” 佐世保大空襲から生き残った教会 ”
三浦町教会は、佐世保駅の前を通る国道35号線を挟んで、
左手の丘の上に天高く建っている。
その美しい教会が戦火をくぐり抜けて来たとは誰も思わないだろう。
ホワイトグレーの教会は、凛とした立ち姿で軍港である佐世保の港を見下ろしている。
そんな佐世保の街へ、平戸、田平、長崎、外海などから多くの信徒が移住してきたので、
明治30年 ( 1897年 ) 、谷郷町に初代の教会ができ、
昭和6年 ( 1931年 ) に現在の聖堂が建てられた。
昭和のはじめ、早坂司教が推進して造られた強固な鉄筋コンクリートの教会堂6棟の、
そのうちの1棟が、この三浦町教会である。
当時、周囲には高い建物がなく、佐世保港に入って、
まず最初に三浦町教会の十字架が目に入って来たという。
しかし、軍事施設を一望に眺められることもあり、
戦争中は使用を規制されたこともあったという。
美しいゴシック建築だが、設計者、施工者共に不明である。
また、太平洋戦時下においては、異教として軍部の圧迫を受け、
空襲の目標になりにくい様に黒く塗られ、戦火から免れた大変貴重な教会である。
教会の正面中央の四角塔の玄関部は、中段から八角塔に変わり、
さらにその上には角錐の大尖塔が載っている。
左右の八角塔も角錐の小尖塔が天に向かって鋭く垂直に伸びる姿には、
圧倒する風格がある。
重曹屋根の教会の上層の側面は柱ごとに円形の高窓があり、
下層の側面には尖頭アーチ形の縦長窓が並び、
神秘的な光の空間を作り出している。
内部はリヴ・ヴォールト天井で、主廊の幅が側廊に対して広く、
同じ頃に建てられた他の鉄筋コンクリート造の教会にはない特徴である。
所在地 / 長崎県佐世保市三浦町4-25
教会の保護者 / イエズスのみ心
平成16年 ( 2004年 ) ・ 佐世保市景観デザイン賞