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ダイデスハイマー・ノンネンエッケ(修道女の拝領地)のQBA辛口リースリングと子豚の丸焼き肉にヌードルを付け合わせた料理を、カトリック信徒大多数の隣町で楽しむ。ワイン畑を歩いて30分、車で7分足らずの距離だ。ここのヴィンツャーレストランは、サーヴィスに従事する若い娘の教育機関として認知されている。フランクフルトの超一流ホテルの感謝状は、「貴公での教育と躾は、模範であり大きな敬意に値する」と彼女たちの質の高さを保証する。
未だ若いこの店の親父も、町の教区で教育係として認められているに違いない。職業専門学校を出てインターンとしてこの店で研鑚をして、キャリアーを積む女性たちも多いようだ。ここで推薦状を貰う娘たちは、プロ給仕としてのみならず誠実な人間性も保証される。決して高級なレストランではないが、「ミニスカートの店」と我々が呼ぶ「健康的な身作り」や「無為自然」な「清潔感」は親父の「個人的趣味」を越えて爽やかさを表出する。親父の年増の奥さんもこれを身をもって率先する。
料理の味も濃いが、年増になるほど彼女たちも味が濃くなる。十代から働く八年近く顔見知りのブロンドの彼女もその一人だ。近郊大都市の銀行に勤めながら未だに日曜日の昼はここで給仕をする。月曜日から金曜日まで銀行員の彼女は、最近は冷えを防ぐタイツを履いて給仕をする。もちろん公務員ではないので契約上問題は無いのだが、決して「水商売好き風」ではない彼女は、家族つれや親父連中が主体の客層から報酬を越えて何を得ようというのだろうか? 彼女のヴォランティーア精神を軽じてはなるまい。