原子力安全委員会の斑目委員長がニュース番組だったか、福島原発事故を扱った特集番組の中だったかで「原子炉の設計指針に不備があった事が悔やまれる」みたいな発言をしていたのを聞いて、その設計指針なるものに興味を持っていた。 午前中の暇な時間にWEB検索してみたら
「 発電用軽水型原子炉施設に関する安全設計審査指針について 」
原子力安全委員会決定 平成二年八月三〇日
なるタイトルの告示・通達文書として、文部科学省のサイトにそれは見つかりました。
確かに ”設計上全交流動力電源喪失を想定しなくてもよい”なんて問題の文言が指針27の解説部分に明記されているのですね。 そこの部分を転載して置きます。
****************** 転載 *******************************
指針二七 電源喪失に対する設計上の考慮
長期間にわたる全交流動力電源喪失は、送電線の復旧又は非常用交流電源設備の修復が期待できるので考慮する必要はない。
非常用交流電源設備の信頼度が、系統構成又は運用(常に稼働状態にしておくことなど)により、十分高い場合においては、設計上全交流動力電源喪失を想定しなくてもよい。
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ところで、今回の福島原発事故は、以下の様な順序で破綻が生じてしまった。
● 地震と津波の襲来。
>> ● 全電源の喪失。
● 冷却機能の長期間停止。
● 燃料棒の温度上昇。
● 水素ガス発生。
● 原子炉建家の爆発損傷。
だから、長時間に渡る「電源喪失を想定しなくてもよい」と言い切った設計指針に問題が有るのは明白ですが、「それだけじゃないでしょう!!」の気持ちが強くあります。
設計指針は全部で58項目も有って、いろいろ安全のための設計指針が示されているのだけれど...
「 原子炉を 何機も 近接して建設しては駄目! 」
そんな規定はどこにもない。 しかし福島原発事故がとんでもなく大きな事故になってしまった背景には、1号機から6号機まで原発建家が連なっていて、そいつらの多くが爆発して放射性物質を大量に撒き散らした事もある。 だから、規定してある設計指針に不備があるのは勿論だろうけれど、 「 重要な事なのに規定していない事柄もまだまだ有るんだろうな 」と思ってしまうのです。