寝不足気味である。初めから流れはわかっていたので、開票速報番組は適当な所で見るのを止めてベットに向った。
詳しく綴ると、東部ケンタッキーの開票前に地元のネットラジオを聞いていたので、その取材などの取捨選択はあるとしても状況はそれほど熱狂的な雰囲気でなく、案の定ケンタッキーとインディアンナでの「地すべり的では無い」状況が一時間後ほどに出てきた事から ― 西部では選挙が続いていることからの「隠れ確定」もCNNなどが出す状況にはなく、直接の影響を与えないドイツの両公共放送局も十分な読みは出来ていなかったので ―、横になりながら短波放送などを流しておいた。それでも夜中の三時ごろに一度順調な開票に眠りの中で気が付いて、明け方五時には敗北宣言の話が聞こえてベットから起き上がる決心をした。
その後の内容については周知のことなので詳しく書く必要はないが、放送で幾つか気付いた点だけを記録しておこう。
朝の独第一放送で誰かが言っていたが、候補二人ともタフさを示していて、オバマ候補の何時も新鮮な表情に驚くと共に、マッケインのあの年齢での驚異的な活力にも記憶に留まる。年若い奥さんだけでなく、流石に過酷な捕虜生活に耐えただけの意志の強さや敗北宣言での不平を漏らす支持者への睨みの利かせ方をみると、ブッシュ大統領やクリントン前大統領とは違うどすの効いた男をそこに見た。
その男が卑怯と思えるようなネガティヴキャンペーンや愚かな人選を終盤に行った事の意味合いも考えさせられるものであった。如何にブッシュ政権の負の財産が大きかったかであり、特に人種・文化的な殆どナチスがユダヤ人を恐れさせたようなキャンペーンは印象深い。もし、マッケイン陣営がルサンチマンの恐怖とイスラムの恐怖を取り上げなかったとすれば、オバマ新大統領の任期中に最後まで囁かれる問題となっていた筈である。その意味から、タブーを解消した「攻撃と超克の勝利」は、如何にもプロテスタンティズムの勝利とも思える。
オバマ候補が、合衆国の白人プロテスタント富裕層と候補者本人より年上の五十歳台以上の年齢層では明らかにマッケイン候補に劣勢であることは事実である。それに関しても、今や人種的には上の白人層と呼ばれる嘗ての開拓者であり歴史的支配層は合衆国でその比率が減少していることから、また嘗ての少数派がスペイン語系移民などと共に多数派になってきているのだから当然とする独第一放送でのコメントが特に面白かった。
要するに被差別層の少数派が全有効投票数のなかで徐々に数が増えてきて纏まった声となってくることを指している。合衆国の移民法の考え方などと合わせて興味深い。車の中でトルコ系ドイツ人の高学歴取得率やその後の国内とトルコでの優遇のされ方の相違などまだまだ大きな問題がそこにあり、決して現在のベルリン政府の外国人同化政策では事足りないことが語られていた。
ニュースを挟んでそれに続く何時もの討論番組では、オバマ大統領誕生と差別問題が話題となっていたが、ライス女史の発言のように「日常生活の中での解消とは言えないが象徴的な出来事でもある」とする意見と、「何れはアフロアメリカンと呼ぶよりもただアメリカンと呼ぶようになるのではないか」とする意見の双方が示された。上の多数派傾向への波からすれば、オバマ候補自身は文化教養的に決して典型的なアフロアメリカンとは思わないがそうした層にも同化しつつ尚且つ少数派に耳を貸して行く姿勢の表明は素晴らしい。
問題の健康保険も、諸外国のような強制保険の完備はとても難しいと言われるが子供などの弱い立場の将来ある層への整備を先ず整えて行くのだろう。様々な公約の実施は時間が必要であるが、もしオバマ大統領が力不足としてもそうした「当然の政策」を引き継いでいく政権が続くと考えられている。
合衆国の町の盛り上がりを見て、「まるでドイツでのワールドカップみたい」と感想を漏らした者がいた。まさにドイツでのように自由民主主義への自信と確信が合衆国の町中にも溢れているに違いない。
参照:
受け継がれるモラール [ 文学・思想 ] / 2008-07-23
抑圧から解放される為 [ マスメディア批評 ] / 2008-11-02
外人権利と依存する大衆 [ 生活 ] / 2008-06-10
自尊心満ちる軽やかさ [ ワールドカップ06 ] / 2006-07-12
詳しく綴ると、東部ケンタッキーの開票前に地元のネットラジオを聞いていたので、その取材などの取捨選択はあるとしても状況はそれほど熱狂的な雰囲気でなく、案の定ケンタッキーとインディアンナでの「地すべり的では無い」状況が一時間後ほどに出てきた事から ― 西部では選挙が続いていることからの「隠れ確定」もCNNなどが出す状況にはなく、直接の影響を与えないドイツの両公共放送局も十分な読みは出来ていなかったので ―、横になりながら短波放送などを流しておいた。それでも夜中の三時ごろに一度順調な開票に眠りの中で気が付いて、明け方五時には敗北宣言の話が聞こえてベットから起き上がる決心をした。
その後の内容については周知のことなので詳しく書く必要はないが、放送で幾つか気付いた点だけを記録しておこう。
朝の独第一放送で誰かが言っていたが、候補二人ともタフさを示していて、オバマ候補の何時も新鮮な表情に驚くと共に、マッケインのあの年齢での驚異的な活力にも記憶に留まる。年若い奥さんだけでなく、流石に過酷な捕虜生活に耐えただけの意志の強さや敗北宣言での不平を漏らす支持者への睨みの利かせ方をみると、ブッシュ大統領やクリントン前大統領とは違うどすの効いた男をそこに見た。
その男が卑怯と思えるようなネガティヴキャンペーンや愚かな人選を終盤に行った事の意味合いも考えさせられるものであった。如何にブッシュ政権の負の財産が大きかったかであり、特に人種・文化的な殆どナチスがユダヤ人を恐れさせたようなキャンペーンは印象深い。もし、マッケイン陣営がルサンチマンの恐怖とイスラムの恐怖を取り上げなかったとすれば、オバマ新大統領の任期中に最後まで囁かれる問題となっていた筈である。その意味から、タブーを解消した「攻撃と超克の勝利」は、如何にもプロテスタンティズムの勝利とも思える。
オバマ候補が、合衆国の白人プロテスタント富裕層と候補者本人より年上の五十歳台以上の年齢層では明らかにマッケイン候補に劣勢であることは事実である。それに関しても、今や人種的には上の白人層と呼ばれる嘗ての開拓者であり歴史的支配層は合衆国でその比率が減少していることから、また嘗ての少数派がスペイン語系移民などと共に多数派になってきているのだから当然とする独第一放送でのコメントが特に面白かった。
要するに被差別層の少数派が全有効投票数のなかで徐々に数が増えてきて纏まった声となってくることを指している。合衆国の移民法の考え方などと合わせて興味深い。車の中でトルコ系ドイツ人の高学歴取得率やその後の国内とトルコでの優遇のされ方の相違などまだまだ大きな問題がそこにあり、決して現在のベルリン政府の外国人同化政策では事足りないことが語られていた。
ニュースを挟んでそれに続く何時もの討論番組では、オバマ大統領誕生と差別問題が話題となっていたが、ライス女史の発言のように「日常生活の中での解消とは言えないが象徴的な出来事でもある」とする意見と、「何れはアフロアメリカンと呼ぶよりもただアメリカンと呼ぶようになるのではないか」とする意見の双方が示された。上の多数派傾向への波からすれば、オバマ候補自身は文化教養的に決して典型的なアフロアメリカンとは思わないがそうした層にも同化しつつ尚且つ少数派に耳を貸して行く姿勢の表明は素晴らしい。
問題の健康保険も、諸外国のような強制保険の完備はとても難しいと言われるが子供などの弱い立場の将来ある層への整備を先ず整えて行くのだろう。様々な公約の実施は時間が必要であるが、もしオバマ大統領が力不足としてもそうした「当然の政策」を引き継いでいく政権が続くと考えられている。
合衆国の町の盛り上がりを見て、「まるでドイツでのワールドカップみたい」と感想を漏らした者がいた。まさにドイツでのように自由民主主義への自信と確信が合衆国の町中にも溢れているに違いない。
参照:
受け継がれるモラール [ 文学・思想 ] / 2008-07-23
抑圧から解放される為 [ マスメディア批評 ] / 2008-11-02
外人権利と依存する大衆 [ 生活 ] / 2008-06-10
自尊心満ちる軽やかさ [ ワールドカップ06 ] / 2006-07-12