Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

どちらが七十年先に旨いのか

2009-02-09 | ワイン
ドイツで最も高名なシュペートブルグンダーの地所アスマンハウゼンのヘーレンベルクと、世界で最も評価の高いピノノワールの地所ロマネコンティとの古酒の飲み比べが行なわれた。

そこで出されたものがラインガウ側からは、1960年から1990年までの所謂砂糖水添加によって出来上がった べ と べ と したワインを除いた、1950年以前の1920年に至るまでのワインである。

ブルゴーニュからは、1928年ジュヴレ・シャンベルタン・モロー、1923年、1935年ロマネコンティ、1952年リシュブール、1957年ラタッシュなどである。

そのなかで古いシャンベルタンなどと50年代のものを比べると、明らかに新しいものの方に軍配が上がるようで、やはり飲み頃を過ぎてしまうと弱ってしまうのは当然であろう。

またアスマンハウゼンの方では、驚くほど新鮮で果実風味豊かな53年の一方、59年ものは複雑で豊かな香りが押さえられているようで、52年とか35年がミント風味が強く、37年ものが驚くほど角が取れたボリューム感があるという。

さて、それに対してこれら十種類の最高級のワインから、アスマンハウゼンとブルゴーニュを比べると、35年のロマネコンティは鼻につく含蓄はないものの典型的なボディーにハッキリとしたサクランボ味にまろやかで多層な香りが拡がり、アスマンハウゼンの37年物とは品質的には比較出来ても、全く異なるワインであると誰でも直に気が付くと言う。

傾向としては、ブルグンダーが複雑なボディー感と酸の少ない量感でやや優位と結論付ける。それでも、最終的にこの二つが比較対象中「最高のワイン」の評価を分けたようで、ドイツの大勝利と歓声が上がる。

この書き手ユルゲン・ドラーゼが言うように、この結果は英国の評論家ジャニシス・ロビンソン女史の評価と変わらないのだが、「ドイツの赤ワインがまだ土壌毎の差が出ていないとの批判」と、「一部に見られる市場に先行した高額な価格つけへの批判」に答えるのがこの試飲のそもそもの目的でもあったと振り返る。

そこで生産者としてベッカー、マイヤーネッケル、フーバー、クニプサー、レープホルツ、シュトッテン、アデナウワー、フュルストウムなどを挙げている。少なくとも上の中で知っている四五件はそれほど特別な地所を保持していない筈だ。

なるほど、アスマンハウゼンの地所は深い色のタンニンの強いシュペートブルグンダーが出来るのは分かっているが、それほど力があるとは思わなかった。

いづれにしても、1990年以降現在までのドイツ赤ワインの環境の進化は、その葡萄において著しく、葡萄の幹が試行錯誤の末与えられた条件にて年輪を重ねた暁には、その質においてフランスのそれを抜く可能性は小さくない。なるほど、そうなると現在のドイツのシュペートブルグンダーは、最高級と言えどもまだ平均一本30ユーロほどならば、買い時であるだろう。

それはまたこの試飲の目的であったのだが、英米に支配されているワインジャーナリズムのカテゴリー付けに収まらないシュペートブルグンダーへの表面的な理解を解くために、その熟成のポテンツを比べたのであった。

先日二本目の2007年産シュペートブルグンダーを開けたが、僅か10ユーロのクリストマン醸造所のハウスワインが獣臭さのスパイシーさを醸し出していて、二日目以降もしっかりとしていたのには驚いた。

それでもその複雑さや多様さにおいて、決してピノノワールの亜流である必要はない一方、ドイツのシュペートブルグンダーがグランクリュ・リースリングを抜くことはありえない。同じ値段ならやはりリースリングのグローセス・ゲヴェックスの方に価値があるだろう。



参照:
Der Kampf der Rotwein, Juergen Dollase, FAZ vom 7.2.2009
二度目のクリストマン なぜか赤...... (ワイン大好き~ラブワインな日々~)
日出鮓にて
たまにはよく冷やしたシュペートブルグンダーを
ウチのシュペートブルグンダーときたら
振り返りギツネの赤ワイン
果実と花とバランスと
過ぎたるは及ばざるが如し?
また飲み急いでしまった...
フーバーの村名ワイン (新・緑家のリースリング日記)
今年度の消費とその番付 2008-12-29 | ワイン
カテキン豊富に大満足 2008-12-25 | 試飲百景
豪快に飲みたい赤ワイン 2008-06-28 | ワイン
場所を定める比較対照 2008-02-22 | ワイン
気付薬は廉い方が良い? 2007-08-13 | ワイン
期待十分な独赤ワイン 2007-07-10 | ワイン
指定されたラインの名物 2007-07-04 | ワイン
ワイン三昧 第二話 '05II 2005-11-04 | ワイン
放言、よー、観てみよー 2009-01-05 | ワイン
コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする