への自己完結型PCR検査機器の配備をすることも必要と説明した。
さらに、公衆衛生的な見地から、濃厚接触者や感染者に関しては大学や研究機関の資源も投入し、迅速に多くの検査をすることが必要だと訴えた。
平川博之副会長は、日本と世界の介護施設での感染状況について報告。フランスやスペインでは総死亡数に占める介護施設死亡数の割合が50%を超えており、COVID-19対策で世界的に高い評価を受けている韓国でも約34%である一方、日本は14.2%と低い水準で抑えられているという。これには、多くの介護施設で早期から面会を禁止したことが主因になっていると分析した。 しかし、介護施設のほとんどは普段から人員がぎりぎりであることを踏まえ、「何かあれば一気に機能不全に陥る。COVID-19対応の過労で倒れたり、あるいは流産してしまった職員もいると聞く。なんとか彼らを救いたい」と介護崩壊を防ぐ重要性を強調した。
最後のあいさつで尾崎会長は、人口比では東京を上回る感染者数が出ている地域があるとし、最後に「国できちんと対策を練るべき事案。良識のある国会議員のみなさん、『新型コロナウイルスに夏休みはありません』。国ができること、しなければならないことを国民に示し、国民・都民を安心させてほしい。これは私たちにはできないことで、政治の役割です」と改めて強く訴えた。
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