Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

アルプスで最も過酷な壁

2013-07-21 | アウトドーア・環境
今回のシャモニ旅行は大変有益となった。いくつもの成果があったが、資料写真としてはこのドロワット北壁のものが一番かもしれない。マコンの引率者であるダミアンが教えてくれたもので、記憶にはあったが予期していない光景だった。直ぐにルートは目で追えたので彼に真ん中のクロワールか右のやつだといったら、「多分」と答えるだけだった。ルートを見る目は登れる力量がないと持ち得ないのである。

「とても難しい」というので、「ツール・ロンドと比べたらどうだ」と言ったら、「方や300メートルのほどの高度さなので全然違う」と答える。「三時間ぐらいか」と言うと、「こちらは1000メートルの高度さだから厳しい」と言うことだ。

なるほど調べてみると、私が目で追って「壁の真ん中のクロワール」と示したものはモンブラン山系のクラシックルートで最難関になっていて、単独でナンガパルパットを制したメスナーがこれをして「アルプスで最も酷な壁」と称したことから七大北壁に認定されている。

調べてみないと分らないが、少なくともルートは素晴らしく如何に上からの落下物に当たらないように早く登れるかではないかと思うのだ。技術的には現在のアイスクライミングの環境からすれば全く問題が無い筈だ。しかし、実際には条件は刻々と変わるわけでその辺りの見通しも必要となる。体力的には同じ標高差を爪先で走り通せない限り駄目だろう。実際に足を投げ出して腰を掛ける場所は頂上まで殆どなさそうである。

この壁を登ることがあるかどうかは分らないが、確実に目標となった。六大北壁のどれかを登る力がついたときには是非挑戦してみたい壁である。

今回の経験の中で最も意味があったのも、正しく高高度での運動であって、如何に酸素量の不足を補う方法を身につけることが出来るかであった。身体的な負担を減らすことが出来るかどうかは疑問であるが、少なくとも運動をする方法は分った。健康への影響などは無視しても、クライミング時にも同じようにその呼吸法などを使うことで最高域を持続させることが必要十分となる。

グランドジョラス北壁も少し観測できた。圧倒的である。あれを登り切るには、技術的には想定していた通り、まだまだ技術的に修行を積まないといけない。しかし、そこまで至ることが出来るならば、なんとかなりそうな感触を得ることが出来たのが今回の最大の収穫であった。夢が膨らんだ。(続く



参照:
それで良いではないか 2012-10-08 | 文化一般
アイスクライミングの醍醐味 2013-02-24 | アウトドーア・環境
コメント
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