風がやんだら 沖まで船を出そう
手紙を入れた ガラスびんをもって
ミュージシャン、松任谷由実さんが作った 「 瞳を閉じて 」 は
長崎県・五島列島の奈留 ( なる ) 島にある県立奈留高校の愛唱歌だ。
奈留高校が県立五島高校の分校だった時、校歌は本校と同じだった。
40年以上前、一人の女子生徒が 「 自分たちの校歌を作ってほしい 」 と
松任谷さんのラジオ番組に投書したのが曲を贈られたきっかけだ。
島を離れた友達に潮騒の音が届くように--。
島の海や山が目に浮かぶ。
校歌にはならなかったが、今も卒業式で歌い継がれている。
校歌や愛唱歌をふと口ずさむと、故郷の風景と思い出が重なり、
よみがえってくる。
長崎の奈留島では就職や進学で若者たちが島を離れる日、
港で流れる 「 瞳を閉じて 」 に見送られる。
大人になって厳しい現実の前で立ち止まる時、母校の歌が力をくれる。
つらくても頑張った思い出があれば、なおのことである。
それは歌詞やメロディーに人の心を鷲掴みにする魔力があるからであろう。