大阪救急、病棟閉鎖が続出 最後のとりで、コロナ侵食
2020年12月7日 (月)配信共同通信社
命に関わる重症患者を受け入れる「3次救急」を担う大阪府内の救命救急センターで、病床やスタッフを新型コロナウイルス対応に振り替えるため、他の傷病患者向けの病棟を閉鎖する動きが続出している。地域医療を支える「最後のとりで」が、新型コロナに追い詰められつつある。
大阪府では11月下旬以降、300~400人台の感染者が判明する日が相次ぐ。確保してある重症用病床206床の使用率は6日現在で68・4%、実際に使える病床では86・0%に上り、逼迫(ひっぱく)した状況だ。大阪市立総合医療センター(同市都島区)では、全国でも珍しい若いがん患者専用の病棟を一時閉鎖することになり、支援の質の低下が懸念されている。
大阪赤十字病院(同市天王寺区)でも4月以降、がんの緩和ケア病棟(20床)を閉鎖し、個室化したコロナ病棟に変えた状態が続いている。入院していた患者約10人は一般病棟に。別の一般病棟(55床)も一時閉鎖してコロナ病棟にした。担当者は「看護師の配置に頭を悩ませている」と打ち明ける。
国立病院機構大阪医療センター(同市中央区)は今春以降、感染拡大の状況に応じて一般病棟の一つを断続的に閉鎖。今月1日からコロナ重症患者の対応に当たるため、再び閉鎖した。別の病棟の稼働率を上げて対応するとしており、担当者は「一般患者の受け入れには影響が出ないようにしたい」と話す。
府内の別の救命救急センターは病棟閉鎖には追い込まれていないが、コロナ向け病床をこれ以上増やすと、一般の救急患者を受け入れられなくなる恐れがあるという。あるスタッフは「ベッドも人も足りない。行政の見通しは甘かったのではないか。今更増やそうとしても間に合うわけがない」と指摘している。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます