春めいて雪が消え始めると、チビの散歩コースも、あちこち選択肢が増える。
市の保育園のそばを通るこの抜け道も、内川に抜けるには便利な小路。
今は保育園ですが、明治初期、旧庄内藩の当主が建てたお屋敷だった。
ん・・? チビっ!後ろ、後ろ! 気づけよ・・。
一羽だけ寂しそうにしていた白鳥が、ボクに気付いて、川面から登ってくる・・。
北帰行が始まっているのに、翼に傷を負い、はぐれてしまったんだろうか。
お腹が空いている・・。カラスの集団に襲われないだろうか。可哀想。
近所の人は、「怪我かなあ。毎年、帰らずに、ここに残っているんだよ。」
なんとか、ここで暮らせているんだ。鶴岡公園のお濠には仲間がいるのに。
立ち去ろうとしたら、「なあーんだ・・」と言って、また川面に戻っていった。
朝だというのに、気持ちが塞ぎ、少し悲しくなった。