
箏曲の演奏
昨夜の冴え渡る中秋の名月(十五夜)は、後楽園の観月会で愛でることができた。園内は幻想的にライトアップされ、延養亭から流れてくる邦楽の調べを聴きながら、大勢の人々がようやく訪れた秋の風情を楽しんでいた。
今朝の山陽新聞では、後楽園での名月鑑賞会の様子が報じられていた。「月は合成」の注釈付でモンタージュ写真が掲載されており、ありのままの名月を鑑賞した身には、いささか艶消しだった。
兼好法師は徒然草137段で「花は盛りに、月は隈なきをのみ、見るものかは」と述べている。また同第10段では「前栽の草木まで心のままならず作りなせるは、見る目も苦しく、いとわびし」とも嘆いている。
兼好法師ならずとも、やはりあるがままの自然を受け入れ、そこに風情を求めたい。
古来日本では、中秋の名月から約1カ月後に巡ってくる十三夜月が「最も美しい」とさえいう人もある。十三夜には栗や枝豆を供えることから「豆名月」「栗名月」とも呼ばれている。十五夜または十三夜のどちらか一方しか観ないことを「片見月」と呼び、縁起が悪いこととされているそうだ。
十五夜ばかりがお月見ではない。もし天候の都合などで十五夜が拝めなかった方には、十三夜もあれば、さらに十日夜(とおかんや)と続く。どうぞお楽しみに。

幻想的な沢の池の中の島

ライトアップされた岡山城