Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

癌治療に漢方を組み合わせる効用

2011-02-24 | 数学・自然科学
一昨年亡くなった合衆国の遠縁の医師が1980年代前半に訪日した折、医療現場における東洋医学の情報を集めていた。そのときの印象から、近代医学と東洋医学の関係やそのあり方に興味をもっていたのだが、同時にその相関関係については明白なイメージを持てずに来た。しかし、その明快な回答が新聞の文化欄を飾っている。

筆者は、今週出版される新刊本を共著したエッセン東病院の医師で、乳癌などの専門医のようである。要するに癌の化学療法などと両立させるための総合的なオンコロジーとして自然治癒法や針や指圧やヨガ、薬草などの効用を捉えていく臨床医学である。

その基本になっているのは、乳癌などの新しい治療法、特に遺伝子の型に応じてホルモン療法や化学療法の効果や副作用を予め予測する方法やその他患者の各々に応じた最も効果のある療法を目指す医療現場の日常にある。その反面、1971年のリチャード・ニクソン大統領の「癌との戦い」宣言にも拘らず、2006年での癌死亡率は僅か18%低下しただけで、心肺系の64%、肺炎・インフルエンザの58%に比べるほどの成果は上がっておらず、ドイツにおいて女性の60%、男性の53%しか五年以上の癌生存率しか獲得していない事実がある。早期発見や治療への厖大な研究費用などに比べて、一部の患者グループにのみ効用があると限定されているのが癌治療であるとしている。つまり、乳癌においてはなるほど早期発見の効果は幾らかは上がっていても、既に遅いステージにおいては生存率は20%にしか至らない事で、大腸癌や前立腺癌の転移の段階においては過去四十年間治療実績は好転しておらず肺癌における10%においては沈黙せずにはおられないとする ― この一連の考え方は実に大切で、膨大な医療費に対早期発見費用を計算する公的健康保険制度や科学振興という営利ではない事業に対してであるからこそ、最も必要なのはその投資額に見合う経済的効率であるからだ。要するにあまり効果の無い早期発見の医療などは営利的な経済しか考えていないからではないかと疑惑が生じる。

それと平行して、「生存の可能性を高めるのはただ唯一、本人が置かれた厳しい状況に自ら反応できるか」であり、多くの末期癌患者などでも決して余命を楽しむためになにもしないということは無いのである。そうした近代医学では治療効果が疑わしい状況では余計に民間医療的な方策を主治医に隠れて行っている危険な一般例を挙げている。ヴィタミン剤やグレープフルーツなど本来の治療の効果を打ち消してしまう悪例や、誰もが見聞きしている如何わしい法外な価格のまやかし商品などである。同時に、新陳代謝活動においては、医薬よりも瞑想などの方法が効果があり、癌細胞の壊死に関わるコルティソール、免疫導引ツィトキーネなどに影響を与えるMBSR(Mindfulness based stress reduction)法などが心肺系だけでなく消化系の強化などを託しているように、総合的な見識が必要とされる。

それ故に、近代医学以外の療法をどのように組み合わせた治療法が可能であるかというのが今回の新刊であり新聞記事である。そこでは、そうした教科書外の効用を科学的に網羅することが肝要で、実際に中世以来のフォン・ビンゲンで有名な薬草の効果などが厖大なデーターベースとなって利用されていて、飽くまでも科学的な実証がその利用の基本となっている。それは、今世紀のはじめ頃から盛んになったハーヴァードのメディカルスクール、ニューヨークのスローンケッタリング記念センター、マヨー病院などの実践がドイツでのそれのお手本となっており、ハイデルベルクのドイツ癌センターにおいても既に四百種類以上の漢方薬がテストされて、多くは限定的な効果が確認されている。そしてそこから総合的な効用が導き出されるのだが、それにはまだまだ研究が必要となる。治療においては癌細胞のその伝播のメカニズムの方へと関心が移っているので、こうした漢方薬もそうした全体的な効用がより重要になっているというのである。

この記事を、乳癌で治療を行っている妻を持つ友人と手術をしない肺癌を化学治療している友人に知らせてやりたい。医師二人がVIDEOで語るように「近代医学は非人間的で、自然治癒法は人に易しい」という組み合わせであるようだ



参照:
Keine Tabus mehr im Kampf gegen Krebs, Gustav J.Dobos und Sherko Kümmel, FAZ vom 21.2.2011
Gemeinsam gegen Krebs“, Verlag Zabert Sandmann
ビール消費と癌予防効果 2006-06-07 | その他アルコール
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