今年世界遺産になった官営八幡製鐵所の旧本事務所は、
1899(明治32)年、八幡製鐵所の創業2年前に建設された建物で、
長官室、顧問技師室、技監室、主計室などがあり、
製鐵所の中枢の事務所である。
赤煉瓦組積造の2階建で、延床面積1,023m²、桁行(建物の長さ)33m、
スパン(建物の短手方向長さ)15m、軒高10.38mとなっている。
中央にドームを持つ左右対称の意匠で、和瓦葺、洋小屋組(クイーンポストトラス)、
イギリス式のレンガ積となっている。
設計建設は製鐵所が行っており、
1922(大正11)年まで本事務所として使用されていたが、
新しい本事務所の完成以後は、
研究所 ( 世界でも極めて早い時期に設立された鉄鋼の研究所 ) であった。
現在この建物は稼働中の製鐵所の敷地内にあることや
老朽化により立ち入りが制限されているため、
見学は特別に設置された展望スペースからの遠望となる。