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認知症、当事者だけの団体が発足 政策提言に取り組む

2014年10月26日 23時08分27秒 | 私自身や健康
認知症、当事者だけの団体が発足 政策提言に取り組む
朝日新聞 2014年10月24日(金) 配信

 認知症になっても希望と尊厳を持って生きたい――。こんな思いを胸に、認知症の本人たちが自ら政策提言などに取り組む団体を立ち上げ、23日に会見を開いた。認知症は予備群を含めれば65歳以上の4人に1人。「何もできなくなる」との根強い偏見を乗り越え、社会に声を届ける。


 「認知症の理解は進んでいるが、地域に戻ると『何もわからない人、できない人』と見られる。自分たちの声で変えたい」

 東京・霞が関で開いた設立会見。3人いる共同代表の一人、神奈川県の中村成信さん(64)はそう語った。市役所に勤めていた50代のとき、ピック病による認知症とわかった。

 団体名は「日本認知症ワーキンググループ」。メンバーは40~72歳の11人だ。当事者だけの団体は「全国初ではないか」(厚生労働省)という。「認知症の人基本法」策定を国に働きかけるほか、診断後の本人に役立つ冊子作りも目指す。

 この日は会見前にさっそく塩崎恭久厚労相と面会した。政策の計画や評価に本人が参加する機会をつくること▽本人が希望を持って生きる姿を伝えるキャンペーンの実施、などの要望を伝えた。

 厚労省の推計では、65歳以上の高齢者で認知症の人は462万人、予備群400万人を含めると4人に1人にあたる。65歳未満の若年認知症も2009年時点で約3・8万人いると推計されている。

 「私たちの能力を信じてください」。オーストラリア政府の元官僚で認知症になったクリスティーン・ブライデンさんが京都市の国際会議で訴えたのは04年。この頃から本人が自らの言葉で認知症を語る動きが日本でも広がった。政府は同じ04年、本人の尊厳を傷つけるなどとして「痴呆(ちほう)症」から「認知症」に名称を変更した。

 支援策も拡充され、05年から「認知症サポーター」の養成が始まった。13年度からは認知症施策推進の5カ年計画(オレンジプラン)もスタートしている。

 だが同グループは「『希望を持ってよりよく生きる』支援は十分でない」と訴える。特に不足しているのが、早い段階で認知症と診断された「初期」の人へのサポートだという。

 いまの公的支援は大半が要介護状態になった人向けのものだ。病院で早期診断されても、暮らしや仕事についての適切な助言や支援が受けられず、支援の「空白の期間」があると課題を指摘する。

 グループは、メンバーや会の運営を支える賛同者らを募っている。連絡は事務局の水谷佳子さんのメール(mizutani@toujisya.3tsu.jp)まで。(蔭西晴子)


     ◇

■診断7年 工夫重ね家事もできる

 共同代表の一人、鳥取市の藤田和子さん(53)がアルツハイマー型の認知症と診断されたのは7年前。3人の娘を育てながら、看護師として働いていた45歳の時だった。

 友人との約束の日時を忘れてしまうなど、少しずつ異変に気づいた。診断後、認知症は進行すると寝たきりになるという情報を目にしてショックを受けた。「これからどうすればいいのか」。翌年、仕事を辞めた。

 症状は進んでいるが、今も身の回りのことはたいてい自分でできる。ただ複数の物事を同時に進めるのは難しく、頭をつかうと疲れやすい。家事は段取りを確認して一つずつ。料理中に電話があっても、今していることを忘れてしまう心配があるので、あえて出ないこともある。「工夫したらできることはある。どんなリハビリより有効だと思う」と笑う。

 2010年に若年認知症の人の支援団体をつくり、本人や家族の相談を受けてきた。「私たちが自分の意思で活動する姿を通し、認知症は怖くないと示したい」。そんな思いが原動力だ。

 伝えたいのは、周りの理解が何より重要だということ。「専門職の支援より、必要なのは身近な人がこれまで通り近くにいてくれること。友人と関係が切れてしまうような話を聞くと悲しいが、私はみんなが寄ってきてくれて助けられている」

 初期の人への支援策として、本人や家族へのカウンセリングを挙げる。「診断を受けた直後は、本人も家族も混乱する。認知症とともにどう生きていくか、家族も一緒に考えていけるような支援の一歩目が必要」と言葉に力を込めた。(畑山敦子)


     ◇

 〈認知症〉 脳が萎縮するアルツハイマー型、幻視などを伴うレビー小体型、脳出血や脳梗塞(こうそく)など脳血管障害が原因のものなどが多いが、ピック病などの病気によるものもある。厚労省の推計では、65歳以上の高齢者で認知症の人は462万人、予備群400万人を含めると4人に1人にあたる。65歳未満の若年認知症も2009年時点で約3・8万人いると推計されている

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