女川での復興計画

2015-02-24 11:51:28 | 地震の周辺
 2月22日(日)のNHKの番組「明日へ 証言記録・宮城県女川町」では、 女川町の復興計画を取り上げていた。 サブタイトルにある”巨大防潮堤はいらない”の部分が復興計画の肝となっていて、 そんな判断に至る住民や役場関係者の証言などを纏めた番組だった。

 僕も地震発生後の5月の連休に、石巻の町中で押し入れを越える、津波による浸水被害を受けた知人宅の復旧作業に参加したことがあって、 その帰路に女川にも寄り道して被害の様子を見て来たことがありました。

 Top画像はGoogleEarthによる女川港に接した女川町だが、 女川駅の南側尾根の突端の中腹に設けられた病院の駐車場の高さ(海抜11mほど)まで津波の海水が押し寄せた様子がみてとれた。 その高台にある病院から見渡せる平地に立っていた頑強なコンクリート製や鉄骨の骨組みの構造物はかろうじてその場に残されていたものの、木造家屋の多くは倒壊、あるいは流失してしまったのだった。 

その女川町の人々が町の復興のために出した結論が

”巨大防潮堤はいらない”

 そうした考えに至った理由が番組登場者の口で語られていたが、どれも僕の腹の中にもスッと収まるものだった。

 < 曰く >

巨大防潮堤は無かったが、沿岸地域に居た人は逃げて無事だった。

女川でも川沿いの内陸部に立地した水産加工場などでは死者が出た。

巨大防潮堤が設置されていた岩手県・田老町では住民に死者がでている。

 つまり、

 海の異変にいち早く気付き、 逃げることで人命被害は防げる。

と言うことだ。


沿岸部で操業している水産加工業者は早期の事業再会を希望。

巨大防潮堤の築造には9mほどの横幅を必要とし、 それを実現したら、 沿岸部の平地面積の多くが失われる。

 巨大防潮堤で人命や工場・家屋などの被害をゼロにするなんて無理、 物的被害は金はかかるが立て直せば良し!、 お年寄りなど素早い避難の困難な人や非常時には避難施設ともなる小学校などは高台移転するとしても、 全部が全部を高台移転する必要は無い。

そんな考え方で、巨大防潮堤を新設しない方向で復興計画をまとめた。

 僕にはすっきり納得出来る話でした。


石巻市に隣接する女川町


 番組では、なんだか高さのある防潮堤を垂直に屹立する構造体で実現出来ると考えていた、町の建築だか土木関係の職員さんを登場させていたが、 高さ10mを越える津波が押し寄せた場合、 その水圧と水勢に1~2mの薄っぺらな垂直壁の構造物で対応出来ると思っていたとしたら、 困ったちゃんだなあ・・・ そう思いながら見ていましたよ。
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