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わが裏庭に実をつけたむかご(零余子)
「雨傘に こぼるる垣の 零余子かな/犀星」
「ほろほろと むかごこぼるる 垣根かな/子規」
9月の声を聞いた途端に、わが庭にも秋を告げる使者が次々に訪れる。 山芋の葉の付け根にできる小指の頭ほどの球芽、むかご(零余子)もその一つである。
昨年の小欄「2006/9/3 トウガンとむかご飯」で書いたが、 むかごご飯こそは秋の味覚であり、むかごの小さな粒の一つひとつに“山芋の香りとコクと秋”が凝縮されている。
小さな実だけに、自然の恵みの豊かさが凝縮されて詰まっているような力強い味がする。ご飯と一緒に炊き込むと風味が増して、自然を そのまま頂いたような素朴な味を楽しむことができる。噛むほどに上品な中身がにじみ出てくる。いかにも精がつきそうだ。風流な日本の秋を感じさせる一つである。
17年ほど前、あじさい寺として有名な備前市大内の西法院を訪れた。精進料理を頂いた後、境内を散策していて食材に使われている“むかご”のことを教えられ、5粒ほど貰ってきて庭に蒔いた。
地上に落ちると根を出して、新しい個体となる。それが今では庭のあちこち、更には移植した草花について裏庭にまで這って伸びている。山芋では茎、オニユリでは鱗片葉が変化してできる。育った山芋は一度も掘り起こして食したことはない。